説明

削孔方法及び削孔装置

【課題】削孔中の孔の壁面を十分に支え、泥水を循環して再利用することができる削孔方法及び削孔装置を提供する。
【解決手段】油圧削岩機6のビット10を孔98に挿入し、泥水タンク20の泥水をスクイズポンプ21でビット10に圧送してビット10から泥水を噴出させ、集水パイプ11によって孔98内に泥水を充填させ孔98の壁面を保持しつつ、孔98内の泥水をバルブ19を介してくり粉とともに分離器31へと排水し、分離器31でくり粉を泥水から除去し、分離器31から泥水タンク20へ泥水を送る。このように泥水を循環させた状態において、ビット10により孔98を削孔する。削孔中において、孔98内の泥水の圧力を圧力センサ16で測定する。圧力センサ16による測定圧力が所定値以下になった場合に、スクイズポンプ21がコントローラ41によって制御され、スクイズポンプ21の駆動速度が上昇する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山等を削孔する削孔方法及びその削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリルジャンボに装着した削岩機を使用して、くり粉排出のために削岩機のビットから削孔水を噴出しつつ、ビットを回転させてそのビットを地山の孔の突当りに衝突させることによって、地山を削孔している。ところが、不良地山を削孔すると、削孔水との接触・浸透により孔の壁面の地山が軟弱化して孔壁が崩壊し、それ以上削孔することができなくなるとともに、ビット又はロッドが地山中に残されて回収不能となっていた。このような不良地山でも孔壁を保持したまま削孔ができる1つの方法として、くり粉排出のために水の代わりに圧縮空気、もしくは気泡を混入、使用する方法が考えられ、その方法は、下向きの削孔、もしくは削孔長が短い場合には有効である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、水平方向の削孔で、その削孔長が長い場合には、くり粉が孔内下部に堆積し、長距離の運搬排出効果は疑問が残るところであった。また、他の削孔方法として、削孔水が孔の壁面に触れず、また壁面が崩壊しないよう、削孔水と壁面の間にパイプを挿入する方法、あるいは水の代わりに泥水を使用して、孔壁を保持しつつ削孔する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。ところが、パイプ挿入を行うと孔周辺を切り拡げ掘削する際には残置されたパイプが掘削の妨げとなる。また、泥水を使用する場合、孔壁が保持される箇所は泥水とその接触壁面のみで、仮に泥水の静水圧を利用して孔内全体に泥水を充填した場合でも、くり粉の排出口が上向きでは泥水よりも比重の重いくり粉の排出は容易でなく、運搬排出効果は疑問が残るところであった。加えて、上記の削孔方法に使用する削孔水は、いずれも常に新たな削孔水を供給し、使用した削孔水はくり粉の排出とともに流し捨てられ、環境の面でも効率の面でも課題が残るものであった。
【特許文献1】特公平6−60553号公報
【特許文献2】特開昭57−68490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、泥水を利用して削孔中の孔の壁面を十分に支えるとともに、泥水を循環して再利用することができる削孔方法及び削孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、削岩機のビットを孔に挿入し、泥水をポンプで前記ビットに圧送して前記ビットから泥水を噴出させ、前記孔内に泥水を充填させつつ前記孔内の泥水をくり粉とともに排水している状態で前記孔内の泥水の圧力を圧力センサで測定しながら前記ビットで削孔し、前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記ポンプの駆動速度を上昇させることを特徴とする削孔方法である。
【0005】
請求項2に係る発明は、削岩機のビットを孔に挿入し、泥水をポンプで前記ビットに圧送して前記ビットから泥水を噴出させ、前記孔内に泥水を充填させつつ前記孔内の泥水をバルブを介してくり粉とともに排水している状態で前記孔内の泥水の圧力を圧力センサで測定しながら前記ビットで削孔し、前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記バルブの開度を絞ることを特徴とする削孔方法である。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の削孔方法において、前記孔に送られた泥水によって前記孔の壁面に泥膜を形成することにより前記孔の壁面を保持しながら、前記ビットの回転及び打撃により削孔をすることを特徴とする。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の削孔方法において、前記孔から排出された泥水からくり粉を除去して集水し、集水された泥水を前記ポンプで前記孔に圧送して再度利用可能とすることを特徴とする。
【0008】
請求項5に係る発明は、孔に挿入されて削孔するビットを有する削岩機と、
前記ビットに泥水を圧送して前記ビットから泥水を噴出させるポンプと、
前記ビットが挿入されて前記孔の開口に嵌め込まれ、前記孔内に泥水を充填させつつ、前記孔内の泥水をくり粉とともに排水させる筒状体と、
前記筒状体の内側に設けられ、前記孔内の泥水の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定された圧力に基づき前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記制御部が前記ポンプの駆動速度を上昇させることを特徴とする削孔装置である。
【0009】
請求項6に係る発明は、孔に挿入されて削孔するビットを有する削岩機と、
前記ビットに泥水を圧送して前記ビットから泥水を噴出させるポンプと、
前記ビットが挿入されて前記孔の開口に嵌め込まれ、前記孔内に泥水を充填させつつ、前記孔内の泥水をくり粉とともに排水させる筒状体と、
前記筒状体に接続され、前記筒状体から排水される泥水の流量を制御するバルブと、
前記筒状体の内側に設けられ、前記孔内の泥水の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定された圧力に基づき前記バルブを制御する制御部と、を備え、
前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記制御部が前記バルブの開度を絞ることを特徴とするである。
【0010】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の削孔装置において、
泥水を溜めておく泥水タンクと、
くり粉の混入した泥水を前記筒状体から排水するための排水ホースと、
前記筒状体と前記排水ホースを接続するためのカムロックと、
前記排水ホースから送られてきたくり粉の混入した泥水よりくり粉を捕捉して除去するための分離器と、
前記分離器によりくり粉が除去された泥水を前記泥水タンクへと送出する第二ポンプと、を更に備え、
前記泥水タンクに貯められた泥水を前記ポンプにより前記孔に圧送して、泥水を再度利用可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、孔内の泥水の圧力が圧力センサによって測定され、その測定圧力が所定値以下になった場合に、ポンプの駆動速度が上昇されるので、孔に送る泥水の流量が上昇する。そのため、孔内に充填される泥水の圧力が上昇し、孔内の泥水の圧力が所定値以上に戻る。従って、孔の壁面を泥水によって常時十分に保持することができ、孔の壁面の崩壊を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、孔内の泥水の圧力が圧力センサによって測定され、その測定圧力が所定値以下になった場合に、バルブの開度が絞られるので、孔内に充填された泥水が孔内から排水されにくくなる。そのため、孔内に充填される泥水の圧力が上昇し、孔内の泥水の圧力が所定値以上に戻る。従って、孔の壁面を泥水によって常時十分に保持することができ、孔の壁面の崩壊を防止することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、削孔水として水の代わりに泥水を使用することにより孔の壁面に泥膜が形成され、孔壁面を保持しながら、ビットの回転及び打撃によって効率的に削孔を行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、くり粉とともに孔内から排出された泥水からくり粉を除去し、集水された泥水をポンプにより泥水タンクまで圧送することで、再度、削孔水として循環利用することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、孔内の泥水の圧力が圧力センサによって測定され、その測定圧力が所定値以下になった場合に、ポンプの駆動速度が制御部によって上昇されるので、孔に送る泥水の流量が上昇する。そのため、孔内に充填される泥水の圧力が上昇し、孔内の泥水の圧力が所定値以上に戻る。従って、孔の壁面を泥水によって常時十分に保持することができ、孔の壁面の崩壊を防止することができる。
【0016】
請求項6に係る発明によれば、孔内の泥水の圧力が圧力センサによって測定され、その測定圧力が所定値以下になった場合に、バルブの開度が制御部によって絞られるので、孔内に充填された泥水が孔内から排水されにくくなる。そのため、孔内に充填される泥水の圧力が上昇し、孔内の泥水の圧力が所定値以上に戻る。従って、孔の壁面を泥水によって常時十分に保持することができ、孔の壁面の崩壊を防止することができる。
【0017】
請求項7に係る発明によれば、くり粉とともに孔内から排出された泥水から、分離機によりくり粉を除去し、集水された泥水を第二ポンプにより泥水タンクまで圧送することで、再度、削孔水として循環利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
図1は、トンネル内の地山削孔状況をトンネル縦断方向に示した図面である。トンネルの切羽99の近傍には、削孔装置であるドリルジャンボ1が配置されている。ドリルジャンボ1はトンネル内を走行可能な走行台車2を有し、この走行台車2にブーム3が連結されている。
【0020】
図2は、ブーム3の先端部分を示した図面である。図2に示すように、ブーム3の先端にはガイドセル4が連結され、これらガイドセル4が前後方向に延在している。なお、ガイドセル4はブーム3に対して左右に転回や上下に起伏可能とされている。
【0021】
これらガイドセル4に可動台5が摺動可能に支持され、可動台5がガイドセル4によって案内されて前後方向に移動可能とされている。可動台5には油圧削岩機6が搭載され、油圧削岩機6がガイドセル4によって案内されて前後方向に移動する。油圧削岩機6は、削孔ロッド9及びビット10を有する。
【0022】
ガイドセル4の前端部には、セントライザー7が設けられ、可動台5の前方にもセントライザー8が設けられている。これらセントライザー7,8に削孔ロッド9が挿入され、削孔ロッド9がガイドセル4に対して平行に設けられている。削孔ロッド9のラジアル荷重がセントライザー7,8に受けられているので、削孔ロッド9がその軸心を中心にして回転可能とされ更に軸心方向に移動可能とされている。
【0023】
この削孔ロッド9は油圧削岩機6の本体に連結されている。油圧削岩機6の本体に油圧が供給されることによって、削孔ロッド9が油圧削岩機6の本体によりその軸心回りに回転され、かつ打撃される。更に、削孔ロッド9が油圧削岩機6の本体とともに前後に移動する。
【0024】
削孔ロッド9の先端には、ビット10が装着されている。また、ビット10の先端部には噴出口が形成され、削孔ロッド9には中空が削孔ロッド9の軸心に沿って形成され、削孔ロッド9の中空とビット10の噴出口が通じている。具体的には、削孔ロッド9はチューブロッドである。図1に示すように、ホース22の一端が油圧削岩機6に接続され、ホース22の他端がスクイズポンプ21に接続されて、スクイズポンプ21には泥水タンク20が接続されている。泥水タンク20に貯留された泥水がスクイズポンプ21に吸引され、スクイズポンプ21によって泥水が油圧削岩機6に供給される。油圧削岩機6に供給された泥水が削孔ロッド9の中空を通ってビット10に圧送され、ビット10に送られた泥水がビット10の噴出口から噴出される。また、ビット10の噴射口には逆止弁(例えば、ウォータータイトのトンネルで使用されている市販の逆止弁)が設けられ、ビット10から噴出された水が逆にビット10を通って削孔ロッド9に逆流することが逆止弁によって抑えられる。泥水タンク20及びスクイズポンプ21は作業車両23に搭載されている。泥水タンク20に貯留された泥水はベントナイト水溶液である。ベントナイト水溶液に逸泥防止剤、増粘剤若しくは高分子溶液のうち何れか1つ以上を添加して泥水を、泥水タンク20に貯留させてスクイズポンプ21により圧送しても良い。このように、本実施形態においては、削孔水として水の代わりに泥水を用いている。
【0025】
スクイズポンプ21の駆動速度(スクイズポンプ21の動力源である駆動モータの回転速度)が調整可能とされており、スクイズポンプ21の駆動速度が調整されることによって単位時間当たりの泥水の供給量が調整される。スクイズポンプ21の駆動速度は、作業者によって設定され、更には、コントローラ41によっても設定される。コントローラ41は、制御回路又は制御コンピュータである。
【0026】
図3は、油圧削岩機6の先端部分を示した図面である。図3に示すように、セントライザー7よりも先方に筒状の集水パイプ11が配置され、集水パイプ11に削孔ロッド9が通されている。集水パイプ11の基端部側にはリング状のゴムパッキン12,13が配置され、筒状のストッパ14にゴムパッキン12,13が嵌め込まれ、更に集水パイプ11の基端部がストッパ14に嵌め込まれ、集水パイプ11の基端面とストッパ14の内凸縁との間にゴムパッキン12,13が挟まれている。削孔ロッド9がストッパ14及びゴムパッキン12,13に通されている。集水パイプ11の先端にはリング状のパッキン15が設けられている。集水パイプ11の先端部は切羽99の孔98の開口に嵌め込まれ、集水パイプ11、ゴムパッキン12,13及びストッパ14によってビット10から噴出される泥水が孔98内に充填される。また、集水パイプ11は切羽99の孔98の開口端部の崩壊を防ぐ支持体でもある。ゴムパッキン12,13およびリング状のパッキン15は止水材であり、孔98内の泥水が集水パイプ11の外周面と孔98の側壁面との隙間に漏れることがパッキン15によって防止され、ゴムパッキン12,13によって逸水が防止される。また、削孔ロッド9が市販のチューブロッドなので、長距離削孔に必要なロッド全長に渡る断面径を不変とし、削孔ロッド9と集水パイプ間のクリアランスからも泥水が漏れない。以上により孔98および集水パイプ11内の水密が保たれる。なお、集水パイプ11、ゴムパッキン12,13とリング状のパッキン15及びストッパ14を組み立てたものが筒状体である。
【0027】
集水パイプ11の内側には、圧力センサ16が設けられている。圧力センサ16は、集水パイプ11内の泥水圧力を測定し、その測定した圧力の値を針又はディスプレイにより表示するものである。更に、測定した圧力は圧力センサ16によって電気信号に変換され、圧力を表す信号がコントローラ41にフィードバックされ、圧力センサ16の圧力がコントローラ41によって監視される。コントローラ41は、圧力センサ16によって測定された圧力に基づきスクイズポンプ21の駆動速度を制御する機能を持つ。
【0028】
集水パイプ11の中間部には、カムロック17によって排水ホース18が接続されている。カムロック17の手前にはバルブ19が設けられ、バルブ19の開口量が調整されることによって集水パイプ11から排水ホース18へ排水される泥水の流量が調整される。
【0029】
排水ホース18は分離器31に接続され、集水パイプ11から排水された泥水が分離器31に送られる。分離器31に送られた泥水中のくり粉が分離器31によって捕捉される。分離器31には第二ポンプ32が設けられ、くり粉が除去された泥水がこのポンプ32によって泥水タンク20に送られる。
【0030】
続いて、ドリルジャンボ1を用いた削孔方法について説明する。
まず、親子ビットによって切羽99を水平方向に削孔する。親子ビットの径は集水パイプ11の先端部の径と同じか若しくは集水パイプ11の先端部の径よりも僅かながら大きいものとすると、切羽99に削孔した孔98の径は集水パイプ11の先端部の径とほぼ等しくなる。例えば、集水パイプ11の先端部の径が118mmである場合、親子ビットの径は120mmとする。なお、集水パイプ11の長さが870mmの場合、切羽99に削孔する孔98の深さは20〜30cmとすることが好ましい。
【0031】
次に、切羽99に削孔した孔98の開口に、先端部にリング状のパッキン15が装着された集水パイプ11を嵌め込み、ストッパ14及びゴムパッキン12,13を削孔ロッド9に挿入する。先端部にビット10を装備した削孔ロッド9を集水パイプ11に挿入し、切羽99の孔98にも挿入し、ストッパ14にゴムパッキン12,13及び集水パイプ11の基端部を嵌め込む。そして、セントライザー7をストッパ14に押し付けることによって、ゴムパッキン12,13が集水パイプ11とストッパ14の間に挟持され、更に、集水パイプ11が切羽99の孔98から抜けなくなる。次に、カムロック17によって排水ホース18を集水パイプ11の中間部に接続する。以上により準備が完了する。なお、削孔ロッド9に装備するビット10の径は、例えば、集水パイプ11の先端部の径が118mmである場合、65mm程度の径が望ましい。
【0032】
次に、バルブ19を所定の開度で開いた状態で、スクイズポンプ21を駆動させ、スクイズポンプ21の駆動速度を作業者の設定により又はコントローラ41の制御により所定の設定速度に維持する。スクイズポンプ21によって泥水タンク20内の泥水がホース22、油圧削岩機6及び削孔ロッド9を介してビット10へ圧送され、ビット10から泥水が噴出される。集水パイプ11が切羽99の孔98に嵌め込まれて集水パイプ11にバルブ19が接続されているから、ビット10から噴出した泥水が切羽99の孔98内に充填される。孔98内の泥水によって孔98の壁面に泥膜を形成し、孔98の壁面を保持する。切羽99の孔98内に泥水が充填され状態で、孔98内の泥水がカムロック17、バルブ19及び排水ホース18を通って分離器31に排水され、くり粉が分離器31で捕捉される。くり粉が除去された泥水はポンプ32によって泥水タンク20に送られる。このように、スクイズポンプ21及びポンプ32によって泥水が循環する。泥水を循環させるため、無駄な廃棄物処理の必要がない。
【0033】
孔98内に泥水が充填されて泥水が循環し、孔98の壁面に泥膜が形成されて孔98の壁面が保持されている状態で、削孔ロッド9を油圧削岩機6によって回転かつ打撃させる。そして、削孔ロッド9及びビット10が回転かつ打撃している状態で、油圧削岩機6、削孔ロッド9及びビット10を前進させ、ビット10を孔98の突当りに衝突させ、ビット10で削孔を行う。その後も、ビット10を回転かつ打撃させた状態でビット10により削孔を行う。このように、ビット10から噴出された泥水の噴出圧に加えて、ビット10の回転及び打撃力によって削孔することができる。ここで、孔98内に泥水が充填されているので、孔98の壁面の崩壊をより効果的に防止することができる。特に、孔98の上側のアーチ状壁部についても崩落を抑えることができる。なお、孔98の突当りの破砕粉、つまり、くり粉は、泥水とともに集水パイプ11から排出されて分離器31で捕捉される。
【0034】
以上のような削孔中において、スクイズポンプ21が動作している時、切羽99の孔98内の泥水の圧力が圧力センサ16によって測定される。そして、圧力センサ16によって測定された圧力が所定値以下になったら、作業者がスクイズポンプ21を操作して、スクイズポンプ21の駆動速度を所定量だけ上昇させ、その速度(上昇前の速度よりも所定量だけ高い速度)で維持する。又は、圧力センサ16によって測定される圧力がコントローラ41によって監視され、その測定圧力が所定値以下になったとコントローラ41によって判断されると、スクイズポンプ21の駆動速度がコントローラ41によって所定量だけ上昇されてその速度(上昇前の速度よりも所定量だけ高い速度)で維持される。
【0035】
以上のようにスクイズポンプ21の駆動速度が作業者又はコントローラ41によって調整されることによって、孔98内の泥水圧が所定値以上に保たれる。泥水の一部が孔98の壁面に浸透してしまい、孔98内の泥水圧が減少するが、スクイズポンプ21の駆動速度の調整によってその泥水圧の減少を抑えることができる。そのため、孔98の壁面を泥水によって常時十分に保持することができ、孔98の壁面の崩壊を確実に防止することができる。
【0036】
また、削孔ロッド9のノミ継作業時には、スクイズポンプ21を停止するが、ビット10の噴射口に逆止弁が設けられているので、泥水の逆流を防止することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、削孔中においてスクイズポンプ21の駆動速度を調整したが、バルブ19の開度を調整しても良い。つまり、削孔中、圧力センサ16によって測定された圧力が所定値以下になったら、作業者がスクイズポンプ21ではなくバルブ19を操作して、バルブ19の開度を所定量だけ絞り、その開度(絞る前の開度よりも所定量だけ絞った開度)で維持する。又は、圧力センサ16によって測定される圧力がコントローラ41によって監視され、その測定圧力が所定値以下になったとコントローラ41によって判断されると、バルブ19の開度がコントローラ41によって所定量だけ絞られてその開度(絞る前の開度よりも所定量だけ絞った開度)で維持される。バルブ19の開度を調整する場合には、スクイズポンプ21の駆動速度を一定に維持することが好ましい。このようなバルブ19の開度の調整によって、孔98内の泥水圧の減少を抑えることができ、孔98の壁面の崩壊を確実に防止することができる。
【0038】
また、泥水としてベントナイト水溶液を例に挙げて説明したが、ベントナイト水溶液以外の泥水であっても良いし、その他の逸泥防止剤、増粘剤、あるいは高分子混じりの泥水であっても良いし、孔98の壁面が崩壊しないのであれば、単なる水であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ドリルジャンボの全体を示した側面図である。
【図2】上記ドリルジャンボに備わる削岩機等を示した側面図である。
【図3】上記削岩機に装着される筒状体を破断した状態で示した図面である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドリルジャンボ(削孔装置)
6 削岩機
10 ビット
11 集水パイプ
12、13 ゴムパッキン
14 ストッパ
16 圧力センサ
21 スクイズポンプ
41 コントローラ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機のビットを孔に挿入し、泥水をポンプで前記ビットに圧送して前記ビットから泥水を噴出させ、前記孔内に泥水を充填させつつ前記孔内の泥水をくり粉とともに排水している状態で前記孔内の泥水の圧力を圧力センサで測定しながら前記ビットで削孔し、前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記ポンプの駆動速度を上昇させることを特徴とする削孔方法。
【請求項2】
削岩機のビットを孔に挿入し、泥水をポンプで前記ビットに圧送して前記ビットから泥水を噴出させ、前記孔内に泥水を充填させつつ前記孔内の泥水をバルブを介してくり粉とともに排水している状態で前記孔内の泥水の圧力を圧力センサで測定しながら前記ビットで削孔し、前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記バルブの開度を絞ることを特徴とする削孔方法。
【請求項3】
前記孔に送られた泥水によって前記孔の壁面に泥膜を形成することにより前記孔の壁面を保持しながら、前記ビットの回転及び打撃により削孔をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の削孔方法。
【請求項4】
前記孔から排出された泥水からくり粉を除去して集水し、集水された泥水を前記ポンプで前記孔に圧送して再度利用可能とすることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の削孔方法。
【請求項5】
孔に挿入されて削孔するビットを有する削岩機と、
前記ビットに泥水を圧送して前記ビットから泥水を噴出させるポンプと、
前記ビットが挿入されて前記孔の開口に嵌め込まれ、前記孔内に泥水を充填させつつ、前記孔内の泥水をくり粉とともに排水させる筒状体と、
前記筒状体の内側に設けられ、前記孔内の泥水の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定された圧力に基づき前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記制御部が前記ポンプの駆動速度を上昇させることを特徴とする削孔装置。
【請求項6】
孔に挿入されて削孔するビットを有する削岩機と、
前記ビットに泥水を圧送して前記ビットから泥水を噴出させるポンプと、
前記ビットが挿入されて前記孔の開口に嵌め込まれ、前記孔内に泥水を充填させつつ、前記孔内の泥水をくり粉とともに排水させる筒状体と、
前記筒状体に接続され、前記筒状体から排水される泥水の流量を制御するバルブと、
前記筒状体の内側に設けられ、前記孔内の泥水の圧力を測定する圧力センサと、
前記圧力センサにより測定された圧力に基づき前記バルブを制御する制御部と、を備え、
前記圧力センサによる測定圧力が所定値以下になった場合に前記制御部が前記バルブの開度を絞ることを特徴とする削孔装置。
【請求項7】
泥水を溜めておく泥水タンクと、
くり粉の混入した泥水を前記筒状体から排水するための排水ホースと、
前記筒状体と前記排水ホースを接続するためのカムロックと、
前記排水ホースから送られてきたくり粉の混入した泥水よりくり粉を捕捉して除去するための分離器と、
前記分離器によりくり粉が除去された泥水を前記泥水タンクへと送出する第二ポンプと、を更に備え、
前記泥水タンクに貯められた泥水を前記ポンプにより前記孔に圧送して、泥水を再度利用可能とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−231682(P2008−231682A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68972(P2007−68972)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【Fターム(参考)】