説明

前処理装置及びそれを用いた自動分析装置

【課題】サンプルのpHの調整精度を向上することにより、自動分析装置における分析精度や再現性を向上することができる前処理装置及びそれを用いた自動分析装置を提供する。
【解決手段】サンプルから特定の成分を分離する固相カートリッジ6に収容されたサンプルのpHをpH測定器15により測定し、サンプルのpHを測定する工程と、サンプルのpHを上げるためのpH調製溶液を添加する工程と、サンプルのpHを下げるためのpH調製溶液を添加する工程とを有するpH調整処理において、pH測定器15の測定結果に基づいた種類と分量のpH調整溶液をサンプルに分注する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、血清、血漿、尿および組織等のサンプル中の成分を分析する装置の前処理装置及びそれを用いた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、血清、血漿、尿および組織等のサンプル中に含まれる対象成分の分析方法の一つに免疫測定分析(イムノアッセイ、immunoassay)がある。免疫測定分析は、抗原と抗体の反応を利用してサンプル中に含まれる物質のレベルを測定するものである。しかしながら、イムノアッセイは対象成分に対する抗体を作製する必要があることから検査コストが高価になる、代謝物等の類似化合物との交差反応には対応できない、抗体が作製できない薬剤等の対象成分には対応できない、などの点で改善の余地があった。そこで、近年では、質量分析計を用いる自動分析装置により対象成分を物理化学的に分析する試みがなされている。また、サンプルを分析装置にかける前に、前処理装置によって、多量の夾雑物を含むサンプルから分析の対象成分をある程度精製する前処理を実施することにより、自動分析装置における分析精度の向上を図っている。
【0003】
このような前処理装置や自動分析装置に関する技術として、例えば、特許文献1(特開2010−60474号公報)には、多数の検体を同時並行的に処理可能にすることを目的として、被検液を通液させて特定成分を選択的に分離させる分離剤と、内部に分離剤を保持する収容部と、収容部を複数保持でき無限軌道を持つ保持部と、収容部内に継続的かつランダムアクセス的に圧力を負荷できる圧力負荷部と、収容部内に収容された分離剤からの抽出溶液を選択的に受ける抽出溶液受機構とを備えた前処理装置と、前処理装置に接続可能で、全自動で試料の前処理と分析測定が可能な質量分析装置とを備えた自動分析装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2003−121317号公報)には、懸濁物質(SS)を含む水試料中に含まれる内分泌攪乱化学物質を同時に捕捉・抽出し、迅速かつ低コストで前処理を行なうことができるSSを含む水試料中の内分泌攪乱化学物質の捕捉・抽出方法及びそのための固相抽出カラムを提供することを目的として、懸濁物質を含む水試料を懸濁物質捕捉材入りの固相抽出カラムに通水し、この水試料に含まれる内分泌攪乱化学物質のうちの懸濁物質吸着分と溶解成分とを同時に捕捉させ、このカラム内部を洗浄して不純物質を除去したのち、捕捉された内分泌攪乱化学物質を溶媒抽出により同時に回収する技術が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3(特開2006−53001号公報)には、試料中のアルカリ金属,アルカリ土類金属を効率良く排除し、測定対象の金属のみを容易に溶出して分析用試料とすることを目的として、水酸基を有する基材樹脂にイミノ基を介して結合されたポリアミノポリカルボン酸(PAPC)型キレート官能基を持つキレート樹脂を充填した固相抽出部を用いて、測定対象試料中の金属元素を抽出し分析を行うキレート樹脂を用いた分析方法において、測定対象試料をpH3〜6の範囲となるように調整し、固相抽出部に対して、調整後の測定対象試料を通液し、試料通液後の固相抽出部に酸水溶液を通液して捕捉された金属元素を溶出し、溶出した金属元素を元素分析装置によって分析する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−60474号公報
【特許文献2】特開2003−121317号公報
【特許文献3】特開2006−53001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前処理装置において、サンプルからの対象成分の精製には、例えば、固相カートリッジ(固定相)に分析対象成分を含んだサンプル(移動相)を通液し、移動相と固定相間における成分の溶解性の差により対象成分を補足し、夾雑物の洗浄(除去)後、溶出液を通液して対象成分を溶出することにより分離する方法が多く用いられている。この方法では、固定相の選択の幅はそれほど広くないため、対象成分の種類(性質)によって、例えば、サンプルのpH(水素イオン指数)を変化させることにより、分離の多様化に対応している。このとき、pH調製の精度は対象成分の回収率に影響し、その回収率はそのまま自動分析装置の分析精度に影響するため、サンプルのpH調製を高い精度で行うことが求められる。
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の自動分析装置に特許文献3に記載の従来技術を適用した場合、サンプルに一定量のpH調製溶液を添加することになるため、サンプルの元のpHやサンプル間でそれぞれ異なる夾雑物の量によってpH調製が影響を受けてしまい、対象成分の回収率、延いては、分析精度が変動してしまうという課題があり、この点について改善の余地が残されていた。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、サンプルのpHの調整精度を向上することにより、自動分析装置における分析精度や再現性を向上することができる前処理装置及びそれを用いた自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、サンプルから特定の成分を分離する固相カートリッジと、前記固相カートリッジを保持するカートリッジ保持部と、サンプル容器に収容された前記サンプルを前記固相カートリッジに分注するサンプルプローブと、前記カートリッジ保持部に保持された固相カートリッジに圧力を負荷する圧力負荷部と、前記サンプルのpHを測定するpH測定器と、前記サンプルのpHを調製するためのpH調製溶液を前記サンプルに添加する試薬プローブと、前記サンプルのpHを測定する工程と、前記サンプルのpHを上げるためのpH調製溶液を添加する工程と、前記サンプルのpHを下げるためのpH調製溶液を添加する工程とを有するpH調整処理を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記pH調製処理において、前記pH測定器の測定結果に基づいて、前記サンプルに分注する前記pH調製溶液の種類と分量とを制御するものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サンプルのpHの調整精度を向上することにより、自動分析装置における分析精度や再現性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】圧力負荷部の構成を概略的に示す図である。
【図3】自動分析装置の各部と制御部との制御関係を概念的に示す図である。
【図4】第1の実施の形態の前処理装置における前処理の処理フローである。
【図5】前処理において既知濃度のサンプル中のpHを変化させた場合の、質量分析計での対象薬剤の検出量から求めた回収率の変化を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図であり、図2は圧力負荷部の詳細構成を概略的に示す図、図3は自動分析装置の各部と制御部との制御関係を概念的に示す図である。
【0015】
図1において、本実施の形態の自動分析装置は、分析対象であるサンプルに前処理を施す前処理装置1と、前処理を施したサンプル中の対象成分を分析する分析処理を行う質量分析部2とから概略構成されている。
【0016】
前処理装置1は、分析対象であるサンプルを収容した複数のサンプル容器4と、複数のサンプル容器4を保持して搬送するサンプル容器搬送部3と、サンプルの前処理に用いる種々の試薬を収容した複数の試薬容器9と、複数の試薬容器9を保持して搬送する試薬容器搬送部8と、前処理装置1における前処理(後述)で用いる固定相である固相カートリッジ6と、固相カートリッジ6をそれぞれ保持する複数のカートリッジ保持部20を有し、固相カートリッジ6を無限軌道上で搬送するカートリッジ搬送部5と、サンプル容器4に収容されたサンプルをカートリッジ保持部20に保持された固相カートリッジ6に分注するサンプルプローブ7と、試薬容器9に収容された試薬をカートリッジ保持部20に保持された固相カートリッジ6および受容器搬送部16の受容器18(後述)に分注する試薬プローブ10と、固相カートリッジ6の収容物(サンプル、試薬、或いは、その混合物)を攪拌する攪拌装置21と、固相カートリッジ6の収容物のpH(水素イオン指数)を測定するpH測定器15と、固相カートリッジ6に空気圧力を負荷して、収容されたサンプルを固相カートリッジ6に通液させる圧力負荷部11と、圧力負荷部11による圧力負荷により固相カートリッジ6から排出された排出液を収容する廃液タンク14と、圧力負荷部11による圧力負荷により固相カートリッジ6から抽出された抽出液を受ける受容器18と、受容器18をそれぞれ保持する複数の受容器保持部17を有し、受容器18を無限軌道上で搬送する受容器搬送部16と、未使用の固相カートリッジ6および受容器18を保持し、カートリッジ保持部20および受容器保持部17に移送するカートリッジ・受容器保持部19と、前処理装置1の全体の動作を制御する制御部22とを備えている。
【0017】
サンプル容器搬送部3に載置されるサンプル容器4には、サンプルとして血液、血清、血漿、尿や組織等が収容される。サンプル容器4から固相カートリッジ6への分注は、搬送軌道上に設けられた分注位置において、サンプルプローブ7によって行われる。また、試薬搬送部8に載置される試薬容器9には、前処理に用いる試薬として、pH調整液(トリフルオロ酢酸、アンモニア水、など)、内部標準試薬(内部標準物質の試薬)、溶出液、蒸留水や超純水等が収容されている。試薬容器9から固相カートリッジ6への分注は、搬送起動上に設けられた分注位置において、試薬プローブ10によって行われる。
【0018】
攪拌装置21は、固相カートリッジ6の収容物を攪拌するものであり、音波(超音波)により収容物や固相カートリッジ6などを振動させて攪拌を行う。なお、攪拌棒を収容物に浸漬させて攪拌する構成としても良い。
【0019】
固相カートリッジ6は、移動相(サンプル等)と固定相(固相カートリッジ6)間における対象成分をその溶解性の差により分離するものであり、カートリッジ保持部20に保持された状態で圧力負荷部11により空気圧力を負荷することにより、収容されたサンプルや試薬が通液される。圧力負荷部11による固相カートリッジ6での通液は、搬送軌道上に設けられた抽出位置及び排出位置において行われる。排出位置は、固相カートリッジ6の洗浄や不要液の排出を行う位置であり、固相カートリッジ6を通った排出液は廃液タンク14に送られるまた、抽出位置は、固相カートリッジ6中の対象成分を溶出液により溶出する位置であり、固相カートリッジ6を通った溶出液は受容器18に送られる。
【0020】
圧力負荷部11は、抽出位置において固相カートリッジ6に圧力負荷を行う接合部12と、排出位置において固相カートリッジ6に圧力負荷を行う接合部13とを有しており、図示しない上下方向の駆動手段によって一体的に上昇下降動作され、固相カートリッジ6及びカートリッジ保持部20に対して圧力負荷可能な姿勢と、固相カートリッジ6及びカートリッジ保持部20が搬送可能な姿勢とを切り替える。図3に示すように、圧力負荷部11は、空気を吸引吐出するシリンジポンプ30と、シリンジポンプ30に吸引される空気の吸気口31と、吸気口31に設けられたエアフィルター32と、シリンジポンプ30から吐出される圧縮空気を流通させて接合部12,13に送り、その圧力と流量をそれぞれ測定する圧力計33及び流量計34と、吸気口31からシリンジポンプ30への空気の流路を流通させ、かつ、シリンジポンプ30から接合部12,13方向への空気の流路を遮断する吸引状態と、吸気口31からシリンジポンプ30への空気の流路を遮断し、かつ、シリンジポンプ30から接合部12,13方向への空気の流路を流通させる吐出状態とを切り替える三方電磁弁35とを備えている。そして、搬送可能な姿勢で吸引状態に切り替えて空気を吸引し、圧力負荷可能な姿勢で吐出状態に切り替えて空気を吐出し、固相カートリッジ6及びカートリッジ保持部20に対して圧力を負荷する。
【0021】
廃液タンク14は、固相カートリッジ6からの排出液を収容する機能の他に、廃液タンク14内の排出液のpHを測定する機能と、廃液タンク14内の排出液に中和液を添加する機能とを有している。廃液タンク14内の排出液は、測定されたpHに応じて適宜中和液が添加され、ほぼ中性の状態に調製される。
【0022】
固相カートリッジ6からの抽出液が収容され受容器保持部17に保持された受容器18は、受容器搬送部16によって質量分析部2による分析を行う分析位置まで搬送される。分析位置に搬送された受容器16の抽出液は、質量分析部2に送られ、質量分析が施される。
【0023】
質量分析部2は、抽出液を導入してイオン化部に導く試料導入部や、イオン化部でイオン化された試料を質量別に分離する分離部、質量別に分離された試料(イオン)を検出する検出部などによって構成されている。質量分析部2での分析結果(検出部での検出結果)は、制御部22に送られる。
【0024】
制御部22は、前処理装置1の動作を制御するものであると同時に、質量分析部2の動作を制御するものでもあり、したがって、自動分析装置全体の動作を制御するものである。制御部22は、前処理や分析処理のための各種設定を入力したり、必要に応じて自動分析装置の動作の指示を入力したりするための入力部24と、各種設定・指示画面や分析結果を表示する表示部23と、各種設定内容や分析結果、分析対象成分用の分析プロトコルを実施するためのプログラム等を記憶する図示しない記憶部とを備えており、前処理や分析処理を実行する。
【0025】
図3に示すように、制御部22は、前処理や分析処理の実行指示がなされると、記憶部に記憶された設定内容やプログラムに基づいて自動分析装置の各構成(サンプル容器搬送部3、試薬容器搬送部8、カートリッジ搬送部5、サンプルプローブ7、攪拌装置21、圧力負荷部11、受容器搬送部16、カートリッジ・受容器保持部19、廃液タンク14)を動作させて一連の分析動作(前処理と分析処理を含む)が行われる。また、pH測定器15、圧力計33、及び、流量計34での測定結果は制御部22にフィードバックされて自動分析装置の各構成の動作の制御が行われる。
【0026】
本実施の形態の前処理装置1における前処理の原理及び手順について図4の処理フローを参照しつつ説明する。
【0027】
(1)前処理の原理
ここでは、固定相である固相カートリッジ6に逆相系の固相抽出材を用い、移動相に親水性溶出液を用いたサンプルを固相カートリッジ6に通液して対象成分を捕捉し、夾雑物の洗浄後、対象成分のみを溶出することで濃縮・精製を行う場合について説明する。また、血清サンプル中のゲムシタビン(抗癌剤の一種)を対象成分とした場合の前処理を例にとり説明する。
【0028】
上記の濃縮・精製においては、対象成分(対象薬剤)の疎水性度により、その対象成分の固相抽出材への捕捉効率が異なる。疎水性度の指標となる分配係数(logP)が小さい場合、つまり、親水性度が高い対象薬剤を固相抽出する場合、対象薬剤は固相抽出材に捕捉されずに素通りする。このため親水性度が高い測定対象薬剤を精製する場合は、サンプルのpHを対象薬剤に応じて調製することにより固定抽出材によって対象薬剤が保持されるようにする。
【0029】
対象薬剤として例示するゲムシタビンは非小細胞肺がん、膵臓がん、胆道がん、膀胱がん、転移性乳がん、軟部肉腫の治療薬である。化学物性は分子量が262.1、pKa(酸解離定数)が3.60、logP(分配係数)が0.14であり親水性度および酸性度の高い薬剤である。ゲムシタビンのlogPが0.14と親水性が非常に高い薬剤であるため、ゲムシタビンを投与した患者血清サンプルを逆相系の固相抽出材を用いて固相抽出を行っても固相への親和性が弱く保持されない。ゲムシタビンはpKaが3.60の酸性度の高い薬剤であるため、強い酸を加えて患者血清サンプルおよびpHを下げた移動相(平衡化溶液および洗浄溶液)を用いてイオンの解離を抑え、固定相への親和性を強めることで対象薬剤が保持されるようになる。ここでいう固定相への親和性は逆相系への親和力のみならず、固相抽出材の母剤への親和性もいう。なお、酸解離定数の高い薬剤の場合は同様の原理から、強いアルカリを加えて患者血清サンプルおよびpHを上げた移動相(平衡化溶液および洗浄溶液)を用いてイオンの解離を抑え、固定相への親和性を強めることで対象薬剤が保持されるようになる。
【0030】
(2)前処理の手順および制御
図4は、本実施の形態の前処理を示す処理フローである。
【0031】
本実施の形態の前処理は、カートリッジ搬送工程、コンディショニング工程、平衡化工程、サンプル添加工程、pH調製工程、洗浄工程、溶出工程、及び希釈工程の8つの工程を有している。
【0032】
(2−1)カートリッジ搬送工程
前処理装置1の制御部22は、まず、前処理の準備動作として、カートリッジ・受容器保持部19の固相カートリッジ6をカートリッジ保持部20に移送し、受容器18を受容器保持部16に移送する。
【0033】
(2−2)コンディショニング工程(ステップS10,S20)
固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5により試薬プローブ10の駆動範囲まで搬送し、試薬容器搬送部8に保管された200μLのメタノールを分注により添加する(ステップS10)。試薬容器搬送部8の試薬容器9には、ゲムシタビンの内部標準物質として蒸留水で希釈することで2000ng/mLに調製したゲムシタビン−13C,15N2塩酸塩(例えば、Tronto Research Chemicals,#G305010)、pH調製溶液として蒸留水で希釈することで2%に調製したトリフルオロ酢酸(例えば、SIGMA,#09653)および蒸留水で希釈することで1%に調製したアンモニア水(例えば、和光純薬,#010-20825)、固相カートリッジのコンディショニング工程および溶出工程で用いるメタノール(例えは、和光純薬,#138-14521)、平衡化工程および洗浄工程で用いる蒸留水で希釈することで0.1%に調製したトリフルオロ酢酸、及び、溶出液を希釈する蒸留水(例えば、和光純薬,#046-16971)が保管されている。次に、カートリッジ搬送部5により圧力負荷部11の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、排出液が廃液タンク14に排出される(ステップS20)。
【0034】
(2−3)平衡化工程(ステップS30,S40)
固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5により試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管された200μLの0.1%のトリフルオロ酢酸を添加する(ステップS30)。続いて、カートリッジ搬送部5により圧力負荷部11の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、排出液が廃液タンク14に排出される(ステップS40)。
【0035】
(2−4)サンプル添加工程(ステップS50,S60)
固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5によりサンプルプローブ7の分注位置まで搬送し、サンプル容器4に保管された100μLのサンプル(本例では、ゲムシタビンが投与された患者の血清)を分注により添加する(ステップS50)。なお、サンプルは血清の他に、血漿、全血、尿、唾液、涙液、細胞組織等を検体種類ごとに最適化した分析プロトコルで用手法により前処理したサンプルを用いることも可能である。次に、カートリッジ搬送部5により固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20を、試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管された5μLの内部標準物質(本例では、蒸留水で希釈することで2000ng/mLに調製したゲムシタビン−13C,15N2塩酸塩)を分注により添加する(ステップS60)。
【0036】
(2−5)pH調製工程(ステップS70〜S100)
pH調整処理を行う工程である。固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5により試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管されたpH調製溶液である5μLの2%トリフルオロ酢酸を分注により添加する(ステップS70)。なお、本例では、pH調製溶液として、トリフルオロ酢酸およびアンモニア水を用いたが、pH調製溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸および重炭酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウム等を用いることができる。次に、固相カートリッジ6に収容されたサンプルを攪拌装置21により攪拌し、pH測定器15によりpHを測定する(ステップ80)。次に、pH測定器15での測定値が予め定めた範囲(本例では対象薬剤がゲムシタビンであり、pH5.0(尤度分の±5%)である)内であるかどうかを判定する(ステップS90)。ステップS90での判定結果がYESである場合は、固相カートリッジ6をカートリッジ搬送部5により圧力負荷部の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、排出液が廃液タンク14に排出される(ステップS100)。また、ステップS90での判定結果がNOの場合は、ステップS90での判定結果がYESとなるまで、ステップS70,S80の処理を繰り返し、ステップS90での判定結果がYESになったら、固相カートリッジ6をカートリッジ搬送部5により圧力負荷部の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、排出液が廃液タンク14に排出される(ステップS100)。なお、ステップS70において、pHの測定値が予め設定したpH値を酸性側に超過している場合(すなわち、pH<4.75の場合)は、pH調整溶液として、1μLの1%アンモニア水の添加を行う。また、pHの測定値が予め設定したpH値を塩基性側に超過している場合(すなわち、pH>5.25の場合)は、1μLの2%トリフルオロ酢酸の添加を行う。
【0037】
(2−6)洗浄工程(ステップS110,S120)
固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5により試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管された200μLの0.1%のトリフルオロ酢酸を分注により添加する(ステップS110)。次に、カートリッジ搬送部5により固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20を圧力負荷部11の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、輩出液が廃液タンク14に排出される(ステップS120)。なお、全ての工程で排出された廃液タンク14中の廃液(排出液)は中和溶液を添加することにより適宜中和され、pH測定機能により中和されたことを確認することができる。
【0038】
(2−7)溶出工程(ステップS130,S140)
固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5により試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、溶出液として試薬容器9に保管された100μLのメタノールを添加する(ステップS130)。次に、カートリッジ搬送部5により固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20を圧力負荷部11の抽出位置まで搬送し、同時に、受容器保持部17に保持された受容器18を受容器搬送部16により固相カートリッジ6の下方まで移送し、圧力印加を行い、溶出液が受容器保持部17に保持された受容器18に受けられる(ステップS140)。なお、受容器搬送部16は、カートリッジ搬送部5と同形状である必要はなく、回転軸も同位置でなくてもよい。本実施の形態では、回転軸を異なる位置とし、上方からみて受容器搬送部16とカートリッジ搬送部5が、受容器搬送部16の受容位置(つまり、カートリッジ搬送部5の抽出位置)で交差するよう構成したのでカートリッジ搬送部5の上方に空間ができ、受容器へ試薬プローブ10がアクセスする場合にカートリッジ搬送部5が干渉することがない構成になっている。
【0039】
(2−8)希釈工程(ステップS150)
ゲムシタビン等、親水性度が高い薬剤はメタノールへの溶解度が低ため、受容器18内の溶出液に蒸留水を添加することで希釈を行う。受容器18が保持された受容器保持部17を受容器搬送部16により試薬プローブ10の分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管された900μLの蒸留水を添加する(ステップS150)。なお、試薬プローブ10は、回転動作および上下の動作が可能なプローブである。前処理が施されたサンプルは、質量分析部2に導入され分析が行われる。
【0040】
以上のように構成した本実施の形態の作用効果を図面を参照しつつ説明する。
【0041】
臨床現場において患者に薬物を投与する際には、患者の体質や症状に合わせて個別に投与計画をたてることが、有効性や安全性を保障するうえで重要である。このとき、薬物体内動態の個人差によって薬剤成分の血中濃度に違いが生じるため、同一容量の薬剤による治療効果にも差が出てくる場合がある。そこで、個々の患者の血中濃度を測定して血中薬物モニタリング(TDM;Therapeutic Drug Monitoring)を行い、その血中濃度が治療域に収まるように容量や用法を最適化する薬剤体内動態観察を行っている。
【0042】
血液、血清、血漿、尿および組織等のサンプル中に含まれる対象成分の分析方法の一つに免疫測定分析(イムノアッセイ、immunoassay)がある。免疫測定分析は、抗原と抗体の反応を利用してサンプル中に含まれる物質のレベルを測定するものである。しかしながら、イムノアッセイは対象成分に対する抗体を作製する必要があることから検査コストが高価になる、代謝物等の類似化合物との交差反応には対応できない、抗体が作製できない薬剤等の対象成分には対応できない、などの点で改善の余地があった。そこで、近年では、質量分析計を用いる自動分析装置により対象成分を物理化学的に分析する試みがなされている。また、サンプルを分析装置にかける前に、前処理装置によって、多量の夾雑物を含むサンプルから分析の対象成分をある程度精製する前処理を実施することにより、自動分析装置における分析精度の向上を図っている。
【0043】
前処理装置において、サンプルからの対象成分の精製には、例えば、固相カートリッジ(固定相)に分析対象成分を含んだサンプル(移動相)を通液し、移動相と固定相間における成分の溶解性の差により対象成分を補足し、夾雑物の洗浄(除去)後、溶出液を通液して対象成分を溶出することにより分離する方法が多く用いられている。この方法では、固定相の選択の幅はそれほど広くないため、対象成分の種類(性質)によって、例えば、サンプルのpH(水素イオン指数)を変化させることにより、分離の多様化に対応している。このとき、pH調製の精度は対象成分の回収率に影響し、その回収率はそのまま自動分析装置の分析精度に影響するため、サンプルのpH調製を高い精度で行うことが求められる。
【0044】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の自動分析装置に特許文献3に記載の従来技術を適用した場合、サンプルに一定量のpH調製溶液を添加することになるため、サンプルの元のpHやサンプル間でそれぞれ異なる夾雑物の量によってpH調製が影響を受けてしまう。図5は、前処理において既知濃度のサンプル中のpHを変化させた場合の、質量分析計でのゲムシタビン(対象薬剤)の検出量から求めた回収率の変化を示す図であり、横軸に前処理の対象薬剤補足工程におけるサンプルのpHを、縦軸に回収率(%)をそれぞれ表している。図5から分かるように、pH調整溶液(トリフルオロ酢酸等)を変化させ、サンプル中のpHを変化させた場合、pHが5.0より低い領域ではおよそ80%以上の回収率であるのに対し、pHが5.0よりも高くなるに従って、回収率が急激に減少する。すなわち、サンプルのpHの変動によって、対象成分の回収率、延いては、分析精度が変動してしまうという課題があり、この点について改善の余地が残されていた。
【0045】
これに対し、本実施の形態においては、pH測定器によりサンプルのpHを測定し、その測定結果に基づいて、サンプルのpHを上げるためのpH調製溶液を添加する工程と、サンプルのpHを下げるためのpH調製溶液を添加する工程とを有するpH調整処理において、サンプルに分注するpH調製溶液の種類と分量とを制御するように構成したので、サンプルのpHの調整精度を向上することができ、自動分析装置における分析精度や再現性を向上することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、親水性度および酸性度の高い薬剤としてゲムシタビンを例示して説明したが、タンパク質結合率が高い測定対象薬剤の固相カートリッジへの捕捉率を向上させる手法としても有効である。例えば、抗がん剤の一種であるタモキシフェンを濃縮・精製する例を示す。タモキシフェンはアルブミン等のタンパク質との結合率が強く、分子サイズが固相抽出材(固相カートリッジ6)の細孔(ポア)のサイズより大きくなり捕捉が難しい。このため、サンプルに酸を添加し、対象薬剤とタンパク質の結合を解離させることで、測定対象薬剤の固相カートリッジ6への親和性を強めることができる。この場合、例えば、サンプルに添加する酸としては、蒸留水で希釈することで0.1%に調製したトリフルオロ酢酸を用い、平衡化工程および洗浄工程では蒸留水を用いる。
【0047】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0048】
本実施の形態は、サンプル容器搬送部3において、サンプル容器4に収容された収容物に対してpH測定およびpH調整溶液等の添加を行うように構成したものである。
【0049】
図6は本発明の第2の実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
【0050】
図6において、本実施の形態の自動分析装置は、分析対象であるサンプルに前処理を施す前処理装置1と、前処理を施したサンプル中の対象成分を分析する分析処理を行う質量分析部2とから概略構成されている。
【0051】
前処理装置1は、分析対象であるサンプルを収容した複数のサンプル容器4と、複数のサンプル容器4を保持して搬送するサンプル容器搬送部3と、サンプルの前処理に用いる種々の試薬を収容した複数の試薬容器9と、複数の試薬容器9を保持して搬送する試薬容器搬送部8と、前処理装置1における前処理で用いる固定相である固相カートリッジ6と、固相カートリッジ6をそれぞれ保持する複数のカートリッジ保持部20を有し、固相カートリッジ6を無限軌道上で搬送するカートリッジ搬送部5と、試薬容器9に収容された試薬をサンプル容器搬送部3に保持されたサンプル容器4、カートリッジ保持部20に保持された固相カートリッジ6、および受容器搬送部16の受容器18(後述)に分注する試薬プローブ10Aと、サンプル容器4の収容物(サンプル、試薬、或いは、その混合物)を攪拌する攪拌装置121と、固相カートリッジ6の収容物のpH(水素イオン指数)を測定するpH測定器15Aと、サンプル容器4に収容されたサンプルをカートリッジ保持部20に保持された固相カートリッジ6に分注するサンプルプローブ7と、固相カートリッジ6の収容物(サンプル、試薬、或いは、その混合物)を攪拌する攪拌装置21と、固相カートリッジ6に空気圧力を負荷して、収容されたサンプルを固相カートリッジ6に通液させる圧力負荷部11と、圧力負荷部11による圧力負荷により固相カートリッジ6から排出された排出液を収容する廃液タンク14と、圧力負荷部11による圧力負荷により固相カートリッジ6から抽出された抽出液を受ける受容器18と、受容器18をそれぞれ保持する複数の受容器保持部17を有し、受容器18を無限軌道上で搬送する受容器搬送部16と、未使用の固相カートリッジ6および受容器18を保持し、カートリッジ保持部20および受容器保持部17に移送するカートリッジ・受容器保持部19と、前処理装置1の全体の動作を制御する制御部22とを備えている。
【0052】
次に、本実施の形態における前処理の手順および制御について説明する。本実施の形態の前処理は、カートリッジ搬送工程、コンディショニング工程、平衡化工程、pH調製工程、サンプル添加工程、洗浄工程、溶出工程、及び希釈工程の8つの工程を有している。なお、第1の実施の形態と同様の工程については、工程名だけを示し説明を省略する。
【0053】
前処理装置1の制御部22は、まず、カートリッジ搬送工程、コンディショニング工程、及び、平衡化工程を実施する。
【0054】
続いて、pH調整工程を行う。この工程はpH調整処理を行う工程である。まず、サンプル容器搬送部3によりサンプル容器4を、試薬プローブ10Aの分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管された5μLの内部標準物質(本例では、蒸留水で希釈することで2000ng/mLに調製したゲムシタビン−13C,15N2塩酸塩)を分注により添加する。次に、サンプル容器4をサンプル容器搬送部3により試薬プローブ10Aの分注位置まで搬送し、試薬容器9に保管されたpH調製溶液である5μLの2%トリフルオロ酢酸を分注により添加する(ステップS70)。なお、本例では、pH調製溶液として、トリフルオロ酢酸およびアンモニア水を用いたが、pH調製溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸および重炭酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウム等を用いることができる。次に、サンプル容器4に収容されたサンプルを攪拌装置121により攪拌し、pH測定器15AによりpHを測定する。次に、pH測定器15Aでの測定値が予め定めた範囲(本例では対象薬剤がゲムシタビンであり、pH5.0(尤度分の±5%)である)内であるかどうかを判定する。測定値が範囲内である場合は、次の工程に移行する。また、測定値が範囲外の場合は、測定値が範囲内となるまで、pH調製溶液の添加とpHの測定の処理を繰り返し、測定値が範囲内になったら、次の工程に移行する。なお、pH調整溶液の添加において、pHの測定値が予め設定したpH値を酸性側に超過している場合(すなわち、pH<4.75の場合)は、pH調整溶液として、1μLの1%アンモニア水の添加を行う。また、pHの測定値が予め設定したpH値を塩基性側に超過している場合(すなわち、pH>5.25の場合)は、1μLの2%トリフルオロ酢酸の添加を行う。
【0055】
次に、サンプル容器4から固相カートリッジ6へのサンプル添加工程を行う。まず、固相カートリッジ6が保持されたカートリッジ保持部20をカートリッジ搬送部5によりサンプルプローブ7の分注位置まで搬送し、サンプル容器4に保管されたサンプルを分注により添加する。続いて、固相カートリッジ6をカートリッジ搬送部5により圧力負荷部の排出位置まで搬送し、圧力印加を行い、排出液が廃液タンク14に排出される。
【0056】
その後、洗浄工程、溶出工程、希釈工程を実施し、前処理を終了する。前処理が施されたサンプルは、質量分析部2に導入され分析が行われる。
【0057】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0058】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0059】
1 前処理装置
2 質量分析部
3 サンプル容器搬送部
4 サンプル容器
5 カートリッジ搬送部
6 固相カートリッジ
7 サンプルプローブ
8 試薬容器搬送部
9 試薬容器
10,10A 試薬プローブ
11 圧力負荷部
12,13 接合部
14 廃液タンク
15,15A pH測定器
16 受容器搬送部
17 受容器保持部
18 受容器
19 カートリッジ・受容器保持部
20 カートリッジ保持部
21 攪拌装置
22 制御部
23 表示部
24 操作部
30 シリンジポンプ
31 吸気口
32 エアフィルター
33 圧力計
34 流量計
35 三方電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルから特定の成分を分離する固相カートリッジと、
前記固相カートリッジを保持するカートリッジ保持部と、
サンプル容器に収容された前記サンプルを前記固相カートリッジに分注するサンプルプローブと、
前記カートリッジ保持部に保持された固相カートリッジに圧力を負荷する圧力負荷部と、
前記サンプルのpHを測定するpH測定器と、
前記サンプルのpHを調製するためのpH調製溶液を前記サンプルに添加する試薬プローブと、
前記サンプルのpHを測定する工程と、前記サンプルのpHを上げるためのpH調製溶液を添加する工程と、前記サンプルのpHを下げるためのpH調製溶液を添加する工程とを有するpH調整処理を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記pH調製処理において、前記pH測定器の測定結果に基づいて、前記サンプルに分注する前記pH調製溶液の種類と分量とを制御すること
を特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記pH調製処理は、前記固相カートリッジに分注された状態の前記サンプルに対して実施されることを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記pH調製処理は、前記サンプル容器に収容された状態の前記サンプルに対して実施されることを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記サンプルのpHを下げるための前記pH調製溶液は、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、又は、リン酸の何れか1つであり、
前記サンプルのpHを上げるための前記pH調製溶液は、重炭酸アンモニウム、又は、酢酸アンモニウムの何れか1つであることを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記圧力負荷部による圧力の負荷により前記固相カートリッジから排出された前記サンプルの廃液を中和するための中和溶液を添加する中和機構を備えたことを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記固相カートリッジにより前記サンプルから分離する目的成分の情報を設定する目的成分情報設定手段を備え、
前記制御部は、前記目的成分の情報に基づいて、前記pH調製溶液の種類を選択することを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置の前処理装置において、
前記制御部は、前記制御前記pH測定器の測定結果が前記目的成分の情報に予め定めた範囲内になるように前記pH調製処理の各工程を実施することを特徴とする自動分析装置の前処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の前処理装置と、前記前処理装置により前処理を施されたサンプルの質量分析を行う質量分析部とを備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251937(P2012−251937A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126438(P2011−126438)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】