説明

制電性布帛およびカーシート用表皮材

【課題】布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた制電耐久性を有する制電性布帛およびカーシート用表皮材を提供することにある。
【解決手段】単糸繊維横断面に凹部が存在する異型有機繊維を用い、必要に応じて導電性繊維が経方向および/または緯方向に間欠配列させて布帛を得た後、該布帛に制電加工処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた制電耐久性を有する制電性布帛およびカーシート用表皮材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布帛に帯電防止性を付加する方法が種々提案されている。例えば、制電組成物を含有する処理剤で布帛を処理することにより布帛に制電性を付与することや、導電性繊維を間欠配列させた制電性布帛に制電加工処理することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、かかる方法により得られた制電性布帛は、布帛の柔軟な風合いを損なわず制電性を有するものの、制電性の耐久性の点で十分とはいえなかった。
【0003】
また、パイル布帛のバッキング層にカーボンを配合することにより、帯電防止性を付与することも知られているが、布帛の柔軟な風合いが損なわれるだけでなく、材料コストが高くなるという問題があった。
他方、特許文献3では、単糸繊維横断面に凹部を有する繊維を用いて布帛を得ることが提案されているが、かかる布帛は制電性ではなく吸水性の向上を目的とするものであった。
【0004】
【特許文献1】特開平10−325076号公報
【特許文献2】特開2005−113345号公報
【特許文献3】特開2002−201541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた制電耐久性を有する制電性布帛およびカーシート用表皮材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、単糸繊維横断面に凹部が存在する異型有機繊維で布帛を構成し、該布帛に制電加工処理を施すことにより、制電剤が前記の凹部に保持され、優れた制電耐久性が得られることを見出し、さらに鋭意検討することにより本発明に到達した。
【0007】
本発明によれば、「単糸繊維横断面に凹部が存在する異型有機繊維を含み、かつ制電加工処理が施されていることを特徴とする制電性布帛。」が提供される。
その際、前記の凹部において、以下に定義する開口深度Sが30%以上であることが好ましい。
(開口深度S)
単糸繊維横断面における凹部の開口部の長さL、凹部の最大深さHより下記式を用いて算出する。
S(%)=H/L×100
かかる異型有機繊維において、単糸繊維横断面に凹部が3個以上存在することが好ましい。また、前記の異型有機繊維としては、ポリエステル繊維であることが好ましい。
【0008】
本発明の制電性布帛において、布帛がパイル布帛であり、前記の異型有機繊維が地組織部および/またはパイル部に含まれることが好ましい。また、前記異型有機繊維以外の他の繊維として、導電性繊維が経方向および/または緯方向に間欠配列されていることが好ましい。その際、導電性繊維がカーボンブラックを含有する繊維であることが好ましい。かかる導電性繊維の間欠の間隔としては2〜50mmの範囲内であることが好ましい。また、導電性繊維の混率が重量比で3%以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の制電性布帛において、制電加工処理により、ポリエステル系制電組成物が布帛重量に対して1〜10重量%付与されていることが好ましい。また、人体帯電圧試験法で3000V以下であることが好ましい。さらに、平面摩耗試験を行った後において、試験環境のみを10℃、30%RHに変更したJIS L1094.5.2に規定された摩擦帯電圧試験法で3000V以下であることが好ましい。ただし、平面摩耗試験はJIS L 0894 学振試験機法にて、被試験布を20cm×3cmの大きさにカットし、9.8N(1.0kgf)の荷重をかけ、1万回回転させるものとする。
また、本発明によれば、前記の制電性布帛を含むカーシート用表皮材が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた制電耐久性を有する制電性布帛およびカーシート用表皮材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の制電性布帛において、単糸繊維横断面に凹部が存在する異型有機繊維を含むことが肝要である。このような異型有機繊維が布帛に含まれない場合は、十分な制電耐久性が得られず好ましくない。
【0012】
ここで、凹部としては、単糸繊維の横断面において、図1に示すように、凹部の開口部の長さをL、凹部の最大深さをHとし、下記式を用いて開口深度S(%)を算出したとき、該開口深度Sが30%以上であることが好ましい。このように、深さの深い凹部が形成されていると、該凹部に制電剤が保持され、優れた制電耐久性が得られる。
S(%)=H/L×100
【0013】
また、前記の異型有機繊維において、単糸繊維横断面に凹部が最低1個形成されておればよいが、3個以上(より好ましくは4個、すなわち十字断面)形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明でいう有機繊維とは、綿、羊毛、麻などの有機天然繊維、ポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィン繊維などの有機合成繊維、セルロースアセテート繊維などの有機半合成繊維及、ビスコースレーヨン繊維などの有機再生繊維から選ばれるものであり、特にその種類は限定されない。
【0015】
かかる有機繊維としては、繊維強度や取り扱い性の点でポリエステル繊維が好適である。ポリエステル繊維は、ジカルボン酸成分と、ジグリコール成分とから製造される。ジカルボン酸成分としは、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリエステルには、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に第3成分を含んでいてもよい。第3成分としては、カチオン染料可染性アニオン成分、例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸;テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。
【0016】
該有機繊維には、必要に応じて艶消し剤(二酸化チタン)、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、制電剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上を含有させてもよい。
【0017】
かかる有機繊維の形態は特に限定されず、長繊維(マルチフィラメント)、短繊維いずれでもよいが、柔軟な風合いを得る上で長繊維が好ましい。さらには、通常の仮撚捲縮加工、撚糸、インターレース空気加工が施されていてもよい。有機繊維の繊度は特に限定されないが、柔軟な風合いを得る上で単繊維繊度は0.1〜5dtex、フィラメント数は20〜150、総繊度は30〜300dtexであることが好ましい。
【0018】
なお、本発明の制電性布帛には、前記の異型有機繊維が1種含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。また、本発明の制電性布帛は、前記の異型有機繊維だけで構成される必要はなく、前記の異型有機繊維が10重量%以上含まれておればよい。
本発明の制電性布帛において、その布帛組織は特に限定されず、織物でもよいし編物でもよい。
【0019】
ここで、織物の織組織は、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織などが例示される。なお、これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機など通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。
【0020】
編物の種類は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が好ましく例示される。なお、製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等など通常の編機を用いて通常の方法により製編することができる。
これらのなかでも、布帛がパイル布帛であり、前記の異型有機繊維が該パイル布帛の地組織部および/またはパイル部に含まれることが好ましい。
【0021】
本発明の制電性布帛において、他の繊維として、導電性繊維が経方向および/または緯方向に間欠配列されていると、さらに制電性が向上し好ましい。ここで、導電性繊維とは、表面電気抵抗値が1010Ω/cm以下のものをいう。具体的には、メッキや真空蒸着法によって金属を被覆した金属被覆有機繊維、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散された樹脂を被覆した導電性樹脂被覆有機繊維、複合紡糸技術により導電性微粒子分散重合体がブレンドまたは複合紡糸された複合繊維などが例示される。なかでも、耐久性、風合いの点で、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン6など)等の繊維形成性重合体中に、カーボンブラック等の導電性物質を含有する導電性有機繊維が好ましい。
【0022】
かかる導電性有機繊維は、そのまま単独で布帛に含まれてもよいし、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維など他の有機繊維と混繊、交撚、カバリングされて布帛中に含まれていてもよい。
【0023】
導電性繊維を間欠配列する方法としては、市販のミシン等を用いて、導電性繊維を布帛に縫いこむ方法や、好ましくはあらかじめ布帛に交織、交編する方法が例示される。
例えば、織物の場合、導電性繊維を必要に応じて他の繊維と混繊、撚糸、カバリングした上で、布帛上で等間隔で配列されるように整経で配列させたり、織機上で緯糸の打ち込みを行うことが好ましい。また、編物の場合、給糸する一部の糸を導電糸として編成することが好ましい。なかでも、地組織部と立毛部とからなるパイル織編物が極めて好ましい。地組織部に導電性繊維を間欠配列させ、かつ立毛部に導電性繊維が一部(好ましくは立毛部に混率で0.1〜3重量%)含まれるようにすると、立毛部に含まれる導電糸が人体と接触するため極めて優れた制電性が得られる。
【0024】
導電性繊維の配列される間隔としては、2〜50mm(より好ましくは3〜30mm)の範囲内であることが好ましい。該間隔が50mmよりも大きいと、優れた制電性が得られない恐れがある。逆に、該間隔が2mmよりも小さいと、柔軟な風合いが損なわれる恐れがある。
さらに、導電性繊維が含有される割合は、重量比で3%以下(より好ましくは0.1〜2.5%)であることが好ましい。
【0025】
本発明の制電性布帛は、上記の布帛に制電加工処理を施したものである。かかる制電加工処理としては、通常の制電剤を通常の後加工処理で布帛に付与するものでよい。
かかる制電剤としては、例えば、ポリエチレングリコールを親水性成分とし、これをアクリル系やポリエステルにグラフト重合した樹脂タイプの制電剤や、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)単位(基)と4級アンモニウム塩基などの制電性能を有する官能基を有し、かつ少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物からなる制電加工用ポリウレタン樹脂、特開平10−325076号公報に開示されたスルホン酸塩と4級アンモニウム塩とイミダゾリニウム塩とからなる制電剤などが例示される。なかでも、耐久性の点でポリエステル系制電剤が極めて好適である。特に、前記の有機繊維としてポリエステル繊維を選定した場合には優れた耐久性が得られる。
【0026】
布帛に制電剤を付与する方法としては特に限定されるものではなく、布帛の少なくとも片面に、パデング方式、乾式コーテイング方式、湿式コーテイング方式、ラミネート方式などにより樹脂皮膜を形成する方法や、染色と同浴で制電剤を付与する方法などがあげられる。
【0027】
例えば、まず制電剤を含む処理液を準備する。その際、処理液中の制電剤の濃度としては、0.1〜15wt%(より好ましくは1〜8wt%)の範囲が適当である。また、該処理液中には、必要に応じて触媒、仕上げ加工剤、例えば撥水剤、柔軟剤、難燃剤、抗菌防臭加工剤などを添加してもよい。次いで、80〜140℃の温度で1〜30分乾燥し、必要に応じてさらに160〜180℃で0.5〜3分間加熱(キュアー)すればよい。
【0028】
また、染色と同浴で制電剤を付与する場合は、例えば、有機繊維がポリエステル繊維であるときは通常の分散染料のほか、制電剤、均染剤、pH調製剤等を含んだ染料水溶液にて100〜135℃で20〜70分染色を行う。
【0029】
このようにして付与される制電剤の重量%は布帛に対して、1〜10重量%(より好ましくは2〜6重量%)であることが好ましい。該付着量が1重量%よりも小さいと充分な制電性が得られない恐れがある。逆に、該付着量が10重量%よりも大きいと、柔軟な風合いが損なわれる恐れがある。
【0030】
なお、制電剤を付与する布帛には、必要に応じて減量率5〜40%程度の通常の減量加工、さらには、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、シャーリング、さらには、紫外線遮蔽あるいは、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0031】
かくして得られた制電性布帛において、制電剤が、単糸繊維横断面に存在する凹部に保持されるため、布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた耐久制電性を呈する。かかる制電性としては、人体帯電圧試験法(試験環境条件:10℃、30%RH)で3000V以下(より好ましくは50〜2600V)であることが好ましい。また、平面摩耗試験を行った後において、試験環境のみを10℃、30%RHに変更したJIS L1094.5.2に規定された摩擦帯電圧試験法で3000V以下であることが好ましい。ただし、平面摩耗試験はJIS L 0894 学振試験機法にて、被試験布を20cm×3cmの大きさにカットし、9.8N(1.0kgf)の荷重をかけ、1万回回転させるものとする。
【0032】
次に、本発明のカーシート用表皮材は、前記の制電性布帛を含むものである。カーシート用表皮材は通常洗濯されることなく使用されるので、かかるカーシート用表皮材は、長期間にわたり優れた制電性を呈する。
【実施例】
【0033】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)人体耐電圧試験法
車両シート上に載置された布帛の上に、ウール製衣服を着用した人が着座後、腰を左右に動かし、シートと人体の摩擦運動を10回繰り返した後立ち上がり、立ち上がった際の人体耐電圧を測定(n数=3)するとともに人体への衝撃の有無をショック度大、有り、小、無し(最良)の4段階評価した(試験環境条件:10℃、30%RH)。
(2)摩耗試験
JIS L 0894 学振試験機法にて、被試験布を20cm×3cmの大きさにカットし、9.8N(1.0kgf)の荷重をかけ、1万回回転させた。
(3)摩擦耐電圧
JIS L 1094.5.2測定法において、試験環境条件のみを10℃、30%RHに変更し、摩擦耐電圧(V)をn数3で測定した。
(4)風合い(硬さ)
試験者3名により官能評価し、「良好」(ソフト性に優れる)、「普通」、「不良」(硬い)の3段階で評価した。
【0034】
[実施例1]
通常のトリコット経編機を用いて、バック筬(B)に、開口深度Sが30%以上となる凹部が存在する十字断面の総繊度84dtex/36filのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント、ミドル筬1(M1)に総繊度84dtex/36filの通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント、ミドル筬2(M2)に帝人デユポンナイロン社製導電糸25−3(製品名:セルカット、カーボンブラック含有繊維、表面電気抵抗値10EΩ/cm)、フロント筬(F)に総繊度165dtex/96filの通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを配し、図2に示す編成図にしたがって、B:1,2−1,0/M1:1,0−1,2/M2:(1,0−1,2)*7回リピート+(1,0−5,6)/F:1,0−5,6となるようにトリコットベロア生地を編成した後、通常の起毛加工を施し、その際、図1の破線個所(A−A´)を切断することにより立毛させた。
【0035】
次いで、該生地に常法の精錬、リラックス処理を施したのち、分散染料カヤロン・ポリエスター・スカーレットGS(日本化薬(株)製)3.5%owfとポリエステル系制電剤(日華化学工業製、ナイスポールPR−86)10%owfの濃度で、130℃の温度で60分間の時間で染色と制電加工とを同浴で行い制電性布帛(57コース/2.54cm,35ウエール/2.54cm)を得た。かかる布帛において、地組織部では導電性繊維が15mm間隔で経方向に間欠配列しており、かつ立毛部に導電性繊維が一部含まれていた。また、十字断面のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントは地組織部に含まれていた。
得られた制電性布帛において、摩耗試験前で人体耐電圧2200V、ショック度無し、摩耗試験後の摩擦耐電圧2600Vと極めて優れた制電耐久性を有していた。また、風合いも「良好」であった。
【0036】
[比較例1]
実施例1において、十字断面の総繊度84dtex/36filのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントのかわりに、通常の丸断面の総繊度84dtex/36filのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを使用すること以外は実施例1と同様にした。
得られた制電性布帛において、摩耗試験前で人体耐電圧2520V、ショック度無し、摩耗後で摩擦耐電圧3500Vと制電耐久性が不十分であった。なお、風合いは「良好」であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、布帛の柔軟な風合いを損なうことなく優れた制電耐久性を有する制電性布帛およびカーシート用表皮材布帛が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】開口深度Sの測定方法を説明するための単繊維(フィラメント)の横断面図である。
【図2】実施例1で用いた編成図である。
【符号の説明】
【0039】
L 凹部の開口部の長さ
H 凹部の最大深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊維横断面に凹部が存在する異型有機繊維を含み、かつ制電加工処理が施されていることを特徴とする制電性布帛。
【請求項2】
前記の凹部において、以下に定義する開口深度Sが30%以上である、請求項1に記載の制電性布帛。
(開口深度S)
単糸繊維横断面における凹部の開口部の長さL、凹部の最大深さHより下記式を用いて算出する。
S(%)=H/L×100
【請求項3】
前記の異型有機繊維において、単糸繊維横断面に凹部が3個以上存在する、請求項1または請求項2に記載の制電性布帛。
【請求項4】
前記の異型有機繊維がポリエステル繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項5】
布帛がパイル布帛であり、前記の異型有機繊維が地組織部および/またはパイル部に含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項6】
前記異型有機繊維以外の他の繊維として、導電性繊維が経方向および/または緯方向に間欠配列されている、請求項1〜5のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項7】
導電性繊維がカーボンブラックを含有する繊維である、請求項6に記載の制電性布帛。
【請求項8】
導電性繊維の間欠の間隔が2〜50mmの範囲内である、請求項6または請求項7に記載の制電性布帛。
【請求項9】
導電性繊維の混率が重量比で3%以下である、請求項6〜8のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項10】
制電加工処理により、ポリエステル系制電組成物が布帛重量に対して1〜10重量%付与されてなる、請求項1〜9のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項11】
人体帯電圧試験法で3000V以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の制電性布帛。
【請求項12】
平面摩耗試験を行った後において、試験環境のみを10℃、30%RHに変更したJIS L1094.5.2に規定された摩擦帯電圧試験法で3000V以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の制電性布帛。
ただし、平面摩耗試験はJIS L 0894 学振試験機法にて、被試験布を20cm×3cmの大きさにカットし、9.8N(1.0kgf)の荷重をかけ、1万回回転させるものとする。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の制電性布帛を含むカーシート用表皮材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−63691(P2007−63691A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249350(P2005−249350)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】