説明

制震パネル施工用の固定治具

【課題】制震パネルの施工において、制震パネルに備えられた粘弾性体がせん断変形して方形プレートが左右方向にズレてしまうのをしっかり阻止でき、しかも、制震パネルへの組付けが容易な、制震パネル施工用の固定治具を提供する。
【解決手段】左右の相対変位阻止部9,11と、該相対変位阻止部を連結する軸部12を備え、軸部12は、上端フリーの方形プレート5の上端部に支承される支承部12aと、方形プレート5,6間に差し込まれる差込み部12bを備え、これらを差込み支承状態にすると、軸部12の回転が差込み部12bと方形プレート5,6との係合で阻止し、自重で制震機構部4に保持されるようになっている。雄ネジ材15の回転で、前後の方形プレート5,6,5が左右の相対変位阻止部9,11で左右方向から締め付けられるようになっているとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制震パネル施工用の固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
制震パネルとして、図5に示すように、方形環状の鋼製フレーム1の上部側に鋼製の上剛体2が垂れ下がり状態に一体的に備えられると共に、同下部側に鋼製の下剛体3が立ち上がり状態に一体的に備えられ、方形環状フレーム1内において上下の剛体2,3が制震機構部としての制震デバイス4を介してジョイントされた構造のものがある。
【0003】
この制震パネル10において、上記の制震デバイス4は、図6に示すように、下剛体3の側に連結されて下方から立ち上がり、上端がフリーである前後2枚の方形プレート5,5と、上剛体2の側に連結されて上方から前記2枚の方形プレート5,5間に垂れ下がり、下端がフリーである1枚の方形プレート6とを備え、該方形プレート5,6,5間に粘弾性体7,7が接着状態に介設され、図7に示すように、水平震動で前記方形プレート5,5と6が左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体7,7がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされている。
【特許文献1】特開2006−152788号公報
【特許文献2】特開2000−240321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば上記のような制震パネルを用い、現場での建て込みの施工を行っていく過程で、周囲構造部との連結のためのボルトの本締めを行うと、寸法誤差や施工誤差などによって、制震デバイス4の粘弾性体7,7がせん断変形をして方形プレート5,6が左右方向に相対的にズレてしまうことがあることから、そのようなことが起こらないように固定をしておく必要があるが、そのような場合に用いる固定治具として、制震パネル4への組付けが容易なものは、未だ提供されていない。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、例えば上記のような制震パネルの施工において、制震パネルに備えられた粘弾性体がせん断変形して方形プレートが左右方向においてズレてしまうのをしっかりと阻止することができ、しかも、制震パネルへの組付けが容易な、制震パネル施工用の固定治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、下方から立ち上がり、上端フリーの方形プレートと、上方から垂れ下がり、下端フリーの方形プレートとが前後に配置され、該方形プレート間に粘弾性体が接着状態に介設され、水平震動で前記方形プレートが左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされた制震機構部が備えられた制震パネルの施工用の固定治具であって、
前記方形プレートの左右の側面部に当接してこれら方形プレートの左右方向の相対変位を阻止する左右の相対変位阻止部と、該左右の相対変位阻止部を連結する軸部とが備えられ、
前記軸部は、上端フリーの方形プレートの上端部に支承される支承部と、上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込まれる差込み部とを備え、
該軸部の差込み部を上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込み、支承部を上端フリーの方形プレートの上端部に支承させた状態にすることにより、軸部が正逆両方向に回転するのを差込み部が方形プレート間でこれら方形プレートと係合することで阻止するようになされて、自重により制震機構部に保持されるようになされていることを特徴とする制震パネル施工用の固定治具によって解決される(第1発明)。
【0007】
この固定治具では、軸部の差込み部を上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込み、軸部の支承部を上端フリーの方形プレートの上端部に支承させた状態にする組付け操作を行うだけで、軸部が正逆両方向に回転するのを差込み部が方形プレート間でこれら方形プレートと係合することにより阻止し、固定治具は、その自重によって制震機構部に保持されるので、制震機構部に対する固定治具の組付けを容易に行うことができる。
【0008】
そして、この保持状態において、左右の相対変位阻止部は、制震パネルの制震機構部に備えられた方形プレートの左右の側面部に存在し、該プレートに当接することで方形プレートの左右方向の相対変位を阻止するので、粘弾性体がせん断変形して方形プレートが左右方向においてズレてしまうのをしっかりと阻止することができる。
【0009】
第1発明において、前記左右の相対変位阻止部の一方が前記軸部に沿って移動可能であると共に、該一方の相対変位阻止部を挟んで、もう一方の相対変位阻止部とは反対の側において軸部にベース部が設けられ、
該ベース部に、前記一方の相対変位阻止部と係合する雄ネジ材が螺合状態に保持され、該雄ネジ材を回転することにより、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付けることができるようになされているとよい(第2発明)。
【0010】
この場合は、上記のような組付け保持状態において、雄ネジ材を回転し、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付け状態にすれば、固定治具をよりしっかりとした組付け保持状態にすることができる。
【0011】
しかも、固定治具は、組付け状態において、軸部が正逆両方向に回転するのを差込み部が方形プレート間でこれら方形プレートと係合することにより阻止するようになされているので、左右の相対変位阻止部による方形プレートの締付け力は、固定治具の不本意な上昇を阻止することができる程度のものでよく、従って、雄ネジ材の回転締め付けに大きな力を必要とせず、左右の相対変位阻止部による方形プレートの締付け作業を容易に行っていくことができる。
【0012】
加えて、固定治具は、このように、組付け状態において、軸部が正逆両方向に回転するのを差込み部が方形プレート間でこれら方形プレートと係合することにより阻止するようになされているので、締付け作業では、固定治具に手を添えなくても雄ネジ材の回転操作を行うことができて、その面からも、左右の相対変位阻止部による方形プレートの締付け作業を容易に行っていくことができる。
【0013】
また、上記の課題は、下方から立ち上がり、上端フリーの方形プレートと、上方から垂れ下がり、下端フリーの方形プレートとが前後に配置され、該方形プレート間に粘弾性体が接着状態に介設され、水平震動で前記方形プレートが左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされた制震機構部が備えられた制震パネルの施工用の固定治具であって、
前記方形プレートの左右の側面部に当接してこれら方形プレートの左右方向の相対変位を阻止する左右の相対変位阻止部と、該左右の相対変位阻止部を連結する軸部とが備えられ、
前記軸部は、上端フリーの方形プレートの上端部に支承される支承部と、上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込まれる差込み部とを備え、
前記左右の相対変位阻止部の一方は前記軸部に沿って移動可能であると共に、該一方の相対変位阻止部を挟んで、もう一方の相対変位阻止部とは反対の側において軸部にベース部が設けられ、
該ベース部に、前記一方の相対変位阻止部と係合する雄ネジ材が螺合状態に保持され、該雄ネジ材を回転することにより、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付けることができるようになされていることを特徴とする制震パネル施工用の固定治具によって解決される(第3発明)。
【0014】
この固定治具では、軸部の差込み部を上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込み、軸部の支承部を上端フリーの方形プレートの上端部に支承させた状態にし、雄ネジ材を回転し、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付け状態にすれば、固定治具をしっかりとした組付け保持状態にすることができる。
【0015】
しかも、固定治具は、組付け状態において、軸部の支承部が上端フリーの方形プレートの上端部に支承され、軸部の差込み部が方形プレート間に差し込まれているので、左右の相対変位阻止部による方形プレートの締付け力は、固定治具の不本意な上昇等を阻止することができる程度の小さいものであればよく、従って、雄ネジ材の回転操作に大きな力を必要とせず、左右の相対変位阻止部による前後の方形プレートの締付け作業を容易に行っていくことができる。
【0016】
そして、この保持状態において、左右の相対変位阻止部は、制震パネルの制震機構部に備えられた方形プレートの左右の側面部に存在し、該プレートに当接することで方形プレートの左右方向の相対変位を阻止するので、粘弾性体がせん断変形して方形プレートが左右方向においてズレてしまうのをしっかりと阻止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の制震パネル施工用の固定治具は、以上のとおりのものであるから、制震パネルの施工において、制震パネルに備えられた粘弾性体がせん断変形して方形プレートが左右方向においてズレてしまうのをしっかりと阻止することができ、しかも、制震パネルへの組付けが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図4に示す実施形態の固定治具8は、図5〜図7に示す制震パネル10の施工に用いられるもので、制震パネル10に備えられた制震機構部としての制震デバイス4の方形プレート5,6,5の左右の側面部に当接してこれら方形プレート5,6の左右方向の相対変位を阻止する左右の相対変位阻止部9,11と、該左右の相対変位阻止部9,11を連結する軸部12と、一方の相対変位阻止部11を挟んでもう一方の相対変位阻止部9とは反対の側において軸部12に設けられたベース部13とを備えたものからなっている。
【0020】
軸部12は、上端フリーの方形プレート5の上端部に支承される支承部12aと、上端フリーの方形プレート5の上端側から方形プレート5,6間に差し込まれる差込み部12bとを備えた横断面L字形のものからなっている。
【0021】
そして、左右の相対変位阻止部9,11とベース部13とは、軸部12に対して回転阻止状態に備えられており、図2(イ)〜(ハ)に示すように、軸部12の差込み部12bを上端フリーの方形プレート5の上端側から方形プレート5,6間に差し込み、支承部12aを上端フリーの方形プレート5の上端部に支承させた状態にすることにより、固定治具8は、図3(イ)(ロ)に示すように、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することで阻止するようになされて、自重により制震機構部4に保持されるようになされている。
【0022】
また、図1に示すように、ベース部13が設けられた側の相対変位阻止部11は、軸部12に沿って移動可能で、ベース部13には、軸部12との連結部を挟む両側にネジ孔14,14が設けられると共に、各ネジ孔14,14には雄ネジ材15,15が螺合され、図4(イ)に示すように、左右の相対変位阻止部9,11を制震デバイス4の方形プレート5,6,5の左右の側面部に存在させた状態で、図4(ロ)に示すように、雄ネジ材15,15を回転させ、相対変位阻止部11の側に螺進させると、該雄ネジ材15,15が相対変位阻止部11と係合し、該相対変位阻止部11がもう一方の相対変位阻止部9の側に押動されて、方形プレート5,6,5を左右の相対変位阻止部9,11で左右方向から締め付けることができるようになされている。
【0023】
上記の固定治具8は、現場に搬入した建て込み前の制震パネル10の制震デバイス4に対して、図2(イ)〜(ハ)、図4(イ)に示すように、軸部12の差込み部12bを上端フリーの方形プレート5の上端側から方形プレート5,6間に差し込み、支承部12aを上端フリーの方形プレート5の上端部に支承させた状態にした後、図4(ロ)に示すように、雄ネジ材15,15を回転させて相対変位阻止部11を相対変位阻止部9の側に変位させ、方形プレート5,6,5を左右の相対変位阻止部9,11で左右方向から締め付けた状態にすることで、制震パネル10の制震デバイス4に組み付けられる。
【0024】
上記の固定治具8によれば、軸部12の差込み部12bを上端フリーの方形プレート5の上端側から方形プレート5,6間に差し込み、軸部12の支承部12aを上端フリーの方形プレート5の上端部に支承させた状態にするだけで、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することで阻止し、固定治具8は自重により制震デバイス4に保持されるので、制震デバイス4に対する固定治具8の組付けを容易に行うことができる。
【0025】
特に、本実施形態では、上記のような組付け保持状態において、雄ネジ材15,15を回転し、制震デバイス4の方形プレート5,6,5を左右の相対変位阻止部9,11で左右方向から締め付け状態にすることで、固定治具8をよりしっかりとした組付け保持状態にすることができる。
【0026】
しかも、固定治具8は、そのような組付け状態において、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することにより阻止するようになされているので、左右の相対変位阻止部9,11による方形プレート5,6,5の締付け力は、固定治具8の不本意な上昇を阻止することができる程度のものでよく、従って、雄ネジ材15,15の回転締め付けに大きな力を必要とせず、左右の相対変位阻止部9,11による方形プレート5,6,5の締付け作業を容易に行っていくことができる。
【0027】
加えて、固定治具8は、このように、組付け状態において、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することにより阻止するようになされているので、締付け作業では、固定治具8に手を添えなくとも雄ネジ材15,15の回転操作を行うことができて、その面からも、左右の相対変位阻止部9,11による方形プレート5,6,5の締付け作業を容易に行っていくことができる。
【0028】
そして、このような保持状態において、左右の相対変位阻止部9,11は、制震パネル10の制震デバイス4に備えられた方形プレート5,6,5の左右の側面部に存在し、該プレート5,6,5の側面部に当接することで方形プレート5,6,5の左右方向の相対変位を阻止するので、粘弾性体7,7がせん断変形して方形プレート5,6,5が左右方向においてズレてしまうのをしっかりと阻止することができる。
【0029】
上記の制震パネル10の建て込み終了後の固定治具8の取外しは、雄ネジ材15,15を緩め、固定治具8を上昇させて軸部12の差込み部を方形プレート5,6間から抜出すればよく、雄ネジ材15,15を緩めることによって抜出前に固定治具8が制震デバイス4から脱落してしまうことがなく、固定治具8の取外しも容易に行うことができる。
【0030】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、左右の相対変位阻止部9,11とベース部13とが軸部12に対して回転阻止状態に設けられているが、左右の相対変位阻止部9,11とベース部13は、それらのうちの一部又は全部が軸部12に対して回転可能に設けられていてもよい。
【0031】
また、第1発明では、ベース部13や雄ネジ材15,15が省略され、固定治具8に沿って移動可能であった一方の相対変位阻止部11を移動不能に構成した構造の固定治具に構成されていてもよく、その場合に、固定治具は、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することで阻止するようになされて、その阻止作用のみで制震パネルの制震機構部に組み付けられる構造に構成されていてもよいし、ベース部13や雄ネジ材15,15などによる締め付け機構以外の固定機構が備えられたものであってもよい。
【0032】
また、上記の実施形態では、固定治具8は、軸部12が正逆両方向に回転するのを差込み部12bが方形プレート5,6間でこれら方形プレート5,6と係合することで阻止するようになされて、自重によって、制震デバイス4に保持されるようになされているが、第3発明では、差込み部12bと方形プレート5,6による回転阻止が行われない態様に構成されていてもよい。
【0033】
更に、上記の実施形態では、図5〜図7に示すような特定構造の制震デバイスが組み込まれた特定構造の制震パネルを対象とする固定治具に適用した場合を示したが、適用する制震機構部や制震パネルの構成に制限はなく、要は、下方から立ち上がり、上端フリーの方形プレートと、上方から垂れ下がり、下端フリーの方形プレートとが前後に配置され、該方形プレート間に粘弾性体が接着状態に介設され、水平震動で前記方形プレートが左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされた制震機構部が備えられた制震パネルであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ、実施形態の固定治具を示す斜視図である。
【図2】図(イ)〜図(ハ)は制震デバイスへの組付け方法の前半部分を順次に示す側面図である。
【図3】図(イ)及び図(ロ)は、軸部の差込み部が方形プレート間に差し込まれることによって形成される回転阻止状態を示す側面図である。
【図4】図(イ)及び図(ロ)は、制震デバイスへの組付け方法の後半部分を順次に示す正面図である。
【図5】実施形態の固定治具の組付け対象である制震パネルの正面図である。
【図6】同制震パネルにおける制震デバイス部分を拡大して示す正面図である。
【図7】図(イ)及び図(ロ)は同制震デバイスの作動状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
4…制震デバイス
5…上端フリーの方形プレート
6…下端フリーの方形プレート
7…粘弾性体
8…固定治具
9…相対変位阻止部
10…制震パネル
11…相対変位阻止部
12…軸部
12a…支承部
12b…差込み部
13…ベース部
15…雄ネジ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から立ち上がり、上端フリーの方形プレートと、上方から垂れ下がり、下端フリーの方形プレートとが前後に配置され、該方形プレート間に粘弾性体が接着状態に介設され、水平震動で前記方形プレートが左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされた制震機構部が備えられた制震パネルの施工用の固定治具であって、
前記方形プレートの左右の側面部に当接してこれら方形プレートの左右方向の相対変位を阻止する左右の相対変位阻止部と、該左右の相対変位阻止部を連結する軸部とが備えられ、
前記軸部は、上端フリーの方形プレートの上端部に支承される支承部と、上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込まれる差込み部とを備え、
該軸部の差込み部を上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込み、支承部を上端フリーの方形プレートの上端部に支承させた状態にすることにより、軸部が正逆両方向に回転するのを差込み部が方形プレート間でこれら方形プレートと係合することで阻止するようになされて、自重により制震機構部に保持されるようになされていることを特徴とする制震パネル施工用の固定治具。
【請求項2】
前記左右の相対変位阻止部の一方が前記軸部に沿って移動可能であると共に、該一方の相対変位阻止部を挟んで、もう一方の相対変位阻止部とは反対の側において軸部にベース部が設けられ、
該ベース部に、前記一方の相対変位阻止部と係合する雄ネジ材が螺合状態に保持され、該雄ネジ材を回転することにより、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付けることができるようになされている請求項1に記載の制震パネル施工用の固定治具。
【請求項3】
下方から立ち上がり、上端フリーの方形プレートと、上方から垂れ下がり、下端フリーの方形プレートとが前後に配置され、該方形プレート間に粘弾性体が接着状態に介設され、水平震動で前記方形プレートが左右方向に相対変位を行うことにより粘弾性体がせん断変形をしエネルギーを吸収して制震作用を行うようになされた制震機構部が備えられた制震パネルの施工用の固定治具であって、
前記方形プレートの左右の側面部に当接してこれら方形プレートの左右方向の相対変位を阻止する左右の相対変位阻止部と、該左右の相対変位阻止部を連結する軸部とが備えられ、
前記軸部は、上端フリーの方形プレートの上端部に支承される支承部と、上端フリーの方形プレートの上端側から方形プレート間に差し込まれる差込み部とを備え、
前記左右の相対変位阻止部の一方は前記軸部に沿って移動可能であると共に、該一方の相対変位阻止部を挟んで、もう一方の相対変位阻止部とは反対の側において軸部にベース部が設けられ、
該ベース部に、前記一方の相対変位阻止部と係合する雄ネジ材が螺合状態に保持され、該雄ネジ材を回転することにより、前後の方形プレートを左右の相対変位阻止部で左右方向から締め付けることができるようになされていることを特徴とする制震パネル施工用の固定治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−41344(P2009−41344A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210367(P2007−210367)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(596066530)宇都宮工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】