説明

券媒体及び券媒体処理装置

【課題】複製が困難であるとともに汚染されても読取精度の低下を抑制することが可能な二次元コードを有する券媒体、及び、この券媒体を処理する券媒体処理装置を提供する。
【解決手段】 本実施形態によれば、原券媒体と、可視インクによって前記原券媒体に印刷され、改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報と、紫外線を吸収して発光するUVインクによって前記原券媒体に印刷され、前記改札情報に対応した二次元コードと、を備えた券媒体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、券媒体及び券媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、改札処理の省力化を目的として、改札機が導入されている。この改札機は、利用者が駅構内や遊戯施設などの施設内に入場する場合や、施設内から出場する場合などに、入場券や乗車券などの券媒体の改札情報に基づいて入場処理または出場処理といった改札処理を行う。
【0003】
このような改札機を利用するための券媒体としては、改札情報を磁気情報として記録した磁気式の券媒体や、改札情報を記憶したメモリを有し改札機との間で無線通信が可能な券媒体(ICチップを内蔵したICカードや携帯端末機器などを含む)などが実用化されている。
【0004】
また、近年では、券媒体として、二次元コードからなる券情報を有する携帯端末機器、二次元コードが印刷された媒体を利用し、入出場処理等を行う券情報処理システムが提案されている。特に、紙などの原券媒体に二次元コードを印刷して券媒体として運用することを想定した場合、複製の対策が要求されるとともに、汚染による読取精度の低下に対する対策が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、複製が困難であるとともに汚染されても読取精度の低下を抑制することが可能な二次元コードを有する券媒体、及び、この券媒体を処理する券媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、
原券媒体と、前記原券媒体に印刷され、改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報と、紫外線を吸収して発光するUVインクによって前記原券媒体に印刷され、前記改札情報に対応した二次元コードと、を備えたことを特徴とする券媒体が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報を原券媒体に印刷する第1印刷手段と、紫外線を吸収して発光するUVインクにより前記改札情報に対応した二次元コードを前記原券媒体に印刷する第2印刷手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理装置が提供される。
【0009】
本実施形態によれば、
紫外線を吸収して発光するUVインクにより券媒体に印刷された二次元コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記二次元コードから改札処理に必要な改札情報をデコードするデコード手段と、前記デコード手段によりデコードされた前記改札情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態における券媒体の一例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態における券媒体の他の例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の券媒体に適用可能なガイドの他の例を概略的に示す図である。
【図4】図4は、本実施形態における券媒体処理装置の一例である券売機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態における券媒体処理装置の他の例である改札機の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
まず、本実施形態における券媒体について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における券媒体Tの一例を概略的に示す図である。
すなわち、券媒体Tは、原券媒体50と、改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報51と、改札情報に対応した二次元コード52と、によって構成されている。なお、ここでは、券媒体が乗車券である場合について説明するが、本実施形態の券媒体は、乗車券に限らず、遊戯施設などの施設内への入場に利用される入場券などであっても良い。
【0014】
原券媒体50は、例えば、紙によって形成された券紙やプラスチック製のカードなどである。図示した例では、原券媒体50は、略長方形状に形成されているが、その形状について特に制限はない。なお、この原券媒体50には、予め各種模様等がプレ印刷されていても良い。
【0015】
券面情報51は、例えば、黒色インクや赤色インクなどの可視インクによって原券媒体50に印刷されている(原券媒体50が感熱紙である場合には、券面情報51は、加熱されることによって発色するインクによって印刷される)。このような券面情報51は、肉眼で観察可能である。図示した例のように、券媒体Tが乗車券である場合には、券面情報51には、発駅、運賃(区数金額)などが含まれる。また、この券面情報51には、発行日時、着駅、券媒体Tの識別情報(ID)などの各種情報が含まれていても良い。
【0016】
二次元コード52は、紫外線を吸収して発光するUVインクによって原券媒体50に印刷されている。このような二次元コード52は、透明であって、肉眼では観察できない。この二次元コード52には、券媒体Tの識別情報(ID)の他に、乗車券として必要な発駅、着駅、区数、発行日時などの各種情報がエンコードされている。
【0017】
また、この券媒体Tは、二次元コード52の位置を案内するガイド53を備えている。このガイド53は、券面情報51と同様に肉眼で観察可能な可視インクによって原券媒体50に印刷されている。なお、ガイド53は、原券媒体50に予めプレ印刷されていても良いし、券面情報51を印刷する際に原券媒体50に印刷されても良い。図示した例では、ガイド53は、二次元コード52を囲む矩形枠状のパターンとして表記されている。
【0018】
図1に示した例の券媒体Tでは、券面情報51及び二次元コード52が原券媒体50の同一面に印刷されていたが、この例に限らない。
【0019】
図2は、本実施形態における券媒体Tの他の例を概略的に示す図である。
図2に示した例の券媒体Tでは、券面情報51及び二次元コード52が原券媒体50の異なる面に印刷されている。すなわち、券面情報51は原券媒体50の一方の面(あるいは表面)50Aに印刷されているのに対して、二次元コード52及びガイド53は原券媒体50の他方の面(あるいは裏面)50Bに印刷されている。
【0020】
図1及び図2に示した例の券媒体Tでは、ガイド53は、二次元コード52を囲む矩形枠状のパターンとして表記されたが、この例に限らない。
【0021】
図3は、本実施形態の券媒体Tに適用可能なガイド53の他の例を概略的に示す図である。
図3において、(A)で示した例では、ガイド53は、二次元コード52を囲む円形状のパターンとして表記されている。図3において、(B)で示した例では、ガイド53は、二次元コード52の外側において二次元コード52の角に沿ったL字状のパターンとして表記されている。ここに示した例では、2つのL字状のパターンが対角の位置に表記されている。
【0022】
図3において、(C)で示した例では、ガイド53は、二次元コード52の外側において二次元コード52の各辺に沿った直線状のパターンとして表記されている。ここに示した例では、4つの直線状のパターンが四方に表記されている。図3において、(D)で示した例では、ガイド53は、二次元コード52の外側において二次元コード52の角付近にアスタリスクとして表記されているが、他の記号やマークなどであっても良い。ここに示した例では、2つのアスタリスクが対角の位置に表記されている。
上記のような構成の券媒体Tによれば、改札処理に利用される二次元コード52は、肉眼で観察できない特殊なUVインクによって印刷されている。このため、通常の複写機で二次元コード52を複製することは困難である。したがって、二次元コード52を複製した不正使用を防止することが可能となる。また、例え券媒体Tが汚染されたとしても、二次元コード52は、紫外線を吸収して発光するため、シミを透過して判読することが可能となる。このため、二次元コード52を読み取る券媒体処理装置側での読取精度の低下を抑制することが可能となる。
【0023】
さらに、券面情報51は、肉眼で観察可能であるため、利用者や係員が券媒体Tの内容を容易に確認することが可能となる。また、二次元コード52は肉眼で観察できないものの、二次元コード52の位置を案内するガイド53が肉眼で観察可能であるため、券媒体Tを利用する利用者が券媒体処理装置に二次元コード52を正しく読み取らせることが可能となる。このため、二次元コード52を読み取るための読取エリアを大きく確保できなくても、読取精度の低下を抑制することが可能となる。
【0024】
次に、本実施形態における券媒体処理装置について説明する。ここでは、券媒体処理装置の一例として券売機及び改札機について説明するとともに、券媒体処理方法の一例として券売機における券媒体Tの発行方法及び改札機における券媒体Tを利用した改札処理について説明する。
【0025】
図4は、本実施形態における券媒体処理装置の一例である券売機2の構成を概略的に示すブロック図である。
【0026】
券売機2は、利用者の操作に応じて券媒体Tを発行する発行業務を行う。より具体的には、券売機2は、施設内への入場券、各種乗車券、定期券、特急券、回数券などの各種券媒体Tを発行する。なお、詳述しないが、券売機2には、券媒体Tの改札情報に基づいて利用額の不足分を精算し、精算券を発行する精算機も含まれる。
【0027】
すなわち、券売機2は、制御部21、通信部22、メモリ23、表示部24、入力手段として機能する操作部25、音声出力部26、金額処理部27、搬送手段として機能する搬送部28、第1印刷手段として機能する第1印刷部29、第2印刷手段として機能する第2印刷部30などを有している。
【0028】
制御部21は、券媒体Tの発行に際して券売機2を構成する各部の制御を行うものである。通信部22は、上位のホストコンピュータなどとの間で通信を行うインターフェースである。メモリ23は、券売機2の制御に必要な制御データや、各種券媒体Tを発行する発行業務を行うのに必要な各種発行データなどを記憶している。
【0029】
表示部24は、液晶表示器などで構成されている。この表示部24は、制御部21による制御に基づいて、券売機2を利用する利用者に対して券媒体Tの発行業務に必要な各種操作を案内する画面や、発行する券媒体Tの内容などの種々の情報を案内する画面などを表示する。
【0030】
操作部25は、各種ボタンや、接触を検知したのに基づいて対応する情報を出力するタッチパネルなどで構成されている。この操作部25は、制御部21による制御に基づいて、利用者による各種操作の入力を受け付ける。より具体的には、操作部25は、券面情報51や二次元コード52を生成するために必要な改札情報、例えば、券媒体Tが乗車券である場合には運賃(区数金額)などの情報の入力を受け付けたりする。表示部24及び操作部25の少なくとも一部は、例えば、タッチパネル内蔵の液晶表示器などで構成されている。
【0031】
音声出力部26は、制御部21による制御に基づいて、券売機2を利用する利用者に対して券媒体Tの発行業務に必要な各種操作を案内する音声や、発行する券媒体Tの内容などの種々の情報を案内する音声などを図示しないスピーカーから出力する。金額処理部27は、制御部21による制御に基づいて、利用者によって投入された現金あるいは金額カード(すなわちストアードフェアカードやクレジットカードなど)の金額を処理する。
【0032】
搬送部28は、制御部21による制御に基づいて、券媒体Tとなる原券媒体50を収容している収容部28Aから原券媒体50を取り出し、第1印刷部29及び第2印刷部30にそれぞれ原券媒体50を搬送し、排出部28Bから券媒体Tを排出する。収容部28Aに収容されている原券媒体50は、券面情報51及び二次元コード52のいずれも印刷されていないものである。排出部28Bから排出される券媒体Tは、券面情報51及び二次元コード52が印刷済みのものである。
【0033】
第1印刷部29は、制御部21による制御に基づいて、搬送部28により搬送された原券媒体50に対して、可視インクにより改札情報に対応した券面情報51を印刷する。この第1印刷部29は、感熱紙である原券媒体50に対して熱を印加する構成であっても良いし、原券媒体50に向けて可視インクを吐出する構成であっても良い。このような第1印刷部29によって印刷される券面情報(発駅、運賃(区数金額)など)51は、操作部25を介して入力された情報などに基づいて生成される。
【0034】
第2印刷部30は、制御部21による制御に基づいて、搬送部28により搬送された原券媒体50に対して、UVインクにより改札情報に対応した二次元コード52を印刷する。この第2印刷部30は、原券媒体50に向けてUVインクを吐出する構成である。このような第2印刷部30によって印刷される二次元コード52は、例えば、券媒体Tの識別情報に加えて、操作部25を介して入力された情報(例えば、発駅、着駅、区数、発行日時などの各種情報)をエンコードすることによって生成される。
【0035】
以下に、上述した券媒体Tの発行処理について券売機2の各部の動作とともに簡単に説明する。
【0036】
まず、制御部21は、操作部25を介した券媒体Tの発行指示の入力や改札情報の入力を受付可能な状態において、発行指示の入力や改札情報の入力を受け付け、且つ、金額処理部27を制御して券媒体Tを発行するのに必要な対価に相当する金額を処理した場合に、当該券媒体Tの発行処理を開始する。
【0037】
そして、搬送部28は、収容部28Aから原券媒体50を取り出し、第1印刷部29に原券媒体50を搬送する。その後、第1印刷部29は、搬送された原券媒体50に対して券面情報51を印刷する。そして、搬送部28は、第2印刷部30に原券媒体50を搬送する。その後、第2印刷部30は、搬送された原券媒体50に対して二次元コード52を印刷する。なお、第1印刷部29による券面情報51の印刷と、第2印刷部30による二次元コード52の印刷とは、いずれを先に行っても良く、印刷順序は特に問わない。
【0038】
そして、搬送部28は、券面情報51及び二次元コード52を有する券媒体Tを排出部28Bから排出し、券媒体Tの発行処理を終了する。
【0039】
上記のような構成の券売機2によれば、改札処理に利用される二次元コード52をUVインクによって印刷した券媒体Tが発行される。このため、通常の複写機で二次元コード52を複製することは困難である。したがって、二次元コード52を複製した不正使用を防止することが可能となる。
【0040】
なお、ガイド53がプレ印刷されていない原券媒体50を適用する場合には、上記の第1印刷部29は、原券媒体50に券面情報51を印刷するのに加えて、可視インクによりガイド53を印刷するように構成されても良い。これにより、ガイド53を別途印刷するための構成が不要となり、券媒体Tを発行するのに要する発行時間の短縮、装置構成の簡素化、及び、装置の低コスト化が可能である。
【0041】
また、ガイド53がプレ印刷されている原券媒体50を適用する場合、あるいは、二次元コード52の印刷に先立って第1印刷部29によりガイド53が印刷された原券媒体50を適用する場合には、上記の第2印刷部30は、原券媒体50に予め印刷されたガイド53の内側に二次元コード52を印刷するように構成されても良い。このとき、第2印刷部30は、二次元コード52を印刷する際の位置合わせのためにガイド53を利用しても良い。これにより、二次元コード52がガイド53と重なったり、ガイド53の外側にはみ出したりすることを抑制することが可能である。
【0042】
図5は、本実施形態における券媒体処理装置の他の例である改札機4の構成を概略的に示すブロック図である。
【0043】
改札機4は、駅構内や遊戯施設などの各種施設の改札口(あるいは出入口)などにおいて利用者が通行可能な改札通路に沿って配置されている。この改札機4は、利用者が所持している券媒体Tの改札情報に基づいて改札処理、つまり施設内に入場する際の入場処理や施設内から出場する際の出場処理などの処理を行う。このような改札処理では、改札機4は、券媒体Tから読み取った改札情報に基づいて改札通路の通行の可否を判定する。
【0044】
すなわち、改札機4は、制御部41、通信部42、メモリ43、表示部44、ドア制御部45、読取手段として機能する読取部46、デコード手段として機能するデコード部47、改札手段として機能する改札処理部48などを有している。
【0045】
制御部41は、券媒体Tによる改札処理に際して、改札機4を構成する各部の制御を行うものである。通信部42は、上位のホストコンピュータなどとの間で通信を行うインターフェースである。メモリ43は、改札機4の制御に必要な制御データや、改札処理を行うのに必要な各種データなどを記憶している。
【0046】
表示部44は、液晶表示器などで構成されている。この表示部44は、制御部41による制御に基づいて、改札機4を利用する利用者に対して操作を案内する画面や改札処理の結果などに対応した案内画面を表示する。ドア制御部45は、改札機4に設けられているドア機構45Aの開閉を制御するものであり、改札処理の結果に対応して改札通路を開放したり閉鎖したりする。
【0047】
読取部46は、制御部41による制御に基づいて、利用者が持参する券媒体TからUVインクによって印刷された二次元コード52を読み取る。より具体的には、読取部46は、券媒体Tから二次元コード52を読み取り可能な所定の読取エリアを有している。このような読取部46は、例えば、読取エリアに位置する二次元コード52に向けて紫外線を照射する光源部46Aと、光源部46Aからの紫外線を吸収して発光した二次元コード52を撮像する撮像部46Bと、を備えている。
【0048】
デコード部47は、制御部41による制御に基づいて、二次元コード52から改札処理に必要な改札情報をデコードする。より具体的には、デコード部47は、読取部46の撮像部46Bにより撮像された画像を処理し、エンコードされていた各種情報、例えば、発駅、区数、発行日時などの各種情報を取り出す。
【0049】
改札処理部48は、制御部41による制御に基づいて、デコード部47によりデコードされた改札情報に基づいて改札処理を行う。より具体的には、改札処理部48は、券媒体Tが有する改札情報に基づいて券媒体Tの有効性、つまり、利用者の改札通路の通行を許可するか否かを判定する。
【0050】
以下に、上述した券媒体Tを用いた改札処理について改札機4の各部の動作とともに簡単に説明する。
【0051】
まず、制御部41は、券媒体Tの二次元コード52が所定の読取エリアに位置しているタイミングで読取部46を起動する。読取部46における光源部46Aは、読取エリアの二次元コード52に向けて紫外線を照射する。このとき、撮像部46Bは、紫外線を吸収して発光した二次元コード52を撮像する。これにより、読取部46による二次元コード52の読み取りが行われる。
【0052】
そして、制御部41は、読取部46による二次元コード52の読み取りが正常に完了したのに伴い、撮像部46Bによって撮像された画像をデコード部47に出力する。デコード部47は、撮像された画像から二次元コード52から改札情報をデコードする。そして、制御部41は、デコード部47によりデコードされた改札情報を改札処理部48に出力する。改札処理部48は、デコード部47によりデコードされた改札情報に基づいて、改札処理を行う。ここでは、改札処理部48は、券媒体Tの有効性、つまり、利用者の改札通路の通行を許可するか否かを判定する。
【0053】
制御部41は、改札処理部48により通行を許可する旨の判定がなされた場合には、ドア制御部45を制御してドア機構45Aを駆動し、改札通路を開放する。また、制御部41は、改札処理部48により通行を許可しない旨の判定がなされた場合には、ドア制御部45を制御してドア機構45Aを駆動し、改札通路を閉鎖する。以上のようなステップを経て券媒体Tによる改札処理を終了する。
【0054】
上記のような構成の改札機4によれば、UVインクによって印刷された二次元コード52を読み取って改札処理を行っている。このため、例え券媒体Tが汚染されたとしても、二次元コード52は、シミを透過して発光するため、二次元コード52を読み取る際の読取精度の低下を抑制することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、複製が困難であるとともに汚染されても読取精度の低下を抑制することが可能な二次元コードを有する券媒体、及び、この券媒体を処理する券媒体処理装置を提供することができる。
【0056】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
2…券売機(券媒体処理装置)
21…制御部 25…操作部 28…搬送部
29…第1印刷部 30…第2印刷部
4…改札機(券媒体処理装置)
41…制御部
46…読取部 46A…光源部 46B…撮像部
47…デコード部 48…改札処理部
T…券媒体
50…原券媒体 51…券面情報
52…二次元コード 53…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原券媒体と、
前記原券媒体に印刷され、改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報と、
紫外線を吸収して発光するUVインクによって前記原券媒体に印刷され、前記改札情報に対応した二次元コードと、
を備えたことを特徴とする券媒体。
【請求項2】
さらに、前記原券媒体に印刷され、前記二次元コードの位置を案内するガイドを備えたことを特徴とする請求項1に記載の券媒体。
【請求項3】
改札処理に必要な改札情報に対応した券面情報を原券媒体に印刷する第1印刷手段と、
紫外線を吸収して発光するUVインクにより前記改札情報に対応した二次元コードを前記原券媒体に印刷する第2印刷手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理装置。
【請求項4】
さらに、前記改札情報の入力を受け付ける入力手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の券媒体処理装置。
【請求項5】
さらに、前記原券媒体を収容する収容部から前記原券媒体を取り出し、前記第1印刷手段及び前記第2印刷手段にそれぞれ前記原券媒体を搬送し、前記原券媒体に前記券面情報及び前記二次元コードを印刷済の券媒体を排出部から排出する搬送手段を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の券媒体処理装置。
【請求項6】
前記第1印刷手段は、前記二次元コードの位置を案内するガイドを前記原券媒体に印刷することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の券媒体処理装置。
【請求項7】
前記第2印刷手段は、前記原券媒体に予め印刷されたガイドの内側に前記二次元コードを印刷することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の券媒体処理装置。
【請求項8】
紫外線を吸収して発光するUVインクにより券媒体に印刷された二次元コードを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記二次元コードから改札処理に必要な改札情報をデコードするデコード手段と、
前記デコード手段によりデコードされた前記改札情報に基づいて改札処理を行う改札手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理装置。
【請求項9】
前記読取手段は、前記二次元コードに向けて紫外線を照射する光源部と、前記光源部からの紫外線を吸収して発光した前記二次元コードを撮像する撮像部と、を備えたことを特徴とする請求項8に記載の券媒体処理装置。
【請求項10】
さらに、前記改札手段により改札通路の通行を許可しない旨の判定がなされたのに基づいて、改札通路を閉鎖するドア機構を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載の券媒体処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−76377(P2012−76377A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224104(P2010−224104)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】