券類排出装置
【課題】
同じ幅の券類であれば長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを可能とする。
【解決手段】
長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域Aを形成するベルト搬送機構19と、搬送路を搬送された券片を回転させながらスタック領域に送り込むシートローラ17とを有し、ベルト搬送機構とシートローラを同期させながら駆動制御する。
同じ幅の券類であれば長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを可能とする。
【解決手段】
長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域Aを形成するベルト搬送機構19と、搬送路を搬送された券片を回転させながらスタック領域に送り込むシートローラ17とを有し、ベルト搬送機構とシートローラを同期させながら駆動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、券類排出装置に係り、特に長さの異なる券片を複数枚スタックし、排出口より一括して放出する券類排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客業等の各種チケットやカード、更には娯楽関連のポイントカード、施設利用カードなどの券片を新規発行したり、発行済みの券片の内容を更新するために、1台の装置で長さの異なる種々の券片を取扱うことがある。
【0003】
従来、この種の券類排出装置としては、例えば、特許文献1(特開2000−215329号公報)に開示されているように、上側のベルト搬送機構を少し持上げ、下方よりベルト搬送してきた長い券類をまず券類の長さにあわせたストッパによりスタックし、その後、後退搬送して次に同じく下方よりベルト搬送されてくる、短い券類がスタックできるように、長い券類が後退した位置でストッパを可動している。そして、長い券類の下に、短い券類を潜り込ませるようにしてベルト搬送し、複数枚の券類をスタックさせる。その後、スタック完了後に一括排出している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−215329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような券類排出装置によれば、上側のベルト搬送機構のみを持上げる構造で、スタックできる枚数も少量と制限される。また、下方よりベルト搬送で券類を潜り込ませてスタックする方式であるため、まず先に長い券類をスタックさせ、次にスタックする券類の先端と、先にスタックした券類の後端とが衝突しない位置まで長い券類を後退搬送しなければならない。
この際、長さの異なる券類に合わせ、券類の長さに合わせたそれぞれ異なるストッパを可動させて、位置決めを行っている。
【0006】
このような、従来技術によるスタック方式の装置では、先にスタックした券類と後からスタックする券類との衝突によりジャムになる恐れもある。
さらに、長い券類の後退搬送やストッパの可動などにより処理時間がかかる上に、機構も複雑化し、コストアップにも繋がるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、券片の長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを可能とすることにある。これにより、装置の小型化及び処理能力アップを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る券類排出装置は、長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域を形成するベルト搬送機構と、搬送路を搬送された券片を回転させながらスタック領域に送り込むシートローラとを有し、ベルト搬送機構とシートローラを同期させながら駆動制御する券類排出装置として構成される。
好ましい例では、搬送される券片が1枚の場合には、上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構の上下可動及びシートローラの回転駆動を行わず、搬送されてきた券片をそのままベルト搬送機構の駆動により搬送して排出する。
また、好ましい例では、上ベルト搬送機構は、券片が搬送されてくる上流側に回転支点を持ち、券片の排出側が持ち上がり、下ベルト搬送機構は、排出側に回転支点を持ち、券片が搬送されて来る上流側が大きく下に開放され、スタック領域を形成し、同じ幅で長さの異なる複数の券片をスタック領域に保持する。
【0009】
また、好ましい例では、排出口より外入れ挿入された券片が複数枚の挿入されたことを検知する複数枚検知機構と、外入れされた券片を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、幅寄せガイド機構により幅寄せされた券片をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構とを備えるの券類排出装置として構成される。
一例では、前記シートローラは、その周囲に長さの異なる複数の弾性部材製の羽根を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同じ幅の券片であれば長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを行なうことができる。このため、装置の小型化及び処理能力アップを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る券類排出装置を発券プリンタに適用した実施例を説明するための概略構成図である。
図2は一実施例による券類排出装置の構成を示す平面図、図3は同じく正面図である。
【0012】
まず、図1を参照して券類排出装置を備える発券プリンタの構成について説明する。
この発券プリンタには、裏面に磁気コーティングされた2巻のロール紙81,82が供給部にセットされる。2巻のロール紙801,802をセットするのは、できるだけ長時間の運用に耐え、運用中の補充の手間をできるだけ減らすことを目的としている。ロール紙801又は802(連続紙80)の先端部は、モータ23により駆動されて矢印a方向に搬送され、搬送路1内に送り込まれる構造になっている。
【0013】
搬送路1にはカッタ51が取り付けられており、搬送中の連続紙80は、カッタ51で所定の長さ(サイズの異なる券片含む)に切断されて券片6が作成され、券片6は搬送路1を矢印b方向へ送られる。
搬送路1には、券片6に印刷のためのサーマルヘッド9が、搬送路1に対して退避可能に設けられる。搬送中の券片6は印刷位置制御によりサーマルヘッド9の位置に一旦停止し、その後一定速度で搬送されながらサーマルヘッド9により券片6に印刷が行われる。印刷が完了すると、サーマルヘッド9は搬送路1から背後へ退避させる。
【0014】
搬送路1には、また、書込みヘッド71と読取りヘッド72を備えたエンコードユニット70が設けられる。書込みヘッド71で、搬送される券片6の裏面に磁気データが書き込まれる。その後、読取りヘッド72で、券片6に書き込まれた情報が読取られてリードチェックが行なわれる。
【0015】
リードチェックの結果、書込みヘッド71による磁気書込みが異常であると判断された場合には、券片6は一旦搬送されて来た搬送路1を逆送されて、一時スタックユニット11へ搬送され、そこに一時保持される。その後、異常券片6は、一時スタックユニット11から搬送路1を搬送され、サーマルヘッド9によって「使用できない」旨の印刷が行なわれ、再度エンコードユニット10に搬送されて、先ほど書き込まれた磁気情報を書込みヘッド71によって磁気消去する。その後、搬送モータを逆転させて、この異常券片6を逆搬送して回収箱14へ搬送し、回収する。このとき、上位装置又は制御部からの指示によって、パンチユニット15によって券片6にパンチ穴をあけて回収することがある。
【0016】
一方、上記リードチェックの結果、正常に磁気情報が書き込まれたと判断された券片6は、排出ユニット16へ搬送される。搬送路1のエンコードユニット70の後段に設けられる排出ユニット16が本発明に係る券類排出装置(図、1,2)に関係する。
尚、搬送路1には、ドット式の印字ユニット24が設けられる。例えば排出ユニット16から外入れされた回数券にて指定券を発行した際、その回数券に「指定券発行済み」である旨をこの印字ユニット24にて印字する。これは、外入れされる券片が間接サーマル用の券片である場合もあるため、一律、このドット印字方式の印字ユニットで印字する。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して本実施例に係る券類排出装置について説明する。図2は平面図、図3は側面図である。
29a、29bは券類排出装置16のベースとなるフレーム、30は搬送ローラであり、発券された券片6を排出ユニット16へと搬送する。
排出ユニット16には、上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを含むベルト搬送機構19が対向して配置される。上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bは、モータ23により正逆方向に回転駆動可能となり、またモータ18により回転軸を中心にして上方向j、下方向g(図6、図7)に変位される。特徴的なことは、上ベルト搬送機構19aは支点20(上流側)を軸に上方向jに少し回転移動され、下ベルト搬送機構19bは支点21(排出口側)を軸に大きく下方向gに回転移動される。この上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bの上下移動によりスタック領域A(図6〜9)が形成される。
【0018】
上下ベルト搬送機構19a、19bの駆動は、シートローラ17の回転に合わせ同期を取りながら行なわれる。券片6を下ベルト搬送機構19bに追従する様に落下させることができる。
【0019】
ここで、図4を参照して、シートローラ17の構成について説明する。
シートローラ17は、排出ユニット16に搬送されて来て、ローラ31の位置に停止した券片6(図5に示す位置)を下から支えるために、券片6が押しのけて搬送できるようにするためある程度の弾性を有するシート状の羽根91〜92を持つローラである。また、シートローラ17は、券片6をスタックするとき(図6以降)に、上方向から券片6の後端を押しながら下に掻き落とす様に、スタック領域Aにスタックさせる作用も行う。券片6を掻き落とす場合、強さに変化を持たせるために、長い羽根91と短い羽根92のように長さの違う羽根を組み合わせることができる。
【0020】
尚、部分93には羽根が設けられていない。このように、ローラの全周に羽根を設けていないのは、外入れされてくる券片6の搬送の抵抗になって、ジャムなどの障害を発生させないために、羽根を設けていない位置93が搬送時に搬送路1となるように位相合わせの制御が行なわれる。
【0021】
図2,3に示す排出ユニット16の機構、動作について更に説明する。
搬送された券片6は、搬送ローラ31の位置で一度停止し、次に、スタック領域Aに複数枚の券片が蓄積される場合、スタック領域Aにスタックするために、まず、モータ43を駆動してシートローラ17を矢印e方向(図6)に回転させる。この回転により、シートローラ17が券片6の後端に掛かり、券片6を掻き落とし始めたのと同時に、モータ18の駆動により上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを可動させ、モータ43によりシートローラ17の回転と同期を取りながら、ベルト搬送機構19a、19bをモータ18の駆動により定位置まで可動させて、スタック領域Aを形成させる。これにより券片6は下ベルト搬送機構19bにならい、スタック領域Aに蓄積される。
【0022】
この時、券片6は自由落下であるが、ベルト搬送機構とシートローラの同期を図った可動により、図6の様にスタック領域が狭いうちに、券片6を落下させることで、券片の落下時の自由度をコントロールして、斜めになったりしないように下ベルト搬送機構19bの上に落下させることができ、券片6を正常に蓄積させることができる。また、シャッタ32は閉じた状態にあり、このシャッタ32により、前方への飛び出しを防止している。
【0023】
次に、スタック領域Aに複数枚の券片6がある場合、同様に後から搬送されてきた券片6は、モータ43によるシートローラ17の回転により、先に蓄積していた券片6の上に、図9の様に順次積載する形で蓄積していく。
指定枚数の券片を蓄積した後、モータ18の駆動により上下ベルト搬送機構19a、19bを元の定位置に可動させ戻し、ベルトをモータ23により券片6が排出口22方向へと向かう方向へ駆動させることで、図10の様にスタックした券片6を搬送し、排出口22に放出する。
放出が完了したら、図11の様にシャッタ32を閉じ、外部券片を逆に押し込まれないようにする。
【0024】
また、幅寄せガイド33は、トーションバネ34で支持され、常に閉じる方向(d方向)に力が加わりストッパ42で保持されている。ここに、幅広券が搬送されて来た場合は、幅寄せガイド33は定位置にあるが、エドモンソン券のような幅狭の券片が搬送されて来た場合は、エドモンソン券の券幅に合わせた搬送幅を形成することでエドモンソン券の姿勢を一定に保つ。これは、例えば、ソレノイド35のようなアクチュエータにより、幅寄せガイド33をf方向に移動させて定位置よりさらに排出ユニット16内に閉じる動作をさせることで行なう。
【0025】
次に、このエドモンソン券をスタック領域Aに蓄積する場合は、上記と同様に、シートローラ17と上下ベルト搬送機構19a、19bによってスタック動作を行うことで、複数枚の券片の蓄積を可能としている。
【0026】
さらに、この券類排出装置は、外入れ券6aを取り込むことができる。排出口22に挿入された外入れ券6aは、センサ36、37、38により、例えば、センサ36とセンサ37のみがダークとなった場合は、幅狭のエドモンソン券と判断し、センサ36とセンサ38がダークとなった場合は、幅広券と判断する。この判断に従って、モータ23を逆転方向に駆動して上下ベルト搬送機構19a、19bを逆方向へ動作させて外入れ券6aを取込み、エンコードユニット70に搬送し、所定の処理を行なう。
【0027】
この外入れ券6aを取込む際、外入れ券6aは利用者がどのような保管状態で持っていたか判らないため、カール癖が付いたものや、折れ、シワなどが入った状態のものなど、不定な状態の券が挿入される。また、挿入時の券片の姿勢も不特定である。このような条件下で券片が外入れされた場合でも、まず、上下ベルト搬送機構19a、19bによりベルト搬送で券片を加え、左右の姿勢においては、幅寄せガイド33を可動させることで、幅方向を規制したまま、券片を搬送することで、券片の搬送スキューを抑えることができる。また、ベルト搬送機構19a、19bの奥側に配置されている搬送ローラの上側のローラ39は、テーパーローラとなっており、常に基準面Dに押付ける方向に作用する向きに組み込まれているため、外入れ券6aがこの搬送ローラ39を通過することで、さらにスキュー補正をうけながら搬送されるため、券片の状態の影響によるジャム要因を取り除くことができる。
【0028】
さらに、搬送ローラ39の間には、外入れ券6aが誤って2枚以上同時に挿入された場合に、厚みによりカム40が回転して、センサ41により検知し、複数枚挿入を防止する複数枚検知機構がある。この複数枚検知機構により2枚以上の外入れ券6aが挿入されたことを検知した場合は、外入れ券6aの搬送を停止し、その時点で券片6aを排出口22へ返却するように制御する。
【0029】
次に、図5〜図11を参照しながら、排出ユニット16における動作について説明する。
図5、図6に示すように、搬送された券片6は、モータ43を駆動することでシートローラ17を回転させ、券片6の後端上部より下に掻き落とす。また、大容量の券片を保持できる空間A(スタック領域)を確保するために、モータ23により正逆回転に駆動可能で且つモータ18により上下に変位可能な上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bにおいて、上ベルト搬送機構19aは支点20を軸に上に少し回転移動させ、下ベルト搬送機構19bは支点21を軸に大きく下に回転移動させる(図7〜8参照)。
【0030】
シートローラ17の回転に合わせて同期を取りながら、上下ベルト搬送機構19a、19bを可動させることにより、券片6は、下ベルト搬送機構19bに追従する様に落下させることができる。券類は自由落下方式にも拘わらず、落下時にふら付いたりして斜めになったりすることが無く、図8のようにスタック領域Aに保持させることができる。
【0031】
尚、搬送路1から搬送される券片6が1枚のみの時は、スタック動作をさせることなく、そのまま上下ベルト搬送機構を閉じたまま、ベルト搬送し、排出口22に排出し、放出となる。
複数枚の券片6を取扱う場合には、シートローラ17の回転により2枚目以降の券片6も同様に送り込んで、スタック領域Aに積載させることができる(図9参照)。
【0032】
次に、スタック領域Aに積載された複数枚の券片6を一括放出するために、開いていた上下ベルト搬送機構19a,19bを閉じる。これによってベルト搬送が可能となり、モータ23を駆動してベルトを走行させることで、スタック領域Aに積載されていた複数枚の券片6は排出口22へと搬送され、図11のように一括放出する。
券片6が一括放出された後、図11のようにシャッタ32を閉じることで、一括放出した券片6が逆に押し込まれないようにする。
【0033】
また、自動券売機において回数券などで指定券を予約する場合には、券片を排出口22から装置内へ外入れ挿入する必要がある。この場合、排出ユニット16においてモータ23を逆回転させて上下ベルト搬送機構19a、19bをh方向へ走行されることで、排出口22から外入れ挿入された券片6aをh方向へ搬送させて装置内に取り込むことができる(図2参照)。
【0034】
装置内に取り込まれた券片6aは、エンコードユニット70により磁気情報を読み取り、一時スタックユニット11へと搬送される。この外入れ時に、目的とする券片ではないものが挿入されたか否かを、センサによって券片の長さをチェックすることで判別する。その結果、もし目的外の券片が挿入された場合には、その券片を排出口から排出して返却する。
このように、複数枚の券片が取込まれる場合は、一定間隔をあけて一時スタックユニット11に規定枚数以内で次々に取り込むことができる。
【0035】
次に、顧客の指定例えば指定券の購入依頼があった場合、ホストコンピュータ等の上位装置からの指示により、指定券となる券片を作成するために、ロール紙81又は82を繰出して、搬送路1上で切断して券片6を作成する。その後券片6に印字及び磁気情報の書込みが施されて、券片6は排出ユニット16へ搬送される。複数の指定がある場合には、指定の枚数分の券片6が搬送されてスタック領域Aに保持される。
【0036】
そして、先に取り込まれて一時スタックユニット11に保持されていた券片6aを搬送路に送り出して、印字ユニット24で「指定券発行済み」の情報を印字する。
この情報が印字された券片6aは、エンコードユニット70へ搬送され、上位装置からの指示により磁気情報の書込みがあれば同様に書込み、その後読取確認を行って、排出ユニット11へと搬送される。排出ユニット11のスタック領域Aには、先に発券した券片6の上に、搬送されて来た券片6aが順次蓄積される(図5〜図9参照の動作)。
【0037】
全ての券片6,6aの蓄積が終了したら、モータ18を駆動して開いていた上下ベルト搬送機構19a、19bを閉じ、モータ23の駆動によりベルトを駆動させ、これらの券片6、6aを排出口22へ搬送して一括放出する。
【0038】
以上のように、本実施例の券類排出装置によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)モータにより正逆回転に駆動可能でかつ上下に変位可能なベルト搬送機構と、搬送されて来る券類を送り込むシートローラを備えた機構によって、このベルト搬送機構を上下に変位させて形成されたスタック領域に、券類を保持することができる。またシャッタによって、スタック領域にスタックされた券類が飛び出さないように防止することができる。
また、券類をかき落とす動作を続けていくことで、ベルト搬送機構に追従するように、券類は落下するため、正常にスタックすることが可能でジャムを防止できる様になる。
(2)外入れされた券類などで、取扱いが出来ないものなど、その券類1枚のみを返却排出しようとした場合においては、ベルト搬送機構やシートローラを可動させずに、そのままベルト搬送する制御により、処理時間の短縮を図ることが可能である。
(3)モータにより正逆回転に駆動可能で上下に変位可能なベルト搬送機構において、上ベルト搬送機構は券類が搬送されて来る上流側に回転支点を持ち、下ベルト搬送機構は券類の排出口側に回転支点を持ち、下ベルト搬送機構は、上ベルト搬送機構よりも大きく開閉できるように構成したので、大容量のスタック領域を確保することが可能になる。そのため、同じ幅の券類であれば、長さの違いや順序は問わず同じ制御により多数枚のスタックが可能となる。
(4)券類排出装置において、券類が排出口から外入れ挿入された場合に、券類が誤って複数枚重ねて誤挿入された場合に、券類の厚みを検知する複数枚検知機構を有し、外入れされた券類を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、幅寄せガイド機構により幅寄せされた券類をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構とを備えることにより、当該券類排出装置内で作成された券類を排出口から排出するだけでなく、外入れ挿入された券類を当該装置内で処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一実施例による券類排出装置を備えた発券プリンタの構成を示す図、
【図2】一実施例による券類排出装置の構成を示す平面図、
【図3】一実施例による券類排出装置の構成を示す側面図、
【図4】一実施例の券類排出装置に使用されるシートローラ17の構成例を示す図、
【図5】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図6】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図7】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図8】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図9】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図10】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図11】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図。
【符号の説明】
【0040】
1:搬送路、51:カッタ、70:エンコードユニット、71:書込みヘッド、72:読取りヘッド、81,82:ロール紙、9:サーマルヘッド、6:券片、6a:券片、11:一時スタックユニット、14:回収箱、15:パンチユニット、16:排出ユニット、17:シートローラ、18:モータ、19:ベルト搬送機構、 19a:上ベルト搬送機構、 19b:下ベルト搬送機構、20、21:支点、22:排出口、23:モータ、24:印字ユニット、29a、29b:フレーム、30:搬送ローラ、31:搬送ローラ、32:シャッタ、33:幅寄せガイド、34:トーションバネ、
35:ソレノイド、 36、37、38:センサ、39:搬送ローラ、40:カム、41:センサ、42:ストッパ、 51:カッタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、券類排出装置に係り、特に長さの異なる券片を複数枚スタックし、排出口より一括して放出する券類排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客業等の各種チケットやカード、更には娯楽関連のポイントカード、施設利用カードなどの券片を新規発行したり、発行済みの券片の内容を更新するために、1台の装置で長さの異なる種々の券片を取扱うことがある。
【0003】
従来、この種の券類排出装置としては、例えば、特許文献1(特開2000−215329号公報)に開示されているように、上側のベルト搬送機構を少し持上げ、下方よりベルト搬送してきた長い券類をまず券類の長さにあわせたストッパによりスタックし、その後、後退搬送して次に同じく下方よりベルト搬送されてくる、短い券類がスタックできるように、長い券類が後退した位置でストッパを可動している。そして、長い券類の下に、短い券類を潜り込ませるようにしてベルト搬送し、複数枚の券類をスタックさせる。その後、スタック完了後に一括排出している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−215329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような券類排出装置によれば、上側のベルト搬送機構のみを持上げる構造で、スタックできる枚数も少量と制限される。また、下方よりベルト搬送で券類を潜り込ませてスタックする方式であるため、まず先に長い券類をスタックさせ、次にスタックする券類の先端と、先にスタックした券類の後端とが衝突しない位置まで長い券類を後退搬送しなければならない。
この際、長さの異なる券類に合わせ、券類の長さに合わせたそれぞれ異なるストッパを可動させて、位置決めを行っている。
【0006】
このような、従来技術によるスタック方式の装置では、先にスタックした券類と後からスタックする券類との衝突によりジャムになる恐れもある。
さらに、長い券類の後退搬送やストッパの可動などにより処理時間がかかる上に、機構も複雑化し、コストアップにも繋がるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、券片の長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを可能とすることにある。これにより、装置の小型化及び処理能力アップを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る券類排出装置は、長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域を形成するベルト搬送機構と、搬送路を搬送された券片を回転させながらスタック領域に送り込むシートローラとを有し、ベルト搬送機構とシートローラを同期させながら駆動制御する券類排出装置として構成される。
好ましい例では、搬送される券片が1枚の場合には、上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構の上下可動及びシートローラの回転駆動を行わず、搬送されてきた券片をそのままベルト搬送機構の駆動により搬送して排出する。
また、好ましい例では、上ベルト搬送機構は、券片が搬送されてくる上流側に回転支点を持ち、券片の排出側が持ち上がり、下ベルト搬送機構は、排出側に回転支点を持ち、券片が搬送されて来る上流側が大きく下に開放され、スタック領域を形成し、同じ幅で長さの異なる複数の券片をスタック領域に保持する。
【0009】
また、好ましい例では、排出口より外入れ挿入された券片が複数枚の挿入されたことを検知する複数枚検知機構と、外入れされた券片を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、幅寄せガイド機構により幅寄せされた券片をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構とを備えるの券類排出装置として構成される。
一例では、前記シートローラは、その周囲に長さの異なる複数の弾性部材製の羽根を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同じ幅の券片であれば長さや順序を意識することなく、同じ制御で大容量のスタックを行なうことができる。このため、装置の小型化及び処理能力アップを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る券類排出装置を発券プリンタに適用した実施例を説明するための概略構成図である。
図2は一実施例による券類排出装置の構成を示す平面図、図3は同じく正面図である。
【0012】
まず、図1を参照して券類排出装置を備える発券プリンタの構成について説明する。
この発券プリンタには、裏面に磁気コーティングされた2巻のロール紙81,82が供給部にセットされる。2巻のロール紙801,802をセットするのは、できるだけ長時間の運用に耐え、運用中の補充の手間をできるだけ減らすことを目的としている。ロール紙801又は802(連続紙80)の先端部は、モータ23により駆動されて矢印a方向に搬送され、搬送路1内に送り込まれる構造になっている。
【0013】
搬送路1にはカッタ51が取り付けられており、搬送中の連続紙80は、カッタ51で所定の長さ(サイズの異なる券片含む)に切断されて券片6が作成され、券片6は搬送路1を矢印b方向へ送られる。
搬送路1には、券片6に印刷のためのサーマルヘッド9が、搬送路1に対して退避可能に設けられる。搬送中の券片6は印刷位置制御によりサーマルヘッド9の位置に一旦停止し、その後一定速度で搬送されながらサーマルヘッド9により券片6に印刷が行われる。印刷が完了すると、サーマルヘッド9は搬送路1から背後へ退避させる。
【0014】
搬送路1には、また、書込みヘッド71と読取りヘッド72を備えたエンコードユニット70が設けられる。書込みヘッド71で、搬送される券片6の裏面に磁気データが書き込まれる。その後、読取りヘッド72で、券片6に書き込まれた情報が読取られてリードチェックが行なわれる。
【0015】
リードチェックの結果、書込みヘッド71による磁気書込みが異常であると判断された場合には、券片6は一旦搬送されて来た搬送路1を逆送されて、一時スタックユニット11へ搬送され、そこに一時保持される。その後、異常券片6は、一時スタックユニット11から搬送路1を搬送され、サーマルヘッド9によって「使用できない」旨の印刷が行なわれ、再度エンコードユニット10に搬送されて、先ほど書き込まれた磁気情報を書込みヘッド71によって磁気消去する。その後、搬送モータを逆転させて、この異常券片6を逆搬送して回収箱14へ搬送し、回収する。このとき、上位装置又は制御部からの指示によって、パンチユニット15によって券片6にパンチ穴をあけて回収することがある。
【0016】
一方、上記リードチェックの結果、正常に磁気情報が書き込まれたと判断された券片6は、排出ユニット16へ搬送される。搬送路1のエンコードユニット70の後段に設けられる排出ユニット16が本発明に係る券類排出装置(図、1,2)に関係する。
尚、搬送路1には、ドット式の印字ユニット24が設けられる。例えば排出ユニット16から外入れされた回数券にて指定券を発行した際、その回数券に「指定券発行済み」である旨をこの印字ユニット24にて印字する。これは、外入れされる券片が間接サーマル用の券片である場合もあるため、一律、このドット印字方式の印字ユニットで印字する。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して本実施例に係る券類排出装置について説明する。図2は平面図、図3は側面図である。
29a、29bは券類排出装置16のベースとなるフレーム、30は搬送ローラであり、発券された券片6を排出ユニット16へと搬送する。
排出ユニット16には、上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを含むベルト搬送機構19が対向して配置される。上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bは、モータ23により正逆方向に回転駆動可能となり、またモータ18により回転軸を中心にして上方向j、下方向g(図6、図7)に変位される。特徴的なことは、上ベルト搬送機構19aは支点20(上流側)を軸に上方向jに少し回転移動され、下ベルト搬送機構19bは支点21(排出口側)を軸に大きく下方向gに回転移動される。この上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bの上下移動によりスタック領域A(図6〜9)が形成される。
【0018】
上下ベルト搬送機構19a、19bの駆動は、シートローラ17の回転に合わせ同期を取りながら行なわれる。券片6を下ベルト搬送機構19bに追従する様に落下させることができる。
【0019】
ここで、図4を参照して、シートローラ17の構成について説明する。
シートローラ17は、排出ユニット16に搬送されて来て、ローラ31の位置に停止した券片6(図5に示す位置)を下から支えるために、券片6が押しのけて搬送できるようにするためある程度の弾性を有するシート状の羽根91〜92を持つローラである。また、シートローラ17は、券片6をスタックするとき(図6以降)に、上方向から券片6の後端を押しながら下に掻き落とす様に、スタック領域Aにスタックさせる作用も行う。券片6を掻き落とす場合、強さに変化を持たせるために、長い羽根91と短い羽根92のように長さの違う羽根を組み合わせることができる。
【0020】
尚、部分93には羽根が設けられていない。このように、ローラの全周に羽根を設けていないのは、外入れされてくる券片6の搬送の抵抗になって、ジャムなどの障害を発生させないために、羽根を設けていない位置93が搬送時に搬送路1となるように位相合わせの制御が行なわれる。
【0021】
図2,3に示す排出ユニット16の機構、動作について更に説明する。
搬送された券片6は、搬送ローラ31の位置で一度停止し、次に、スタック領域Aに複数枚の券片が蓄積される場合、スタック領域Aにスタックするために、まず、モータ43を駆動してシートローラ17を矢印e方向(図6)に回転させる。この回転により、シートローラ17が券片6の後端に掛かり、券片6を掻き落とし始めたのと同時に、モータ18の駆動により上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bを可動させ、モータ43によりシートローラ17の回転と同期を取りながら、ベルト搬送機構19a、19bをモータ18の駆動により定位置まで可動させて、スタック領域Aを形成させる。これにより券片6は下ベルト搬送機構19bにならい、スタック領域Aに蓄積される。
【0022】
この時、券片6は自由落下であるが、ベルト搬送機構とシートローラの同期を図った可動により、図6の様にスタック領域が狭いうちに、券片6を落下させることで、券片の落下時の自由度をコントロールして、斜めになったりしないように下ベルト搬送機構19bの上に落下させることができ、券片6を正常に蓄積させることができる。また、シャッタ32は閉じた状態にあり、このシャッタ32により、前方への飛び出しを防止している。
【0023】
次に、スタック領域Aに複数枚の券片6がある場合、同様に後から搬送されてきた券片6は、モータ43によるシートローラ17の回転により、先に蓄積していた券片6の上に、図9の様に順次積載する形で蓄積していく。
指定枚数の券片を蓄積した後、モータ18の駆動により上下ベルト搬送機構19a、19bを元の定位置に可動させ戻し、ベルトをモータ23により券片6が排出口22方向へと向かう方向へ駆動させることで、図10の様にスタックした券片6を搬送し、排出口22に放出する。
放出が完了したら、図11の様にシャッタ32を閉じ、外部券片を逆に押し込まれないようにする。
【0024】
また、幅寄せガイド33は、トーションバネ34で支持され、常に閉じる方向(d方向)に力が加わりストッパ42で保持されている。ここに、幅広券が搬送されて来た場合は、幅寄せガイド33は定位置にあるが、エドモンソン券のような幅狭の券片が搬送されて来た場合は、エドモンソン券の券幅に合わせた搬送幅を形成することでエドモンソン券の姿勢を一定に保つ。これは、例えば、ソレノイド35のようなアクチュエータにより、幅寄せガイド33をf方向に移動させて定位置よりさらに排出ユニット16内に閉じる動作をさせることで行なう。
【0025】
次に、このエドモンソン券をスタック領域Aに蓄積する場合は、上記と同様に、シートローラ17と上下ベルト搬送機構19a、19bによってスタック動作を行うことで、複数枚の券片の蓄積を可能としている。
【0026】
さらに、この券類排出装置は、外入れ券6aを取り込むことができる。排出口22に挿入された外入れ券6aは、センサ36、37、38により、例えば、センサ36とセンサ37のみがダークとなった場合は、幅狭のエドモンソン券と判断し、センサ36とセンサ38がダークとなった場合は、幅広券と判断する。この判断に従って、モータ23を逆転方向に駆動して上下ベルト搬送機構19a、19bを逆方向へ動作させて外入れ券6aを取込み、エンコードユニット70に搬送し、所定の処理を行なう。
【0027】
この外入れ券6aを取込む際、外入れ券6aは利用者がどのような保管状態で持っていたか判らないため、カール癖が付いたものや、折れ、シワなどが入った状態のものなど、不定な状態の券が挿入される。また、挿入時の券片の姿勢も不特定である。このような条件下で券片が外入れされた場合でも、まず、上下ベルト搬送機構19a、19bによりベルト搬送で券片を加え、左右の姿勢においては、幅寄せガイド33を可動させることで、幅方向を規制したまま、券片を搬送することで、券片の搬送スキューを抑えることができる。また、ベルト搬送機構19a、19bの奥側に配置されている搬送ローラの上側のローラ39は、テーパーローラとなっており、常に基準面Dに押付ける方向に作用する向きに組み込まれているため、外入れ券6aがこの搬送ローラ39を通過することで、さらにスキュー補正をうけながら搬送されるため、券片の状態の影響によるジャム要因を取り除くことができる。
【0028】
さらに、搬送ローラ39の間には、外入れ券6aが誤って2枚以上同時に挿入された場合に、厚みによりカム40が回転して、センサ41により検知し、複数枚挿入を防止する複数枚検知機構がある。この複数枚検知機構により2枚以上の外入れ券6aが挿入されたことを検知した場合は、外入れ券6aの搬送を停止し、その時点で券片6aを排出口22へ返却するように制御する。
【0029】
次に、図5〜図11を参照しながら、排出ユニット16における動作について説明する。
図5、図6に示すように、搬送された券片6は、モータ43を駆動することでシートローラ17を回転させ、券片6の後端上部より下に掻き落とす。また、大容量の券片を保持できる空間A(スタック領域)を確保するために、モータ23により正逆回転に駆動可能で且つモータ18により上下に変位可能な上ベルト搬送機構19aと下ベルト搬送機構19bにおいて、上ベルト搬送機構19aは支点20を軸に上に少し回転移動させ、下ベルト搬送機構19bは支点21を軸に大きく下に回転移動させる(図7〜8参照)。
【0030】
シートローラ17の回転に合わせて同期を取りながら、上下ベルト搬送機構19a、19bを可動させることにより、券片6は、下ベルト搬送機構19bに追従する様に落下させることができる。券類は自由落下方式にも拘わらず、落下時にふら付いたりして斜めになったりすることが無く、図8のようにスタック領域Aに保持させることができる。
【0031】
尚、搬送路1から搬送される券片6が1枚のみの時は、スタック動作をさせることなく、そのまま上下ベルト搬送機構を閉じたまま、ベルト搬送し、排出口22に排出し、放出となる。
複数枚の券片6を取扱う場合には、シートローラ17の回転により2枚目以降の券片6も同様に送り込んで、スタック領域Aに積載させることができる(図9参照)。
【0032】
次に、スタック領域Aに積載された複数枚の券片6を一括放出するために、開いていた上下ベルト搬送機構19a,19bを閉じる。これによってベルト搬送が可能となり、モータ23を駆動してベルトを走行させることで、スタック領域Aに積載されていた複数枚の券片6は排出口22へと搬送され、図11のように一括放出する。
券片6が一括放出された後、図11のようにシャッタ32を閉じることで、一括放出した券片6が逆に押し込まれないようにする。
【0033】
また、自動券売機において回数券などで指定券を予約する場合には、券片を排出口22から装置内へ外入れ挿入する必要がある。この場合、排出ユニット16においてモータ23を逆回転させて上下ベルト搬送機構19a、19bをh方向へ走行されることで、排出口22から外入れ挿入された券片6aをh方向へ搬送させて装置内に取り込むことができる(図2参照)。
【0034】
装置内に取り込まれた券片6aは、エンコードユニット70により磁気情報を読み取り、一時スタックユニット11へと搬送される。この外入れ時に、目的とする券片ではないものが挿入されたか否かを、センサによって券片の長さをチェックすることで判別する。その結果、もし目的外の券片が挿入された場合には、その券片を排出口から排出して返却する。
このように、複数枚の券片が取込まれる場合は、一定間隔をあけて一時スタックユニット11に規定枚数以内で次々に取り込むことができる。
【0035】
次に、顧客の指定例えば指定券の購入依頼があった場合、ホストコンピュータ等の上位装置からの指示により、指定券となる券片を作成するために、ロール紙81又は82を繰出して、搬送路1上で切断して券片6を作成する。その後券片6に印字及び磁気情報の書込みが施されて、券片6は排出ユニット16へ搬送される。複数の指定がある場合には、指定の枚数分の券片6が搬送されてスタック領域Aに保持される。
【0036】
そして、先に取り込まれて一時スタックユニット11に保持されていた券片6aを搬送路に送り出して、印字ユニット24で「指定券発行済み」の情報を印字する。
この情報が印字された券片6aは、エンコードユニット70へ搬送され、上位装置からの指示により磁気情報の書込みがあれば同様に書込み、その後読取確認を行って、排出ユニット11へと搬送される。排出ユニット11のスタック領域Aには、先に発券した券片6の上に、搬送されて来た券片6aが順次蓄積される(図5〜図9参照の動作)。
【0037】
全ての券片6,6aの蓄積が終了したら、モータ18を駆動して開いていた上下ベルト搬送機構19a、19bを閉じ、モータ23の駆動によりベルトを駆動させ、これらの券片6、6aを排出口22へ搬送して一括放出する。
【0038】
以上のように、本実施例の券類排出装置によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)モータにより正逆回転に駆動可能でかつ上下に変位可能なベルト搬送機構と、搬送されて来る券類を送り込むシートローラを備えた機構によって、このベルト搬送機構を上下に変位させて形成されたスタック領域に、券類を保持することができる。またシャッタによって、スタック領域にスタックされた券類が飛び出さないように防止することができる。
また、券類をかき落とす動作を続けていくことで、ベルト搬送機構に追従するように、券類は落下するため、正常にスタックすることが可能でジャムを防止できる様になる。
(2)外入れされた券類などで、取扱いが出来ないものなど、その券類1枚のみを返却排出しようとした場合においては、ベルト搬送機構やシートローラを可動させずに、そのままベルト搬送する制御により、処理時間の短縮を図ることが可能である。
(3)モータにより正逆回転に駆動可能で上下に変位可能なベルト搬送機構において、上ベルト搬送機構は券類が搬送されて来る上流側に回転支点を持ち、下ベルト搬送機構は券類の排出口側に回転支点を持ち、下ベルト搬送機構は、上ベルト搬送機構よりも大きく開閉できるように構成したので、大容量のスタック領域を確保することが可能になる。そのため、同じ幅の券類であれば、長さの違いや順序は問わず同じ制御により多数枚のスタックが可能となる。
(4)券類排出装置において、券類が排出口から外入れ挿入された場合に、券類が誤って複数枚重ねて誤挿入された場合に、券類の厚みを検知する複数枚検知機構を有し、外入れされた券類を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、幅寄せガイド機構により幅寄せされた券類をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構とを備えることにより、当該券類排出装置内で作成された券類を排出口から排出するだけでなく、外入れ挿入された券類を当該装置内で処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一実施例による券類排出装置を備えた発券プリンタの構成を示す図、
【図2】一実施例による券類排出装置の構成を示す平面図、
【図3】一実施例による券類排出装置の構成を示す側面図、
【図4】一実施例の券類排出装置に使用されるシートローラ17の構成例を示す図、
【図5】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図6】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図7】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図8】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図9】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図10】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図、
【図11】券片の搬送動作を説明するための券類排出装置の側面図。
【符号の説明】
【0040】
1:搬送路、51:カッタ、70:エンコードユニット、71:書込みヘッド、72:読取りヘッド、81,82:ロール紙、9:サーマルヘッド、6:券片、6a:券片、11:一時スタックユニット、14:回収箱、15:パンチユニット、16:排出ユニット、17:シートローラ、18:モータ、19:ベルト搬送機構、 19a:上ベルト搬送機構、 19b:下ベルト搬送機構、20、21:支点、22:排出口、23:モータ、24:印字ユニット、29a、29b:フレーム、30:搬送ローラ、31:搬送ローラ、32:シャッタ、33:幅寄せガイド、34:トーションバネ、
35:ソレノイド、 36、37、38:センサ、39:搬送ローラ、40:カム、41:センサ、42:ストッパ、 51:カッタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、
券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域を形成するベルト搬送機構と、搬送路を搬送された券片を回転させながら該スタック領域に送り込むシートローラとを有し、該ベルト搬送機構と該シートローラを同期させながら駆動制御することを特徴とする券類排出装置。
【請求項2】
搬送される券片が1枚の場合には、該上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構の上下可動及び該シートローラの回転駆動を行わず、搬送されてきた券片をそのまま該ベルト搬送機構の駆動により搬送して排出することを特徴とする券類排出装置。
【請求項3】
該上ベルト搬送機構は、券片が搬送されてくる上流側に回転支点を持ち、券片の排出側が持ち上がり、該下ベルト搬送機構は、該排出側に回転支点を持ち、券片が搬送されて来る上流側が大きく下に開放され、該スタック領域を形成し、同じ幅で長さの異なる複数の券片を該スタック領域に保持することを特徴とする請求項1又は2の券類排出装置。
【請求項4】
排出口より外入れ挿入された券片が複数枚の挿入されたことを検知する複数枚検知機構と、該外入れされた券片を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、該幅寄せガイド機構により幅寄せされた券片をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの券類排出装置。
【請求項5】
前記シートローラは、その周囲に長さの異なる複数の弾性部材製の羽根を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの券類排出装置。
【請求項1】
長さの異なる券片を複数枚スタックし、一括して排出する券類排出装置において、
券片を搬送する搬送路に連結され、対向する位置に配置された正逆回転可能な上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を有し、モータの駆動により上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構を上下に変位させてスタック領域を形成するベルト搬送機構と、搬送路を搬送された券片を回転させながら該スタック領域に送り込むシートローラとを有し、該ベルト搬送機構と該シートローラを同期させながら駆動制御することを特徴とする券類排出装置。
【請求項2】
搬送される券片が1枚の場合には、該上ベルト搬送機構と下ベルト搬送機構の上下可動及び該シートローラの回転駆動を行わず、搬送されてきた券片をそのまま該ベルト搬送機構の駆動により搬送して排出することを特徴とする券類排出装置。
【請求項3】
該上ベルト搬送機構は、券片が搬送されてくる上流側に回転支点を持ち、券片の排出側が持ち上がり、該下ベルト搬送機構は、該排出側に回転支点を持ち、券片が搬送されて来る上流側が大きく下に開放され、該スタック領域を形成し、同じ幅で長さの異なる複数の券片を該スタック領域に保持することを特徴とする請求項1又は2の券類排出装置。
【請求項4】
排出口より外入れ挿入された券片が複数枚の挿入されたことを検知する複数枚検知機構と、該外入れされた券片を基準面に幅寄せさせるための幅寄せガイド機構と、該幅寄せガイド機構により幅寄せされた券片をスキュー補正しながら搬送する幅寄せローラ機構と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの券類排出装置。
【請求項5】
前記シートローラは、その周囲に長さの異なる複数の弾性部材製の羽根を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの券類排出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−26153(P2007−26153A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208198(P2005−208198)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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