説明

券発行装置

【課題】ロール状媒体の装填、再装填時にロール状媒体が無用に切取られて不正に使用されるのを防止する。
【解決手段】券発行装置において、装置の不具合時又は装填口の開状態を検知した時に、切断手段による切断前のロール状媒体の所定部に記録手段によって特定の情報を記録するように制御する制御部と、記録された特定情報を保持しておくメモリとを有する。装填手段にロール状媒体が装填されたとき、ロール状媒体の所定部に記録された特定情報を読取り手段で読取り、制御部は、読取られた特定情報とメモリに保持された特定情報とを照合し、照合の結果両者の特定情報が正当な関係にある場合、装填されたロール紙に発券を許容して、券片の発行のための処置を施すように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば交通機関に使用される乗車券や特急券など券発行装置に係り、特にロール状の媒体を切断して情報を印刷しかつ磁気的に記録した券を発行する券発行装置におけるロール状媒体の不正使用の防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道等の公共交通機関の駅に設置された乗車券等の券発行装置には、取扱い易さ及びコスト的に安価である点から、ロール状に巻かれた媒体が多く使用されている。また、駅以外の一般企業や販売代理店などでは、装置使用者が不特定ということから、媒体にプレ印刷が可能でありナンバー管理が可能であることや、枚数管理が可能であることから媒体管理のしやすい切断紙が多く使用されている。
【0003】
ロール状の媒体を使用する券発行装置は、券の種類に応じて種々の長さの券に切断して発行できるため便利であるが、反面、ロール状の媒体に対する切断位置や発行枚数が不特定となる等の理由から管理し難いことがある。このため、ロール状の媒体を新規に装置に装填する前や、装填が不具合な時に媒体を付け外しして、その媒体が不用意或いは不正に切取られることがある。しかも切取られた部分が業務用の装置で使用されずに、業務以外の装置で不正に印刷及び磁気記録される恐れがある。
【0004】
この問題に対して、近年では、ロール状媒体の終端まで使い切る装置が導入されており、従来の残媒体を残す装置より効率化、不正防止という面では機能的に向上している。
【0005】
また、予め定められたロール紙のみ使用するようにして媒体の変造、改ざんを防止する方法も提案されている。
例えば、特開2001−297342号公報(特許文献1)には、使用されるロール紙が純正品であることを示す情報を媒体ロール紙の所定の場所に備えられた情報格納部に格納しておき、発券装置の読取手段で情報格納部に格納された情報を読み取り、判断手段で純正品でないと判断した場合に発券を規制するような発券装置及びそれに用いる媒体ロール紙が開示されている。
【0006】
また、特開平7−329464号公報(特許文献2)には、ロール紙媒体の磁気記録層に磁気特性に影響を与えない程度に、媒体の識別又は固有情報を記録しておくことにより、この情報を真偽判定に使用して、偽造、変造、改ざん等の不正行為を判別するようにしたロール紙が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−297342号公報
【特許文献2】特開平7−329464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ロール状の媒体全面に識別情報を付加することは、少なからず、媒体のコストアップに繋がり、製造工程上カット紙より安価に生産できるロール状の媒体を使用するメリットが小さくなる。
【0009】
本発明の目的は、ロール状媒体の装填又は再装填に際してロール状媒体が無用に切取られて不正に使用されるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ロール状の媒体を装填する装填手段と、ロール状媒体に情報を記録する記録手段と、ロール状媒体に記録された情報を読取る読取り手段と、ロール状媒体を所定の長さに切断する切断手段と、切断された券を排出口へ搬送する搬送手段と、を有する券発行装置において、装置の不具合時に、切断手段による切断前のロール状媒体の所定部に記録手段によって特定の情報を記録するように制御する制御部と、記録された特定情報を保持しておくメモリと、を有する券発行装置である。
【0011】
また、他の例によれば、本発明は、ロール状の媒体を装填する装填手段と、ロール状媒体に情報を記録する記録手段と、ロール状媒体に記録された情報を読取る読取り手段と、ロール状媒体を所定の長さに切断する切断手段と、切断された券を排出口へ搬送する搬送手段と、を有する券発行装置において、装填手段に装填口を開閉できる開閉手段と、開閉を検知する検知手段と、検知手段が装填口の開状態を検知した時に、ロール状媒体の所定部に記録手段によって特定の情報を記録するように制御する制御部と、記録された特定情報を保持しておくメモリと、を有する券発行装置である。
【0012】
本発明は、好ましくは、上記券発行装置において、装填手段に装填されたロール状媒体の所定部に記録された特定情報を読取り手段で読取り、制御部は、読取られた特定情報と、メモリに保持された特定情報とを照合し、照合の結果両者の特定情報が正当な関係にある場合、装填されたロール紙に発券を許容して、券片の発行のための処置を施すように制御する。
【0013】
更に好ましい例では、前記記録手段は印刷手段であり、印刷手段でロール状媒体の先端部に印刷された特定情報を含む部分は切断手段で切断され、かつ、切断された切断片を回収する回収ボックスを有する。
また、好ましい例では、制御部は、特定情報をロール状媒体に記録する度に、又はロール状媒体の終端が検知される度に、特定情報を変更する手段を有し、変更手段で変更された特定情報を記録のために記録手段へ送る。
【0014】
本発明は、また、装填部に装填されたロール状媒体に情報を印刷して、券片に切断して発券する券発行装置におけるロール状媒体の管理方法としても把握される。即ち、ロール状媒体の管理方法において、装填部から取り外される前のロール状媒体の所定部に特定情報を記録するステップと、記録された特定情報をメモリに記憶しておくステップと、ロール状媒体が装填部に装填された時、所定部に相当する位置から情報を読取るステップと、読取られた情報とメモリに記憶された特定情報とを照合するステップと、照合の結果、適切な場合に、装填されたロール状媒体に対する発券を許容して、券片の発行のための処置を施すステップと、を有するロール状媒体の管理方法である。
好ましい例では、発券前に、特定情報が記録された部位を切断し、切断片を回収するステップを更に有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロール状媒体の取り外し前に、そのロール状媒体の所定部に特定情報を記録し、ロール状媒体が装填された時に、記録された特定情報の正当性を照合するように構成したので、この照合結果によりそのロール状媒体が装填前に不正に使用されたか否かを確認することができる。好ましくは、その特定情報はロール状媒体の先端部に印刷され、装置にロール状媒体が再装填された時にはその先端部を切断して装置内に回収するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
図1は第1の実施形態による発券プリンタの構成を示す図である。図2は第1の実施形態におけるID情報記録領域の概略図、および図3は第1実施形態におけるID情報付加に関する動作フローチャート図である。
図1において、21は券発行装置を示し、22は券発行装置21から図のA方向へ、引き出すことが可能な券発行ユニット部、1は印刷面側を内側、磁気面を外側にして巻かれたロール紙を装填するロール紙供給部、2はロール紙装填時の先端を検知する先端検知センサで、装置アイドル状態のロール紙の定位置は、このセンサが検知されて規定量送ったところとなる。
【0017】
3はロール紙印刷面に感熱印刷を行うサーマルヘッド、4は印刷内容を読取るスキャナ、5はロール紙1を所定の長さに切断するカッタ、6は切断された券片に磁気データを書き込む磁気ライトヘッド61と券片に書き込まれた磁気データのリードチェックを行う磁気リードヘッド62で構成された磁気エンコード部、8は券片の排出口、10は回収する券片を収納する回収ボックス、7は券片の送り先が通常排出口になっており、回収ボックス10に送るときに切替える搬送路ゲート、11は券発行ユニット部が券発行装置22から引き出されたかを検知する定位置センサである。
【0018】
図2において、201はロール紙先端の印刷面図であり、202はID情報、203はID情報印刷領域である。ID情報は予め決められた特定情報であり、上位装置又は発行装置内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
次に、図3及び図1,2を参照して、券発行装置の動作について説明する。
本実施例において通常の発券動作は、図示しない上位装置からの発券指示を券発行装置21が受信することにより開始される。即ち、発券指示を受信すると、ロール紙1を規定の長さ分搬送し、印字部3で上位装置より送られた印字データに従い印字を施し、カッタ5により所定の長さの券片に切断する。
【0019】
次に、券片を磁気書込み部61に搬送し、上位装置より送られた磁気エンコードデータに従い、券片に磁気を書き込み、磁気読取り部62により、券片に書き込まれた磁気データを読取り、正しく書き込まれたかを判定する。判定結果に問題なければ、搬送路ゲート7を切替えておき、印字された券片を排出口8へ送り、1枚の発券動作が終了する。
【0020】
券発行装置21のアイドル状態、または発券などの動作途中に、媒体、操作、ハード、ソフト、環境などが起因となって障害が発生した場合、以下の処理動作が実行される。
即ち、券発行装置21は、ロール紙をロール紙供給部2の方向へ引き戻し、先端検知センサ2がロール紙無しを検知したら(301)、サーマルヘッド3の下にID情報印刷領域202が位置するまでの規定量を排出部8の方向へ送り(302)、券発行装置21のメモリに記憶して管理されているID情報を印刷する(303)。そして、ID情報印刷領域202がスキャナ4で読取れる位置までの規定量を送り(304)、スキャナ4でID情報203を読取る。図示しない制御部は、読取ったIDのイメージデータからID内容を解読し、先に印刷用として使用した(メモリに保持されている)ID情報と照合し(305)、待機する。ここで、障害時にID情報印刷を行うため、搬送用モータやベルト(図示せず)などの駆動をスキャナ4からカッタ5の間を境にロール紙供給部側と排出口側に分離した方がよい。
【0021】
次に障害復旧のために、券発行ユニット22を矢印A方向へ引いて券発行装置21から引き出し、残留媒体を手動により除去したり、媒体を再セットする。その後、券発行ユニット22を券発行装置21へ収納すると、定位置センサ11がこれを検知し、または障害復旧のために上位装置からの初期復旧指示を受信すると(306)、ID情報印刷領域202がスキャナ4で読取れる位置までロール紙を規定量送り(307)、スキャナ4でID情報203を読取る。
【0022】
そして、制御部(図示せず)は、読取ったIDのイメージデータからID内容を解読し、このID情報と先に券発行装置21のメモリに保持していたID情報と照合する(308)。照合の結果が正常であれば(309)、制御部は正規のロール紙がセットされたと判断する。そしてID情報記録領域203の後端をカッタ5で切断できる位置までの規定量を送り(310)、カッタ5でID情報記録領域207を含む部分を切断し(311)、切断された券片を排出する(312)。
【0023】
一方、上記ID情報の照合の結果(309)、不一致の場合は、「ロール紙使用不可」と判断してエラーとする(315)。この場合、搬送路ゲート7を回収側に切替えて(313)、切断した先端部の券片は回収ボックス10に搬送して回収される(314)。
【0024】
なお、上記実施例では、不正防止のためのID情報の印刷を、発券のために通常使用されるサーマルヘッド3を用いて行うこととしたが、代替案によれば、発券印刷用のサーマルヘッド3を使用しないで,別の印刷手段を用いてID情報を印字する。即ち、券発行装置21では、挿入された券(挿入券)をサポートする挿入口15、及びこの挿入券に対して印字を行う別のサーマルヘッド12を備えている場合がある。そこで、このサーマルヘッド12をID情報の印刷用として使用することも可能である。
【0025】
また、ID情報を印刷するための印刷手段は、サーマルヘッド3又は12等のような感熱印刷に限らず、インクリボンを用いた転写印刷等の印刷手段や、スタンプ、パンチ穿孔等のマーク記録手段を、特定情報の記録手段として用いてもよい。
【0026】
(実施例2)
次に、図4〜図6を参照して、第2の実施形態に係る券発行装置の構成及びその動作について説明する。
図4に示す発券プリンタの構成において、21は券発行装置を示し、22は券発行装置21から図のA方向へ、引き出すことが可能な券発行ユニット部、1は印刷面側を内側、磁気面を外側にして巻かれたロール紙を装填するロール紙供給部、2はロール紙装填時の先端を検知する先端検知センサで、装置アイドル状態のロール紙の定位置は、このセンサが検知されて規定量送ったところとなる。13はロール紙磁気面にID情報を磁気記録する磁気リードライトヘッド、5はロール紙1を所定の長さに切断するカッタ、12は切断された券片に感熱印刷を行うサーマルヘッド、14は、券片の切替搬送路通過を検知する通過センサ、6は切断された券片に磁気データを書き込む磁気ライトヘッド61と券片に書き込まれた磁気データのリードチェックを行う磁気リードヘッド62で構成された磁気エンコード部、8は券片の排出口、9は回収する券片に穿孔を行うパンチ部、10は回収する券片を収納する回収ボックス、7は券片の折り先を排出口8か回収ボックス10に切替える搬送路ゲート、11は券発行ユニット部が券発行装置22から引き出されたかを検知するユニット定位置センサ、11は券発行装置21に外から券を挿入する挿入部である。
【0027】
図5において501はロール紙先端付近の磁気面、502はID情報、503はID情報の磁気記録領域である。上述の実施例と同様に、このID情報は予め決められた特定情報であり、上位装置又は発行装置内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0028】
通常の発券動作に関しては、図示しない上位装置からの指示を券発行装置21が受信することにより、規定の長さ分ロール紙1を送り、カッタ5により所定の長さの券片に切断して印字部12へ送り、印字部12で上位装置より送られた印字データに従い、券片に印字する。次に、券片を磁気書込み部6に送り、上位装置より送られた磁気エンコードデータに従い、券片に磁気を書き込み、磁気読取り部7により、券片に書き込まれた磁気データを読取り、正しく書き込まれたかを判定する。判定結果に問題なければ、切断された券片を排出口8に送り、1枚の発券動作が終了する。
【0029】
さて,図6の動作フローチャートにおいて、券発行装置21の発券動作中に、媒体、取り扱い、ハード、ソフト、環境などが起因となり障害が発生した場合、券発行装置21は、ロール紙をロール紙供給部2の方向へ引き戻し、先端検知センサ2がロール紙無しを検知したら(601)、磁気リードライトヘッド13の下にID情報磁気記録領域502が位置するまでの規定量を排出部8の方向へ送り(602)、券発行装置21で管理しているID情報を磁気ライトおよび磁気リードチェックを行う(603)。
【0030】
ここで、障害時にID情報の磁気記録を行うため、搬送用モータやベルト(図示せず)などの駆動を磁気リードライトヘッド12からカッタ5の間を境にロール紙供給部側と排出口側に分離したほうがよい。
【0031】
次に障害復旧のために、券発行ユニット22を券発行装置21から引き出し残留媒体を手動除去や媒体の再セットする。そして券発行ユニット22を券発行装置21へ収納すると定位置センサ11でこれを検知し、または障害復旧のために上位装置からの初期復旧指示を受信すると(604)、ID情報磁気記録領域502が磁気リードライトヘッド12で読取れる位置までの規定量を送り(605)、磁気リードライトヘッド12でID情報502を読取る。
【0032】
そして、制御部は、読取ったIDの磁気データからID内容を解読し券発行装置21で管理するID情報と照合する(606)。照合の結果が正常であれば(607)、ID情報記録領域503の後端をカッタ5で切断できる位置までロール紙を規定量送り(608)、カッタ5でID情報記録領域503を含む部分を切断し(609)、切断された券片を排出する(610)。
【0033】
ここで、切断した券片を回収ボックス10に送るように、一旦切断された券片を排出口8方向へ送る(611)。券片が搬送路通過センサ14を通過したらそれを検知し(612)、搬送路ゲート7を回収ボックス側に切替え(613)、券片をスイッチバックさせる(614)。スイッチバックされた券片はパンチ部9で穿孔されて(615)、回収ボックス10に回収される(616)。ここで、ID情報の照合結果がNGの場合は、「ロール紙使用不可」のエラーとする(617)。
【0034】
(実施例3)
次に、図1、図2、図7、図8を参照して第3の実施形態に係る券発行装置の構成及び動作について説明する。
図7において、(A)はロール紙701の側面図、(B)はロール紙701の正面図、(C)はロール紙701の先端付近の印刷面703を示す。704はロール紙先端を固定するためのテープ、705はロール紙固体を示す予めスタンプされたID情報、706はID情報の記録領域である。ID情報記録領域706の大きさは発行券の大きさ(長さL)以下である。
【0035】
操作者は、ロール紙のテープ702を剥して装填セットの用意をする。券発行装置21から券発行ユニット22を引出すと、ユニット定位置センサ11がOFFとなり(801)、ロール紙が装填される。券発行装置21は、先端検知センサ2により、ロール紙先端挿入を検知すると(802)、ID情報記録領域706がスキャナ4で読取れる位置までの規定量を送り(803)、スキャナ4でID情報705を読取り、図示しない制御部は、読取ったIDのイメージデータからID内容を解読し、券発行装置21で管理するID情報と照合する(804)。
【0036】
照合の結果が正常であれば(805)、ID情報705が自装置管理のID情報かを判定し(806)、自装置管理のID情報であれば、ID情報記録領域706の後端をカッタ5で切断できる位置までの規定量を送り(807)、カッタ5でID情報記録領域706の後端を切断する(812)。また、自装置管理のID情報でなければ、ID情報705は、上位装置(図示せず)で管理、チェックしているため、解読データを上位装置へ送信し(808)、ID情報記録領域706の後端をカッタ5で切断できる位置までの規定量を送り(809)、上位装置からの指示待ちとなる。そして上位装置からIDチェック結果による指示を受信する。チェック結果の指示が否ならば(810)、「ロール紙使用不可」のエラーとし(811)、一方OKの指示を受信したら(810)、カッタ5でID情報記録領域706の後端を切断する(812)。そして切断された券片を排出する(813)。ここで、搬送路ゲート7を切替えて(814)、切断した券片を回収ボックス10に搬送して入れる(815)。
なお、上記ID情報の照合結果が否の場合は(805でNo)、「ロール紙使用不可」のエラーとする(811)。ユニット定位置センサが券発行ユニット22の収納を検知すると通常発券の行うオンラインモードとなる。
【0037】
ところで、実施例1によれば、券発行装置21の発券動作途中に障害発生した場合、これを起動原因として図3のフローチャートの動作を実行するものであった。然し、この第3の実施例においては、発券動作途中の障害発生を起動原因とするのではなくて、券発行装置21から券発行ユニット22が引き出されたことを定位置センサ11で検知したことを起動原因として図3のフローチャートの動作を実行するものである。
【0038】
(実施例4)
次に、図9、図10を参照して第4の実施形態について説明する。
ロール状媒体の切取り防止のために記録されたID情報の使用は、主に実施例3にあるロール状媒体の購入状態からの開封に伴う媒体切取り防止と、ロール状媒体を一旦装置で使用し始めてからの媒体切取り防止の2つが挙げられる。
前者のロール状媒体の購入状態からの開封に伴う媒体切取り防止は媒体に予め何らかのID情報を施すしかなく、実施例3では先端の一箇所にスタンプにより施すID情報の例をあげている。
【0039】
また後者のロール状媒体を一旦装置で使用し始めてからの媒体切取り防止は、上位装置によるID情報の管理は、必ずしも必須ではなく、各券発行装置で独立して管理することもできる。例えば、各券発行装置で独自にID情報を生成して、これを券発行装置内のメモリに保管して管理しておき、図3、6,8と同様の処理を行うことができる。この場合、ID情報は固定的なものではなく変更してもよい。むしろ、不正防止の観点からは適当に変更するのが好ましい。
【0040】
例えば、図9に示すように、ID情報を記録する度に(901)、ID情報を更新することもできる(902)。ID情報の変更の方法は日付け等に応じて変更したり、或いはあるアルゴリズムや乱数表を用いて生成するようにしてもよい。
【0041】
また、図10に示すように、ロール紙が使い終わって終端が検知された場合(1001)、新たなロール紙が装填される。この新たなロール紙に対しては別のID情報を記録するように、ID情報を更新する(1002)。なお、ID情報の変更方法としては、上述の例によればよい。
【0042】
以上のような幾つかの本実施例によれば、格別に特殊なロール紙を使用しなくても、現在流通しているロール紙を使用している券発行装置であっても、ロール紙の切取りによる不正を防止することができる。このように特殊なロール紙を使用しないので、安価でランニングコストの低減が図れる。
【0043】
以上、幾つかの実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々変形して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施形態に係る発券プリンタの構成を示す正面断面図。
【図2】第1の実施形態におけるロール紙のID情報記録内容を示す図。
【図3】第1の実施形態おける発券プリンタの動作を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る発券プリンタの構成を示す正面断面図。
【図5】第2の実施形態におけるID情報記録内容を示す図である。
【図6】第2の実施形態による発券プリンタの動作を示すフローチャート。
【図7】第3の実施形態におけるロール紙及びロール紙上のID情報記録内容を示す図である。
【図8】第3の実施形態による発券プリンタの動作を示すフローチャート。
【図9】第4の実施形態におけるID情報の変更例を示す図。
【図10】第4の実施形態におけるID情報の変更例を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1:ロール状媒体供給部 2:先端検知センサ
3:サーマルヘッド 4:スキャナ
5:カッタ 6:磁気エンコード部
7:搬送路ゲート 8:排出口
10:回収ボックス 11:定位置センサ
12:サーマルヘッド 15:挿入口
21:券発行装置 22:券発行ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の媒体を装填する装填手段と、該ロール状媒体に情報を記録する記録手段と、該ロール状媒体に記録された情報を読取る読取り手段と、該ロール状媒体を所定の長さに切断する切断手段と、切断された券を排出口へ搬送する搬送手段と、を有する券発行装置において、
該装置の不具合時に、該切断手段による切断前のロール状媒体の所定部に該記録手段によって特定の情報を記録するように制御する制御部と、記録された該特定情報を保持しておくメモリと、を有することを特徴とする券発行装置。
【請求項2】
ロール状の媒体を装填する装填手段と、該ロール状媒体に情報を記録する記録手段と、該ロール状媒体に記録された情報を読取る読取り手段と、該ロール状媒体を所定の長さに切断する切断手段と、切断された券を排出口へ搬送する搬送手段と、を有する券発行装置において、
該装填手段に装填口を開閉できる開閉手段と、該開閉を検知する検知手段と、該検知手段が装填口の開状態を検知した時に、ロール状媒体の所定部に該記録手段によって特定の情報を記録するように制御する制御部と、記録された該特定情報を保持しておくメモリと、を有することを特徴とする券発行装置。
【請求項3】
該装填手段に装填された該ロール状媒体の所定部に記録された該特定情報を該読取り手段で読取り、
該制御部は、読取られた該特定情報と、該メモリに保持された該特定情報とを照合し、照合の結果両者の特定情報が正当な関係にある場合、装填された該ロール紙に発券を許容して、券片の発行のための処置を施すように制御することを特徴とする請求項1又は2の券発行装置。
【請求項4】
前記記録手段は印刷手段であり、該印刷手段で該ロール状媒体の先端部に印刷された該特定情報を含む部分は該切断手段で切断され、
かつ、切断された該切断片を回収する回収ボックスを有することを特徴とする請求項1又は3のいずれかの券発行装置。
【請求項5】
該制御部は、該特定情報を該ロール状媒体に記録する度に、又は該ロール状媒体の終端が検知される度に、該特定情報を変更する手段を有し、該変更手段で変更された特定情報を記録のために該記録手段へ送ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の券発行装置。
【請求項6】
装填部に装填されたロール状媒体に情報を印刷して、券片に切断して発券する券発行装置におけるロール状媒体の管理方法において、
該装填部から取り外される前の該ロール状媒体の所定部に特定情報を記録するステップと、
記録された該特定情報をメモリに記憶しておくステップと、
ロール状媒体が該装填部に装填された時、該所定部に相当する位置から情報を読取るステップと、
読取られた情報と該メモリに記憶された特定情報とを照合するステップと、
該照合の結果、適切な場合に、装填された該ロール状媒体に対する発券を許容して、券片の発行のための処置を施すステップと、
を有するロール状媒体の管理方法。
【請求項7】
発券前に、該特定情報が記録された部位を切断し、該切断片を回収するステップを更に有することを特徴とする請求項6のロール状媒体の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−236191(P2006−236191A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52631(P2005−52631)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】