説明

前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート

【課題】運転席に、装備の前後方向に生じる振動及び衝撃を緩衝手段の駆動により減殺させることによって運転者を保護することができるようにした前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートを提供する。
【解決手段】サスペンションプレート上に取り付けられる下板部材と、下板部材上に装備の前後方向に摺動可能に装着される上板部材と、装備の前後方向に生じる衝撃及び振動を下板部材に対する上板部材の相対運動により減殺させる緩衝手段と、コンソールボックスの後方に両端が固定されるヒンジ軸と、コンソールボックスの前方に両端が固定される駆動軸と、回転方向によってコンソールボックスの高低を調節する調整ハンドルを含めるチルト手段と、主作業モード時、下板部材に対する上板部材の前後方向の移動により緩衝機能が奏され、装備の主作業モードの解除時、下板部材に対する上板部材の前後方向の移動をロックさせることによって緩衝機能が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業中又は走行中、運転席に、装備の前後方向(装備が走行するX軸方向をいう)に生じる衝撃及び振動を減殺させることができるようにした前後方向の緩衝手段を備え付けた建設機械用シートに係る。
【0002】
さらに詳しくは、装備の主作業モード時(掘削、積荷及びダンピング、走行をいう)、運転者により選ばれた緩衝手段の駆動によって、運転席に装備の前後方向に生じる振動及び衝撃を減殺させ、運転者を保護し得るようにした前後方向の緩衝手段を備え付けた建設機械用シートに係る。
【背景技術】
【0003】
一般に、掘削機の主作業モードは、掘削、走行、積荷及びダンピング、破砕などからなる。掘削機は、その特性上、作業環境の劣悪な条件下で作動させられ、しかも高荷重のものを取り扱っているため、ブームなどのような作業装置の部材は、強硬な材質から成されている。
【0004】
それ故、作業中に生じ得る強い衝撃及び振動が上部旋回体を通じて建設機械に直ぐ伝えられる。即ち、作業に応じた特定姿勢を保持したうえに同一作業を繰り返して行う運転者は、こうした衝撃及び振動に長時間露出された状態で作業を行うことになるので、運転者の疲労の程度が増加し、作業能率が低下する。
【0005】
掘削機の主作業モードによって、装備の前後方向(装備が走行するX軸方向をいう)、左右方向(Y軸方向をいう)及び上下方向(垂直方向のZ軸方向をいう)に衝撃量が生じる。
【0006】
この際、装備の前後方向に生じる振動による衝撃量が、左右方向及び上下方向に生じる振動による衝撃量より相対的に大きく発生することを実験を通じて確認することができた。
【0007】
図1に示したように、従来技術による緩衝手段を備えた建設機械用シートは、座席1及び背もたれ2からなるシート3と、運転室内の底面と座席1との間に設けられ、走行中又は作業中、上部旋回体(図示せず)を通じて座席1に垂直方向に伝えられる衝撃及び振動を緩衝させるためのサスペンション4(緩衝手段が内部に装着されている)とを含める。
【0008】
図面中、説明されていない符号5及び6は、座席1の左側及び右側に装着され、運転者による操作レバー7、8の操作時、その操作量に対応する操作信号の出力によってブーム又はアームなどの作業装置を制御するコンソールボックスである。
【0009】
従来技術による緩衝手段を備えたシートにおいて、作業中又は運転中に装備の上下方向(Z軸方向をいう)に発生され、座席1を通じて運転者に伝えられる衝撃及び振動はサスペンション4の緩衝機能によりある程度は減殺させられることができた。
【0010】
一方、掘削機の主作業モード時、サスペンション4の緩衝機能のみでは装備の前後方向(X軸をいう)に発生され、運転者に伝えられる衝撃及び振動を減殺させることができない。そのため、サスペンション4を通じて伝わる衝撃に運転者はそのまま露出されてしまい、疲れをよく感じることになり、装備の信頼性を損なう。また、高価の装備の作業能率が劣るという問題点をも抱えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施例は、掘削機の主作業モード時、運転席に、装備の前後方向に生じる振動及び衝撃を緩衝手段の駆動により減殺させることによって運転者を保護することができるようにした前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートに係る。
【0012】
本発明の実施例は、作業中又は運転中、運転者に伝えられる衝撃及び振動を減殺させることから、運転者の疲労の程度を軽減させると共に、高価の装備の作業効率を向上させることができるようにした前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートに係る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートは、サスペンションプレート上に取り付けられ、コンソールボックスが左側及び右側にそれぞれ装着される建設機械用シートにおいて、サスペンションプレート上に取り付けられる下板部材と、下板部材上に装備の前後方向に摺動可能に装着される上板部材と、下板部材に一端が固定され、上板部材に他端が固定され、装備の前後方向に生じる衝撃及び振動を下板部材に対する上板部材の相対運動により減殺させる緩衝手段と、上板部材に取り付けられるフレームと、フレームに固定され、コンソールボックスの後方に両端が固定されるヒンジ軸と、フレームに回転可能に固定され、コンソールボックスの前方に両端が固定される駆動軸と、駆動軸に連結され、回転方向によってコンソールボックスの高低を調節する調整ハンドルを含めるチルト手段と、フレームの一側に設けられるプッシャーを操作する際、下板部材に対して上板部材の前後方向の移動をロック及びアンロックさせるロック手段とを含めて、装備の主作業モード時、下板部材に対する上板部材の前後方向の移動により緩衝機能が奏され、装備の主作業モードの解除時、下板部材に対する上板部材の前後方向の移動をロックさせることによって緩衝機能が解除される。
【0014】
前述した緩衝手段は、上板部材の後方に形成の第1固定棒に一端が固定され、下板部材の中間位置に形成の固定片に他端が固定される第1弾性部材と、固定片に一端が固定され、上板部材の前方に形成の第2固定棒に他端が固定され、第1弾性部材と同一線上に配設される第2弾性部材とを含める。
【0015】
前述した緩衝手段は、上板部材の後方にヘッド部が固定され、下板部材の前方に形成の固定片にロッド部が固定されるダンパーを含める。
【0016】
前述した緩衝手段は、上板部材の後方に形成の第1固定棒に一端が固定され、下板部材の中間位置に形成の固定片に他端が固定される第1弾性部材と、固定片に一端が固定され、上板部材の前方に形成の第2固定棒に他端が固定され、第1弾性部材と同一線上に配設される第2弾性部材と、上板部材の後方にヘッド部が固定され、下板部材の前方に形成の固定片にロッド部が固定され、第1、2弾性部材に対向するように配設されるダンパーとを含める。
【0017】
前述した装備の主作業モードは、掘削モード、積荷及びダンピングモード、走行モードのうち、選択される少なくともいずれかの一つの作業モードである。
【0018】
前述したロック手段は、下板部材の底面の所定位置に貫通形成されるロック溝と、上板部材にそれぞれ回動可能に取り付けられ、ロック溝に着脱可能に組み合わせられる結合片が底面にそれぞれ形成され、上板部材の上側から突出される固定片が上面に形成されている第1ロッカーと、第1ロッカーに回動可能に連結される第2ロッカーとからなるロッカーと、ロック溝に結合片がそれぞれロックされるように第1ロッカーを弾性支持する弾性部材と、プッシャーの底面に一端が固定され、固定片に他端が固定され、プッシャーの操作に応じてロック溝に結合片をロック及びアンロックせしめ、下板部材に対して上板部材の前後方向移動をロック及びアンロックさせるケーブルとを含める。
【0019】
前述したチルト手段のフレームに取り付けられ、座席が着脱可能に取り付けられる座席プレートを含める。
【0020】
前述した第1固定棒の前後方向の移動を制限するように下板部材に装着され、下板部材に対して上板部材が所定ストロークを超える場合にそれを阻止するためのストッパーを含める。
【0021】
前述したチルト手段は、フレームの一側面の前方に固定されたブラケットに回転可能に取り付けられ、調整ハンドルが一端に固定され、螺子部が他端に形成される回転軸と、螺子部に螺合するように螺子孔が中央に貫通形成され、回転軸の回転運動を直線運動に変えるユニオンと、ユニオンに一端が回動可能に固定され、駆動軸の外側面に装着のブラケットに他端が回動可能に固定される動力伝達部材とを包含し、調整ハンドルの回転時、回転軸の回転運動を直線運動に変えるユニオンにより動力伝達部材を押したり、引っ張ることによって、ヒンジ軸を中心軸として駆動軸を回動させ、コンソールボックスの高低を調節することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、本発明の実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートは、次のような利点を奏する。掘削機の主作業モード時、装備の前後方向に発生する振動及び衝撃を運転者により選択された緩衝手段の駆動により減殺させることから、運転者を保護することが可能となる。
【0023】
また、作業中又は運転中、運転者に伝えられる衝撃及び振動を減殺させることによって、運転者の疲労の程度を軽減させると共に、装備の作業効率を高くし、装備に対する信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の望ましい実施例を添付図面に基づいて述べるが、これは、本発明の属する技術分野において通常の技術を有する者が発明を容易に実施し得る程度に詳細に説明するためのものであって、これにより本発明の技術的思想及び範疇が限定されることを意味するのではない。
【0025】
図2ないし図9に示すように、本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートは、サスペンションプレート上に取り付けられ、座席と背もたれとからなり、コンソールボックスが左側及び右側にそれぞれ装着される建設機械用シートにおいて、サスペンションプレート9上に取り付けられ、ガイドレール29、30が左側及び右側に対向するように形成されている下板部材10と、ガイドレール29、30に組み合わせられるローラー31、32により下板部材10上に装備の前後方向(装備が走行するX軸方向をいう)に摺動可能に装着される上板部材11と、下板部材10に一端が固定され、上板部材11に他端が固定され、装備の主作業モードの実行時(例えば、掘削モード、積荷及びダンピングモード、走行モードをいう)、装備の前後方向に生じ得る衝撃及び振動を下板部材10に対する上板部材11の相対運動により減殺させる緩衝手段と、上板部材10に取り付けられるフレーム25と、フレーム25に固定され、コンソールボックス5、6の後方に両端が固定されるヒンジ軸28と、フレーム25に回転可能に固定され、コンソールボックス5、6の前方に両端が固定される駆動軸27と、駆動軸27に連結され、回転方向によってコンソールボックス5、6の高低を調節する調整ハンドル12を含めるチルト手段と、フレーム25の前方に設置のプッシャー20を操作する際、下板部材10に対して上板部材11の前後方向移動をロック及びアンロックさせるロック手段とを含めて、装備の主作業モード時、下板部材10に対する上板部材11の前後方向移動により緩衝機能が奏され、装備の主作業モード解除時、下板部材10に対する上板部材11の前後方向移動をロックさせることによって緩衝機能が解除される。
【0026】
前述した緩衝手段は、上板部材11の後方に形成される第1固定棒13に一端が固定され、下板部材10の中間位置に形成の固定片14に他端が固定される第1弾性部材16(引張コイルバネが用いられる)と、下板部材10の固定片14に一端が固定され、上板部材11の前方に形成の第2固定棒15に他端が固定され、第1弾性部材16と同一線上に配置される第2弾性部材17と(引張コイルバネが用いられる)を含める。そこで、前述した第1、2弾性部材16、17は、装備の前後方向に引張力を発揮するように設けられている。
【0027】
前述した緩衝手段は、上板部材11の後方にヘッド部が固定され、下板部材10の前方に形成の固定片19にロッド部が固定されるダンパー18を含める。ダンパー18は、装備の前後方向に緩衝力を発揮するように設けられている。
【0028】
前述した緩衝手段は、上板部材11の後方に形成の第1固定棒13に一端が固定され、下板部材10の中間位置に形成の固定片14に他端が固定される第1弾性部材16と、下板部材10の固定片14に一端が固定され、上板部材11の前方に形成の第2固定棒15に他端が固定され、第1弾性部材16と同一線上に配設される第2弾性部材17と、上板部材11の後方にヘッド部が固定され、下板部材10の前方に形成の固定片19にロッド部が固定され、第1、2弾性部材16、17に対向するように配置されるダンパー18とを含める。
【0029】
前述した第1、2弾性部材16、17及びダンパー18は、装備の前後方向に引張力及び緩衝力を発揮するようになっている。
【0030】
これにより、装備の前後方向に衝撃及び振動が加えられる場合、第1、2弾性部材16、17による前後方向に作用する引張力により下板部材10に対して上板部材11の相対運動が可能となる。また、ダンパー18による前後方向に作用する緩衝力により下板部材10に対して上板部材11の相対運動が可能となる。
【0031】
したがって、第1、2弾性部材16、17の引張力とダンパー18の緩衝力により下板部材10に対して上板部材11の相対運動が可能であるから、作業中又は走行時、装備の前後方向に生じる衝撃及び振動を減殺させることができる。
【0032】
装備の主作業モードは、掘削モード、積荷及びダンピングモード、走行モードのうち、選択される少なくともいずれかの一つの作業モードである。装備の主作業モード時、装備の前後方向に発生する衝撃及び振動を減殺させる緩衝機能を奏し、装備の主作業モード解除時、緩衝機能が解除されるようになっている。
【0033】
前述したロック手段は、下板部材10の底面の所定位置に貫通形成されるロック溝21と、上板部材11に形成の結合溝11aに結合される結合ピン22bによりそれぞれ回動可能に取り付けられ、ロック溝21に着脱可能に組み合わせられる結合片40が底面からそれぞれ突出形成され、上板部材11の上側に突出される固定片41が上面に形成され、一側面に結合ピン22cが形成されている第1ロッカー22と、第1ロッカー22に回動可能に連結されるように結合ピン22cが結合するための結合溝22dを一側面に有する第2ロッカー22aとからなるロッカーと、ロック溝21に結合片40がそれぞれロックされるように第1ロッカー22を弾性支持する弾性部材42(圧縮コイルバネが用いられる)(上板部材11の底面と第1ロッカー22の上面との間に設けられる)と、プッシャー20の底面に一端が固定され、固定片41に他端が固定され、プッシャー20の操作に応じてロック溝21に結合片40をロック及びアンロックせしめ、下板部材10に対して上板部材11の前後方向移動をロック及びアンロックさせるケーブル23(isolate adjustingcable)とを含める。
【0034】
即ち、運転者によりプッシャー20を操作するに際して、ケーブル23によりロック溝21に対して結合片40をロック及びアンロックさせることによって下板部材10に対して上板部材11の前後方向移動をロック及びアンロックさせることができるようになっている。
【0035】
前述したフレーム25に取り付けられ、座席1が着脱可能に取り付けられる座席プレート24を含める。これにより、上板部材11に装着される前後方向の緩衝手段を点検及び修理したい場合、座席プレート24から座席1を持ち上げた後、上板部材11に装着の当該部品に対して異常有無を容易に確認することができる。
【0036】
前述した第1固定棒13の前後方向移動を制限するように下板部材10に装着され、下板部材10に対して上板部材11が所定ストロークを外れた場合に阻止するための一対のストッパー43を含める。ストッパー43は、ゴム材などから形成され得る。
【0037】
前述したチルト手段は、フレーム25の一側面前方に固定のブラケット44に回転可能に取り付けられ、調整ハンドル12が一端に固定され、螺子部48aが他端に形成される回転軸48と、螺子部48aに螺合するように螺子孔が中央に貫通形成され、回転軸48の回転運動を直線運動に変えるユニオン45と、ユニオン45に一端が回動可能に固定され、駆動軸27の外側面に装着のブラケット47に他端が回動可能に固定される動力伝達部材46(断面が∩字状からなる)とを包含し、調整ハンドル12の回転時、回転軸48の回転運動を直線運動に変換させるユニオン45により動力伝達部材46を装備の前後方向に押したり、引っ張ったりすることによって、ヒンジ軸28を中心軸として駆動軸27を回動させ、コンソールボックス5、6の高低を運転者の運転習慣や体形に適合するように調節することができる。
【0038】
図面中、説明されていない符号24aは、前述したプッシャー20が前面一側に回動可能に設けられ、フレーム25に取り付けられるプレートである。
【0039】
前述した座席1と背もたれ2とからなるシート3、座席に垂直方向に伝えられる衝撃を減殺させるサスペンション4、操作レバー7、8の操作量に対応してブームなどの作業装置を制御するコンソールボックス5、6の構成は、図1に示したものと実質的に同一であるから、これらに対する構成及び作動についての詳しい説明は略し、同じ構成要素には同じ図面符号を付する。
【0040】
以下では、本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートの使用例を添付図面に基づいて詳述する。
【0041】
図5及び図9に示したように、運転者により選ばれた主作業モード(掘削機モード、積荷及びダンピングモード、走行モード)のうち、何れかの一つの作業モードを実行するためにコンソールボックス5、6に装着の操作レバー7、8を操作し、ブームなどの作業装置の駆動を制御することができる。
【0042】
前述したフレーム25の前方に形成のプッシャー20を操作し、図面に於いて、下側方向に加圧する場合、プッシャー20の底面に固定のケーブル23の引張力によりロッカー22、22aを装備の後方へ引っ張るようになっている。ロッカー22、22aの回動によりロッカー22、22aの底面に形成の結合片40が下板部材10のロック溝21から離脱するようになる。つまり、下板部材10に対する上板部材11のロック状態が解除される。
【0043】
そのことから、下板部材10に対する上板部材11の相対運動が可能となる。上板部材11の左・右側に設けられたローラー31、32が下板部材10の左・右側に形成のガイドレール29、30に沿って所定区間内で装備の前後方向に摺動することができる。
【0044】
装備の主作業モードによる作業中又は走行中に装備の前後方向に衝撃及び振動が発生した場合、装備の前後方向に引張力を発生させる第1、2弾性部材16、17と、装備の前後方向に緩衝力を発するダンパー18の緩衝機能により衝撃及び振動を減殺させることができる。
【0045】
したがって、運転者に与えられる衝撃及び振動を最小化することから、運転者の疲労を軽減させることが可能となる。
【0046】
一方、運転者が、装備の主作業モードの解除により、プッシャー20を初期位置に持ち上げる場合、ケーブル23の圧縮力によりロッカー22を装備の前方に加圧するようになる。ロッカー22、22aの回動によりロッカー22、22aの底面に形成の結合片40が下板部材10のロック溝21にそれぞれ組み合わせられる。これにより、下板部材10に対して上板部材11はロック状態となる。
【0047】
即ち、装備の主作業モードを解除させた場合、下板部材10に対する上板部材11の相対運動が不可能となり、装備の前後方向に生じる衝撃及び振動を減殺させる緩衝機能が解除される。
【0048】
一方、建設機械は、その特性上、同一作業を長時間に亘って繰り返して作業を行う場合が多くなるので、運転者の運転習慣や体形に応じて最適な運転姿勢を保持することができるようにコンソールボックス5、6の高低を調節し得る。
【0049】
即ち、運転者により調整ハンドル12を時計方向に回転させると、回転軸48の回転運動は、回転軸48の他端に螺合しているユニオン45により直線運動に変わる。これにより、ユニオン45に回動可能に取り付けられている動力伝達部材46を装備の後方へ押すことになる。
【0050】
したがって、左側および右側コンソールボックス5、6の前方に回転可能に固定される駆動軸27を、図に於いて、時計方向に回動させることによって、コンソールボックス5、6を運転者の方へ持ち上げるようになる。
【0051】
反面、調整ハンドル12を反時計方向に回転させる場合、回転軸48の他端に螺合しているユニオン45により動力伝達部材46を装備の前方へ引っ張ることになる。これにより、コンソールボックス5、6の前方に回転可能に取り付けられている駆動軸27を、図に於いて、反時計方向に回動させることによって、コンソールボックス5、6を運転室内の底面の方へ引き下げることなになる。
【0052】
したがって、運転席の左側及び右側に装着のコンソールボックス5、6の操作レバー7、8を運転者の体形に応じて最適な運転姿勢を保持することができるように操作することができる。そのことから、運転者の疲労を削減するとともに、快適な作業環境で作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来技術による緩衝手段を備えた建設機械用シートの概略図である。
【図2】本発明の一実施例による建設機械用シートに取り付けられている前後方向の緩衝手段の分離斜視図である。
【図3】図2に図示の緩衝手段が取り付けられる下板部材と上板部材との結合状態を示した正面図である。
【図4】図2に図示のロック手段の要部斜視図である。
【図5A】本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートにおいて、下板部材に対する上板部材のロック及びアンロック状態を示した概略図である。
【図5B】本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シートにおいて、下板部材に対する上板部材のロック及びアンロック状態を示した概略図である。
【図6】図2に示したチルト手段の要部斜視図である。
【図7】図2に図示の緩衝手段及びチルト手段の結合状態を示した斜視図である。
【図8】本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段が取り付けられることを示すべく、座席を分離させた状態の概略図である。
【図9】本発明の一実施例による前後方向の緩衝手段が取り付けられることを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 座席
2 背もたれ
3 シート
4 サスペンション
5、6 コンソールボックス
7、8 操作レバー
9 サスペンションプレート
10 下板部材
11 上板部材
12 調整ハンドル
13 第1固定棒
14 固定片
15 第2固定棒
16 第1弾性部材
17 第2弾性部材
18 ダンパー
19 固定片
20 プッシャー
21 ロック溝
22 ロッカー
23 ケーブル
24 座席プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションプレートに取り付けられ、コンソールボックスが左側及び右側にそれぞれ装着される建設機械用シートにおいて、
サスペンションプレート上に取り付けられる下板部材と、
前記下板部材上に装備の前後方向に摺動可能に装着される上板部材と、
前記下板部材に一端が固定され、上板部材に他端が固定され、装備の前後方向に生じる衝撃及び振動を下板部材に対する上板部材の相対運動により減殺させる緩衝手段と、
前記上板部材に取り付けられるフレームと、フレームに固定され、コンソールボックスの後方に両端が固定されるヒンジ軸と、フレームに回転可能に固定され、コンソールボックスの前方に両端が固定される駆動軸と、駆動軸に連結され、回転方向によってコンソールボックスの高低を調節する調整ハンドルを含めるチルト手段と、
前記フレームの一側に設けられるプッシャーを操作する際、下板部材に対して上板部材の前後方向移動をロック及びアンロックさせるロック手段とを含めて、
装備の主作業モード時、下板部材に対する上板部材の摺動移動により緩衝機能が奏され、装備の主作業モードの解除時、下板部材に対する上板部材の前後方向移動をロックさせることによって緩衝機能が解除されることを特徴とする前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項2】
前記緩衝手段は、前記上板部材の後方に形成される第1固定棒に一端が固定され、下板部材の中間位置に形成の固定片に他端が固定される第1弾性部材及び、
前記固定片に一端が固定され、上板部材の前方に形成の第2固定棒に他端が固定され、第1弾性部材と同一線上に配置される第2弾性部材を含めることを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項3】
前記緩衝手段は、前記上板部材の後方にヘッド部が固定され、下板部材の前方に形成の固定片にロッド部が固定されるダンパーを含めることを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項4】
前記緩衝手段は、前記上板部材の後方に形成の第1固定棒に一端が固定され、下板部材の中間位置に形成の固定片に他端が固定される第1弾性部材と、
前記固定片に一端が固定され、上板部材の前方に形成の第2固定棒に他端が固定され、第1弾性部材と同一線上に配置される第2弾性部材と、
前記上板部材の後方にヘッド部が固定され、下板部材の前方に形成の固定片にロッド部が固定され、第1、2弾性部材に対向するように配置されるダンパーとを含めることを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項5】
前記装備の主作業モードは、掘削モード、積荷及びダンピングモード、走行モードのうち、選択される少なくともいずれかの一つの作業モードであることを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項6】
前記ロック手段は、
前記下板部材の底面の所定位置に貫通形成されるロック溝と、
前記上板部材にそれぞれ回動可能に取り付けられ、ロック溝に着脱可能に組み合わせられる結合片が底面にそれぞれ形成され、上板部材の上側に突出される固定片が上面に形成される第1ロッカーと、第1ロッカーに回動可能に連結される第2ロッカーとからなるロッカーと、
前記ロック溝に結合片がそれぞれロックされるように第1ロッカーを弾性支持する弾性部材と、
前記プッシャーの底面に一端が固定され、固定片に他端が固定され、プッシャーの操作に応じてロック溝に結合片をロック及びアンロックせしめ、下板部材に対して上板部材の前後方向移動をロック及びアンロックさせるケーブルとを含めることを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項7】
前記チルト手段のフレームに取り付けられ、座席が着脱可能に取り付けられる座席プレートを含めることを特徴とする請求項3に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項8】
前記第1固定棒の前後方向移動を制限するように下板部材に装着され、下板部材に対して上板部材が所定ストロークを超える場合に阻止するためのストッパーを含めることを特徴とする請求項3に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。
【請求項9】
前記チルト手段は、前記フレームの一側面の前方に固定されたブラケットに回転可能に取り付けられ、調整ハンドルが一端に固定され、螺子部が他端に形成される回転軸と、
前記螺子部に螺合するように螺子孔が中央に貫通形成され、回転軸の回転運動を直線運動に変えるユニオンと、
前記ユニオンに一端が回動可能に固定され、駆動軸の外側面に装着されたブラケットに他端が回動可能に固定される動力伝達部材とを包含し、
前記調整ハンドルの回転時、回転軸の回転運動を直線運動に変換させるユニオンにより動力伝達部材を押したり、引っ張ることによって、ヒンジ軸を中心軸として駆動軸を回動させ、コンソールボックスの高低を調節することを特徴とする請求項1に記載の前後方向の緩衝手段を備えた建設機械用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−265741(P2008−265741A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102588(P2008−102588)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー (156)
【Fターム(参考)】