説明

前処理手段および廃液貯留部を有する生体物質検査用マイクロリアクタ

【課題】
前処理手段を有し、多項目同時検査を高い信頼性で可能とする生体物質検査用マイクロリアクタおよび検査デバイスを提供すること。
【解決手段】
本発明の生体物質検査デバイスは、試薬類・送液系用のエレメントを搭載した、検体ごとのチップコンポーネントと、検査デバイス本体として、制御・検出コンポーネントとを別個にするシステム構成である。検体中の分析対象物質を濃縮する前処理工程を行う検体前処理部を有するため、希薄試料であっても該物質を濃縮することができ、同時に反応を妨害する有害物質、流路の目詰まりを起こす夾雑物を除外する。また、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールも同時に分析できる流路構成を有する。したがって、微量分析、増幅反応に対し、クロス・コンタミネーション、キャリーオーバー・コンタミネーションといった深刻な問題が生じにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理手段および廃液貯留部を有する生体物質検査用マイクロリアクタおよびこのマイクロリアクタを含む生体物質検査デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、セ
ンサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている。これは、
μ−TAS(Micro total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab-on-chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製
造分野でその応用が期待されている。とりわけ遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
【0003】
臨床検査を始めとする各種検査を行う現場では、場所を選ばず迅速に結果を出すこれらの分析用チップにおける測定においても、その定量性、解析の精度などが重要視される。分析チップではそのサイズ、形態の点から厳しい制約があるため、シンプルな構成で、高い信頼性の送液システムを確立することが課題となる。そのため精度が高く、信頼性に優れるマイクロ流体制御素子が求められている。これに好適なマイクロポンプシステムを本発明者らはすでに提案している(特許文献1および2)。
【0004】
チップ上で検査などを行うために、試料の必要量を極少の量とし、必要とされる試薬量も少なくて済む分析の微量化を図ることは、マイクロリアクタに求められる最大課題である。ところが試料によっては、検出対象(アナライト)の濃度が希薄であることがある。チップに導入できる検体量も限られていることから、そうした検体量では測定可能な範囲内に収まらない。したがって、チップに導入する前に予備的な濃縮または分離の操作が必要となってくる。あるいは微量の反応生成物を高感度でしかも簡便に検出、または定量できる機構をチップに搭載することが必要とされる。そのため遺伝子の検出では、PCR(polymerase chain reaction)法による増幅反応を利用するのが通例である。血液などの
生体液を試料とする場合、そのまま検体として分析に供することができないことが多く、通常は何らかの前処理を加えることが要求されることも多い。
【0005】
さらに多数の測定検体、例えば臨床系の検体をルーチン処理する作業者は、ウィルス、細菌などの病原菌に感染する危険に常に曝されている。さらに測定後の検体、廃液についても環境汚染の防止から適切な配慮が求められる。こうした理由から、マイクロリアクタであるチップに対して、ディスポーサブルであることが望まれ、製造コストなどの問題点を克服する必要がある。マイクロリアクタの廉価化を図るためにも多用途対応型、多項目同時測定型とすることが望まれている。
【0006】
このように簡便かつ迅速な検査手段を提供するマイクロリアクタには、実用上依然として解決すべき具体的な問題、要望が提起され、その解決が望まれている。
【特許文献1】特開2001-322099号公報
【特許文献2】特開2004-108285号公報
【非特許文献1】「DNAチップ技術とその応用」、「蛋白質 核酸 酵素」43巻、13号(1998年)君塚房夫、加藤郁之進、共立出版(株)発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の実状に鑑みてなされた本発明は、微量の試料であっても前処理手段および廃液溜りを有するチップにより、高感度の分析を可能とする生体物質検査用マイクロリアクタを提案する。しかも感染および汚染の危険の少ない分析ツールとするために、そのマイクロリアクタは、ディスポーサルタイプとしている。さらに本発明はシンプルな構成と高精度の送液システムを組み込み、しかも精度の高い分析を少なくとも1以上の項目について可能とする生体物質検査デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
検体収容部、試薬収容部、検体前処理部、廃液貯留部、マイクロポンプ接続部および微細流路を有しており、
該検体収容部から検体液を該検体前処理部に送り、該検体前処理部の前処理手段を用いて検体液を前処理することにより、測定対象の生体物質を濃縮し、該物質を該微細流路の下流に設けられた、反応部位を構成する流路、次いで検出部位を構成する流路へ流して測定するとともに、
検体の濃縮および測定の結果、生じる廃液を該廃液貯留部へ移して閉じ込めることを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタである。
【0009】
前記生体物質検査用マイクロリアクタは、前記微細流路が少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、濃縮後の前記検体液を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
【0010】
前記マイクロポンプは、好ましくは
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプである。
【0011】
前記送液分割手段は、
分岐した微細流路、
正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を制御することが望ましい。
【0012】
前記前処理手段は、前記生体物質または細菌もしくはウィルスを選択的に吸着するフィルター、ビーズまたはメンブレンであってもよい。
前記生体物質を吸着するフィルターが、好ましくはDNAをトラップするフィルターであ
る。
【0013】
前記廃液貯留部は、マイクロリアクタの底部に設けられ、少なくとも前記検体前処理部および前記検出部位の端部と連通した中空室であり、余分な検体、検体の濃縮工程で生成
した洗浄液、廃液、および検体の測定の結果、生じる廃液などを収容する廃液溜りであることを特徴としている。
【0014】
さらに、検体に含有されている生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよび温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な生体物質検査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイスも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の生体物質検査デバイスは、試薬類・送液系用のエレメントを搭載した、検体ごとのマイクロリアクタなるチップ・コンポーネント、デバイス本体である制御・検出コンポーネントとを別個にするシステム構成である。よって微量分析、増幅反応に対し、クロス・コンタミネーション、キャリーオーバー・コンタミネーションが生じにくい。
【0016】
マイクロリアクタのチップでは検体を導入できる容量がきわめて限られているために、目的の物質または菌の濃度が薄いとこれを捕捉することが困難となる。本発明のマイクロリアクタの構成によれば、検体中の分析対象物質を濃縮することが可能な検体前処理部を有するため、吸着フィルター越しに大量の検体液を流してフィルター内で濃縮することができる。したがって希薄試料でも該物質を濃縮することができ、同時に反応を妨害する有害物質、流路の目詰まりを起こす夾雑物を除外することもできる。
【0017】
本発明のマイクロリアクタは、反応阻害、コンタミネーション、バックグラウンドの上昇などによる影響を排除するために、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールも同時に分析できる流路構成を有する。このようなマイクロリアクタにより、超微量の検体量であっても、信頼性の高い高精度の分析を実現する。
【0018】
本発明のマイクロリアクタは、材料および構成要素を含めて大量生産に向く構成であり、しかも検出に使用するプローブ、試薬が容易に入手できるものであるために、低コストで製造できる。本発明の生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタは、多項目の同時測定も可能であり、かつ、多目的化に対応する汎用性がある。
[発明の詳細な説明]
以下、本発明の生体物質検査用マイクロリアクタおよびこのマイクロリアクタとマイクロポンプ、各種制御装置、検出装置とからなる生体物質検査デバイスについて説明する。なお本明細書において、「遺伝子」とは、何らかの機能を発現する遺伝情報を担うDNAまたはRNAをいうが、単に化学的実体であるDNA、RNAの形でいうこともある。「エレメント」とは、マイクロリアクタに設置される機能部品をいう。分析対象の物質を「アナライト」ということもある。「微細流路」は、本発明のマイクロリアクタに形成された流路のことである。
マイクロリアクタおよび生体物質検査デバイスの概要
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタは、検体収容部、試薬収容部、検体前処理部、廃液貯留部、マイクロポンプ接続部および微細流路を有しており、
該検体収容部から検体液を該検体前処理部に送り、該検体前処理部の前処理手段を用いて検体液を前処理することにより、測定対象の生体物質を濃縮し、該物質を該微細流路の下流に設けられた、反応部位を構成する流路、次いで検出部位を構成する流路へ流して測定するとともに、
検体の濃縮および測定の結果、生じる廃液を該廃液貯留部へ移して閉じ込めることを特徴とするマイクロリアクタである。
【0019】
さらに、前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポン
プおよび送液分割手段により、濃縮後の前記検体液を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
【0020】
図1は、装置本体に脱着可能な生体物質検査用マイクロリアクタと装置本体とからなる生体物質検査デバイス(「生体物質検査装置」ともいう)の一実施形態における概略図、図2は、本発明の一実施形態における前記マイクロリアクタの概略図である。本発明は、種々の実施の形態において、本発明の趣旨に沿って任意の変形、変更が可能であり、それらは本発明に含まれる。すなわち、本発明のマイクロリアクタおよび検査装置の全体または一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
【0021】
図1および2に示したマイクロリアクタ1は、プラスチック樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどの1以上の部材を適宜組み合わせて作製される一枚のチップである。好ましくは、マイクロリアクタの微細流路および躯体は、加工成型が容易で安価であり、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂で形成される。なかでもポリスチレン樹脂は成型性に優れ、後述するようにストレプトアビジンなどを吸着する傾向が強く、微細流路上に検出部位を容易に形成することができるために望ましい。微細流路は、例えば幅100μm、深さ100μm程度に形成される。また、そうしたマイクロリアクタにおいて、蛍光物質または呈色反応の生成物などを光学的に検出するために、マイクロリアクタ表面のうち少なくとも微細流路の検出部位を覆うその検出部分は透明である部材、好ましくは透明なプラスチックとなっていることが必要である。
【0022】
図2は、本発明のマイクロリアクタの典型的な流路構成の一例を示すものである。図2の流路および送液エレメントの配置では、最上流部の試薬収容部18および試薬分割への流路15から、基本的に3本の分析流路(3つの流路に分岐してからそれぞれ廃液貯留部23まで至る流路であり、このような基本的微細流路を、以下において「分析流路」ともいう)へ試薬が流れるように構成されている。左側の分析流路は、検体の分析のための流路であり、図2では1項目の分析に対応する。中央の分析流路は、ポジティブコントロール用の流路、右側の分析流路は、ネガティブコントロール用の流路である。図2では、検体分析用の流路は1本となっているが、多項目分析のためには、少なくとも2本以上の分析流路が検体分析用に形成される必要がある。その本数は、分析の項目数のみならずチップのサイズ、布置されるエレメントの個数と配置によっても制限される。
【0023】
本発明の生体物質検査デバイスは、マイクロポンプ、マイクロポンプを制御する制御装置、温度を制御する温度制御装置および検出装置などが一体化された装置本体2と、この装置本体2に装着可能なマイクロリアクタ1とからなる。予め試薬が封入されたマイクロリアクタ1の検体収容部に検体液を注入して、そのマイクロリアクタを生体物質検査デバイスの本体2に装着すると、送液ポンプを作動させるための機構的連結、必要であれば制御用の電気的接続もなされる。したがって本体とこの上記マイクロリアクタとを接合させると、マイクロリアクタの流路も作動状態となる。好ましくは分析が開始されると、検体および試薬類の送液、混合に基づく遺伝子増幅、アナライトとプローブとの結合などの反応、反応物の検出および光学的測定が、一連の連続的工程として自動的に実施され、測定データが、必要な条件、記録事項とともにファイル内に格納され、生体物質の測定が自動的に行われる。
【0024】
前記検出装置とは、検査項目ごとの分析流路上の検出部位に対して、例えばLEDなどから測定光を照射し、フォトダイオード、光電子増倍管などの光学的検出の手段で透過光
もしくは反射光を検出する装置である。光学的検出の手段として、原理を異にする各種の光学装置があるが、紫外・可視分光光度計が望ましい。上記検査デバイスに組み込んだ装置であってもよく、あるいは別途の装置として、使用時に連結する態様であってもよい。好ましくは、本発明の生体物質検査デバイスは、検体に含有されている生体物質の検出を光学的に行う検出装置が、上記マイクロポンプを含む送液手段および温度制御装置とともに組み込まれ、一体化した構成となっている。
【0025】
送液、温度、反応の各制御に関わる制御系、光学的検出、データの収集および処理を受け持つユニットは、マイクロポンプおよび光学装置とともに本発明の生体物質検査デバイスの本体を構成する。このデバイス本体は、これに上記チップを装着することにより検体サンプルに対して共通で使用される。上記の増幅などの反応および検出は、送液順序、容量、タイミングなどについて予め設定された条件として、マイクロポンプおよび温度の制御、光学的検出のデータ処理とともにプログラムとして生体物質検査デバイスに搭載されたソフトウェアに組みこまれている。従来の分析チップでは、異なる分析または合成などを行う場合には、変更される内容に対応するマイクロ流体デバイスをその都度構成する必要があった。これとは異なり、本発明では脱着可能な上記チップのみ交換すればよい。各エレメントの制御変更も必要となる場合には、装置本体に格納された制御プログラムを適宜改変すればよい。
【0026】
本発明の生体物質検査デバイスは、いずれのコンポーネントも小型化され、持ち運びに便利な形態としているために、使用する場所および時間に制約されず、作業性、操作性が良好である。場所、時間を問わず迅速に測定することができるために、緊急医療での利用や、在宅医療での個人的な利用も可能である。送液に使用する多数のマイクロポンプユニットが装置本体側に組み込まれているので、チップはディスポーサブルタイプとして使用できる。
【0027】
本発明のマイクロリアクタおよび生体物質検査デバイスは、特に遺伝子または核酸の検査に好適に用いることができる。以下の明細書では、これらを遺伝子検査の場合を例に挙げながら述べる。その場合、PCR増幅のための機構がマイクロリアクタ上に搭載される。しかし、遺伝子以外の生体物質についても基本的な構成は、ほぼ同一になるといえる。通常は検体前処理部、試薬類、プローブ類などを変更すればよく、その場合、送液エレメントの配置、数などは変化するであろう。当業者であれば、例えばイムノアッセイ法のために必要な試薬類などをマイクロリアクタ上に搭載し、若干の流路エレメントの変更、仕様の変更を含む修正を施すことにより、分析の種類を容易に変更することができる。ここにいう遺伝子以外の生体物質とは、各種の代謝物質、ホルモン、タンパク質(酵素、抗原なども含む)などをいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタとして好ましい態様は、
一つのチップ内において、
検体もしくは検体から抽出したアナライト物質(例えばDNA)が注入される検体収容部と、
検体の前処理を行う検体前処理部、
プローブ結合反応、検出反応(遺伝子増幅反応または抗原抗体反応なども含む)などに用いる試薬が収容される試薬収容部と、
ポジティブコントロールが収容されるポジティブコントロール収容部と、
ネガティブコントロールが収容されるネガティブコントロール収容部と、
プローブ(例えば、遺伝子増幅反応により増幅された検出対象の遺伝子にハイブリダイズさせるプローブ)が収容されるプローブ収容部と、
これらの各収容部に連通する微細流路と、
前記各収容部および流路内の液体を送液する別途のマイクロポンプに接続可能なポンプ接続部と、
廃液貯留部とが設けられ、
前記チップにポンプ接続部を介してマイクロポンプを接続し、検体収容部に収容された検体もしくは検体から抽出した生体物質(例えばDNAまたはそれ以外の生体物質)と、試薬収容部に収容された試薬とを流路へ送液し、微細流路の反応部位、例えば遺伝子増幅反応(タンパク質の場合、抗原抗体反応など)の部位で混合して反応させた後、その下流側流路にある検出部へこの反応液を処理した処理液と、プローブ収容部に収容されたプローブとを送液し、流路内で混合してプローブと結合(またはハイブリダイゼーション)させ、この反応生成物に基づいて生体物質の検出を行い、
ポジティブコントロール収容部に収容されたポジティブコントロールおよびネガティブコントロール収容部に収容されたネガティブコントロールについても同様に上記反応および検出を行うとともに、
上記検体前処理部および検出部位と貫通孔を介して連通しており、マイクロリアクタの底部に設けられた中空室であり、余分な検体、検体の濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、および検体の測定の結果、生じる廃液などを収容する密閉廃液溜りである廃液貯留部を有するように構成されていることを特徴としている。
【0029】
本発明のマイクロリアクタには、各収容部、流路、ポンプ接続部、送液制御部、逆流防止部、試薬定量部、混合部、廃液貯留部などの各エレメントが、機能的に適当な位置に微細加工技術により設置されている。遺伝子検査用のマイクロリアクタ・チップには、さらに必要であれば逆転写酵素収容部を設置してもよい。
【0030】
血液などの検体をマイクロリアクタの検体収容部に注入してチップ内で検体前処理を行った後に、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、所定の反応(例えば、遺伝子検査の場合には遺伝子増幅反応)およびその検出に必要な処理を自動的に行い、多項目について同時に、かつ短時間でアナライトの検査ができるように構成されている。あるいは装置本体に該マイクロリアクタを装着した後に、検体前処理を行う手順であってもよい。
検体収容部
本発明のマイクロリアクタの検体収容部20は、図4および5に示されるような構成を有する。検体収容部20は、検体注入部に連通し検体の一時収容および混合部への検体供給を行う。検体収容部20に注入された検体は、マイクロポンプ11およびポンプ接続部12と接続しており、これらの作用により、検体前処理部20aへ送液される。検体前処
理部20aでは、検体処理液収容部20bから送られてくる処理液で前処理される。この
ような検体前処理部20aは必要に応じて布置されるものである。好ましい検体前処理と
して、分析対象物質(アナライト)の分離または濃縮、除タンパクなどが含まれる。したがって検体前処理部20aは、分離フィルター、吸着用樹脂、ビーズなどを含んでもよい

【0031】
次いで、前処理された検体は、必要であれば上記の送液分割手段により、2以上の検体分析用の微細流路に分割されて、連通する下流の分析流路へ送液される。分割された検体は、図4に示すサンプルポート19から、試薬類が流れる微細流路へ入って合流する。この場合、検体を3以上の分析流路に流すように送液を分割して試薬類と合流させるためには、検体が流れ出るポートと合流される分析流路とは、高さを相違させる必要が生じる。このような位置関係となる理由は次の通りである。
【0032】
図4に示す、検体収容部20、検体前処理部20aなどのエレメント類は、好ましくは
、図2に示されるように検体分析のための分析流路(左側の微細流路)上、試薬収容部18よりも下流側の位置に配置される。すなわち、図2において、検体の測定項目が、1つ
の場合には、図示されるように、検体収容部20および検体貯留部17bが1つあればよい。これに対し、2以上の測定項目がある場合には、上記のように検体を測定項目数に応じて分割し、それぞれの分析流路へ合流させる必要があるため、上記エレメント類は、複数の分析流路上の適当な位置(直上でなくともよい)に配置される。その位置関係は、例えば図5および図6にも示されている。測定項目が3つ以上であって、検体を3つ以上の分析流路に流すように検体液を分割して試薬類と合流させるためには、検体と試薬とが合流する前に、ポート19からの検体が流れる流路は、試薬の流れる流路と、それら両流路の液が合流することなく、上下で交差しなければならない。なお、図示されるように、特に検体前処理部20aをも設置するときには、不要な液を廃液貯留部23に捨てるため、
検体前処理部20aを検体収容部20より下位に置くほうが好都合である。測定項目が2
つであって、検体液を2つの分析流路に流すように分割する場合には、図6に示すようにその2つの分析流路の間に検体収容部20、サンプルポート19などを配置すればよい。
【0033】
また検体収容部の上面で検体を注入する部分(検体注入部)は、外部への漏失、感染および汚染を防ぎ、密封性を確保するために、ゴム状材質などの弾性体からなる栓が形成されているか、あるいはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの樹脂、強化フィルムで覆われていることが望ましい。例えば、当該ゴム材質の栓を突き刺したニードルまたは蓋付き細孔を通したニードルでシリンジ内の検体を注入する。前者の場合、ニードルを抜くとその針穴が直ちに塞がることが好ましい。あるいは他の検体注入機構を設置してもよい。
・検体
本発明の測定対象となる検体は、生体由来のアナライト含有試料である。試料自体にも特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、バフィーコート、尿、糞便、唾液、喀痰など生体由来のほとんどの試料が該当する。遺伝子検査の場合、増幅反応の鋳型となる核酸として遺伝子、DNAまたはRNAがアナライトである。検体は、このような核酸を含む可能性のある試料から調製または単離したものであってよい。したがって、上記の試料の他に、細胞培養物;ウィルス、細菌、カビ、酵母、植物、動物などの核酸含有試料;微生物などが混入または含有する可能性のある試料、その他核酸が含有されている可能性のあるあらゆる試料などが対象となる。そのような試料から遺伝子、DNAまたはRNAを調製する方法は、特に限定されず、従来技術を使用することができる。DNAは、試料から常法に従い、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により、分離精製できる。遺伝子以外の生体物質を含む検体の処理などについても、従来技術を適用して必要に応じ行なわれる。
【0034】
本発明のマイクロリアクタは、従来の装置を使用して行う手作業の場合に比べて、必要とされる検体量は極めて少ない。例えば、縦横の長さが数cmのチップに2〜3μL程度
の血液検体を注入するだけである。例えば、遺伝子の場合、DNAとして0.001〜100ngである。このため、微量の検体しか得られない場合も含めて、本発明のマイクロリアクタは、検体面からの制約は少なく、必然的に試薬類も少ない量で済み、検査コストの低減となる。
検体前処理部
一般に、血液、尿などの生体試料は、試料に含まれる不要成分(タンパク質やイオン性物質など)を除去するために、分析に先立って検体の前処理が必要とすることが通例である。マイクロリアクタにおいても、搭載された分析システムが優れた性能を発揮できるのは、検体が標準品のような理想的な状態にある場合に限られることも往々にしてあり、検体前処理が適切に行われているかが分析の成否を左右することも多い。しかし検体の前処理自体が煩雑な工程であり、しかも適切に実施するのにも技術と経験が必要とされるのが現状である。特に臨床現場からの試料は、ウィルス、細菌などの感染、汚染の危険性を常に内包している。そうした検体の前処理もまた、分析・検出を行う同一のチップにおいて安全に実施でき、測定可能である検体を迅速かつ自動的に調製できれば、このような態様
でチップ化することの意義は極めて大きい。
【0035】
検体前処理部20aは、分析対象物質(アナライト)の濃縮、分離、溶菌等を行う部分
であり、血液試料の場合には必要であれば血球またはリンパ球を分離する作用を担わせてもよい。前処理法は、通常、試料の種類、目的物質の種類・存在濃度、妨害物質の有無などによって、ケースバイケースとなる。そこで本発明のマイクロリアクタでは、検体および分析の点から必要に応じた前処理を実施するための前処理部20aを設けている。これ
に連通する検体処理液収容部20bには、溶菌試薬、溶血試薬、抽出液、変性液、洗浄液、溶離液などが前処理の内容に応じて封入されている。
・検体の前処理
検体の前処理は、試料の種類、性状、または分析対象である物質の種類、濃度などによって必要な処理が変わることから、その内容はまちまちである。例えば微細流路の目詰まりを防止するため、不溶性の夾雑物を除去する必要がある。分析のための反応を阻害する物質、一緒に反応してしまう物質なども予め除去することが望ましい。さらに、検出に先立ち、予め目的物質を濃縮、分離することも望ましい。検体によっては、検出対象の物質濃度が極めて希薄である。そうした場合、マイクロリアクタに導入できる検体量(数cm四方のチップで、数μL)も限られていることから、そのままでは測定可能な範囲内に収
まらない。したがって、目的物質の予備的な濃縮または分離の操作が必要となってくる。
【0036】
前処理法は検体の種類や使用する分析法によっても異なるが、通例、繁用される生体試料用の前処理には、細胞破壊(溶菌または溶血処理)もしくは可溶化、抽出、除タンパク、濃縮、吸着・脱着、洗浄、透析(脱塩)、ろ過、加水分解もしくは誘導体化などの処理が行われている。さらに検体液が粘稠である場合には、本マイクロリアクタにおける微細流路を層流として円滑に送液されるように、粘度または表面張力の調整のために必要に応じて希釈も行ってもよい。
【0037】
検体が血液である場合、血球とそれ以外の血漿(または血清)に分画することが望ましい。血球を分析する場合には、予め溶血させる必要がある。
測定対象がタンパク質である場合、樹脂層、フィルターなどに通して、共存タンパク質から分離し、濃縮を図ることが好ましい。特異的な抗体を結合させたフィルターなどを使用すると、目的のタンパク質を選択的に吸着できるため、効率がよい。
【0038】
また、目的物質が遺伝子である場合、除タンパク処理、あるいはDNAのみ選択的に吸着
するフィルターに通すことが前処理として有効である。さらにRNAの場合、適当な逆転写酵素を利用してcDNAに変換してから分析に供することになる。
【0039】
ウィルスまたは菌類(細菌、真菌類)などの微生物の遺伝子を検出する場合、上述したようにマイクロリアクタのチップでは検体を導入する容量がきわめて限られているため、検体中の対象菌の濃度が薄いとこれを捕捉することが実質的に不可能となる。そこで吸着フィルター越しに大量の検体液を流してフィルター内で濃縮する。後記の廃液貯留部の容量およびフィルターの吸着容量を考慮しても、おそらく検体収容部の容量に対し、約100
倍〜1000倍容量の検体液を上記フィルターに流し込むことも可能である。かかる場合、検体収容部内の容量を超える検体液を、検体注入部から検体収容部を通じて連続的に導入してもよい。このような前処理方式は、従来の分析チップの所定位置に一定量の検体を一度に適用し、その検体について測定する方式とは異なる操作であり、本来チップに適用する前の段階として行っていた前処理を同一チップ上で実施する点に特徴がある。好ましい態様として、溶菌試薬を検体収容部に流して溶菌処理を行うとともに検体前処理部に溶菌した菌体の処理液を送る。検体前処理部にはDNAを吸着するフィルターが装着されているの
で、上記検体処理液をこのフィルターに通して一旦、処理液中のDNAを吸着させる。その
後洗浄処理を経て吸着されているDNAを、溶離液を流すことにより溶出し、微細流路の下
流へ送液する。
【0040】
あるいは、目的の菌体を吸着するフィルターを用いて、目的の菌をトラップするとともに、溶菌試薬を流して遺伝子を露出させ、微細流路の下流へ送液しても良い。その後に溶菌試薬を流して遺伝子を生成させ、微細流路の下流へ流してもよい。
【0041】
このように検体の前処理としては、上述のように様々な処理が想定されるために、検体、測定方法に基づき、必要な処理を前処理工程として選択し、そのために必要な部材、装置などを検体前処理部20aに組み込むのがよい。検体前処理部20aは、形状、構造などは任意であり、上記フィルター、ビーズなどといった前処理手段が充填されている。さらに、検体前処理部は、検体収容部20から検体を、試薬収容部18または検体処理液収容部20b(試薬収容部18とは別個に設けてもよい)から前処理に使用する処理液を受けるとともに、試薬収納部から微細流路下流の反応部位へ至る流路と連通している。なおチップの底面部には廃液貯留部(廃液溜り)23が設けてあるために、前処理部との境界に配設した弁を開いてそこへ不要な検体液、洗浄液を捨てることができる。
【0042】
上記の検体前処理を、生体物質検査デバイス本体にマイクロリアクタを装着する前に実施するか、または装着した後に検体前処理を実施するかは、検体の性状、前処理の内容にもよるため、その手順は個別に設定するのがよい。また、検体前処理は、対象とする同一の試料について一括処理の形で行い、その後、個々の検査項目に対応する分析流路へ分割する方式が簡便であり望ましい。
【0043】
・前処理手段
本発明のマイクロリアクタにおいて、前記前処理手段は、生体物質または細菌もしくはウィルスを選択的に吸着する担体として特にその形態を限定しないが、具体的にはフィルター、ビーズ、ゲルまたはメンブレンであることを特徴としている。目的に応じて、複数のフィルターまたは上記担体の組合せであってもよい。入手、使いやすさなどから、フィルターが好適であり、これを積層させた前処理手段が好ましい。
【0044】
前記生体物質を吸着するフィルターとして、DNAをトラップするフィルターが挙げられ
る。DNAをトラップするフィルターとは、例えばある条件下でDNA分子を特異的に吸着するフィルターであってもよい。一例を挙げると、富士写真フィルム(株)の「自動核酸抽出システムQuickGene-800」の「多孔質メンブレン」が使用できる。あるいはDNAを選択
的に吸着することができる物質をカラム状に充填したものであってもよい。
【0045】
または、DNAに結合させた特異的な物質、官能基などが該フィルターと特異的に相互作
用する場合も含まれる。例えば、二本鎖DNAの内部へインターカレーションする物質、例
えばアクリジン色素、エチジウムブロマイドといったインターカレーターを結合させたフィルターであってもよい。
【0046】
フィルターのメッシュは、ウィルス、細菌などのサイズなどを考慮する。フィルターの形態、フィルター層の厚さ、なども目的に応じて適切に設定する。例えば、最初に不溶性物質、塵などを濾過除去し、その後に所定の処理を行うために、サイズを変えた2種以上
のフィルターを併用してもよい。フィルターの形状として、層状に積載した形態、粒子を充填した形態、樹脂の層、中空糸の集合形態など任意である。
【0047】
フィルターの他に、ウィルス、細菌などを吸着するビーズ、アガロースといったゲル、メンブレンであってもよい。
廃液貯留部
廃液貯留部23は、マイクロリアクタの底部に設けられた中空室であり、余分な検体、
検体の分離・濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、ならびに検体の反応、測定の結果、生じる廃液などをすべて収容する密閉された廃液溜りである。上記検体前処理部20aで、前
処理としてアナライトの濃縮工程を実施する場合には、濃縮および洗浄に伴って生じる廃液を処理する必要がある。そのような廃液は、マイクロリアクタ外に排出させて処理するよりも、自動的に内部に貯留する方が煩わしくない。好ましくは、廃液貯留部23はマイクロリアクタの、検体前処理部20aの弁部64直下に設けられ、少なくとも上記検体前
処理部、流路の反応部部位、検出部位の端部などとも通じるとともに必要な容量を有する密封構造、すなわち廃液を生じる各部位と通じる貫通孔が形成されている空洞であればよい。廃液貯留部23は、1つの中空室でもよく、複数の区画に分けられた多区画空洞の形態であってもよい。その容積、形状などは、特に限定されないが、チップ自体の強度、他のエレメント配設に伴うスペースの制限なども勘案される必要がある。例えば、廃液貯留部の容量は、数cm四方のチップで、その底部大半に設けた場合、数百μL〜2mLとなる
。また、廃液貯留部内の廃液が、マイクロリアクタの他の部分に侵入したり、外部に漏れたりすることのないように、必要に応じて上記貫通孔の適当な場所に開閉する弁を設けてもよい。
【0048】
特に、アナライトなどの濃度が希薄である検体では、検体前処理部20aで多くの検体
液を流してアナライト、細菌、ウィルスなどを吸着フィルターにトラップさせるため、洗浄液も含めて比較的多量の廃液が生じる。このような濃縮前処理には、大きい廃液溜りを必要とする。大きい廃液溜りとするためには、チップの底部のほぼ全体を、1つまたは複数の中空構造からなる廃液貯留部としてもよい。
【0049】
上記廃液貯留部の設置とその構造は、さらに使用者に次の利点を提供する。臨床検体の分析を行う作業者は、常に検体からの細菌またはウィルスなどの感染のリスクに曝されている。検体の取り扱い、その前処理のみならず、測定中の洗浄液、測定後の廃液などの処理も煩雑であるだけでなく、依然として感染のリスク、環境汚染の可能性が残っている。本発明のマイクロリアクタは、廃液貯留部23をマイクロリアクタ底部に設けており、上記の不要な検体、廃液などはすべて最後にはこの廃液溜りへ捨てられる流路の構成となっている。この廃液貯留部23は、完全にマイクロリアクタ内部に密閉されており、ディスポーサブルタイプの本マイクロリアクタは、使用後はそのまま、検査室などに備え付けられたハザードボックス内に収められ、焼却処分される。
【0050】
このような廃液貯留部を設けることにより、作業者は、臨床検体をマイクロリアクタに注入した後は、検査の間、検査後の廃棄においても、一貫して全く検体などに接触する可能性はなく、感染からの安全確保が図られている。しかも廃棄処分も汚染のおそれがなく簡便に行なわれる。またチップの軽量化、製造コスト低減などの利点もある。
試薬収容部
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタでは、必要な試薬類があらかじめ所定の量、マイクロリアクタ内の試薬収容部18に封入されている。したがって本発明のマイクロリアクタは使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即使用可能の状態になっている。また、洗浄液収容部21dには、必要とされる洗浄液が適宜収容されている。
・試薬類
検体中の生体物質を分析する場合、測定に必要な試薬類は、通常それぞれ公知である。例えば、検体に存在する抗原を分析する場合、それに対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬が使用される。抗体は、好ましくはビオチンおよびFITCで標識されている。遺伝子検査用の試薬類には、遺伝子増幅に用いられる各種試薬、検出に使用されるプローブ類、発色試薬とともに、必要であれば前記の検体前処理に使用する前処理試薬も含めてもよい。
試薬分割および検体分割
・マイクロポンプおよびポンプ接続部
本実施形態では、検体収容部20、試薬収容部18、ポジティブコントロール収容部21h、およびネガティブコントロール収容部21iのそれぞれについて、これらの収容部
内容液を送液するマイクロポンプ11が設けられている。マイクロポンプ11は試薬収容部18の上流側に接続され、マイクロポンプ11により駆動液を試薬収容部側へ供給することによって、試薬を流路へ押し出して送液している。マイクロポンプユニットは、マイクロリアクタとは別途の装置本体(生体物質検査デバイス)に組み込まれており、マイクロリアクタを装置本体に装着することによって、ポンプ接続部12からマイクロリアクタに接続されるようになっている。
【0051】
本実施形態では、マイクロポンプとしてピエゾポンプを用いている。すなわち、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプである。その詳細は、上記特許文献1および2に記載されている。
・送液分割手段
本発明において、1つの検体について多項目の分析を行う場合ならびにポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを同時に分析する場合には、試薬類および検体を2以上に分割して、それぞれの分析流路へ送り出す必要がある。送液分割手段はそのために設置される。具体的には図2および図3に示すように、送液分割手段は、分岐した微細流路、送液制御部13および逆流防止部16から構成される。
【0052】
送液制御部13は、正方向への送液圧力が所定圧に達するまで液体の通過を遮断し、所定圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する。また流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部16は、逆流圧により弁体が流路開口部を閉止する逆止弁か、あるいは弁体変形手段により弁体を流路開口部へ押圧して該開口部を閉止する能動弁からなる。
【0053】
本発明のマイクロリアクタの微細流路においては、前記マイクロポンプ、そのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部と、流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部とによって、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合が制御されている。かかる送液分割手段およびマイクロポンプ11の働きにより、試薬類および検体は適当な比率で分割される。
反応部位
測定対象である生体物質(アナライト)を含む検体の溶液と、試薬(混合液)とを合流させる合流部の上流側の各流路に、前記検体が収容される検体収容部と、前記試薬液体が収容される試薬収容部とが設けられるとともに、これらの各収容部の上流側にポンプ接続部が設けられ、これらのポンプ接続部に前記マイクロポンプを接続し、各マイクロポンプから駆動液を供給することにより前記各収容部内の前記検体の溶液および前記試薬を押し出してこれらを合流させることによって、遺伝子増幅反応、アナライトのトラップまたは抗原抗体反応といった分析に必要な反応を開始するように構成されている。試薬と試薬との混合、および検体と試薬との混合は、単一の混合部で所望の比率で混合してもよく、あるいは何れかもしくは両方を分割して複数の合流部を設け、最終的に所望の混合比率となるように混合しても構わない。そうした反応部位の態様は特に限定されるものではなく、様々な形態および様式が考えられる。基本的には
反応試薬を含む少なくとも2種類の液体を、マイクロポンプにより送液して合流させる合流部と、
前記合流部から先に設けられ、前記各液体が拡散混合される微細流路と、
前記微細流路の下流側端部から先に設けられ、該微細流路よりも広幅の空間と
からなり、該微細流路で拡散混合された混合液を貯留して反応を行う液溜部とを備えるこ
とが好ましい。
・遺伝子増幅法
本発明のマイクロリアクタを使用する遺伝子検査では、増幅方法を限定されない。例えばDNA増幅技術は、多方面で盛んに利用されているPCR増幅法を使用することができる。その増幅技術を実施するための諸条件が詳細に検討され、改良点も含めて各種文献などに記載されている。PCR増幅においては、3つの温度間で昇降させる温度管理が必要になるが、マイクロチップに好適な温度制御を可能とする流路デバイスが、すでに本発明者らにより提案されている(特開2004−108285号)。このデバイスシステムを本発明のチップの増幅用流路に適用すればよい。これにより、熱サイクルが高速に切り替えられ、微細流路を熱容量の小さいマイクロ反応セルとしているため、DNA増幅は、手作業で行う従来の方式よりはるかに短時間で行うことができる。
【0054】
PCRの改良として最近開発されたICAN(Isothermal chimera primer initiated nucleic acid amplification )法は、50〜65℃における任意の一定温度の下にDN
A増幅を短時間で実施できる特徴を有する(特許第3433929号)。したがって、ICAN
法は、本発明のマイクロリアクタでは、簡便な温度管理で済むために好適な増幅技術である。手作業では、1時間かかる本法は、本発明のバイオリアクタにおいては、10〜20分、好ましくは、15分で解析まで終わる。
検出部位
本発明のマイクロリアクタでは、微細流路の反応部位よりも下流上に、アナライト、例えば増幅された遺伝子を検出するための検出部位が設けられている。少なくともその検出部分は、光学的測定を可能とするために透明な材質、好ましくは透明なプラスチックとなっている。さらに微細流路上の検出部位に吸着されたビオチン親和性タンパク質(アビジン、ストレプトアビジン、エクストラアビジン(R)、好ましくはストレプトアビジン)は、プローブ物質に標識されたビオチン、または遺伝子増幅反応に使用されるプライマーの5'末端に標識されたビオチンと特異的に結合する。これにより、ビオチンで標識され
たプローブまたは増幅された遺伝子が本検出部位でトラップされる。
【0055】
分離されたアナライトまたは増幅された目的遺伝子のDNAを検出する方法は特に限定されないが、好ましい態様として基本的には以下の工程で行なわれる。すなわち上記マイクロリアクタを用い、
(1a)検体もしくは検体から抽出したDNA、あるいは検体もしくは検体から抽出した
RNAから逆転写反応により合成したcDNAと、5'位置でビオチン修飾したプライマ
ーとを、これらの収容部から下流の微細流路へ送液する。反応部位の微細流路内で、遺伝子を増幅する工程、微細流路内で増幅された遺伝子を含む増幅反応液と変性液とを混合し、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理する工程、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理した処理液を、ビオチン親和性タンパク質を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、前記増幅遺伝子をトラップする工程を経て、増幅遺伝子をトラップした微細流路内の検出部位に、末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したプローブDNAを流し、これを固定化した遺伝子にハイブリダイズさせる。(予め増幅遺伝子と蛍光標識したプローブDNAとをハイブリダイズさせたものを検出部位でトラップしてもよい。)(1b)検体に存在する抗原、代謝物質、ホルモンなどのアナライトに対する特異的な抗
体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬を検体と混合する。その場合、抗体は、ビオチンおよびFITCで標識されている。したがって抗原抗体反応により得られる生成物は、ビオチンおよびFITCを有する。これをビオチン親和性タンパク質(好ましくはストレプトアビジン)を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、ビオチン親和性タンパク質とビオチンとの結合を介して該検出部位に固定化する。
(2)上記微細流路内にFITCに特異的に結合する抗FITC抗体で表面を修飾した金コロイド液を流し、これにより固定化したアナライト・抗体反応物のFITCに、あるいは遺伝子にハイブリダイズしたFITC修飾プローブに、その金コロイドを吸着させる。
(3)上記微細流路の金コロイドの濃度を光学的に測定する。
【0056】
ポリスチレン基板に形成された微細流路内にストレプトアビジンを固定化する際、特別な化学的処置を行うことは必要としない。単にビオチン親和性タンパク質を増幅反応部位よりも下流の微細流路上に適用して該流路上にビオチン親和性タンパク質を吸着させるだけでよい。プローブは、アナライトに結合させるものであり、測定対象がタンパク質アナライトでは、検出用の蛍光標識であるFITCを上記ビオチンとともに結合している特異的な抗体が相当する。また、遺伝子検査用のプローブDNAとして、蛍光標識されたオリゴデオキシヌクレオチドが好ましく用いられる。そのDNA塩基配列は、検出目的の遺伝子塩基配列の一部分と相補的である配列が選択される。プローブDNAの塩基配列を適切に選択することにより、目的の遺伝子に特異的に結合し、共存するDNA、バックグラウンドに影響されることなく高感度の検出が可能となる。
【0057】
プローブを標識する蛍光色素として、公知のFITC、RITC、NBD、Cy3、Cy5などの蛍光物質などを用いることができる。特にFITCが、抗FITC抗体、例えば金コロイド抗FITC抗マウスIgGを入手できることから望ましい。蛍光色素の代わりにジゴキシゲニン(DIG)をプローブDNAに標識させてもよい。この場合、抗DIG−アルカリホスファターゼ標識抗体を抗FITC抗体の代替として用いる。
【0058】
蛍光色素FITCの蛍光を測定することも可能であるが、蛍光色素の光褪色、バックグラウンドノイズなどを考慮する必要がある。最終的に可視光により、高感度で測定できる方式が好ましい。可視光の吸光分析が優れるのは、蛍光測光よりも機器が汎用的であり、妨害因子が少なくデータ処理も容易であるためである。金コロイド抗FITC抗マウスIgGを用いた金コロイドの光学検出を利用するかわりに、上記蛍光色素の代わりに上記プローブを西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)で標識してもよい。検出にはこの酵素が触媒する発色反応を利用することもできる。そのための典型的な発色物質として、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3'−ジアミノベンジジン(DAB)、p−フェニレン
ジアミン(OPD)などが知られている。他にアルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼな
どの酵素・発色系も使用できる。
コントロールの測定
生体物質の分析では、通例、分析にネガティブコントロールを加え、検体の分析と並行して行われる。コンタミネーション、例えば試薬等に混在する物質の発色、蛍光などの補正に必須であるためである。さらに分析結果の信頼性を増すためには、ポジティブコントロールも加えることも必要である。添加する試薬等における妨害因子の検出、設定した条件の適切性、非特異的な相互作用などの検証に有用である。同様にインターナルコントロールを加えることも往々必要とされ、特に定量分析には有用である。
【0059】
ポジティブコントロール、インターナルコントロールを同時に行うことは、特にPCR法による遺伝子増幅、抗原抗体反応では重要である。PCR反応、抗原抗体反応が正しく起きていることのチェックも特に必要とされるためである。例えば何らかの問題が生じた場合、それが設定条件、試薬類、操作、分析系に由来するか、あるいは検体に由来するかの検証に最適である。とりわけPCR法は検体中に存在する微量の遺伝子を数十万〜数百万倍以上にも増幅できることから、クロス・コンタミネーションといった汚染による影響は著しく深刻である。
【0060】
偽陽性および偽陰性の判定に有用なこれらのコントロールの設定は、従来の分析技術の慣行に従う。本発明のマイクロリアクタの流路構成によれば、検体とは別個の分析流路において、同一試薬、同一条件のもとで、同時進行で行うことができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施態様の一例として示された図面を参照しながら、遺伝子検
査を主たる例として説明したが、本発明は、かかる態様および例に限定されるものではない。
マイクロリアクタによる検査
本発明の生体物質検査デバイスおよびそのマイクロリアクタを用いることによる各種遺伝子検査法は、その装置の構成と分析原理から、従来の核酸配列分析、制限酵素分析、核酸ハイブリダイゼーション分析と比べ、はるかに少ない検体量、僅かな手間と簡便な装置により高い精度の結果を得ることができることが明らかである。
【0062】
本発明で検出方法として採用された遺伝子増幅技術及びハイブリダイゼーション技術から、主に2つの遺伝子検査の側面が形成される。まず遺伝子増幅反応に使用するプライマーとして、ある特定の遺伝子に特異的な配列を有するプライマーを用いることにより、増幅の有無または増幅効率を測定することにより、検体中の遺伝子由来のDNAが、その特別の遺伝子と同一か、異なるかの判定に利用することができる。特に、感染病の原因ウィルス、細菌を遺伝子から迅速に同定または判定するのに有効である。本マイクロリアクタは多項目同時測定にも対応するため、遺伝子検査において使用するプライマーは、適宜、塩基配列を変更した複数のプライマーを用意して、例えば同一種の細菌、ウィルスの間における変異株の同定、識別にも好適に用いられる。
【0063】
さらに増幅された遺伝子DNAにハイブリダイズするプローブDNAのヌクレオチド配列を目的の遺伝子と相補的になるように設計することで検出の精度を高めている。あるいはハイブリダイゼーションにおける合成プローブとのミスマッチを指標とする遺伝子変異の検出にも応用が可能である。
【0064】
あるいは、特定の疾患に対する罹患感受性を示す遺伝性素因の判定、医薬に対する副作用などに関与する遺伝子変異、コーディング領域のほか、調節遺伝子のプロモーター領域における変異も本発明のマイクロリアクタを用いる遺伝子検査により検出することができる。その場合、変異部分を含む核酸配列を有するプライマーを利用する。なお、上記遺伝子変異とは、遺伝子のヌクレオチド塩基における変異の意味である。さらに本発明の検査装置を使用することによる遺伝子多型の解析は、疾患感受性遺伝子の同定、薬物代謝酵素遺伝子の解析にも役立つ。
【0065】
上記遺伝子検査の他にも、本発明のマイクロリアクタにおける多項目同時測定は、使用するプローブといった検出手段および検出方法の設計により、例えば臨床検体について抗原、ホルモン、各種代謝物質などの多項目分析についても実現することができる。具体的な検査項目として、グルコース、ビリルビン、アルブミン、アミラーゼ、リパーゼ、コリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、肝機能検査のためのγ−GTP、AST、ALT、LDHなど、腎機能検査のための尿素窒素(BUN)、クレアチニン、尿酸など、循環器検査のための総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、遊離コレステロール、トリグリセリドなどのアナライトが挙げられる。
【0066】
本発明の生体物質検査デバイスは、遺伝子の種々の解析、臨床検査・診断、医薬スクリーニング、医薬、農薬あるいは各種化学物質の安全性・毒性の検査、環境分析、食品検査、法医学、化学、醸造、漁業、畜産、農産製造、農林業等で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、マイクロリアクタと装置本体とからなる生体物質検査デバイスの概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における生体物質検査用マイクロリアクタの概略図である。なお、マイクロポンプ11は、本マイクロリアクタとは別途の装置に属する。
【図3】図3は、本発明の一実施形態におけるマイクロリアクタの試薬混合部および試薬分割の構成を示した図である。
【図4】図4は、検体収容部20、検体前処理部20a及び検体分割を示した図である。
【図5】図5は、マイクロリアクタの一部の断面図である。試薬収容部からの流路、図4の検体前処理部20a、サンプルポート19からの合流の位置関係を示している。なお点線で表示したエレメントは、実線のエレメントとは同一断面の位置にはないことを示す。 また、検体処理液収容部20bはこの図には示されていない。
【図6】図6は、測定項目数が2個の場合、検体収容部20、サンプルポート19などの配置位置の一例を示す。
【符号の説明】
【0068】
1 マイクロリアクタ
2 装置本体
11 マイクロポンプ
12 ポンプ接続部
13 送液制御部
15 流路
16 逆流防止部
17a 試薬貯留部
17b 検体貯留部
18 試薬収容部
19 サンプルポート
20 検体収容部
20a 検体前処理部
20b 検体処理液収容部
21a 停・止液収容部
21b 変性液収容部
21c ハイブリダイゼーションバッファー収容部
21d 洗浄液収容部
21e 金コロイド収容部
21f プローブDNA収容部
21g インターナルコントロール用プローブDNA収容部
21h ポジティブコントロール収容部
21i ネガティブコントロール収容部
22 ストレプトアジビン吸着部
23 廃液貯留部
64 弁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体収容部、試薬収容部、検体前処理部、廃液貯留部、マイクロポンプ接続部および微細流路を有しており、
該検体収容部から検体液を該検体前処理部に送り、該検体前処理部の前処理手段を用いて検体液を前処理することにより、測定対象の生体物質を濃縮し、該物質を該微細流路の下流に設けられた、反応部位を構成する流路、次いで検出部位を構成する流路へ流して測定するとともに、
検体の濃縮および測定の結果、生じる廃液を該廃液貯留部へ移して閉じ込めることを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタ。
【請求項2】
前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、濃縮後の前記検体液を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴とする請求項1に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
【請求項3】
前記マイクロポンプは、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプであることを特徴とする請求項1または2に記載の生体物質検査用
マイクロリアクタ。
【請求項4】
前記送液分割手段が、
分岐した微細流路、
正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリア
クタ。
【請求項5】
前記前処理手段が、前記生体物質または細菌もしくはウィルスを選択的に吸着するフィルター、ビーズまたはメンブレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
【請求項6】
前記生体物質を吸着するフィルターが、DNAをトラップするフィルターであることを特
徴とする請求項5に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
【請求項7】
前記廃液貯留部は、マイクロリアクタの底部に設けられ、少なくとも前記検体前処理部および前記検出部位の端部と連通した中空室であり、余分な検体、検体の濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、および検体の測定の結果、生じる廃液などを収容する廃液溜りであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
【請求項8】
検体に含有されている生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよび温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な生体物質検
査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−121935(P2006−121935A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312315(P2004−312315)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】