刺股型開閉可能な身体拘束具
【課題】暴漢者等から身体の危険を回避しながら、手足を確実に拘束することができる身体拘束具を提供する。
【解決手段】操作杆10の一端に設けられた拘束部2と、前記操作杆10に設けられたロック部3とにより構成され、前記拘束部2は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材11のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆10内にスライド自在に挿通されたスライドバー13の先端部に固着された支持部材15と搖動板17に回動自在に軸着してなり、前記搖動板17は前記スライドバー13をスライド自在に挿通する支持材に回動自在に軸着してなり、前記ロック部3は、前記スライドバー13に固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部23と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部25とからなる。
【解決手段】操作杆10の一端に設けられた拘束部2と、前記操作杆10に設けられたロック部3とにより構成され、前記拘束部2は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材11のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆10内にスライド自在に挿通されたスライドバー13の先端部に固着された支持部材15と搖動板17に回動自在に軸着してなり、前記搖動板17は前記スライドバー13をスライド自在に挿通する支持材に回動自在に軸着してなり、前記ロック部3は、前記スライドバー13に固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部23と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部25とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、犯罪者、暴漢者等からの生命、身体に対する急迫した攻撃から身体を保護するとともに、犯罪者等の足、手等を拘束して身体の自由を奪い、抵抗や逃走を防ぐことができる刺股型開閉可能な身体拘束具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刃物を所持している暴漢者から身を守りながら取り押さえる防犯具又は捕物具として、刺股が使用されており、また、警察官が犯罪者を逮捕する際には、手錠を用いて捕縛することが行われている。刺股は、江戸時代から使用されており、長柄の先端に湾曲した二股状の押し当て金具を取り付けたもので、二股の部分で激しく抵抗する暴漢者等を壁や床に押し付けて取り押さえる防犯具である。
【0003】
このような刺股として、例えば、特開2000−230800号公報記載の「刺股型の捕物道具」があり、特開2003−254697号公報記載の「刺股」がある。前記公報記載の「刺股型の捕物道具」は、いずれも二股状押し当て部の先端部を近接させるように可動させて閉塞状態とし、身体の自由を奪うように構成されている。
【0004】
特開2000−230800号公報記載の「刺股型の捕物道具」は、左右に分割された二股状押し当て部の中心部に摺動体を設けてなり、押し当て部が開放状態のときには摺動体が突出しており、暴漢者等の身体によって摺動体が押圧されると押し当て部が閉塞状態となって暴漢者等が自由に通れないようにしたものである。また、特開2003−254697号公報記載の「刺股」は、支持部材に端部を固定された左右の押し当て部の手前側途中部に空気圧シリンダーが装着されており、操作レバーを手動で操作することにより空気圧シリンダーが作動して左右の押し当て部が閉塞状態となるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−230800号公報
【特許文献2】特開2003−254697号公報(図17参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報記載の「刺股型の捕物道具」及び「刺股」は、いずれも暴漢者等の身体の周囲を取り囲むように閉塞して自由を奪うものであるから、押し当て部は大型となり操作が困難である。また、激しく抵抗する暴漢者等の身体は一定の角度には保たれてはいないから、長柄を両手で持って対応しても周囲の障害物や衣服等が邪魔になり、押し当て部で身体の周囲を取り囲むように閉塞することは困難である。
【0007】
また、刺股は、先端に二股状の大きな押し当て部が長柄に形成されているから、パトカーに積んでおくことができず、持ち運びや保管が困難である。また、刺股は、長柄を有しているから迅速な対応には不向きである。さらに、刺股は身体の周囲を拘束するものであり、行動の自由を奪ったとしても手足は自由に動かすことができる。したがって、暴漢者等が刃物等の凶器を所持している場合には、むやみに近付いて取り押さえることはできない。手足の自由を奪って完全に拘束するには、第三者の力を借りなければならないという問題がある。
【0008】
また、手錠は手首を拘束して両腕の自由を奪う手段として使用されることがあるが、両手に嵌めるまでは暴漢者等から危害を加えられるおそれがある。手錠を使用する場合には、暴漢者等の身体を拘束し、行動の自由を奪っておくことが必要である。
【0009】
上述の通り、刺股や手錠にはそれぞれ一長一短があって、現場で即座に対応できないという問題がある。この発明は、上述のような問題を解消するものであって、暴漢者等から身体の危険を回避しつつ、手足の自由を拘束することによって容易に取り押さえることができる刺股型開閉可能な身体拘束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記目的を達成するために次のような構成とした。この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具は、
操作杆の一端に設けられた拘束部と、前記操作杆に設けられたロック部とからなり、
前記拘束部は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着するとともに、前記スライドバーをスライド自在に挿通する支持材に回動自在に軸着してなる搖動板に前記一方の挟み込み部材を回動自在に軸着することによって形成されており、
前記ロック部は、前記スライドバーに固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部とからなり、前記鋸歯状突起と係止片とはスライド部材を操作杆の後端部方向にのみスライドさせ、拘束部方向にはスライドさせないように形成されており、
前記スライド部材及びスライドバーが操作杆の後端部方向にスライドして前記支持部材を後退させたときに、前記一対の挟み込み部材が閉じるようにしたことを特徴とする。
前記一対の挟み込み部材の先端部には、手足を内側に案内するガイドローラを取り付けることが好ましい。また、一対の挟み込み部材は少なくとも一方が開閉すればよいが、その両方が開閉するように、両方の挟み込み部材が前記スライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着されていることが好ましい。また、一対の挟み込み部材は閉じたとき交差するように形成してもよい。
【0011】
スライド部材は、操作杆に設けたバネによって操作杆の後端部方向に付勢するか、拘束部方向に付勢するように形成することができる。スライド部材を操作杆の後端部方向に付勢するバネを設けた場合には、急速に一対の挟み込み部材を閉じることができ、反対にスライド部材を拘束部方向に付勢するバネを設けた場合には、一対の挟み込み部材を急速に開口させることができる。また、スライド部材を操作杆の後端部方向に付勢するバネを設けた場合には、操作杆には一対の挟み込み部材の開口状態を保持するように、スライド部材に設けた係止孔と前記係止孔に出没自在に挿入する爪とからなる開口保持部を設けることが好ましい。
また、スライド部材を拘束部方向に付勢するバネを設けた場合には、操作杆には、スライド部材を強制的に操作杆の後端部方向に引き、支持部材を後退させて挟み込み部材を閉じることができるようにした操作部を設けることができる。
さらに、挟み込み部材は、操作杆との角度を変えられるように、支持部材とスライドバーを回動自在に連結するとともに、搖動板を可撓性材により形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の刺股型開閉可能な身体拘束具は、片手で操作することができ、身の安全を図りながら激しく抵抗する暴漢者等の身体を拘束することができる。また、警棒のように攻撃防御にも使用することができるとともに、嵩張らないからパトカー等に積んでおくこともでき、臨機応変に対応することができる。
【0013】
また、手錠と同じように、挟み込み部材が一旦閉じるとロック状態を解除するまでは開口することはないから、継続して行動の自由を奪うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態に係る身体拘束具の一部を断面した平面図である。
【図2】第1実施形態の拘束部の側面図である。
【図3】拘束部の一部を示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る身体拘束具の閉じた状態の一部断面平面図である。
【図5】第2実施形態の要部を断面した平面図である。
【図6】第3実施形態の要部を断面した平面図である。
【図7】第4実施形態の要部を断面した平面図である。
【図8】拘束部の一部を断面した分解斜視図である。
【図9】拘束部の第5実施形態の平面図である。
【図10】拘束部の第6実施形態の平面図である。
【図11】拘束部の第7実施形態の平面図である。
【図12】スライド部材と拘束部とは、連結部において角度が変えられることを説明する説明用斜視図である。
【図13】挟み込み部材の角度が変わった状態の説明用斜視図である。
【図14】ロック部と操作部の第2実施形態を示す断面図である。
【図15】ロック部と操作部の第3実施形態を示す断面図である。
【図16】ロック部と操作部の第3実施形態を示す平面図である。
【図17】足を拘束した使用状態の説明用斜視図である。
【図18】手を拘束した使用状態の説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具の具体的実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具(以下、単に身体拘束具という)の第1実施形態を示す一部を断面した平面図、図2は拘束部の側面図、図3は拘束部の一部を示す分解斜視図である。
【0016】
図示する身体拘束具1Aは、拘束部2と、前記拘束部2が閉じたときにロックするロック部3と、拘束部2の挟み込み部材を開口した状態に保持するバネ圧保持部5から構成されている。前記拘束部2は、管状の操作杆10の一端部に設けられており、ロック部3及びバネ圧保持部5は操作杆10に形成されている。
【0017】
さらに詳述すると、前記拘束部2は、開閉自在な独立した一対の挟み込み部材11、11を有している。前記挟み込み部材11、11は、略L字状に形成されており、内側面には、暴漢者の身体、特に手又は足を挟みこんで拘束することができるように湾曲面11a,11aが形成されている。さらに、挟み込み部材11、11の内側端部11b、11bは、操作杆10内にスライド自在に挿通されたスライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されているとともに、挟み込み部材11、11の外側角部11c、11cの近傍は、搖動板17の一端に回動自在に軸着されている。
【0018】
前記搖動板17の他端は、操作杆10の先端に取り付けられた支持材19の両端部に回動自在に軸着されている。従って、前記支持部材15が後退して支持材19側に接近すると、搖動板17によって挟み込み部材11,11の外側角部11c、11cが外方に回動して挟み込み部材11,11の先端部が閉じられる。挟み込み部材11,11が閉じられると、湾曲面11a,11aによって隙間が形成されることになり、この隙間に手又は足が挟みこまれる。
【0019】
さらに、挟み込み部材11,11について詳述すると、挟み込み部材11,11は、閉じたときに先端部が交差することができるように、中間部に屈曲部11d、11dを有している。前記屈曲部11d、11dを形成することによって、図2に示すように、屈曲部11d、11dより先端部は側面において互いに上下において交差する。挟み込み部材11,11は、湾曲面11a,11aを有しているとともに、屈曲部11d、11dを形成することによって交差可能に形成したから、閉じたときに湾曲面によって形成される隙間を徐々に小さくすることができ、手足の太さに対応することができる。
【0020】
挟み込み部材11,11の先端部には、手足の挿入を容易にするためのガイド部材としてガイドローラ20,20が取り付けられている。前記ガイドローラ20,20は、内側にのみ回転し、外側には回転しない逆止め付きローラであることが好ましい。また、前記ガイドローラ20,20は、挟み込む手足を挟み込み部材11,11の内側に案内するものであるから、挟み込み部材11,11の先端部において互いに反対向きに取り付けられている。
【0021】
前記ガイドローラ20,20は、省略することが可能であり、また、他の構成のガイド部材とすることができる。例えば、挟み込み部材11,11の先端部に外側に開いたガイド板を取り付けたり、先端部を単にテーパー面としてもよい。
【0022】
さらに、図3に基づいて、前記スライドバー13、支持部材15、搖動板17、17及び支持材19について詳述する。スライドバー13は、支持材19の筒部19aを介して操作杆10にスライド自在に挿通されており、先端部が支持部材15に固着されている。スライドバー13は、後述するように、操作杆10内に装着された圧縮コイルバネ16によって支持材19から突出し、先端部が支持部材15に固着されている。支持材19は操作杆10に固着されている。
【0023】
支持部材15は、後端面にスライドバー13を固着する嵌合穴15aと、挟み込み部材11,11の内側端部11b、11bを挿入する凹部15bを有している。挟み込み部材11,11の内側端部11b、11bを前記凹部15bに挿入して回動自在に軸着する。搖動板17,17は、両端部に挟み込み部材11,11と支持材19を挿入するための凹部17a、17bが形成されており、前記凹部17a、17bに挟み込み部材11,11と支持材19が回動自在に軸着される。
【0024】
前記スライドバー13の端部には突片13aが形成されており、前記突片13aと支持部19との間に圧縮コイルバネ16が装着される。前記する圧縮コイルバネ16は、スライドバー13をロック部3及びバネ圧保持部5方向に付勢している。
【0025】
拘束部2の挟み込み部材11,11が開くと、支持部材15に固着されているスライドバー13が引き出されて圧縮コイルバネ16が圧縮されることになる。反対に、圧縮コイルバネ16が開放されると、圧縮コイルバネ16の付勢力によってスライドバー13と支持部材15が後退する。一方、挟み込み部材11,11は搖動板17によって後退を阻止されるから、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられることになる。このとき、搖動板17の両端部は回動自在に軸着されているから、挟み込み部材11,11側の外側角部11c、11cと搖動板17が外側に回動することになり、挟み込み部材11,11はスムーズに閉じられる。
【0026】
尚、上記実施形態において、挟み込み部材11,11に屈曲部11d、11dを形成して互いに交差することができるようにしたが、挟み込み部材11,11を交差させるためには、屈曲部を形成することなく支持部材15に挟み込み部材11,11を取り付ける際に、予め上下に軸着してもよい。挟み込み部材11,11を交差するように取り付けた場合には、内側の隙間を徐々に小さくすることができる。
【0027】
また、挟み込み部材11,11は、交差させることなく単に突合せて当接させてもよいし、近接させる構成としてもよい。また、挟み込み部材11,11の形状は、挟み込んだとき内側に隙間を有する形状であればよく、図1に示すように略L字状に形成するほか、後述するように、全体を湾曲させた形状としてもよく、特に限定されるものではない。
【0028】
次に、ロック部3の構成について説明する。ロック部3は、拘束部2における挟み込み部材11,11を閉じた状態にロックするものであって、図1に示すように、鋸歯状突起23aを有するラック型係合部23と、内面に係止片25aを突設した環状の係止部25によって形成されている。前記ラック型係合部23は、スライドバー13の後端部に固着されたスライド部材27の後端部に形成されており、環状の係止部25は、操作杆10の内面に嵌入されている。
【0029】
前記ラック型係合部23の鋸歯状突起23aと係止部25の係止片25aとが係合する。前記係止片25aは、前記圧縮コイルバネ16が圧縮しているときは、前記鋸歯状突起23aのバネ圧保持部5側において係合し、前記圧縮コイルバネ16が開放したときは、前記鋸歯状突起23aのスライドバー13側において係合するように構成されている。前記スライド部材27は、操作杆10の内部に配設された支持環28にスライド自在に挿通されており、スライドバー13と一体に進退移動する。
【0030】
ラック型係合部23と管状係止部25の近傍には、ラック型係合部23を係止部25に押し付ける押圧部材31が設けられている。前記押圧部材31は、操作杆10の内面側に設けた押圧バネ31aによって、先端部がラック型係合部23を押圧している。
【0031】
前記係止片25aと鋸歯状突起23aとは鋸歯状に片側のみ傾斜面を有しているから、通常は、押圧部材31によって鋸歯状突起23aと係止片25aとが係合していれば、スライドバー13とスライド部材27が拘束部2の方向へスライドするのは阻止される。このようにして、挟み込み部材11,11は閉じられると同時に、ラック型係合部23と係止部25によって挟み込み部材11,11の閉じた状態をロックすることになり、手錠のように拘束して暴漢者の手又は足の自由を奪うことができる。
【0032】
一方、押圧部材31を引き出して、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除すると、スライドバー13とスライド部材27の拘束部2方向へのスライドが可能になる。そこで、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除しながら挟み込み部材11,11を開けばよい。
【0033】
前記スライド部材27は棒状部材、板状部材のいずれであってもよい。また前記スライド部材27を湾曲した板バネによって構成した場合には、湾曲した外面にラック型係合部23を設けることによって、ラック型係合部23を係止部25側に押し付けるようにすることができ、押圧部材31を省略することができる。このように、スライド部材27を板バネによって構成した場合には、鋸歯状突起23aと係止片25aの係合状態を解除することができるように、前記押圧部材31を実施形態とは反対側に設ければよい。
【0034】
次に、バネ圧保持部5について説明する。バネ圧保持部5は、図1に示すように、スライド部材27の後端部に係止孔27aを穿設するとともに、前記係止孔27aに操作杆10の後端部に取り付けた押下げピン33の挿入ピン33aを挿入させるように構成されている。前記押下げピン33は、全体が略くの字状に形成されており、操作杆10内に突出している挿入ピン33aが上下動するように軸着されている。
【0035】
前記係止孔27aに挿入ピン33aを挿入させるには、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除した後、圧縮コイルバネ16を圧縮しながら係止孔27を挿入ピン33aの位置まで前進させる。係止孔27aに挿入ピン33aが挿入されると、圧縮コイルバネ16の圧縮状態が保持されるとともに、挟み込み部材11,11の開口状態が保持される。挟み込み部材11,11の開口状態を保持した後に、押圧部材31を押下げて、鋸歯状突起23aと係止片25aを係合させればよい。
【0036】
挟み込み部材11,11を閉じるには、開口させるときとは反対に、挿入ピン33aを係止孔27aから引き出すと、圧縮コイルバネ16の付勢力によってスライド部材27及びスライドバー13は一気に後端部方向にスライドして挟み込み部材11,11が閉じられることになる。挟み込み部材11,11が閉じられると、ロック部3によってロックされるので、手足を確実に拘束することができる。
【0037】
図5に示す第2実施形態について説明する。図5に示す実施形態は、前記実施形態が圧縮コイルバネ16を使用したのに対して引張バネを使用した点において異なる。従って、同一の構成については同一符号を付してその説明は省略する。図5(a)に示す実施形態では、操作杆10の後端面に嵌合するキャップ43の内側に渦巻バネ44が配設されており、前記渦巻バネ44の先端がスライド部材27に取り付けられている。
【0038】
従って、前記挿入ピン33aが係止孔27aから引き出されているときは、スライド部材27とスライドバー13はキャップ43側に引き付けられて、挟み込み部材11,11は閉じられることになる。また、図5(b)に示す実施形態では、前記渦巻バネ44に代えて引張コイルバネ48を使用している。引張コイルバネ48は一端をキャップ43に取り付け、他端をスライド部材27に取り付けられている。図1の実施形態と図5の実施形態との違いは、圧縮コイルバネと引張バネの違いであって、他の構成において異なるところはない。
【0039】
図6に示す第3の実施形態は、図1の実施形態と同様に圧縮コイルバネ16を使用した点では同じであるが、圧縮コイルばね16は、支持部19を押し上げることによって挟み込み部材を閉じるようにしたものである。この実施形態において図1の実施形態と同じ構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0040】
拘束部2Aは、開閉自在な独立した一対の円弧状の挟み込み部材11A、11Aを有している。前記挟み込み部材11A、11Aは、閉じると内側に略円形状の空隙を形成するので、この円形状空隙に暴漢者の身体、特に手又は足を挟みこんで拘束する。さらに、挟み込み部材11A、11Aは、第1実施形態と同様に、スライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されているとともに、搖動板17の一端に回動自在に軸着されている。前記搖動板17の他端は、支持材19の両端部に回動自在に軸着されている。
【0041】
ここで、前記支持材19は、上記実施形態とは異なり、操作杆10の先端に固着されてはいないので、スライドバー13は支持部19にスライド可能に挿入されているものの両者分離可能である。従って、圧縮コイルバネ16は、支持材19を押し上げることになり、支持材19が押し上げられると搖動板17,17を介して前記挟み込み部材11A、11Aも押し上げられるが、このとき、前記挟み込み部材11A、11Aの内側端部11bは支持部材15に回動自在に軸着されているから、前記挟み込み部材11A、11Aは、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられる。
【0042】
この実施形態においても、挟み込み部材11A,11Aが、閉じたときに先端部が交差して湾曲面によって閉じたときに形成される隙間を徐々に小さくすることができるように、中間部に屈曲部11d、11dを形成することが好ましい。
【0043】
次に、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具の第4実施形態を図7及び図8に基づいて説明する。図示する身体拘束具2Aは、拘束部2と、前記拘束部2をロック状態にするロック部3と、拘束部2を手動で閉じることができる操作部4から構成されている。前記拘束部2は、管状の操作杆10の一端部に設けられており、ロック部3及び操作部4は操作杆10に形成されている。拘束部2とロック部3の構成は上記実施形態と同様に構成されている。従って、同一構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0044】
搖動板17の両端部は、挟み込み部材11,11と支持部19にそれぞれ回動自在に軸着されているから、挟み込み部材11,11が開いた状態から支持部材15が押圧されて操作杆10側に後退すると、挟み込み部材11,11は搖動板17によって後退を阻止されるから、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられることになる。このとき、挟み込み部材11,11側の外側角部11c、11cと搖動板17が外側に開くように回動することになり、挟み込み部材11,11をスムーズに開閉させる。このような挟み込み部材11,11の開閉は第1実施形態等と同じである。
【0045】
尚、上記実施形態において、挟み込み部材11,11を互いに交差させるためには、中間部に屈曲部11d、11dを形成してもよいし、挟み込み部材11,11を支持部材15において予め上下に軸着してもよい。また、挟み込み部材11,11は、交差させることなく単に突合せて当接させてもよいし、近接させる構成としてもよい。また、挟み込み部材11,11の形状は、挟み込んだとき内側に隙間を有する形状であればよく、実施形態に限定されるものでないことは上記実施形態において述べたとおりである。
【0046】
次に、ロック部3の構成について説明する。ロック部3は、拘束部2における挟み込み部材11,11を閉じた状態にロックするものであって、図1に示すロック部3と同様である。この実施形態では、ロック部3のラック型係合部23を形成するスライド部材27は、支持環28,29にスライド自在に挿通されており、支持環28とスライドバー13の後端面との間には、スライドバー13を先端方向(拘束部2方向)に付勢する押圧バネ30が装着されている。
この押圧バネ30に押圧されているスライドバー13とともに、支持部材15が突出すると挟み込み部材11,11は搖動板17,17によって開口されることになる。
【0047】
また、この実施形態においては、押圧部材31の押圧力に抗してラック型係合部23を押し下げる押下げピン32が設けられている。押下げピン32は、押下げ部32dと挿入ピン32eからなり、押下げ部32dは操作杆10の外面に設けたバネ32aによって操作杆10の外方に付勢されている。押下げ部32dをバネ32aに抗して押下げることによって、挿入ピン32eが引き出されてラック型係合部23と係止部25の係合状態を解除する。
【0048】
この実施形態においては、支持部材15が押し込まれると、スライドバー13及びスライド部材27が後退して挟み込み部材11,11は閉じられると同時に、ラック型係合部23と係止部25によって挟み込み部材11,11の閉じた状態がロックされる。即ち、暴漢者の手又は足に押し当てるだけで、手錠のように拘束して自由を奪うことができる。
【0049】
そして、挟み込み部材11,11がある程度閉じるとロック状態となり、支持部材15を押し込めば押し込むほど挟み込み部材11,11の挟み込みの隙間が小さくなるから、暴漢者が激しく抵抗すればするほど拘束されることになる。また、ロックの初期状態で拘束を逃れた場合には、押下げ部32dを押下げると押圧バネ30の付勢力によって、ワンタッチでロック状態を解除することができるから、次の行動に迅速に対応することができる。
【0050】
次に、操作部4について説明する。操作部4は、操作杆10の後端面のキャップを兼ねており、ロック部3のラック型係合部23を引っ張ることによって、挟み込み部材11,11をロック状態にするものである。即ち、操作部4は、キャップ5と連結材36とからなる。キャップ35は、操作杆10よりも径の大きな握り部33と操作杆10に嵌入する嵌入部34によって形成されており、前記嵌入部34と前記スライド部材27の後端部とを連結材36を介して連結している。
【0051】
前記連結材36の長さは、嵌入部34が操作杆10に嵌入されて握り部33が操作杆10の端面に当接したときに、挟み込み部材11,11が最も開口した状態となるように調整されている。キャップ35は、連結材36を介してスライド部材27に連結されているから、握り部33を引っ張って嵌入部34を後退させるとスライド部材27が同時に後退するとともに、挟み込み部材11,11は閉じられ、同時に閉じられた状態がラック型係合部23と係止部25によってロックされる。
【0052】
前記操作部4は、支持部材15の押し込みが十分でない場合にも、挟み込み部材11,11を閉じるときに有効である。なお、上記操作杆10の長さは特に限定されるものではないが、暴漢者等から身体の危険を回避しつつ、片手で迅速に対応することができる長さとすればよい。例えば、通常の警棒と同じか若干長く形成することができる。
【0053】
次に、図9に示す拘束部2の第5実施形態について説明する。図9に示す第5実施形態は、挟み込み部材11,11の一方側を固定し、他方側を開閉自在としたものである。この実施形態において、図1及び図7に示す実施形態と同様の構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0054】
拘束部2Aは、ほぼ同一形状に形成された挟み込み部材11、11を有しており、一方の挟み込み部材11(図9においては左側の挟み込み部材11)が閉じた状態において固定されている。即ち、一方の挟み込み部材11は、支持部材15に軸着されることなく支持材19に固着された固定板38の他端部に固定されている。従って、支持部材15が前進、後退しても固定された方の挟み込み部材11は、開閉することがない。
【0055】
他方の挟み込み部材11(図9においては右側の挟み込み部材11)は、内側端部11bが支持部材15に回動自在に軸着され、外側角部11cが搖動板17に回動自在に連結されているから、支持部材15が前進、後退することによって開閉することになる。この実施形態においても図7に示す第4実施形態と同様に、ロック部3、操作部4が構成されるが、その説明は省略する。
【0056】
次に、図10に示す第6実施形態の拘束部2Bについて説明する。図10に示す実施形態では、挟み込み部材40、40に2つの湾曲部を形成した点において上記実施形態とは異なる。即ち、挟み込み部材40、40は、内側に湾曲面40a、40aと湾曲面40b、40bを有している。挟み込み部材40、40の先端部には、手足を内側に案内するガイドローラ41、41と、湾曲面40a、40aと湾曲面40b、40bの境界部となる突出部に同じくガイドローラ42、42が取り付けられている。
【0057】
ガイドローラ41、42は、その一部が挟み込み部材40、40の内側に突出しており、逆回転防止機構を有していることが好ましい。さらに、挟み込み部材40、40の内側端部40c、40cは、スライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されており、前記スライドバー13は操作杆10内にスライド自在に挿通されている。挟み込み部材40、40の外側端縁には、搖動板17、17が回動自在に軸着されており、搖動板17,17の他端部が支持材19に軸着されている。
【0058】
上記のように、湾曲面を2カ所に設けた挟み込み部材とした場合には、例えば、先端寄りの湾曲面40a,40aの間に足首を挟み込み、支持部材15側の湾曲面40b、40bの間に手首を挟み込むことができ、いずれの場合にも対応して確実に拘束することができる。
【0059】
尚、前記ガイドローラ41,42は、省略することが可能であり、また、挟み込み部材40,40に屈曲部11aを設けて交差可能な形状とすることができる。実施形態1及び2と同一構成についての説明は、この実施形態においても適用されるから同一符号を付してその説明は省略する。
【0060】
次に、図11〜図13に示す拘束部の第7実施形態について説明する。第1〜6実施形態における拘束部2,2A,2Bを形成する挟み込み部材11,11及び挟み込み部材40,40と操作杆10とは直線状に一体に形成されており、両者の向きを変えることはできない。しかしながら、この実施形態では、図13に明らかなように、操作杆と挟み込み部材との角度を変えられるように形成されている。挟み込み部材の方向が変わるようにした点において、上記第1〜6実施形態とは異なる。
【0061】
スライドバー13と支持部材15とは、回動自在に軸着されている。即ち、支持部材15から平行に突出した2枚の挟持板15a,15aの間にスライドバー13の先端に突出した突出部13aを挿入してピン44によって回動自在に組み立てられている。また、挟み込み部材11,11を支持する搖動板17の中央部は、コイルバネ、板バネ、ゴム部材又は樹脂材等の可撓性を有する可撓性部材17aによって形成されている。
【0062】
スライドバー13と支持部材15とを回動自在に軸着するとともに、搖動板17の中央部を可撓性部材17aによって形成したので、操作杆10と挟み込み部材11,11との角度を変えることができる(図13参照)。このように、拘束部2の挟み込み部材11,11の角度が変わることによって、暴漢者等が激しく抵抗した場合でも、その動きに応じてその力を逃がすことができるから、挟み込み部材11,11をロックした状態でも拘束している手足を損傷させることがない。
【0063】
尚、スライドバー13と支持部材15との角度を変えられるようにするには、上記実施形態に限定されるものではなく任意の構成とすることができ、例えば、挟持板15a,15aと突出部13aによる連結部分を自在継ぎ手構造としてもよい。
【0064】
次に、図14〜図16に示すロック部と操作部の他の実施形態について説明する。図14にはロック部の第2実施形態を示す。ロック部3Aは、図1及び図7に示す第1実施形態とは反対に、操作杆10の内面に内接させた複数列の鋸歯状突起45を設けた係止用円筒体46と、スライド部材27の後端部に設けた前記鋸歯状突起45と係合する係止片47と、鋸歯状突起45と係止片47との係合状態を解除する押下げピン32とからなる。
【0065】
前記鋸歯状突起45と係止片47とが係合した状態では、係止片47は操作杆10の後端方向にスライドすることは可能であるが、拘束部2方向へスライドすることはできない。従って、拘束部2の挟み込み部材11,11は閉じた状態でロックされることになる。押下げピン32を押下げることによって係合状態が解除され、拘束部2の方向へ前進移動が可能になる。前記押下げピン32の先端部は、操作杆10の内側に突出していて、スライド部材27に接近している。押下げピン32は、図7に示す押下げピン32と同様の構成であるから、その説明は省略する。
【0066】
図14には操作部の第2実施形態を示す。操作部4Aは、操作杆10の外面に取り付けたロックレバー50をスライド部材27に連結材51を介して連結することによって構成されている。従って、前記ロックレバー50を握って押下げると連結材51を介してスライド部材27を引っ張ることになり、係止片47を鋸歯状突起45と係合させながら後退させる。前記ロックレバー50は、図7に示す第1実施形態の握り部34と同様に、挟み込み部材11,11を急速に閉じるときに使用することができる。
【0067】
尚、拘束部の構成やスライド部材27が押圧バネ30によって付勢されている点等は上述の通りである。従って、押下げピン32を押し下げて鋸歯状突起45と係止片47との係合状態を解除すれば、スライド部材27が前進し挟み込み部材11,11は開口されることになる。
【0068】
次に、図15及び図16に示すロック部と操作部の第3実施形態について説明する。図15及び図16に示すロック部3Bは、スライド部材27に操作杆10内をスライドするスライド管53を連結し、前記スライド管53に係止孔53aを軸方向に多数穿設するとともに、前記係止孔53aに操作杆10に取り付けた押下げピン55の挿入ピン55aを嵌合させるように構成されている。
【0069】
前記押下げピン55は、押下げ部55bと挿入ピン55aとにより全体が略くの字状に形成されており、操作杆10内に突出している挿入ピン55aが上下動するように形成されている。また、挿入ピン55aの先端には、操作杆10の先端方向(拘束部2方向)に向いた傾斜面が形成されている。一方、前記係止孔53aの先端方向(拘束部2方向)にも傾斜面に形成されている。従って、スライド管53が後退すると前記挿入ピン55aの傾斜面と係止孔53aの傾斜面とがスライドし、挿入ピン55aは押し上げられスライド管53はスムーズにスライドすることができる。前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態によって、スライド管53は操作杆10の先端方向(拘束部2方向)へスライドすることはない。
【0070】
前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態によって後退のみが可能となる。挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態を解除するには、押下げピン55の押下げ部55bの後端部を押下げて挿入ピン55aを引き上げればよい。押圧バネ30の付勢力によってスライド管53は前進し、挟み込み部材11,11を開口させる。
【0071】
一方、第3実施形態の操作部4Bは、操作杆10に設けた略L字状スリット57にロックレバー59を摺動可能に挿入し、前記ロックレバー59の操作杆10内に突出している先端部59aをスライド管53に固着することによって構成されている。前記スリット57は、操作杆10の軸方向のスリット57aと操作杆10の周方向のスリット57bとによって略L字状に形成されている。
【0072】
従って、ロックレバー59を引いてスリット57a内を後退させると、スライド管53も後退する。また、スライド管53の後退とともに前記挿入ピン55aは係止孔53aとの係止を繰り返しながらロックされる。前記ロックレバー59は、第7実施形態のキャップ35と同様に、支持部材15が押圧されて挟み込み部材11,11が閉じた状態となる前に、挟み込み部材11,11を急速に閉じる場合に使用することができる。
【0073】
ロックレバー59を引いてスリット57bに係止させれば、スライド管53が後退して挟み込み部材11,11を閉じた状態でロックすることになる。挟み込み部材11,11のロック状態を解除するには、ロックレバー59をスリット57bからスリット57aに回動するとともに、押下げピン55の後端部を押し下げて挿入ピン55aを引き上げればよい。スライド管53が連結しているスライド部材13は、コイルバネ30によって操作杆10の先端方向に押圧されているから、前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態が解除されれば、支持部材15が復帰して挟み込み部材11,11は開いた状態となる。
【0074】
尚、図14〜図16に示すロック部と操作部の実施形態において、上記図7以下の実施形態と同様な構成については同一符号を付してその説明は省略する。また、拘束部は第1実施形態から第7実施形態のいずれであってもよい。
【0075】
次に、図17及び図18に基づいて、上記第1実施形態の身体拘束具1Aの使用方法について説明する。図17に示すように、捕らえようとする暴漢者等の足首を挿入した瞬間にバネ圧保持部5を操作してロック状態を解除すればよい。また、図7以下の実施形態においては、操作部4を操作してスライド部材27を引けばよい。また、図7以下の実施形態においては、操作部4を操作することなく暴漢者等の足首に強く押し当てると、支持部材15が押し込まれてコイルバネ30に抗してスライド部材27が後退するとともに、挟み込み部材11,11が閉じられる。
【0076】
いずれに実施形態においても、スライド部材27が後退するとそのままロック部3によって挟み込み部材の閉じた状態が保持されることになるので、挟み込み部材11,11によって手足が拘束される。手足を激しく動かせば動かすほど支持部材15を押し込むことになるので挟み込み部材11,11は一層閉じられることになる。足首を拘束されて足の自由を奪われた暴漢者等は立っていることが困難になるから、操作杆10を操作して暴漢者等を倒すことができ、容易に取り押さえることができる。
【0077】
また、図18に示すように、捕らえようとする暴漢者等の手首においても、足首の場合と同様にして手を拘束することができる。挟み込み部材11,11がある程度閉じて手首が抜けなければ、手を動かす度に支持部材15を押し込んで締め付けられるので確実に拘束することができる。手首を拘束した場合には、暴漢者等が手に刃物等の凶器を持っていた場合でも、凶器を放棄させることができ、身の安全を図ることができる。
【0078】
以上詳述したように、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具によれば、暴漢者等の手足を瞬時に又は手足に押し付けながら最も有効に拘束することができる。また、片手で操作して警棒のように攻撃防御にも使用することができから、身を守るにも有効である。
【符号の説明】
【0079】
1A:身体拘束具
2:拘束部
3:ロック部
4:操作部
5:開口保持部
10:操作杆
11,11A,11B:挟み込み部材
11a:湾曲面
11b:内側端部
11c:外側角部
12:搖動板
13:スライドバー
15:支持部材
16:圧縮コイルバネ
17:搖動板
19:支持部
20:ガイドローラ
23:ラック型係合部
25:係止部
27:スライド部材
28,29:支持環
30:押圧バネ
31:押圧部材
32:押下げ部材
33:握り部
34:嵌入部
35:キャップ
36:連結材
38:固定板
40:挟み込み部材
41.42:ガイドローラ
45:鋸歯状突起
46:係止用円筒体
47:係止片
48:引張コイルバネ
49:押下げ部材
50:ロックレバー
51:連結材
53:スライド管
55:押しつめ
57:略L字状スリット
59:ロックレバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、犯罪者、暴漢者等からの生命、身体に対する急迫した攻撃から身体を保護するとともに、犯罪者等の足、手等を拘束して身体の自由を奪い、抵抗や逃走を防ぐことができる刺股型開閉可能な身体拘束具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刃物を所持している暴漢者から身を守りながら取り押さえる防犯具又は捕物具として、刺股が使用されており、また、警察官が犯罪者を逮捕する際には、手錠を用いて捕縛することが行われている。刺股は、江戸時代から使用されており、長柄の先端に湾曲した二股状の押し当て金具を取り付けたもので、二股の部分で激しく抵抗する暴漢者等を壁や床に押し付けて取り押さえる防犯具である。
【0003】
このような刺股として、例えば、特開2000−230800号公報記載の「刺股型の捕物道具」があり、特開2003−254697号公報記載の「刺股」がある。前記公報記載の「刺股型の捕物道具」は、いずれも二股状押し当て部の先端部を近接させるように可動させて閉塞状態とし、身体の自由を奪うように構成されている。
【0004】
特開2000−230800号公報記載の「刺股型の捕物道具」は、左右に分割された二股状押し当て部の中心部に摺動体を設けてなり、押し当て部が開放状態のときには摺動体が突出しており、暴漢者等の身体によって摺動体が押圧されると押し当て部が閉塞状態となって暴漢者等が自由に通れないようにしたものである。また、特開2003−254697号公報記載の「刺股」は、支持部材に端部を固定された左右の押し当て部の手前側途中部に空気圧シリンダーが装着されており、操作レバーを手動で操作することにより空気圧シリンダーが作動して左右の押し当て部が閉塞状態となるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−230800号公報
【特許文献2】特開2003−254697号公報(図17参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報記載の「刺股型の捕物道具」及び「刺股」は、いずれも暴漢者等の身体の周囲を取り囲むように閉塞して自由を奪うものであるから、押し当て部は大型となり操作が困難である。また、激しく抵抗する暴漢者等の身体は一定の角度には保たれてはいないから、長柄を両手で持って対応しても周囲の障害物や衣服等が邪魔になり、押し当て部で身体の周囲を取り囲むように閉塞することは困難である。
【0007】
また、刺股は、先端に二股状の大きな押し当て部が長柄に形成されているから、パトカーに積んでおくことができず、持ち運びや保管が困難である。また、刺股は、長柄を有しているから迅速な対応には不向きである。さらに、刺股は身体の周囲を拘束するものであり、行動の自由を奪ったとしても手足は自由に動かすことができる。したがって、暴漢者等が刃物等の凶器を所持している場合には、むやみに近付いて取り押さえることはできない。手足の自由を奪って完全に拘束するには、第三者の力を借りなければならないという問題がある。
【0008】
また、手錠は手首を拘束して両腕の自由を奪う手段として使用されることがあるが、両手に嵌めるまでは暴漢者等から危害を加えられるおそれがある。手錠を使用する場合には、暴漢者等の身体を拘束し、行動の自由を奪っておくことが必要である。
【0009】
上述の通り、刺股や手錠にはそれぞれ一長一短があって、現場で即座に対応できないという問題がある。この発明は、上述のような問題を解消するものであって、暴漢者等から身体の危険を回避しつつ、手足の自由を拘束することによって容易に取り押さえることができる刺股型開閉可能な身体拘束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記目的を達成するために次のような構成とした。この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具は、
操作杆の一端に設けられた拘束部と、前記操作杆に設けられたロック部とからなり、
前記拘束部は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着するとともに、前記スライドバーをスライド自在に挿通する支持材に回動自在に軸着してなる搖動板に前記一方の挟み込み部材を回動自在に軸着することによって形成されており、
前記ロック部は、前記スライドバーに固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部とからなり、前記鋸歯状突起と係止片とはスライド部材を操作杆の後端部方向にのみスライドさせ、拘束部方向にはスライドさせないように形成されており、
前記スライド部材及びスライドバーが操作杆の後端部方向にスライドして前記支持部材を後退させたときに、前記一対の挟み込み部材が閉じるようにしたことを特徴とする。
前記一対の挟み込み部材の先端部には、手足を内側に案内するガイドローラを取り付けることが好ましい。また、一対の挟み込み部材は少なくとも一方が開閉すればよいが、その両方が開閉するように、両方の挟み込み部材が前記スライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着されていることが好ましい。また、一対の挟み込み部材は閉じたとき交差するように形成してもよい。
【0011】
スライド部材は、操作杆に設けたバネによって操作杆の後端部方向に付勢するか、拘束部方向に付勢するように形成することができる。スライド部材を操作杆の後端部方向に付勢するバネを設けた場合には、急速に一対の挟み込み部材を閉じることができ、反対にスライド部材を拘束部方向に付勢するバネを設けた場合には、一対の挟み込み部材を急速に開口させることができる。また、スライド部材を操作杆の後端部方向に付勢するバネを設けた場合には、操作杆には一対の挟み込み部材の開口状態を保持するように、スライド部材に設けた係止孔と前記係止孔に出没自在に挿入する爪とからなる開口保持部を設けることが好ましい。
また、スライド部材を拘束部方向に付勢するバネを設けた場合には、操作杆には、スライド部材を強制的に操作杆の後端部方向に引き、支持部材を後退させて挟み込み部材を閉じることができるようにした操作部を設けることができる。
さらに、挟み込み部材は、操作杆との角度を変えられるように、支持部材とスライドバーを回動自在に連結するとともに、搖動板を可撓性材により形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の刺股型開閉可能な身体拘束具は、片手で操作することができ、身の安全を図りながら激しく抵抗する暴漢者等の身体を拘束することができる。また、警棒のように攻撃防御にも使用することができるとともに、嵩張らないからパトカー等に積んでおくこともでき、臨機応変に対応することができる。
【0013】
また、手錠と同じように、挟み込み部材が一旦閉じるとロック状態を解除するまでは開口することはないから、継続して行動の自由を奪うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施形態に係る身体拘束具の一部を断面した平面図である。
【図2】第1実施形態の拘束部の側面図である。
【図3】拘束部の一部を示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る身体拘束具の閉じた状態の一部断面平面図である。
【図5】第2実施形態の要部を断面した平面図である。
【図6】第3実施形態の要部を断面した平面図である。
【図7】第4実施形態の要部を断面した平面図である。
【図8】拘束部の一部を断面した分解斜視図である。
【図9】拘束部の第5実施形態の平面図である。
【図10】拘束部の第6実施形態の平面図である。
【図11】拘束部の第7実施形態の平面図である。
【図12】スライド部材と拘束部とは、連結部において角度が変えられることを説明する説明用斜視図である。
【図13】挟み込み部材の角度が変わった状態の説明用斜視図である。
【図14】ロック部と操作部の第2実施形態を示す断面図である。
【図15】ロック部と操作部の第3実施形態を示す断面図である。
【図16】ロック部と操作部の第3実施形態を示す平面図である。
【図17】足を拘束した使用状態の説明用斜視図である。
【図18】手を拘束した使用状態の説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具の具体的実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具(以下、単に身体拘束具という)の第1実施形態を示す一部を断面した平面図、図2は拘束部の側面図、図3は拘束部の一部を示す分解斜視図である。
【0016】
図示する身体拘束具1Aは、拘束部2と、前記拘束部2が閉じたときにロックするロック部3と、拘束部2の挟み込み部材を開口した状態に保持するバネ圧保持部5から構成されている。前記拘束部2は、管状の操作杆10の一端部に設けられており、ロック部3及びバネ圧保持部5は操作杆10に形成されている。
【0017】
さらに詳述すると、前記拘束部2は、開閉自在な独立した一対の挟み込み部材11、11を有している。前記挟み込み部材11、11は、略L字状に形成されており、内側面には、暴漢者の身体、特に手又は足を挟みこんで拘束することができるように湾曲面11a,11aが形成されている。さらに、挟み込み部材11、11の内側端部11b、11bは、操作杆10内にスライド自在に挿通されたスライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されているとともに、挟み込み部材11、11の外側角部11c、11cの近傍は、搖動板17の一端に回動自在に軸着されている。
【0018】
前記搖動板17の他端は、操作杆10の先端に取り付けられた支持材19の両端部に回動自在に軸着されている。従って、前記支持部材15が後退して支持材19側に接近すると、搖動板17によって挟み込み部材11,11の外側角部11c、11cが外方に回動して挟み込み部材11,11の先端部が閉じられる。挟み込み部材11,11が閉じられると、湾曲面11a,11aによって隙間が形成されることになり、この隙間に手又は足が挟みこまれる。
【0019】
さらに、挟み込み部材11,11について詳述すると、挟み込み部材11,11は、閉じたときに先端部が交差することができるように、中間部に屈曲部11d、11dを有している。前記屈曲部11d、11dを形成することによって、図2に示すように、屈曲部11d、11dより先端部は側面において互いに上下において交差する。挟み込み部材11,11は、湾曲面11a,11aを有しているとともに、屈曲部11d、11dを形成することによって交差可能に形成したから、閉じたときに湾曲面によって形成される隙間を徐々に小さくすることができ、手足の太さに対応することができる。
【0020】
挟み込み部材11,11の先端部には、手足の挿入を容易にするためのガイド部材としてガイドローラ20,20が取り付けられている。前記ガイドローラ20,20は、内側にのみ回転し、外側には回転しない逆止め付きローラであることが好ましい。また、前記ガイドローラ20,20は、挟み込む手足を挟み込み部材11,11の内側に案内するものであるから、挟み込み部材11,11の先端部において互いに反対向きに取り付けられている。
【0021】
前記ガイドローラ20,20は、省略することが可能であり、また、他の構成のガイド部材とすることができる。例えば、挟み込み部材11,11の先端部に外側に開いたガイド板を取り付けたり、先端部を単にテーパー面としてもよい。
【0022】
さらに、図3に基づいて、前記スライドバー13、支持部材15、搖動板17、17及び支持材19について詳述する。スライドバー13は、支持材19の筒部19aを介して操作杆10にスライド自在に挿通されており、先端部が支持部材15に固着されている。スライドバー13は、後述するように、操作杆10内に装着された圧縮コイルバネ16によって支持材19から突出し、先端部が支持部材15に固着されている。支持材19は操作杆10に固着されている。
【0023】
支持部材15は、後端面にスライドバー13を固着する嵌合穴15aと、挟み込み部材11,11の内側端部11b、11bを挿入する凹部15bを有している。挟み込み部材11,11の内側端部11b、11bを前記凹部15bに挿入して回動自在に軸着する。搖動板17,17は、両端部に挟み込み部材11,11と支持材19を挿入するための凹部17a、17bが形成されており、前記凹部17a、17bに挟み込み部材11,11と支持材19が回動自在に軸着される。
【0024】
前記スライドバー13の端部には突片13aが形成されており、前記突片13aと支持部19との間に圧縮コイルバネ16が装着される。前記する圧縮コイルバネ16は、スライドバー13をロック部3及びバネ圧保持部5方向に付勢している。
【0025】
拘束部2の挟み込み部材11,11が開くと、支持部材15に固着されているスライドバー13が引き出されて圧縮コイルバネ16が圧縮されることになる。反対に、圧縮コイルバネ16が開放されると、圧縮コイルバネ16の付勢力によってスライドバー13と支持部材15が後退する。一方、挟み込み部材11,11は搖動板17によって後退を阻止されるから、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられることになる。このとき、搖動板17の両端部は回動自在に軸着されているから、挟み込み部材11,11側の外側角部11c、11cと搖動板17が外側に回動することになり、挟み込み部材11,11はスムーズに閉じられる。
【0026】
尚、上記実施形態において、挟み込み部材11,11に屈曲部11d、11dを形成して互いに交差することができるようにしたが、挟み込み部材11,11を交差させるためには、屈曲部を形成することなく支持部材15に挟み込み部材11,11を取り付ける際に、予め上下に軸着してもよい。挟み込み部材11,11を交差するように取り付けた場合には、内側の隙間を徐々に小さくすることができる。
【0027】
また、挟み込み部材11,11は、交差させることなく単に突合せて当接させてもよいし、近接させる構成としてもよい。また、挟み込み部材11,11の形状は、挟み込んだとき内側に隙間を有する形状であればよく、図1に示すように略L字状に形成するほか、後述するように、全体を湾曲させた形状としてもよく、特に限定されるものではない。
【0028】
次に、ロック部3の構成について説明する。ロック部3は、拘束部2における挟み込み部材11,11を閉じた状態にロックするものであって、図1に示すように、鋸歯状突起23aを有するラック型係合部23と、内面に係止片25aを突設した環状の係止部25によって形成されている。前記ラック型係合部23は、スライドバー13の後端部に固着されたスライド部材27の後端部に形成されており、環状の係止部25は、操作杆10の内面に嵌入されている。
【0029】
前記ラック型係合部23の鋸歯状突起23aと係止部25の係止片25aとが係合する。前記係止片25aは、前記圧縮コイルバネ16が圧縮しているときは、前記鋸歯状突起23aのバネ圧保持部5側において係合し、前記圧縮コイルバネ16が開放したときは、前記鋸歯状突起23aのスライドバー13側において係合するように構成されている。前記スライド部材27は、操作杆10の内部に配設された支持環28にスライド自在に挿通されており、スライドバー13と一体に進退移動する。
【0030】
ラック型係合部23と管状係止部25の近傍には、ラック型係合部23を係止部25に押し付ける押圧部材31が設けられている。前記押圧部材31は、操作杆10の内面側に設けた押圧バネ31aによって、先端部がラック型係合部23を押圧している。
【0031】
前記係止片25aと鋸歯状突起23aとは鋸歯状に片側のみ傾斜面を有しているから、通常は、押圧部材31によって鋸歯状突起23aと係止片25aとが係合していれば、スライドバー13とスライド部材27が拘束部2の方向へスライドするのは阻止される。このようにして、挟み込み部材11,11は閉じられると同時に、ラック型係合部23と係止部25によって挟み込み部材11,11の閉じた状態をロックすることになり、手錠のように拘束して暴漢者の手又は足の自由を奪うことができる。
【0032】
一方、押圧部材31を引き出して、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除すると、スライドバー13とスライド部材27の拘束部2方向へのスライドが可能になる。そこで、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除しながら挟み込み部材11,11を開けばよい。
【0033】
前記スライド部材27は棒状部材、板状部材のいずれであってもよい。また前記スライド部材27を湾曲した板バネによって構成した場合には、湾曲した外面にラック型係合部23を設けることによって、ラック型係合部23を係止部25側に押し付けるようにすることができ、押圧部材31を省略することができる。このように、スライド部材27を板バネによって構成した場合には、鋸歯状突起23aと係止片25aの係合状態を解除することができるように、前記押圧部材31を実施形態とは反対側に設ければよい。
【0034】
次に、バネ圧保持部5について説明する。バネ圧保持部5は、図1に示すように、スライド部材27の後端部に係止孔27aを穿設するとともに、前記係止孔27aに操作杆10の後端部に取り付けた押下げピン33の挿入ピン33aを挿入させるように構成されている。前記押下げピン33は、全体が略くの字状に形成されており、操作杆10内に突出している挿入ピン33aが上下動するように軸着されている。
【0035】
前記係止孔27aに挿入ピン33aを挿入させるには、鋸歯状突起23aと係止片25aとの係合状態を解除した後、圧縮コイルバネ16を圧縮しながら係止孔27を挿入ピン33aの位置まで前進させる。係止孔27aに挿入ピン33aが挿入されると、圧縮コイルバネ16の圧縮状態が保持されるとともに、挟み込み部材11,11の開口状態が保持される。挟み込み部材11,11の開口状態を保持した後に、押圧部材31を押下げて、鋸歯状突起23aと係止片25aを係合させればよい。
【0036】
挟み込み部材11,11を閉じるには、開口させるときとは反対に、挿入ピン33aを係止孔27aから引き出すと、圧縮コイルバネ16の付勢力によってスライド部材27及びスライドバー13は一気に後端部方向にスライドして挟み込み部材11,11が閉じられることになる。挟み込み部材11,11が閉じられると、ロック部3によってロックされるので、手足を確実に拘束することができる。
【0037】
図5に示す第2実施形態について説明する。図5に示す実施形態は、前記実施形態が圧縮コイルバネ16を使用したのに対して引張バネを使用した点において異なる。従って、同一の構成については同一符号を付してその説明は省略する。図5(a)に示す実施形態では、操作杆10の後端面に嵌合するキャップ43の内側に渦巻バネ44が配設されており、前記渦巻バネ44の先端がスライド部材27に取り付けられている。
【0038】
従って、前記挿入ピン33aが係止孔27aから引き出されているときは、スライド部材27とスライドバー13はキャップ43側に引き付けられて、挟み込み部材11,11は閉じられることになる。また、図5(b)に示す実施形態では、前記渦巻バネ44に代えて引張コイルバネ48を使用している。引張コイルバネ48は一端をキャップ43に取り付け、他端をスライド部材27に取り付けられている。図1の実施形態と図5の実施形態との違いは、圧縮コイルバネと引張バネの違いであって、他の構成において異なるところはない。
【0039】
図6に示す第3の実施形態は、図1の実施形態と同様に圧縮コイルバネ16を使用した点では同じであるが、圧縮コイルばね16は、支持部19を押し上げることによって挟み込み部材を閉じるようにしたものである。この実施形態において図1の実施形態と同じ構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0040】
拘束部2Aは、開閉自在な独立した一対の円弧状の挟み込み部材11A、11Aを有している。前記挟み込み部材11A、11Aは、閉じると内側に略円形状の空隙を形成するので、この円形状空隙に暴漢者の身体、特に手又は足を挟みこんで拘束する。さらに、挟み込み部材11A、11Aは、第1実施形態と同様に、スライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されているとともに、搖動板17の一端に回動自在に軸着されている。前記搖動板17の他端は、支持材19の両端部に回動自在に軸着されている。
【0041】
ここで、前記支持材19は、上記実施形態とは異なり、操作杆10の先端に固着されてはいないので、スライドバー13は支持部19にスライド可能に挿入されているものの両者分離可能である。従って、圧縮コイルバネ16は、支持材19を押し上げることになり、支持材19が押し上げられると搖動板17,17を介して前記挟み込み部材11A、11Aも押し上げられるが、このとき、前記挟み込み部材11A、11Aの内側端部11bは支持部材15に回動自在に軸着されているから、前記挟み込み部材11A、11Aは、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられる。
【0042】
この実施形態においても、挟み込み部材11A,11Aが、閉じたときに先端部が交差して湾曲面によって閉じたときに形成される隙間を徐々に小さくすることができるように、中間部に屈曲部11d、11dを形成することが好ましい。
【0043】
次に、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具の第4実施形態を図7及び図8に基づいて説明する。図示する身体拘束具2Aは、拘束部2と、前記拘束部2をロック状態にするロック部3と、拘束部2を手動で閉じることができる操作部4から構成されている。前記拘束部2は、管状の操作杆10の一端部に設けられており、ロック部3及び操作部4は操作杆10に形成されている。拘束部2とロック部3の構成は上記実施形態と同様に構成されている。従って、同一構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0044】
搖動板17の両端部は、挟み込み部材11,11と支持部19にそれぞれ回動自在に軸着されているから、挟み込み部材11,11が開いた状態から支持部材15が押圧されて操作杆10側に後退すると、挟み込み部材11,11は搖動板17によって後退を阻止されるから、内側端部11bを中心にして回動しながらガイドローラ20側が閉じられることになる。このとき、挟み込み部材11,11側の外側角部11c、11cと搖動板17が外側に開くように回動することになり、挟み込み部材11,11をスムーズに開閉させる。このような挟み込み部材11,11の開閉は第1実施形態等と同じである。
【0045】
尚、上記実施形態において、挟み込み部材11,11を互いに交差させるためには、中間部に屈曲部11d、11dを形成してもよいし、挟み込み部材11,11を支持部材15において予め上下に軸着してもよい。また、挟み込み部材11,11は、交差させることなく単に突合せて当接させてもよいし、近接させる構成としてもよい。また、挟み込み部材11,11の形状は、挟み込んだとき内側に隙間を有する形状であればよく、実施形態に限定されるものでないことは上記実施形態において述べたとおりである。
【0046】
次に、ロック部3の構成について説明する。ロック部3は、拘束部2における挟み込み部材11,11を閉じた状態にロックするものであって、図1に示すロック部3と同様である。この実施形態では、ロック部3のラック型係合部23を形成するスライド部材27は、支持環28,29にスライド自在に挿通されており、支持環28とスライドバー13の後端面との間には、スライドバー13を先端方向(拘束部2方向)に付勢する押圧バネ30が装着されている。
この押圧バネ30に押圧されているスライドバー13とともに、支持部材15が突出すると挟み込み部材11,11は搖動板17,17によって開口されることになる。
【0047】
また、この実施形態においては、押圧部材31の押圧力に抗してラック型係合部23を押し下げる押下げピン32が設けられている。押下げピン32は、押下げ部32dと挿入ピン32eからなり、押下げ部32dは操作杆10の外面に設けたバネ32aによって操作杆10の外方に付勢されている。押下げ部32dをバネ32aに抗して押下げることによって、挿入ピン32eが引き出されてラック型係合部23と係止部25の係合状態を解除する。
【0048】
この実施形態においては、支持部材15が押し込まれると、スライドバー13及びスライド部材27が後退して挟み込み部材11,11は閉じられると同時に、ラック型係合部23と係止部25によって挟み込み部材11,11の閉じた状態がロックされる。即ち、暴漢者の手又は足に押し当てるだけで、手錠のように拘束して自由を奪うことができる。
【0049】
そして、挟み込み部材11,11がある程度閉じるとロック状態となり、支持部材15を押し込めば押し込むほど挟み込み部材11,11の挟み込みの隙間が小さくなるから、暴漢者が激しく抵抗すればするほど拘束されることになる。また、ロックの初期状態で拘束を逃れた場合には、押下げ部32dを押下げると押圧バネ30の付勢力によって、ワンタッチでロック状態を解除することができるから、次の行動に迅速に対応することができる。
【0050】
次に、操作部4について説明する。操作部4は、操作杆10の後端面のキャップを兼ねており、ロック部3のラック型係合部23を引っ張ることによって、挟み込み部材11,11をロック状態にするものである。即ち、操作部4は、キャップ5と連結材36とからなる。キャップ35は、操作杆10よりも径の大きな握り部33と操作杆10に嵌入する嵌入部34によって形成されており、前記嵌入部34と前記スライド部材27の後端部とを連結材36を介して連結している。
【0051】
前記連結材36の長さは、嵌入部34が操作杆10に嵌入されて握り部33が操作杆10の端面に当接したときに、挟み込み部材11,11が最も開口した状態となるように調整されている。キャップ35は、連結材36を介してスライド部材27に連結されているから、握り部33を引っ張って嵌入部34を後退させるとスライド部材27が同時に後退するとともに、挟み込み部材11,11は閉じられ、同時に閉じられた状態がラック型係合部23と係止部25によってロックされる。
【0052】
前記操作部4は、支持部材15の押し込みが十分でない場合にも、挟み込み部材11,11を閉じるときに有効である。なお、上記操作杆10の長さは特に限定されるものではないが、暴漢者等から身体の危険を回避しつつ、片手で迅速に対応することができる長さとすればよい。例えば、通常の警棒と同じか若干長く形成することができる。
【0053】
次に、図9に示す拘束部2の第5実施形態について説明する。図9に示す第5実施形態は、挟み込み部材11,11の一方側を固定し、他方側を開閉自在としたものである。この実施形態において、図1及び図7に示す実施形態と同様の構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0054】
拘束部2Aは、ほぼ同一形状に形成された挟み込み部材11、11を有しており、一方の挟み込み部材11(図9においては左側の挟み込み部材11)が閉じた状態において固定されている。即ち、一方の挟み込み部材11は、支持部材15に軸着されることなく支持材19に固着された固定板38の他端部に固定されている。従って、支持部材15が前進、後退しても固定された方の挟み込み部材11は、開閉することがない。
【0055】
他方の挟み込み部材11(図9においては右側の挟み込み部材11)は、内側端部11bが支持部材15に回動自在に軸着され、外側角部11cが搖動板17に回動自在に連結されているから、支持部材15が前進、後退することによって開閉することになる。この実施形態においても図7に示す第4実施形態と同様に、ロック部3、操作部4が構成されるが、その説明は省略する。
【0056】
次に、図10に示す第6実施形態の拘束部2Bについて説明する。図10に示す実施形態では、挟み込み部材40、40に2つの湾曲部を形成した点において上記実施形態とは異なる。即ち、挟み込み部材40、40は、内側に湾曲面40a、40aと湾曲面40b、40bを有している。挟み込み部材40、40の先端部には、手足を内側に案内するガイドローラ41、41と、湾曲面40a、40aと湾曲面40b、40bの境界部となる突出部に同じくガイドローラ42、42が取り付けられている。
【0057】
ガイドローラ41、42は、その一部が挟み込み部材40、40の内側に突出しており、逆回転防止機構を有していることが好ましい。さらに、挟み込み部材40、40の内側端部40c、40cは、スライドバー13の先端部に固着された支持部材15に回動自在に軸着されており、前記スライドバー13は操作杆10内にスライド自在に挿通されている。挟み込み部材40、40の外側端縁には、搖動板17、17が回動自在に軸着されており、搖動板17,17の他端部が支持材19に軸着されている。
【0058】
上記のように、湾曲面を2カ所に設けた挟み込み部材とした場合には、例えば、先端寄りの湾曲面40a,40aの間に足首を挟み込み、支持部材15側の湾曲面40b、40bの間に手首を挟み込むことができ、いずれの場合にも対応して確実に拘束することができる。
【0059】
尚、前記ガイドローラ41,42は、省略することが可能であり、また、挟み込み部材40,40に屈曲部11aを設けて交差可能な形状とすることができる。実施形態1及び2と同一構成についての説明は、この実施形態においても適用されるから同一符号を付してその説明は省略する。
【0060】
次に、図11〜図13に示す拘束部の第7実施形態について説明する。第1〜6実施形態における拘束部2,2A,2Bを形成する挟み込み部材11,11及び挟み込み部材40,40と操作杆10とは直線状に一体に形成されており、両者の向きを変えることはできない。しかしながら、この実施形態では、図13に明らかなように、操作杆と挟み込み部材との角度を変えられるように形成されている。挟み込み部材の方向が変わるようにした点において、上記第1〜6実施形態とは異なる。
【0061】
スライドバー13と支持部材15とは、回動自在に軸着されている。即ち、支持部材15から平行に突出した2枚の挟持板15a,15aの間にスライドバー13の先端に突出した突出部13aを挿入してピン44によって回動自在に組み立てられている。また、挟み込み部材11,11を支持する搖動板17の中央部は、コイルバネ、板バネ、ゴム部材又は樹脂材等の可撓性を有する可撓性部材17aによって形成されている。
【0062】
スライドバー13と支持部材15とを回動自在に軸着するとともに、搖動板17の中央部を可撓性部材17aによって形成したので、操作杆10と挟み込み部材11,11との角度を変えることができる(図13参照)。このように、拘束部2の挟み込み部材11,11の角度が変わることによって、暴漢者等が激しく抵抗した場合でも、その動きに応じてその力を逃がすことができるから、挟み込み部材11,11をロックした状態でも拘束している手足を損傷させることがない。
【0063】
尚、スライドバー13と支持部材15との角度を変えられるようにするには、上記実施形態に限定されるものではなく任意の構成とすることができ、例えば、挟持板15a,15aと突出部13aによる連結部分を自在継ぎ手構造としてもよい。
【0064】
次に、図14〜図16に示すロック部と操作部の他の実施形態について説明する。図14にはロック部の第2実施形態を示す。ロック部3Aは、図1及び図7に示す第1実施形態とは反対に、操作杆10の内面に内接させた複数列の鋸歯状突起45を設けた係止用円筒体46と、スライド部材27の後端部に設けた前記鋸歯状突起45と係合する係止片47と、鋸歯状突起45と係止片47との係合状態を解除する押下げピン32とからなる。
【0065】
前記鋸歯状突起45と係止片47とが係合した状態では、係止片47は操作杆10の後端方向にスライドすることは可能であるが、拘束部2方向へスライドすることはできない。従って、拘束部2の挟み込み部材11,11は閉じた状態でロックされることになる。押下げピン32を押下げることによって係合状態が解除され、拘束部2の方向へ前進移動が可能になる。前記押下げピン32の先端部は、操作杆10の内側に突出していて、スライド部材27に接近している。押下げピン32は、図7に示す押下げピン32と同様の構成であるから、その説明は省略する。
【0066】
図14には操作部の第2実施形態を示す。操作部4Aは、操作杆10の外面に取り付けたロックレバー50をスライド部材27に連結材51を介して連結することによって構成されている。従って、前記ロックレバー50を握って押下げると連結材51を介してスライド部材27を引っ張ることになり、係止片47を鋸歯状突起45と係合させながら後退させる。前記ロックレバー50は、図7に示す第1実施形態の握り部34と同様に、挟み込み部材11,11を急速に閉じるときに使用することができる。
【0067】
尚、拘束部の構成やスライド部材27が押圧バネ30によって付勢されている点等は上述の通りである。従って、押下げピン32を押し下げて鋸歯状突起45と係止片47との係合状態を解除すれば、スライド部材27が前進し挟み込み部材11,11は開口されることになる。
【0068】
次に、図15及び図16に示すロック部と操作部の第3実施形態について説明する。図15及び図16に示すロック部3Bは、スライド部材27に操作杆10内をスライドするスライド管53を連結し、前記スライド管53に係止孔53aを軸方向に多数穿設するとともに、前記係止孔53aに操作杆10に取り付けた押下げピン55の挿入ピン55aを嵌合させるように構成されている。
【0069】
前記押下げピン55は、押下げ部55bと挿入ピン55aとにより全体が略くの字状に形成されており、操作杆10内に突出している挿入ピン55aが上下動するように形成されている。また、挿入ピン55aの先端には、操作杆10の先端方向(拘束部2方向)に向いた傾斜面が形成されている。一方、前記係止孔53aの先端方向(拘束部2方向)にも傾斜面に形成されている。従って、スライド管53が後退すると前記挿入ピン55aの傾斜面と係止孔53aの傾斜面とがスライドし、挿入ピン55aは押し上げられスライド管53はスムーズにスライドすることができる。前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態によって、スライド管53は操作杆10の先端方向(拘束部2方向)へスライドすることはない。
【0070】
前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態によって後退のみが可能となる。挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態を解除するには、押下げピン55の押下げ部55bの後端部を押下げて挿入ピン55aを引き上げればよい。押圧バネ30の付勢力によってスライド管53は前進し、挟み込み部材11,11を開口させる。
【0071】
一方、第3実施形態の操作部4Bは、操作杆10に設けた略L字状スリット57にロックレバー59を摺動可能に挿入し、前記ロックレバー59の操作杆10内に突出している先端部59aをスライド管53に固着することによって構成されている。前記スリット57は、操作杆10の軸方向のスリット57aと操作杆10の周方向のスリット57bとによって略L字状に形成されている。
【0072】
従って、ロックレバー59を引いてスリット57a内を後退させると、スライド管53も後退する。また、スライド管53の後退とともに前記挿入ピン55aは係止孔53aとの係止を繰り返しながらロックされる。前記ロックレバー59は、第7実施形態のキャップ35と同様に、支持部材15が押圧されて挟み込み部材11,11が閉じた状態となる前に、挟み込み部材11,11を急速に閉じる場合に使用することができる。
【0073】
ロックレバー59を引いてスリット57bに係止させれば、スライド管53が後退して挟み込み部材11,11を閉じた状態でロックすることになる。挟み込み部材11,11のロック状態を解除するには、ロックレバー59をスリット57bからスリット57aに回動するとともに、押下げピン55の後端部を押し下げて挿入ピン55aを引き上げればよい。スライド管53が連結しているスライド部材13は、コイルバネ30によって操作杆10の先端方向に押圧されているから、前記挿入ピン55aと係止孔53aとの係止状態が解除されれば、支持部材15が復帰して挟み込み部材11,11は開いた状態となる。
【0074】
尚、図14〜図16に示すロック部と操作部の実施形態において、上記図7以下の実施形態と同様な構成については同一符号を付してその説明は省略する。また、拘束部は第1実施形態から第7実施形態のいずれであってもよい。
【0075】
次に、図17及び図18に基づいて、上記第1実施形態の身体拘束具1Aの使用方法について説明する。図17に示すように、捕らえようとする暴漢者等の足首を挿入した瞬間にバネ圧保持部5を操作してロック状態を解除すればよい。また、図7以下の実施形態においては、操作部4を操作してスライド部材27を引けばよい。また、図7以下の実施形態においては、操作部4を操作することなく暴漢者等の足首に強く押し当てると、支持部材15が押し込まれてコイルバネ30に抗してスライド部材27が後退するとともに、挟み込み部材11,11が閉じられる。
【0076】
いずれに実施形態においても、スライド部材27が後退するとそのままロック部3によって挟み込み部材の閉じた状態が保持されることになるので、挟み込み部材11,11によって手足が拘束される。手足を激しく動かせば動かすほど支持部材15を押し込むことになるので挟み込み部材11,11は一層閉じられることになる。足首を拘束されて足の自由を奪われた暴漢者等は立っていることが困難になるから、操作杆10を操作して暴漢者等を倒すことができ、容易に取り押さえることができる。
【0077】
また、図18に示すように、捕らえようとする暴漢者等の手首においても、足首の場合と同様にして手を拘束することができる。挟み込み部材11,11がある程度閉じて手首が抜けなければ、手を動かす度に支持部材15を押し込んで締め付けられるので確実に拘束することができる。手首を拘束した場合には、暴漢者等が手に刃物等の凶器を持っていた場合でも、凶器を放棄させることができ、身の安全を図ることができる。
【0078】
以上詳述したように、この発明に係る刺股型開閉可能な身体拘束具によれば、暴漢者等の手足を瞬時に又は手足に押し付けながら最も有効に拘束することができる。また、片手で操作して警棒のように攻撃防御にも使用することができから、身を守るにも有効である。
【符号の説明】
【0079】
1A:身体拘束具
2:拘束部
3:ロック部
4:操作部
5:開口保持部
10:操作杆
11,11A,11B:挟み込み部材
11a:湾曲面
11b:内側端部
11c:外側角部
12:搖動板
13:スライドバー
15:支持部材
16:圧縮コイルバネ
17:搖動板
19:支持部
20:ガイドローラ
23:ラック型係合部
25:係止部
27:スライド部材
28,29:支持環
30:押圧バネ
31:押圧部材
32:押下げ部材
33:握り部
34:嵌入部
35:キャップ
36:連結材
38:固定板
40:挟み込み部材
41.42:ガイドローラ
45:鋸歯状突起
46:係止用円筒体
47:係止片
48:引張コイルバネ
49:押下げ部材
50:ロックレバー
51:連結材
53:スライド管
55:押しつめ
57:略L字状スリット
59:ロックレバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作杆の一端に設けられた拘束部と、前記操作杆に設けられたロック部とからなり、
前記拘束部は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着するとともに、前記スライドバーをスライド自在に挿通する支持材に一端を回動自在に軸着してなる搖動板の他端に前記一方の挟み込み部材を回動自在に軸着することによって形成されており、
前記ロック部は、前記スライドバーに固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部とからなり、前記鋸歯状突起と係止片とはスライド部材を操作杆の後端部方向にのみスライドさせ、拘束部方向にはスライドさせないように形成されており、
前記スライド部材及びスライドバーが操作杆の後端部方向にスライドして前記支持部材を後退させたときに、前記一対の挟み込み部材が閉じるようにしたことを特徴とする刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項2】
一対の挟み込み部材の先端部にガイドローラを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項3】
一対の挟み込み部材の両方の挟み込み部材が前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項4】
一対の挟み込み部材は閉じたとき交差するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項5】
スライド部材は、操作杆に設けたバネによって操作杆の後端部側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項6】
操作杆には一対の挟み込み部材の開口状態を保持するように、スライド部材に設けた係止孔と前記係止孔に出没自在に挿入する爪とからなる開口保持部を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項7】
スライド部材は、操作杆内に設けたバネによって拘束部側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項8】
操作杆には、スライド部材を強制的に操作杆の後端部側に引き、支持部材を後退させて挟み込み部材を閉じることができるようにした操作部を設けたことを特徴とする請求項7に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項9】
挟み込み部材は、操作杆との角度を変えられるように、支持部材とスライドバーを回動自在に連結するとともに、搖動板を可撓性材により形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項1】
操作杆の一端に設けられた拘束部と、前記操作杆に設けられたロック部とからなり、
前記拘束部は、内側に湾曲面を有する独立した一対の挟み込み部材のうち少なくとも一方の挟み込み部材を前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着するとともに、前記スライドバーをスライド自在に挿通する支持材に一端を回動自在に軸着してなる搖動板の他端に前記一方の挟み込み部材を回動自在に軸着することによって形成されており、
前記ロック部は、前記スライドバーに固着されたスライド部材に形成した鋸歯状突起を有するラック型係合部と、前記鋸歯状突起と係合する係止片を有する係止部とからなり、前記鋸歯状突起と係止片とはスライド部材を操作杆の後端部方向にのみスライドさせ、拘束部方向にはスライドさせないように形成されており、
前記スライド部材及びスライドバーが操作杆の後端部方向にスライドして前記支持部材を後退させたときに、前記一対の挟み込み部材が閉じるようにしたことを特徴とする刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項2】
一対の挟み込み部材の先端部にガイドローラを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項3】
一対の挟み込み部材の両方の挟み込み部材が前記操作杆内にスライド自在に挿通されたスライドバーの先端部に固着された支持部材に回動自在に軸着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項4】
一対の挟み込み部材は閉じたとき交差するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項5】
スライド部材は、操作杆に設けたバネによって操作杆の後端部側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項6】
操作杆には一対の挟み込み部材の開口状態を保持するように、スライド部材に設けた係止孔と前記係止孔に出没自在に挿入する爪とからなる開口保持部を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項7】
スライド部材は、操作杆内に設けたバネによって拘束部側に付勢されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項8】
操作杆には、スライド部材を強制的に操作杆の後端部側に引き、支持部材を後退させて挟み込み部材を閉じることができるようにした操作部を設けたことを特徴とする請求項7に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【請求項9】
挟み込み部材は、操作杆との角度を変えられるように、支持部材とスライドバーを回動自在に連結するとともに、搖動板を可撓性材により形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の刺股型開閉可能な身体拘束具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−175113(P2010−175113A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16867(P2009−16867)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(391005248)三力工業株式会社 (5)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(391005248)三力工業株式会社 (5)
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