説明

券処理ユニット

【課題】的中していない券類を排出部を介して顧客に返却する返却部を有する券処理ユニットにおいて、複数枚の券を処理する場合に、顧客が返却部に搬送された的中していない券を1枚ずつ逐次抜き取る必要を無くして、顧客が装置の前にいる時間を短縮する。
【解決手段】排出部12に、券類を返却部13に搬送するアシストローラに券類の両側端が載るようにしエスケープローラを当接するように対向配置すると共に、このエスケープローラの中間に位置するようにソレノイド等の駆動装置によって駆動される叩き落しローラを配置して、的中してない券が搬送されると、このエスケープローラを支点を介して回動させる同時に叩き落しローラを駆動して、排出ステージ上に券類を集積可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競馬、競輪、競艇、オートレース等の公営競技で使用される投票券等の券類発売機の券処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
券処理ユニットは、的中投票券の払い戻しをする装置に実装されており、投票券の表面には投票レース番号、投票内容等の情報が印字されている。以下の説明は、競輪場で用いる投票券で説明する。
【0003】
101は、券処理ユニット、102は、投票券114を複数枚同時に挿入することができる投票券挿入部であり、投票券114が券処理ユニット1内で処理されているときに次の投票券114が投票券挿入部102に挿入できないようにする挿入シャッター103が設けてある。
【0004】
104は、挿入された1枚もしくは複数枚の投票券114を搬送し、一時的に保留する一時保留部、105は、この一時保留部104に複数枚搬送された投票券114を1枚ずつに分離する分離部、106は、1枚ずつ分離された投票券114が的中しているかを判定する投票券判定部である。
【0005】
107は、投票券挿入部102から挿入された投票券114を搬送する搬送部、108は、的中した投票券114に的中したことが分かるように穴をあけるパンチ部、109は、的中した投票券114を収納するスタッカ部、110は、投票券判定部106で的中していないと判断した投票券114を返却する返却搬送部111に切り替える切替機構部、112は、的中していない投票券114を排出する排出部、113は、的中していない投票券114を返却する返却部である。
【0006】
なお、前記搬送路107と返却搬送部111は、搬送路107と返却搬送部111に沿って配設された複数の複数の搬送ローラや搬送ベルト等からなる搬送装置を有する。この搬送装置は、搬送用モータを備え、この搬送用モータの駆動力をベルト、プーリ、歯車等からなる動力伝達機構を介して前記搬送ローラや搬送ベルトに伝達して回転させる。これにより、投票券114は、相対向する搬送ローラや搬送ベルトに挟まれた状態で搬送路107と返却搬送部111に沿って搬送される。
【0007】
つぎに、このような構成の券処理ユニットの動作を説明する。
【0008】
顧客が複数枚の投票券114を投票系挿入部102に挿入する。図示しない制御部が投票券114の挿入を検知し、挿入シャッター103をあけ、一時保留部104まで投票券114を搬送する。一時保留部104に搬送された投票券114は、分離部105で1枚ずつ分離され、投票券判定部106に搬送される。
投票券114が的中している場合の投票券114は、搬送路107によりパンチ部108に搬送されて所定の位置に孔をあけてスタッカ部109に収納される。
【0009】
投票券114が的中していない場合には、搬送路107によりパンチ部108に搬送され、パンチ部108で停止し、返却搬送部111に搬送されるように切替機構部110を切り替える。切替機構部110が切り替わると投票券114は搬送路107により切替機構部110側に搬送され、返却搬送部111に搬送される。このとき、的中していない投票券114にはパンチ部108で孔はあけられていない。
【0010】
その後、的中していない投票券114は排出部112に搬送され、返却部113から顧客に返却される。
【0011】
また、複数枚挿入された投票券114の中で、的中していない投票券114が複数枚あった場合は、前の的中していない投票券114が返却部113に搬送され、その投票券114を顧客が抜き取るまでは次の的中していない投票券114はパンチ部108で停止したままである。パンチ部108に停止している的中していない投票券114は、前記制御部で返却部113の帳票券114を抜き取られたことを検知した後、排出部112と返却部113まで搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−24869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した従来の技術においては、返却部に搬送された的中していない投票券1枚を抜き取るまで次の的中していない投票券が返却されないために、顧客が装置の前にいる時間が長くなるという問題がある。
【0014】
また、的中していない投票券を複数枚一括返却する場合は、複数枚一括集積機構、複数枚一括搬送機構が必要となるという問題があり、ひいては装置の複雑化により、装置の信頼性が低下するという問題となる。
【0015】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのため、本発明は、券類挿入部から挿入された券類を券類判定部で的中しているか否かを判定し、的中したと判断した券類を収納するスタッカ部を有し、的中していないと判断した券類を排出部を介して顧客に返却する返却部を有する券処理ユニットにおいて、前記排出部に、搬送路の延長上となるように、券類を返却部に搬送するアシストローラに当接するエスケープローラを投票券の幅にあった間隔をあけて対向して設けて券類の両側端がエスケープローラ上にそれぞれ載るように配置し、このエスケープローラは、支点を介して回転可能に設けたエスケープブラケットの一側に取り付けられ、このエスケープブラケットの他側にはエスケープスプリングを引張状態で設けてエスケープローラをアシストローラに押圧させ、このエスケープローラの中間に位置するようにソレノイド等の駆動装置によって駆動される叩き落しローラを配置してエスケープローラ上の券類を叩き落して排出ステージ上に集積可能とし、アシストローラとエスケープローラで挟まれている券類と排出ステージ上に集積された券類を返却部からそれらを同時にもしくはそれらを別々に抜き取ることを可能とした。
【発明の効果】
【0017】
このようにした本発明は、ソレノイドで駆動される叩き落しローラ、エスケープローラ、排出ステージを設けたことにより、顧客が的中していない投票券を返却口から抜き取らなくても複数枚集積でき、顧客の抜き取りのタイミングを待たずに装置の投票券の処理を進めることができることになり、装置の稼働効率が高まることになる。
また、集積部周辺の機構が複数枚集積してから複数枚を排出するようにする複雑な機構を必要としないですむ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例を示す説明図
【図2】排出部の側面説明図
【図3】排出部の背面説明図
【図4】排出部の作動状態を示す説明図
【図5】排出部の作動状態を示す説明図
【図6】排出部の作動状態を示す説明図
【図7】排出部の作動状態を示す説明図
【図8】排出部の作動状態を示す説明図
【図9】排出部の作動状態を示す説明図
【図10】従来技術の説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0020】
図1は実施例を示す説明図である。
【0021】
券処理ユニットは、競馬や競輪等において投票券の的中投票券の払い戻しをする装置に実装されており、投票券の表面には投票レース番号、投票内容等の情報が印字されている。以下の説明は、競輪場で用いる場合で説明する。
【0022】
1は、券処理ユニットである。2は、投票券14を複数枚同時に挿入することができる投票券挿入部であり、投票券14が券処理ユニット1内で処理されているときに次の投票券14が投票券挿入部2に挿入できないようにする挿入シャッター3が設けてある。
【0023】
4は、挿入された1枚もしくは複数枚の投票券14を搬送し、一時的に保留する一時保留部、5は、この一時保留部4に複数枚搬送された投票券14を1枚ずつに分離する分離部、6は、1枚ずつ分離された投票券14が的中しているかを判定する投票券判定部である。
【0024】
7は、投票券挿入部2から挿入された投票券14を搬送する搬送路、8は、的中した投票券14に的中したことが分かるように穴をあけるパンチ部、9は、的中した投票券14を収納するスタッカ部、10は、投票券判定部6で的中していないと判断した投票券14を返却する返却搬送部11に切り替える切替機構部、12は、的中していない投票券14を排出する排出部、13は、的中していない投票券14を返却する返却部である。
【0025】
なお、前記搬送路7と返却搬送部11は、搬送路7と返却搬送部11に沿って配設された複数の複数の搬送ローラや搬送ベルト等からなる搬送装置を有する。この搬送装置は、搬送用モータを備え、この搬送用モータの駆動力をベルト、プーリ、歯車等からなる動力伝達機構を介して前記搬送ローラや搬送ベルトに伝達して回転させる。これにより、投票券14は、相対向する搬送ローラや搬送ベルトに挟まれた状態で搬送路7と返却搬送部11に沿って搬送される。
【0026】
上記排出部12は図2、図3に示す構造となっている。
【0027】
図において、20は、券処理ユニット1が実装されている装置の筐体、21は、投票券14を搬送する排出ローラ、22は、投票券14を返却部13に搬送するアシストローラ、23は、このアシストローラ22に当接するエスケープローラであり、投票券14の幅にあった位置に間隔をあけて向かい合わせに対向して一対に配置される。つまり、投票券14の両側端がエスケープローラ22上にそれぞれ載るように配置される。
【0028】
24は、このエスケープローラ23を保持するエスケープブラケットであり、支点31を介して回転可能に設けてある。25は、エスケープローラ23をエスケープブラケット24を介してアシストローラ22に押圧するように引張状態で設けたエスケープスプリングであり、エスケープブラケット24の支点31を介してエスケープローラ22の反対側に係止してある。
【0029】
26は、投票券14を集積する排出ステージ、27は、この排出ステージ26を前記エスケープローラ23の押圧する排出ステージスプリングである。
【0030】
28は、投票券14を排出ステージ26に集積させる叩き落しローラであり、前記対向配置されたエスケープローラ23の中間に位置するように配置される。29は、この叩き落しローラ28を稼働させる支点を有する叩き落しレバー、30は、この叩き落しレバー29を駆動するソレノイドである。なお、このソレノイド30と叩き落しレバー29とはリンク等で接続されている。
【0031】
以上の構成による券処理ユニット1の動作を以下に説明する。
顧客が複数枚の投票券14を投票券挿入部2に挿入すると、図示しない制御部が投票券14の挿入を検知し、挿入シャッター3をあけ、一時保留部4まで投票券14を搬送する。一時保留部4に搬送された投票券14は、分離部5で1枚ずつ分離され、投票券判定部6に搬送される。
【0032】
そこで投票券14が的中している場合の投票券14は、搬送路7によりパンチ部8に搬送されて所定の位置に孔をあけてスタッカ部9に収納される。
【0033】
投票券14が的中していない場合には、搬送路7によりパンチ部8に搬送されてそこで停止し、返却搬送部11に搬送されるように切替機構部10を切り替える。切替機構部10が切り替わると投票券14は搬送路7により切替機構部10側に搬送され、返却搬送部11に搬送される。このとき、的中していない投票券14にはパンチ部8で孔はあけられていない。
【0034】
その後、的中していない投票券14は排出部12に搬送される。排出部12では、図2に示す如く、投票券14は排出ローラ21により搬送され、アシストローラ22とエスケープローラ23により的中していない投票券14の搬送方向の後端が排出ローラ21から離れた所定の位置で停止する。
【0035】
叩き落しローラ28は的中していない投票券14の搬送の妨げにならない形状であって、搬送の妨げにならない位置に配置されている。
的中していない投票券14が所定の位置に停止後、ソレノイド30を駆動して叩き落しレバー29を稼働し、叩き落しローラ28が的中していない投票券14に接触させる(図3)。
【0036】
その後、図4に示す如く、叩き落しローラ28はさらに的中していない投票券14を押し、的中していない投票券14の剛性でエスケープブラケット24をエスケープスプリング25の引っ張り力に対抗して回動させる。
【0037】
叩き落しローラ28は的中していない投票券14をさらに押圧し、的中していない投票券14は排出ステージ26に接触し、排出ステージスプリング27を押し下げていくことになる。
【0038】
最終的に図5、図6に示す如く、エスケープブラケット24がさらに回転し、的中していない投票券14が撓みながらエスケープローラ23から離れる位置まで叩き落しローラ28は移動して的中していない投票券14の両側がエスケープローラ23から外れて排出ステージ26に落とされて集積される。
【0039】
このようにして投票券14が排出ステージ26上に落とされて的中していない投票券14がエスケープローラ23から離れるとエスケープブラケット24はエスケープスプリング25により元の状態(実施例の図においては水平状態)に戻る。
【0040】
エスケープブラケット24が元の状態に戻されたことを図示しないセンサが検知すると、ソレノイド30の駆動を止め、図示しないリセットスプリングにより、叩き落しローラ28は図3の位置まで戻り、図7、図8の状態になる。これにより、顧客は、的中していない投票券14を返却部13から抜き取ることができる。
【0041】
次の的中していない投票券14がない場合は、この状態で的中していない投票券14の抜き取り待ちとなる。
【0042】
つぎに、さらに的中していない投票券14がある場合、図8の状態から次の的中していない投票券14を排出部12に搬送し、図9に示す状態となる。このとき、顧客が前記で抜き取らないで重なっている的中していない投票券14を2枚抜き取っても問題はない。
【0043】
さらに、3枚目の的中していない投票券14がある場合、2枚目の的中していない投票券14を前記の如く動作させて1枚目の的中していない投票券14の上に集積させる。3枚目の的中していない投票券14の排出部12の処理は、前記した2枚目の的中していない投票券14と同様である。
【0044】
以上の実施例によると、ソレノイドで駆動される叩き落しローラ、エスケープローラ、排出ステージを設けたことにより、顧客が的中していない投票券を返却口から抜き取らなくても複数枚集積でき、顧客の抜き取りのタイミングを待たずに装置の投票券の処理を進めることができることになり、装置の稼働効率が高まることになる。また、集積部周辺の機構が複数枚集積してから複数枚を排出するようにする複雑な機構を必要としないですむことになる。
【0045】
なお、以上の説明は、競輪場における投票券で説明したが、そのような投票券に限るものではなく、たとえば交通機関として、航空、電車もしくはバスの乗車券、イベントの入場券や前売券等の券類を取り扱う発券機や読取機にも適用することができるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 券処理ユニット
2 投票券挿入部
3 挿入シャッター
4 一時保留部
5 分離部
6 投票券判定部
7 搬送路
8 パンチ部
9 スタッカ部
10 切替機構部
11 返却搬送部
12 排出部
13 返却部
14 投票券
20 装置の筐体
21 排出ローラ
22 アシストローラ
23 エスケープローラ
24 エスケープブラケット
25 エスケープスプリング
26 排出ステージ
27 排出ステージスプリング
28 叩き落しローラ
29 叩き落しレバー
30 ソレノイド
31 支点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
券類挿入部から挿入された券類を券類判定部で的中しているか否かを判定し、的中したと判断した券類を収納するスタッカ部を有し、的中していないと判断した券類を排出部を介して顧客に返却する返却部を有する券処理ユニットにおいて、
前記排出部に、券類を返却部に搬送するアシストローラに当接するエスケープローラを投票券の幅にあった間隔をあけて対向配置して券類の両側端がエスケープローラ上にそれぞれ載るようにし、このエスケープローラは、支点を介して回転可能に設けたエスケープブラケットの一側に取り付けられ、このエスケープブラケットの他側にはエスケープスプリングを引張状態で設けてエスケープローラをアシストローラに押圧させ、このエスケープローラの中間に位置するようにソレノイド等の駆動装置によって駆動される叩き落しローラを配置して排出ステージ上に券類を集積可能としたことを特徴とする券処理ユニット。
【請求項2】
請求項1において、アシストローラに当接するエスケープローラを排出ステージ上に配置してアシストローラとエスケープローラで挟まれた券類を返却部から抜き取り可能にしたことを特徴とする券処理ユニット。
【請求項3】
請求項2において、排出ステージ上の券類とアシストローラとエスケープローラで挟まれた券類とを返却部から抜き取り可能にしたことを特徴とする券処理ユニット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−211641(P2010−211641A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58733(P2009−58733)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】