説明

削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法

【課題】温度センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供する。
【解決手段】削減量算出装置5は、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、流量センサ53と、これらセンサ51〜53からの信号値に基づいて、上記削減量を算出する。また、削減量算出装置5は、貯湯槽23において加熱されている予熱温水の温度を検出する第3温度センサ54を備え、流量センサ53により所定値以上の流量が検出された場合に、温水管13に配置される第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度と、第3温度センサ54により検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサ52の異常であると検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の影響から二酸化炭素の排出量削減が求められている。特に、住宅におけるエネルギー消費量は増加の傾向にあり、住宅から排出される二酸化炭素量の削減が急務の課題となっている。
【0003】
そこで、太陽熱温水器を利用した太陽熱給湯システムが提案されている。太陽熱温水器は、太陽熱の利用により湯水を加熱するものであり、これにより化石燃料等の消費量を抑えて二酸化炭素排出量の削減を図っている。
【0004】
また、太陽熱給湯システムの利用により削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して表示する削減量算出装置が提案されている。この装置によれば、削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して積算表示するため、ユーザに削減目標を達成できたなどを提示できることとなり、二酸化炭素量の削減に励むように仕向けることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−279144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の装置では、削減された二酸化炭素量や燃料費等の削減量を算出するために、温度センサや流量センサを備えている。しかし、温度センサに異常が発生した場合など、精度劣化時には正確な削減量を算出できなくなってしまう。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、温度センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、太陽熱温水器により加熱されている予熱温水の温度を検出する第3温度センサと、流量センサにより所定流量が検出された場合に、第2温度センサにより検出された予熱温水の温度と、第3温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサの異常であると検出する異常検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この削減量算出装置によれば、流量センサにより所定流量が検出された場合に、第2温度センサにより検出された予熱温水の温度と、第3温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサの異常であると検出する。ここで、流量センサにより所定値以上の流量が検出された場合とは、太陽熱温水器にて加熱された予熱温水が需要者側に向けて流れたことを示し、この際には第2温度センサと第3温度センサとの検出温度はほぼ等しくなるべきである。このため、両者に所定温度以上の差がある場合、第2温度センサの異常と判断できる。従って、温度センサの異常を検出することができる。
【0010】
また、本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、第1温度センサが第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、第2温度センサが第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサが異常であると検出する異常検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この削減量算出装置によれば、第1温度センサが第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、第2温度センサが第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサが異常であると検出する。ここで、第1温度センサが検出する太陽熱温水器の加熱前の水温は季節により差があるものの、ある程度予想された範囲内に収まる。同様に、第2温度センサについても温度はある程度予想された範囲内に収まる。従って、これら範囲に収まらない場合に、該当の温度センサが異常であると検出することができる。
【0012】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、流量センサにより所定流量が検出された場合に、太陽熱温水器により加熱されている予熱温水の温度と、第2温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサの異常であると検出する異常検出工程を備えることを特徴とする。
【0013】
この削減量算出装置のセンサ異常検出方法によれば、流量センサにより所定流量が検出された場合に、第2温度センサにより検出された予熱温水の温度と、第3温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサの異常であると検出する。ここで、流量センサにより所定値以上の流量が検出された場合とは、太陽熱温水器にて加熱された予熱温水が需要者側に向けて流れたことを示し、この際には第2温度センサと第3温度センサとの検出温度はほぼ等しくなるべきである。このため、両者に所定温度以上の差がある場合、第2温度センサの異常と判断できる。従って、温度センサの異常を検出することができる。
【0014】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、第1温度センサが第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、第2温度センサが第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサが異常であると検出する異常検出工程を備えることを特徴とする。
【0015】
この削減量算出装置のセンサ異常検出方法によれば、流量センサにより所定流量が検出された場合に、第2温度センサにより検出された予熱温水の温度と、第3温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサの異常であると検出する。ここで、流量センサにより所定値以上の流量が検出された場合とは、太陽熱温水器にて加熱された予熱温水が需要者側に向けて流れたことを示し、この際には第2温度センサと第3温度センサとの検出温度はほぼ等しくなるべきである。このため、両者に所定温度以上の差がある場合、第2温度センサの異常と判断できる。従って、温度センサの異常を検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、温度センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。
【図2】本実施形態に係る表示演算部を示す構成図である。
【図3】本実施形態に係る削減量算出装置の第1温度センサの異常検出方法を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る削減量算出装置の第2温度センサの異常検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本実施形態に係る削減量算出装置を説明するのに先立って、太陽熱給湯システム1を説明する。図1は、本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。太陽熱給湯システム1は、水道管11と、冷水管12と、温水管13と、混合水管14と、加熱水管15とを備えている。さらに、太陽熱給湯システム1は、太陽熱温水器2と、混合弁3と、給湯器4とを備えている。
【0019】
水道管11は、台所、洗面所、風呂、トイレ等の住宅用水道器具の各々に水を供給するものである。また、水道管11は、分岐されており、分岐箇所に冷水管12が接続されている。冷水管12は、水道管11を介して流れてくる冷水を太陽熱温水器2まで導くものである。
【0020】
太陽熱温水器2は、集熱器21と熱媒配管22と貯湯槽23とを有している。集熱器21は、日当たりの良い住宅等の屋根などに設置され太陽熱を取り込んで熱媒を温めるものである。また、熱媒配管22は、集熱器21と貯湯槽23とを接続するものであり内部に熱媒が流れる構成となっている。熱媒は熱媒配管22を介して集熱器21と貯湯槽23とを循環する。貯湯槽23は、冷水管12からの冷水を導入すると共に、熱媒配管22を通じて流れてくる暖められた熱媒により冷水を加熱して予熱温水とし、貯湯しておくものである。
【0021】
温水管13は、貯湯槽23からの予熱温水を給湯器4側に供給するための配管である。この温水管13の終端には混合弁3が設置されており、温水管13からの予熱温水は混合弁3の温水流入口31から混合弁3に供給される。また、冷水管12は接続点Aにて分岐しており、冷水管12からの冷水は混合弁3の冷水流入口32を介して混合弁3に供給可能となっている。混合弁3は、上記の如く流入する予熱温水と冷水とを混ぜて混合水とするものである。
【0022】
混合水管14は、混合弁3の混合水流出口33と給湯器4とを接続する配管であり、混合水はこの配管14を介して混合弁3から給湯器4に供給される。なお、本実施形態において混合弁3は、混合水の温度が所定の温度となるように、温水と冷水との混合割合を自動的に調整する自動温度調節機能付湯水混合弁であるが、混合弁3の構成はこれに限られるものではない。
【0023】
給湯器4は、例えば、ガスバーナと熱交換器とを備えており、利用者等によって定められた温度の加熱水(即ち、湯)を生成するものである。この給湯器4は、住宅に設けられた給湯器用リモコン等と接続されており、給湯器用リモコン等から受信する制御信号に基づいて、例えば、電源オン、電源オフ、及び、生成する湯の温度が設定される。
【0024】
加熱水管15は、給湯器4と給湯側であるシャワー口等とを接続する配管である。給湯器4にて暖められた加熱水は、この加熱水管15を介して利用者等に供給されることとなる。
【0025】
以上の構成により、太陽熱給湯システム1は、水道管11からの冷水を、太陽熱を利用した太陽熱温水器2によって予熱温水とし、これを給湯器4に供給するので給湯器4にて使用される燃料費や排出される二酸化炭素量等を削減することができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る削減量算出装置について説明する。削減量算出装置5は、太陽熱温水器2の利用によって削減されたガス料金や二酸化炭素排出量を積算表示するものであって、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、流量センサ53と、第3温度センサ54と、演算表示部55とを備えている。
【0027】
第1温度センサ51は、冷水管12に配置され、太陽熱温水器2により加熱される前の水温、すなわち冷水の温度を検出するものである。第2温度センサ52は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2により加熱されてから給湯器4に供給されるまでの配管内(すなわち温水管13内)の予熱温水の温度を検出するものである。流量センサ53は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2から給湯器4に供給された予熱温水の流量を検出するものである。第3温度センサ54は、太陽熱温水器2の貯湯槽23に配置され、太陽熱温水器2により加熱されている予熱温水の温度を検出するものである。なお、第3温度センサ54は貯湯槽23に配置される場合に限らず、貯湯槽23からの熱伝導を考慮して温水管13のうち貯湯槽23に比較的近い部位に配置されてもよい。
【0028】
表示演算部55は、各種演算処理及び表示処理を行うものであって、詳細には図2に示す構成となっている。図2は、本実施形態に係る表示演算部55を示す構成図である。
【0029】
図2に示すように、表示演算部55は、マイクロプロセッサ(MPU)55aを備えている。MPU55aは、予め定められたプログラムに従って動作するものであり、CPU55a1と、ROM55a2と、RAM55a3とを備えている。
【0030】
CPU55a1は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを実行するものである。ROM55a2は、CPU51aにて実行するプログラム等を格納した読み出し専用のメモリである。RAM55a3は、各種のデータを格納すると共にCPU51aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
【0031】
また、本実施形態においてROM51a2には、太陽熱温水器2の利用により削減された燃料費や二酸化炭素量を算出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU55a1は、削減された燃料費や二酸化炭素量を算出する削減量算出手段として機能することとなる。
【0032】
さらに、削減量算出装置5は、メモリ部55bと、表示部55cと、インタフェース部55dとを備えている。
【0033】
メモリ部55bは、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能な記録媒体であり、CPU55a1の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。
【0034】
表示部55cは、LCD、LED等が用いられ、例えば、削減量算出装置5の本体部に利用者等が目視可能に設けられている。この表示部55cは、削減量算出手段により算出された削減熱量、削減二酸化炭素量、及び削減燃料費等の各種表示を行う。なお、本実施形態において表示部55cは、野外に設置された削減量算出装置5の本体部に設けられているが、これに限らず、宅内に設けられてもよい。
【0035】
インタフェース部55dは、第1〜第3温度センサ51,52,54や流量センサ53と電気的に接続されており、各種センサ51〜54とMPU55aとの交信を可能としたものである。
【0036】
加えて、本実施形態においてROM51a2には、第1温度センサ51及び第2温度センサ52に異常が発生したかを検出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU55a1は、第1温度センサ51及び第2温度センサ52の異常を検出する異常検出手段として機能することとなる。
【0037】
次に、異常検出手段による第2温度センサ52の異常検出の原理について図1を参照して説明する。まず、第2温度センサ52により検出される予熱温水の温度と、第3温度センサ54により検出される予熱温水の温度とは異なることが多い。すなわち、第2温度センサ52は、貯湯槽23から排出されて温水管13内に留まる予熱温水の温度を検出するため、夜間などある程度の時間予熱温水が利用されなかった場合、温水管13に留まった予熱温水は冷却される。一方、第3温度センサ54は、貯湯槽23内の予熱温水の温度を検出するため、予熱温水は熱媒により温められ続けており、基本的には冷却しないこととなる。このため、両センサ52,54の検出値は異なることが多い。
【0038】
しかし、予熱温水が貯湯槽23から給湯器4に向けて流れ出すと、貯湯槽23にて暖められていた予熱温水が第2温度センサ52まで到達することとなり、両センサ52,54の検出値は差がほぼ無くなる。このため、異常検出手段は、流量センサ53により所定値以上の流量が検出された場合に、予熱温水が貯湯槽23から給湯器4に向けて流れ出したと判断し、この際に、両センサ52,54の検出値の差が少ないときに、第2温度センサ52が正常であると判断する。一方、異常検出手段は、両センサ52,54により検出された温度を比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサ52の異常であると検出する。
【0039】
なお、上記において異常検出手段は、流量センサ53により所定値以上の流量が検出された場合に、予熱温水が貯湯槽23から給湯器4に向けて流れ出したと判断するが、これに限るものではない。例えば、異常検出手段は、所定時間(例えば数秒から1分程度)に亘り零を超える流量が検出された場合に、予熱温水が貯湯槽23から給湯器4に向けて流れ出したと判断してもよい。さらには、異常検出手段は、所定値以上の流量が所定時間検出された場合、予熱温水が貯湯槽23から給湯器4に向けて流れ出したと判断してもよい。
【0040】
次に、異常検出手段による第1温度センサ51及び第2温度センサ52の双方のセンサについての異常検出の原理を説明する。まず、第1温度センサ51が検出する太陽熱温水器2の加熱前の水温は季節により差があるものの、ある程度予想された範囲内に収まり、0℃〜35℃の範囲に収まる。また、第2温度センサ52についても同様に、ある程度予想された範囲内に収まり、0℃〜80℃の範囲に収まる。このため、異常検出手段は、センサ検出値がある一定の温度範囲に収まらない場合、該当のセンサ51,52が異常であると検出する。
【0041】
なお、第2温度センサ52により検出された温度が80℃以下に収まる理由は、太陽熱温水器2において予熱温水が一定温度以上になると熱媒の循環が停止するためである。
【0042】
次に、本実施形態に係る削減量算出装置5のセンサ異常検出方法の詳細についてフローチャートを参照して説明する。図3は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第1温度センサ51の異常検出方法を示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すように、まずCPU55a1、すなわち異常検出手段は、第1温度センサ51から信号値を読み込んで、第1温度センサ51により検出された温度が第1温度範囲外(例えば0℃〜35℃の範囲外)であるか否かを判断する(S1)。
【0044】
第1温度センサ51により検出された温度が第1温度範囲外であると判断した場合(S1:YES)、異常検出手段は、第1温度センサ51に異常が発生したと検出する(S2)。その後、CPU55a1は、表示部55cに警告表示を行い(S3)、図3に示す処理は終了する。
【0045】
一方、第1温度センサ51により検出された温度が第1温度範囲外でないと判断した場合(S1:NO)、異常検出手段は、第1温度センサ51が正常であると判断する(S4)。その後、図3に示す処理は終了する。
【0046】
図4は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第2温度センサ52の異常検出方法を示すフローチャートである。図4に示すように、まずCPU55a1、すなわち異常検出手段は、第2温度センサ52から信号値を読み込んで、第2温度センサ52により検出された温度が第2温度範囲外(例えば0℃〜80℃の範囲外)であるか否かを判断する(S11)。
【0047】
第2温度センサ52により検出された温度が第2温度範囲外であると判断した場合(S11:YES)、異常検出手段は、第2温度センサ52に異常が発生したと検出する(S12)。その後、CPU55a1は、表示部55cに警告表示を行い(S13)、図4に示す処理は終了する。
【0048】
第2温度センサ52により検出された温度が第2温度範囲外でないと判断した場合(S11:NO)、異常検出手段は、流量センサ53により検出された流量が所定値以上であるか否かを判断する(S14)。
【0049】
流量センサ53により検出された流量が所定値以上でないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS11に移行する。一方、流量センサ53により検出された流量が所定値以上であると判断した場合(S14:YES)、貯湯槽23内の予熱温水が第2温度センサ52に到達したと判断できる。そして、異常検出手段は、第2温度センサ52及び第3温度センサ54からの信号値を読み込み、両者に所定温度以上の差があるか否かを判断する(S15)。
【0050】
両者に所定温度以上の差があると判断した場合(S15:YES)、処理はステップS12に移行し、ステップS12,S13を経て図4に示す処理は終了する。
【0051】
両者に所定温度以上の差がないと判断した場合(S15:NO)、異常検出手段は、第2温度センサ52が正常であると判断する(S16)。その後、図4に示す処理は終了する。
【0052】
このようにして、本実施形態に係る削減量算出装置5及びそのセンサ異常検出方法によれば、流量セン53サにより所定流量が検出された場合に、第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度と、第3温度センサ54により検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に第2温度センサ52の異常であると検出する。ここで、流量センサ53により所定値以上の流量が検出された場合とは、太陽熱温水器2にて加熱された予熱温水が給湯器4に向けて流れたことを示し、この際には第2温度センサ52と第3温度センサ54との検出温度はほぼ等しくなるべきである。このため、両者に所定温度以上の差がある場合、第2温度センサ52の異常と判断できる。従って、温度センサの異常を検出することができる。
【0053】
また、第1温度センサ51が第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、第2温度センサ52が第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサ51,52が異常であると検出する。ここで、第1温度センサ51が検出する太陽熱温水器2の加熱前の水温は季節により差があるものの、ある程度予想された範囲内に収まる。同様に、第2温度センサ52についても温度はある程度予想された範囲内に収まる。従って、これら範囲に収まらない場合に、該当の温度センサ51,52が異常であると検出することができる。
【0054】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0055】
例えば、本実施形態において太陽熱温水器2は、貯湯槽23に蓄えられた冷水を熱媒により加熱するものであるが、これに限らず、水道管11からの冷水を集熱器21まで導いて冷水を加熱するものであってもよい。また、太陽熱温水器2は、集熱器21と貯湯槽23とを備えるものに限らず、貯湯槽23を備えない一体型の太陽熱温水器2であってもよい。
【0056】
また、本実施形態に係る削減値算出装置5はセンサ異常時に表示部55cに警告表示を行う構成であるが、これに限らず、音声警告を行ってもよいし、ガス管理センター等に通信により通知する構成であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では太陽熱温水器2により加熱された予熱温水が給湯器4に供給される太陽熱給湯システム1を例に説明したが、これに限らず、太陽熱温水器2から給湯器4を介することなく直接需要者側に供給される太陽熱給湯システムに適用されてもよい。さらには、太陽熱温水器2により加熱された予熱温水を給湯器4を介して供給すると共に、直接需要者側に供給する双方の機能を備えた太陽熱給湯システムに適用されてもよい。
【0058】
加えて、本実施形態に係る太陽熱給湯システム1においては、混合弁3を1つ備えているが、弁はこれに限らず複数備えていてもよい。さらには、混合弁3以外の弁を備えていてもよい。また、給湯器4は、追炊き機能を備えるものなど、上記に示したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 太陽熱給湯システム
11 水道管
12 冷水管
13 温水管
14 混合水管
15 加熱水管
2 太陽熱温水器
21 集熱器
22 熱媒配管
23 貯湯槽
3 混合弁
31 温水流入口
32 冷水流入口
33 混合水流出口
4 給湯器
5 削減値算出装置
51 第1温度センサ
52 第2温度センサ
53 流量センサ
54 第3温度センサ
55 表示演算部
55a MPU
55a1 CPU
55a2 ROM
55a3 RAM
55b メモリ部
55c 表示部
55d インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記太陽熱温水器により加熱されている予熱温水の温度を検出する第3温度センサと、
前記流量センサにより所定流量が検出された場合に、前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度と、前記第3温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に前記第2温度センサの異常であると検出する異常検出手段と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置。
【請求項2】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記第1温度センサが第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、前記第2温度センサが第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサが異常であると検出する異常検出手段と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置。
【請求項3】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記流量センサにより所定流量が検出された場合に、前記太陽熱温水器により加熱されている予熱温水の温度と、前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度とを比較して、所定温度以上の差がある場合に前記第2温度センサの異常であると検出する異常検出工程を備える
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【請求項4】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記第1温度センサが第1所定温度範囲内の温度を検出しない場合、及び、前記第2温度センサが第2所定温度範囲内の温度を検出しない場合の少なくとも一方のときに、該当の温度センサが異常であると検出する異常検出工程を備える
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−251727(P2012−251727A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124898(P2011−124898)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)