説明

削孔装置

【課題】削孔装置において、イニシャルコスト及びランニングコストを低く抑えるとともに、削孔作業以外の作業への作業替えを容易として装置全体の汎用性を高める。
【解決手段】伸縮ブーム52の先端部に吊下支持されたオーガガイド1と、伸縮ブーム52の先端部から吊下された吊フック57に掛止されるアースオーガ2と、アースオーガ2の下端側に取付けられる削孔機構3とを備えるとともに、オーガガイド1に設けたガイド部14にアースオーガ2に設けた係合材22が嵌合することで該オーガガイド1に対して上記アースオーガ2の相対回動が規制されるように構成する。係る構成によれば、従来のようなリーダを備えることなく、アースオーガ2の回転力を利用した削孔作業が可能となり、その結果、装置の簡略化及びコンパクト化が促進され、延いては削孔装置のイニシャルコスト及びランニングコストの低減が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、杭埋設孔等の削孔作業に使用される削孔装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭埋設孔の削孔作業を行なう削孔装置としては、従来から種々の構造が提案されているが、構造的には、比較的軟質な地盤の削孔作業を対象とするもの(例えば、特許文献1参照)と、岩盤等の硬質の地盤の削孔作業を対象とするもの(特許文献2,3参照)に大別される。
【0003】
前者は、アースオーガの下端側にオーガスクリュを連結し、該アースオーガの回転力によって上記オーガスクリュを回転させ、該オーガスクリュの先端に取付けた削孔ヘッドによって削孔するものである。
【0004】
後者は、アースオーガの下端側にオーガスクリュとダウンザホールハンマーを順次連結し、該アースオーガの回転力と上記ダウンザホールハンマーの打撃力の共働によって、該ダウンザホールハンマーの先端に取付けたハンマービットによって削孔するものである。
【0005】
【特許文献1】 特開平9−41377号公報
【特許文献2】 特開2001−3363号公報
【特許文献3】 実開平6−63694号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記アースオーガは回転力を発生しこれをオーガスクリュ等に伝達するものであることから、これを単に吊下支持する構造では、該アースオーガ全体が自己の回転力によって連れ回りして振れを発生し、所期の目的を達成することが困難になることから、上掲の各特許文献にも示されるように、従来の削孔装置では、基台車に設けた支持シリンダによって長尺のリーダを立設配置し、このリーダに上記アースオーガを上下方向に摺動自在に取付けることで、該アースオーガの振れ規制を行いながら削孔作業を行うように構成されている。
【0007】
しかし、このようなリーダを用いた削孔装置では、装置が大型化することから、イニシャルコストが高くつくとともに、その設置及び撤去に時間がかかるなど作業性が悪く、ランニングコストという面においても問題がある。また、リーダを備えることで装置そのものが専用化され、例えば、作業中にリーダを取り外して基台車を他の作業に使用することが困難であり、経済性という点においても好ましくない。
【0008】
そこで本願発明は、コンパクトかつ簡単な構成で削孔作業を効率良く行うことでイニシャルコスト及びランニングコストを低く抑えるとともに、削孔作業以外の作業への作業替えを容易として装置全体の汎用性を高め得るようにした削孔装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0010】
本願の第1の発明に係る削孔装置では、クレーン装置50に起伏動可能に取付けられた伸縮ブーム52の先端部に、該伸縮ブーム52の起伏面に直交する方向に向けて設けられた支持ピン55によって揺動可能に吊下支持されるとともに吊下状態において略鉛直方向へ延びるガイド部14が設けられたオーガガイド1と、上記伸縮ブーム52の先端部から巻上・巻下可能に吊下された吊フック57に掛止され且つその側面に備えた係合材22が上記オーガガイド1の上記ガイド部14に嵌合することで該オーガガイド1に対して相対回動が規制されるともに上記ガイド部14に沿って相対移動可能とされたアースオーガ2と、上記アースオーガ2の下端側に取付けられ該アースオーガ2からの回転力を受けて削孔を行う削孔機構3とを備えたことを特徴としている。
【0011】
本願の第2の発明に係る削孔装置では、上記第1の発明に係る削孔装置において、上記オーガガイド1の上記支持ピン55を、上記伸縮ブーム52の先端部に配置されたシーブアセンブリ54を支承するシーブピン55で共用したことを特徴としている。
【0012】
本願の第3の発明に係る削孔装置では、上記第1又は第2の発明に係る削孔装置において、上記アースオーガ2の上記係合材22を、上記オーガガイド1の下端側から上記ガイド部14に対して嵌合及び離脱可能に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0014】
(a)本願の第1の発明に係る削孔装置によれば、上記オーガガイド1は上記伸縮ブーム52の先端部に対して非回動に連結されているので、上記アースオーガ2の係合材22が上記オーガガイド1の上記ガイド部14に係合する範囲内においては、これら両者の係合によって上記アースオーガ2が上記オーガガイド1に対して回転方向に連れ回りするのが規制される。従って、従来のようなリーダを備えることなく、上記アースオーガ2の回転力を利用した削孔作業が可能となり、この結果、装置の簡略化及びコンパクト化が促進され、延いては削孔装置のイニシャルコスト及びランニングコストの低減を図ることができる。
【0015】
また、クレーン装置50の伸縮ブーム52の先端部に上記オーガガイド1を吊下支持させる一方、上記アースオーガ2は上記オーガガイド1に対して上下方向に相対摺動可能とされ且つ上記クレーン装置50側の上記吊フック57に掛止される構成であることから、例えば、上記オーガガイド1を上記伸縮ブーム52側に残したまま上記アースオーガ2を上記吊フック57から取り外すことで、上記クレーン装置50を上記吊フック57を用いた通常の吊下作業等の他の作業へ容易に作業替えすることができ、また逆に、上記クレーン装置50が削孔作業以外の他の作業に使用されている状態において上記アースオーガ2等を上記オーガガイド1に組み付け且つ上記吊フック57に掛止させることで削孔作業へ容易に作業替えすることができ、これらの結果、上記クレーン装置50の汎用性、延いては該クレーン装置50を含む上記削孔装置全体としての汎用性が向上し、さらなるイニシャルコスト及びランニングコストの低減が可能となる。
【0016】
さらに、上記アースオーガ2を上記吊フック57から取り外した状態では上記オーガガイド1のみが上記伸縮ブーム52側に吊下状態で残されるが、このオーガガイド1の存在によって上記クレーン装置50の移動が阻害されるということはないため、作業現場内でのクレーン装置50の移動時(即ち、作業位置の変更時)には、上記伸縮ブーム52側に上記オーガガイド1を残したまま移動することができ、例えば、従来のリーダを備えた削孔装置のように、その移動時にはリーダそのものを取り外す必要があるような場合に比して、移動作業を安全に且つ容易迅速に行うことができ、それだけ作業性の向上が期待できる。
【0017】
また、上記アースオーガ2は、上記伸縮ブーム52側の上記吊フック57を昇降させることでこれと一体的に昇降され、上記オーガガイド1との相対位置が変更されるが、このアースオーガ2と上記オーガガイド1の相対位置は、上記吊フック57の昇降操作の他に、上記伸縮ブーム52の起伏と伸縮動と上記吊フック57の巻上あるいは巻下げ動作を相互に関連付けて調整することによっても変更できるものである。従って、これらの操作が適宜実行されることで、上記アースオーガ2の上記オーガガイド1側における許容移動範囲(即ち、上記ガイド部14によるガイド範囲)を越える深さまで削孔することができ、その結果、従来のような長尺のリーダを用いる必要がなくなり、それだけ削孔装置の構造の簡略化が促進されとともに、さらなるイニシャルコスト及びランニングコストの低減が可能となる。
【0018】
(b)本願の第2の発明に係る削孔装置によれば、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の発明に係る削孔装置において、上記オーガガイド1の上記支持ピン55を、上記伸縮ブーム52の先端部に配置されたシーブアセンブリ54を支承するシーブピン55で共用しているので、部材の共用化が促進され、装置のイニシャルコストの更なる低減が期待できる。
【0019】
(c)本願の第3の発明に係る削孔装置では、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記アースオーガ2の上記係合材22を、上記オーガガイド1の下端側から上記ガイド部14に対して嵌合及び離脱可能に構成しているので、上記オーガガイド1を上記伸縮ブーム52側に取り付けた状態のまま、上記オーガガイド1に対する上記アースオーガ2の取付け及び取り外しを容易に行うことができ、作業替え時において高い作業性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0021】
A:第1の実施形態
図1及び図2には、本願発明の第1の実施形態に係る削孔装置Zを示している。この削孔装置Zは、クレーン装置50を基台車として用いたもので、車両51に対して起伏動可能に取付けられた伸縮ブーム52の先端部のブームヘッド53側に、次述するオーガガイド1、アースオーガ2及び削孔機構3を取付けて構成される。
【0022】
a:伸縮ブーム52側の構成
上記伸縮ブーム52の上記ブームヘッド53部分には、図3に示すように、複数枚のシーブからなるシーブシーブアセンブリ54が、該伸縮ブーム52の起伏面に直交する方向に向けて取付けられたシーブピン55によって取付けられるとともに、該シーブアセンブリ54を介して下方へ引き出された主巻ワイヤロープ58には吊フック57を備えたシーブブロック56が取付けられている。なお、上記シーブピン55は、次述のように、上記オーガガイド1の支持軸として共用されるものであって、その両端部分は上記ブームヘッド53の側面から外方へ延出されており、この延出部分が上記オーガガイド1の支持部として機能する。
【0023】
また、上記ブームヘッド53には、その前方側へ延出状態でシーブ61が配置されている。そして、このシーブ61には、補巻ワイヤロープ60が巻き掛けられるとともの、その先端には吊フック59が取付けられている。
【0024】
b:オーガガイド1の構成
上記オーガガイド1は、図3及び図4に示すように、板材を断面「コ」形に折曲させて構成されており、その折曲方向中央に位置する背板12の幅方向両端側にそれぞれ位置して略平行に対向する左右の側板11,11の内面側には、該側板11の長手方向に延びるガイド部14が設けられている。なお、このガイド部14は、所定間隔をもって平行に対向する所定長さにガイド板15,15で構成されており、該各ガイド板15,15の内側間隔(即ち、上記ガイド部14のガイド溝幅)は、次述するアースオーガ2に設けられる係合材22が摺動可能に嵌入し得る寸法に設定される。
【0025】
さらに、上記各側板11,11の上端部には、上記ブームヘッド53側の上記シーブピン55が嵌挿されるピン受孔16,16が、該各側板11,11の対向方向において同軸上に位置するようにして、それぞれ設けられている。
【0026】
従って、上記オーガガイド1は、上記各側板11,11の内側に上記ブームヘッド53を嵌入させ、上記各ピン受孔16,16に上記シーブピン55を嵌挿することで、該シーブピン55を介して上記ブームヘッド53側に連結され、且つ上記シーブピン55回りに(即ち、上記伸縮ブーム52の起伏面に平行な面内で)揺動可能とされる一方、上記起伏面に直交する方向への揺動、及び鉛直線回りの回転は共に規制される。
【0027】
なお、上記ブームヘッド53に上記オーガガイド1を連結し、その自重によって垂下させた状態では、上記伸縮ブーム52側の上記シーブブロック56及び吊フック57は上記オーガガイド1の内側において自由に昇降できるようになっている。
【0028】
また、この実施形態では、上述のように、上記オーガガイド1を略「コ」形断面を持つように形成し、前方側を開口させた構造としているが、係る構造に限定されるものではなく、例えば、図3、図4において鎖線図示するように、該前方側に前板13を設けて矩形断面を持つように構成することもできる。
【0029】
c:アースオーガ2の構成
上記アースオーガ2は、周知の構造をもち、その下端側に連結される次述の削孔機構3に回転力を与えるものである。そして、この実施形態では、上記アースオーガ2の本体部21の左右両側面に、縦方向に延びる係合材22,22をそれぞれ取付けるとともに、その上面には、吊環25を設けている。
【0030】
そして、上記アースオーガ2は、上記吊環25に、上記主巻ワイヤロープ58の巻下げによって降下する上記シーブブロック56の吊フック57を掛止することで、該主巻ワイヤロープ58によって吊下支持されており、該主巻ワイヤロープ58の巻上によって上昇移動し、巻下げによって降下移動するようになっている。
【0031】
また、上記アースオーガ2は、上記主巻ワイヤロープ58によって巻き上げられたとき、上記オーガガイド1の内側に進入するが、その際、該アースオーガ2の本体部21の両側面に設けた上記各係合材22,22が、上記オーガガイド1側に設けられた上記各ガイド部14内に嵌入し、該ガイド部14によって上下方向移動がガイドされる。
【0032】
この場合、上記アースオーガ2の上記係合材22が上記オーガガイド1側の上記ガイド部14に嵌入している範囲内では、該ガイド部14と上記係合材22が鉛直線回りの回転方向において係合することで、該回転方向における相対変位が規制される。また、同時に、上記アースオーガ2が上記オーガガイド1の前後方向及び左右方向へ相対変位することによる振れが規制される。従って、この回転規制及び振れ規制がなされた状態では、上記アースオーガ2が作動して回転力を発生し、これが後述の削孔機構3側に伝達される場合でも、上記アースオーガ2全体が連れ回りしたり振れたりするのが規制され、該アースオーガ2から上記削孔機構3側への回転力の伝達が確実になされ、回転力伝達効率が向上するとともに、作動上の信頼性が確保される。
【0033】
d:アースオーガ2等の制御
ここで、上記アースオーガ2を作動させて削孔作業を行う場合には、常時、上記係合材22と上記ガイド部14とが係合状態にあることが必要とされることは、上述の通りである。係る動作上の要請を満たすための手法としては、種々の手法が考えられるが、この実施形態では、例えば、上記オーガガイド1側の上下二位置にそれぞれリミットスイッチを設け、該リミットスイッチがON作動したときには上記主巻ワイヤロープ58の巻上又は巻下げ動作を規制する構成を採用している。なお、このリミットスイッチによる上記主巻ワイヤロープ58の作動規制は、例えば、後述のように上記アースオーガ2を上記オーガガイド1側に着脱するような場合には、これを解除できるように構成することは言うまでもない。
【0034】
また、このように上記アースオーガ2の上記オーガガイド1に対する上下方向への相対移動範囲を限定した場合、例えば、上記アースオーガ2が上記オーガガイド1の上限位置にある時点から削孔を開始し、削孔の進行に伴って上記アースオーガ2が降下する場合、その降下動作に追従して上記主巻ワイヤロープ58が巻下げられるように主巻ウィンチ(図示省略)の作動を制御する。
【0035】
しかし、削孔作業が進行して、上記アースオーガ2が上記オーガガイド1の下限位置に達すると、それ以上には上記アースオーガ2を降下させることができない。即ち、削孔深さが上記アースオーガ2の移動範囲に限定されることになる。そこで、係る場合には、上記主巻ワイヤロープ58を巻上ながら、上記伸縮ブーム52の縮小動作と倒伏動作を相互に関連させながら実行して上記オーガガイド1を降下させ、上記アースオーガ2が上記オーガガイド1の上限位置側に移動するように制御を行う。
【0036】
このように、上記オーガガイド1の位置を固定した状態下での上記アースオーガ2の降下動作と、上記アースオーガ2の位置を保持しつつ上記伸縮ブーム52側の作動によって上記オーガガイド1を降下させる動作を交互に繰り返して実行することで、上記アースオーガ2の移動範囲を超える深さまで削孔することができるものである。
【0037】
e:削孔機構3の構成
上記削孔機構3は、その下端にハンマービット32を備えた周知構造のダウンザホールハンマー31と所定長さの連結ロッド33を同軸上に連結して構成され、該連結ロッド33の上端側を上記アースオーガ2の下端側に連結固定することで、該アースオーガ2側からの回転力と上記ダウンザホールハンマー31側からの打撃力が上記ハンマービット32に伝達され、該ハンマービット32による削孔作用が得られる。
【0038】
f:削孔作業の説明
ここで、上記削孔装置Zを使用しての削孔作業を、図1、図、及び図4〜図5を参照し、作業手順に従って具体的に説明する。
【0039】
図1は、上記削孔機構3によって削孔作業を開始する前の状態を示している。この作業前の状態では、上記アースオーガ2を上限位置近くまで上昇させた状態で、上記削孔機構3の上記ハンマービット32を削孔地点上に載置した状態となっている。
【0040】
この作業前の状態から、上記アースオーガ2が作動され該アースオーガ2で発生した回転力が上記削孔機構3の上記ハンマービット32に伝達されると共に、上記ダウンザホールハンマー31が作動しその衝撃力が上記ハンマービット32に伝達され、これら両者の共働によって削孔が行われる(図2参照)。
【0041】
この場合、削孔の進行に伴って上記主巻ワイヤロープ58を巻下げながら上記アースオーガ2を降下させ該アースオーガ2の降下速度を削孔作業の進行に合わせる。しかし、上記アースオーガ2がその上限位置側から下限位置側へ降下し、下限位置に達すると、上記リミットスイッチによる降下側への作動規制が行われ、それ以上に削孔作業を継続することが困難となる。
【0042】
従って、上記アースオーガ2が下限位置に達すると、上記ハンマービット32による削孔作業を継続しながら、上記伸縮ブーム52を所定速度で倒伏させるとともに、上記主巻ワイヤロープ58を適宜速度で巻き上げて上記オーガガイド1を、平面上の位置を維持したまま降下させ、該オーガガイド1の上限位置近くまで上記アースオーガ2相対的に移動させる。しかる後、再度、上記主巻ワイヤロープ58を、削孔作業の進行の伴って降下する上記アースオーガ2の速度に合わせて巻下げながら作業を継続する。
【0043】
このような上記主巻ワイヤロープ58の巻下操作のみによる削孔作業と、上記伸縮ブーム52の縮小及び倒伏操作と主巻ワイヤロープ58の巻上操作の協調による削孔作業が交互に繰り返されることで、上記オーガガイド1における上記アースオーガ2の移動範囲を超える深さまで削孔することができるものである。
【0044】
そして、この削孔作業中には、常時上記オーガガイド1によって上記アースオーガ2の振れ規制及び回転規制が為されることから、従来のような長尺のリーダを用いることなく、単に上記オーガガイド1を備えるという簡単且つ安価な構成で、所要深さの削孔を得ることができる。
【0045】
なお、削孔深さは上記削孔機構3の長さによって制限されるが、上記連結ロッド33として、長さの異なるものをいくつか用意し、必要とする削孔深さに対応させて上記連結ロッド33を選択することで、任意の深さの削孔が可能となる。
【0046】
一方、例えば、削孔作業の途中で、あるいは削孔作業の完了後において、上記クレーン装置50を用いて吊下作業を行うこと、即ち、作業替えが必要となる場合がある。
【0047】
この場合には、図5に示すように、上記伸縮ブーム52を起仰させながら上記主巻ワイヤロープ58を巻下げて、上記アースオーガ2を上記オーガガイド1から下方へ離脱させる(この場合、上記オーガガイド1側のリミットスイッチは解除される)。そして、上記削孔機構3及びアースオーガ2を横倒し状態で地面側に預けたのち、上記シーブブロック56の吊フック57を上記アースオーガ2から外せばよい。
【0048】
上記アースオーガ2及び削孔機構3を外した状態では、図6に示すように、上記オーガガイド1は上記伸縮ブーム52のブームヘッド53側に装着されたままであるが、上記主巻ワイヤロープ58は上記オーガガイド1の内側を通るだけであることから、上記シーブブロック56を用いた主巻クレーン作業には何等支障はない。また、上記補巻ワイヤロープ60を用いた補巻クレーン作業についても同様である。
【0049】
また、このように上記アースオーガ2を上記吊フック57から取り外し、上記オーガガイド1のみを上記伸縮ブーム52側に吊下状態で残した状態においては、該オーガガイド1の存在によって上記クレーン装置50の移動が阻害されるということはないため、例えば、作業現場内でのクレーン装置50の移動時には、上記伸縮ブーム52側に上記オーガガイド1を残したまま移動することができる。従って、例えば、従来のリーダを備えた削孔装置のように、その移動時にはリーダそのものを取り外す必要があるような場合に比して、移動作業を安全に且つ容易迅速に行うことができ、それだけ作業性の向上が期待できる。
【0050】
逆に、図6に示すクレーン作業状態から、上記アースオーガ2及び削孔機構3を用いた削孔作業に作業替えする場合には、上記主巻ワイヤロープ58を巻下げて、上記シーブブロック56の吊フック57を、地面側に横倒し状態で載置されている上記アースオーガ2の吊環25に掛止し、これを上記削孔機構3とともに引き上げる。これらアースオーガ2及び削孔機構3は、地切りされると上記主巻ワイヤロープ58によって垂下状態に吊下される。
【0051】
この状態から、さらに上記主巻ワイヤロープ58を巻き上げると、上記アースオーガ2は上記オーガガイド1に対してその下端側から次第に接近する。従って、この接近時点で、上記アースオーガ2の回転方向の位置を、該アースオーガ2の上記係合材22が上記オーガガイド1側の上記ガイド部14に嵌合するように調節しながら上記主巻ワイヤロープ58を巻き上げることで、該アースオーガ2の上記係合材22が上記オーガガイド1側の上記ガイド部14にスムーズに係入嵌合し、図1に示すような削孔作業が可能な状態とされる。
【0052】
即ち、上記クレーン装置50は、削孔作業時には上記削孔装置Zの支持装置として機能し、上記削孔装置Zを取り外すと、本来のクレーン作業に使用できるものであって、例えば、従来のリーダを備えた削孔装置における基台車のような専用性がないことから、その有効利用が図れるものである。
【0053】
B:第2の実施形態
図7及び図8には、本願発明の第2の実施形態に係る削孔装置Zを示している。この削孔装置Zは、上記第1の実施形態における削孔装置Zと基本構成を同じにするものであって、これと異なる点は、上記削孔機構3の構成のみである。
【0054】
即ち、上記第1の実施形態の削孔装置Zでは、上記アースオーガ2の下端側に、ハンマービット32を備えたダウンザホールハンマー31と連結ロッド33からなる削孔機構3を取付け、主として岩盤等の硬質地盤に対する削孔作業を対象としていたのに対して、この第2の実施形態の削孔装置Zでは、先端に削孔ヘッド35を備えたオーガスクリュ36を取付け、主として軟質の一般地盤に対する削孔作業を対象とした点である。
【0055】
これ以外の部分の構成、及び作用効果については上記第1の実施形態の場合と同様であるので、ここでは図7及び図8の各構成部材に、図1及び図2の構成部材に対応させて同一符号を付した上で、該第1の実施形態の該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】 本願発明の第1の実施の形態に係る削孔装置の削孔開始時の状態を示す全体側面図である。
【図2】 上記削孔装置の削孔途中の状態を示す全体側面図である。
【図3】 上記削孔装置の要部分解斜視図である。
【図4】 図1のIV−IV拡大断面図である。
【図5】 上記削孔装置の着脱時の作業状態を示す側面図である。
【図6】 上記削孔装置を取り外した状態を示す側面図である。
【図7】 本願発明の第2の実施の形態に係る削孔装置の削孔開始時の状態を示す全体側面図である。
【図8】 上記削孔装置の削孔途中の状態を示す全体側面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ・・オーガガイド
2 ・・アースオーガ
3 ・・削孔機構
11 ・・側板
12 ・・背板
13 ・・前板
14 ・・ガイド部
15 ・・ガイド板
16 ・・ピン受孔
21 ・・本体部
22 ・・係合材
25 ・・吊環
31 ・・ダウンザホールハンマー
32 ・・ハンマービット
33 ・・連結ロッド
35 ・・削孔ヘッド
36 ・・オーガスクリュ
50 ・・クレーン装置
51 ・・車両
52 ・・伸縮ブーム
53 ・・ブームヘッド
54 ・・シーブアセンブリ
55 ・・シーブピン
56 ・・シーブブロック
57 ・・吊フック
58 ・・主巻ワイヤロープ
59 ・・吊フック
60 ・・補巻ワイヤロープ
Z ・・削孔装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン装置(50)に起伏動可能に取付けられた伸縮ブーム(52)の先端部に、該伸縮ブーム(52)の起伏面に直交する方向に向けて設けられた支持ピン(55)によって揺動可能に吊下支持されるとともに、吊下状態において略鉛直方向へ延びるガイド部(14)が設けられたオーガガイド(1)と、
上記伸縮ブーム(52)の先端部から巻上・巻下可能に吊下された吊フック(57)に掛止されるアースオーガ(2)であって、その側面に備えた係合材(22)が上記オーガガイド(1)の上記ガイド部(14)に嵌合することで該オーガガイド(1)に対して相対回動が規制されるとともに上記ガイド部(14)に沿って相対移動可能とされたアースオーガ(2)と、
上記アースオーガ(2)の下端側に取付けられ該アースオーガ(2)からの回転力を受けて削孔を行う削孔機構(3)と、
を備えて構成されたことを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記オーガガイド(1)の上記支持ピン(55)が、上記伸縮ブーム(52)の先端部に配置されたシーブアセンブリ(54)を支承するシーブピン(55)であることを特徴とする削孔装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記アースオーガ(2)の上記係合材(22)が、上記オーガガイド(1)の下端側から上記ガイド部(14)に対して嵌合及び離脱可能に構成されていることを特徴とする削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−97313(P2009−97313A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291295(P2007−291295)
【出願日】平成19年10月13日(2007.10.13)
【出願人】(507000040)有限会社マンダイクレーン (9)
【Fターム(参考)】