説明

券媒体及び券媒体処理装置

【課題】 形状的に区別がつかないコイン状の非接触式ICトークン等を券媒体として使用したときに、一目で容易に券種が見分けられる券媒体を提供する。また、この券媒体の処理装置を提供する。
【解決手段】 非接触式ICトークン1のコイン状のトークン本体2の外表面に、変色温度特性がヒステリシス特性を示す感温変色インクで形成した変色部3を形成し、加熱処理により変色部3が変色し、冷却処理により変色部3が元の色に戻る構成の券媒体とした。また、券媒体の変色部3を変色処理するためのホットスタンプ処理部を備える券媒体処理装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車券や入場券等の種々の券類に使用可能な券媒体及びこの券媒体を処理する券媒体処理装置に関し、特に、券の種類や金銭的価値情報等が外部から一目で容易に確認できるようにした券媒体及びこの券媒体を処理するための券媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道交通等において、近年、利用者の利便性を高めるために、非接触式ICカードを利用して非接触で自動改札が行える非接触式自動改札システムが実用化されている。ところで、非接触式ICカードは、磁気券に比べて製造コストが高く、一日乗車券や回数券等の比較的短期間で使用される短期使用券に用いるには、運用コストがかさんで現実的でない。そこで、非接触式短期使用券等に好適な券媒体として本出願人によりコイン状の非接触式ICトークン(以下、ICトークンとする)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ICトークンは、コイン状のトークン本体にアンテナとICを組込んだ、非接触式ICカードと同様の無線通信機能を備えるもので、トークン処理機(非接触式の自動改札機や自動精算機等)からの電力波をアンテナで受信して動作し、トークン処理機との間で無線により非接触でデータを交信できる。
【特許文献1】特開2003−141579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のICトークンは、券種(例えば大人券、子供券、乗車券、特急券)等の情報はIC内に記録できるが外見は同じ色にしているため、発行した後は外見上見分けがつかず、例えば大人が子供券を購入し決済するような不正を見つけることが難しいという問題がある。
【0005】
このようなICトークン等、券の種類や金銭的価値情報等が外見上見分けが難しい券媒体における上記のような不正問題を解消するために、例えば食堂等で注文品に応じてプラスチック製の食券を色分けしているように、券種に応じて色の異なる券媒体を予め用意して発行することが考えられるが、この場合、発行機内に予め色別に分別して券媒体を収納しなければならず手間がかかる。また、券媒体をリサイクル使用する場合には、分別回収したり、或いは、回収後に分別作業したりする必要がある。
【0006】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、券の種類や金銭的価値情報等が外部から一目で容易に確認でき、しかも、リサイクル使用する場合等において分別作業の必要がない券媒体を提供することを目的とする。また、この券媒体を処理するための券媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、請求項1の発明の券媒体は、外表面の少なくとも一部が、変色処理によって可逆的に変色可能な構成とした。
かかる構成では、券媒体に対して変色処理すると、券媒体の外表面の少なくとも一部が変色するようになる。これにより、券種や金銭的価値情報等によって券媒体を色分けできるようになる。また、変色後に変色処理で可逆的に元の色に戻すことができる。
【0008】
本発明の券媒体は、請求項2のように、変色処理によって可逆的に変色可能な変色材料を含有した成形材で、少なくとも一部を形成する構成としてもよく、請求項3のように、外表面の少なくとも一部に、変色処理によって可逆的に変色可能な変色材料で形成した変色部を設けて構成してもよい。
【0009】
請求項4のように、前記変色材料は、温度に応じて可逆的に変色する感温材料とするとよい。
請求項5のように、外表面に、互いに変色温度特性が異なる前記感温材料を用いて複数の変色領域を形成する構成とするとよい。
請求項6のように、前記感温材料を、感温変色インクとするとよい。
【0010】
券媒体は、請求項7のように、データを記録可能な記録媒体の機能を備える構成とするとよい。この場合、例えば、請求項8のように、コイン状の非接触式ICトークンとするとよい。
【0011】
請求項9の発明の券媒体処理装置は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の券媒体を変色処理する変色処理部を備える構成とした。
請求項9の券媒体処理装置において、請求項10のように、利用者が券種の選択操作を行う券種選択部と、選択された券種データを前記券媒体に記録するデータ記録部と、選択された券種の料金精算処理を行う精算処理部と、料金精算完了後、券種データの記録された前記券媒体を当該券種データに応じた色に変色処理する前記変色処理部と、変色処理した券媒体を発行する券媒体発行部と、を備えて構成するとよい。
【0012】
かかる構成では、利用者が券種選択部で券種の選択操作を行うと、データ記録部が選択された券種データを券媒体に記録する。精算処理部は、選択された券種データの精算処理を実行し、選択された券種データの金額相当の金銭が投入されると精算完了とする。料金の精算が完了すると、変色処理は、券種データの記録された券媒体を券種データに応じた色に変色処理し、券媒体発行部が変色処理した券媒体を発行する。
【0013】
請求項10の構成において、請求項11のように、前記変色処理部は、前記データ記録部によりデータ記録する以前の券媒体に記録されている前回券種データを読取り、前回券種データが、今回選択された券種と同一のときは変色処理を行わず、今回選択された券種と異なるときは今回の券種データに応じた色に変色処理する構成とするとよい。また、請求項11のように、収納された券媒体を同色に変色処理して券媒体の発行に備える構成としてもよい。
【0014】
また、請求項9の発明の券媒体処理装置において、請求項13のように、券媒体挿入部と、挿入された券媒体に記録されているデータを読取るデータ読取り部と、該データ読取り部が読取った金銭的価値データの残量値に応じた色に券媒体を変色処理する前記変色処理部と、を備えて構成するとよい。
かかる構成では、券媒体挿入部に券媒体が挿入されと、データ読取り部は挿入された券媒体の記録データを読取る。変色処理部は読取った金銭的価値データの残量値に応じた色に券媒体を変色処理する。
請求項14のように、前記変色処理部が、券媒体にスタンプ処理する構成とするとよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の券媒体によれば、券媒体の券種や金銭的価値情報等を変色部の色によって見分けることが可能となる。従って、外見上見分けのつかない券媒体の不正使用を抑制できる。また、リサイクルする場合に、券媒体の変色部を変色処理によって一括して容易に元の色に戻せるので、券媒体を色別に分別回収したり回収後に分別作業したりする必要がなく、券媒体の回収の手間を従来の券媒体と比較して格段に簡素化できる。
また、券媒体の一部分を変色処理するようにすれば、正規の変色処理と同じように変色させることは難しく、利用者が故意に変色処理するような不正の抑制効果をより一層高めることができる。
【0016】
本発明の券媒体処理装置によれば、本発明の券媒体の少なくとも一部を券種や金銭的価値情報に応じた色に変色処理して発行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る券媒体の第1実施形態の平面図を示し、図2は側面図を示し、図3は、本実施形態の内部電気回路の構成図を示す。
図において、本実施形態の券媒体として例えば非接触式ICトークン(以下、ICトークンとする)1は、券媒体本体としてのコイン状のトークン本体2の外表面の表裏両面に、後述する本発明の券媒体処理装置の変色処理によって可逆的に変色可能な変色部材で形成された例えば円形状の変色部3を備える。
【0018】
前記トークン本体2は、例えば樹脂によりコイン状に加工成形され、内部に電気回路部4を備え、非接触式ICカードと同様に無線により外部と非接触で情報を交信できるものである。前記電気回路部4は、図3に示すようにアンテナ11とICチップ12とを備える。前記ICチップ12は、アンテナ11に接続する通信制御部13と、I/Oユニット14と、I/Oユニット14を介して無線通信部13と接続するCPU15と、ICトークン1の券種情報或いは金銭的価値情報等のトークンデータを記憶するメモリ16と、アンテナ11を介して外部から受信した電力波によりトークン本体2の駆動電力を生成する電力生成回路17とを備える。従って、本実施形態のICトークン1は、データの記録が可能な記録媒体としての機能を備える。
【0019】
前記変色部3は、前記変色部材として例えば温度に応じて可逆的に変色する感温部材である例えば感温変色インクを、トークン本体2表面に薄いフィルム状に例えば印刷して形成する。前記感温変色インクは、例えば特開2001−172535号公報等に記載された従来公知のもので、熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセルをバインダー樹脂を含む水性媒体中に分散させたものである。そして、本実施形態で使用する感温変色インクは、変色温度特性として、図4に示すように温度を上昇させていった時の変色点温度t2と、温度を降下させていった時の変色点温度t1(t1<t2)とが異なるヒステリシス特性を示し、t1以下の温度域の第1の色とt2以上の温度域の第2の色がt1〜t2の間で維持される。
【0020】
次に、本実施形態のICトークン1の使用例について説明する。
本実施形態のICトークン1を、例えば有料施設の入場券に利用し、券種(例えば大人券と子供券)によって発行時に色分けするようにする。例えば、ICトークン1の変色部3を第1の色にして券売機にICトークン1を収納しておく。この状態で、利用者が券売機で大人券を購入したときは、ICトークン1のIC12に大人券であることを示すデータを記録し、券売機に備えた変色処理部で、変色部3を図4のt2以上の温度に加熱する変色処理をして変色部3を第2の色に変色させて発行する。また、利用者が子供券を購入したときは、ICトークン1のIC12に子供券であることを示すデータを記録し、変色処理部による変色処理を行わず変色部3が第1の色のICトークン1をそのまま発行する。
【0021】
このように券種によりICトークン1を色分けすれば、発行後もICトークン1が大人券か子供券かを外見から一目で容易に判断できるようになる。従って、従来、外見では見分けがつかないコイン状のICトークン1を券媒体として利用しても、例えば大人が子供券を購入し入場するような不正を抑制できるようになる。
【0022】
また、ICトークン1をリサイクル使用する場合、大人券や子供券として発行した変色部3の色が異なるICトークン1を混在して回収した後、発券前に、図4のt1以下の温度に冷却する変色処理をして、全てのICトークン1の変色部3を第1の色に統一すればよい。従って、発行したICトークン1を回収する際に、色別に分別回収したり回収後に色別に分別したりする必要がなく、ICトークン1の回収の手間を従来に比較して格段に簡素化できる。
【0023】
また、変色部3の変色処理として、変色部3の一部分、例えば図1に斜線で示す変色部3の中央領域だけを変色処理するようにすれば、利用者が故意に加熱して変色部3を変色させて券種を偽るような不正をしようとしても、変色部3の中央領域だけを正規の変色処理と同じように変色させることは難しく、斜線領域の周囲も変色してしまうので、上記のような不正を防止できる。特に、変色部3の変色処理として、図1の斜線領域に、例えば大人券であれば「大」、子供券であれば「小」の文字等を刻印するホットスタンプ処理を採用すれば、より一層上述の不正の防止効果を高めることができる。
【0024】
また、変色部3を感温変色インクで形成すれば、単純な加熱・冷却処理により可逆的に変色でき、変色に際して複雑な温度制御が不要で変色処理が容易である。
【0025】
図5に、本発明の券媒体の第2実施形態を示し説明する。
図5において、本実施形態の券媒体としてのICトークン20は、トークン本体21の外表面の表裏両面に、変色温度特性が異なる感温変色インクで形成した複数、例えば2つの変色部22,23を形成して構成する。尚、トークン本体21は、上述したトークン本体2と同様の構成とする。
【0026】
そして、前記変色部22は、図4に示す変色温度特性を有する第1実施形態と同じ感温変色インクで形成し、変色部23は、変色部22の第1の色と第2の色とはそれぞれ異なる色の第3の色と第4の色に可逆的に変色し図6に示すように変色点温度がt3、t4(t1<t3<t2<t4)の変色温度特性を有する感温変色インクで形成する。
【0027】
本実施形態のICトークン20では、例えば、ICトークン20の変色部22を第1の色、変色部23を第3の色にして券売機にICトークン20を収納しておく。この状態から、t2〜t4の範囲内の温度まで加熱する変色処理をすれば変色部22が第2の色、変色部23が第3の色の組み合わせとなり、t4以上の温度まで加熱する変色処理をすれば変色部22が第2の色、変色部23が第4の色の組み合わせとなり、3種類の色分けが可能となる。即ち、3種類の券種を色分けして発行することが可能となる。尚、t2〜t4の範囲内の温度まで加熱する変色処理をしたものはt1以下の温度までは変色後の状態が維持され、t4以上の温度まで加熱する変色処理をしたものはt3以下の温度までは変色後の状態が維持され、t1以下になると収納時の色状態に復帰する。
【0028】
かかる第2実施形態の構成によれば、色の組み合わせが増えるので、色分けできる券種の種類を増やすことができる。尚、トークン本体21に形成する、変色温度特性及び変色する色が互いに異なる変色部の数は、2つに限るものではなく、数を多くすることで色分けできる券種を増やすことができることは言うまでもない。
【0029】
上記各実施形態では、券媒体(券媒体本体)としてコイン状の非接触式ICトークンの例を説明したが、券媒体(券媒体本体)は、カード状、タグ状等どのような形状のものでもよい。券媒体本体も、IC内蔵のものに限らずデータを磁気記録するものでもよく、データの記録機能がないものでもよい。
【0030】
また、変色部は、感温変色インクに限らず、例えばコレステリック液晶やロイコ染料を用いて形成してもよく、これらを用いる場合は、これらの各変色原理に応じた変色処理を行うことは言うまでもない。また、変色部は、券媒体の表裏面のいずれか一方だけに設けてもよく、また、必ずしも表裏面の全面に設ける必要はない。
【0031】
また、上記各実施形態では、券媒体本体外表面に変色処理によって可逆的に変色可能な変色材料により変色部を形成する構成としたが、券媒体本体或いはその一部を、前記変色材料を含有した成形材で形成し、券媒体本体自体が可逆的に変色する構成としてもよい。
【0032】
上記実施形態では、本発明に係る券媒体を入場券に適用した例について説明したが、例えばテレホンカードや電子マネー機能を備えたカード等にも適用できる。
例えば、テレホンカードの場合は、図7に示すようにカード30の表面に残量度数の表示部として変色部31を設け、残量度数に対応する位置を、現状の穿孔に代えて例えば図の斜線で示すように円形状に変色処理して変色させるようにする。これにより、現状と同様、カードの残量度数を知ることができる。かかるテレホンカードでは、使用済みのテレホンカードの変色部を変色処理すれば、使用前の状態に戻すことができるので、テレホンカードのリサイクルが可能になる。また、電子マネー機能を備えたカードの場合は、図8のように、カード40の適所、例えば隅等に残金表示部として変色部41を設け、例えば残金が所定値以下になると変色部を変色処理して知らせるようにする。これにより、現在の残金の状態をいつでも把握できるようになる。
このように、本発明の券媒体によれば、券媒体に記録されている残量度数や残金等の金銭的価値情報を外部から目視で確認できるようにすることが可能となる。
【0033】
次に、上述した本発明の券媒体を処理するための本発明に係る券媒体処理装置について説明する。
図9は、本発明の券媒体処理装置の第1実施形態を示す構成図であり、券売機に適用した例である。
図9において、本実施形態の券売機100は、利用者の購入要求に応じた券種のICトークンを発行するもので、タッチパネル入力部101と、金銭処理ユニット102と、ホッパー部103と、ICデータ処理部104と、ホットスタンプ処理部105と、トークン発行処理部106と、料金表示部107と、リサイクル処理部108と、中央処理部109と、を含んで構成されている。
【0034】
前記タッチパネル入力部101は、利用者が券種の選択操作を行うもので、券種選択部に相当する。
前記金銭処理ユニット102は、購入券の料金精算時に投入された紙幣や硬貨を受け付けて計数処理し、釣銭があれば釣銭を返却するものである。
前記ホッパー部103は、発行前の券媒体であるICトークンを収納しておくものである。
【0035】
前記ICデータ処理部104は、発行するICトークンに内蔵されたICに券種データを無線により非接触で記録するもので、データ記録部に相当する。
前記ホットスタンプ処理部105は、発行するICトークンの変色部を券種に応じた色に変色処理するもので、変色処理部に相当する。
前記トークン発行処理部106は、発行するICトークンを発行口まで搬送処理するものであり、券媒体発行部に相当する。
前記料金表示部107は、料金精算時に購入された券種の料金を表示するものである。
【0036】
前記リサイクル処理部108は、回収されたICトークンをホッパー部13に収納したときに、ICトークンの変色部を所定温度以下(例えば、変色部が図4の変色温度特性を有する温感材料で形成されている場合は、t1以下の温度)まで冷却処理して全てのICトークンの変色部を同色に変色処理するものである。
前記中央処理部109は、タッチパネル入力部101からの入力情報に基づいて、金銭処理ユニット102、ホッパー部103、ICデータ処理部104、ホットスタンプ処理部105、トークン発行処理部106及び料金表示部107の各動作を統括的に制御すると共に、トークンがホッパー部103に収納されたときにリサイクル処理部108の動作を制御するもので、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。
【0037】
次に、図10のフローチャートを参照して第1実施形態の券売機100の券発行動作を説明する。
ステップ1(図中、S1で示し、以下同様とする)では、タッチパネル入力部101が操作されるまで待機し、利用者がタッチパネル入力部101で券種の選択操作を行うと、その選択情報の入力により判定がYESとなり、ステップ2に進む。
ステップ2では、選択された券種、例えば大人券か子供券かを判定し、大人券であればステップ3に進む。
【0038】
ステップ3では、選択された大人券の金額を料金表示部107に表示する。
ステップ4では、料金表示部107に表示した金額が支払われたか否かを判定する。表示金額以上の金銭が投入されて支払いが完了すると、ステップ5に進む。
ステップ5では、釣銭があるか否かを判定し、釣銭があればステップ6に進み釣銭の返却処理を実行し、釣銭がなければステップ6を飛び越してステップ7に進む。
ステップ7では、ホッパー部103からICトークンを排出し、搬送経路途中に配置したICデータ処理部104により、そのICトークンのICに大人券を示す券種データを書込み処理して記録する。
ステップ8では、同じく搬送経路途中に配置したホットスタンプ処理部105により、ICトークン表面の変色部を加熱して変色させる。
ステップ9では、トークン発行処理部106により、変色処理したICトークンを発行口まで搬送し排出する。
【0039】
ステップ2で、子供券と判定した場合は、ステップ10に進み、大人券の場合と同様に子供券の金額を料金表示部107に表示し、ステップ11で、表示金額が支払われたか否かを判定し、支払いが完了すれば、ステップ12で釣銭の有無を判定し、釣銭があればステップ13に進み釣銭返却処理を実行し、釣銭がなければステップ13を飛び越してステップ14に進み、ホッパー部103からICトークンを排出し、ICデータ処理部104によりICトークンのICに子供券を示す券種データを書込み処理して記録する。そして、子供券の場合はICトークンの変色部に対するホットスタンプ処理を行わずに、ステップ9に進みICトークンを発行口から排出する。
【0040】
かかる券売機100によれば、券種別に変色部を色分けしてICトークンを発行することができ、ICトークンの券種を見分けることができる。
【0041】
尚、トークンを回収し収納したときは、回収したトークンをホッパー部103に収納したことを、例えば図示しない収納検知センサ等で検知すると、ICトークンをリサイクル処理部108により、ICトークンの変色部が全て同色となるよう冷却処理する。これにより、ICトークンをリサイクルする場合に、券種別に分別回収したり回収後に分別作業したりする必要がない。
【0042】
上記実施形態では、券売機100内で回収したトークンのリサイクル処理を行う構成としたが、回収したトークンを券売機100とは別の場所で冷却してリサイクル処理した後、券売機のホッパー部103に収納するようにしてもよい。
【0043】
図11及び図12に、本発明の券媒体処理装置を券売機に適用した第2実施形態を示す。
図11は、第2実施形態の券売機200の構成図である。
図において、第2実施形態の券売機200は、ホットスタンプ処理部105に代えて、加熱機能と冷却機能を併せ持つ変色処理部205を備える。また、リサイクル処理部108は不要である。その他のタッチパネル入力部201、金銭処理ユニット202、ホッパー部203、ICデータ処理部204、トークン発行処理部206、料金表示部207及び中央処理部208の構成は第1実施形態と略同様である。
【0044】
次に、図12のフローチャートを参照して第2実施形態の券売機200の券発行動作を説明する。尚、図12のステップ21〜26、ステップ31〜34の動作は、第1実施形態のステップ1〜6、ステップ10〜13と同様であるので説明を省略し、以下では第1実施形態と異なる動作について説明する。
【0045】
第2実施形態の券売機200では、ステップ25又はステップ26からステップ27に進んだ場合、ステップ27において、ホッパー部203から排出されたICトークンに記録されている前回の券種データを読込み、今回の券種が前回券種データと同一か否かを判定し、同一でない(判定がNO)と判定された場合はステップ28に進む。
ステップ28では、ICデータ処理部204により、ICトークンに今回の券種である大人券を示す券種データを書込み処理して記録し、ステップ29で、変色処理部205でICトークンの変色部を例えば加熱処理して大人券の色に変色させた後、ステップ30で、変色処理したICトークンを発行口から排出する。一方、ステップ27で、今回の券種が前回券種データと同一(判定がYES)と判定された場合はステップ28,29を飛び越してステップ30に進み、変色処理せずにそのまま排出する。
【0046】
また、ステップ33又はステップ34からステップ35に進んだ場合、ステップ27と同様にして、ホッパー部203から排出されたICトークンに記録されている前回の券種データを読込み、今回の券種が前回券種データと同一か否かを判定する。同一でない(判定がNO)と判定された場合はステップ36に進み、ICトークンに今回の券種である子供券を示す券種データを書込み処理して記録し、ステップ37で、変色処理部205でICトークンの変色部を例えば冷却処理して子供券の色に変色させた後、ステップ30で、変色処理したICトークンを発行口から排出する。一方、ステップ35で、今回の券種が前回券種データと同一(判定がYES)と判定された場合はステップ36,37を飛び越してステップ30に進み、変色処理せずにそのまま排出する。
【0047】
即ち、第2実施形態の券売機200では、今回の券種データと前回の券種データが同一であれば、発行するICトークンの変色部が既に今回の券種データに応じた色に変色しているので変色処理せずに発行する。また、今回の券種データと前回の券種データが同一でなければ、発行するICトークンの変色部の色が今回の券種データの色と異なっているので、今回の券種に応じた色に変色処理した後発行する。
【0048】
かかる第2実施形態の券売機によれば、大人券と子供券が混在した状態でICトークンを回収した後、そのままホッパー部203に収納するだけでよく、第1実施形態のようにホッパー部203に収納したときに、ICトークンの変色部の色を同色に処理するリサイクル処理を行う必要がない。
【0049】
次に、本発明の券媒体処理装置の第3実施形態を説明する。
第3実施形態は、前述した例えば電子マネー機能を有するカードの残高情報等を表示処理するための券媒体処理装置の例である。
図13は、第3実施形態の券媒体処理装置の構成を示す図である。
図において、本実施形態の券媒体処理装置300は、カード挿入部301と、データ処理部302と、変色処理部303と、カード搬送処理部304と、中央処理部305とを含んで構成されている。
【0050】
前記カード挿入部301は、利用者が券媒体であるカードを挿入するものである。
前記データ処理部302は、挿入されたカードに対して金銭的価値情報等の情報を書込み読取り処理するものであり、データ読取り手段に相当する。
前記変色処理部303は、カード表面に設けられた変色部をデータ処理部302の処理結果に応じた色に変色処理するものである。
前記カード搬送処理部304は、挿入されたカードを取り込み搬送すると共に、処理が終わったカードをカード挿入部301まで搬送し排出するものである。
前記中央処理部305は、カードが挿入されたときに前記データ処理部302、変色処理部303及びカード搬送処理部304の動作を統括的に制御するもので、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。
【0051】
かかる券媒体処理装置300の動作を、電子マネー機能を有するカードの残高情報の確認を例に説明する。
例えば図8に示すようにカード40の表面に変色部41を備えたカードを、カード挿入部301に挿入すると、カード搬送処理部304により処理装置300内にカードを取り込み搬送し、データ処理部302がカードに記録されている残高情報を読取る。読取り残高が、例えば所定残高以下である場合、変色処理部303により変色部41を変色処理し、カード搬送処理部304によりカードを搬送しカード挿入部301から返却する。読取り残高が、所定残高より多ければ変色処理をせずにカードを返却する。これにより、カード表面の変色部の色でカード内の残高がどの程度あるのかいつでも確認することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る券媒体の第1実施形態を示す平面図
【図2】第1実施形態の側面図
【図3】第1実施形態の電気回路部の構成図
【図4】第1実施形態の変色部に使用する感温変色インクの変色温度特性を示す図
【図5】本発明に係る券媒体の第2実施形態を示す平面図
【図6】第2実施形態の一方の変色部に使用する感温変色インクの変色温度特性を示す図
【図7】本発明に係る券媒体の別の適用例の説明図
【図8】本発明に係る券媒体の更に別の適用例の説明図
【図9】本発明に係る券媒体処理装置の第1実施形態を示す構成図
【図10】第1実施形態の動作を説明するフローチャート
【図11】本発明に係る券媒体処理装置の第2実施形態を示す構成図
【図12】第2実施形態の動作を説明するフローチャート
【図13】本発明に係る券媒体処理装置の第3実施形態を示す構成図
【符号の説明】
【0053】
1,20 非接触式ICトークン(券媒体)
2,21 トークン本体
3,22,23,31,41 変色部
4 電気回路部
30,40 カード(券媒体)
100,200 券売機
101,201 タッチパネル入力部
102,202 金銭処理ユニット
104,204 ICデータ処理部
105 ホットスタンプ処理部
106,206 トークン発行処理部
109,208,305 中央処理部
205,303 変色処理部
300 券媒体処理装置
301 カード挿入部
302 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面の少なくとも一部が、変色処理によって可逆的に変色可能な構成としたことを特徴とする券媒体。
【請求項2】
変色処理によって可逆的に変色可能な変色材料を含有した成形材で、少なくとも一部を形成する構成とした請求項1に記載の券媒体。
【請求項3】
外表面の少なくとも一部に、変色処理によって可逆的に変色可能な変色材料で形成した変色部を設けて構成した請求項1に記載の券媒体。
【請求項4】
前記変色材料が、温度に応じて可逆的に変色する感温材料である請求項2又は3に記載の券媒体。
【請求項5】
外表面に、互いに変色温度特性が異なる前記感温材料を用いて複数の変色領域を形成する構成とした請求項4に記載の券媒体。
【請求項6】
前記感温材料が、感温変色インクである請求項4又は5に記載の券媒体。
【請求項7】
データを記録可能な記録媒体の機能を備える請求項1〜6のいずれか1つに記載の券媒体。
【請求項8】
コイン状の非接触式ICトークンである請求項7に記載の券媒体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の券媒体を変色処理する変色処理部を備えた券媒体処理装置。
【請求項10】
利用者が券種の選択操作を行う券種選択部と、
選択された券種データを前記券媒体に記録するデータ記録部と、
選択された券種の料金精算処理を行う精算処理部と、
料金精算完了後、券種データの記録された前記券媒体を当該券種データに応じた色に変色処理する前記変色処理部と、
変色処理した券媒体を発行する券媒体発行部と、
を備えて構成した請求項9に記載の券媒体処理装置。
【請求項11】
前記変色処理部は、前記データ記録部によりデータ記録する以前の券媒体に記録されている前回券種データを読取り、前回券種データが、今回選択された券種と同一のときは変色処理を行わず、今回選択された券種と異なるときは今回の券種データに応じた色に変色処理する構成である請求項10に記載の券媒体処理装置。
【請求項12】
収納された券媒体を同色に変色処理して券媒体の発行に備える構成とした請求項10に記載の券媒体処理装置。
【請求項13】
券媒体挿入部と、
挿入された券媒体に記録されているデータを読取るデータ読取り部と、
該データ読取り部が読取った金銭的価値データの残量値に応じた色に券媒体を変色処理する前記変色処理部と、
を備えて構成した請求項9に記載の券媒体処理装置。
【請求項14】
前記変色処理部は、券媒体にスタンプ処理する構成である請求項9〜13のいずれか1つに記載の券媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−127257(P2006−127257A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316369(P2004−316369)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】