説明

剃刀

【解決手段】シェービングエイド部材31が剃刀ヘッド8に対し初期位置から回動操作位置まで板ばね40の弾性力に抗して所定範囲だけ回動する。シェービングエイド部材31において、台部材32の載置部33と両腕部37とのうち、載置部33は剃刀ヘッド8に並ぶが、両腕部37は剃刀ヘッド8の表側から見えない。そのため、剃刀ヘッド8の外周縁部の外側で両腕部37が嵩張らない。
【効果】シェービングエイド38付き剃刀において、使用時の感触を良くすることができるとともに、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積を小さくしてコンパクトにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃体を有する剃刀ヘッドにシェービングエイドを設けた剃刀に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、剃刀ヘッドの天板上にシェービングエイドが埋め込まれて露出している。しかし、シェービングエイドが剃刀ヘッドの天板上で固定状態となっているため、剃刀ヘッドを皮膚面に当てがった際、シェービングエイドが皮膚面を必要以上の力で押え、使用時の感触が悪くなるおそれがあった。
【0003】
そこで、図8に示す剃刀(特願2005−262484参照)が提案されている。この剃刀においては、シェービングエイド38を載せる台部材32を備えたシェービングエイド部材31が剃刀ヘッド8のガード14に対する反対側で並ぶように配設されている。この台部材32は、剃刀ヘッド8に対し刃体11の刃先11aの延設方向Yの両側で並ぶように配設された腕部37を有し、この両腕部37で剃刀ヘッド8に対し回動可能に支持されている。従って、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31を皮膚面に当てがった際、シェービングエイド部材31を適度な弾力により皮膚面に当てがうことができ、使用時の感触を良くすることができる。
【特許文献1】特開2001−38072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような剃刀において、刃先11aの延設方向Yに沿った最大横寸法Wは、剃刀ヘッド8の横寸法に両腕部37の横寸法を加えたものとなるため、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積が大きくなる。
【0005】
この発明は、シェービングエイド付き剃刀において、使用時の感触を良くすることができるばかりではなく、剃刀ヘッドとシェービングエイド部材とにより形取られる部分の表側面積を小さくしてコンパクトにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜7)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀においては、刃体11を有する剃刀ヘッド8にシェービングエイド部材31を取り付け、刃体11の刃先11aが露出する剃刀ヘッド8の表側に対し反対側になる裏側で、シェービングエイド部材31を剃刀ヘッド8に対し移動可能に支持する連結部24,37を設けている。その移動は回動以外にも平行移動も含む。請求項1の発明では、剃刀ヘッド8の裏側で連結部24,37を設けたので、剃刀ヘッド8の外周縁部の外側で連結部24,37が嵩張ることはなくなり、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積を小さくして剃刀をコンパクトにすることができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明にかかる連結部は、シェービングエイド部材31においてシェービングエイド38を載せる台部材32に設けた腕部37と、剃刀ヘッド8の裏側に設けた支持部24とを備え、この剃刀ヘッド8の外周縁部で囲まれる裏面に面するようにこの腕部37をこの支持部24に対し移動可能に支持している。請求項2の発明では、剃刀ヘッド8の裏側の支持部24に対しシェービングエイド部材31の腕部37を支持して剃刀ヘッド8の裏面に面して配置したので、剃刀ヘッド8の外周縁部の外側で支持部24及び腕部37が嵩張ることはなくなり、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積を小さくして剃刀をコンパクトにすることができる。
【0008】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記シェービングエイド部材31は、その移動方向Rの両側向きのうち一方の向きRFへ弾性体40の弾性力により付勢されて停止する初期位置Aから他方の向きRBへ弾性体40の弾性力に抗して移動させた移動操作位置Bまでの所定移動範囲だけ移動し得る。請求項3の発明では、シェービングエイド部材31が初期位置Aから弾性体40の弾性力に抗して所定移動範囲だけ移動するので、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31を皮膚面に当てがった際、シェービングエイド部材31を適度な弾力により皮膚面に当てがうことができる。特に、皮膚面に起伏がある場合にはその起伏にシェービングエイド部材31を追従させることができる。
【0009】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記シェービングエイド部材31の初期位置Aで台部材32の腕部37が弾性体40の弾性力により移動するのを阻止する第一移動停止部43,44を設けている。請求項4の発明では、弾性体40の弾性力を第一移動停止部43,44により受けて台部材32の腕部37を初期位置Aで保持することができる。
【0010】
請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明において、前記シェービングエイド部材31の移動操作位置Bで台部材32の腕部37が移動操作力により移動するのを阻止する第二移動停止部45,46を設けている。請求項5の発明では、台部材32の腕部37に対する移動操作力を第二移動停止部45,46で受けることにより、初期位置Aから移動させた台部材32の腕部37を移動操作位置Bで停止させることができる。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項6の発明においては、前記シェービングエイド部材31の初期位置Aで台部材32の腕部37が弾性体40の弾性力により移動するのを阻止する第一移動停止部43,44を設けるとともに、前記シェービングエイド部材31の移動操作位置Bで台部材32の腕部37が移動操作力により移動するのを阻止する第二移動停止部45,46を設けている。このシェービングエイド部材31において台部材32の腕部37の移動は回動であって、この腕部37の回動中心線41aは第一移動停止部43,44と第二移動停止部45,46との間に位置している。請求項6の発明では、弾性体40の弾性力を第一移動停止部43,44により受けて台部材32の腕部37を初期位置Aで保持することができるとともに、台部材32の腕部37に対する移動操作力を第二移動停止部45,46で受けることにより、初期位置Aから回動させた台部材32の腕部37を移動操作位置Bで停止させることができる。その際、腕部37の回動中心線41aが第一移動停止部43,44と第二移動停止部45,46との間に位置しているので、第一移動停止部43,44及び第二移動停止部45,46を簡単に設けることができる。
【0012】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項の発明を前提とする第7の発明にかかるシェービングエイド部材31において台部材32の腕部37の移動は回動である。
【0013】
請求項5または請求項6の発明を前提とする第8の発明において、前記第二移動停止部は、剃刀ヘッド8の裏面に設けた当接面46と台部材32の腕部37に設けた当接面45との間に移動許容間隙47を有している。第8の発明では、この移動許容間隙47により腕部37を初期位置Aから移動操作位置Bまで移動させることができる。
【0014】
請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項の発明、または第7の発明または第8の発明を前提とする第9の発明において、前記連結部24,37は剃刀ヘッド8の裏側で刃体11の刃先11aの延設方向Yの両側に配設されている。
【0015】
第9の発明を前提とする第10の発明において、前記弾性体40はシェービングエイド部材31の台部材32に設けられている。
第10の発明を前提とする第11の発明において、前記弾性体40は前記台部材32で両連結部の腕部37間に設けられている。
【0016】
請求項6の発明を前提とする第12の発明において、前記シェービングエイド部材31は刃体11の刃先11aの延設方向Yに沿う回動中心線41aを中心に剃刀ヘッド8に対し初期位置Aと回動操作位置Bとの間の所定回動範囲内で揺動可能に支持されている。第12の発明では、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31を皮膚面に当てがった際、シェービングエイド部材31を皮膚面に対し平均的に当てがうことができる。
【0017】
請求項6の発明または第12の発明を前提とする第13の発明において、前記剃刀ヘッド8はその裏側に設けた取付部21でホルダ1に支持され、その取付部21は前記両連結部の支持部24間に設けられている。第13の発明では、剃刀ヘッド8の裏側で両連結部の支持部24をホルダ1を支持する取付部21とともに設けることができる。
【0018】
第12の発明を前提とする第14の発明にかかる剃刀ヘッド8は、その裏側で刃体11の刃先11aの延設方向Yの両側に配設した取付部21において刃体11の刃先11aの延設方向Yに沿う回動中心線28aを中心にホルダ1に対し回動可能に支持され、その剃刀ヘッド8の回動中心線28aを有する取付部21と前記シェービングエイド部材31の回動中心線41aを有する連結部24,37とを刃体11の刃先11aの延設方向Yで互いに並設した。第14の発明では、取付部21と連結部24,37とを剃刀ヘッド8の裏側でコンパクトに設けることができる。
【0019】
請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項の発明、または第7の発明または第8の発明または第9の発明または第10の発明または第11の発明または第12の発明または第13の発明または第14の発明を前提とする第15の発明にかかる剃刀ヘッド8においては、刃体11を設けた組付部材9,10にガード14をこの刃体11の刃先11aに面して設け、前記シェービングエイド部材31は剃刀ヘッド8の組付部材9,10に対しガード14に対する反対側で並ぶように配設されている。第15の発明では、シェービングエイド部材31を剃刀ヘッド8に対しコンパクトに配置することができるとともに、剃刀の使い勝手が良くなる。
【0020】
第15の発明を前提とする第16の発明にかかる組付部材においては、刃台9と天板10との間に刃体11を設けてこの刃体11の刃先11aを天板10の表側へ露出させ、シェービングエイド部材31においては初期位置Aでシェービングエイド38がこのガード14と天板10とを結ぶ皮膚接触面Hから天板10の表側へ突出している。第16の発明では、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31を皮膚面に当てがうと、その皮膚面にシェービングエイド38が接触した後、剃刀ヘッド8の刃体11が皮膚面に当てがわれる。そのため、シェービングエイド38が使用により減ってもシェービングエイド38を皮膚面に対し確実に接触させることができる。
【0021】
請求項2または請求項3の発明を前提とする第17の発明において、前記腕部37は前記剃刀ヘッド8の裏面の範囲の内側でその裏面に重ねられて配置されている。第17の発明では、腕部37を剃刀ヘッド8の外周縁部の内側に配置して剃刀ヘッド8の表側から見えないようにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、シェービングエイド38付き剃刀において、使用時の感触を良くすることができるとともに、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積を小さくしてコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態にかかる首振り式剃刀について図面を参照して説明する。
図1(a)(b)及び図4(a)(b)に示すように、プラスチックにより成形されたホルダ1においては、金属からなる左右両支持アーム3とプラスチックからなる二股状のプッシャ4とが頭部2の前端部の左右両側から突出している。この左右両支持アーム3は、左右方向Yへ回動可能に支持され、頭部2の外側へ突出する外腕部5を有している。この左右両支持アーム3の外腕部5には鉤状端部5aが左右方向Yで相対向して形成されている。このプッシャ4は、頭部2に対し前後方向Xへ移動可能に支持され、左右両支持アーム3の外腕部5の付近で頭部2の外側へ突出する外腕部6を有している。このプッシャ4の左右両外腕部6には圧接端部6aが形成されている。この頭部2から露出する操作摘み7を非操作状態から弾性力に抗して前方へ押すと、左右両支持アーム3の外腕部5が最閉状態から互いに開く。この操作摘み7から手を離すと、操作摘み7が非操作状態に戻るとともに、左右両支持アーム3の外腕部5が最閉状態に戻る。この左右両支持アーム3の外腕部5とプッシャ4の左右両外腕部6とは上下方向Zで互いに隣接して並んでいる。
【0024】
図1(a)(b)並びに図2(a)(b)(c)(d)及び図5(a)(b)に示す剃刀ヘッド8においては、プラスチックからなる組付部材としての刃台9と天板10との間で複数(例えば4枚)の刃体11が挟着されている。
【0025】
前記天板10は、枠状をなし、上枠部12と、この上枠部12の左右両側から連続する左右両枠部13と、この左右両枠部13間で形成されたガード14(下枠部)とを有している。この上枠部12と左右両枠部13とガード14との間で囲まれた窓孔15においては各刃体11の刃先11aが表側に露出してガード14に面している。このガード14の表面側にはシェービングエイドがインサート射出成形により一体に設けられている。この左右両枠部13において左右方向Yの内縁部13aと外縁部13bとのうち左右両内縁部13a間の間隔と左右両外縁部13b間の間隔とはそれぞれガード14側から上枠部12側へ向かうに従い次第に広がり、この窓孔15において各刃体11の刃先11aの露出寸法がガード14側よりも上枠部12側で大きくなる。そのため、ガード14に近い刃先11aで剃り残した左右両側部分をガード14から遠い刃先11aで剃り直して剃り残しを防止することもできる。
【0026】
前記刃台9は、枠状をなし、前記天板10の上枠部12に重なる上枠部16と、前記天板10の左右両枠部13に重なる左右両枠部17と、前記天板10のガード14に重なる下枠部18と有している。この上枠部16と左右両枠部17と下枠部18との間で囲まれた排除孔19においては、前記各刃体11を弾性的に載置する台座20が露出し、この台座20はそれに設けたばねにより剃刀の使用時に各刃体11に与えられる力に応じて撓むようにクッション機能を果たす。
【0027】
前記剃刀ヘッド8の表側に対し反対側になる裏側で前記刃台9の左右両枠部17には左右方向Y(刃先11aの延設方向)の両側で取付部21が形成されている。この左右両取付部21においては、図2(b)(c)(d)、図5(b)及び図7(a)(b)(c)に示すように、上壁部22と左右方向Yの両側壁部23,24と下壁部25との間で囲まれた凹部26が形成されている。この凹部26の入口26a付近で両側壁部23,24の内面には凹部26の底部側へ傾斜する案内面27が形成されている。この左右両取付部21の両側壁部23,24のうち左右方向Yで互いに面する両側壁部23には凹部26の底部で取付孔28が形成され、この左右両取付孔28を結ぶ回動中心線28aは左右方向Y(刃先11aの延設方向)に沿う。この凹部26の入口26a付近で上壁部22及び下壁部25の内面には凹部26側に向く矢印29が表示されている。この凹部26の入口26a付近で上壁部22の内面には押圧部30が形成されている。
【0028】
図1(a)(b)並びに図3(a)(b)(c)及び図5(a)(b)に示すシェービングエイド部材31において、プラスチックからなる台部材32は、枠部34間に裏蓋35を嵌め込んで表側に凹所36を形成した載置部33と、この載置部33の左右両側で枠部34から突出する両腕部37とを有している。この凹所36にシェービングエイド38が嵌め込まれて載せられている。このシェービングエイド38は、例えば質量約2.5gのアルカリ性石鹸である。なお、凹所36の上下両側で枠部34及びシェービングエイド38には、枠部34内に裏側からシェービングエイド38を嵌め込んだ際に、シェービングエイド38が枠部34から表側へ抜けないように互いに合致し得る傾斜面(図示せず)が形成され、枠部34間に嵌め込んだ裏蓋35とシェービングエイド38との間に接着剤を塗布した状態で、裏蓋35が枠部34に溶着される。この枠部34の傾斜面には、シェービングエイド38の傾斜面にくい込む多数の突起を形成したり、シボ加工等により平滑でない粗面を形成してシェービングエイド38の傾斜面との間の摩擦抵抗を大きくするようにしたりしてもよい。
【0029】
前記台部材32においては、左右両腕部37の相対向面側で左右両腕部37の先端部付近に支軸39が形成され、この左右両腕部37間で載置部33の枠部34に片持ち梁状の弾性体としての左右両板ばね40が左右両腕部37に隣接して一体に湾曲形成されている。この板ばね40を直線的に延設させてもよい。左右両板ばね40のうち一方のものを省略してもよい。なお、弾性体としては板ばね40以外のばねであってもよい。この台部材32の左右方向Yの寸法は約44mmである。このシェービングエイド38の左右方向Yの寸法は約34mmである。このシェービングエイド38の表面で左右方向Yに対し直交する方向における幅は、左右方向Yの中央部で最も広くなっており、約8mmである。このシェービングエイド38はこの台部材32の表面から高さ約8mmだけ突出している。このシェービングエイド38とは、例えば、前記石鹸やシェービングクリームや潤滑性助長剤やひげ軟化剤や乳液や薬剤や発毛抑制剤や脱毛剤やアフターローションや保湿剤や止血剤などの単独物ばかりでなく、これらの単独物を互いに組み合わせた複合物や、この単独物または複合物をスポンジなどの多孔質体に含ませた含有物である。
【0030】
図5(a)(b)に示すように、前記シェービングエイド部材31において台部材32の載置部33とそれに載置されたシェービングエイド38とは、剃刀ヘッド8の上枠部12,16に対し剃刀ヘッド8のガード14及び下枠部18に対する反対側で並ぶように配設されている。その場合、天板10の上枠部12が載置部33の枠部34側へ曲率半径約200mmの凸状に形成されているとともに、この枠部34で上枠部12との重合部が隙間G(約0.5mm)をあけて凸状上枠部12に合わせた凹状に形成され、天板10の左右両枠部13における左右両外縁部13b間の最大間隔(左右方向Yの最大横寸法W)が上枠部12との重合部における枠部34の最大間隔と一致している。この台部材32の左右両腕部37は剃刀ヘッド8の裏側で刃台9の左右両枠部17に対し左右両取付部21に隣接して重ねられ、この左右両取付部21がこの左右両腕部37間に配設されている。図2(c)及び図7(b)に示すように、この左右両腕部37に隣接する左右両取付部21の側壁部24には左右方向Yへ延びる支持孔41が形成されている。この左右両支持孔41を結ぶ回動中心線41aは前記左右両取付孔28間の回動中心線28aの近隣でその回動中心線28aと平行に左右方向Y(刃先11aの延設方向)に沿い、左右両腕部37のつけ根からこの回動中心線41aまでの距離Sが約7mmになっている。この左右両腕部37(連結部)の支軸39はこの左右両側壁部24(連結部としての支持部)の支持孔41に対し回動可能に挿嵌されている。前記左右両取付部21で上壁部22から延設された圧接板部42には前記台部材32の左右両板ばね40が当てがわれている。そのため、シェービングエイド部材31は剃刀ヘッド8に対しその表側と裏側とを結ぶ方向で揺動するように左右両支持孔41間の回動中心線41aを中心に回動可能に支持される。左右両腕部37の基端部とそれに面する左右両枠部17とには第一移動停止部としての当接面43,44が相対向して形成されている。左右両腕部37の先端部とそれに面する左右両枠部17とには第二移動停止部としての当接面45,46が相対向して形成されている。左右両腕部37側の当接面45は左右両枠部17側の当接面46に対し傾斜し、それらの当接面45,46間には回動許容間隙47が形成されている。前記左右両支持孔41間の回動中心線41aは第一移動停止部としての当接面43,44と第二移動停止部としての当接面45,46との間に配置されている。
【0031】
前記左右両支持アーム3を互いに開いた状態でそれらの外腕部5を前記刃台9の左右両取付部21の凹部26に入口26aから矢印29の向きへ挿入した後、左右両支持アーム3を最閉状態にすると、図6(a)に示すように、剃刀ヘッド8がホルダ1の頭部2に対し首振り可能に支持された取付状態となる。その際、プッシャ4の左右両外腕部6の矢印6bをこの矢印29に合わせれば、左右両支持アーム3を凹部26に挿入する位置の目安になる。この取付状態では、図7(a)(b)(c)に示すように、この左右両外腕部5の鉤状端部5aが左右両取付部21の取付孔28に挿入されて支持されるとともに、前記プッシャ4の左右両外腕部6の圧接端部6aが左右両取付部21の押圧部30に対し矢印6bの向きへ圧接され、この左右両取付孔28間の回動中心線28aを中心に剃刀ヘッド8がシェービングエイド部材31とともに首振り方向Qへ揺動し得る。図2(a)(b)(c)(d)、図5(a)(b)及び図6(a)に示すように、剃刀ヘッド8に対するシェービングエイド部材31の回動中心線41aは、左右両取付孔28間の回動中心線28aよりも天板10の上枠部12側に位置し、天板10でガード14上と上枠部12上とを結ぶ皮膚接触面Hよりも裏側で且つそのガード14よりも上枠部12側に位置している。また、この回動中心線41aは、ガード14と上枠部12との間にあって、ガード14に最も近い刃先11aと上枠部12に最も近い刃先11aとの間にある。
【0032】
図6(a)に示すように、台部材32の左右両板ばね40が左右両取付部21の圧接板部42に支えられた状態で、シェービングエイド部材31は、その左右両板ばね40により剃刀ヘッド8の裏側から表側へすなわち回動方向Rの両側向きRF,RBのうち一方の向きRFへ付勢される。そして、左右両腕部37が刃台9の左右両枠部17に重ねられたところで、前記第一移動停止部としての当接面43,44が互いに当接して停止する初期位置Aとなる。その初期位置Aでは、シェービングエイド38が前記皮膚接触面Hから表側へ突出する。
【0033】
図6(b)に示すように、使用時、このシェービングエイド部材31は、その初期位置Aから左右両板ばね40の弾性力に抗して剃刀ヘッド8の表側から裏側へすなわち回動方向Rの両側向きRF,RBのうち他方の向きRBへ前記第二移動停止部としての当接面45,46間の回動許容間隙47により回動する。そして、シェービングエイド部材31は、第二移動停止部としての当接面45,46が互いに当接する回動操作位置Bで停止し、前記初期位置Aからこの回動操作位置Bまでの所定回動範囲内で剃刀ヘッド8に対し揺動し得る。その所定回動範囲におけるシェービングエイド部材31の振り角については、0〜60°好ましくは0〜45°に設定されている。使用時にシェービングエイド38が減って台部材32の表面からの高さが低くなった場合には、図6(c)に示すように、そのシェービングエイド38の表面が皮膚面に当てがわれる。使用時にシェービングエイド38が台部材32の表面付近まで減った場合、例えば、シェービングエイド38の表面の一部が台部材32の表面に達した場合、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31の交換の目安にすることができる。
【0034】
剃刀ヘッド8を圧接するプッシャ4に対する弾性力や、シェービングエイド部材31に対する板ばね40の弾性力は、種々設定することができる。例えば、プッシャ4に対する弾性力は板ばね40の弾性力よりも大きく設定されている。そのため、剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31を皮膚面に当てがうと、シェービングエイド部材31が剃刀ヘッド8に対し前記初期位置Aから回動し始めた後に前記回動操作位置Bまたはその回動操作位置Bに至る途中位置で剃刀ヘッド8と一体的に回動し、剃刀ヘッド8がシェービングエイド部材31とともに首振り方向Qへ揺動する。
【0035】
また、前記左右両支持アーム3を互いに開いた状態でそれらの外腕部5を前記左右両取付部21の凹部26から抜くと、剃刀ヘッド8をホルダ1の頭部2から取り外すことができる。ちなみに、前記左右両支持アーム3については、操作摘み7を押してもすぐには開動せず、操作摘み7が不用意に押されて剃刀ヘッド8がホルダ1の頭部2から取り外されることを防止するため、操作摘み7をある程度押すと開くようになっている。
【0036】
本実施形態は下記の効果を有する。
* シェービングエイド部材31が剃刀ヘッド8に対し初期位置Aから回動操作位置Bまで板ばね40の弾性力に抗して所定範囲だけ回動するので、シェービングエイド部材31を適度な弾力により皮膚面に当てがって使用時の感触を良くすることができる。
【0037】
* シェービングエイド部材31において、台部材32の載置部33と両腕部37とのうち、載置部33は剃刀ヘッド8に並ぶが、両腕部37は剃刀ヘッド8の裏面の範囲の内側でその裏面に重ねられて配置されて剃刀ヘッド8の表側から見えない。そのため、剃刀ヘッド8の外周縁部の外側で両腕部37が嵩張らず、剃刀において刃先11aの延設方向Yに沿った最大横寸法Wは、剃刀ヘッド8の横寸法のみにより決まる。従って、剃刀ヘッド8とシェービングエイド部材31とにより形取られる部分の表側面積が小さくなって剃刀がコンパクトになる。
【0038】
* シェービングエイド部材31は剃刀ヘッド8に対しガード14に対する反対側で並ぶように配設されているので、シェービングエイド部材31を剃刀ヘッド8に対しコンパクトに配置することができるとともに、剃刀の使い勝手が良くなる。さらに、回動中心線41aに対するシェービングエイド38の回動半径が大きくなるため、シェービングエイド38の振り角を小さくすることができる。
【0039】
前記実施形態以外にも下記のように構成してもよい。
・ シェービングエイド部材31における台部材32と剃刀ヘッド8の刃台9とを剃刀ヘッド8の裏側において一体成形して連結部で互いにつなぎ、その連結部を剃刀ヘッド8に対するシェービングエイド部材31の回動中心部とする。
【0040】
・ ホルダ1の頭部2に対し剃刀ヘッド8を一体に設けた剃刀において、その剃刀ヘッド8にシェービングエイド部材31を回動可能に支持する。
・ 前述した実施形態では、シェービングエイド部材31の台部材32の載置部33を剃刀ヘッド8に対しガード14に対する反対側で並ぶように配設したが、その載置部を剃刀ヘッド8に対しガード14側で並ぶように配設したり左右方向Yの両側で並ぶように配設する。
【0041】
・ シェービングエイド部材31を剃刀ヘッド8に対し着脱可能にして交換できるようにする。
・ シェービングエイド部材31の台部材32または剃刀ヘッド8の刃台9や天板10に対し左右方向Yの中央部で一つの板ばね40を一体に形成してその板ばね40によりシェービングエイド部材31を付勢する。また、それらに対し三つ以上の板ばね40を左右方向Yへ並設する。
【0042】
・ シェービングエイド38については固形状でも液状でも半液状でもよい。固形状の場合にはそのままシェービングエイド38を台部材32に取着する。液状や半液状の場合には軟質または硬質の多孔質体、例えばスポンジや軽石や繊維構造である四フッ化エチレン樹脂などの多孔質体にシェービングエイド38を含浸させたものを台部材32に取着する。これらの多孔質体については形状の維持できるものが好ましい。この多孔質体の孔径については、種々設定できるが、0.01〜50μmが好ましい。
【0043】
・ 台部材32に対しシェービングエイド38をインサート射出成形により一体に設けたり、固形状のシェービングエイド38や上記の多孔質体を台部材32と分離して設けた後にそれらを台部材32に取着する。
【0044】
・ シェービングエイド部材31において台部材32に対し回転可能に支持したローラの外周にシェービングエイド38を設ける。
・ 剃刀ヘッド8及びシェービングエイド部材31にキャップを被せて刃体11及びシェービングエイド38を保護する。
【0045】
・ 前記実施形態の首振り式剃刀は主に手足の体毛剃りに使用するが、髭剃りに使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は本実施形態にかかる首振り式剃刀において表側を示す斜視図であり、(b)は同じく裏側を示す斜視図である。
【図2】(a)は上記首振り式剃刀において剃刀ヘッドの表側を示す正面図であり、(b)は同じく裏側を示す背面図であり、(c)は同じく側面図であり、(d)は同じく(b)を底面側から見た部分断面図である。
【図3】(a)は上記首振り式剃刀においてシェービングエイド部材の表側を示す正面図であり、(b)は同じく裏側を示す背面図であり、(c)は同じく一部切欠き側面図である。
【図4】(a)は上記首振り式剃刀においてホルダの頭部を示す平面図であり、(b)は同じく側面図である。
【図5】(a)は上記首振り式剃刀においてシェービングエイド部材を支持した剃刀ヘッドの表側を示す正面図であり、(b)は同じく裏側を示す背面図である。
【図6】(a)は上記首振り式剃刀においてホルダの頭部に支持した剃刀ヘッドでシェービングエイド部材が初期位置にある状態を示す側面図であり、(b)は同じく回動操作位置にある状態を示す側面図であり、(c)は同じく初期位置と回動操作位置との間の途中状態を示す側面図である。
【図7】(a)は上記首振り式剃刀において両支持アームに対する剃刀ヘッドの支持構造と剃刀ヘッドに対するプッシャの圧接構造を示す部分背面図であり、(b)は同じく(a)を背面側から見た部分断面図であり、(c)は同じく(a)を側面側から見た部分断面図である。
【図8】従来の首振り式剃刀においてシェービングエイド部材を支持した剃刀ヘッドの表側を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
8…剃刀ヘッド、11…刃体、11a…刃先、24…剃刀ヘッド側の連結部である支持部としての側壁部、31…シェービングエイド部材、32…台部材、37…シェービングエイド部材側の連結部としての腕部、38…シェービングエイド、40…弾性体としての板ばね、41a…シェービングエイド部材の回動中心線、43,44…第一移動停止部としての当接面、45,46…第二移動停止部としての当接面、A…初期位置、B…回動操作位置、R…回動方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃体を有する剃刀ヘッドにシェービングエイド部材を取り付けた剃刀において、刃体の刃先が露出する剃刀ヘッドの表側に対し反対側になる裏側で、シェービングエイド部材を剃刀ヘッドに対し移動可能に支持する連結部を設けたことを特徴とする剃刀。
【請求項2】
前記連結部は、シェービングエイド部材においてシェービングエイドを載せる台部材に設けた腕部と、剃刀ヘッドの裏側に設けた支持部とを備え、この剃刀ヘッドの外周縁部で囲まれる裏面に面するようにこの腕部をこの支持部に対し移動可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載の剃刀。
【請求項3】
前記シェービングエイド部材は、その移動方向の両側向きのうち一方の向きへ弾性体の弾性力により付勢されて停止する初期位置から他方の向きへ弾性体の弾性力に抗して移動させた移動操作位置までの所定移動範囲だけ移動し得ることを特徴とする請求項2に記載の剃刀。
【請求項4】
前記シェービングエイド部材の初期位置で台部材の腕部が弾性体の弾性力により移動するのを阻止する第一移動停止部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の剃刀。
【請求項5】
前記シェービングエイド部材の移動操作位置で台部材の腕部が移動操作力により移動するのを阻止する第二移動停止部を設けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の剃刀。
【請求項6】
前記シェービングエイド部材の初期位置で台部材の腕部が弾性体の弾性力により移動するのを阻止する第一移動停止部を設けるとともに、前記シェービングエイド部材の移動操作位置で台部材の腕部が移動操作力により移動するのを阻止する第二移動停止部を設け、このシェービングエイド部材において台部材の腕部の移動は回動であって、この腕部の回動中心線は第一移動停止部と第二移動停止部との間に位置していることを特徴とする請求項3に記載の剃刀。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−110113(P2008−110113A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295561(P2006−295561)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)