説明

前処理の外部精度管理方法、核酸検出処理の外部精度管理方法、検量線作成処理の外部精度管理方法、前処理の外部精度管理コンピュータ、核酸検出処理の外部精度管理コンピュータ、検量線作成処理の外部精度管理コンピュータ、前処理装置、及び核酸検出装置

【課題】 核酸検出処理の信頼性を向上させる。
【解決手段】 外部精度管理コンピュータ(1)と、検体に前処理を施して標的核酸を検出するために用いられる測定用検体を得る複数の前処理装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、前記前処理の外部精度管理をする方法であって、前記前処理装置が、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して測定用精度管理検体を得るステップ、前記前処理装置が、前記測定用精度管理検体を測定して測定データを得るステップ、前記外部精度管理コンピュータが、前記前処理装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理の外部精度管理方法、核酸検出処理の外部精度管理方法、検量線作成処理の外部精度管理方法、前処理の外部精度管理コンピュータ、核酸検出処理の外部精度管理コンピュータ、検量線作成処理の外部精度管理コンピュータ、前処理装置、及び核酸検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の血液検査装置から精度管理物質の測定データをサーバにて収集し、収集した測定データをサーバによって集計し、その集計結果を血液検査装置のユーザが閲覧することが可能なリモートサポートシステムが知られている(特許文献1参照)。
このリモートサポートシステムによれば、血液検査装置のユーザは、他施設に設置された血液検査装置で精度管理物質を測定して得られた測定データと、自施設の血液検査装置で精度管理物質を測定して得られた測定データとを比較することによって、自施設の血液検査装置が正常であることを確認する、いわゆる外部精度管理を行うことができる。
【0003】
一方、試料に含まれる核酸を増幅し、増幅した核酸を検出する核酸検出装置が開発されている(特許文献2、3参照)。
このような核酸検出装置では、核酸検出装置に試料をセットする前に、核酸の抽出や組織のホモジナイズなどの前処理を行い、前処理を行った試料を核酸検出装置にセットし、所定の試薬を用いて標的核酸を増幅させて検出を行う。
【0004】
従来の核酸検出装置は、研究用途で用いられているのが一般的であり、このような用途では、精度管理の必要性はほとんど生じておらず、特に外部精度管理の必要性は全くなかった。現状の核酸検出装置では、生成されたDNA又はRNAを精度管理物質とした内部精度管理の試みが行われているのみである。
しかし、核酸検出装置を、癌診断や感染症検査などの臨床用途に用いようとする場合、その検出結果は、感染症、癌、遺伝性疾患などの確定診断に大きく影響を与えるため、精度管理の重要性は高い。
特に、癌診断などの場合には、核酸検出装置で得られた定量的な測定データを基礎として、診断の参考とするための判定結果を導くことが求められる。例えば、癌手術中に患者から得た検体を核酸検出装置で測定して、癌リンパ節転位診断を行い、その診断に基づいてリンパ節の郭清範囲を決める場合、測定データは非常に高い精度と信頼性が求められる。しかも、術中診断の場合、迅速性も求められる。
【0005】
ところが、核酸検出処理は、血液検査処理に比べて、前処理など複雑な処理が必要であるため、従来の血液検査における外部精度管理を核酸検出処理にそのまま適用することができなかった。
特に、従来の核酸検出装置では、前述のように、核酸検出装置に試料をセットする前に、核酸の抽出や組織のホモジナイズなどの前処理を行い、前処理を行った試料を核酸検出装置にセットする必要があるが、前処理は、各施設でまちまちに実施されており、この前処理に関する精度管理は全く意識されていなかったが、前処理の信頼性を確保しなければ、その後の核酸検出処理の信頼性も確保することができない。
【0006】
【特許文献1】特開2001−229291
【特許文献2】特開平7−287019号
【特許文献3】特開2005−98960
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の核酸検出装置では、癌診断などの臨床用途で求められるほどの核酸検出処理の信頼性が得られていないという問題があり、本発明は、核酸検出処理の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前処理の外部精度管理方法に係る本発明は、外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して標的核酸を検出するために用いられる測定用検体を得る複数の前処理装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、前記前処理の外部精度管理をする方法であって、前記前処理装置が、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して測定用精度管理検体を得るステップ、前記前処理装置が、前記測定用精度管理検体を測定して測定データを得るステップ、前記外部精度管理コンピュータが、前記前処理装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0009】
前処理の外部精度管理方法について他の観点からみた本発明は、検体から測定用検体を得るための前処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0010】
上記の前処理の外部精度管理方法によれば前処理を施した検体の測定データがネットワークを介して外部精度管理コンピュータに送信されて、外部精度管理が行われるため、前処理の信頼性が高まり、ひいては核酸検出処理の信頼性が高まる。
【0011】
前記前処理用精度管理検体は、既知量の核酸又は細胞と、前記核酸又は細胞を保持することのできる保持体と、を有する疑似組織であるのが好ましい。このような前処理用精度管理検体を用いれば、簡単に前処理の精度管理を行うことができる。
【0012】
前記外部精度管理コンピュータは、前記外部精度管理処理の結果を閲覧可能な状態にするステップを含むのが好ましい。
【0013】
前記前処理は、前記前処理用精度管理検体をホモジナイズする処理を含むのが好ましい。
【0014】
前記前処理は、前記前処理用精度管理検体から核酸を抽出する処理を含むのが好ましい。
【0015】
前記測定データは、前記測定用精度管理検体に光を照射することによって得られる光学
情報を解析することによって得られるものであるのが好ましい。
【0016】
前記測定データは、前記測定用精度管理検体に含まれる核酸の量を反映するデータであるのが好ましい。核酸の量に関するデータとしては、単位体積当たりの核酸のコピー数が好ましく、あるいは単位体積当たりの核酸の質量であってもよい。
【0017】
前記外部精度管理処理は、外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信した測定データと、過去受信して蓄積されている測定データと、に基づく統計処理を含むのが好ましい。
【0018】
核酸検出処理の外部精度管理方法に関する本発明は、外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う複数の核酸検出装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、核酸検出処理の外部精度管理をする方法であって、前記核酸検出装置が、核酸検出用精度管理検体を測定して測定データを得るステップ、前記外部精度管埋コンピュータが、前記核酸検出装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0019】
核酸検出処理の外部精度管理方法について他の観点からみた本発明は、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の前記検出処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0020】
上記の核酸検出処理の外部精度管理方法によれば、核酸検出用精度管理検体の測定データがネットワークを介して外部精度管理コンピュータに送信されて、外部精度管理が行われるため、核酸検出処理の信頼性が高まる。
【0021】
前記外部精度管理コンピュータが、前記外部精度管理処理の結果を閲覧可能な状態にするステップ、を含むのが好ましい。
【0022】
前記測定データは、前記核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸の量に関するデータであるのが好ましい。
【0023】
前記測定データは、前記標的核酸を増幅させる増幅処理を前記核酸検出用精度管理検体に施したときに、前記核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸が所定の量になるまでの時間に関する時間データであるのが好ましい。
【0024】
前記外部精度管理処理は、外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信した測定データと、過去受信して蓄積されている測定データと、に基づく統計処理を含むのが好ましい。
【0025】
前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して測定データを受信するステップは、既知量の標的核酸を含む第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる測定データと、既知量の内部標準核酸を含む第2核酸検出用精度管理物質を測定することによって得られる測定データと、を受信するステップを含み、外部精度管理処理を行うステップでは、第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる測定データ及び第2核酸検出用精度管理物質を測定することによって得られる測定データのそれぞれについて外部精度管理処理が行われるのが好ましい。
この場合、標的核酸を含む第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる測定データ及び内部標準核酸を含む第2核酸検出用精度管理物質を測定することによって得られる測定データのそれぞれについて外部精度管理が行われるため、核酸検出処理の信頼性が高まる。
【0026】
前記第1核酸検出用精度管理物質は、既知量の標的核酸を含むとともに内部標準核酸を含まず、前記第2核酸検出用精度管理物質は、既知量の内部標準核酸を含むとともに標的核酸を含まず、前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して測定データを受信するステップは、第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、標的核酸に関する第1測定データと、第2核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、内部標準物質に関する第2測定デーと、第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、内部標準核酸に関する第3測定データと、第2核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、標的核酸に関する第4測定データと、を受信するステップを含み、外部精度管理処理を行うステップでは、第1測定データ、第2測定データ、第3測定データ、第4測定データのそれぞれについて外部精度管理処理が行われるのが好ましい。
この場合、第1測定データ、第2測定データ、第3測定データ、第4測定データのそれぞれについて外部精度管理処理が行われるため、核酸検出処理の信頼性が一層高まる。
【0027】
核酸検出装置を外部精度管理する方法に係る本発明は、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップと、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定用管理検体の測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定用管理検体の測定データに基づき前処理の外部精度管理処理を行うステップ、前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した核酸検出用精度管理検体の測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された核酸検出用精度管理検体の測定データに基づき核酸検出処理の外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0028】
上記の核酸検出装置の外部精度管理方法によれば、前処理された前処理用精度管理検体の測定データと核酸検出用精度管理検体の測定データがネットワークを介して外部精度管理コンピュータに送信されて、外部精度管理が行われるため、前処理と核酸検出処理の信頼性が高まる。
【0029】
外部精度管理処理によって前記前処理及び/又は前記核酸検出処理が異常であると判定されると、前記外部精度管理コンピュータが、前記前処理及び/又は前記核酸検出処理が異常であることを示す情報を、ネットワークを介して外部へ送信するステップ、をさらに含むのが好ましい。
【0030】
検量線作成処理の外部精度管理処理に係る本発明は、外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う複数の核酸検出装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、検量線作成処理の外部精度管理をする方法であって、標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して測定データを得るステップ、前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0031】
検量線作成処理の外部精度管理処理について他の観点からみた本発明は、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の検量線作成処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して得られた測定データを外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、を含むものである。
【0032】
上記の検量線作成処理の外部精度管理方法によれば、キャリブレータの測定データがネットワークを介して外部精度管理コンピュータに送信されて、外部精度管理が行われるため、検量線作成処理の信頼性が高まり、ひいては核酸検出処理の信頼性が高まる。
【0033】
検体から測定用検体を得るための前処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータに係る本発明は、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、を備えている。
【0034】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の前記検出処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータに係る本発明は、前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、を備えている。
【0035】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の検量線作成処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータに係る本発明は、標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して得られた測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、を備えている。
【0036】
検体に前処理を施して標的核酸を検出するために用いられる測定用検体を得る前処理装置に係る本発明は、前記検体に前記前処理を施すことによって測定用検体を得ることができるとともに、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して測定用精度管理検体を得ることができる前処理部と、前記測定用精度管理検体を測定して測定データを得る測定データ取得手段と、前記測定用精度管理検体に関する測定データを装置外部へ送信するための送信部と、を備えている。
【0037】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置に係る本発明は、前記測定用検体に含まれる標的核酸を検出して検体測定データを得ることができるとともに、核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸を検出して精度管理測定データを得ることができる測定データ取得部と、前記測定データ取得部によって取得された精度管理測定データを装置外部へ送信するための送信部と、を備えている。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、外部精度管理により前処理、検量線作成処理又は核酸検出処理の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[外部精度管理システム全体構成]
図1は、外部精度管理コンピュータ(以下、単に「サーバ」ともいう)1と、当該サーバ1にインターネット等のネットワークを介して接続された複数の核酸検出システム2とを、を有する外部精度管理システムの全体構成を示している。
前記サーバ1は、精度管理サービスの提供側に設置されており、前記核酸検出システム2は、病院等の核酸検出システム2のユーザ側に設置されている。サーバ1と各核酸検出システム2は、ネットワークを介して互いに通信可能とされている。
なお、サービス提供側にも基準器となる核酸検出システム2aが設置されており、この基準器2aもネットワークを介して又は直接的に前記サーバ1に接続され、サーバ1との間で通信可能である。
【0040】
[核酸検出システム]
本実施形態の核酸検出システム(遺伝子増幅検出システム)2は、リンパ節のような生体(人体)からの切除組織を検体とし、この検体に含まれる標的核酸(標的遺伝子)の濃度を測定データとして出力可能なものである。
より具体的には、この核酸検出システム2は、乳癌リンパ節転位の遺伝子診断システムとして用いられ、人体から切除されたリンパ節(検体)に前処理(ホモジナイズ、抽出処理など)を施して、核酸検出のための測定用検体となる可溶化抽出液を作成し、測定用検体中に存在する標的核酸(標的遺伝子)をLAMP法(Loop-mediated Isothermal Amplification)により増幅させ増幅に伴い発生する溶液の濁りを測定することで、標的核酸(癌遺伝子;mRNA)の濃度を求めるものである。
【0041】
この核酸検出システム2は、術中迅速診断用に用いられ、具体的には、乳癌などの手術中に使用されるものである。例えば、術中に切除されたリンパ節からシステム2がリンパ節中の癌由来の遺伝子(標的核酸)の濃度を求め、これを参考に医師が術中に癌転位の度合いを診断し、リンパ節の郭清範囲を決定する。したがって、システム2の出力には高い信頼性と迅速性が要求される。
【0042】
図2に示すように、核酸検出システム2は、人体などから得られた検体に対してホモジナイズなどの前処理を行って測定用検体を作成するための前処理装置本体5と、測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置本体101とを有している。
また、核酸検出システム2は、データ処理又はデータ通信などを行うためのデータ処理装置として、パーソナルコンピュータ6を有している。このデータ処理装置6は、前処理装置本体5及び核酸検出装置本体101のそれぞれから測定データを受信したり、前処理装置本体5及び核酸検出装置本体101に動作指示信号などを送信したりする制御装置としての機能も有している。すなわち、前処理装置本体5とデータ処理装置6とが前処理装置として機能し、核酸検出装置本体101とデータ処理装置6とが核酸検出装置として機能する。
また、データ処理装置6は、ネットワークに接続されており、サーバ1との間のデータ送受信機能により、前処理装置本体5又は核酸検出装置本体101のそれぞれの送信部から送信された測定データ等を、サーバ1に送信することができる。
【0043】
[前処理装置]
図3に示すように、前処理装置本体5は、主に、検体への前処理を行って測定用検体とする前処理部50と、前処理が完了した測定用検体を測定する測定部51とを備えている。
前処理部50は、検体が入った容器をセットする検体セット部52と、検体セット部52にセットされた検体入り容器に前処理用試薬を添加する試薬添加部(試薬分注ピペット)53と、検体のホモジナイズを行うためのブレンダー(ホモジナイズ部)54、ホモジナイズ(前処理)された測定用検体を分注するピペット(分注部)55、ピペット55を測定部51や核酸検出装置本体101へ移送する移送部(図示省略)を備えている。
【0044】
前処理装置は、データ処理装置6から測定開始指示信号を受けると、検体セット部52の検体に前処理用試薬を添加し(前処理用試薬添加処理)、ブレンダー54によって検体をホモジナイズし、測定用検体を作成する(ホモジナイズ処理)。
そして、測定用検体(以下、単に「サンプル」ともいう)をピペット55によって吸引し、通常の核酸検出の場合には、ピペット55が核酸検出装置本体101まで移動し、核酸検出装置本体101にセットされたサンプル容器22にサンプルを注入する。
【0045】
一方、精度管理の場合には、前処理用精度管理検体を前処理して作成された測定用精度管理検体を吸引したピペット55は、吸光度測定セル56へ移動し、測定用精度管理検体を測定部51の吸光度測定セル56に注入する。
前記吸光度測定セル56には、光源57から光が照射され、その光が検出器(受光部)58によって検出され、前処理がなされたサンプルの吸光度が測定される。測定された吸光度(測定データ)は、前処理装置本体5の送信部(図示省略)によって、データ処理装置6へ送信される。
なお、前処理としてはホモジナイズに限られるものではなく、核酸の抽出処理などであってもよい。
【0046】
[核酸検出装置]
核酸検出装置本体101は、図4及び図5に示すように構成されており、この装置の詳細は、特開2005−98960に記載されている。ここでは、核酸検出装置本体101の構成及び動作等を簡単に説明する。
まず、前処理装置本体5から移動してきたピペットが、サンプル容器台21のサンプル容器セット孔21aにセットされたサンプル容器22に、前処理されたサンプルを注入する。
【0047】
試薬容器セット部30の正面左側のプライマ試薬容器セット孔31aおよび酵素試薬容器セット孔31bには、CK19(サイトケラチン19)のプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aおよび酵素試薬が収容された酵素試薬容器32bがセットされている。また、試薬容器セット部30の正面右側のプライマ試薬容器セット孔31aには、内部標準物質のアラビドプシス(Arabidopsis、以下、単に「アラビド」という)のプライマ試薬が収容されたプライマ試薬容器32aがセットされている。また、正面右側のアラビド容器セット孔31dには、所定量のアラビドが収容されたアラビド溶液容器32dがセットされている。
【0048】
また、チップセット部40の凹部(図示せず)に、それぞれ36本の使い捨て用ピペットチップ41が収納された2つのラック42が嵌め込まれている。さらに、各反応検出ブロック60aの反応部61の2つの検出セルセット孔に、検出セル65の2つのセル部66aがセットされている。
【0049】
この状態で、核酸検出装置本体101の動作がスタートすると、まず、分注機構部10のアーム部11が初期位置からチップセット部40に移動された後、チップセット部40において、分注機構部10の2つのシリンジ部12が下方向に移動される。これにより、2つのシリンジ部12のノズル部の先端が2つのピペットチップ41の上部開口部内に圧入されるので、2つのシリンジ部12のノズル部の先端にピペットチップ41が自動的に装着される。そして、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注機構部10のアーム部11は、試薬容器セット台31にセットされたCK19およびアラビドのプライマ試薬が収容された2つのプライマ試薬容器32aの上方に向かってX軸方向に移動される。そして、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12のノズル部に装着された2つのピペットチップ41の先端が、それぞれ、2つのプライマ試薬容器32a内のCK19およびアラビドのプライマ試薬の液面に挿入される。そして、シリンジ部12のポンプ部により2つのプライマ試薬容器32a内のCK19およびアラビドのプライマ試薬が吸引される。
【0050】
プライマ試薬の吸引後、2つのシリンジ部12が上方に移動された後、分注機構部10のアーム部11は、最も奥側(装置正面奥側)に位置する反応検出ブロック60aの上方に移動される。この場合、分注機構部10のアーム部11は、奥から2番目〜5番目の他の反応検出ブロック60aの上方を通過しないように移動される。そして、最も奥側の反応検出ブロック60aにおいて、2つのシリンジ部12が下方向に移動されることにより、2つのシリンジ部12のノズル部12aに装着された2つのピペットチップ41が、それぞれ、検出セル65の2つのセル部66aに挿入される。そして、シリンジ部12のポンプ部を用いて、CK19およびアラビドの2つのプライマ試薬がそれぞれ2つのセル部66aに吐出される(プライマ試薬分注処理)。
【0051】
その後、ピペットチップ41は破棄され、2つのシリンジ部12のノズル部先端に新しい2つのピペットチップ41が自動的に装着されたのち、上記とほぼ同様の動作で、酵素試薬容器32b内の酵素試薬が検出セル65の2つのセル部66aに吐出される(酵素試薬分注処理)。
その後、さらに同様に、アラビド溶液容器32d内のアラビド溶液が検出セル65の2つのセル部66aに吐出される。
その後、さらに同様に、サンプル容器22のサンプル(測定用検体)が検出セル65の2つのセル部66aに吐出される(サンプル分注処理)。
これによって、検出セル65の一方のセル部66aには、CK19を検出するための試料が調整され、他方のセル部66aには、アラビドを検出するための試料が調整される。
【0052】
上記のセル部内へのプライマ試薬、酵素試薬、アラビド溶液及びサンプルの吐出が行われた後、検出セル65の蓋閉め動作が行われる。
蓋閉め動作が完了した後、反応部61のペルチェモジュールを用いて、検出セル65内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP法により標的遺伝子(CK19)及びアラビドを増幅する。
そして、増幅に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムによる白濁を比濁法により検出する。具体的には、濁度検出部62のLED光源部62aから、約1mmの直径を有する光を、反応部61の光照射溝を介して、増幅反応時の検出セル65(測定データ取得部)のセル部66aに照射する。そして、その照射した光をフォトダイオード受光部62bで受光する。
これにより、増幅反応時の検出セル65のセル部66a内の液濁度をリアルタイムで検出(モニタリング)する(検出処理)。
フォトダイオード受光部62b(測定データ取得手段)で測定したCK19の測定データ及びアラビドの測定データは、核酸検出装置本体101の有する送信部(図示省略)によってデータ処理装置6に送信される。
【0053】
その結果、データ処理装置6において、横軸に時間、縦軸に濁度(O.D.:Optical Density)をとった場合に、図6に示すようなCK19の測定データが得られる。そして、このCK19の測定データからサンプル中の標的遺伝子(CK19)のコピー数が急増するまでの時間である増幅立ち上がり時間を、濁度を所定のしきい値と比較することによって、検出する。
一方、データ処理装置6は、上記と同様に、アラビドの測定データからも、横軸に時間、立て軸に濁度をとったアラビドの測定データを作成し、その測定データに基づいて、アラビドの増幅立ち上がり時間を取得する。データ処理装置6は、このアラビドの増幅立ち上がり時間に基づいて、CK19の増幅立ち上がり時間を補正する。このような補正をすることによって、サンプル中の増幅阻害物質が測定結果に与える影響を除去することができる。
そして、図7に示すような、予めCK19のキャリブレータの測定結果から作成された検量線に基づいて、補正されたCK19の増幅立ち上がり時間から標的遺伝子(CK19)の量(コピー数)が算出される。ここで、図7に示した検量線は、横軸に増幅立ち上がり時間、縦軸に標的遺伝子(CK19)コピー数[コピー数/μL]をとった曲線であり、一般に、増幅立ち上げり時間が短いほど、標的遺伝子濃度が高くなる。
【0054】
算出された標的遺伝子の量のデータ(測定データ)は、データ処理装置6の表示装置又はその他の表示装置によって、画面表示される。また、データ処理装置6は、定量的な測定データ(増幅立ち上がり時間、コピー数)から、診断支援のための定性的な判定結果を求め、データ処理装置の表示装置又はその他の表示装置によって画面表示する。
この判定は、例えば、図8に示すように、コピー数が250以下の場合、又は図6に示す測定データにおいて、所定時間が経過しても濁度がしきい値に到達しない場合は「ND」、コピー数が250〜5×10の範囲であれば「+」、コピー数が5×10より大きければ「++」として判定する。ここで、「ND」は「転位は検出されない」、「+」は「転位は少ない」、「++」は「転位が認められる」というように定性的な癌転位の度合いを示しており、システム2が、定量的な測定データ(癌由来細胞の量)から確定診断支援に役立つ定性的な結果を求めて表示することで、医師は、術中に迅速に診断を行い、郭清範囲を決定することができる。
【0055】
[外部精度管理コンピュータ;サーバ]
図9に示すように、外部精度管理コンピュータとして機能するサーバ1は、サーバ本体1aと、キーボード・マウスなどの入力部1b、ディスプレイ等の表示装置1cを備えている。サーバ本体1aは、処理装置としてのCPU、ROM、RAM、入出力インターフェース、画像出力インターフェース、通信インターフェース、そしてハードディスクを有している。
前記ハードディスクには、吸光度データベースDB1、吸光度統計データベースDB2、精度管理データベースDB3、精度管理統計データベースDB4が記録されており、これらのデータベースについては後述する。
【0056】
[前処理用の外部精度管理]
前処理装置5の外部精度管理の際には、前処理装置本体5によって精度管理用の検体(前処理用精度管理検体)を前処理して測定用精度管理検体を作成し、当該測定用精度管理検体の吸光度を測定する。
前処理用精度管理検体は、既知量の標的核酸、又は既知量の標的核酸を含む細胞と、前記標的核酸又は標的核酸を含む細胞を保持することができる保持体とからなる疑似組織として構成されている。
この疑似組織は、前処理装置本体5によって所定の前処理が施されて吸光度を測定したときに、所定の基準値(表示値)が得られるように作成されている。
【0057】
疑似組織に用いられる核酸としては、DNAやRNAだけでなく、PNA、BNA、これらの類縁体などの人工核酸であってもよい。
疑似組織に用いられる細胞としては、標的核酸を含有する細胞であれば特に限定されない。
保持体としては、室温では固形形態を呈し、一定温度まで加温することによって固形形態が崩壊して流動かするものが好ましい。また、固形形態において生体組織と同程度の固さを有するものが好ましい。
【0058】
保持体は、ゲル化剤を含むのが好ましい、ゲル化剤とは、溶媒に添加することによって溶液をゲル化させる性質を持つ物質である。ゲル化剤としては、例えば、寒天、アガロース、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、コラーゲン、ゼラチン、グルテンなどの天然高分子や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリルアミド(PAA)などの合成高分子などが挙げられる。本実施形態の疑似組織には、これら合成高分子及び天然高分子のうち、1種又は2種以上を用いることができる。また、ゲル化剤を添加する溶媒としては特に限定されないが、例えば、水、TE(Tris EDTA)、TAE(Tris−Acetate EDTA)、TBE(Tris−Borate EDTA)などを用いることができる。
【0059】
図10〜図12は、前処理の精度管理のためのパーソナルコンピュータ6、前処理装置本体5、サーバ1の処理を示している。
外部精度管理処理は、1日に1回又は数回程度実施され、外部精度管理処理を行った後に、通常の検体の測定が行われる。まず、精度管理の際には、上記疑似組織(前処理用精度管理検体)が前処理装置本体5の検体セット部52にセットされる。
そして、ユーザ(病院のスタッフ等)が、前処理装置本体5の外部精度管理を開始するために、システム2のパーソナルコンピュータ6のキーボード・マウスなどの入力部によって開始指示を入力し、パーソナルコンピュータ6がその指示を受け付けると(ステップS1−1:図10参照)、パーソナルコンピュータ(制御装置)6は、前処理装置本体5に前処理の測定開始指示を送信する(ステップS1−2)。
【0060】
前処理装置本体5は、測定開始指示の信号を受信すると(ステップS1−3:図11参照)、前処理部50によって前処理用精度管理検体に前処理用試薬添加処理(ステップS1−4)とホモジナイズ処理(ステップS1−5)を行い、測定用精度管理検体を作成する。
この測定用精度管理検体は、前処理装置本体5の測定部51に与えられ、吸光度が測定される(ステップS1−6)。そして、前処理装置本体5は、測定された吸光度の測定データを、パーソナルコンピュータ6側へ送信する(ステップS1−7)。
パーソナルコンピュータ6は、吸光度の測定データを受信すると(ステップS1−8:図10参照)、その測定データをサーバ1へ送信する(ステップS1−9)。
【0061】
サーバ1は、ネットワークを介して吸光度の測定データを受信すると(ステップS1−10:図12参照)、その吸光度測定データを吸光度データベースDB1に蓄積する(ステップS1−11)。
また、サーバ1は、各施設に設置された多数の核酸検査システム1の前処理装置本体5から送信された多数の吸光度測定データに統計処理を施す。具体的には、複数の施設に設置されたシステム2(前処理装置)からそれぞれ送信された吸光度測定データに基づき、1日単位での平均値と標準偏差1SDを求める(ステップS1−12)。
また、サーバ1は、標準偏差1SDを2倍した2SD、標準偏差1SDを3倍した3SDも求める。これらの1日単位の吸光度測定データの平均値、1SD、2SD、3SDは、サーバ1の吸光度統計データベースDB2に蓄積される。なお、吸光度統計データベースDB2には、基準器2aで前処理された疑似組織を測定した吸光度測定データも蓄積される。
【0062】
ここで、図13は、パーソナルコンピュータ6からサーバ1に送信される吸光度測定データの内容を示しており、当該測定データには、吸光度を測定した核酸検出システム1のID(装置ID)と、疑似組織(前処理用精度管理検体)のロット番号、測定した疑似組織の吸光度、測定時刻が含まれている。
また、図14は、サーバ1の吸光度データベースDB1に蓄積された吸光度測定データを示しており、図13に示す吸光度測定データが、装置IDの異なるシステム2それぞれについて、測定日時ごとに蓄積されている。
さらに、図15は、サーバ1の吸光度統計データベースDB2の内容を示しており、1日単位の吸光度測定データの平均値、1SD、2SD、3SD、基準器2aで前処理された疑似組織を測定した吸光度測定データが蓄積されている。
【0063】
さらに、サーバ1は、吸光度測定データを受信すると、ステップS1−12で算出された平均値と、1SD、2SD、又は3SDとに基づいて、前処理装置による前処理が正常であるか否かを判定する(ステップS1−13)。
より具体的には、サーバ1は、過去一定時間(例えば、過去24時間)に受信した吸光度測定データの平均値と標準偏差1SD、2SD、又は3SDとに基づいて、前処理が正常であるか否かを判定する。
1SD、2SD、3SDは、それぞれ、受信した吸光度測定データが正常か否かの基準値となり得るものであり、各施設によって基準値として1SD、2SD、3SDのどれを使用するかが選択されており、選択された基準値が判定に用いられる。
【0064】
判定(QC(Quality Control)結果判断)は、例えば、基準値として2SDが選択されている場合、過去一定時間に受信した吸光度測定データの平均が0.227であり、標準偏差(×2)2SDが0.006であるとすると、受信した吸光度測定データが、0.227±0.006の範囲内にあれば、正常であると判定し、0.227±0.006の範囲から外れていれば異常であると判定する。なお、基準値として1SDを選択した場合には、より厳しい基準値となり、基準値として3SDを選択した場合には、より緩やかな基準値となる。
【0065】
サーバ1による統計処理結果および判定結果(QC結果)は、吸光度測定データを送信してきたシステム2のパーソナルコンピュータ6に対して送信される(ステップS1−14)。
パーソナルコンピュータ6は、QC結果(統計処理結果および判定結果)のデータを受信すると(ステップS1−15)、ハードディスク等の記憶手段に、QC結果を記憶する処理を行う(ステップS1−16)。
以上の処理により、核酸検出システム2は、前処理が正常であるか否かの情報を有している状態となる。
【0066】
[核酸検出処理の外部精度管理]
核酸検出装置101の外部精度管理の際には、通常の測定用検体に代えて、核酸検出用精度管理検体(以下、単に「コントロール溶液」ともいう)を核酸検出装置本体101によって測定することによって行われる。
コントロール溶液としては、標的核酸であるCK19を既知量含むとともに内部標準核酸(植物由来の核酸;人体が有しない核酸)であるアラビドを含まないCK19コントロール(第1核酸検出用精度管理物質)と、内部標準核酸であるアラビドを既知量含むとともに標的核酸であるCK19を含まないInternalコントロール(アラビドコントロール;第2核酸検出用精度管理物質)の2種類が用いられる。
【0067】
まず、外部精度管理処理(コントロール溶液測定処理)に先だって、CK19コントロールを収容したサンプル容器22と、アラビドコントロールを収容したサンプル容器22が、核酸検出装置本体101のサンプル容器台21にセットされる。
そして、ユーザ(病院のスタッフ等)が、核酸検出装置本体101の外部精度管理を開始するために、システム2のパーソナルコンピュータ6のキーボード・マウスなどの入力部によって開始指示を入力し、パーソナルコンピュータ6がその指示を受け付けると(ステップS2−1:図16参照)、パーソナルコンピュータ(制御装置)6は、核酸検査装置101に測定開始指示を送信する(ステップS2−2)。
【0068】
核酸検出装置本体101は、測定開始指示の信号を受信すると(ステップS2−3:図17参照)、プライマ試薬分注処理(ステップS2−4)、酵素試薬分注処理(ステップS2−5)、サンプル容器22のCK19コントロール溶液を検出セル65の一方のセル部66aに分注し、アラビドコントロール溶液を他方のセル部66aに分注するコントロール溶液分注処理(ステップS2−6)を行う。
その後、核酸検出装置本体101は、検出セル65内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP法により標的核酸(CK19)およびアラビドを増幅し、濁度検出部62によって、増幅反応時の検出セル65のそれぞれのセル部66a内の液濁度をリアルタイムで検出(モニタリング)する検出処理を行う(ステップS2−7)。
【0069】
そして、核酸検出装置本体101は、検出された光学情報(CK19の測定データおよびアラビドの測定データ)を、パーソナルコンピュータ6に送信する(ステップS2−8)。
パーソナルコンピュータ6は、核酸検出装置本体101から、光学情報(液濁度)を受信すると(ステップS2−9:図16参照)、当該光学情報の解析処理を行う(ステップS2−10)。解析処理では、CK19の増幅立ち上がり時間、CK19のコピー数、アラビドの増幅立ち上がり時間を算出する。
CK19およびアラビドの増幅立ち上がり時間は、光学情報として得られた液濁度が所定値を超えるまでの時間として算出され、CK19のコピー数は、予めキャリブレータの測定結果から作成された検量線に基づいて、CK19の増幅立ち上がり時間から算出される。なお、コントロール溶液の測定においては、前述した、アラビドの増幅立ち上がり時間によるCK19の増幅立ち上がり時間の補正は行われない。
【0070】
以上の解析処理は、2つのコントロール物質それぞれについて行われる。
つまり、解析処理では、CK19コントロールを測定したときのCK19(標的核酸)の立ち上がり時間(第1測定データ)、アラビドコントロールを測定したときのアラビド(内部標準核酸)の立ち上がり時間(第2測定データ)、CK19コントロールを測定したときのアラビド(内部標準核酸)の立ち上がり時間(第3測定データ)、アラビドコントロールを測定したときのCK19の立ち上がり時間(第4測定データ)が算出され、第1測定データに基づき、CK19のコピー数が算出される。
【0071】
上記解析結果(測定データ)は、パーソナルコンピュータ6からサーバ1に送信される(ステップS2−11)。図19(a)(b)は、サーバ1に送信される測定データの内容を示しており、図19(a)はCK19コントロールについての測定データ、図19(b)はIneternalコントロールについての測定データである。
これらの測定データには、上記解析結果の他、コントロール物質を測定したシステムのID(装置ID)、コントロール物質のロット番号、測定時刻といった情報が含まれている。また、これらの測定データに含まれる「ND」は、所定時間が経過しても濁度が所定値に到達しなかったこと、すなわち、立ち上がり時間が検出されなかったことを示している。
【0072】
なお、図19(a)(b)では、CK19コントロールを測定したときのCK19(標的核酸)の立ち上がり時間(第1測定データ)、アラビドコントロールを測定したときのアラビド(内部標準核酸)の立ち上がり時間(第2測定データ)では、立ち上がり時間が検出されており、増幅されるべきものが増幅されていることがわかる。
一方、CK19コントロールを測定したときのアラビド(内部標準核酸)の立ち上がり時間(第3測定データ)、アラビドコントロールを測定したときのCK19の立ち上がり時間(第4測定データ)は、それぞれ「ND」(No Detect)とされて立ち上がり時間が検出されておらず、増幅されるべきでないものが増幅されておらず、正常であることがわかる。
したがって、上記4つの測定データすべてについて測定することで、より適切な外部精度管理を行うことができ、検出の信頼性を高めることができる。
【0073】
サーバ1は、解析結果(測定データ)を受信すると(ステップS2−12:図18参照)、その測定データを精度管理データベースDB3に蓄積する(ステップS2−13)。
また、サーバ1は、各施設に設置された多数の核酸検査システム2のパーソナルコンピュータ6から送信された多数の測定データに統計処理を施す。具体的には、複数の施設に設置されたシステム2(パーソナルコンピュータ6)から送信された測定データに基づき、測定項目毎に、1日単位での平均値と標準偏差1SDを求める(ステップS2−14)。また、サーバ1は、標準偏差1SDを2倍した2SD、標準偏差1SDを3倍した3SDも求める。これらの1日単位の測定データの平均値、1SD、2SD、3SDは、サーバ1の精度管理統計データベースDB4に蓄積される。なお、精度管理統計データベースDB4には、基準器2aの測定データも蓄積される。
【0074】
ここで、図20,図21は、精度管理データベースDB3の内容を示しており、図20(a)はCK19コントロールの測定データ、図20(b)はInternalコントロールの測定データを示しており、それぞれ、装置IDの異なるシステム2それぞれについて、測定日時ごとに、CK19コントロールのロット番号、CK19の立ち上がり時間、CK19のコピー数、アラビドの立ち上がり時間が蓄積されている。
また、図21(c)(d)(e)は後述のキャリブレータC1,C2,C3の測定データを示しており、装置IDの異なるシステム2それぞれについて、測定日時ごとに、キャリブレータのロット番号、CK19の立ち上がり時間、CK19のコピー数が蓄積されている。
また、図22,23,24は、精度管理統計データベースDB4の内容を示しており、日付ごとに、各測定対象(CK19コントロール、Internalコントロール)、キャリブレータC1,C2,C3)の各測定項目(CK19立ち上がり時間、CK19コピー数、CK19立ち上がり時間)についての平均値、1SD、2SD、3SD、及び基準器測定データが蓄積されている。
【0075】
さらに、サーバ1は、測定データを受信すると、ステップS2−14で算出された平均値と、1SD、2SDまたは3SDとに基づいて、核酸検出処理が正常であるか否かを判定する(ステップS2−15)。
より具体的には、サーバ1は、測定データ毎に、過去一定時間(例えば、過去24時間)に受信した測定データの平均値と標準偏差1SD、2SD又は3SDとに基づいて、核酸検出処理が正常であるか否かを判定する。
1SD、2SD、3SDは、それぞれ、受信した測定データが正常か否かの基準値となり得るものであり、各施設によって基準値として1SD、2SD、3SDのどれを使用するかが選択されており、選択された基準値が判定に用いられる。
【0076】
判定(QC(Quality Control)結果判断)は、例えば、基準値として2SDが選択されている場合、過去一定時間に受信したCK19コピー数の平均が4.1×10であり、標準偏差(×2)2SDが2.6×10であるとすると、受信したCK19のコピー数の平均が4.1×10±2.6×10の範囲内にあれば、正常であると判定し、4.1×10±2.6×10の範囲から外れていれば、異常であると判定する。また、同様にCK19の立ち上がり時間およびアラビドのコピー数についても判定が行われる。
【0077】
サーバ1による統計処理結果および判定結果(QC結果)は、測定データを送信してきたシステム2のパーソナルコンピュータ6に対して送信される(ステップS2−16)。
パーソナルコンピュータ6は、QC結果(統計処理結果及び判定結果)のデータを受信すると(ステップS2−17:図16参照)、ハードディスク等の記憶手段に、QC結果を記憶する処理を行う(ステップS2−18)。
以上の処理により、核酸検出システム2は、核酸検出処理が正常であるか否かの情報を有している状態となる。
【0078】
[検量線作成処理の外部精度管理]
核酸検出装置本体101における検量線作成処理の外部精度管理の際には、通常の測定用検体に代えて、キャリブレータを核酸検出装置本体101によって測定することによって行われる。
キャリブレータは、標的核酸であるCK19を所定量含むものであり、CK19の量が異なる3種類のキャリブレータC1,C2,C3が用いられる。なお、キャリブレータC1は、表示値(標準値)としてのコピー数が2.5×10であり、キャリブレータC2は、表示値(標準値)としてのコピー数が2.5×10であり、キャリブレータC3は、表示値(標準値)としてのコピー数が2.5×10である。
【0079】
これらのキャリブレータC1,C2,C3を収容したサンプル容器22は、検量線作成処理に先だって、核酸検出装置本体101のサンプル容器台21にセットされる。
そして、ユーザ(病院のスタッフ等)が、核酸検出装置本体101の検量線作成処理(キャリブレータ測定処理)を開始するために、システム2のパーソナルコンピュータ6のキーボード・マウスなどの入力部によって開始指示を入力し、パーソナルコンピュータ6がその指示を受け付けると(ステップS3−1:図25参照)、パーソナルコンピュータ(制御装置)6は、核酸検査装置101に測定開始指示を送信する(ステップS3−2)。
【0080】
核酸検出装置本体101は、測定開始指示の信号を受信すると(ステップS3−3:図26参照)、キャリブレータC1〜C3のそれぞれについて、プライマ試薬分注処理(ステップS3−4)、酵素試薬分注処理(ステップS3−5)、サンプル容器22のキャリブレータを検出セル65の1つのセル部66aに分注するキャリブレータ溶液分注処理(ステップS3−6)を行う。
その後、核酸検出装置本体101は、検出セル65内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP(遺伝子増幅)反応により標的核酸を増幅し、濁度検出部62によって、増幅反応時の検出セル65のセル部66a内の液濁度を検出する検出処理を行う(ステップS3−7)。
【0081】
そして、核酸検出装置本体101は、検出された光学情報(測定データ)を、パーソナルコンピュータ6に送信する(ステップS3−8)。
パーソナルコンピュータ6は、核酸検出装置本体101から、それぞれのキャリブレータC1,C2,C3の光学情報(液濁度)を受信すると(ステップS3−9:図25参照)、当該光学情報の解析処理を行う(ステップS3−10)。
解析処理では、それぞれのキャリブレータC1,C2,C3の増幅立ち上がり時間を算出する。なお、記述のように、増幅立ち上がり時間は、光学情報として得られた液濁度が所定値を超えるまでの時間として算出される。
パーソナルコンピュータ6は、現在保有する検量線又は各キャリブレータC1,C2,C3の表示値のコピー数に基づき、各キャリブレータC1,C2,C2について算出された立ち上がり時間から、新たな検量線を作成し(ステップS3−11)、新たな検量線に基づき、各キャリブレータC1,C2,C3のCK19のコピー数を算出する。
【0082】
上記のCK19の立ち上がり時間及びCK19のコピー数(測定データ)は、パーソナルコンピュータ6からサーバ1に送信される(ステップS3−12)。図19(c)(d)(e)は、サーバ1に送信される測定データの内容を示しており、図19(c)はキャリブレータC1についての測定データ、図19(d)はキャリブレータC2についての測定データ、図10(e)はキャリブレータC3についての測定データである。
これらの測定データには、立ち上がり時間及びCK19のコピー数の他、キャリブレータを測定したシステムのID(装置ID)、キャリブレータのロット番号、測定時刻といった情報が含まれている。
【0083】
サーバ1は、解析結果(測定データ)を受信すると(ステップS3−13:図27参照)、その測定データを精度管理データベースDB3に蓄積する(ステップS3−14)。
また、サーバ1は、各施設に設置された多数の核酸検査システム1の核酸検出装置から送信された多数の測定データに統計処理を施す。具体的には、複数の施設に設置されたシステム2(パーソナルコンピュータ6)から送信された測定データに基づき、測定項目毎に、1日単位での平均値と標準偏差1SDを求める(ステップS3−15)。また、サーバ1は、標準偏差1SDを2倍した2SD、標準偏差1SDを3倍した3SDも求める。これらの1日単位の測定データの平均値、1SD、2SD、3SDは、サーバ1の精度管理統計データベースDB4に蓄積される。なお、精度管理統計データベースDB4には、基準器2aの測定データも蓄積される。
【0084】
また、既述のように、図21(c)(d)(e)はキャリブレータC1,C2,C3の測定データを示している。また、図22,23,24は、精度管理統計データベースDB4の内容を示している。
【0085】
さらに、サーバ1は、測定データを受信すると、ステップS3−15で算出された平均値と、1SD、2SDまたは3SDとに基づいて、検量線作成処理が正常であるか否かを判定する(ステップS3−16)。この判定は、既述の核酸検出処理における正常であるか否かの判定と同様である。
【0086】
サーバ1による統計処理結果および判定結果(QC結果)は、測定データを送信してきたシステム2のパーソナルコンピュータ6に対して送信される(ステップS3−17)。
パーソナルコンピュータ6は、QC結果(統計処理結果及び判定結果)のデータを受信すると(ステップS3−18:図25参照)、ハードディスク等の記憶手段に、QC結果を記憶する処理を行う(ステップS3−19)。
以上の処理により、核酸検出システム2は、検量線作成処理が正常であるか否かの情報を有している状態となる。
【0087】
[外部精度管理画面の閲覧処理]
図28は、パーソナルコンピュータ6(核酸検出システム2が設置されている施設に設置された端末装置又はその他の場所に設置された端末装置でもよい)において、外部精度管理結果画面(QC画面)を表示させるための処理を示している。
まず、ユーザがパーソナルコンピュータ6に対し、QC画面を表示させたい核酸検出システム2の装置IDと、表示したい外部精度管理項目(QC項目)を入力し、パーソナルコンピュータ6がこれを受け付けると(ステップS4−1)、パーソナルコンピュータ6は、サーバ1に対して、装置ID及びQC項目を送信し、QC画面の閲覧を要求する(ステップS4−2)。
サーバ1は、QC画面閲覧要求を受け付けると(ステップS4−3)、データベースDB1,DB2,DB3,DB4に蓄積された情報に基づいて、閲覧要求があった核酸検出システム2の、閲覧要求のあったQC項目についてのQC画面を作成する(ステップS4−4)。そして、サーバ1は、作成したQC画面を、閲覧要求してきたパーソナルコンピュータ5に対して送信する(ステップS4−5)。このように、サーバ1は、ネットワークを介してQC画面を外部から閲覧可能にする機能を有している。
パーソナルコンピュータ6は、QC画面を受信すると、そのQC画面をパーソナルコンピュータ6の表示装置に表示させる。これにより、ユーザは、いつでも、QC画面を確認して核酸検出システム2が信頼性のある検出を行っているか否かを確認することができる。
続いて、他の装置又は他のQC項目についてQC画面を閲覧したい場合は、上記と同様の処理を繰り返すことができ(ステップS4−8)、そうでなければ終了する。
【0088】
[QC画面]
図29〜図31は、上記の外部精度管理画面の閲覧処理において、表示されるQC画面の一例を示している。図29は、「QC項目:前処理」の場合のQC画面であり、吸光度統計データベースDB2に基づいて作成され、過去30日分の全体平均値(外部精度管理サービスの対象となっている核酸検出システムすべての平均値)に対する閲覧対象の核酸検出システム2において前処理された疑似組織の測定データ(施設データ)のズレを示している。また、図29では、全体平均値に対する基準器2aの測定データのズレも示している。
すなわち、図29のQC画面において、中央の横軸は、サービス対象となっている核酸検出システムすべての平均値を示しており、実線で示される折れ線は、QC画面閲覧要求に含まれる装置IDを有する核酸検出システムの疑似組織の測定データを示している。また、このQC画面には、1SDから3SDの範囲が示されている。施設毎に選択されている基準値(例えば、3SD)から外れた日時の測定データを示す点は、前処理が正常ではないと判断されるので、他の測定データと区別できるよう、例えば、赤色で表示(ハイライト表示)されている、また、破線で示される折れ線は、基準器2aの疑似組織の測定データを示している。
図30は、「QC項目:核酸検出処理」の場合のQC画面であり、精度管理統計データベースDB4に基づいて作成される。なお、図30(a)はCK19コントロールのCK19の立ち上がり時間のQC画面であり、図30(b)はCK19コントロールのCK19のコピー数のQC画面であり、図30(c)はCK19コントロールのアラビドの立ち上がり時間のQC画面であり、図30(d)はInternal(アラビド)コントロールのCK19の立ち上がり時間のQC画面であり、図30(e)はInternal(アラビド)コントロールのCK19のコピー数のQC画面であり、図30(f)はInternal(アラビド)コントロールのアラビドの立ち上がり時間のQC画面である。
図30のQC画面は、過去30日分の全体平均値に対する閲覧対象の核酸検出システムでのコントロール物質の測定データ(施設データ)のズレを示しており、基準器2aの測定データのズレも示している。
すなわち、図30のQC画面において、中央の横軸は、サービス対象となっている核酸検出システムすべての平均値を示しており、実線で示される折れ線は、QC画面閲覧要求に含まれる装置IDを有する核酸検出システムのコントロール物質の測定データを示している。また、このQC画面には、1SDから3SDの範囲が示されている。施設毎に選択されている基準値(例えば、3SD)から外れた日時の測定データを示す点は、核酸検出処理が正常ではないと判断されるので、他の測定データと区別できるよう、例えば、赤色で表示(ハイライト表示)されている、また、破線で示される折れ線は、基準器2aのコントロール物質の測定データを示している。
図31は、「QC項目:検量線作成処理」の場合のQC画面であり、精度管理集権データベースDB4に基づいて作成される。なお、図31(a)はキャリブレータC1のCK19立ち上がり時間のQC画面であり、図31(b)はキャリブレータC1のCK19コピー数のQC画面であり、図31(c)はキャリブレータC2のCK19立ち上がり時間のQC画面であり、図31(d)はキャリブレータC2のCK19コピー数のQC画面であり、図31(e)はキャリブレータC3のCK19の立ち上がり時間のQC画面であり、図31(f)はキャリブレータC3のCK19コピー数のQC画面である。
図31は、過去30日分の全体平均値に対する閲覧対象の核酸検出システムでのキャリブレータC1,C2,C3の測定データ(施設データ)のズレを示しており、基準器2aの測定データのズレも示している。
すなわち、図31のQC画面において、中央の横軸は、サービス対象となっている核酸検出システムすべての平均値を示しており、実線で示される折れ線は、QC画面閲覧要求に含まれる装置IDを有する核酸検出システムのキャリブレータの測定データを示している。また、このQC画面には、1SDから3SDの範囲が示されている。施設毎に選択されている基準値(例えば、3SD)から外れた日時の測定データを示す点は、核酸検出処理が正常ではないと判断されるので、他の測定データと区別できるよう、例えば、赤色で表示(ハイライト表示)されている、また、破線で示される折れ線は、基準器2aのキャリブレータの測定データを示している。
【0089】
[検体測定処理]
図32〜図34は、核酸検出システム1が、実際にリンパ節などの検体を測定する場合の処理を示している。まず、乳癌などの手術中に切除された組織(リンパ節)を検査するため、ユーザ(病院のスタッフ等)が、パーソナルコンピュータ6に検体測定の指示を入力し、パーソナルコンピュータ6がこれを受け付けると(ステップS5−1:図32参照)、まず、パーソナルコンピュータ6に記憶されている前処理のQC結果を参照して、前処理装置本体5が正常か否かを判定する(ステップS5−1)。
前処理が正常でなければ、前処理装置本体5が異常である旨のエラー表示を行い、システム2による測定を行うことなく終了する(ステップS5−3)。ただし、前処理装置本体5ではなく、手動で前処理(ホモジナイズ)して十分に信頼できる場合には、核酸検出装置本体101での測定を許可すべきであるため、ユーザが、手動前処理(手動ホモジナイズ)による測定である旨をパーソナルコンピュータ6に入力すると、パーソナルコンピュータ6は、核酸検出装置本体101での核酸検出処理が正常及び必要であれば検量線作成処理が正常であれば、前処理装置本体5には後述の図33の前処理を行わせないで、後述の図34の核酸検出装置本体101での処理を行わせる。
【0090】
パーソナルコンピュータ6は、前処理装置本体5が正常であっても、核酸検出処理及び必要に応じて検量線作成処理が異常であれば、測定不可エラー表示を行い、システム2による測定を行うことなく終了する(ステップS5−5)。
一方、前処理装置本体5が正常であって、核酸検出装置本体101の核酸検出処理が正常及び必要であれば検量線作成処理も正常であれば(ステップS5−4)、核酸検出システム2全体が正常であると判断し、前処理装置本体5に対し、検体の測定開始指示の信号を送信する(ステップS5−6)。
【0091】
前処理装置本体5は、検体の測定開始指示の信号を受信すると(ステップS5−7:図33参照)、検体に対する前処理用試薬添加処理(ステップS5−8)、ホモジナイズ処理(ステップS5−9)を行い、測定用検体を作成する。作成された測定用検体は、前処理装置本体5から核酸検出装置本体101へ移送される(ステップS5−10)。
核酸検出装置本体101は、測定用検体(サンプル)が前処理装置本体5から移送されてきたことを検出すると(ステップS5−11)、サンプルにプライマ試薬分注処理(ステップS5−12)、酵素試薬分注処理(ステップS5−13)、アラビド溶液分注処理(ステップS5−14)、検体(サンプル)分注処理(ステップS5−15)が行われ、加温により増幅反応をさせつつ検出処理が行われ(ステップS5−16)、サンプルの光学情報が得られる。
そして、核酸検出装置本体101は、得られた光学情報を、データ処理装置6に送信する(ステップS5−16)。
【0092】
データ処理装置6は、光学情報を受信すると(ステップS5−18:図32参照)、CK19の増幅立ち上がり時間を算出するとともに、アラビドの立ち上がり時間と予め作成された検量線に基づいてCK19増幅立ち上がり時間から標的遺伝子の量(コピー数)を算出する解析処理をおこなう
算出された標的遺伝子の量のデータ(測定データ)は、データ処理装置6の表示装置又はその他の表示装置によって、画面表示される。また、データ処理装置6は、測定データ(CK19の増幅立ち上がり時間、コピー数)に基づき、図8に示すような、診断支援のための定性的な判定結果を求め、データ処理装置の表示装置又はその他の表示装置によって画面表示する。
【0093】
術中の医師は、表示結果に基づき、迅速に診断を行い、郭清範囲を決定することができる。しかも、パーソナルコンピュータ(データ処理装置;制御装置)6は、システム2の各処理が外部精度管理において正常と判断される場合でなければ、システム2による測定を行わせないため、システム2の測定結果は信頼性が高いものとなっている。
さらに、システム2の外部精度管理がオンラインで行われているため、外部精度管理自体を迅速に行うことができ、術中診断のように迅速性が求められる場合であっても、迅速かつ信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、核酸検出システム2は、前処理装置本体5の前処理部50を有していなくてもよい。すなわち、システム2中、前処理部50を省略し、前処理した検体の吸光度を測定する測定部51、核酸検出装置本体101、及びデータ処理部6を備えたシステム2としておき、手動で前処理した検体を、測定部51において測定するようにしてもよい。
あるいは、前処理装置本体5全体を省略し、手動で前処理した検体の吸光度を核酸検出装置本体101の検出部62を用いて測定してもよい。このように、核酸検出装置本体101における外部精度管理処理として、前処理した検体の測定と、コントロール溶液の測定の両方を行える構成とする場合には、両測定を切り替える機能を核酸検出装置本体101に具備させるのが好ましい。
【0095】
上記のように前処理部50を省略した場合、前処理の精度管理結果によって、どの程度の前処理(ホモジナイズ)が必要であるかを、ユーザが認識できるので、精度管理結果が正常であれば、検体の前処理においても、前処理用疑似組織のホモジナイズと同様にホモジナイズすれば良いことがわかる。
【0096】
また、前処理装置の前処理部50としては、実施形態として開示したものに限らず、特表2001−518284号公報記載の方法を実行する装置を用いても良い。
さらに、上記実施形態では、前処理装置本体5と核酸検出装置本体101は、データ処理装置6を介してネットワークに接続されていたが、それぞれがネットワークに接続されていてもよい。また、前処理装置本体5と核酸検出装置本体101は、一体的に構成されている必要はなく、それぞれ別体の装置であってもよい。両装置本体5,101を別体の装置として構成する場合、前処理装置本体5から検出装置101への検体の移動は、手動で行ってもよいし、別途移動用の機構を設けても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、前処理装置本体5及び核酸検出装置本体101は、それぞれデータ処理装置6に接続されていたが、前処理装置本体5は核酸検出装置本体101に接続され、核酸検出装置本体101がデータ処理装置6に接続されていてもよい。この場合、前処理装置本体5とデータ処理装置6との間のデータ送受信は、核酸検出装置本体101を介して行われる。
【0098】
さらにまた、前処理装置本体5の測定部51を省略してもよい。この場合、前処理部50で前処理した検体の吸光度を核酸検出装置本体101の検出部62を用いて測定することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、前処理装置本体5及び核酸検出装置本体101は、それぞれデータ処理装置6に接続されていたが、データ処理装置6の機能を前処理装置本体5に組み込んでこれらを一体化してもよいし、データ処理装置6の機能を核酸検出装置本体101に組み込んでこれらを一体化してもよいし、前処理装置本体、核酸検出装置本体101及びデータ処理装置6を一体化してもよい。
また、上記実施形態では、CK19コントロールおよびアラビドコントロールを用いているが、アラビドコントロールを省略してもよい。
また、上記実施形態では、前処理用精度管理検体と核酸検出用精度管理検体とで、別々の精度管理検体を用いているが、前処理用と核酸検出用とで共通の精度管理検体を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】外部精度管理システムの全体構成図である。
【図2】核酸検出システムの全体構成図である。
【図3】前処理装置の概略構成図である。
【図4】核酸検出装置の斜視図である。
【図5】核酸検出装置の平面図である。
【図6】増幅立ち上がり時間と濃度の関係を示すグラフである。
【図7】増幅立ち上がり時間と標的遺伝子コピー数の関係を示す検量線が描かれたグラフである。
【図8】コピー数と判定結果との対応関係図である。
【図9】外部精度管理コンピュータ(サーバ)の構成図である。
【図10】パーソナルコンピュータ6での前処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図11】前処理装置本体5での前処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図12】サーバ1での前処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図13】パーソナルコンピュータ6からサーバ1に送信される吸光度測定データの内容を示す図である。
【図14】吸光度データベースDB1の内容を示す図である。
【図15】吸光度統計データベースDB2の内容を示す図である。
【図16】パーソナルコンピュータ6での核酸検出処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図17】核酸検出装置本体101での核酸検出処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図18】サーバ1での核酸検出処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図19】パーソナルコンピュータ6からサーバ1に送信される測定データの内容を示す図である。
【図20】精度管理データベースDB3の内容(コントロール溶液の測定データ)を示す図である。
【図21】精度管理データベースDB3の内容(キャリブレータの測定データ)を示す図である。
【図22】精度管理統計データベースDB4の内容を示す図である。
【図23】精度管理統計データベースDB4の内容を示す図である。
【図24】精度管理統計データベースDB4の内容を示す図である。
【図25】パーソナルコンピュータ6での検量線作成処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図26】核酸検出装置での検量線作成処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図27】サーバ1での検量線作成処理の精度管理処理を示すフローチャートである。
【図28】QC画面閲覧処理を示すフローチャートである。
【図29】前処理のQC画面例を示す図である。
【図30】核酸検出処理のQC画面例を示す図である。
【図31】検量線作成処理のQC画面例を示す図である。
【図32】パーソナルコンピュータ6での検体測定処理を示すフローチャートである。
【図33】前処理装置での検体測定処理を示すフローチャートである。
【図34】核酸検出装置での検体測定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 外部精度管理コンピュータ(サーバ)
2 核酸検出システム
5 前処理装置
6 データ処理装置
101 核酸検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して標的核酸を検出するために用いられる測定用検体を得る複数の前処理装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、前記前処理の外部精度管理をする方法であって、
前記前処理装置が、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して測定用精度管理検体を得るステップ、
前記前処理装置が、前記測定用精度管理検体を測定して測定データを得るステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、前記前処理装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含むことを特徴とする前処理の外部精度管理方法。
【請求項2】
検体から測定用検体を得るための前処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、
既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含む処理を行う前処理の外部精度管理方法。
【請求項3】
前記前処理用精度管理検体は、既知量の核酸又は細胞と、前記核酸又は細胞を保持することのできる保持体と、を有する疑似組織である請求項1又は2記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項4】
前記外部精度管理コンピュータが、前記外部精度管理処理の結果を閲覧可能な状態にするステップ、を含む請求項1〜3のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項5】
前記前処理は、前記前処理用精度管理検体をホモジナイズする処理を含む請求項1〜4のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項6】
前記前処理は、前記前処理用精度管理検体から核酸を抽出する処理を含む請求項1〜5のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項7】
前記測定データは、前記測定用精度管理検体に光を照射することによって得られる光学
情報を解析することによって得られる請求項1〜6のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項8】
前記測定データは、前記測定用精度管理検体に含まれる核酸の量を反映するデータである請求項1〜7のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項9】
前記外部精度管理処理は、外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信した測定データと過去受信して蓄積されている測定データとに基づく統計処理を含む請求項1〜8のいずれかに記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項10】
外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う複数の核酸検出装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、核酸検出処理の外部精度管理をする方法であって、
前記核酸検出装置が、核酸検出用精度管理検体を測定して測定データを得るステップ、
前記外部精度管埋コンピュータが、前記核酸検出装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含むことを特徴とする核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項11】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の前記検出処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、
前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含むことを特徴とする核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項12】
前記外部精度管理コンピュータが、前記外部精度管理処理の結果を閲覧可能な状態にするステップ、を含む請求項10又は11記載の前処理の外部精度管理方法。
【請求項13】
前記測定データは、前記核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸の量に関するデータである請求項10〜12のいずれかに記載の核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項14】
前記測定データは、前記標的核酸を増幅させる増幅処理を前記核酸検出用精度管理検体に施したときに、前記核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸が所定の量になるまでの時間に関する時間データである請求項10〜13のいずれかに記載の核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項15】
前記外部精度管理処理は、外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信した測定データと過去受信して蓄積されている測定データとに基づく統計処理を含む請求項10〜14のいずれかに記載の核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項16】
前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して測定データを受信するステップは、
既知量の標的核酸を含む第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる測定データと、
既知量の内部標準核酸を含む第2核酸検出用精度管理物質を測定することによって得られる測定データと、を受信するステップを含み、
外部精度管理処理を行うステップでは、第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる測定データ及び第2核酸検出用精度管理物質を測定することによって得られる測定データのそれぞれについて外部精度管理処理が行われる請求項10〜15のいずれかに記載の核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項17】
前記第1核酸検出用精度管理物質は、既知量の標的核酸を含むとともに内部標準核酸を含まず、
前記第2核酸検出用精度管理物質は、既知量の内部標準核酸を含むとともに標的核酸を含まず、
前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して測定データを受信するステップは、
第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、標的核酸に関する第1測定データと、
第2核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、内部標準物質に関する第2測定データと、
第1核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、内部標準核酸に関する第3測定データと、
第2核酸検出用精度管理物質を測定して得られる、標的核酸に関する第4測定データと、
を受信するステップを含み、
外部精度管理処理を行うステップでは、第1測定データ、第2測定データ、第3測定データ、第4測定データのそれぞれについて外部精度管理処理が行われる請求項16に記載の核酸検出処理の外部精度管理方法。
【請求項18】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、
既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、前記外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップと、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定用管理検体の測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定用管理検体の測定データに基づき前処理の外部精度管理処理を行うステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した核酸検出用精度管理検体の測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された核酸検出用精度管理検体の測定データに基づき核酸検出処理の外部精度管理処理を行うステップ、
を含むことを特徴とする核酸検出装置の外部精度管理方法。
【請求項19】
外部精度管理処理によって前記前処理及び/又は前記核酸検出処理が異常であると判定されると、前記外部精度管理コンピュータが、前記前処理及び/又は前記核酸検出処理が異常であることを示す情報を、ネットワークを介して外部へ送信するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の核酸検出装置の外部精度管理方法。
【請求項20】
外部精度管理コンピュータと、検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う複数の核酸検出装置とが、ネットワークを介して接続された外部精度管理システムにおいて、検量線作成処理の外部精度管理をする方法であって、
標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して測定データを得るステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、前記核酸検出装置からネットワークを介して前記測定データを受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含む検量線作成処理の外部精度管理方法。
【請求項21】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の検量線作成処理を、外部精度管理コンピュータによって外部精度管理する方法であって、
標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して得られた測定データを外部精度管理コンピュータがネットワークを介して受信するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、受信した測定データを記憶手段に蓄積するステップ、
前記外部精度管理コンピュータが、蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行うステップ、
を含む検量線作成処理の外部精度管理方法。
【請求項22】
検体から測定用検体を得るための前処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータであって、
既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して得た測定用管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、
受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、
蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、
を備えている前処理の外部精度管理コンピュータ。
【請求項23】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の前記検出処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータであって、
前記核酸検出装置によって測定された核酸検出用精度管理検体の測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、
受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、
蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、
を備えている核酸検出処理の外部精度管理コンピュータ。
【請求項24】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置の検量線作成処理を、外部精度管理するためにネットワークに接続される外部精度管理コンピュータであって、
標的核酸の増幅処理によって前記標的核酸が所定の量になるまでの時間データを前記標的核酸の量を示すデータに換算するための検量線を作成するために用いられるとともに既知量の前記標的核酸を含むキャリブレータを、前記核酸検出装置が測定して得られた測定データを、ネットワークを介して受信する手段と、
受信した測定データを記憶手段に蓄積する手段と、
蓄積された測定データに基づき外部精度管理処理を行う手段と、
を備えている検量線作成処理の外部精度管理コンピュータ。
【請求項25】
検体に前処理を施して標的核酸を検出するために用いられる測定用検体を得る前処理装置であって、
前記検体に前記前処理を施すことによって測定用検体を得ることができるとともに、既知量の核酸又は細胞を含む前処理用精度管理検体に前処理を施して測定用精度管理検体を得ることができる前処理部と、
前記測定用精度管理検体を測定して測定データを得る測定データ取得手段と、
前記測定用精度管理検体に関する測定データを装置外部へ送信するための送信部と、
を備えている前処理装置。
【請求項26】
検体に前処理を施して得られた測定用検体に含まれる標的核酸の検出処理を行う核酸検出装置であって、
前記測定用検体に含まれる標的核酸を検出して検体測定データを得ることができるとともに、核酸検出用精度管理検体に含まれる標的核酸を検出して精度管理測定データを得ることができる測定データ取得部と、
前記測定データ取得部によって取得された精度管理測定データを装置外部へ送信するための送信部と、
を備えている核酸検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−34604(P2007−34604A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215937(P2005−215937)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】