説明

前掛け式メガネフレーム及び前掛けフロント部

【課題】 メガネのフロントフレームの正面に左右対を成す2枚の前掛けフロント部を着脱可能に取付けることが出来る前掛け式メガネフレームの提供。
【解決手段】 フロントフレーム1の両側に保持部11,11を設け、該保持部11には回動部12を回転可能に軸支すると共に外周に形成した複数の凹溝19a,19b,19cにはバネ力を付勢したボール14を係合し、そして該回動部12には前掛けフロント部3の外側に設けた取付け部10を磁石17a,17bを介して取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前掛けフロント部をメガネのフロントフレームの正面に簡単な方法で、安定して取付けることが出来る前掛け式メガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においても、メガネのフロントフレームに前掛けフロント部を取付けたメガネは多用されている。これは周知の通り、近眼の人がサングラスを必要とする場合や、老眼であるにもかかわらず近眼でもあるといったケースは多く、このような場合に近眼用のメガネにサングラスの前掛けフロント部を取付けたり、近眼用のメガネに老眼用レンズを入れた前掛けフロント部を使用するといった具合である。
【0003】
ところで、従来型式の前掛けフロント部を備えたメガネフレームには幾つかの問題がある。その1つは取付け構造が複雑である為に製作コストが高くなると共に、嵌合状態があまくなってガタ付きを生じ、前掛けフロント部が安定しないといった点である。
【0004】
図6は従来多用されている前掛け式メガネフレームを示し、(a)はメガネフレーム、(b)は上記メガネフレーム(イ)のフロントフレーム(ハ)に取付けられる前掛けフロント部(ロ)を表している。フロントフレーム(ハ)の両側に設けているヨロイ(ニ)、(ニ)には磁石(ホ)、(ホ)が取着され、前掛けフレーム(ロ)の両側に設けているヨロイ(ヘ)、(ヘ)にも同じく磁石(ト)、(ト)を有している。
【0005】
そこで、上記前掛けフレーム(ロ)はフロントフレーム(ハ)の正面に重ね合わされ、磁石(ホ)に磁石(ト)が引き付けられて取着される。勿論、磁石(ホ)、(ト)を介して取付けられる前掛けフロント部(ロ)が位置ズレしないように何らかの工夫はされている。実用新案登録第3081271号に係る「めがね」はこの前掛け式メガネフレームに相当する。
【0006】
又、特許第2997418号に係る「着脱眼鏡取付装置」はフロントフレームのヨロイ部に受部を設けると共に該受部には磁石を取付け、前掛けフレームを該受部に載せて磁石にて吸着する構造と成っている。このように、従来の構造では前掛け式メガネフレームのフロントフレーム及び前掛けフロント部に小さな磁石を取付けた形態となっている。
【0007】
ところで、前掛けフロント部は常に必要な訳ではなく、使用しない時にはフロントフレームから取外されるが、必要に応じてその都度前掛けフロント部(ロ)をフロントフレーム(ハ)に取付けたり、又は取外したりすることは面倒な場合も多い。例えば、サングラス機能を備えた前掛けフロント部(ロ)を取付けて車の運転をしている場合、薄暗いトンネルを通過する際に該前掛けフロント部(ロ)を取外すことは面倒であると共に危険を伴う。
【特許文献1】実用新案登録第3081271号に係る「めがね」
【特許文献2】特許第2997418号に係る「着脱眼鏡取付装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の前掛け式メガネフレームには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であって、前掛けフロント部を簡単に着脱することが出来、又取付けた状態で外側へ開くことが出来る前掛け式メガネフレームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る前掛け式メガネフレームは、その前掛けフロント部を着脱可能に取付けた構造とし、しかも該前掛けフロント部はメガネのフロントフレームに取付けた状態で外側に開くことが出来るように構成している。ところで、フロントフレームの外側には保持部を設け、該保持部には回動部が回転可能に取付けられ、この回動部に前掛けフロント部が磁石を介して取着される。そこで、前掛けフロント部は左右対を成した形態とし、リム又はレンズの外側に取付け部を有し、該取付け部が上記回動部に止着される。
【0010】
上記回動部は軸を中心として回動することが出来、しかも所定の位置で静止できるようにバネ力が付勢されたボール又はピンが係合する凹溝を回動部外周に形成している。そして、回動部と前掛けフロント部に設けた取付け部には互いに噛み合う凹部と凸部が設けられて、回動部に取付けた前掛けフロント部の位置決めが行われる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前掛け式メガネフレームは、フトントフレームに両前掛けフロント部が磁石を介して取付けられた構造である為に、簡単に取外すことが出来る。すなわち、前掛けフロント部は着脱自在としている。そして、前掛けフロン部は外側に取付け部を有し、該取付け部はメガネのフロントフレームの保持部に設けた回動部に取付けられ、該回動部の回転によって前掛けフロント部は外側へ開くことが出来る。
【0012】
そして、上記回動部は回転出来るように軸支されているが、外周には複数の凹溝が形成されていて、該凹溝にはバネ力を付勢したボール又はピン先端が係合することで、前掛けフロント部は所定の位置で安定して静止することが出来る。本発明の前掛けフロント部は着脱可能である為に前掛け式メガネフレームであるが、外側へ開くことが出来ることから、開く方向は異なるが跳ね上げ式メガネフレームとしての機能を備えている。しかし、前掛けフロント部が跳ね上げられる支点がフロントフレームの外側に位置していることで、すなわち、通常の跳ね上げフロント部のようにフロントフレーム上部に支点が位置していないことから、メガネフレーム全体の外観がスッキリする。
【実施例】
【0013】
図1は本発明に係る前掛け式メガネフレームを表している実施例であり、同図の1はフロントフレーム、2はツル、3,3は前掛けフロント部を夫々示している。このように前掛けフロント部3,3は2枚で構成され、夫々がフロントフレームの左右に対を成して取付けられる。
【0014】
図2には前掛けフロント3,3を取外している場合のメガネフレームであるが、該フロントフレーム1は従来のメガネと同じくレンズが嵌っているリム4,4が連結部材5にて繋がれ、中央部には鼻当てパット6,6が対を成して取付けられ、両外側にはヨロイ7,7を有し、該ヨロイ7,7には上記ツル2,2が蝶番8,8を介して折畳み出来るように取付けられている。そして、上記ヨロイ7,7の内側には前掛けフロント部3,3が取付けられる保持部11,11を設けている。
【0015】
ところで、図3には前掛けフロント部3,3を示しているが、フロントフレーム1のリム4,4と同じ形状として重なり合うことが出来る。すなわち、この前掛けフロント部3はレンズが嵌るようにリム4と同じ形状のリム9を有し、外側には取付け部10をロウ付けして設けている。
【0016】
この前掛けフロント部3は該取付け部10を介してヨロイの内側に設けている保持部11に取付けられるが、図4に示すように該保持部11には回動部12を有し、該回動部12は軸ネジ13を中心として回転することが出来るように軸支されている。そして、回動部12の外側には凹溝が形成され、該凹溝にはコイルバネ15のバネ力が付勢されたボール14が嵌っている。
【0017】
この回動部12に前掛けフロント部3の取付け部10が取付けられ、その為にフロントフレーム1のヨロイ7には穴16が形成され、該穴16から取り付け部0が嵌って回動部12に磁石を介して取付けられる。図5は保持部11から回動部12を分離し、該回動部12から取付け部10を外した場合を示している。回動部12には磁石17aが設けられ、取付け部10には磁石17bが設けられている。ここで、回動部12には凹部20が設けられ、一方の取付け部10には凸部21を形成している。従って、凹部20に凸部21が嵌合することで回動部12に取付けた取付け部10、すなわち前掛けフロント部3は正しく位置決めされる。
【0018】
従って、取付け部10は磁石17a,17bを介して回動部12に取付けられる。回動部12には軸穴18が貫通して設けられ、この軸穴18に保持部11の軸ネジ13が挿通することで該回動部12は回転可能に軸支される。そして、回動部12の外周には凹溝19a,19b,19cが形成され、この凹溝19a,19b,19cにバネ力が付勢しているボール14が嵌って該回動部12の向きが規制される。
【0019】
図4において、前掛けフロント部3の方向が3パターンの場合を示している。前掛けフロント部3aの場合は閉じてフロントフレーム1に重なり合った状態、前掛けフロント部3bは60°開いた状態、前掛けフロント部3cは90°開いた状態を夫々示している。このように、回動部12の外周に凹溝19a,19b,19cを形成することで前掛けフロント部3の向きを3パターンにすることが出来る。
【0020】
すなわち、凹溝19aにボール14が嵌ることで、前掛けフロント部3aのようにフロントフレーム1に重なって静止し、凹溝19cにボール14が嵌ることで、前掛けフロント部3cのように90°に開いて静止する。このように、本発明に係る前掛け式メガネフレームでは、前掛けフロント部3を必要に応じてフロントフレーム1に取付けしたり、フロントフレーム1から取外すことが出来る。
【0021】
そして、該前掛けフロント部3を取外すことなく、取付けたままの状態で図4に示すごとく外側へ開くことが出来る。開く方向は異なるが跳ね上げ式メガネフレームと同じように機能することが出来る。しかも、前掛けフロント部3を旋回して開くことが出来る支点となる回動部12がヨロイ部に設けられることで、閉じた状態でのメガネフレーム外観は普通のメガネと異なることなくスッキリしている。
【0022】
ところで、実施例では図3に示すように前掛けフロント部3をリム9にレンズを嵌めた形態としているが、リム9を使用することなくレンズ外側に取付け部10を直接ネジ止めにて取付けることも出来る。
【0023】
そして、回動部12を回転可能に軸支する回動部12を有す保持部11は、ヨロイ7の内側に取付けているが、該ヨロイ7と保持部11を一体化して構成することも出来る。又、ボール14にバネ力を付勢するバネはコイルバネ15に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る前掛け式メガネフレームの実施例。
【図2】前掛けフロント部を取外した場合のメガネフレーム。
【図3】前掛けフロント部の具体例。
【図4】前掛けフロント部の向きを示している。
【図5】保持部から回動部を分離し、該回動部から取付け部を外した場合。
【図6】従来の一般的な前掛け式メガネフレーム。
【符号の説明】
【0025】
1 フロントフレーム
2 ツル
3 前掛けフロント部
4 リム
5 連結部材
6 鼻当てパット
7 ヨロイ
8 蝶番
9 リム
10 取付け部
11 保持部
12 回動部
13 軸ネジ
14 ボール
15 コイルバネ
16 穴
17 磁石
18 軸穴
19 凹溝
20 凹部
21 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネのフロントフレームの正面に左右対を成す2枚の前掛けフロント部を着脱可能に取付けることが出来る前掛け式メガネフレームにおいて、フロントフレームの両側に保持部を設け、該保持部には回動部を回転可能に軸支すると共に外周に形成した複数の凹溝にはバネ力を付勢したボール又はピン先端を係合し、そして該回動部には前掛けフロント部の外側に設けた取付け部を磁石を介して取付けたことを特徴とする前掛け式メガネフレーム。
【請求項2】
上記保持部をヨロイの内側に設け、該ヨロイには穴を形成し、前掛けフロント部の取付け部が該穴を挿通して回動部に取付け可能とした請求項1記載の前掛け式メガネフレーム。
【請求項3】
メガネのフロントフレームの正面に左右対を成して着脱可能に取付けることが出来る前掛けフロント部において、該前掛けフロント部の外側には取付け部を設け、フロントフレームの外側に回転可能に軸支した回動部に磁石を介して取付けることが出来るようにしたことを特徴とする前掛け式メガネフレームの前掛けフロント部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197683(P2010−197683A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42125(P2009−42125)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(598048196)株式会社エクセル眼鏡 (8)