説明

制電性アクリル系樹脂組成物

【課題】塗料、粘着剤等に使用可能な制電性アクリル系樹脂組成物であって、架橋した後にもイオン電導性が低下せず、特に、液晶ディスプレイの製造に用いられる偏光板等の光学部材向け表面保護フィルム用の粘着層として好適な、透明な、剥離時の静電気の発生が少ない制電性アクリル系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】水酸基を有するアクリル系樹脂(A)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)及びイオン化合物(D)を含有することを特徴とする制電性アクリル系樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制電性アクリル系樹脂組成物に関する。より詳しくは、電子、光学部品の包装材に用いる透明性に優れた制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップに代表される電子部品や光学部品の包装材については、静電気対策が求められている。特許文献1(特開2003−261774号公報)には、イオン化合物としてのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む制電性樹脂組成物が、高い静電気消散機能を有し、持続性、成形加工性に優れた、着色しない制電性樹脂組成物として開示されている。しかし、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが高価な材料であるため、成形品全体を当該制電性樹脂組成物で作製した場合にはコスト高を招き、高付加価値の特殊用途にしか使用できない。
そこで、特許文献2(特開2003−41194号公報)には、成形品の表面に、制電性樹脂組成物の塗膜を形成する経済性に優れた制電性塗料が開示されている。
【0003】
一方で、包装材自体の形態が、従来のコンテナ等の容器から、キャリアテープや光学部品用途の保護フィルムに代表されるように、テープ化やフィルム化が進んでいる。
特に、保護フィルムは、液晶ディスプレイの普及に伴って伸長著しく、使用例としては、液晶ディスプレイに用いられる偏光板やそれに準ずる積層体等の光学部品等に、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等からなる透明なフィルムが粘着層を介して積層されて使用される。
保護フィルムは、液晶ディスプレイ等に組み込みが完了した後に光学部品等から剥離除去されるが、剥離する際に生じる静電気により液晶や電子回路が破壊されるトラブルの発生が問題となっている。保護フィルム表面に制電性樹脂を塗工するだけでは、剥離時に発生する静電気の抑制には十分な効果が得られていない。
【0004】
そこで、保護フィルムの粘着層を形成するための、粘着性を有する制電性樹脂組成物が求められ、特許文献3(特開2005−206776号公報)には、過塩素酸リチウムとアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーを含むアクリル樹脂系粘着剤が開示されている。しかし、剥離性を付与する為に、架橋剤でアクリル樹脂を硬化することで、アルキレンオキサイド鎖の分子運動が阻害され、イオン電導性が低下する。その結果、近年の液晶テレビの大画面化に伴い、保護フィルム自体も大面積化し、かつ、剥離速度も速くなる為に、剥離時に生じる静電気を防止する効果が十分得られていない。
【特許文献1】特開2003−261774号公報
【特許文献2】特開2003−41194号公報
【特許文献3】特開2005−206776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、塗料、粘着剤等に使用可能な制電性アクリル系樹脂組成物であって、架橋した後にもイオン導電性が低下せず、液晶ディスプレイの製造に用いられる偏光板などの光学部材向け表面保護フィルム用の粘着層として好適な、剥離時の静電気の発生が少ない制電性アクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、水酸基を有するアクリル系樹脂(A)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)及びイオン化合物(D)を含有することを特徴とする制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、ジイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートであることを特徴とする上記発明の制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、水酸基を有するアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)0.05〜5重量部、及びジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)0.3〜15重量部を含むことを特徴とする上記いずれかの発明の制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、イオン化合物(D)が、アルカリ金属の有機塩及び/又は有機カチオン−アニオン塩であることを特徴とする上記いずれかの発明の制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、水酸基を有するアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、イオン化合物(D)0.01〜10重量部を含むことを特徴とする上記いずれかの発明の制電性アクリル系樹脂組成物に関する。
【0011】
さらにまた、本発明は、プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に上記いずれかの発明の制電性アクリル系樹脂組成物から形成される粘着層が積層されてなることを特徴とする光学部材用保護フィルムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、塗料、粘着剤等に使用可能な制電性アクリル系樹脂組成物であって、架橋剤で架橋した後にもイオン電導性が低下せず、特に、液晶ディスプレイに用いられる偏光板等の光学部材向け表面保護フィルム用の粘着層として好適な、剥離時の静電気の発生が少ない制電性アクリル樹脂組成物が得られるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に用いられる、水酸基を有するアクリル系樹脂(A)は、水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)と、必要に応じてこれらと共重合可能な他のアクリル系モノマー(a2)から合成することができる。
本発明に水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)を使用する目的は、被着体に対する粘着力を確保しつつ剥離性を確保するためである。さらに詳しく説明すると、粘着層を形成する際に使用する後述の、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)〔以下、単に「変性体(B)」とも表記する。〕及びジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)〔以下、単に「変性体(C)」とも表記する。〕と、水酸基を有するアクリル系樹脂(A)〔以下、単に「アクリル系樹脂(A)」と表記することもある〕中の水酸基との反応を利用して架橋構造を形成するが、アクリル系共重合体(A)の分子量を含めて制御することにより、粘着性と剥離性とのバランスをとることができる。よって、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーの合計を100重量%とした場合、水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)は0.5〜30重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、1〜10重量%である。
水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)が0.5重量%未満の場合、粘着層としての凝集力が不足し、剥離性が低下して好ましくない。30重量%を超えると、架橋度が高くなりすぎて粘着性、制電性が乏しくなるので好ましくない。
【0014】
本発明に用いられる、水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)としては、一級の水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、それらの中でもアルキル鎖の炭素数が3〜20であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。
一級の水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル鎖の炭素数が2以下では、硬化剤として使用する、変性体(B)及び変性体(C)で架橋後に樹脂の分子運動を阻害してしまうために、イオン化合物(D)による制電性も低下してしまい好ましくない。一方、20より多い場合は、硬化剤を増やしても粘着層としての凝集力が不足し、剥離性が低下して好ましくない。
【0015】
一級の水酸基を有し、アルキル鎖の炭素数が3〜20であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして、具体的には、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルや(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸18−ヒドロキシステアリル等が挙げられる。
上記化合物のうち、本発明では4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルや(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルが好ましい。
また、水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)として、本発明の効果を阻害しない範囲で、二級もしくは三級の水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類や、アルキル鎖の炭素数が2以下もしくは20を超えるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を併用してもよい。
【0016】
本発明に用いられる、上記の水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)と共重合可能なモノマー(a2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。本発明においては、粘着性を確保するという点で、アルキル鎖の炭素数が4〜24のアルキル(メタ)アクリレートを共重合に供することが好ましい。さらに好ましくは、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
これらのモノマー(a2)は、制電性アクリル樹脂組成物としての望ましい物性を得る目的のため、適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。特に、粘着力を付与する為に、得られるアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう)が0℃以下となるようにモノマー(a2)の種類を選択することが好ましい。
【0017】
上述の水酸基を有するアクリル系モノマー(a1)及びその他のモノマー(a2)等を共重合してなるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は20万〜100万であることが好ましく、30万〜70万であることがより好ましい。
20万未満では、必要な剥離性が得られにくく、100万を超えると、合成時の粘度が高くなり過ぎ、生産性が低下しやすいため好ましくない。
【0018】
ところで、光学部材の中には非常に薄く、壊れやすいものがある一方、比較的丈夫なものもあり、保護フィルムをどのような被着体に貼着するかによって、保護フィルムや粘着層に要求される剥離力の大きさは異なる。
即ち、壊れやすい光学部材を被着体とする場合には、貼着後保護フィルムを剥離する際に被着体を損傷しないようにするために、剥離力は200g/25mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは100g/25mm以下である。
一方、比較的強靭な光学部材を被着体とする場合には、剥離力は1000g/25mm程度まで許容され得る。なお、剥離力が低すぎる場合、必要としない時に被着体から剥がれてしまうことがあるため、不都合である。具体的には、剥離力は、4g/25mm以上であることが好ましい。
また、剥離時に制電性アクリル系樹脂組成物が被着体に残らないことは被着体がどのようなものであっても常に要求される。
【0019】
次に、本発明で用いる、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)およびジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)について説明する。
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)とは、ヘキサメチレンジイソシアネートが3量化し、イソシアヌレート環を形成してなる3官能のイソシアネート硬化剤である。
また、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)とは、ジイソシアネート化合物1分子とトリメチロールプロパン3分子からなるアダクト体であり、3官能のイソシアネート硬化剤である。
上記変性体(C)を構成するジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられるが、これらの中でもトリレンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0020】
本発明に変性体(B)および変性体(C)を使用する目的は、制電性を損なうことなく、保護フィルムとして適度な粘着力を得るためである。
粘着層を形成するに際して、硬化剤として変性体(B)のみを使用した場合、制電性の良い保護フィルムが得られるが、剥離力が低くなり過ぎるという欠点があり、必要としない時に被着体から剥がれてしまうため好ましくない。
一方、硬化剤として変性体(C)のみを使用した場合、適度な剥離力が得られるものの、十分な制電性が得られにくいことがある。
従って、上記欠点を克服するため、本発明においては、硬化剤として変性体(B)及び変性体(C)の両者を併用することが重要である。
【0021】
制電性アクリル系樹脂組成物を用いてなる保護フィルムの剥離力は、アクリル樹脂を構成する主たる成分自体の有する凝集力及び、該主成分と、硬化剤として機能する変性体(B)および変性体(C)との架橋の状況によって大きく影響を受ける。
一般に主成分に対して硬化剤を多量に用いることによって、剥離力を低下することができる。また、一般に主成分の分子量を大きくすることによって、主成分自体の凝集力を大きくすることができる。本発明おいて、剥離時に200g/25mm以下、好ましくは100g/25mm以下の低剥離力が要求される場合には、主成分、即ちアクリル系樹脂(A)100重量部に対して変性体(B)0.05〜5重量部、及び変性体(C)0.3〜15重量部の量で用いることが好ましく、変性体(B)0.05〜4重量部、及び変性体(C)0.7〜10.0重量部の量で用いることがより好ましい。
変性体(B)及び変性体(C)の量が少なすぎる場合、架橋の効果が発現しにくい。
一方、両者の量が多すぎる場合、架橋が過度になり、剥離力はさらに低下する傾向を示し、必要としない時に被着体から剥がれやすくなってしまう。
さらには、硬化塗膜の樹脂成分の分子運動が阻害され、後述するイオン化合物(D)による制電効果が低下するため、好ましくない。
【0022】
次に、イオン化合物(D)について説明する。
本発明に用いるイオン化合物(D)としては、アルカリ金属の有機塩及び/または有機カチオン−アニオン塩を好ましく用いることができる。これらは単独でまたは複数を併用することができる。更に、イオン化合物(D)として、その他に過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ヨウ化リチウム、硫酸アンモニウム等の無機塩が挙げられる。これらは単独でまたは複数を併用することができる。
なお、本発明でいう「有機カチオン−アニオン塩」とは、有機塩であって、そのカチオン部が有機物で構成されているものを示し、アニオン部は有機物であっても良いし、無機物であっても良い。
本発明に用いられるアルカリ金属の有機塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムがあげられる。
アルカリ金属の有機塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSO)IN、Li(CSON、Li(CSO)IN、Li(CFSOC、KOS(CFSOK、LiOS(CFSOK等が挙げられ、これらのうちLiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSO)IN、Li(CSON、Li(CSO)IN、Li(CFSOC等が好ましく、Li(CFSON、Li(CFSO)IN、Li(CSON、Li(CSO)IN等のフッ素含有リチウムイミド塩がより好ましく、特に(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドリチウム塩が好ましい。
【0023】
本発明で用いられる有機カチオン−アニオン塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されており、前記カチオン成分は有機物からなるものである。
カチオン成分として、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンなどがあげられる。
アニオン成分としては、たとえば、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、(CN)、CSO、(CSO、CCOO、CFSOCFCO)NS(CFSOなどが用いられる。なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。
【0024】
本発明に用いられる有機カチオン−アニオン塩の具体例としては、上記カチオン成分とアニオン成分との組み合わせからなる化合物が適宜選択して用いられ、例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N―ジエチル―N―メチル―N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3メチルピリジン−1−イウムトリフルオロメタンスルホナートなどがあげられる。
これらの市販品として、例えば、「CIL−314」(日本カーリット社製)、「ILA2−1」(広栄化学社製)などが使用可能である。
【0025】
本発明においては、イオン化合物(D)として界面活性剤を使用することもできる。
イオン化合物(D)として用い得る界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ジメチルアミノエチルメタクレート4級化物などの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体等があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの市販品として、例えば、「KS−1158」(花王社製)などが使用可能である。
【0026】
また、イオン化合物(D)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。さらに好ましくは0.05〜5重量部である。0.01重量部未満では十分なイオン導電性が得られず、10重量部よりも多くイオン化合物(D)を含有しても導電性向上の効果がほとんど期待できなくなり、さらに粘着性が低下し好ましくない。
【0027】
本発明の制電性アクリル系樹脂組成物には、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物を配合することもできる。アルキレンオキサイド鎖を有する化合物としては、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物中に占めるアルキレンオキサイド鎖の含有率が10〜80重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがより好ましい。
また、上記アルキレンオキサイド鎖を有する化合物の重量平均分子量は1000〜10000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物としては、例えば、分子内にエチレンオキサイド鎖及び/またはプロピレンオキサイド鎖を有する化合物を使用することができ、具体的には例えば、商品名エパン420、450、750(第一工業製薬社製)等が使用できる。
【0028】
なお、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物におけるアルキレンオキサイド鎖の含有率が10重量%未満では、十分なイオン電導性が得られにくく、80重量%よりも大きくなったり、重量平均分子量が10000を越えると、結晶性が高くなるためにイオン電導性が低下して好ましくない。
また、重量平均分子量が1000未満では、粘着層の表面にブリードしやすく、被着体表面を汚染しやすいため、好ましくない。
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部を配合する。アルキレンオキサイド鎖を有する化合物の配合量が1重量部未満の場合、十分な制電性が得られにくいことがあり、一方、40重量部を越える場合、粘着性が著しく低下してしまい好ましくない。
【0029】
本発明の制電性アクリル樹脂組成物には、さらに必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤等の添加剤を配合しても良い。
【0030】
本発明の制電性アクリル樹脂組成物を用いて形成される粘着層と、プラスチックフィルム、紙、布、発泡体等の基材とが積層された粘着シートを得ることができ、粘着層の表面を剥離シートで被覆しておくことができる。
粘着シートは、各種基材に制電性アクリル樹脂組成物を塗布したり含浸したりし、これを乾燥・硬化することによって得ることができる。あるいは、剥離シート上に制電性アクリル樹脂組成物を塗布し、これを乾燥し、形成されつつある粘着層表面に各種基材を積層し、アクリル系樹脂(A)中の水酸基と、変性体(B)及び変性体(C)中のイソシアネート基との反応を進行させることによっても得ることができる。
【0031】
本発明の制電性アクリル系樹脂組成物は、基材として好ましくは透明なプラスチックフィルムに適用することによって、光学部材用の表面保護粘着フィルムを好適に得ることができる。
プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、処理ポリオレフィンフィルム、未処理ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
本発明の制電性アクリル樹脂組成物は、乾燥・硬化した際に2〜200μm程度の厚みになるように基材等に塗布することが好ましい。2μm未満であるとイオン導電性が乏しくなり、200μmを越えると粘着シートの製造、取り扱いが難しくなる。
【0032】
本発明の制電性アクリル系樹脂組成物を用い、その用途、要求性能等を考慮した上で、種々の態様の制電粘着フィルムを得ることができる。
例えば、偏光板の保護フィルム用の制電粘着フィルムについて、図面に基づいて説明する。
図1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材1とその一方の表面上に担持された粘着層2とからなる本発明による制電粘着フィルムを、粘着層2によって偏光板3に貼付した状態を示す模式的断面図である。
図2は、PETフィルム基材1の両面に粘着層2を設けてなる本発明による制電粘着フィルムを、一方の粘着層2によって偏光板3に貼付した状態を示す模式的断面図である。
図3は、PETフィルム基材1の一方の表面に制電コーティング剤層4を設け、さらにその上に粘着層2を担持させてなる本発明による制電粘着フィルムを、前記粘着層2によって偏光板3に貼付した状態を示す模式的断面図である。
図4は、PETフィルム基材1の一方の表面に粘着層2を設け、その反対側表面に制電コーティング剤層4を設けてなる本発明による制電粘着フィルムを、前記粘着層2によって偏光板3に貼付した状態を示す模式的断面図である。
【0033】
光学部材、電子部材の表面保護用のフィルムに本発明の樹脂組成物を用いる場合、剥離帯電量をさらに低減するために、図3および図4に示すように、制電コーティング剤層を設けることも可能である。また、プラスチックフィルムに機能性を持たせる様な用途では、図2に示すように、基材フィルムの両面に粘着層を設け、一方の粘着層に、機能性フィルム(例えば、位相差フィルム、光学補償フィルム、光拡散フィルム、電磁波シールドフィルム等)をさらに貼り合わせることもできる。作業性及び製作コスト等を考慮すると、図1の態様が最も好ましい。
図3および図4に示すように粘着層とプラスチックフィルム基材との間、またはプラスチックフィルム基材の粘着層側でない反対側に粘着性を有しない制電コーティング剤層を設ける場合には、金属フィラー、4級アンモニウム塩誘導体、界面活性剤、導電性樹脂等を用いることができる。
金属フィラーとしては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン等の金属酸化物、カーボン、銀、銅等の金属等が挙げられる。コーティング膜の透明性を考慮すると、酸化錫、酸化アンチモン等が好ましい。
4級アンモニウム塩誘導体としては、4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーの重合体、もしくは他の(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体を使用することができる。また、本発明の制電性アクリル系樹脂組成物のTgを調整することで、制電コーティング剤層に用いることも可能である。
制電コーティング剤層は、塗膜として0.01μm〜10μmの厚さが好ましく、さらに好ましくは0.1μm〜5μmである。0.01μm未満では、静電気を防止する効果が十分に発揮できず、5μmを超えると、コスト、塗工性等に問題がある。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ示すものとする。
(合成例1)
表1に示す組成比(重量比)のモノマーから構成されるアクリル系樹脂を以下の要領で得た。
即ち、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコを用い、反応釜に2EHAの50重量%〔表1に記載の「73」重量%の内の50重量%の意味;以下同様〕、BAの50重量%、4HBAの50重量%、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込み、
残りのモノマーの全量に、酢酸エチル、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈した。この反応溶液は、固形分41%、粘度1700mPa・s、Mw(重量平均分子量)390,000であった。
【0035】
(合成例2)
表1に示す組成比(重量比)のモノマーから構成されるアクリル系樹脂を以下の要領で得た。
即ち、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコを用い、反応釜に2EHAの50重量%、BAの50重量%、2HEAの50重量%、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込み、
残りのモノマーの全量に、酢酸エチル、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈した。この反応溶液は、固形分41%、粘度1700mPa・s、Mw(重量平均分子量)400,000であった。
【0036】
(合成例3)
表1に示す組成比(重量比)のモノマーから構成されるアクリル系樹脂を以下の要領で得た。
即ち、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコを用い、反応釜に2EHAの50重量%、BAの50重量%、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルの75重量%、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込み、
残りのモノマーの全量に、酢酸エチル、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈した。この反応溶液は、固形分41%、粘度1700mPa・s、Mw(重量平均分子量)390,000であった。
【0037】
(合成例4)
表1に示す組成比(重量比)のモノマーから構成されるアクリル系樹脂を以下の要領で得た。
即ち、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコを用い、反応釜に2EHAの50重量%、BAの50重量%、アクリル酸12−ヒドロキシラウリルの全量、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込み、
残りのモノマーの全量に、酢酸エチル、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を約1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈した。この反応溶液は、固形分41%、粘度1700mPa・s、Mw(重量平均分子量)370,000であった。
【0038】
【表1】

【0039】
[実施例1]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 0.6部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 9.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を剥離紙に乾燥塗膜の厚さが20μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させた後、形成されつつある粘着剤層にポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を積層し、この状態で室温で2日間経過させ、試験用粘着シートを得た。
該粘着シートを用いて、以下に示す方法に従って、粘着力、剥離帯電の評価を行った。
【0040】
<粘着力>
試験用粘着テープを25mm幅に裁断し、剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層を厚さ2mmのガラス板に23℃−50%RHにて貼着し、JIS Z−0237に準じてロール圧着した。圧着から24時間経過後、ショッパー型剥離試験器にて剥離強度(180度ピール、引っ張り速度300mm/分、単位;g/25mm)を測定した。
【0041】
<剥離帯電>
A4サイズの試験用粘着シートの剥離紙を剥がし、露出した粘着剤層を偏光板に23℃−50%RHにて貼着し、ハンドロールで圧着した。圧着から24時間経過後、ガラス板上で、試験用粘着シートを偏光板から剥離して、偏光板表面の静電気を静電気測定器(シシド静電気株式会社製「STATION DZ3」)で10箇所測定して絶対値が最大の値を剥離帯電とした。
【0042】
[実施例2]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、「CIL−314」(日本カーリット社製:1−ブチル−3メチルピリジン−1−イウムトリフルオロメタンスルホナート)1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 2.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 3.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0043】
[実施例3]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0044】
[実施例4]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、「ILA2−1」(広栄化学社製:脂肪族アミン系固体状イオン性化合物)1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液10.5部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0045】
[実施例5]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 2.5部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 2.5部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0046】
[実施例6]
合成例3で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 3.5部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0047】
[実施例7]
合成例3で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 3.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 2.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0048】
[実施例8]
合成例4で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 0.6部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 10.5部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0049】
[実施例9]
合成例4で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 0.8部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0050】
[実施例10]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、過塩素酸リチウム1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 9.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0051】
[実施例11]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、過塩素酸リチウム1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 2.5部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 1.5部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0052】
[実施例12]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、「KS−1158」(花王社製:リン酸エステルカリウム塩)1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 9.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0053】
[実施例13]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、「KS−1158」(花王社製:リン酸エステルカリウム塩)1.0部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 3.0部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 1.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0054】
[比較例1]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0055】
[比較例2]
合成例1で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン37%酢酸エチル溶液 10.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
[比較例3]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0056】
[比較例4]
合成例2で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体の37%酢酸エチル溶液 15.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0057】
[比較例5]
合成例3で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
【0058】
[比較例6]
合成例4で得られたアクリル系樹脂溶液の固形分40部に対して、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド 0.5部、エチレンオキサイド鎖を有する化合物として「エパン750」(第一工業製社製:重量平均分子量4000、エチレンオキサイド鎖の含有率50%) 4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体の37%酢酸エチル溶液 4.0部を配合し粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用いて実施例1と同様にして粘着シートを得、実施例1と同様に評価した。
以上の評価結果を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
表2中の、イオン化合物の略号は以下のものを示す。
CIL−314:1−ブチル−3メチルピリジン−1−イウムトリフルオロメタンスルホナート(日本カーリット社製)
ILA2−1:脂肪族アミン系固体状イオン性化合物(広栄化学社製)
KS−1158:リン酸エステルカリウム塩(花王社製)
【0061】
以上のように本発明の制電性アクリル系樹脂組成物は、液晶ディスプレイに用いられる偏光板等の光学部材向け表面保護フィルム用の粘着層として用いた場合に、剥離時の静電気の発生が少なく、かつ適度な粘着力が得られることがわかる。
これに対して、比較例1、3、5および6に示したアクリル系樹脂組成物は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体のみを硬化剤として用いたものであり、剥離時の静電気の発生は少なく出来るが、粘着力が低すぎるため、被着体から剥がれる恐れがある。
また、比較例2および4に示したアクリル系樹脂組成物は、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体のみを硬化剤として用いたものであり、適度な粘着力を得ることが出来るが、剥離時の静電気の発生を抑えることが出来ない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の制電性アクリル系樹脂組成物は、塗料、粘着剤等に使用可能な制電性アクリル系樹脂組成物であって、架橋剤で架橋した後にもイオン電導性が低下せず、被着体表面を所定の期間、機械的及び電気的に保護するための表面保護フィルムとして好適であり、例えば、液晶パネル、プラズマディスプレイ、偏光板、CRT(ブラウン管)等の光学部品の表面保護用粘着フィルム形成に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】PETフィルム基材とその一方の表面上に担持された粘着層とからなる本発明による制電粘着フィルムを、粘着層によって偏光板に貼付した状態を示す模式的断面図である。
【図2】PETフィルム基材の両面に粘着層を設けてなる本発明による制電粘着フィルムを、一方の粘着層によって偏光板に貼付した状態を示す模式的断面図である。
【図3】PETフィルム基材の一方の表面に制電コーティング剤層を設け、さらにその上に粘着層を担持させてなる本発明による制電粘着フィルムを、前記粘着層によって偏光板に貼付した状態を示す模式的断面図である。
【図4】PETフィルム基材の一方の表面に粘着層を設け、その反対側表面に制電コーティング剤層を設けてなる本発明による制電粘着フィルムを、前記粘着層によって偏光板に貼付した状態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1:PETフィルム基材
2:粘着層
3:偏光板
4:制電コーティング剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有するアクリル系樹脂(A)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)、ジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)及びイオン化合物(D)を含有することを特徴とする制電性アクリル系樹脂組成物。
【請求項2】
ジイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の制電性アクリル系樹脂組成物。
【請求項3】
水酸基を有するアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(B)0.05〜5重量部、及びジイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン変性体(C)0.3〜15重量部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の制電性アクリル系樹脂組成物。
【請求項4】
イオン化合物(D)が、アルカリ金属の有機塩及び/又は有機カチオン−アニオン塩であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の制電性アクリル系樹脂組成物。
【請求項5】
水酸基を有するアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、イオン化合物(D)0.01〜10重量部を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の制電性アクリル系樹脂組成物。
【請求項6】
プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に請求項1ないし5いずれかに記載の制電性アクリル系樹脂組成物から形成される粘着層が積層されてなることを特徴とする光学部材用保護フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150544(P2008−150544A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342212(P2006−342212)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】