説明

前庭‐眼球運動機能の検査システムおよび方法

本発明は、前庭‐眼球運動機能の検査システムおよび方法に関する。本発明の一観点は、複数の軸受部によって支持されるトラックと、このトラックを選択的に変位させるように構成されたエンジンと、トラックに連結された頭部連結部品とを含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を提供する。頭部連結部品は、エンジンによって生成される運動を1軸または2軸以上において対象の頭部に伝えるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前庭‐眼球運動機能の検査を行う方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2008年4月14日付け出願の米国特許仮出願番号第61/124122号の優先権を主張するものである。この特許出願の内容の全文を参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
連邦支援研究開発の下でなされた発明に対する権利についての記載
本発明は、米国国立保健研究所により授与された認可番号NIH/NIDCD K08DC006216の下での政府支援によりなされたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有するものである。
【0004】
内耳に位置する前庭迷路は、頭部運動の知覚、空間方位の知覚、および注視安定化反射および姿勢安定化反射に対する支配的な入力をもたらす感覚器からなっている。それぞれの耳には、回転頭部運動を検出する3つのほぼ直交する半規管に加えて、線形加速度を変換する耳石末端器(otolithic endorgans)がある。前庭系は、前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex:VOR)を媒介し、この前庭動眼反射は頭部運動の間、空間に対して眼球を安定化させて、頭部および胴部が高頻度、高加速度で不随意的に動揺を受ける間においても、明瞭で安定した視覚を可能にするため、健常な前庭系は、正常視覚、平衡、および頭部方位を維持するために必須である。
【0005】
医療提供者にとっての課題は、患者の潜在的な不快を最小化するような方法で、前庭機能の迅速で正確な診断を得ることである。現在の前庭感覚機能の測定方法は、大きさ、費用、使用の容易さ、患者の受容性、可搬性、精度、および高度な熟練オペレータの必要性に関して最適状態に及ばない。
【0006】
前庭機能評価の現在の標準的方法の1つは、温度刺激検査である。この検査は、体温よりも高いか、あるいは低い温度の水で患者の耳を洗浄して、同側の水平半規管に対流を生成させることを含み、これによって測定可能な眼球運動が導出される。眼球運動反応は、通常、電気眼球図記録法を使用して測定され、この電気眼球図記録法は水平眼球角度位置に対する近似を与えるだけである。この検査は、患者にとって不快であることが多く、したがって患者が許容しないことによって失敗する可能性がある。
【0007】
温度刺激検査は、内耳の一部分(すなわち、水平半規管)の機能に関する情報を与えるだけであり、その他の内耳迷路感覚器(すなわち、前半規管、後半規管、卵形嚢、または球形嚢)の機能に関する情報を与えることはできない。温度刺激検査は、低頻度VOR能力のみの検査に限定され、したがって、注視を安定化させるのにVORがそれに対して最も重要となる、高加速度、高頻度の過渡的頭部運動のVOR能力を正確に評価することはできない。温度刺激検査用の装置には、高度に熟練したオペレータが必要となる。
【0008】
前庭機能評価の現在の別の標準的な方法は、回転椅子検査である。この検査のための装置は回転モータを備え、その上で患者が椅子に着座する。このモータは、全身回転を生成して、VOR機能の評価に使用される眼球運動反応を測定する手段を生成する。これによって、高頻度の頭部運動に対する前庭反応の試験が温度刺激検査よりも可能となるが、それはなお、健常な対象において通常、VORが注視を安定化させる範囲よりも低い頭部加速度と頻度に限定される。この椅子は対象の全身を運動させなければならないので、高トルク、高出力のモータが必要であり、回転椅子検査装置は、製作、設置、および保全が非常に高価であるのに加えて、大型で潜在的な危険性がある。回転椅子検査を行うには、高度に熟練した技術者が必要となる。コスト、大きさ、および複雑さにもかかわらず、通常の回転椅子装置は、水平半規管の機能を測定するだけであり、内耳迷路内部のその他の感覚器についての情報を与えない。
【0009】
温度刺激検査および回転椅子検査の短所を克服する試みの結果として、高加速度、高頻度の頭部運動刺激を付加して、回転椅子に必要な費用とスペースなしにVOR能力を調べるために、ヘッド・オン・ボディ(head-on-body)回転を使用することになった。
訓練を受けた検査員によって、手動による頭部押圧力(迅速で、過渡的、小振幅のヘッド・オン・ボディ回転)を、患者に与えることができる。これには、検査員が患者の頭部を把持して、頭部を高加速で回転させてVORを喚起することを必要とする。眼球運動は、通常、磁気式、電気式、またはビデオ式のシステムを使用して記録される。人間検査員によって生成され、手動で加えられる頭部回転は、試行毎の変動が大きく、この評価方法の収率を低下させる。
したがって、大きな資金とフロアスペースを投入する必要なく、訓練にばらつきのある医療提供者が、均一にヘッドインパルス検査(head impulse testing)を施すことができるようにする装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、前庭‐眼球運動機能の検査システムおよび方法に関する。
本発明の一観点は、複数の軸受部によって支持されたトラック、このトラックを選択的に変位させるように構成されたエンジン(engine)、およびトラックに連結された頭部連結部品を含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を提供する。この頭部連結部品は、エンジンによって生成される運動を、1軸または2軸以上において対象の頭部に伝えるように構成されている。
【0011】
この観点は、様々な態様を有することができる。この装置には、対象の眼球方位および眼球運動を記録するように構成された、眼球運動記録装置を含めることができる。眼球運動記録装置は、ビデオ眼球運動記録装置とすることができる。ビデオ眼球運動記録装置には、対象の眼球の運動を解析するために、カメラおよびカメラと連絡する解析モジュールを含めることができる。ビデオ眼球運動記録装置には、対象の頭部に取り付けるための1つまたは2つ以上のマーカーを含めることができる。解析モジュールは、1つまたは2つ以上のマーカーの運動を解析することによって、対象頭部のカメラからの部分的離脱を補正するように構成することができる。眼球運動記録装置は、サーチコイルとすることができる。眼球運動記録装置は、電気眼球図記録装置とすることができる。
【0012】
本検査装置は、対象の筋電位を記録するように構成された装置を含めることができる。本検査装置には、対象の神経電位を記録するように構成された装置を含めることができる。
エンジンは、電気モータとすることができる。電気モータは、ステッパーモータ、サーボモータ、またはリニアアクチュエータとすることができる。エンジンは油圧ピストンまたは空圧ピストンとすることができる。
頭部連結部品は、バイトブロック、ヘルメット、または一群の頭部固定パッドとポストによって、対象の頭部に連結することができる。
【0013】
装置には、複数の軸において対象の頭部の回転を容易にするように構成された、1つまたは2つ以上の角度調節式コネクタを含めることができる。装置には、エンジンを選択的に作動させる制御手段を含めることができる。エンジンには、フィードバックセンサを含めることができる。前庭‐眼球運動機能検査装置は、可搬型スタンド上に装着することができる。トラックは、曲線トラックまたは直線トラックとすることができる。トラックは、不安全な量の運動が生じる前に、エンジンから係合解除されるように寸法決めすることができる。装置には、頭部連結部品に連結された運動センサを含めることができる。本装置には、1組または2組以上の追加の軸受部によって支持される、1つまたは2つ以上の追加のトラックを含めることができる。
【0014】
本発明の別の観点は、対象における前庭機能を導出する方法を提供する。この方法は、複数の軸受部で支持されたトラックと、該トラックを選択的に変位させるように構成されたエンジンと、前記トラックに連結された頭部連結部品であって、前記エンジンによって生成される運動を1軸または2軸以上において対象の頭部に伝えるように構成された前記頭部連結部品とを含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を設けること、前記対象を前記頭部連結部品と接触させて配置すること、前記対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示すること、および前記対象の頭部に運動を伝えるように前記エンジンを選択的に起動することを含む。
【0015】
本発明の別の観点は、対象における前庭‐眼球運動機能を検査する方法を提供する。本方法は、複数の軸受部で支持されたトラックと、該トラックを選択的に変位させるように構成されたエンジンと、前記トラックに連結された頭部連結部品であって、前記エンジンによって生成される運動を1軸または2軸以上において対象の頭部に伝えるように構成された前記頭部連結部品とを含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を設けること、前記対象を前記頭部連結部品に接触させて配置すること、前記対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示すること、前記対象の頭部に運動を伝えるように前記エンジンを選択的に作動させること、前庭‐眼球運動機能を測定すること、および運動センサで前記対象の頭部の運動を取り込むことを含む。
【0016】
この観点は、様々な態様を有することができる。本方法には、別の軸に沿って運動を伝えるように、前庭‐眼球運動機能検査装置の位置を変えること、1種または2種以上の追加の運動を伝えるようにエンジンを選択的に作動させること、および前庭‐眼球運動機能を測定することを含めることができる。本方法には、対象の測定された前庭‐眼球運動機能に基づいて診断レポートを作成することを含めることができる。前庭‐眼球運動機能検査装置によって対象の頭部上に加えられる運動は、反対側の耳における同面の半規管を抑制することによって、個々の興奮した半規管の機能を選択的に刺激するのに十分な加速度と速度である。
【0017】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に、異なる位置に提示される一連の標的に視線を固定するように指示することを含めることができる。対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に移動する標的を視覚的に追跡するように指示することを含めることができる。対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に鼻‐後頭軸に沿って移動する標的に視線を固定するように指示することを含めることができる。対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に、一連の高コントラストバンドが動くディスプレイ上に視線を固定するように指示することを含めることができる。対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に、周辺光の明るさが変調される間、標的に視線を固定するように指示することを含めることができる。対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップには、対象に、対象の頭部が静止している間、および対象の頭部がエンジンによって動かされている間に、ディスプレイ上に提示される文字またはその他の記号の識別と方位を指摘するように指示することを含めることができる。1つまたは2つ以上の標的は、電子ディスプレイ上に提示することができる。
【0018】
本発明の本質と所望の目的をより完全に理解するために、添付の図面と合わせて以下の詳細な説明を参照するが、ここで参照と同様に、記号はいくつかの図を通して対応部品を表わすものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、ヘッドインパルス検査の間における対象の頭部の運動の軸を示す図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一態様による前庭‐眼球運動機能検査装置の分解斜視図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一態様によるビデオ眼球運動記録装置を含む、前庭‐眼球運動機能検査装置の斜視図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一態様による、第2の軸における運動を伝えるように回転した前庭‐眼球運動機能検査装置の斜視図である。
【0020】
【図2D】図2Dは、本発明の一態様による角度調節式コネクタの内部構造を示す、前庭‐眼球運動機能検査装置の部分分解斜視図である。
【図2E】図2Eは、本発明の一態様による直線トラックを含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を示す図である。
【図2F】図2Fは、本発明の一態様による複式トラックを含む、前庭‐眼球運動機能検査装置を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一態様による前庭‐眼球運動機能の検査方法を示す図である。
【0021】
定義
本発明は、以下の定義を参照すると最も明快に理解される:
本明細書および特許請求の範囲に使用されるときには、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を含むものである。
「対象」とは、それに限定はされないが、ヒトを含む任意の哺乳類を含むものと理解される。「対象」の用語は、具体的には霊長類を含む。
【0022】
「医療提供者」とは、患者に医療を提供するすべての人を意味するものと理解される。そのような人としては、それに限定はされないが、医者(例えば、家庭医および耳鼻咽喉科医)、医療助手、看護士(例えば、上級登録看護士(Advanced Registered Nurse Practitioner:ARNP)、看護婦、実習生、インターン、医学生、その他を含む。様々な行政管轄において、上記に列挙した職業の1種または2種以上には様々な認可要件が適用されるが、本特許出願の目的に対しては、医療提供者の用語は制限を受けるものではない。
【0023】
詳細な説明
本発明は、前庭‐眼球運動機能の検査システムおよび方法に関する。本発明は、前庭‐眼球運動機能のための、1軸または2軸以上におけるヘッドインパルス検査、ヘッドヒーブ(head heave)検査、およびヘッドサージ(head surge)検査の実現において特に有用である。
本発明は、既存の方法に対していくつかの利点をもたらす。本発明の態様は、業界標準の回転椅子に比較して寸法が小型である。本発明の態様は、6つの半規管および4つの耳石末端器のそれぞれの機能を、高い精度と反復性で個別に検査することができる。本発明の態様は、回転軸と平行移動軸に沿った伝達運動の間での迅速な切り替えが可能である。本発明の態様は、頭部‐対‐カメラの離脱を補償しながら、非接触ビデオ技術によって3次元での眼球運動反応を測定することができる。本発明の態様は、所定の範囲の頭部運動と加速度を超えて動くことによって、対象に傷害を与えることができないように設計されている。本発明の態様は、医療提供者が、角および線形VOR、サッカード、円滑追跡、視線運動反応、両眼転導、アライメント、瞳孔反射、動体視力、および頭部運動中の注視安定性を含む、前庭‐眼球運動機能の総合的評価を行うことを可能にする。
【0024】
ヘッドインパルス検査(Head Impulse Test)
角前庭動眼反射(VOR)は、回転頭部運動中に網膜上の像の動きを低減するために、注視を安定化させる。角前庭動眼反射機能は、図1に示すように、対象の頭部が迅速に操作される、ヘッドインパルス検査によって測定することができる。健常な半規管104a〜fにより媒介される正常な角VOR機能を有する、対象102においては、頭部が回転するときに、眼球は標的に固定されたままとなる。異常な角VOR機能を有する対象は、回転中に標的への固視を維持することができず、頭部が運動を停止すると、補正的な注視移動を必要とする。この検査は、1対の半規管の軸の回りの高加速度の頭部回転によって、他の半規管からの出力を実質的に沈黙させる間に、1つの半規管を選択的に興奮させ、VOR媒介眼球運動反応が、興奮した半規管機能単独の検定法となることを利用することによって、6つの半規管のそれぞれの機能を個別に評価するように選択的に適用することができる。ヘッドインパルス検査は、G.M. HalmagyiおよびLS. Curthoys著、「A clinical sign of canal paresis」、45 Arch. Neurol. 737-39(1988年)を含む、様々な刊行物に記載されている。
【0025】
ヘッドヒーブ(Head Heave)検査
線形VORは、平行移動での頭部運動中に網膜上の像の動きを低減するために注視を安定化させる。線形VOR機能は、対象の頭部が両耳間軸に沿って急速に平行移動される、ヘッドヒーブ検査によって測定することができる。健常な耳石末端器(otolithic endorgans)によって媒介される正常な線形VOR機能を有する対象においては、頭部が平行移動させられるときに、眼は標的上に固定されたままとなる。異常なVOR機能を有する対象は、平行移動の間に標的への固視を維持することができず、頭部が運動を停止すると、補正的な注視移動が必要となる。ヘッドヒーブ検査は、S.Ramat他著、「Translational vestibulo-ocular reflex evoked by a 'head heave' stimulus」、942 Ann. N.Y. Acad. Sci. 95-113 ( 2001年10月)を含む、様々な刊行物に記載されている。
【0026】
ヘッドサージ(Head Surge)検査
線形VOR機能は、対象の頭部が鼻‐後頭(naso-occipital)軸に沿って急速に平行移動されるヘッドサージ検査によっても測定することができる。健常な耳石末端器によって媒介される正常な線形VOR機能を有する対象においては、頭部が平行移動するときに、眼は標的上に固定されたままとなる。異常なVOR機能を有する対象は、平行移動の間に標的への固視を維持することができず、頭部が運動を停止すると、補正的な注視移動が必要となる。ヘッドサージ検査は、J.R. Tian他著、「Effect of unilateral vestibular deafferentation on the initial human vestibulo-ocular reflex to surge translation」、176(4) Exp Brain Res. 575-87 (2007年2月)を含む、様々な刊行物に記載されている。
【0027】
前庭‐眼球運動機能検査装置
次に図2Aを参照すると、前庭‐眼球運動機能検査装置200aの分解図が示されている。本検査装置200aは、複数の軸受部204a〜dによって支持されたトラック202を含む。態様によっては、所望の運動軸以外の方向における不要な運動を低減するために、複数のトラックを連結することができる。エンジン206が、トラック202を選択的に変位させる。頭部連結部品208は、エンジン206によって生成される制御された過渡的な、正弦波状の、またはその他の運動を対象の頭部に伝えるように、トラック202に連結されている。トラック202は、図2Aに示すように曲線トラック202a(例えば、円弧または円)とするか、または図2Eに示すように直線トラック202bとすることができる。
【0028】
トラック202および軸受部204a〜dは対合し、それによってトラックの損耗や不要な運動を防止するように設計することができる。例えば、トラック202の湾曲側面には、軸受部204a〜dの形状と相互作用する、1つまたは2つ以上の溝を含めることができる。
エンジン206は、入力に応答して力を生成する任意の機械装置とすることができる。態様によっては、エンジン206は、ステッパーモータもしくはサーボモータなどの電気モータ、またはリニアアクチュエータである。他の態様においては、空圧ピストンもしくは油圧ピストン、またはタービンである。好ましくは、エンジン206は、トラック202を所定の距離だけ迅速に変位させる、高速作動が可能である。
【0029】
一態様において、検査装置200aは、対象の頭部を各方向に約120ミリ秒間だけ動かし、そのうち約60ミリ秒が約3000°毎秒毎秒の加速に当てられ、約60ミリ秒が約−3000°毎秒毎秒の減速に当てられる。この運動の結果、約1m毎秒の最大直線トラック速度で所与の軸の回りに約15°の頭部回転が生じる。かかる速度は、健常な対象と不適切な角VORの機能を有する対象との差異を識別するのに十分である。この態様においては、エンジンおよびエンジン運動をトラックに連結する手段は、頭部を所望の加速度で動かすのには十分なトルクであるが、対象に傷害を与えるには不十分なトルクを生成するように設計される。
【0030】
エンジン206とトラック202とは、様々な手段で連結することができる。態様によっては、エンジン206はギアに連結され、トラック202はそのギアと接触する複数の歯を含む。エンジン206とトラック202の間には変速機または1つまたは2つ以上のギアを配置して、適当な速度および/またはトルクを得やすくすることができる。
【0031】
図2Aに示す別の態様においては、エンジン206によってゴム車輪210が回転される。ゴム車輪210の回転は摩擦によって連結されてトラック202を変位させる。ゴム車輪210を使用することによって、何らかの大きな抵抗があるとゴム車輪210がスリップし、それによって対象の頭部が強制的に回転されるのが防止されるので、検査装置200aの安全性が向上する。
軸受部204は、締結具214a〜cによってエンジン206に調節可能に連結されるプレート212上に装着することができる。もう1つの締結具214を、エンジン206および/またはゴム車輪210に対して一方向にプレート212がスライドすることを可能にする、1つまたは2つ以上のスロット216内部に置くことができる。態様によっては、締結具214は、スクリュー、ボルト、その他のネジ付締結具とすることができる。
【0032】
エンジン206は、トラック202を設定位置に変位させるように作動可能であるが、検査装置200aには、トラック202の望ましくない変位を防止し、それによって対象の頭部が安全な運動範囲を超えて回転するのを防止するために、追加の機能を含めることができる。トラック202が円弧または直線のトラックである態様においては、エンジン206(および、態様によってはゴム車輪210)は、曲線トラック202がある点を超えて動かされると、曲線トラック202と係合しなくなる。これは対象を傷害から保護するのに十分であるが、曲線202を軸受部204およびエンジン206から係合解除させるのは望ましくない場合がある。したがって、一部の態様は、トラック202の一端または両端にストッパー217a、217bを含む。態様によっては、ストッパー217は、スクリュー、ボルト、リベット、その他でトラック202に取り付けられたワッシャである。
【0033】
眼球運動記録装置およびシステムの組込み
本明細書において記載する前庭‐眼球運動機能検査装置200は、様々な眼球運動記録装置およびシステムと組み合わせること、および/または一緒に使用することが可能である。眼球運動記録装置およびシステムは、対象の頭部に対して1次元から3次元でそれぞれの眼球の運動を記録し、角VORおよび/または線形VORの動的特性を特徴づけるパラメータ(例えば、速度ゲイン、加速度ゲイン、待ち時間、最大速度、スペクトル、その他)を計算する。眼球運動記録装置およびシステムはまた、データおよび計算されたパラメータを表示および/または記録するとともに、臨床診断環境または研究室環境での使用に好適な1つまたは2つ以上のレポートを作成することも可能である。
【0034】
例えば、図2Bを参照すると、例示的な前庭‐眼球運動機能検査装置200bは、ビデオ眼球運動記録装置218を含む。現在、様々なビデオ眼球運動記録装置が入手可能であり、例えば、米国特許第7044602号、第7234812号、第7465050号、および米国特許出願公開第2004/0227699号、第2006/0098087号、第2007/0177103号などの刊行物に記載されている。ビデオ眼球運動記録装置218には、カメラ(図2Bに示す)を含めることができる。ビデオ眼球運動記録装置は、オランダ国、デルフトのSkalar Medical BVから入手可能である。
【0035】
他の態様において、眼球運動を追跡するのにサーチコイルが使用される。サーチコイルは、眼球に植え付けるか、貼り付けるか、またはコンタクトレンズ内部に組み込むことができる。サーチコイルは、H. Collewijn他著、「Human ocular counterroll: assessment of static and dynamic properties from electromagnetic scleral coil recordings」、59 Exp. Brain Res. 185-96、(1985年);D.P. Gilchrist他著、「High acceleration impulsive rotations reveal severe long- term deficits of the horizontal vestibulo-ocular reflex in the guinea pig」、123 Exp. Brain Res. 242-54、(1998年);L.B. Minor 他著、「Horizontal vestibuloocular reflex evoked by high-acceleration rotations in the squirrel monkey」、82 J. Neurophysiol. 1254-70、(1999年);G.D. Paige、D.L. Tomko著、「Eye movement responses to linear head motion in the squirrel monkey」、65(5) L Neurophsiol. 1170-82、(1991年);およびD.A. Robinson著、「A method of measuring eye movement using a scleral search coil in a magnetic field」、10 IEEE Trans. Biomed. Eng. 137-45、(1963年)などの刊行物に記載されている。強膜サーチコイルは、オランダ国、デルフト、Skalar Medical BVから入手可能である。
【0036】
さらに別の態様においては、電気眼球図記録装置が、眼球運動を追跡するのに使用される。電気眼球図記録装置は、米国特許第4320768号、第4474186号、第4595017号、第4653001号、および第5823190号などの刊行物にある。
追加的または代替的に、検査装置には、対象の筋電位および/または神経電位を、前庭‐眼球運動反応に対する代用として記録するように構成された装置を含めることができる。筋電計(EMG)などの筋電位を記録するための装置が当業者には知られており、Koichi Sakakura他著、「Novel Method for Recording Vestibular Evoked Myogenic Potential: Minimally Invasive Recording on Neck Extensor Muscles」、115 The Laryngoscope 1768-73、(2005年10月)などの刊行物に記載されている。神経電位は、当業者に知られている様々な脳波記録(EEG)装置および/または脳磁気図記録装置によって測定することができる。
【0037】
1つまたは2つ以上の運動センサ219(例えば、ジャイロスコープおよび加速度計)を頭部連結部品208と連結して、エンジン206によって誘発される頭部運動を測定することができる。磁気サーチコイルを組み入れた態様においては、センサ219は、頭部連結部品208に連結された追加の磁気コイルとすることができる。
【0038】
本明細書において記載した眼球運動記録装置のそれぞれには、対象の眼の動きを記録し解析するように構成された、1つまたは2つ以上の解析モジュールを含めることができる。解析モジュールは、眼球運動機能(例えば、角VORおよび線形VOR、サッカード、円滑追跡、視線運動反応、両眼転導、およびアラインメント)、瞳孔反射、ならびに頭部運動中の動体視力および注視安定性を測定するデータを検出して計算することができる。様々なデータ処理方法が、D. Straumann他著、「Transient Torsion During and After Saccades」、35(23/24) Vision Res. 3321-34(1995年)などの刊行物に記載されている。
態様によっては、1つまたは2つ以上のマーカーが対象の頭部に取り付けられる。これらのマーカーは、解析モジュールによって識別されて、解析モジュールが、1つまたは2つ以上のマーカーの運動を解析することによって、カメラからの対象頭部の部分的な離脱を補正することが可能になる。
【0039】
頭部連結部品
頭部連結部品208は、エンジン206によって生成された運動を対象の頭部に伝えるように構成される。さらに図2Bを参照すると、頭部連結部品208は、対象の口に挿入されるバイトブロック(bite block)220とするか、またはそれに連結することができる。バイトブロック220は、陽極酸化アルミニウムまたはステンレス鋼などの硬質材料とすることができる。態様によっては、バイトブロック220は、検査装置200bから容易に離脱して、バイトブロック220の迅速な交換と(例えば、オートクレーブにより)消毒を行うことができる。バイトブロック220は、当業者に知られている様々な歯科用印象材料で包んで、バイトブロック220から対象の頭部へより効率的に力を伝達するとともに、検査中に対象の歯を保護することができる。
【0040】
その他の態様において、頭部連結部品208は、対象が身に着けるヘルメットとするか、またはそれに連結される。このヘルメットには、発泡部品および/または膨張式部品および/または1つまたは2つ以上のストラップを含めて、頭部連結部品208から対象の頭部へのトルクおよび力の効率的な伝達を推進することができる。
別の態様においては、頭部連結部品208は、一群の頭部固定パッドとポストとするか、またはそれに連結される。米国特許第4278249号における装置のような、パッドとポストの様々な構成を設けることができる。
【0041】
角度調節式コネクタ
さらに図2Bを参照すると、検査装置200bは、ハンドル224でロックするか、または解除することのできる、1つまたは2つ以上の角度調節式コネクタ222に装着することができる。角度調節式コネクタ222は、図2Cに示すように、別の方向への伝達運動を適用するために、検査装置200bを迅速に回転させることを可能にする。検査装置200bは、穴225を介して締結具で(例えば、スクリュー、ボルト、釘、リベット、その他)でテーブルまたはスタンドに連結することができる。態様によっては、検査装置200bは、可搬型スタンド(例えば、折り畳み式スタンドまたは1つまたは2つ以上の車輪もしくはキャスタを含むスタンド)に連結される。
図2Bおよび2Cに示すように、バイトブロック220は、複数のポスト226a、226b、および226cを含む。ポスト226cは、頭部連結部品208内部に受け入れられているので、図2Cにおいては見えない。これらの複数のポスト226によって、検査装置200bが回転するとき、バイトブロック220を様々な角度で装着することが可能になる。
【0042】
バイトブロック220および/または頭部連結部品208は、運動が対象の頭部に伝えられるときに、特定の管を隔離するように構成することができる。例えば、水平半規管は、地水平より約20°上方に向いている。バイトブロック220は、対象がバイトブロック220をその口の中に入れたときに、対象の半規管が水平となるように、ポスト226bに対して約20°の角度に向けることができる。同様に、適当なポスト226a、226cが頭部連結部品208中に挿入されたときに、運動軸が左前/右後(LARP)軸または右前/左後(RALP)軸と一致するように、ポスト226aおよび226cは、ポスト226bに対して約45°の角度にすることができる。別の態様においては、連結器222およびバイトブロック220は、頭部回転の軸を、その他所望の軸、例えばピッチ軸またはロール軸と一致させるように形成することができる。
【0043】
図2Dを参照すると、角度調節式コネクタ222の一態様の内部構造が示されている。角度調節式コネクタ222には、1つまたは2つ以上の戻り止め226a、226bを含めることができる。戻り止め226a、226bは、角度調節式コネクタ222の対向部材上の相補的形状と相互作用して、ハンドル224が締められるときに、検査装置200bを所望の角度に保持する。代替的に、角度調節式コネクタ222は、ハンドル224が締められるときに、摩擦だけによって(すなわち、戻り止め226なしで)検査装置200bを保持することができる。
【0044】
直線トラック態様
図2Eを参照すると、本発明の様々な態様は、直線トラック202bを含む。直線トラック202bによって、ヘッドヒーブ(両耳間平行移動検査)の実現が可能になる。トラック202bが水平ではなく垂直に(すなわち、対象の鼻の方向に)動くように(例えば、角度調節式コネクタ222を使用して)検査装置200eを配置することによって、ヘッドサージ検査も直線トラック態様で実現することができる。
【0045】
トラック交換
図2A〜2Dを参照すると、本発明の様々な態様は、(例えば、異なる検査を実施するか、または対象の異なる物理的寸法に検査装置200bを調節するために)トラック202を迅速に変更し、それによって検査装置202によって生成される運動を変更することを可能にする。プレート212を移動させ、ゴム車輪210と軸受部204によるトラック202のグリップを解放させるために、締結具214を緩めることができる。次いで、トラック202を取り外して、異なる形状および/または曲率半径を有する別のトラック202と取り換えることができる。その後、プレート212が正常な動作位置に戻されて、締結具214が締められる。
【0046】
複式トラック態様
図2Fを参照すると、いくつかの態様は、1組または2組以上の追加の軸受部204e〜204hによって支持された、複式トラック202c、202dを含む。追加のトラック202は、運動軸以外の方向での望ましくない支持を防止するために追加の支持を行う。複式トラック202c、202dは、トラック202cとトラック202dの間にまたがるストッパー217c、217dを含む様々な方法で連結することができる。追加的または代替的に、1つまたは2つ以上のスクリュー、ボルト、スペーサ、および/またはポスト228a、228bをトラック202c、202dを貫通して延ばしてもよい。
【0047】
前庭‐眼球運動機能検査方法
図3を参照すると、前庭‐眼球運動機能の検査方法300が与えられている。
ステップS302において、例えば、本明細書に記載する態様による、前庭‐眼球運動機能検査装置が設けられる。
ステップS304において、対象が、頭部連結部品208と接触して配置される。このステップには、対象102に(好ましくは歯科用印象材料を備える)バイトブロック220を噛みつかせることを含めることができる。他の態様においては、対象の頭部が、ヘルメット、または頭部連結部品208に取り付けられた一群のポストとパッドに配置される。対象は立ち姿勢、着座姿勢、前かがみ姿勢、または仰向け姿勢とすることができる。
【0048】
ステップS306において、対象102は、1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示される。サッカード眼球運動を測定するために、対象102は、ディスプレイ上の異なる位置に提示される一連の標的に視線を固定するように指示される。円滑追跡眼球運動を測定するために、対象102は、ディスプレイ上に提示される移動標的を視線で追跡するように指示される。両眼転導眼球運動を測定するために、対象102は、鼻‐後頭軸に沿って移動する標的に視線を固定するように指示される。視線運動性眼球運動を測定するために、対象102は、一連の高コントラストバンドが移動するスクリーンに視線を固定するように指示される。瞳孔収縮反応または瞳孔拡大反応を測定するために、対象102は、周辺光の明るさが増減される間に、標的に視線を固定するように指示される。対象の静的および動的な視力を測定するために、対象102は、対象の頭部が静止している間、および対象の頭部がステップS308におけるエンジン206によって動かされている間に、ディスプレイ上に提示される文字またはその他のマークの識別および方位を指摘するように指示される。
【0049】
ステップS308において、エンジン206は、対象の頭部に運動を伝えるように選択的に作動される。この運動は、距離、速度、および/または加速度において変化させることができる。態様によっては、測定の信頼性を向上させるために、運動は数回繰り返される。
ステップS310において、対象の前庭‐眼球運動機能の運動が(例えば、眼球運動記録装置、EMG装置、またはEEG装置で)測定され、対象の頭部の運動が、1つまたは2つ以上の運動センサ(例えば、ジャイロスコープおよび/または加速度計)によって取り込まれる。
ステップS312において、別の軸に沿った運動を伝えるために、検査装置200の位置が変えられる。
ステップS314において、診断レポートが(例えば、眼球運動記録装置、EMG装置、またはEEG装置によって)作成される。
【0050】
制御構造
当業者であれば、本明細書において説明したシステムおよび方法は、ハードウエア、ソフトウエア、または両者の組み合わせによって実施できることを認識するであろう。具体的には、制御装置によって、対象の頭部に運動を伝えるためにモータ206に適当な量の電気を選択的に流すことができる。この制御装置はまた、眼球運動記録装置218および運動センサ219からのデータを取り込むこともできる。このデータは、特定の運動と関連付けることができる。
【0051】
制御装置には、医療提供者が検査装置200の操作制御および診断レポートを見ることを可能にする、1つまたは2つ以上のユーザインターフェイスを含めることができる。代替的に、この制御装置は、完全に自動化して、医療提供者によってあらかじめプログラムするか、または選択することのできる一連の検査を実施することができる。
この制御装置には、医療提供者とのコミュニケーションのために、オーディオ部品(例えば、オーディオ出力ジャック、スピーカ、ヘッドフォン、その他)および/またはビデオ部品(例えば、ディスプレイ)を含めることができる。例えば、この制御装置は、本明細書で考察したような1つまたは2つ以上の標的の固視または追跡に関して、対象に音声的または視覚的な指示を与えることができる。同様に、本制御装置は、1つまたは2つ以上の標的をディスプレイ上に投影することができる。
【0052】
参照による組み入れ
本明細書において開示されたすべての特許、公開特許出願、およびその他の参考文献は、その全文を参照により明白に組み入れる。
【0053】
均等物
いくつかの要素の機能は、代替的な態様において、より少ない要素、または単独の要素で実行されてもよい。同様に、態様によっては、いずれかの機能要素は、説明された態様について記載されたものより少数の、または異なる動作を行ってもよい。また、説明の目的で異なるものとして示された機能要素(例えば、モジュール、データベース、コンピュータ、クライアント、サーバー、その他)は、その他の機能要素内に組み入れたり、異なるハードウエアに分離したり、または特定の実装形態に割り当てられてもよい。
【0054】
本発明による特定の態様について説明したが、本発明は、説明したそれらの態様に限定されるものではない。様々な変更および/または修正を、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、説明した態様のいずれに対しても行うことができる。また、説明した態様の要素、ステップ、特徴、および/または観点の様々な組み合わせが可能であり、そのような組み合わせが本明細書において明白に特定されていなくても予期される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軸受部に支持されたトラック、
該トラックを選択的に変位させるように構成されたエンジン、および
前記トラックに連結された頭部連結部品であって、前記エンジンによって生成される運動を1軸または2軸以上において対象の頭部に伝えるように構成された前記頭部連結部品
を含む、前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項2】
対象の前庭‐眼球運動機能を測定するように構成された眼球運動記録装置をさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項3】
眼球運動記録装置がビデオ眼球運動記録装置である、請求項2に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項4】
ビデオ眼球運動記録装置が、
1つまたは2つ以上のカメラ、および
対象の眼球の運動を解析するためのカメラと連絡する解析モジュール
を含む、請求項3に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項5】
ビデオ眼球運動記録装置が、対象の頭部に取り付けるための1つまたは2つ以上のマーカーを含み、
解析モジュールが、前記1つまたは2つ以上のマーカーの運動の解析によって、カメラからの対象頭部の部分的な離脱を補正するように構成されている、請求項4に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項6】
眼球運動記録装置がサーチコイルである、請求項2に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項7】
眼球運動記録装置が電気眼球図記録装置である、請求項2に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項8】
対象の筋電位を記録するように構成された装置をさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項9】
対象の神経電位を記録するように構成された装置をさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項10】
エンジンが電気モータである、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項11】
電気モータが、ステッパーモータ、サーボモータ、およびリニアアクチュエータからなる群から選択される1種である、請求項10に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項12】
エンジンが、油圧ピストンまたは空圧ピストンである、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項13】
頭部連結部品が、バイトブロックによって対象の頭部に連結される、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項14】
頭部連結部品が、ヘルメットによって対象の頭部に連結される、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項15】
頭部連結部品が、一群の頭部固定パッドとポストによって対象の頭部に連結される、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項16】
複数の軸において対象の頭部の回転を容易にするように構成された、1つまたは2つ以上の角度調節式コネクタをさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項17】
エンジンを選択的に作動させる制御手段をさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項18】
エンジンがフィードバックセンサを含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項19】
前庭‐眼球運動機能検査装置が可搬型スタンド上に装着される、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項20】
トラックが曲線トラックである、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項21】
トラックが直線トラックである、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項22】
トラックが、不安全な量の運動が生じる前に該トラックがエンジンから係合解除されるように寸法決めされている、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項23】
頭部連結部品に連結された運動センサをさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項24】
1組または2組以上の追加の軸受部によって支持される、1つまたは2つ以上の追加のトラックをさらに含む、請求項1に記載の前庭‐眼球運動機能検査装置。
【請求項25】
対象における前庭機能を導出する方法であって、
複数の軸受部に支持されたトラック、
該トラックを選択的に変位させるように構成されたエンジン、および
前記トラックに連結された頭部連結部品であって、前記エンジンによって生成される運動を対象の頭部に1軸または2軸以上で伝えるように構成された前記頭部連結部品を含む、
前庭‐眼球運動機能検査装置を設けること、
前記対象を前記頭部連結部品に接触させて配置すること、
前記対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示すること、および
対象の頭部に運動を伝えるように前記エンジンを選択的に作動させること
を含む、前記方法。
【請求項26】
対象における前庭‐眼球運動機能を検査する方法であって、
複数の軸受部に支持されたトラック、
該トラックを選択的に変位させるように構成されたエンジン、および
前記トラックに連結された頭部連結部品であって、前記エンジンによって生成される運動を対象の頭部に1軸または2軸以上で伝えるように構成された前記頭部連結部品を含む、
前庭‐眼球運動機能検査装置を設けること、
前記対象を前記頭部連結部品に接触させて配置すること、
前記対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示すること、
対象の頭部に運動を伝えるように前記エンジンを選択的に作動させること、
前庭‐眼球運動機能を測定すること、および
運動センサで前記対象の頭部の運動を取り込むこと
を含む、前記方法。
【請求項27】
別の軸に沿って運動を伝えるように前庭‐眼球運動機能検査装置の位置を変えること、
1種または2種以上の追加の運動を伝えるようにエンジンを選択的に作動させること、
前庭‐眼球運動機能を測定すること、および
運動センサで対象の頭部の運動を取り込むこと
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
対象の測定された前庭‐眼球運動機能に基づいて診断レポートを作成することさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前庭‐眼球運動機能検査装置によって対象の頭部上に加えられる運動が、反対側の耳における同面の半規管を抑制することによって、個々の興奮した半規管の機能を選択的に刺激するのに十分な加速度と速度である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、前記対象に、異なる位置に提示される一連の標的に視線を固定するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、対象に移動する標的を視覚的に追跡するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、対象に鼻‐後頭軸に沿って移動する標的に視線を固定するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、対象に、一連の高コントラストバンドが動くディスプレイ上に視線を固定するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、対象に、周辺光の明るさが変調される間、標的に視線を固定するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
対象に1つまたは2つ以上の標的を固視または追跡するように指示するステップが、対象に、対象の頭部が静止している間、および対象の頭部がエンジンによって動かされている間に、ディスプレイ上に提示される文字またはその他の記号の識別と方位を指摘するように指示することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
1つまたは2つ以上の標的が、電子ディスプレイ上に提示される、請求項26に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−519293(P2011−519293A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505128(P2011−505128)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040486
【国際公開番号】WO2009/129222
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(311005323)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー (1)