説明

削孔装置および削孔装置用の取付け手段

本発明は、地盤削孔/切削工具であって、取付け手段によってそれに脱着可能に取り付けられた切削エレメントと、取付け手段が破損した場合に、切削エレメントの工具への取付けを維持するように適合された、解除可能な保持手段とを含む、前記地盤削孔/切削工具に関する。この保持手段は、切削エレメントの横側の第1の表面、前記切削エレメントの少なくとも一部分がその中に位置する、切削工具上の装着リセス、第1の表面がそれに接して位置する装着リセスの横側の第2の表面、前記第1および第2の表面が一緒に置かれると、ダウエル孔を協働して画定するように整列する、前記第1および第2の表面のそれぞれにおける溝、前記ダウエル孔内に位置する少なくとも1つのダウエル、および前記または各ダウエルを前記ダウエル孔内に保持する手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤削孔/切削工具、および切削エレメントを地盤削孔/切削工具に取り付けるための取付け手段に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤削孔/切削工具の中には、1つまたは2つ以上の切削エレメントを備えるものがあり、これらの切削エレメントは交換可能であることが望ましい。これによって、損傷した切削エレメントを交換したり、摩耗した切削エレメントを再加工のために取り外すことが可能となる。
削孔装置の作業条件は、きわめて骨の折れるものであり、切削エレメントが脱着可能となるように削孔装置を構築するのは非常に困難である。切削エレメントを切削工具に取り付ける最も確実で容易な方法は、それらを溶接で適所に固定することである。
【0003】
例えば、切削エレメントは、アームに回転可能に固定されるローラーコーンを備えて、このアームを削孔/切削工具の本体に溶接してもよい。複数のそのような切削エレメントを、削孔/切削工具の外周のまわりに間隔を空けて配置してもよい。
しかしながら、切削エレメントを切削/削孔工具に溶接することは、切削エレメントを維持する上でいくぶん困難を伴う。大型の回転式切削工具は、それぞれが多数の切削エレメントを有することがあり、これらの切削エレメントはそれぞれ、定期的に、再加工または交換が必要となる。溶接された切削エレメントの場合には、切削エレメントを原位置のままで再加工を行わなくてはならないことは明白である。削孔/切削工具の中には非常に大きいものがあることを考えると、そのような作業は困難な仕事になる。
さらに、切削エレメントが最終的に使用不能になると、削孔/切削工具は、切削エレメントを取り外すことによってその工具を再加工しようとするよりも、全体として廃却されることが多い。
【0004】
上記の種類の切削工具および切削エレメントは、本出願者にとって、周知のことである。上記の切削工具および切削エレメントに関連する問題の少なくとも一部を克服しようとする、本出願者の以前の試みは、先に出願した、「ATTACHMENT MEANS FOR DRILLING EQUIPMENT」という名称のPCT出願WO/2004/065752に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み入れられているものと考える。この先願は、切削エレメント上の第1の表面と、第1の表面がその上に位置する工具上の第2の表面と、第1および第2の表面のそれぞれにおけるダウエル孔と、前記表面同士の間で整列されたダウエル孔の中に位置するダウエルとを含む、取付け手段を開示している。また、工具の縦方向軸に実質的に平行に延びて、切削エレメントにかかる側方荷重に抵抗して係合する、切削エレメントおよび工具の上の係合表面と、切削エレメントを工具に固定する締結手段とが設けられている。この配設によって、交換作業または保全作業のために、工具から切削エレメントを容易に取り外す手段が得られる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、(少なくとも、本出願者の上述した先願の特許出願の開示と比較したときに)切削工具保持が改良された地盤削孔/切削工具を提供するか、または少なくとも、既知の取付け手段に対する有用な代替物である、取付け手段を提供することである。
本発明のその他の目的および長所は、説明と例示の目的で、本発明の一態様を開示する、添付の図面と合わせると、以下の説明から明白になるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一観点においては、地盤削孔/切削工具であって、取付け手段によってそれに脱着可能に取り付けられた切削エレメントと、取付け手段が破損した場合に、切削エレメントの工具への取付けを維持するように適合された、解除可能な保持手段とを含む、前記地盤削孔/切削工具が提案される。
一形態においては、地盤削孔/切削工具は、拡孔具(hole opener)またはリーマである。
【0007】
一形態においては、前記保持手段は、
切削エレメントの横側の第1の表面、
前記切削エレメントの少なくとも一部分がその中に位置する、切削工具上の装着リセス、
第1の表面がそれに接して位置する装着リセスの横側の第2の表面、
前記第1および第2の表面が一緒に置かれると、ダウエル孔を協働して画定するように整列する、前記第1および第2の表面のそれぞれにおける溝、
前記ダウエル孔内に位置する少なくとも1つのダウエル、および
各ダウエルを前記ダウエル孔内に保持する手段を含む。
【0008】
一形態においては、前記または各ダウエルを保持する手段は、前記または各ダウエル内のリセスと、各ダウエルに対して、ダウエル孔と実質的に垂直に、かつ少なくとも部分的にそれと交差して延びる切削工具内のボルト孔と、各ボルト孔に対して、ダウエル内のリセスがボルト孔と整列されたとき、かつそのときだけに、前記ボルト孔に位置するボルトとを含み、前記ボルトは、それによって前記ダウエル孔内の前記ダウエルを固定し、該ダウエルは、切削エレメントを切削工具に固定するのを補助する。
【0009】
一形態においては、取付け手段は、切削エレメントの基部の下側の表面、および基部下側表面がその上に位置する、装着リセスの床上のさらにもう1つの表面、前記下側表面および床表面のそれぞれにおける、さらにもう1セットのダウエル孔、ならびに前記表面の間の前記整列されたさらにもう1セットのダウエル孔内に位置する、さらにもう1セットのダウエルを含む。
一形態においては、切削エレメントは、基部に支持されたアームを含み、前記基部がリセス内に位置しており、前記基部の横側が、第2の表面に接触して位置する第1の表面である。
【0010】
一形態においては、ダウエルにおけるリセスは、そのまわりに延びる円周溝である。
一形態においては、ダウエルにおけるリセスは、該ダウエルを貫通する孔である。
一形態においては、基部は、一対の実質的に反対向きの横側表面を含み、リセスが、その横側に一対の整合する第2の表面を含み、各対の整合する第1および第2の面が、協調してダウエル孔を画定する。
【0011】
一形態においては、2つのダウエル孔のそれぞれは、2つのダウエルを受け入れ、各ダウエルに対して、4つのダウエルの1つの円周溝内に位置合わせされたボルトを受け入れるボルト孔がある。
一形態においては、切削エレメントの基部の下側の表面、および基部下側表面がその上に位置する、装着リセスの床上のさらにもう1つの表面、前記下側表面および床表面のそれぞれにおける、さらにもう1セットのダウエル孔、ならびに前記表面の間の前記整列されたさらにもう1セットのダウエル孔内に位置する、さらにもう1セットのダウエルも備えられている。
【0012】
一形態においては、工具の縦方向軸と実質的に平行に延びて、切削エレメントにかかる側方荷重に抵抗するように係合する、切削エレメントの下側および装着リセスの床の上の係合表面と、前記切削エレメントを前記工具に固定する締結手段がある。
一形態においては、これらの係合表面は、地盤削孔/切削工具内の装着リセスの床上に位置する溝と、切削エレメントの基部の下側の溝と係合する突起とを含む。
【0013】
一形態においては、係合表面は、切削エレメントの基部の下側に位置する溝と、地盤削孔/切削工具における装着リセスの床上の溝と係合する突起とを含む。
一形態においては、さらにもう1セットのダウエルは、ダウエル孔のそれぞれの内部に位置し、地盤削孔/切削工具の縦方向軸と平行な方向への動きに抵抗する。
【0014】
一形態においては、締結手段は、下側表面における対応する孔を通過して位置して、床表面のねじ付き孔と係合する、複数のボルトを含む。
一形態においては、ボルトに最小のせん断荷重がかかるように、下側表面の孔とボルトとの間にクリアランスが設けられている。
【0015】
第2のセットのダウエルは、ダウエル孔のそれぞれの内部に位置し、地盤削孔/切削工具の縦方向軸と平行な方向の動きに抵抗する。一形態においては、締結手段は、下側表面における対応する孔を通って位置して、床表面内部のねじ付き孔と係合する、複数のボルトを含む。好ましくは、ボルトに最小のせん断荷重がかかるように、下側表面の孔とボルトとの間にクリアランスが設けられる。その代わりに、削孔/切削工具の縦方向軸に沿ったせん断力は、第2のセットのダウエルによって保持される。これによって、分解を難しくする可能性のある、ボルトへの損傷が防止される。
【0016】
さらに別の観点において、本発明は、切削エレメントを地盤削孔/切削工具に脱着可能に固定する取付け手段であって、
切削エレメントの横側の第1の表面、
前記切削エレメントの少なくとも一部分がその中に位置する、装着リセスを含む切削工具、
第1の表面がそれに接して位置する装着リセスの横側の第2の表面、
前記第1および第2の表面が一緒に置かれると、ダウエル孔を協働して画定するように整列する、前記第1および第2の表面のそれぞれにおける溝、
前記ダウエル孔内に位置する少なくとも1つのダウエル、および
前記または各ダウエルを前記ダウエル孔内に保持する手段
を含む、前記取付け手段にあると言える。
【0017】
一形態においては、前記または各ダウエルを保持する手段は、前記または各ダウエル内のリセスと、各ダウエルに対して、ダウエル孔と実質的に垂直に、かつ少なくとも部分的にそれと交差して延びる切削工具内のボルト孔と、各ボルト孔に対して、ダウエル内のリセスがボルト孔と整列されたとき、かつそのときだけに、前記ボルト孔に位置するボルトとを含み、前記ボルトは、それによって前記ダウエル孔内の前記ダウエルを固定し、該ダウエルは、切削エレメントを切削工具に固定するのを補助する。
【0018】
一形態においては、切削エレメントは、基部に支持されたアームを含み、前記基部がリセス内に位置しており、前記基部の横側が、第2の表面に接触して位置する第1の表面である。
一形態においては、ダウエルにおけるリセスは、そのまわりに延びる円周溝である。
【0019】
一形態においては、ダウエルにおけるリセスは、該ダウエルを貫通する孔である。
一形態においては、基部は、一対の実質的に反対向きの横側表面を含み、リセスが、その横側に一対の整合する第2の表面を含み、各対の整合する第1および第2の面が、協調してダウエル孔を画定する。
【0020】
一形態においては、2つのダウエル孔のそれぞれは、2つのダウエルを受け入れ、各ダウエルに対して、4つのダウエルの1つの円周溝内に位置合わせされたボルトを受け入れるボルト孔がある。
この点において、本発明の少なくとも1つの態様を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の説明に記載されるか、または図面に示される、構築の詳細および構成要素の配設に限定されないことを理解すべきである。本発明は、記載されたものに加えて、具現化が可能であって、様々な方法で、実施および実行することができる。また、要約書と同様に、本明細書において使用される語句および用語は、説明のためのものであり、限定とみなすべきではないことを理解すべきである。
【0021】
本明細書に組み入れられて、その一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を説明するものであり、明細書と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
当業者であれば、本開示が基づいている概念を、本発明のいくつかの目的を実行するための、その他の構造、方法、およびシステムを設計する基礎として容易に利用することができることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本発明の趣旨と範囲から逸脱しない限りにおいて、そのような等価な構成を含むと考えるべきであることを認識するのが重要である。
【0022】
本発明のさらに詳細な理解のために、次に、本明細書においては図面を補助として説明する、例示的な態様について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、切削工具の斜視図である。
【図2】図2は、図1の切削工具の分解斜視図であり、切削エレメントおよびその取付け手段は、切削工具から分解して示されている。
【図3】図3は、図2に示された切削エレメントと取付け手段の詳細斜視図である。
【0024】
詳細な説明
以下の説明において、図面のいくつかの図を通して、同一の参照記号は、同一または対応する部品を表している。
説明の中で記述かつ図示する例示的態様は、拡孔具またはリーマとして知られる削孔/切削工具に関連して一般的に利用されるものである。この切削工具は、小径孔をより大径に広げるように作用し、岩石または土壌の切削を行うために、複数の円錐ローラカッタ(roller cutter)を使用する。この例示的態様は、これらのローラカッタを、拡孔具または孔リーマの本体に取り付けることに関する。
【0025】
図1は、工具10の周辺に複数の切削エレメント11が組み込まれた、削孔工具10を示す。この態様において、切削エレメント11は、円錐形ローラカッタを含む。
図2に示すように、取付け手段は、切削エレメント11を削孔工具10に固定するのに使用される。この態様においては、切削エレメント11は、ローラカッタ22から延びるアーム21を含み、このアーム21は基部に固定され、この基部は装着ボックス12の形態をしている(したがって、以下では、装着ボックスという用語を、基部という用語の代わりに用いる)。アーム21は、溶接部によって装着ボックス12に固定される。
【0026】
装着ボックス12は、少なくとも第1の組の概して平坦な向かい合う横側30と、概して平坦な下側表面32とを含む。
削孔工具は、装着リセス40を含み、その中に前記装着ボックス12が位置する。この装着リセス40は、1対の第2表面または横側表面42を画定しており、この第2表面または横側表面42に接触して、装着ボックス12の第1(横側)の表面30が位置している。装着ボックス12の横側30、およびリセスの第2の横側表面42のそれぞれに、前記第1の表面30と第2の表面42が一緒に置かれときに整列する整合溝(matching channel)50があり、その結果として、これらの整合溝50が協働してダウエル穴を画定する。
【0027】
各ダウエル孔は、2つのダウエル60を、軽く叩いて端から端まで嵌入させて受け入れるように寸法決めされている。この例示的態様においては、ダウエル60のそれぞれは、そのまわりに延びる円周溝62を有する、1インチ直径の焼入れ鋼であり、この円周溝62は、ダウエル60の一端側に他端側よりも近く、それによってダウエルの一端は、「短い端部」となっている。組付け中に、ダウエル60のそれぞれは、この短い端部が内側方向に向けられるように、溝50同士によって形成されるダウエル孔に挿入される。
溝50同士によって形成されたダウエル孔のそれぞれを実質的に貫通し、それぞれと垂直に、かつ少なくとも部分的にそれぞれと交差して延びる、2つのボルト孔70がある。
【0028】
ボルト72は、ダウエル60内のリセス62がボルト孔70と整列するとき、かつそのときだけに、各ボルト孔70内に位置することができ、それによってボルト72は、ダウエル60をダウエル孔内に固定し、ダウエル60は、切削エレメント11を削孔工具10に固定するのを補助する。
装着ボックス12内部のボルト孔70は、座ぐりされており(counter-sunk)、ボルトの軸とボルト孔70の間にクリアランスを持たせるような、直径に削孔されている。使用に際しては、これが、せん断荷重がボルト72にかかるのを防止、または最小化するのを補助する。
【0029】
次いで、ボルト72は、円形クリップ(cir-clip)74によって、それぞれのボルト孔72内に保持される。
切削エレメント11の装着ボックス12の下側表面32は、概して平坦な面13を含み、この面が、削孔工具10上の装着リセス40の床表面44に当接し、この床表面44は当接表面14を含む。第2のセットのダウエル孔15が、装着ボックス12と削孔工具10の両方の、平坦面13と当接表面14の両方において形成されている。第2のセットのダウエル16が、第2のセットのダウエル孔15の内部、ならびに平坦面13および当接表面14の両方の内部に位置して、第2のセットのダウエル孔15と軽く締り嵌めされている(light interference fit)。この例示的態様においては、この第2のセットのダウエルは、1.25インチ直径の焼入れ鋼である。
【0030】
当接表面14は溝17を有し、第2のセットのダウエル孔15が、溝17内部の中心に位置している。装着ボックス12の平坦面13は、溝17の内部にぴったり嵌る、細長い突起18を有する。この配設は、装着ボックス12の平坦な下側面13上に位置する対応する溝と噛合う、それぞれの細長い突起を組み込んだ当接表面14によって、反対にすることもできることは明らかである。
【0031】
この態様における締結手段は、複数のM24等級鋼ボルト19および、装着ボックス12を通って位置する、ワッシャ24を含む。ワッシャは、標準的なスリットロック式または鋸刃状(serrated)の品種とすることができる。この態様においては、NORD−LOCK(登録商標)セルフロックワッシャが使用される。ボルト19は、当接表面14における開口23内部に、ねじ止め可能に係合する。装着ボックス12内部の開口20は、座ぐりされており、ボルト19の軸と開口20の間にクリアランスを与えるような、直径に削孔されている。使用に際して、これによって、ボルト19にかかるせん断荷重を防止または最小化するのが補助される。代わりに、ダウエル16は、削孔工具10の縦方向軸に沿って、切削エレメント11にかかる削孔力から生じるせん断荷重がある場合には、その大部分に抵抗する。
【0032】
取付け手段を削孔工具10に組み付けるために、第2のセットのダウエル16が、当接表面14における第2のセットのダウエル孔15内に設置される。次いで、装着ボックス12が、第2のセットのダウエルが平坦表面13内の第2のセットのダウエル孔15内部に位置し、かつ細長い突起18が溝17内部に位置するように、位置決めされる。次いで、ボルト19が、開口20と係合して、締められる。次いで、ボルト19が破損した場合に、ボルト19の部分が、それぞれのボルト孔20から抜け出ないことを確実にするために、円形クリップ80が挿入される。
次いで、第1のセットのダウエル60が、これらのための孔に挿入されて、その結果、各ダウエル60の幅の半分は装着ボックス12内にあり、他の半分が削孔工具10内にあって、それらの長い端部がダウエル孔の端部と同一面になるまで、それらの短い端部が最も内側まで導かれるようにされる。次いで、ダウエルボルト72が、それぞれの孔70に装入されて、締められる。
【0033】
使用に際して、削孔工具10に対して縦方向の削孔力があるとそれは、主として第2のセットのダウエル16に対するせん断力として伝達される。ボルト19と開口20の間のクリアランスは、ボルト29にかかるせん断荷重があればそれを最小化する。削孔工具が回転すると、削孔工具の縦方向軸に垂直にかかる側方力があればそれに対して、第1のセットのダウエル60と、溝17内部での細長い突起18の係合が抵抗する。
さらに、第1のセットのダウエル60は、そうでなければボルト19に引張荷重としてかかる荷重に抵抗し、それによって、このようにしてボルト19が破損する確率を大幅に低減する。
【0034】
本出願者は、第1のセットのダウエル60を、「安全ダウエル」と呼んでおり、それは、これらの機能の一つが、ボルト19が破損した場合に、切削工具11が、その装着リセス40内に保持されることを保証することであるからである。整列された溝50内にダウエル60を設置していなければ、ボルト19が破損した場合に、切削エレメント12は、切削工具11から離れることになる。
切削エレメント11は、前記組付け工程を逆転させることによって、削孔工具10から容易に取り外すことができる。切削エレメント11の取外しをさらに容易にするために、ボルト19を取り外した後に、ジャッキボルト(jacking bolt)25が、中央の対の開口中にねじ込まれる。この対の開口は、ジャッキボルト25の軸とねじ込み可能に係合する、ねじ山を含むように修正されている。ジャッキボルト25がねじ込まれるにつれて、それらは、当接表面14から装着ボックス12を引き離すように作用する。これによって、特に、切削エレメント11を溶接によって削孔工具10に装着するのと比較すると、保全目的の取外し工程が簡略化される。
【0035】
第2の態様(図示せず)においては、切削エレメント11のアームが、装着ボックス12に溶接される代わりに、削孔工具10に直接的に固定されるように配設してもよい。この場合に、平坦面13および関連する細長い突起18は、切削エレメント11のアーム21上にあり、したがって、当接表面14に直接的に装着される。
さらに、溝17と細長い突起18を使用することの代替として、第1の態様による装着ボックス12、および第2の態様による切削エレメント11のアームの両方を、側方荷重に抵抗するように、装着ボックス12または切削エレメント11のアームのいずれかに当接する側壁を有する、溝の内部に設置してもよい。
【0036】
両方の態様によって、交換または保全作業のために、切削エレメントを容易に取り外すことが可能である。最小の荷重が、切削エレメントを工具に保持するボルトに直接的にかかるので、ボルトに損傷が生じる可能性が低くなり、それらが取り外し易くなる。
この明細書においては、文書、行為または知識項目が参照されるか、または考察されるが、逆のことを明白に断らない限り、このような参照または考察は、文書、行為または知識項目、またはそれらの任意の組合せが、優先日付において公的に利用可能である、公知である、共通一般知識の一部である、または本明細書が関連するいずれかの問題を解決しようとする試みと関係することが知られていることを容認するものと解釈するべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤削孔/切削工具であって、取付け手段によってそれに脱着可能に取り付けられた切削エレメントと、前記取付け手段が破損した場合に、前記切削エレメントの工具への取付けを維持するように適合された、解除可能な保持手段とを含む、前記地盤削孔/切削工具。
【請求項2】
地盤削孔/切削工具が、拡孔具またはリーマである、請求項1に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項3】
保持手段は、
切削エレメントの横側の第1の表面、
前記切削エレメントの少なくとも一部分がその中に位置する、切削工具上の装着リセス、
第1の表面がそれに接して位置する装着リセスの横側の第2の表面、
前記第1および第2の表面が一緒に置かれると、ダウエル孔を協働して画定するように整列する、前記第1および第2の表面のそれぞれにおける溝、
前記ダウエル孔内に位置する少なくとも1つのダウエル、および
前記または各ダウエルを前記ダウエル孔内に保持する手段
を含む、請求項1または2に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項4】
前記または各ダウエルを保持する手段が、前記または各ダウエル内のリセスと、各ダウエルに対して、ダウエル孔と実質的に垂直に、かつ少なくとも部分的にそれと交差して延びる切削工具内のボルト孔と、各ボルト孔に対して、ダウエル内のリセスがボルト孔と整列されたとき、かつそのときだけに、前記ボルト孔に位置するボルトとを含み、前記ボルトは、それによって前記ダウエル孔内の前記ダウエルを固定し、該ダウエルは、切削エレメントを切削工具に固定するのを補助する、請求項3に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項5】
切削エレメントが、基部に支持されたアームを含み、前記基部が装着リセス内に位置しており、前記基部の横側が、前記装着リセスの横側における第2の表面に接触して位置する第1の表面である、請求項3または4に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項6】
取付け手段が、切削エレメントの基部の下側の表面、および基部下側表面がその上に位置する、装着リセスの床上のさらにもう1つの表面、前記下側表面および床表面のそれぞれにおける、さらにもう1セットのダウエル孔、ならびに前記表面の間の前記整列されたさらにもう1セットのダウエル孔内に位置する、さらにもう1セットのダウエルを含む、請求項5に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項7】
ダウエルにおけるリセスが、そのまわりに延びる円周溝である、請求項5または6に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項8】
ダウエルにおけるリセスが、該ダウエルを貫通する孔である、請求項5または6に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項9】
基部が、一対の実質的に反対向きの横側表面を含み、リセスが、その横側に一対の整合する第2の表面を含み、各対の整合する第1および第2の面が、協調してダウエル孔を画定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項10】
2つのダウエル孔のそれぞれが、2つのダウエルを受け入れ、各ダウエルに対して、4つのダウエルの1つの円周溝内に位置合わせされたボルトを受け入れるボルト孔がある、請求項9に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項11】
切削エレメントの基部の下側の表面、および基部下側表面がその上に位置する、装着リセスの床上のさらにもう1つの表面、前記下側表面および床表面のそれぞれにおける、さらにもう1セットのダウエル孔、ならびに前記表面の間の前記整列されたさらにもう1セットのダウエル孔内に位置する、さらにもう1セットのダウエルも備えられている、請求項6〜10のいずれか一項に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項12】
工具の縦方向軸と実質的に平行に延びて、切削エレメントにかかる側方荷重に抵抗するように係合する、前記切削エレメントの下側上および装着リセスの床上の係合表面と、前記切削エレメントを前記工具に固定する締結手段とをさらに含む、請求項11に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項13】
これらの係合表面が、地盤削孔/切削工具内の装着リセスの床上に位置する溝と、切削エレメントの基部の下側の溝と係合する突起とを含む、請求項12に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項14】
係合表面が、切削エレメントの基部の下側に位置する溝と、地盤削孔/切削工具内の装着リセスの床上の溝と係合する突起とを含む、請求項12に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項15】
さらにもう1セットのダウエルが、ダウエル孔のそれぞれの内部に位置し、地盤削孔/切削工具の縦方向軸と平行な方向の動きに抵抗する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項16】
締結手段が、下側表面における対応する孔を通過して位置して、床表面のねじ付き孔と係合する、複数のボルトを含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項17】
ボルトに最小のせん断荷重がかかるように、下側表面の孔とボルトとの間にクリアランスが設けられている、請求項16に記載の地盤削孔/切削工具。
【請求項18】
切削エレメントを地盤削孔/切削工具に脱着可能に固定する取付け手段であって、
切削エレメントの横側の第1の表面、
前記切削エレメントの少なくとも一部分がその中に位置する、装着リセスを含む切削工具、
第1の表面がそれに接して位置する装着リセスの横側の第2の表面、
前記第1および第2の表面が一緒に置かれると、ダウエル孔を協働して画定するように整列する、前記第1および第2の表面のそれぞれにおける溝、
前記ダウエル孔内に位置する少なくとも1つのダウエル、および
前記または各ダウエルを前記ダウエル孔内に保持する手段
を含む、前記取付け手段。
【請求項19】
前記または各ダウエルを保持する手段が、前記または各ダウエル内のリセスと、各ダウエルに対して、ダウエル孔と実質的に垂直に、かつ少なくとも部分的にそれと交差して延びる切削工具内のボルト孔と、各ボルト孔に対して、ダウエル内のリセスがボルト孔と整列されたとき、かつそのときだけに、前記ボルト孔に位置するボルトとを含み、前記ボルトは、それによって前記ダウエル孔内の前記ダウエルを固定し、該ダウエルは、切削エレメントを切削工具に固定するのを補助する、請求項18に記載の取付け手段。
【請求項20】
切削エレメントが、基部に支持されたアームを含み、前記基部がリセス内に位置しており、前記基部の横側が、第2の表面に接触して位置する第1の表面である、請求項18または19に記載の取付け手段。
【請求項21】
ダウエルにおけるリセスが、そのまわりに延びる円周溝である、請求項19または20に記載の取付け手段。
【請求項22】
ダウエルにおけるリセスが、該ダウエルを貫通する孔である、請求項19または20に記載の取付け手段。
【請求項23】
基部が、一対の実質的に反対向きの横側表面を含み、リセスが、その横側に一対の整合する第2の表面を含み、各対の整合する第1および第2の面が、協調してダウエル孔を画定する、取付け手段に対する請求項18〜22のいずれか一項に記載の取付け手段。
【請求項24】
2つのダウエル孔のそれぞれが、2つのダウエルを受け入れ、各ダウエルに対して、4つのダウエルの1つの円周溝内に位置合わせされたボルトを受け入れるボルト孔がある、請求項23に記載の取付け手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−526208(P2012−526208A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508853(P2012−508853)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001559
【国際公開番号】WO2010/127382
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(505273338)トランスコ マニュファクチャリング オーストラリア ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】