説明

削岩制御方法および装置

削岩機(1)に属する打撃装置(7)による削岩を制御して、給送モータ(3)により工具を岩盤へ押し付けると同時に工具を回転モータにより回転させることによって工具(9)を介して岩盤へ応力波を送り、これによって、最大送り力を決め、圧力媒体を給送モータ(3)および回転モータ(8)へ供給し、送り力を穿孔条件に従って制御する方法および装置。送り力は送り速度および回転トルクに基づいて制御される。本装置は送りを制御する負荷制御弁を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、削岩機に属する圧液駆動式打撃装置が工具を介して岩盤に対し応力波を送り、削岩機および工具を同時に給送モータによって岩盤に押し付け、工具を同時に回転モータによって回転させ、
最大送り力を決定し、
圧液を、フィード圧流路に沿って給送モータへ供給し、戻り流路に沿って給送モータから取り去り、
圧液を、打撃装置圧流路に沿って打撃装置へ供給し、戻り流路に沿って打撃装置から取り去り、
圧液を、回転モータ圧流路に沿って回転モータ(8)へ供給し、戻り流路に沿って回転モータ(8)から取り去り、
送り速度が増加すると送り力が低下するよう、またその逆になるよう送り速度との関連で送り力を制御し、
回転トルクが増加すると送り力が低下するよう、またその逆になるよう回転トルクとの関連で送り力を制御する削岩制御方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、工具を取付け可能な液圧駆動式削岩機を用い、
工具に対する応力波を生成する打撃装置と、
圧液を打撃装置に供給し打撃装置から取り去る打撃圧流路および打撃戻り流路(46)と、
工具を回転させる回転モータと、
圧液を回転モータに供給し回転モータから取り去る回転圧流路および回転戻り流路と、
削岩機を削岩方向およびその逆方向へ送る給送モータと、
圧液を給送モータに供給し該給送モータから取り去るフィード圧流路およびフィード戻り流路と、
給送モータへの圧液の供給を制御する送り制御弁と、
回転モータへの圧液の供給を制御する回転制御弁と、
打撃装置への圧液の供給を制御する打撃制御弁と、
送り速度および/または送り位置を測定して、給送モータへ供給された圧液の圧力を測定するとともに、
回転モータへ供給された圧液の圧力を測定する測定機器と、
測定機器と接続され、また送り制御弁、回転制御弁および打撃制御弁を測定値に基づいて制御するよう接続された制御装置(30)とを有する削岩制御装置に関する。
【0003】
岩盤に穿孔を行う場合、穿孔条件は種々に変化する。岩盤には空洞や亀裂、さらにはさまざまな硬さの岩層が含まれると考えられ、そのため穿孔条件に従って穿孔パラメータを調節する必要がある。
【0004】
従来から、操作者は自分の個人的経験に基づいて削岩作業を制御する。操作者は推定される岩盤の特性に基づいて所定の穿孔パラメータを設定する。穿孔中、操作者は回転を点検し、穿孔の進捗を監視する。必要な場合、操作者は送り力および/または打撃装置の打撃力を変えて、特定の種類の岩盤に合わせ、これによって迅速であっても円滑な穿孔工程を達成しようとする。実際において、操作者はたった1つの穿孔パラメータしか調節することができず、穿孔工程に対するその影響を数秒ないし数十秒かけて制御する。岩盤の質またはその穿孔特性が急変した場合、有資格の操作者であっても岩盤に適した穿孔パラメータに十分に速く合わせることはできない。したがって、穿孔条件が急変した場合操作者は満足できる工具の寿命を確保することができないことは明白である。さらに、有資格の操作者にとっても、作業シフト全体を通して、削岩機の操作を、例えば絶えず効率的に穿孔の進捗を、工具が受ける応力を同時に考慮しながら監視し、制御することは実際に不可能である。
【0005】
また、下向きの孔の穿孔において、例えばドリルビットが岩盤内の穴に達した瞬間に送りに対する石の抗力が突然消失すると、削岩機の制御不能な突進が起こる可能性がある。さらに、この種の穿孔において、液圧機器などは揺れまたは振動が起こりやすく、穿孔制御の問題を発生させる。
【0006】
一般的には、この種の穿孔装置には送り流路にカウンタバランス弁が装備されている。カウンタバランス弁の目的は、カウンタバランス弁を開ける制御信号もしくは制御圧が無い場合、戻り流路を閉鎖することによって削岩機の不必要な動きを防止することにある。
【発明の簡単な説明】
【0007】
本発明は、新規で改善された削岩制御方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
本方法は、
送り速度を測定し、
回転圧を測定し、
測定した送り速度および測定した回転圧との関連で送り力を制御し、
送り力が所定の値より低下すると打撃力が低下するように、また、送り力が再度増加すると打撃力が相応して増加するように、送り力との関連で打撃力を制御することを特徴とする。
【0009】
本装置は、戻り流路において給送モータ(3)のフィード戻り流路内に負荷制御弁を配し、負荷制御弁は、フィード戻り流路内の圧液の流れが閉鎖される第1の位置と、対応する制御信号を受信するとこの弁が動いてフィード戻り流路内の給送モータからの圧液の流れが開くように接続される第2の位置とを有し、負荷制御弁は、対応する制御信号を受信するとフィード戻り流路内の逆圧を制御するよう接続され、制御装置は、測定値に基づいて負荷制御弁を制御するよう配設されていることを特徴とする。
【0010】
本方法の概念は、最大送り力を先ず決定して穿孔制御を設定するものである。最大送り力は実際において、送りシリンダに対して作用する圧液の最大圧を設定することによって決定する。本発明の一実施例によれば、最大送り力は、送り速度が零になった場合にのみ作用する。本発明の概念によれば、送り速度が増加すると送り速度の値を用いて送り力を減少させる。さらに、本発明の概念によれば、回転トルクが増加すると送り力が低下するよう、回転トルクを用いて送り力を制御する。さらに、送り力が低下すると打撃力が低下し、送り力が再度増加すると相応して打撃力が増加するよう、送り力に関連付けて打撃力を制御する。本方法の一実施例において、最大送り力よりも小さい所定値を送り力に設定し、送り力がこの設定値より低くなった場合に限り打撃力の低下が始まる。
【0011】
本装置の概念は、戻りフィード圧流路には負荷制御弁を搭載し、これによって給送モータから戻る圧液の流れまたは逆圧を制御して、送り運動を制御する適切な逆圧を生成し、測定速度および/または測定回転圧に基づいて制御装置によって負荷制御弁を制御することにある。さらに、本概念は、打撃装置に供給される圧液の圧力を、抵抗が大きくなった時に圧液の圧力が小さくなるよう、またその逆になるよう、送り速度および/または回転圧に基づいて同時に制御することにある。
【0012】
本発明の利点は、穿孔条件の変化を検出し、穿孔の効率的かつ自動的な制御に用いることを可能にすることにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図1】削岩機を示す概略的側面図である。
【図2】本発明による装置を概略的に示す図である。
【図3】本発明による装置を概略的に示す他の図である。
【図4】本発明による装置を概略的に示すさらに他の図である。
【図5a】ないし
【図5c】いかにして送り力と回転トルクの間の関係を調節可能にするかを概略的に示す図である。明瞭化のため、各図は本発明を簡易に示す。同じ参照番号は同様の要素を示す。
【発明の詳細な説明】
【0014】
図1に示す削岩ユニットは、送りビーム2上に配設された削岩機1を有している。削岩機1は給送モータ3によって送りビーム2の長手方向に動くことが可能である。給送モータ3は例えば圧液駆動式シリンダまたはモータであってもよく、チェーンまたはワイヤなどの動力伝達要素を介して削岩機1に作用するよう配設される。給送モータ3は、それ自体は公知の手法で圧液によって駆動する圧液シリンダまたは圧液モータであってもよい。削岩機1およびそれと連結した工具9は所望の大きさの送り力を用いて岩盤10に対して押し付けられる。送りビーム2は削岩装置に属する穿孔ブーム6の自由端部に可動的に配設されてもよい。削岩機1は、少なくとも打撃装置7および回転モータ8を有する。打撃装置7は削岩機1と連結した工具9に対して衝撃パルスのような応力波を生成するのに用いられ、工具はこの応力波を岩盤10へ伝達する。工具9の最外端部にはドリルビット11が設けられ、そこにあるビットは応力波により岩盤10を貫き、岩盤10を破壊させる。さらに、工具9はその長手方向の軸を中心に回転し、ドリルビット11のビットが常に岩盤10内の新しい地点に突き当たることを可能にしている。工具9は回転モータ8によって回転されるが、モータ8を例えば圧液駆動式装置または電気装置にすることもできる。工具9は、互いに連続して配設された複数のドリルロッド12を含んでいてもよい。ドリルロッド12間にねじ継ぎ手を設けてもよい。本発明の方式において、打撃装置7は液圧により駆動される。打撃装置7は、圧液によって前後に移動し、かつ工具、または工具と打撃ピストンの間に配設されたシャンクアダプタを打撃するように設けられた打撃ピストンを有してもよい。もちろん、本発明は、ドリルロッドを含む工具を押圧して工具を介し岩盤に対して応力波を生成する圧液パルスにより生み出される力によって打撃ピストンを前後に動かす以外の方式で応力波を生成する圧液駆動式打撃装置7に対して適用することもできる。
【0015】
図2は、本発明による装置の一実施例の概略的な提示である。液圧回路は貯蔵容器13から圧液をくみ上げ、圧液に必要な圧力と流れを生成する1つ以上のポンプ20、例えば図2においては3つのポンプを有する。必要に応じて、ポンプ20の数は1つだけでも、1つより多くてもよい。さらに、ポンプ20は、公知でありこの目的に使用される固定容量形ポンプまたは可変容量形ポンプでもよい。圧液は、ポンプ20から比例弁である送り制御弁21を介して給送モータ3、同図においては例えば送りシリンダ、へ供給されるが、これは削岩機1へ連結されて、穿孔中は削岩機を岩盤の方へ前進させたり、必要に応じて後退させたりする。さらに、圧液はポンプ20から回転制御弁22を介して回転モータ8へ送られ、穿孔中に工具9を回転させる。
【0016】
送りシリンダの液圧回路は同図に示すように接続されている。また、ピストン3aが送りシリンダ3のピストンロッド3bの側へ押し出されると送りシリンダ3のピストンロッド3b側からの圧液がピストン3aの他方の側へ供給される方式を用いることも可能である。この種の接続は差動接続として一般的に知られている。削岩機を動かすために一般的に用いられるチェーンまたは他の手段と接続された通常の回転給送モータを使用する場合、給送モータをそれ自身公知の方式により液圧的に接続して、削岩機を駆動することができる。
【0017】
穿孔中に圧液を回転モータへ送る回転圧流路23と回転戻り流路24は回転制御弁22へ接続され、これが圧液の流れを制御する。ドリルビット11とロッド12の間、または2つのロッド12の間のねじを開放すると、ロッド12をそれ自身公知の方法で反対方向に回転させるべく流路23および24を回転制御弁22によって変えることができる。
【0018】
給送モータ3へ向かったり給送モータ3のピストン3aの他方の側から流れ出たりする圧液が通る送り制御弁21のスプールは、圧液の流量を制御する。流量は弁流入路および流出路に対するスプールの位置を変えることによって制御することができる。こうして、スプールと弁の流路の間にある開口の寸法によって流れを制御する。この種の弁の構造および作動は当業者には公知のものであり、ゆえにこれ以上詳細な説明の必要はない。
【0019】
図2は、給送モータ3のフィード戻り流路28と接続された負荷制御弁36をも開示している。負荷制御弁は電気制御式比例弁であり、フィード戻り流路28内の液流を制御する。負荷制御弁36はまた、弁が制御信号を受信していない場合、フィード戻り流路28内の流れを阻むことによってカウンタバランス弁として作動することもできる。負荷制御弁36が開放制御信号を受信すると、負荷制御弁は第2の位置へと変わり、フィード戻り流路28内の圧液の流れを開放する。カウンタバランス弁としての負荷制御の目的は、制御信号が消えた場合、またはそれ以外で穿孔作業が停止した場合、本装置の送りビームに対する削岩機および工具の移動を防ぐことにある。
【0020】
本装置には穿孔を制御する制御装置30がある。送り速度は速度センサ31により測定されるが、速度センサ31はそれ自身公知の方法で給送モータ3または送りビームに設置されている。送り速度は速度センサで直接測定してもよい。また、送り速度を1つ以上の位置センサによって測定してもよく、これによって制御装置30は位置の変化との関連で送り速度を計算する。さらに、給送モータまたはシリンダへの液流を測定することによって、あるいは液流給路内の制限器に生ずる圧力低下を測定することによって、またはそれ自体公知の何らかの方法によって、送り速度を間接的に測定してもよい。
【0021】
送り圧は、前進送りの際、送り制御弁21から給送モータ3へ圧液を送るフィード圧流路27において、穿孔時に圧力センサ32によって測定される。送り制御弁21のスプールは液流を制限することができるので、穿孔中に圧液を給送モータ3から送り制御弁21へ送り戻すフィード戻り流路28の圧力もまた、センサ34によって測定すべきである。フィード圧流路27とフィード戻り流路28の間の差圧に基づいて送り力を計算することができる。さらに、回転圧流路23内の液体の回転圧をセンサ33で測定することによって回転トルクを求めることができる。回転トルクは回転圧に相関し、これによって回転圧は、穿孔を制御する回転トルクに対応したパラメータとして利用することができる。どのセンサも制御装置30へ接続され、制御装置30は検出した値に基づいて送り制御弁を制御する。制御線またはケーブルは通例どおりに破線35で示す。
【0022】
制御装置30は回転圧と送り速度を検出し、流路27と28の間の差圧として送り力を求める。
【0023】
穿孔を開始する場合、送り制御弁21のスプールを、圧液がポンプ20からフィード圧流路27へ流れる位置に設定する。フィード圧流路27内において給送モータ3へ圧液を運んで削岩機1を前進させる圧力値p1を所定の値に設定し、この所定値は最大送り力を決めるものである。送り速度は、給送モータ3への液体の体積流量に依存する。
【0024】
穿孔抵抗が小さいと送り速度は増加する。圧液流は送り制御弁21によって増加するので、弁による圧力低下は流量が増加するほど大きくなる。その結果、フィード圧流路27と給送モータから戻る圧液が通るフィード戻り流路28との間の圧力差が小さくなり、これに相応して削岩機に対して働く送り力が小さくなる。なぜならば、送り力はピストン3aに対して働く圧力差の結果であるからである。軟質材料もしくは砕石の場合、または下向き穿孔の場合やドリルロッドの重量が大きい場合、送りは前方突進で開始できる。しかしこれは、給送モータ3への、また給送モータ3からの圧液の流れに供する送り制御弁21の開口が流量を制限するため、限界がある。流量が増加すると、送り制御弁21による圧力低下も大きくなり、これによって送り速度が制限されることとなり、ひいては送り速度と送り力を小さくする。これは、下向き穿孔の場合やドリルロッドの重量が大きい場合にも機能して、送り力が高くなり過ぎるのを避ける。
【0025】
同様に、抵抗が大きいため送り速度が減少すると、圧液の流量は減少し、給送モータのピストンに対して働く圧力が大きくなり、ひいては送り力の増加をもたらす。再び回転抵抗が小さくなると、検出した圧力値を基に制御装置30は送り圧制御弁37を制御し、フィード圧流路27内の圧力、ひいては送り力を増やす。
【0026】
穿孔中、制御装置30はセンサのそれぞれから信号を受信し、センサの値に基づいて必要な制御信号を決める。送り速度と回転圧の値に基づいて、制御装置30は給送モータ3への、および/または給送モータ3から戻る圧液供給を制御することによって、送り力を制御する。実際上、このことは圧液流を多少制限することによって行われる。この目的のため、負荷制御弁36も送り力制御器の一部として用いられる。本実施例において、負荷制御弁36は基本的には負荷維持弁として働くよう設計されている。つまり、送りビームに対して動く削岩機および工具から生ずる負荷を、給送モータ3から流出する圧液流の閉鎖で、制御信号なしに防止する。負荷制御弁36は比例弁のようなものであり、制御装置によって制御される。
【0027】
センサからの測定値は制御装置30へ送られ、制御装置30は、電気的に制御される送り圧制御弁37を当該値に基づいて制御する。送り圧制御弁37は制御流路42内の圧力を制御し、これを介して圧力補償器39および負荷制御弁36を制御する。圧力補償器39は、送り制御弁21を介してフィード圧流路27内へ供給される圧液の圧力を制御する。送り圧制御弁37と同様の別な圧力制御弁を設けて、負荷制御弁36を独立して制御することも可能である。通常送り速度をある値に事前設定するが、この値とは、最大圧力値を圧力補償器39に設定することによって通常状態で送り速度がこれを下回るようにする値である。
【0028】
送り速度が事前設定値を超えると、制御装置30は送り圧制御弁37を制御し、これを介して圧力補償器39を制御してフィード圧流路27内の圧力を直接的に低下させ始める。
【0029】
引き続いて、制御装置30は送り圧制御弁37を制御して、負荷制御弁36を介してフィード戻り流路28内の圧液の流れを制限し、付加制御弁36上の圧力損失を、ひいてはフィード戻り流路28内の逆圧を増加させる。
【0030】
圧力補償器39および負荷制御弁36の作動指令は、適切な程度に異なるそれぞれの作動圧閾値を事前設定することによって選択することができる。
【0031】
この制御は、弁のいずれか一方を先ず制御し、その後他方の弁を使用するようにして行うことができる。また、圧力補償器39および負荷制御弁36の両方を始終同時に制御することによって制御を実行してもよい。
【0032】
その結果、給送モータ3による圧力差が、ひいては送り力が小さくなる。
【0033】
同様に、センサ33が回転圧の上昇を測定すると、制御装置30は、送り圧制御弁37を介して負荷制御弁36を制御して給送モータからの圧液の流れを制限し、こうして圧力損失を増加させるか、圧力補償器39を制御して圧力を制御するか、または両方の制御を行う。
【0034】
本実施例において、送り制御弁21は、やはり制御装置30によって制御される通常の二方向性弁である。これは、制御装置30と送り制御弁21の間にある電気制御式パイロット弁40および41を使用して液圧により制御される。送り制御弁21は、給送モータ3への最大流入量を制限することができ、本システムの逆送りも制御する。
【0035】
図2はさらに、ポンプ20によって打撃圧流路43に沿って供給される圧液で作動される打撃装置8を示す。打撃圧流路43内の打撃制御弁44は打撃装置8への圧液供給を制御する。打撃圧流路43内の圧液の打撃圧は、制御装置30へ接続されているセンサ45により測定される。制御装置30はさらに打撃制御弁44と接続され、それを介して、打撃装置8へ供給される圧液の打撃圧を本発明の方法に従って制御する。圧液は打撃戻り流路46に沿って打撃制御弁44を介して貯蔵容器13へ戻る。
【0036】
図3は送り力の電気制御による本発明の他の実施例を概略的に示す。本実施例には、穿孔を制御する制御装置30がある。送り速度および回転圧の必要値ならびに送り力は図2に関連して説明したように測定または計算される。いずれのセンサも制御装置30へ接続されている。送り制御弁21は、パイロット弁なしに電気的に直接制御され、負荷制御弁36も同様である。制御線またはケーブルは一括して35で示す。本実施例において、圧力補償器39は電気的に制御されるが、基本的には図2の圧力補償器39と同様に作動する。
【0037】
図4は、本発明の他の実施例を概略的に示す。本実施例には、流路27および28のいずれかに圧力が無い場合、給送モータ3に対する両流路を閉鎖する通常のカウンタバランス弁47がある。さらに、他種の負荷制御弁、すなわち電気制御式逆圧制御弁36'があり、これは、給送モータ3のフィード戻り流路28に対して逆圧を設定するのに用いられる。逆圧制御弁36'は制御装置によって制御され、逆圧を制御し、その結果として送り速度も制御する。フィード圧流路27内の液体の供給圧は独立して設定することができ、送り圧や速度は逆圧制御弁36'によって制御され、逆圧は、給送モータ3による圧力、ひいては送り力に相当する値を決める逆圧を制御する。これは同様に、圧液の流れに作用する。この制御は、それ以外では、図2および図3に関連して先に説明したように、送り速度および回転圧に基づいて行われる。本実施例は、長孔を下向きに穿孔する場合に特に有益であり、これによって逆圧制御弁36'を使用して適切な逆圧を設定し、システムの大きな質量によって生じる過剰フィード状態下で均衡を保つよう、ドリルストリングおよび削岩機の重量を平衡させることができる。
【0038】
さらに、逆圧制御弁36'に平行して逆止め弁48があり、戻り運動中に圧液をフィード戻り流路28に沿って給送モータ3へ供給する場合、これによって、送り制御弁21から給送モータ3への圧液は逆圧制御弁36'によって通過することができる。戻り運動中、給送モータ3からの圧液はフィード圧流路27を通って戻る。さもなければ、逆止め弁48は圧液の流れがフィード圧流路27を通ることを阻止し、ゆえに通常の穿孔において給送モータ3からの液流は逆圧制御弁36'によって制御される。本システムもまた、カウンタバランス弁47なしに作動することができる。
【0039】
図4はまた、打撃圧流路44を介して打撃装置7へ供給される圧液の圧力を制御する他の実施例をも示す。本実施例には、打撃装置8への圧液給送口を開閉する通常のオンオフ弁49がある。さらに圧力制御弁43'があり、これによって、打撃装置8へ供給される圧液の圧力は制御装置30から上述の方法で独立して制御される。負荷制御弁43'もまた、可変ピストンポンプ20の公知の負荷検出線にそれ自身公知の方法で接続されていてもよい。さらに、送り圧を制御する方式を打撃圧の制御に適用してもよい。
【0040】
図5aないし図5cは、送り力と回転圧との関係をどのようにして調節可能にするかを概略的に示す。
【0041】
図5aは、本発明の方法において回転トルク、送り力および打撃力が相互依存している様子を示す。回転トルクは回転圧に相当し、回転圧は、前進給送中、圧液を回転モータ8へ供給する回転圧流路23内の圧液の圧力であるので、回転圧は回転トルクのことを表している。回転圧および送り速度の値は横軸に示す。送り力と打撃力は縦軸に示す。送り力は送り圧と相関し、曲線Aはフィード圧流路27内の送り圧としての送り力を示す。曲線Bは流路43内の打撃圧として打撃力を示す、なぜならば打撃力は打撃圧と相関しているからである。
【0042】
穿孔が開始されると、送り速度でもある回転圧は、いずれも一点鎖線Cで示される事前設定目標値を有する。さらに、通常の穿孔中、打撃力は事前に設定された最大値になっている。
【0043】
送り速度が増加して設定値Cを超えると、送り力および打撃力が曲線AおよびBに示すように減少し始める。送り速度が再び低下すると、送り力および打撃力は対応して曲線AおよびBに沿ってそれぞれの設定値へ戻るように増加する。同様に、送り速度が設定値Cよりも低くなると、送り力および打撃力は、その時点でそれぞれ設定された最大値より小さければ、増加し始める。
【0044】
回転トルクが大きくなると、回転圧は目標値Cから上昇する。同時に、曲線Aに従って送り力が下降し始める。実質的に同時に、曲線Bに示すように打撃力が下降し始める。
【0045】
トルクが増加し続けると、回転圧は点線で示される設定値Dまで増加し、これによって送りが反転し、後退中の送り力は当初、回転トルクが値Eに達するまで低い値に保たれる。しかし、回転トルク、したがって回転圧がさらに高くなると、後退送り力は、点線で示す所定値Eにトルクがあれば、所定の高い値まで上昇する。
【0046】
何らかの理由で回転トルク、ひいては回転圧が低下し始めると、送り力および打撃力は通常の穿孔状態に達するまで、増加し始める。後退送りであったときは、先ず前進送りに変更され、その後、回転トルクが低い間は、送り速度も増加し始める。本方法において制御システムの感度は、さまざまな環境に応じて調節可能であってよい。図5aにおいて、感度は送り力と回転トルクの関係が中間的な位置をとるよう選択されている。この状態において、回転トルクが大きくなり始めるとほぼ同時に、送り力が低下し始める。回転トルクの増加に引き続いて送り力がなだらかに低下する。
【0047】
図5bにおいて、送り力と回転トルクとの関係は低くなるよう調節されている。これは、送り力とトルクの間の制御感度が低いことを意味している。ゆえに、送り力が低下する前におけるトルクの増加は著しいものとなる。しかし、図5aに示したのと同様に、送り速度は減速し続けることができる。
【0048】
図5cにおいて、送り力と回転トルクおよび/または送り速度との間の関係は高く設定されている。回転トルクまたは送り速度が大きくなり始めるとほとんど同時に、送り力は低下し始めて急速に低下する。
【0049】
図5bおよび図5cは、本方法による穿孔制御の極端な様子の概略的例を示す。これらの例の中間で、操作を調節することができる。
【0050】
すべての場合、回転トルクが所定の値まで増加すると、送りは反転する。同様に、すべての場合、回転トルクが再び小さくなると、送り力は、回転トルクが大きくなれば低下するのと同様に、増加する。送り力および/または打撃力に対する送り速度値の影響は、回転圧値の影響と同様でもよい。これらの影響は、例えば、回転圧の影響は図5bに示すように作用し、また送り速度は図5cに示すように作用し、またはその逆でもよいように、異なってもよい。両パラメータの影響は、さまざまな方法で調節可能にしてよい。
【0051】
本発明を明細書において単に概略的に説明してきた。実際上、本発明は、さまざまな実用的方法で実現することができ、したがって、保護範囲は本願の特許請求の範囲によって定義される。そのため、各図に示し明細書で説明したいずれの詳細部分も他の図における方式と組み合わせることができる。
【0052】
図面およびこれに関連した説明は本発明の概念を説明することのみを企図する。細部において、本発明を特許請求の範囲内で変化させることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩機に属する圧液駆動式打撃装置が工具を介して岩盤に対し応力波を送り、前記削岩機および工具を同時に給送モータによって前記岩盤に押し付け、該工具を同時に回転モータによって回転させ、
最大送り力を決定し、
圧液を、フィード圧流路(27)に沿って前記給送モータ(3)へ供給し、フィード戻り流路に沿って該給送モータ(3)から取り去り、
圧液を、打撃圧流路(43)に沿って前記打撃装置(8)へ供給し、打撃戻り流路(46)に沿って該打撃装置(8)から取り去り、
圧液を、回転モータ圧流路(23)に沿って前記回転モータ(8)へ供給し、回転モータ戻り流路(24)に沿って該回転モータ(8)から取り去り、
送り速度が増加すると送り力が低下するよう、またその逆になるよう送り速度との関連で送り力を制御し、
回転トルクが増加すると送り力が低下するよう、またその逆になるよう回転トルクとの関連で送り力を制御する削岩制御方法において、該方法は、
送り速度を測定し、
回転圧を測定し、
該測定した送り速度および該測定した回転圧との関連で送り力を制御し、
該送り力が所定の値より低下すると前記打撃力が低下するように、また、該送り力が再度増加すると該打撃力が相応して増加するように、該送り力との関連で該打撃力を制御することを特徴とする削岩制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、前記最大送り力の値を所定の送り力の値として用いることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、該方法は、前記送り速度および/または回転圧との所定の関連において前記送り力を制御することを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記送り力との所定の関連において前記打撃装置(8)へ供給された圧液の圧力を制御することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記送り速度および回転圧を電気的に測定し、電気制御装置によって穿孔を制御することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記打撃装置(8)へ供給される圧液の圧力を前記送り力との所定の関連において制御することによって前記打撃力を制御することを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記送り速度および回転圧を電気的に測定し、電気制御装置によって穿孔を制御することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、独立した負荷制御弁(36)を用いて前記送り力を制御することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、該方法は、前記送り速度および/または回転圧が増加すると前記負荷制御弁(36)を制御して前記給送モータへの圧液の流れを制限するよう該負荷制御弁(36)を用いて前記送り力を制御することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、該方法は、前記送り速度および/または回転圧が増加すると前記負荷制御弁(36')を制御して前記給送モータのフィード戻り流路内の逆圧を制限するよう該負荷制御弁(36)を用いて前記送り力を制御することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載の方法において、該方法は、液圧制御式負荷制御弁(36)を用い、また前記制御装置(30)により制御される独立した圧力補償器(39)を用いて、該負荷制御弁を制御することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8ないし10のいずれかに記載の方法において、前記送り力と前記回転圧間の関係は調節可能であることを特徴とする方法。
【請求項13】
工具を取付け可能な圧液駆動式削岩機を用い、
該工具に対する応力波を生成する打撃装置(7)と、
圧液を該打撃装置(7)に供給し該打撃装置(7)から取り去る打撃圧流路(44)および打撃戻り流路(46)と、
前記工具を回転させる回転モータ(8)と、
圧液を該回転モータ(8)に供給し該回転モータから取り去る回転圧流路(23)および回転戻り流路(24)と、
前記削岩機を削岩方向およびその逆方向へ送る給送モータ(3)と、
圧液を該給送モータ(3)に供給し該給送モータ(3)から取り去るフィード圧流路(27)およびフィード戻り流路(28)と、
前記給送モータ(3)への前記圧液の供給を制御する送り制御弁(21)と、
前記回転モータ(8)への前記圧液の供給を制御する回転制御弁(22)と、
前記打撃装置(7)への前記圧液の供給を制御する打撃制御弁(44;47)と、
送り速度および/または送り位置を測定して、前記給送モータ(3)へ供給された圧液の圧力を測定するとともに、
前記回転モータ(8)へ供給された圧液の圧力を測定する測定機器と、
該測定機器と接続され、また前記送り制御弁(21)、回転制御弁(22)および打撃制御弁(44)を測定値に基づいて制御するよう接続された制御装置(30)とを有する削岩制御装置において、該装置は、
前記戻り流路において前記給送モータ(3)の前記フィード戻り流路(28)内に負荷制御弁(36)が配され、該負荷制御弁(36)は、該フィード戻り流路(28)内の圧液の流れが閉鎖される第1の位置と、対応する制御信号を受信すると該弁が動いて該フィード戻り流路(28)内の前記給送モータ(3)からの圧液の流れが開くように接続される第2の位置とを有し、
前記負荷制御弁(36)は、対応する制御信号を受信すると前記フィード戻り流路(28)内の逆圧を制御するよう接続され、
前記制御装置(30)は、測定値に基づいて前記負荷制御弁(36)を制御するよう配設されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の削岩制御装置において、前記負荷制御弁(36)は比例弁であることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項15】
請求項14に記載の削岩制御装置において、前記制御装置(30)は前記測定値に基づいて前記負荷制御弁(36)を制御するよう配設され、前記送り速度および/または回転圧が増加すると該制御装置(30)は、前記負荷制御弁(36)を制御して前記送り力を低下させ、同様に、前記送り速度および/または回転圧が低下すると該制御装置(30)は、前記負荷制御弁(36)を制御して前記送り力を増加させ、
前記制御装置(30)は前記衝撃制御弁(44)を制御するよう配設され、前記送り速度および/または回転圧が増加すると前記打撃装置(8)へ供給される圧液の圧力を低下させ、同様に、前記送り速度および/または回転圧が低下すると前記打撃装置(8)へ供給される圧液の圧力を高くすることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項16】
請求項15に記載の削岩制御装置において、前記負荷制御弁(36)は圧液の圧力により制御されることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれかに記載の削岩制御装置において、該装置は、前記給送モータ(3)へ供給される圧液の圧力を制御する独立の圧力補償器(39)を含み、前記制御装置(30)は、前記圧力補償器(39)および負荷制御弁(36)の両方を同時に制御するよう接続されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の削岩制御装置において、該装置は独立の電気制御式送り圧制御弁(37)を含み、該送り圧制御弁は、前記圧力補償器(39)および負荷制御弁(36)の両方を液圧により制御するよう接続されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項19】
請求項13ないし15のいずれかに記載の削岩制御装置において、前記負荷制御弁(36)は電気的に制御されることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項20】
請求項13ないし16のいずれかに記載の削岩制御装置において、前記制御装置(30)は、前記送り制御弁(21)および/または負荷制御弁(36)を前記送り速度および/または回転圧に基づいて制御するよう配設されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項21】
請求項13に記載の削岩制御装置において、前記負荷制御弁は独立した逆圧制御弁(36')であることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載の削岩制御装置において、前記逆圧制御弁(36')は電気的に制御されることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項23】
請求項21または22に記載の削岩制御装置において、前記制御装置(30)は前記逆圧制御弁(36')を測定値に基づいて制御するよう配設され、前記送り速度および/または回転圧が増加すると該制御装置(30)は、前記逆圧制御弁(36')を制御して前記送り力を低下させ、同様に、前記送り力および/または回転圧が低下すると該制御装置(30)は、逆圧制御弁(36')を制御して前記送り力を増加させ、
前記制御装置(30)は前記打撃制御弁(44)を制御するよう配設され、前記送り速度および/または回転圧が増加すると前記打撃装置(8)へ供給される圧液の圧力を低下させ、同様に、前記送り速度および/または回転圧が低下すると前記打撃装置(8)へ供給される液圧の圧力を高くすることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項24】
請求項13ないし23のいずれかに記載の削岩制御装置において、前記制御装置(30)は、前記回転送り流路(23)内の圧液の測定圧力に基づいて回転トルクを決定するよう配設されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項25】
請求項21または22に記載の削岩制御装置において、前記制御装置(30)は、前記逆圧制御弁(36')に対して所定の圧力値を設定し、前記送り制御弁(21)を制御することによって送りを制御するよう配設されていることを特徴とする削岩制御装置。
【請求項26】
請求項25に記載の削岩制御装置において、下向き穿孔において、前記制御装置(30)は、前記逆圧制御弁(36')の圧力値を事前設定してドリルストリングおよび前記削岩機の重量により生じる力に釣り合うように該逆圧制御弁(36')を制御するよう配設されていることを特徴とする削岩制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2012−530862(P2012−530862A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516807(P2012−516807)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050437
【国際公開番号】WO2010/149839
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】