説明

前立腺癌において発現される13回膜貫通タンパク質

【課題】24P4C12を発現する種々のガン、特に前立腺癌の管理において有用な診断および治療方法および組成物を提供する。
【解決手段】複数の特定の配列からなるポリヌクレオチド、ヌクレオチド残基番号6〜ヌクレオチド残基番号2138までの、特定の配列で示される配列を有するポリヌクレオチドまたは24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリペプチド配列が、アメリカンタイプカルチャーコレクションにそれぞれ受託番号207129および207084として寄託されたp24P4C12−GTE5またはp24P4C12−GTE9と称されるプラスミドに含まれるcDNAによりコードされる、ポリヌクレオチドからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願番号第60/128,858号(1999年4月12日出願)の優先権を主張する。この内容全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本明細書中に記載された発明は、新規な遺伝子およびそのコードされたタンパク質(24P4C12と称される)に関し、そして24P4C12を発現する種々のガン、特に前立腺癌の管理において有用な診断および治療方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ガンは、心臓疾患(coronary disease)に次いで、第2の主なヒトの死亡原因である。全世界的に、数百万の人々が、毎年癌により死亡している。米国単独では、癌は毎年50万人をはるかに超える人々の死亡原因であり、毎年140万人あまりが新たな症例として診断されている。心臓疾患での死亡は、有意に減少している一方で、癌に起因する死亡は、一般に増加の傾向にある。来世紀の初期には、癌は死亡の主原因になると予測されている。
【0004】
全世界で、いくつかの癌が主要な死亡原因(killer)として顕著である。特に、肺、前立腺、胸部、結腸、膵臓、および卵巣の癌腫は、癌の主要な死亡原因の代表である。これらおよび事実上全ての他の癌腫は、共通する致死的特徴を共有している。ごくわずかな例外はあるが、癌腫が原因の転移性疾患は、致命的である。さらに、原発性癌を最初に生き延びた癌患者についてすら、生活が劇的に変化したという共通する経験が示されている。多くの癌患者は、再発または処置の失敗についての可能性があることを承知しているために駆り立てられる、強い不安を経験している。多くの癌患者は、処置後に肉体的衰弱を経験している。多くの癌患者は、再発を経験している。
【0005】
全世界で、前立腺癌は、男性において第4に最も一般的な癌である。北部アメリカおよび北欧では、はるかに、最も一般的な男性の癌であり、そして男性における癌による死亡の第2の主原因である。米国単独では、肺癌に次いで、40,000人をはるかに超える男性がこの疾患で毎年死亡している。これらの数字の規模にも拘わらず、転移性の前立腺癌に対する有効な処置は未だ存在しない。外科的前立腺切除、放射線療法、ホルモン除去(hormone ablation)療法、および化学療法は、主要な処置様式であり続けている。不運にも、これらの処置は、多くに対してあまり有効でなく、かつしばしば、所望されない結果と関連する。
【0006】
診断現場において、初期段階で局在化した腫瘍を正確に検出し得る前立腺腫瘍マーカーが存在しないことは、相変わらずこの疾患の管理の大きな限界である。血清PSAアッセイは非常に有用なツールであるが、その特異性および一般的利用性は、いくつかの重要な点が欠如していると広く考えられている。
【0007】
前立腺癌についてのさらなる特異的マーカーを同定することにおける進歩は、マウスにおける疾患の異なる段階を反復し得る前立腺癌異種移植片の生成により改善されてきた。LAPC(os ngeles rostate ancer)異種移植片は、重症複合型免疫不全(SCID)マウスにおける経過を生き延び、かつ疾患進行(アンドロゲン依存性からアンドロゲン非依存性への移行および転移性病変の発生を含む)を模倣する能力を示した前立腺癌異種移植片である(非特許文献1)。より近年同定された前立腺癌マーカーとしては、PCTA−1(非特許文献2)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)(非特許文献3)およびSTEAP(非特許文献4)。
【0008】
PSA、PSM、PCTAおよびPSCAのような以前に同定されたマーカーは、前立腺癌を診断し、そしてこれを処置する取り組みを促進したが、診断および治療をさらに改善するために、前立腺および関連する癌に対するさらなるマーカーおよび治療標的を同定する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kleinら、1997、Nat.Med.3:402
【非特許文献2】Suら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7252
【非特許文献3】Reiterら、1998 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:1735
【非特許文献4】Hubertら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:14523
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、複数の膜貫通領域および前立腺癌における発現により特徴付けられる、遺伝子およびタンパク質の新規なファミリーに関する。より詳細には、本発明は、新規な遺伝子およびタンパク質(24P4C12と称される)を提供する。24P4C12遺伝子は、13の膜貫通ドメインを含み、かつ12の膜貫通ドメインを含むマウスおよびC elegans遺伝子に相同性を有する710アミノ酸のタンパク質をコードする。ヒト24P4C12遺伝子のコード領域全体および部分的非コード領域のヌクレオチド配列、ならびにコードされたアミノ酸配列は、図1A〜1Dに示される(配列番号1、2)。RT−PCRおよびノザンブロッティング分析により、正常結腸、前立腺、腎臓および肺において、ならびに前立腺癌異種移植片において24P4C12の発現が示される。24P4C12タンパク質の膜貫通特性は、前立腺癌におけるその発現と合わせると、24P4C12が、例えば、インビボで24P4C12タンパク質に結合し得、かつこれを調節し得る抗体および他の低分子を用いた、前立腺癌治療の標的であることを示唆する。さらに、前立腺癌細胞の細胞表面にこれが局在するので、24P4C12タンパク質を検出し得る抗体および他の薬剤は、前立腺癌画像化法において有用であり得る。例えば、24P4C12転写産物を検出し得るポリヌクレオチドプローブおよびプライマーを使用した種々の他の分子検出アッセイはまた、前立腺癌および潜在的な他の癌を診断し、モニターし、予知し、および病期分類する際における使用を見出し得る。
【0011】
本発明は、24P4C12遺伝子、mRNA、またはそのフラグメント(cDNA、RNA、オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーを含む)に対応するか、または相補的なポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに、種々の生物学的サンプルにおいて24P4C12ポリヌクレオチドの存在を検出するための方法を提供する。24P4C12ポリヌクレオチドを用いた前立腺細胞の分子的診断アッセイもまた提供される。このようなアッセイは、前立腺癌の存在および程度に関する診断情報および/または予知情報を提供し得る。本発明はさらに、24P4C12をコードするcDNAおよび遺伝子、ならびに変異した24P4C12および他の形態の24P4C12をコードするcDNAおよび遺伝子を単離するための手段を提供する。24P4C12ポリヌクレオチドを含む組換えDNA分子、このような分子で形質転換または形質導入した細胞、および24P4C12遺伝子産物の発現のための宿主−ベクター系もまた提供される。本発明はさらに、24P4C12タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントを提供する。本発明はさらに、24P4C12タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントに結合する抗体(ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、マウスおよび他の哺乳動物の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全なヒト抗体、ならびに検出可能なマーカーで標識された抗体を含む)を提供する。
【0012】
本発明はさらに、種々の生物学的サンプルにおける24P4C12ポリヌクレオチドおよび24P4C12タンパク質の存在および状態を検出するための方法、ならびに24P4C12を発現する細胞を同定するための方法を提供する。本発明の代表的な実施形態は、癌のような増殖を調節できないいくらかの形態を有するまたはこのような形態を有することが疑われる組織サンプルにおける24P4C12遺伝子産物をモニターするための方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、前立腺の癌のような24P4C12を発現する癌を処置するための種々の治療組成物およびストラテジーを提供する。これらの組成物およびストラテジーとしては、24P4C12の転写、翻訳、プロセシングまたは機能を阻害することを目的とした治療、ならびに癌ワクチンが挙げられる。
【0014】
さらに、本発明は、24P4C12に関連する新規な遺伝子およびタンパク質(H38087と称される)を提供する。H38087遺伝子は、11の潜在的な膜貫通ドメインを含む704アミノ酸のタンパク質をコードする。ヒトH38087遺伝子のコード領域全体および部分的非コード領域のヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列は、図7A〜7Dに示される(配列番号6、7)。5’非翻訳領域の58塩基対は、非常にGCに富んでおり(87%)、この遺伝子が翻訳調節エレメントを含み得ることを示している。24P4C12およびH38087のアミノ酸配列は、配列全体に対して44%同一であり、56%相同である(図8)。発現分析により、H38087が偏在的に発現されることが示され(図9)、その最も高い発現レベルは、精巣において検出された。試験された種々のLAPC異種移植片の各々においても発現が観察された。H38087は、24P4C12特異的治療を試験するためのコントロールとして役立ち得るか、または診断および/もしくは治療標的を提供し得る。24P4C12に選択的に影響を及ぼすが、H38087には選択的に影響を及ぼさない治療は、正常細胞に対してより毒性が少ない可能性がある。従って、H38087タンパク質は、24P4C12に指向される治療様式についての前臨床試験ツールとして有用であり得る。しかし、H38087タンパク質発現は、そのRNA発現より偏在的ではない可能性があり、このことは、診断および治療ストラテジーについての標的としてのH38087を示唆する。
【0015】
本発明はさらに、24P4C12特異的結合薬剤を同定するための方法を提供する。この方法は、24P4C12を結合する候補薬剤と、H38087とを接触させる工程、およびこの候補薬剤がH38087を結合するか否かを決定する工程を包含する。この候補薬剤のH38087に対する結合の欠如は、24P4C12特性の指標である。このような結合は、当該分野で公知の従来の結合アッセイ(本明細書中に記載の代表的なアッセイを含む)を使用して検出され得る。
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが以下からなる群より選択される、ポリヌクレオチド:
(a)図1A〜1D(配列番号1)または図1E(配列番号3)に示される配列を有するポリヌクレオチドであって、TがUでもあり得る、ポリヌクレオチド;
(b)ヌクレオチド残基番号6〜ヌクレオチド残基番号2138までの、図1A〜1D(配列番号1)に示される配列を有するポリヌクレオチドであって、TがUでもあり得る、ポリヌクレオチド;
(c)24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリペプチド配列が、アメリカンタイプカルチャーコレクションにそれぞれ受託番号207129および207084として寄託されたp24P4C12−GTE5またはp24P4C12−GTE9と称されるプラスミドに含まれるcDNAによりコードされる、ポリヌクレオチド;
(d)図1A〜1D(配列番号2)または図1E(配列番号4)に示されるアミノ酸配列を有する24P4C12タンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリヌクレオチドに十分相補的なポリヌクレオチド。
(項目2) 図1A〜1D(配列番号2)または図1E(配列番号4)に示されるアミノ酸配列に対して、その長さ全体にわたり少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
(項目3) 24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリペプチドは、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド:
【化1】

(項目4) 24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該ポリペプチドが図1A〜1D(配列番号2)に示される膜貫通ドメインを含む、ポリヌクレオチド。
(項目5) 検出可能なマーカーで標識されている、項目1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
(項目6) 項目1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、組換え発現ベクター。
(項目7) 項目6に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
(項目8) 項目7に記載の宿主細胞を24P4C12ポリペプチドの生成のために十分な条件下で培養する工程を包含する、24P4C12ポリペプチドを生成するためのプロセス。
(項目9) 前記のように生成された前記24P4C12ポリペプチドを回収する工程をさらに包含する、項目8に記載のプロセス。
(項目10) 項目8に記載のプロセスにより生成された24P4C12ポリペプチド。
(項目11) 項目1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされる24P4C12ポリペプチド。
(項目12) 項目11に記載のポリペプチドの少なくとも15の連続するアミノ酸を含む、ポリペプチド。
(項目13) 項目10〜12のいずれか1項に記載の24P4C12ポリペプチドに特異的に結合する、抗体またはそのフラグメント。
(項目14) モノクローナルである、項目13に記載の抗体またはそのフラグメント。
(項目15) ポリクローナルである、項目13に記載の抗体またはそのフラグメント。
(項目16) 項目14に記載のモノクローナル抗体の抗原結合領域を含む、組換えタンパク質
(項目17) 検出可能なマーカーで標識されている、項目13〜15のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメント、あるいは項目16に記載の組換えタンパク質。
(項目18) 項目17に記載の抗体またはそのフラグメントあるいは組換えタンパク質であって、前記検出可能なマーカーが、放射性同位体、蛍光化合物、生体発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤または酵素からなる群より選択される、抗体またはそのフラグメントあるいは組換えタンパク質。
(項目19) Fab、F(ab’)2、FvまたはSfvフラグメントである、項目13に記載の抗体フラグメント。
(項目20) ヒト抗体である、項目13〜18のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメント。
(項目21) 毒素または治療薬剤に結合体化されている、項目13〜18のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメント。
(項目22) マウス抗原結合領域残基およびヒト抗体残基を含む、項目13〜18のいずれか1項に記載の抗体。
(項目23) 項目20に記載のモノクローナル抗体を生成する、トランスジェニック動物。
(項目24) 項目14に記載のモノクローナル抗体を生成する、ハイブリドーマ。
(項目25) 項目14に記載のモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖の可変性ドメインを含む、単鎖モノクローナル抗体。
(項目26) 項目25に記載の単鎖モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを含む、ベクター。
(項目27) 生物学的サンプルにおける24P4C12タンパク質の存在を検出するためのアッセイであって、該アッセイは、該サンプルと、項目17または18に記載の抗体またはそのフラグメントあるいは組換えタンパク質とを接触させる工程、および該抗体またはそのフラグメントあるいは組換えタンパク質に対する、該サンプルにおける24P4C12タンパク質の結合を検出する工程、を包含する、アッセイ。
(項目28) 生物学的サンプルにおける24P4C12ポリヌクレオチドの存在を検出するためのアッセイであって、該アッセイは、以下の工程:
(a)該サンプルと、項目1に記載のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブとを接触させる工程;および
(b)該プローブと該サンプル中の24P4C12ポリヌクレオチドとの該ハイブリダイゼーションにより形成されたハイブリダイゼーション複合体の存在を検出する工程であって、該ハイブリダイゼーション複合体の存在が該サンプル内の24P4C12ポリヌクレオチドの存在を示す、工程、
を包含する、アッセイ。
(項目29) 生物学的サンプルにおける24P4C12 mRNAの存在を検出するためのアッセイであって、該アッセイは、以下の工程:
(a)少なくとも1つのプライマーを用いて逆転写することにより、該サンプルからcDNAを生成する工程;
(b)該サンプル中で24P4C12 cDNAを増幅するためのセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして24P4C12ポリヌクレオチドを使用して、上記のように生成した該cDNAを増幅する工程;
(c)該増幅した24P4C12 cDNAの存在を検出する工程、
を包含し、
該センスプローブおよびアンチセンスプローブとして使用する該24P4C12ポリヌクレオチドが、アメリカンタイプカルチャーコレクションにそれぞれ受託番号207129および207084として寄託されたp24P4C12−GTE5またはp24P4C12−GTE9と称されるプラスミド内に含まれる24P4C12 cDNAを増幅し得る、アッセイ。
(項目30) 24P4C12タンパク質を発現する癌の存在を検出する方法であって、該方法は、個体由来の試験組織サンプル中の細胞により発現された24P4C12タンパク質のレベルを決定する工程、および上記のように決定されたレベルを、対応する正常サンプルにおいて発現された24P4C12のレベルと比較する工程を包含し、該試験サンプルにおける、該正常サンプルに対して上昇した24P4C12タンパク質の存在が、該個体におけるこのような癌の存在の指標を提供する、方法。
(項目31) 24P4C12遺伝子産物をモニターする方法であって、該方法は、個体由来の試験組織サンプル中の細胞により発現された24P4C12遺伝子産物の状態を決定する工程、および上記のように決定された該状態を、対応する正常サンプルにおける24P4C12遺伝子産物の状態と比較する工程を包含し、該試験サンプルにおける、該正常サンプルに対して異常な24P4C12遺伝子産物の存在が該個体内の調節されない細胞増殖の指標を提供する、方法。
(項目32) 個体における癌の存在を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)該個体から得られた試験サンプルにおいて発現された24P4C12 mRNAのレベルを決定する工程;および
(b)上記のように決定されたレベルを、既知の類似の正常組織サンプルにおいて発現された24P4C12 mRNAのレベルと比較する工程、
を包含し、該試験サンプルにおける、該正常組織サンプルに対して上昇した24P4C12 mRNA発現の存在が癌の存在の指標を提供する、方法。
(項目33) 個体における癌の存在を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)該個体から得られた試験サンプルにおいて発現された24P4C12タンパク質のレベルを決定する工程;および
(b)上記のように決定されたレベルを、既知の類似の正常組織サンプルにおいて発現された24P4C12タンパク質のレベルと比較する工程、
を包含し、該試験サンプルにおける、該正常組織サンプルに対して上昇した24P4C12タンパク質の存在が癌の存在の指標を提供する、方法。
(項目34) 項目32または33に記載の方法であって、前記癌が前立腺癌であり、そして前記試験組織サンプルおよび正常組織サンプルが、前立腺組織、骨組織、リンパ組織、血清、血液および精液からなる群より選択される、方法。
(項目35) 24P4C12特異的結合薬剤を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)24P4C12を結合する候補薬剤と、H38087とを接触させる工程;および
(b)該候補薬剤がH38087を結合するか否かを決定する工程であって、該候補薬剤のH38087に対する結合の欠如が、24P4C12特異性の指標である、工程、
を包含する、方法。
(項目36) 項目35に記載の方法により同定された、24P4C12特異的結合薬剤。
(項目37) 24P4C12を発現する癌を有する患者を処置するための組成物を調製するための、項目26に記載のベクター、項目1に記載のポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスポリヌクレオチド、項目1に記載のポリヌクレオチドを切断し得るリボザイム、または項目13〜21のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメントあるいは組換えタンパク質の使用。
(項目38) 24P4C12を発現する癌を処置するための組成物の調製のための、項目10もしくは11に記載の24P4C12ポリペプチドまたはその免疫原性部分の使用。
(項目39) 前記癌が前立腺癌である、項目37または38に記載の使用。
(項目40) 薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項目10もしくは11に記載の24P4C12ポリペプチドまたはその免疫原性部分、項目26に記載のベクター、項目1に記載のポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスポリヌクレオチド、項目1に記載のポリヌクレオチドを切断し得るリボザイム、項目13〜22のいずれか1項に記載の抗体もしくはそのフラグメントまたは組換えタンパク質、あるいは項目36に記載の24P4C12特異的結合薬剤、および必要に応じて生理学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
(項目41) 24P4C12を発現する癌を有する患者を処置する方法であって、該方法は、項目26に記載のベクターを該患者に投与する工程を包含し、その結果、該ベクターが、単鎖モノクローナル抗体コード配列を該癌細胞に送達し、そして該コードされた単鎖抗体が、該癌細胞において細胞内で発現される、方法。
(項目42) 24P4C12を発現する癌を有する患者を処置する方法であって、該方法は、項目40に記載の組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目43) 24P4C12を発現する癌を処置するためのワクチン組成物であって、該ワクチンは、24P4C12の免疫原性部分および生理学的に受容可能なキャリアを含有する、ワクチン組成物。
(項目44) 患者における24P4C12を発現する癌の発生または進行を阻害する方法であって、該方法は、項目43に記載のワクチン組成物の有効量を該患者に投与する工程を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1A〜Dは、24P4C12遺伝子の完全コード配列(および3’非翻訳領域の一部)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。この配列は、3つのcDNAクローン(24P4C12−GTE9、24P4C12−GTE5、および24P4C12−GTE4と命名された)の重複する配列から生成された(実施例2)。13の潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。Kozak配列および推定開始メチオニンを、太字で示す。
【図1B】図1A〜Dは、24P4C12遺伝子の完全コード配列(および3’非翻訳領域の一部)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。この配列は、3つのcDNAクローン(24P4C12−GTE9、24P4C12−GTE5、および24P4C12−GTE4と命名された)の重複する配列から生成された(実施例2)。13の潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。Kozak配列および推定開始メチオニンを、太字で示す。
【図1C】図1A〜Dは、24P4C12遺伝子の完全コード配列(および3’非翻訳領域の一部)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。この配列は、3つのcDNAクローン(24P4C12−GTE9、24P4C12−GTE5、および24P4C12−GTE4と命名された)の重複する配列から生成された(実施例2)。13の潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。Kozak配列および推定開始メチオニンを、太字で示す。
【図1D】図1A〜Dは、24P4C12遺伝子の完全コード配列(および3’非翻訳領域の一部)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。この配列は、3つのcDNAクローン(24P4C12−GTE9、24P4C12−GTE5、および24P4C12−GTE4と命名された)の重複する配列から生成された(実施例2)。13の潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。Kozak配列および推定開始メチオニンを、太字で示す。
【図1E】図1Eは、24P4C12遺伝子の最初に単離されたSSHフラグメントのヌクレオチド配列(配列番号3)およびORFアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図2A】図2Aは、前立腺癌異種移植片、正常前立腺、ならびに他の組織および細胞株の24P4C12遺伝子発現のRT−PCR分析を示し、これは、正常前立腺およびLAPC前立腺癌異種移植片におけるおよそ等しいレベルの発現を示す。レーンは以下の組織を表す:(1)脳;(2)前立腺;(3);LAPC−4 AD;(4)LAPC−4 AI;(5)LAPC−9 AD;(6)HeLa;(7)マウスcDNA;および(8)陰性コントロール。
【図2B】図2Bは、種々の組織における24P4C12遺伝子発現のRT−PCR分析を示し、これは、25サイクルのPCR増幅後の正常腎臓および肺においてのみ、検出可能な発現を示す。より低い発現は、30サイクルの増幅後の種々の他の組織において検出可能である。レーンは以下の組織を表す:(1)脳;(2)心臓;(3)腎臓;(4)肝臓;(5)肺;(6)膵臓;(7)胎盤;および(8)骨格筋。
【図2C】図2Cは、種々の組織における24P4C12遺伝子発現のRT−PCR分析を示し、これは、25サイクルのPCR増幅後の正常結腸および前立腺においてのみ、検出可能な発現を示す。より低い発現は、30サイクルの増幅後の種々の他の組織において検出可能である。レーンは以下の組織を表す:(1)結腸;(2)卵巣;(3)白血球;(4)前立腺;(5)小腸;(6)脾臓;(7)精巣;および(8)胸腺。
【図3A】図3Aは、正常ヒト組織のパネルにわたる24P4C12発現のノーザンブロット分析を示し、腎臓における約3kb転写物の発現を示す。レーンは以下の組織を表す:(1)心臓;(2)脳;(3)胎盤;(4)肺;(5)肝臓;(6)骨格筋;(7)腎臓;および(8)膵臓。
【図3B】図3Bは、正常ヒト組織のパネルにわたる24P4C12発現のノーザンブロット分析を示し、前立腺および結腸における約3kb転写物の発現を示す。レーンは以下の組織を表す:(1)脾臓;(2)胸腺;(3)前立腺;(4)精巣;(5)卵巣;(6)小腸;(7)結腸;および(8)白血球。
【図3C】図3Cは、前立腺癌移植片および前立腺癌細胞株における24P4C12発現のノーザンブロット分析を示し。レーンは以下の組織を表す:(1)PrEC;(2)LAPC−4 AD;(3)LAPC−4 AI;(4)LAPC−9 AD;(5)LAPC−9 AI;(6)LNCaP;(7)PC−3;(8)DU145;(9)TsuPr1;および(10)LAPC−4 CL。
【図4A】図4Aおよび4Bは、24P4C12遺伝子産物およびマウスNG22(配列番号5)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図4B】図4Aおよび4Bは、24P4C12遺伝子産物およびマウスNG22(配列番号5)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図5】図5は、LAPC異種移植片における24P4C12の発現を示す。マウス骨内に皮下(sc)または脛骨内(it)で移植したLAPC異種移植片からRNAを抽出した。1レーンあたり10μgの総RNAを有するノーザンブロットを、24P4C12 SSHフラグメントを用いて探索(probe)した。キロベース(kb)のサイズ標準物を、側方に示す。レーンは以下の組織を表す:(1)LAPC−4 ADsc;(2)LAPC−4 ADsc;(3)LAPC−4 ADsc;(4)LAPC−4 ADit;(5)LAPC−4 ADit;(6)LAPC−4 ADit;(7)LAPC−4 AD2;(8)LAPC−9 ADsc;(9)LAPC−9 ADsc;(10)LAPC−9 ADit;(11)LAPC−9 ADit;(12)LAPC−9 ADit;(13)LAPC−3 AIsc;および(14)LAPC−3 AIsc。
【図6A】図6Aは、前立腺癌患者サンプルにおける24P4C12の発現を示す。前立腺癌患者由来の前立腺腫瘍およびその正常な隣接組織から、RNAを抽出した。1レーンあたり10μgの総RNAを有するノーザンブロットを、24P4C12 SSHフラグメントを用いて探索した。キロベース(kb)のサイズ標準物を、側方に示す。レーンは以下の組織を表す:(1)患者1、正常隣接組織;(2)患者1、グリーソン7腫瘍;(3)患者2、正常隣接腫瘍;(4)患者2、グリーソン9腫瘍;(5)患者3、正常隣接組織;(6)患者3、グリーソン7腫瘍。
【図6B】図6Bは、図6Aについて記載されるような前立腺癌患者サンプルにおける24P4C12の発現が、βアクチンと比較されたことを示す。レーンは以下の組織を表す:(1)患者1、正常隣接組織;(2)患者1、グリーソン7腫瘍;(3)患者2、正常隣接腫瘍;(4)患者2、グリーソン9腫瘍;(5)患者3、正常隣接組織;(6)患者3、グリーソン7腫瘍。
【図7A】図7A〜7Dは、H38087(クローンGTB6)のcDNA配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号7)を示す。潜在的なKozak配列および開始メチオニン(太字で表す)の前に5’非翻訳(UTR)領域中のGCリッチ領域(87%GC含量)が示される。潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。
【図7B】図7A〜7Dは、H38087(クローンGTB6)のcDNA配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号7)を示す。潜在的なKozak配列および開始メチオニン(太字で表す)の前に5’非翻訳(UTR)領域中のGCリッチ領域(87%GC含量)が示される。潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。
【図7C】図7A〜7Dは、H38087(クローンGTB6)のcDNA配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号7)を示す。潜在的なKozak配列および開始メチオニン(太字で表す)の前に5’非翻訳(UTR)領域中のGCリッチ領域(87%GC含量)が示される。潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。
【図7D】図7A〜7Dは、H38087(クローンGTB6)のcDNA配列(配列番号2)およびアミノ酸配列(配列番号7)を示す。潜在的なKozak配列および開始メチオニン(太字で表す)の前に5’非翻訳(UTR)領域中のGCリッチ領域(87%GC含量)が示される。潜在的な膜貫通ドメインに下線を付し、太字で示す。
【図8】図8は、BLAST機能(NCBI)を使用してH38087との24P4C12の相同性アラインメントを示す。
【図9A】図9Aは、ヒト組織における24P4C12の発現を示す。1レーンあたり2μgのmRNAを用いる複数の組織のノーザンブロット(Clontech)を、24P4C12 SSHフラグメントを用いて探索した。キロベース(kb)のサイズ標準物を、側方に示す。レーンは以下の組織を表す:(1)心臓;(2)脳;(3)胎盤;(4)肺;(5)肝臓;(6)骨格筋;(7)腎臓;および(8)膵臓。
【図9B】図9Bは、ヒト組織における24P4C12の発現を示す。1レーンあたり2μgのmRNAを用いる複数の組織のノーザンブロットを、24P4C12 SSHフラグメントを用いて探索した。キロベース(kb)のサイズ標準物を、側方に示す。レーンは以下の組織を表す:(1)脾臓;(2)胸腺;(3)前立腺;(4)精巣;(5)卵巣;(6)小腸;(7)結腸;および(8)白血球。
【図9C】図9Cは、ヒト組織における24P4C12の発現を示す。1レーンあたり10μgの総RNAを用いるLAPC異種移植片のノーザンブロット(Clontech)を、24P4C12 SSHフラグメントを用いて探索した。サイズ標準物(kb)を、側方に示す。レーンは以下の組織を表す:(1)PC−3;(2)LAPC−4 AD;(3)LAPC−4 AI;(4)LAPC−9 AD;(5)LAPC−9 AI。
【図10A】図10Aは、24P4C12特異的ポリクローナル抗体によって24P4C12 cDNAでトランスフェクトされた293T細胞中での24P4C12タンパク質の検出を示す。293T細胞は、空のベクター、または、pCDNA3.1 CMVで駆動されたMYC−HisまたはpSR−αレトロウイルス発現ベクター中の24P4C12 cDNAで一過性にトランスフェクトされた。次いで、サンプル緩衝液中の細胞溶解物を、穏やかな熱変性(70℃)に供し、そして10%SDS−PAGEゲル上で分離し、そしてニトロセルロースに転写した。次いで、膜を、24P4C12のアミノ酸1〜14(MGGKQRDEDDEAYG)に対して惹起した、アフィニティー精製したウサギ抗ペプチドpAb 2μg/mlを用いてウェスタン分析に供した。抗24P4C12免疫応答性バンドを、抗ウサギHRP結合体化二次抗体とともにインキュベーションすることによって可視化し、そして化学発光検出を増強した。結果は、熱変性によって増強された、90kDの免疫反応性バンド(矢印)および高分子量スメア(>132Kd)の特異的認識を示す。
【図10B】図10Bは、24P4C12特異的ポリクローナル抗体によって24P4C12 cDNAでトランスフェクトされた293T細胞中での24P4C12タンパク質の検出を示す。図10Aについてと同様に調製されたトランスフェクトされた293T細胞を、サンプル緩衝液中で溶解し、そして強力な熱変性(100℃)に供した。24P4C12のアミノ酸1〜14(MGGKQRDEDDEAYG)に対して惹起した、アフィニティー精製したウサギ抗ペプチドpAb2μg/mlを用いるウェスタン分析を、図10Aについてと同様に行った。結果は、熱変性によって増強された、90kDの免疫反応性バンド(矢印)および高分子量スメア(>132Kd)の特異的認識を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
他に規定しない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語、表記、および他の科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって共通して理解される意味を有することが意図される。いくつかの場合において、共通して理解される意味は、明確さおよび/または迅速な参照のために本明細書中で定義され、そしてこのような定義の本明細書中への包含は、当該分野において一般に理解されることにわたって実質的な相違を表すとは必ずしも解釈されるべきではない。本明細書中に記載または参照される技術および手順は、一般に、従来の方法論(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.において記載されている方法論を広く利用した分子クローニングの方法論)を用いて、当業者によって十分に理解されかつ共通して用いられる。適切な場合、市販のキットおよび試薬の使用を含む手順は、他に注記されない限り、一般に、製造業者によって規定されるプロトコルおよび/またはパラメーターに従って実行される。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「進行した前立腺癌」、「局所的に進行した前立腺癌」、「進行した疾患」および「局所的に進行した疾患」とは、前立腺皮膜を通して伸長した前立腺癌を意味し、そして米国泌尿器学会(AUA)システムの下でのステージC疾患、Whitmore−Jewettシステムの下でのステージC1−C2疾患、およびTNM(腫瘍、節、転移)システムの下でのステージT3−T4およびN+疾患を含むことが意味される。一般に、手術は、局所的に進行した疾患を有する患者のためには推奨されず、そしてこれらの患者は、臨床的に局在化している(器官に限定されている)前立腺癌を有する患者と比較して、実質的により好ましくない結果を有する。局所的に進行した疾患は、前立腺の側縁を超える硬化の明白な証拠、または前立腺基部上の非対称もしくは硬化によって臨床的に同定される。局所的に進行した前立腺癌は、腫瘍が前立腺皮膜に侵入するかもしくは浸透するか、外科的な境界まで伸長するか、または精嚢に侵入する場合、現在、徹底的な前立腺切除後に生理学的に診断される。
【0019】
本明細書中で使用する場合、用語「転移性前立腺癌」および「転移性疾患」は、局所的なリンパ節、または異なる部位に拡がった前立腺癌を意味し、そしてAUAシステム下でステージD疾患、およびTNMシステム下でステージTxNxM+を包含することが意味される。局所的に進行した前立腺癌の場合、手術は一般的には転移性疾患を有する患者には示されず、そしてホルモン(アンドロゲン除去)治療が好ましい治療様式である。転移性前立腺癌を有する患者は、最終的に、処置の開始から12〜18ヶ月以内にアンドロゲン抵抗性の状態を発症し、そしてこれらの患者のおよそ半数がその後6ヶ月以内に死亡する。前立腺癌転移の最も一般的な部位は骨である。前立腺癌の骨転移は、結局のところ、特徴として、溶骨性ではなくむしろ造血性である(すなわち、正味の骨の形成を生じる)。骨への転移は、脊椎において最も頻繁に見出され、大腿骨、骨盤、胸郭、頭蓋、および上腕骨と続く。転移のための他の一般的な部位には、リンパ節、肺、肝臓、および脳が含まれる。転移性の前立腺癌は、代表的には、直視的または腹腔鏡的な骨盤のリンパ節切除術、全身の放射性核種スキャン、骨格のラジオグラフィー、および/または骨損傷生検によって診断される。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、少なくとも10塩基または10塩基対の長さのヌクレオチドのポリマー型を意味し、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドまたはいずれかの型のヌクレオチドの改変型のいずれかであり、そして一本鎖および二本鎖の形態のDNAを含むことを意味する。
【0021】
本明細書中で使用する場合、用語「ポリペプチド」は、少なくとも10アミノ酸のポリマーを意味する。本明細書を通して、アミノ酸についての標準的な3文字表記または1文字表記が使用される。
【0022】
本明細書中で使用される場合、ポリヌクレオチドの状況において使用される、用語「ハイブリダイズ」、「ハイブリダイズする」「ハイブリダイズする」などは、従来のハイブリダイゼーション条件(好ましくは、例えば、50% ホルムアミド、6×SSC/0.1% SDS/100μg/ml ssDNA)をいうことが意味される。ここで、ハイブリダイゼーションのための温度が、37℃より高い温度であり、そして0.1×SSC/0.1% SDS中での洗浄のための55℃がより高い温度であり、そして最も好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件である。
【0023】
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定可能であり、そして一般的には、プローブの長さ、洗浄温度、および塩濃度に依存する経験による計算である。一般に、より長いプローブは、正しいアニーリングのためにより高い温度を必要とするが、一方、より短いプローブは、より低い温度を必要とする。ハイブリダイゼーションは、一般に、融解温度より下の環境において、相補鎖が存在する場合、変性したDNAの再アニーリングする能力に依存する。プローブと、ハイブリダイズ可能な配列との間の所望される相同性の程度が高いほど、使用され得る相対的な温度が高くなる。結果として、相対的により高い温度が、反応条件をよりストリンジェントにする傾向があるが、より低い温度ではそのようなことがより少ない、ということになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細および説明については、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley,Interscience Publishers,(1995)を参照のこと。
【0024】
本明細書中に規定されるように、「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、以下の条件によって同定され得る:(1)洗浄のために低いイオン強度および高い温度を使用する条件(例えば、0.015M 塩化ナトリウム/0.0015M クエン酸ナトリウム/0.1% ドデシル硫酸ナトリウム、50℃);(2)ハイブリダイゼーションの間に変性剤(例えば、ホルムアミド)を使用する条件(例えば、50% (v/v)ホルムアミドおよび0.1% ウシ血清アルブミン/0.1% Ficol/0.1% ポリビニルピロリドン/50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)および750mM 塩化ナトリウム、75mM クエン酸ナトリウム、42℃);または(3)50% ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075M クエン酸ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1% ピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt’s溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg)、0.1% SDS、および10% 硫酸デキストラン、42℃、さらに以下の洗浄工程、42℃において0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%ホルムアミド、55℃、続いて、高ストリンジェンシー洗浄(EDTAを含む0.1×SSCからなる、55℃)を使用する条件。
【0025】
「中程度にストリンジェントな条件」は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Press,1989によって記載されたように同定され得、そして洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度、およびSDS)の使用を含む。これは、上記に記載されたものよりもよりストリンジェントではない。中程度にストリンジェントな条件の例は、以下を含む溶液中での37℃、一晩のインキュベーションである:20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s溶液、10% 硫酸デキストラン、および20mg/mL変性剪断サケ精子DNA、続いて約37℃〜50℃で1×SSC中でフィルターを洗浄する。当業者は、温度、イオン強度などを、因子(例えば、プローブ長などのような因子)を適応させるのに必要なように調整する方法を認識する。
【0026】
アミノ酸比較の状況において、用語「同一性」は、同一である同じ相対的位置のアミノ酸残基のパーセンテージを表現するために使用される。この状況においてはまた、用語「相同性」は、BLAST分析の保存性アミノ酸の判断基準を使用して、当該分野において一般的に理解されるように、同一であるかまたは類似であるかのいずれかである、同じ相対位置でのアミノ酸残基のパーセンテージを表現するために使用される。例えば、同一性%の値は、WU−BLAST−2(Altschulら、Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.html)によって生成され得る。アミノ酸置換(これは、このような判断基準の下では保存性であると見なされる)に関するさらなる詳細は以下に提供される。
【0027】
さらなる定義が、引き続くサブセクションを通して提供される。
【0028】
本発明は、複数の膜貫通領域および前立腺癌における発現によって特徴付けされた、新規な遺伝子およびタンパク質のファミリーに関する。より詳細には、本発明は、24P4C12およびH38087と命名された、新規な遺伝子およびタンパク質を提供する。本発明は、一部は、24P4C12遺伝子およびH38087遺伝子の同定に基づき、そして、前立腺癌、正常な前立腺、および他の正常ヒト組織における、24P4C12およびH38087遺伝子の発現パターンの特徴付けに基づく。以下に続く実施例においてより完全に記載されるように、24P4C12遺伝子およびH38087遺伝子の発現パターンは、以下によって分析された:(1)組織および細胞株のパネルから調製した標的cDNAを使用する、RT−PCRによる示差的発現分析(正常前立腺、ならびにLAPC−4 ADおよびAI、およびLAPC−9 AD異種移植片を含む)(2)16の正常ヒト組織から調製されたcDNAを用いるRT−PCRによる組織特異性分析、ならびに(3)正常前立腺サンプルおよび前立腺癌異種移植片サンプルのノーザンブロット分析。この組み合わせた発現分析は、ADとAI組織の間、臨床的前立腺癌と正常な前立腺との間、および組織特異的の示差的発現に関する情報を提供するために設計された。さらに、24P4C12およびH38087の遺伝子産物の最初の生物学的特徴付けが、比較できる配列分析によって行われた。
【0029】
本明細書中に開示された24P4C12およびH38087のcDNA配列または遺伝子配列のすべてまたは一部に対応するヌクレオチドプローブが提供され、そして、24P4C12およびH38087の遺伝子配列のすべてまたは一部をコードする他のcDNAを単離または同定するために使用され得る。本発明はさらに、24P4C12遺伝子およびH38087遺伝子またはそれらのRNA転写物を特異的に増幅させ得るプライマー、および24P4C12分子とH38087分子との間を区別するためのプライマーを提供する。本発明はさらに、24P4C12およびH38087の遺伝子産物のコード配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。このようなポリヌクレオチドは、多数のさらなる用途を有する、24P4C12およびH38087によってコードされるタンパク質およびペプチドを発現するために使用され得る。24P4C12およびH38087の遺伝子プローブおよびプライマーもまた、種々の生物学的サンプルにおいて24P4C12およびH38087のmRNAの存在または非存在を検出するために、24P4C12およびH38087を発現する前立腺癌細胞および他の細胞を検出するために、および前立腺癌についての分子的診断アッセイおよび予後アッセイにおいて使用され得る。24P4C12遺伝子に対応するか、またはそれに相補的なポリヌクレオチドは、例えば、24P4C12の生物学的活性を調節するかまたは阻害する際に、前立腺癌を処置するための方法において有用であり得る。
【0030】
本発明はまた、例えば、抗体を惹起するために使用され得る24P4C12およびH38087のタンパク質およびポリペプチドを提供する。24P4C12およびH38087のタンパク質およびポリペプチドに特異的に結合し得るか、またはそれらを同定し得る抗体は、24P4C12およびH38087の発現を検出するため、それらの細胞内位置を決定するため、前立腺癌細胞および前立腺腫瘍を検出および画像化するため、ならびに24P4C12およびH38087の生物学的活性を調節および阻害するために使用され得る。本発明のこれらおよび他の局面は、以下のサブセクションにより詳細に記載されている。
【0031】
(24P4C12の構造および発現)
以下の実施例においてさらに記載されるように、24P4C12遺伝子およびタンパク質が、多数の分析的アプローチを用いて特徴付けられた。例えば、ヌクレオチドコード配列およびアミノ酸配列の分析は、潜在的に関連する分子、ならびに認識可能な構造ドメイン、トポロジー的特徴、および24P4C12 mRNAおよびタンパク質構造中の他のエレメントを同定するために行われた。24P4C12 mRNA発現のノーザンブロットは、24P4C12メッセージを発現する正常組織および癌性組織の範囲を確立させるために行われた。
【0032】
cDNA配列と合わせた、約3kbの24P4C12のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)は、図1A〜1Dに提供される。この2587ヌクレオチド配列は、710アミノ酸のタンパク質をコードし、このタンパク質は、13の推定膜貫通ドメイン(図1A〜1D中で下線を付した)を有し、そこに、105〜173、261〜329、439〜506、678〜746、768〜836、924〜992、1074〜1142、1245〜1313、1344〜1412、1506〜1575、1694〜1763、1803〜1871、および1935〜2000として番号付けした。比較配列分析は、24P4C12 cDNA配列に対して有意な相同性を有する2つの公知の配列(最近同定されたマウスNG22遺伝子およびCEESB82Fと名付けられたC.elegans遺伝子)を同定した。これらの両方の遺伝子は、12の膜貫通ドメインを含むタンパク質をコードする。マウスNG22遺伝子(図4A〜4B;配列番号5)は、マウスゲノム中のMHCクラスIIIを含むゲノムBACクローン中の多くのORFのうちの1つとして最近同定された。
【0033】
16の正常組織において行われた、24P4C12 SSHフラグメントプローブを使用したノザンブロット分析は、主に、前立腺および結腸における発現を示し、より低い発現が、腎臓において検出され、そして有意により低い発現が、膵臓、肺および胎盤において検出された(図2A〜2C、3A〜3B)。癌組織における24P4C12発現を分析するために、ノザンブロッティングを、LAPC異種移植片、ならびにいくつかの前立腺癌細胞株および非前立腺癌細胞株由来のRNAにおいて行った。結果は、LAPC−4 AD、LAPC−4 AI、LAPC−9 AD、LNCaPおよびLAPC−4細胞株において、24P4C12の高い発現レベルを示す(図2A、3C、5)。非常に高いレベルが、LAPC−3 AIにおいて検出される(図5)。より低いレベルが、LAPC−9 AIにおいて検出される(図3C)。異種移植片のより詳細な分析は、24P4C12が、マウスの脛骨内で増殖する場合でさえも、異種移植片において高度に発現されることを示す(図5)。ノザン分析はまた、24P4C12が、正常前立腺、および前立腺癌患者由来の前立腺腫瘍組織において発現されることを示す(図6A)。これらの結果は、24P4C12が、前立腺癌において高度に発現される前立腺遺伝子であり、そして前立腺癌における薬物または抗体標的としての有用性を有し得る前立腺遺伝子であることを示唆する。
【0034】
(H38087の構造および発現)
H38087は、NCBIにおけるtblastn手段を使用して、24P4C12アミノ酸配列を用いてdBESTデータベースを検索することによって、24P4C12のファミリーメンバーとして同定された。相同タンパク質のタンパク質フラグメントをコードするESTが同定された。これらのうちの1つであるH38087は、精巣ライブラリーからクローニングされた。cDNA(クローンGTB6)は、2738bpの大きさ(配列番号6)であり、そして11の推定膜貫通ドメインを有する(図7A〜7Dにおいて、下線を引かれ、そしてその図において、152〜220、311〜379、743〜811、830〜895、995〜1060、1133〜1201、1394〜1459、1556〜1624、1655〜1723、1859〜1924および19880〜2056として番号を付される)704のアミノ酸タンパク質(配列番号7)をコードする。5’非翻訳領域の58の塩基対は、非常にGCに富み(87%)、これは、この遺伝子は、翻訳調節エレメントを含み得ることを示す。24P4C12およびH38087のアミノ酸配列は、全体の配列に対して、44%同一であり、そして56%相同である(図8)。
【0035】
発現分析は、H38087が、偏在して発現されることを示し(図9)、最も高い発現レベルが、精巣において検出される。発現はまた、すべてのLAPC異種移植片において見られる。H38087が、偏在して発現されるので、24P4C12特異的療法を試験するためのコントロールとして役立ち得る。H38087の機能に影響を及ぼす24P4C12特異的療法は、正常細胞に対して毒性であり得る。しかし、24P4C12に選択的に影響を及ぼすが、H38087には影響を及ぼさない療法は、正常細胞に対して毒性がより減少され得る。従って、H38087タンパク質は、24P4C12に対して指向される治療様式のための前臨床試験手段として有用である。
【0036】
(ポリヌクレオチド)
本発明の一つの局面は、24P4C12遺伝子、mRNAおよび/またはコード配列(好ましくは、24P4C12タンパク質およびそのフラグメント、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドならびに関連分子をコードするポリヌクレオチド、24P4C12遺伝子もしくはmRNA配列またはその一部分に相補的な、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、ならびに24P4C12遺伝子、mRNAもしくは24P4C12をコードするポリヌクレオチド(集合的に、「24P4C12ポリヌクレオチド」)にハイブリダイズする、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含む単離形態における)のすべてもしくは一部分に対応するか、またはそのすべてもしくは一部分に相補的なポリヌクレオチドを提供する。本明細書中で使用される場合、24P4C12遺伝子およびタンパク質は、本明細書中で具体的に記載される24P4C12遺伝子およびタンパク質、ならびに他の24P4C12タンパク質および前述の構造的に類似の改変体に対応する、遺伝子およびタンパク質を含むことが意味される。このような他の24P4C12タンパク質および改変体は、一般的に、24P4C12コード配列に高度に相同なコード配列を有し、そして好ましくは、少なくとも約50%のアミノ酸同一性、そして少なくとも約60%のアミノ酸相同性を共有し(BLAST標準を使用して)、より好ましくは、70%以上の相同性を共有する(BLAST標準を使用して)。
【0037】
24P4C12ポリヌクレオチドの一つの実施形態は、図1A〜1D(配列番号1)に示される配列を有する24P4C12ポリヌクレオチドである。24P4C12ポリヌクレオチドは、図1A〜1D(配列番号1)に示されるようなヒト24P4C12のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド(ここで、Tはまた、Uであり得る);24P4C12タンパク質のすべてまたは一部分をコードするポリヌクレオチド;前述のポリヌクレオチドに相補的な配列;あるいは前述のうちのいずれかのポリヌクレオチドフラグメントを含み得る。別の実施形態は、図1A〜1D(配列番号1)に示されるような、ヌクレオチド残基数6〜ヌクレオチド残基数2138の配列を有するか、または図1E(配列番号3)に示されるような配列を有するポリヌクレオチドを含み、ここで、Tはまた、Uであり得る。別の実施形態は、配列が、それぞれ、American Type Culture Collectionに、指定(Designation)番号207129および207084として寄託された、p24P4C12−GTE5またはp24P4C12−GTE9と命名されたプラスミドのいずれかに含まれるcDNAによってコードされる、24P4C12ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。別の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、図1A〜1D(配列番号1)に示されるヒト24P4C12cDNA、またはそのポリヌクレオチドフラグメントにハイブリダイズし得るポリヌクレオチドを含む。
【0038】
本明細書中で開示される本発明の代表的な実施形態は、24P4C12 mRNA配列の特定の一部分をコードする24P4C12ポリヌクレオチド(例えば、タンパク質およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)を含む。例えば、本明細書中で開示される本発明の代表的な実施形態は、以下を含む:図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸1〜およそアミノ酸10をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸20〜およそアミノ酸30をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸30〜およそアミノ酸40をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸40〜およそアミノ酸50をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸50〜およそアミノ酸60をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸60〜およそアミノ酸70をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸70〜およそアミノ酸80をコードするポリヌクレオチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸80〜およそアミノ酸90をコードするポリヌクレオチド、および図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸90〜およそアミノ酸100をコードするポリヌクレオチドなど。このスキームの後、24P4C12タンパク質のアミノ酸100〜710のアミノ酸配列の一部分をコードするポリヌクレオチド(少なくとも10アミノ酸の)は、本発明の代表的な実施形態である。24P4C12タンパク質のより大きな部分をコードするポリヌクレオチドがまた意図される。例えば、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質のおよそアミノ酸1(または20、または30、または40など)〜およそアミノ酸20(または30、または40、または50など)をコードするポリヌクレオチドは、当該分野に周知の種々の技術によって生成され得る。
【0039】
本明細書中で開示される本発明のさらなる例示的な実施形態は、24P4C12タンパク質配列内に含まれる、1つ以上の生物学的モチーフをコードする24P4C12ポリヌクレオチドフラグメントを含む。一つの実施形態において、本発明の代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書中で開示される1つ以上の膜貫通ドメインをコードし得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、H38087、NG22またはCEESB82Fとの相同性を示す、24P4C12の1つ以上の領域をコードし得る。本発明の別の実施形態において、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、以下の24P4C12タンパク質およびポリペプチドを議論する主題において、より詳細に開示されるような、1つ以上の以下をコードし得る:24P4C12 Nグリコシル化部位、プロテインキナーゼCリン酸化部位、カゼインキナーゼIIリン酸化部位、チロシンキナーゼリン酸化部位、Nミリストイル化部位またはアミド化部位、あるいはロイシンジッパー型。本発明のなお別の実施形態において、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、1つ以上の24P4C12選択的スプライシング改変体に独特である配列をコードし得る。
【0040】
前述の段落のポリヌクレオチドは、多くの異なる特定の使用を有する。例えば、24P4C12は、前立腺癌において特異的に発現されることが示されるので(図2A、3C、5、6)、これらのポリヌクレオチドは、正常な組織対癌性組織における24P4C12遺伝子産物の状態を評価するための方法において使用され得る。代表的には、24P4C12タンパク質の特定の領域をコードするポリヌクレオチドが使用されて、24P4C12遺伝子産物の特定の領域(膜貫通ドメインを含むような領域)において、混乱状態(例えば、欠失、挿入、点変異など)の存在を評価し得る。例示的なアッセイは、RT−PCRアッセイ、ならびに一本鎖高次構造多型(SSCP)分析(例えば、Marrogiら、J.Cutan.Pathol.26(8):369−378(1999)を参照のこと)の両方を含み、これらの両方は、タンパク質の特定の領域をコードするポリヌクレオチドを利用して、タンパク質内のこれらの領域を試験する。
【0041】
同様に、本発明はさらに、H38087遺伝子、mRNAおよび/またはコード配列(好ましくは、H38087タンパク質およびそのフラグメント、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドならびに関連分子をコードするポリヌクレオチド、H38087遺伝子もしくはmRNA配列またはその一部分に相補的な、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、ならびにH38087遺伝子、mRNAもしくはH38087をコードするポリヌクレオチド(集合的に、「H38087ポリヌクレオチド」)にハイブリダイズする、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含む単離形態における)のすべてもしくは一部分に対応するか、またはそのすべてもしくは一部分に相補的なポリヌクレオチドを提供する。本明細書中で使用される場合、H38087遺伝子およびタンパク質は、本明細書中で具体的に記載されるH38087遺伝子およびタンパク質、ならびに他のH38087タンパク質および前述の構造的に類似の改変体に対応する、遺伝子およびタンパク質を含むことが意味される。このような他のH38087タンパク質および改変体は、一般的に、H38087コード配列に高度に相同なコード配列を有し、そして好ましくは、少なくとも約50%のアミノ酸同一性、そして少なくとも約60%のアミノ酸相同性を共有し(BLAST標準を使用して)、より好ましくは、70%以上の相同性を共有する(BLAST標準を使用して)。
【0042】
H38087ポリヌクレオチドの一つの実施形態は、図7A〜7D(配列番号6)に示される配列を有するH38087ポリヌクレオチドである。H38087ポリヌクレオチドは、図7A〜7D(配列番号6)に示されるようなヒトH38087のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド(ここで、Tはまた、Uであり得る);H38087タンパク質のすべてまたは一部分をコードするポリヌクレオチド;前述のポリヌクレオチドに相補的な配列;あるいは前述のうちのいずれかのポリヌクレオチドフラグメントを含み得る。別の実施形態は、図7A〜7D(配列番号6)に示されるような、ヌクレオチド残基数59〜ヌクレオチド残基数2173(図7A〜7D;配列番号6に示される番号付けを使用して)の配列を有するポリヌクレオチドを含む。別の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、図7A〜7Dに示されるヒトH38087cDNA、またはそのポリヌクレオチドフラグメントにハイブリダイズし得るポリヌクレオチドを含む。
【0043】
本明細書中で開示される本発明の代表的な実施形態は、H38087 mRNA配列の特定の一部分をコードするH38087ポリヌクレオチド(例えば、タンパク質およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)を含む。例えば、本明細書中で開示される本発明の代表的な実施形態は、以下を含む:図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸1〜およそアミノ酸10をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸20〜およそアミノ酸30をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸30〜およそアミノ酸40をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸40〜およそアミノ酸50をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸50〜およそアミノ酸60をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸60〜およそアミノ酸70をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸70〜およそアミノ酸80をコードするポリヌクレオチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸80〜およそアミノ酸90をコードするポリヌクレオチド、および図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸90〜およそアミノ酸100をコードするポリヌクレオチドなど。このスキームの後、H38087タンパク質のアミノ酸100〜704のアミノ酸配列の一部分をコードするポリヌクレオチド(少なくとも10アミノ酸の)は、本発明の代表的な実施形態である。H38087タンパク質のより大きな部分をコードするポリヌクレオチドがまた意図される。例えば、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質のおよそアミノ酸1(または20、または30、または40など)〜およそアミノ酸20(または30、または40、または50など)をコードするポリヌクレオチドは、当該分野に周知の種々の技術によって生成され得る。
【0044】
本明細書中で開示される本発明のさらなる例示的な実施形態は、H38087タンパク質配列内に含まれる、1つ以上の生物学的モチーフをコードするH38087ポリヌクレオチドフラグメントを含む。一つの実施形態において、本発明の代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書中で開示される1つ以上の膜貫通ドメインをコードし得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、24P4C12、NG22またはCEESB82Fとの相同性を示す、H38087の1つ以上の領域をコードし得る。本発明の別の実施形態において、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、以下のH38087タンパク質およびポリペプチドを議論する主題において、より詳細に開示されるような、1つ以上の以下をコードし得る:H38087 Nグリコシル化部位、プロテインキナーゼCリン酸化部位、カゼインキナーゼIIリン酸化部位、チロシンキナーゼリン酸化部位、またはNミリストイル化部位、あるいはシグナル配列。本発明のなお別の実施形態において、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、1つ以上のH38087選択的スプライシング改変体に独特である配列をコードし得る。
【0045】
本明細書中で開示される本発明の他の具体的に意図された実施形態は、ゲノムDNA、cDNA、リボザイムおよびアンチセンス分子、ならびに天然の供給源または合成由来にせよ、代替の骨格に基づくか、または代替の塩基を含む核酸分子である。例えば、アンチセンス分子は、RNA、あるいは他の分子(ペプチド核酸(PNA)または塩基対依存様式でDNAもしくはRNAに特異的に結合する非核酸分子(例えば、ホスホロチオエート誘導体)を含む)であり得る。当業者は、24P4C12およびH38087ポリヌクレオチドならびに本明細書中で開示されるポリヌクレオチド配列を使用して、核酸分子のこれらのクラスを容易に獲得し得る。
【0046】
アンチセンス技術は、細胞内部に位置する標的ポリヌクレオチドに結合する外因性オリゴヌクレオチドの投与を必然的に伴う。用語「アンチセンス」は、このようなオリゴヌクレオチドが、その細胞内標的(例えば、24P4C12またはH38087)に相補的であるという事実をいう。例えば、Jack Cohen,OLIGODEOXYNUCLEOTIDES,Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,1989;およびSynthesis 1:1−5(1988)を参照のこと。本発明の24P4C12アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびH38087アンチセンスオリゴヌクレオチドは、Sオリゴヌクレオチド(ホスホロチオエート誘導体またはS−オリゴ、Jack Cohen、前出を参照のこと)のような誘導体を含み、この誘導体は、癌細胞増殖阻害作用の増大を示す。S−オリゴ(ヌクレオシドホスホロチオエート)は、オリゴヌクレオチド(O−オリゴ)の等電子アナログであり、リン酸基の非架橋酸素原子は、硫酸原子に置換される。本発明のS−オリゴは、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド(これは、硫酸転移試薬である)での対応するO−オリゴの処理によって調製され得る。Iyer,R.P.ら、J.Org.Chem.55:4693−4698(1990);およびIyer,R.P.ら、J.Am.Chem.Soc.112:1253−1254(1990)(これらの開示は、本明細書中で参考として完全に援用される)を参照のこと。
【0047】
本発明の24P4C12およびH38087アンチセンスオリゴヌクレオチドは、代表的に、24P4C12ゲノムもしくは対応するmRNA、またはH38087ゲノムもしくは対応するmRNAの、最初の100N末端コドンまたは最後の100C末端コドンに相補的であり、そしてこれらのコドンと安定にハイブリダイズする、RNAまたはDNAであり得る。完全なコンプリメンタリティー(complementarity)は必要ではないが、高い程度のコンプリメンタリティーが好ましい。この領域に相補的なオリゴヌクレオチドの使用は、24P4C12 mRNAまたはH38087 mRNAへの選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、そしてタンパク質キナーゼの他の調節サブユニットを特定するmRNAへの選択的ハイブリダイゼーションを不可能にする。好ましくは、本発明の24P4C12およびH38087アンチセンスオリゴヌクレオチドは、24P4C12 mRNAまたはH38087 mRNAにハイブリダイズする配列を有するアンチセンスDNA分子の15〜30merフラグメントである。必要に応じて、24P4C12またはH38087アンチセンスオリゴヌクレオチドは、24P4C12またはH38087の、最初の10のN末端コドンおよび最後の10のC末端コドンにおける領域に相補的な30merオリゴヌクレオチドである。あるいは、アンチセンス分子は、24P4C12またはH38087発現の阻害において、リボザイムを利用するように改変される。L.A.CoutureおよびD.T.Stinchcomb;Trends Genet 12:510−515(1996)。
【0048】
本発明のこの局面のさらなる特異的な実施形態は、プライマーおよびプライマーペアを含み、これは、本発明のポリヌクレオチドまたはその任意の特定の部分の特異的増幅、および本発明の核酸分子またはその任意の部分に選択的もしくは特異的にハイブリダイズするプローブの特異的増幅を可能にする。プローブは、検出可能なマーカー(例えば、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤または酵素のような)で標識され得る。このようなプローブおよびプライマーが、サンプルにおける24P4C12ポリヌクレオチドまたはH38087ポリヌクレオチドの存在を検出するために使用され得、そして24P4C12タンパク質またはH38087タンパク質を発現する細胞を検出するための手段として使用され得る。
【0049】
このようなプローブの例としては、図1A〜1D(配列番号1)に示されるヒト24P4C12 cDNA配列の、すべてまたは一部分を含むポリペプチド、あるいは図7A〜7D(配列番号6)に示されるヒトH38087 cDNA配列の、すべてまたは一部分を含むポリペプチドが挙げられる。24P4C12 mRNAまたはH38087 mRNAを特異的に増幅し得るプライマーペアの例はまた、続く実施例において記載される。当業者に理解されるように、非常に多くの異なるプライマーおよびプローブが、本明細書中に提供される配列に基づいて調製され得、そして24P4C12 mRNAまたはH38087 mRNAを、有効に増幅および/または検出するために使用され得る。
【0050】
本明細書中で使用されるように、ポリヌクレオチドは、24P4C12遺伝子またはH38087遺伝子ではない遺伝子に、対応するかまたは相補的である汚染物質ポリヌクレオチド、あるいは24P4C12遺伝子産物もしくはそのフラグメントまたはH38087遺伝子産物もしくはそのフラグメントではないポリペプチドをコードする汚染物質ポリヌクレオチドから実質的に分離される場合、「単離された」と言われる。当業者は、容易に核酸単離手順を利用して、単離された24P4C12ポリヌクレオチドまたは単離されたH38087ポリヌクレオチドを獲得し得る。
【0051】
本発明の24P4C12またはH38087ポリヌクレオチドは、種々の目的に有用である。この目的としては、24P4C12遺伝子、mRNAまたはそのフラグメント、あるいはH38087遺伝子、mRNAまたはそのフラグメントの、増幅および/または検出のための、プローブおよびプライマーとしての使用;前立腺癌および他の癌の、診断および/または予後のための試薬としての使用;24P4C12ポリペプチドまたはH38087ポリペプチドの発現を指向し得るコード配列としての使用;24P4C12遺伝子もしくはH38087遺伝子の発現および/または24P4C12転写物もしくはH38087転写物の翻訳を、調節または阻害するための手段としての使用;ならびに治療薬としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
(24P4C12をコードする核酸分子の単離およびH38087をコードする核酸分子の単離)
本明細書中に記載される24P4C12 cDNA配列およびH38087 cDNA配列は、24P4C12遺伝子産物またはH38087遺伝子産物をコードする他のポリヌクレオチドの単離、ならびに24P4C12またはH38087の遺伝子産物ホモログ、選択的にスプライシングされたアイソフォーム、対立遺伝子改変体、および24P4C12遺伝子産物またはH38087遺伝子産物の変異体形態をコードするポリヌクレオチドの単離を可能にする。24P4C12遺伝子またはH38087遺伝子をコードする全長cDNAを単離するために利用され得る種々の分子クローニング方法は、周知である(例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Press,New York,1989;Current Protocols in Molecular Biology.Ausubelら編、Wiley
and Sons,1995を参照のこと)。例えば、λファージクローニング方法論が、市販のクローニング系を使用して慣用的に利用され得る(例えば、Lambda ZAP Express,Stratagene)。24P4C12遺伝子cDNAまたはH38087遺伝子cDNAを含むファージクローンは、標識された24P4C12cDNAまたはそのフラグメント、あるいは標識されたH38087cDNAまたはそのフラグメントを用いて調べることにより同定され得る。例えば、一つの実施形態において、24P4C12cDNA(図1A〜1D;配列番号1)またはその一部分が、合成され、そしてプローブとして使用されて、24P4C12遺伝子に対応する重複するcDNAおよび24P4C12遺伝子に対応する全長cDNAを回収し得る。24P4C12遺伝子自体は、24P4C12DNAプローブまたはプライマーを使用して、ゲノムDNAライブラリー、細菌人工染色体ライブラリー(BAC)、酵母人工染色体ライブラリー(YAC)などをスクリーニングすることによって単離され得る。
【0053】
(組換えDNA分子および宿主−ベクター系)
本発明はまた、24P4C12またはH38087ポリヌクレオチドを含む組換えDNAまたはRNA分子(これには、当該分野において周知のファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、YAC、BAC、ならびに種々のウイルス性および非ウイルス性ベクターが含まれるが、これらに限定されない)、およびこのような組換えDNAまたはRNA分子で形質転換またはトランスフェクトされた細胞を提供する。本明細書中で使用される場合、組換えDNAまたはRNA分子は、インビトロでの分子操作に供されたDNAまたはRNA分子である。このような分子を生成するための方法は周知である(例えば、Sambrookら、1989(前出)を参照のこと)。
【0054】
本発明はさらに、適切な原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞において24P4C12および/またはH38087ポリヌクレオチドを含む組換えDNA分子を含む、宿主−ベクター系を提供する。適切な真核生物宿主細胞の例としては、酵母細胞、植物細胞、または動物細胞(例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス感染可能細胞(例えば、Sf9細胞またはHighFive細胞)))が挙げられる。適切な哺乳動物細胞の例としては、種々の前立腺癌細胞株(例えば、LnCaP、PC3、DU145、LAPC4、TsuPr1、他のトランスフェクト可能であるかまたは形質導入可能な前立腺細胞株)、ならびに組換えタンパク質の発現のために慣用的に使用される多くの哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞、293細胞、293T細胞)が挙げられる。より詳細には、24P4C12またはH38087のコード配列を含むポリヌクレオチドを使用し、当該分野で慣用的に使用され、そして広く知られたかなり多数の宿主−ベクター系を用いて、24P4C12もしくはH38087タンパク質またはそれらのフラグメントを生成し得る。
【0055】
24P4C12およびH38087タンパク質またはそれらのフラグメントの発現に適切な広範な種々の宿主−ベクター系が利用可能である(例えば、Sambrookら、1989(前出);Current Protocols in
Molecular Biology、1995(全出)を参照のこと)。哺乳動物での発現に好ましいベクターとしては、pcDNA 3.1 myc−His−tag(Invitrogen)およびレトロウイルスベクターpSRαtkneo(Mullerら、1991、MCB 11:1785)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの発現ベクターを使用して、24P4C12またはH38087は、好ましくは、いくつかの前立腺癌細胞株および非前立腺癌細胞株(例えば、293、293T、rat−1、NIH3T3、PC3、LNCaPおよびTsuPr1を含む)において発現させ得る。本発明の宿主−ベクター系は、24P4C12もしくはH38087タンパク質またはそれらのフラグメントの産生のために有用である。このような宿主−ベクター系は、24P4C12またはH38087および24P4C12またはH38087変異の機能的特性を研究するために使用され得る。
【0056】
組換えヒト24P4C12またはH38087タンパク質は、24P4C12またはH38087をコードする構築物でトランスフェクトされた哺乳動物細胞によって産生され得る。実施例に記載した例示的な実施形態において、293T細胞は、24P4C12をコードする発現プラスミドでトランスフェクトされ得、この24P4C12タンパク質は、293T細胞において発現され、そして組換え24P4C12タンパク質は、標準的な精製方法(例えば、抗24P4C12抗体を使用するアフィニティ精製)を使用して単離され得る。本明細書中の実施例において同様に記載される別の実施形態では、24P4C12コード配列は、レトロウイルスベクターpSRαtkneo中にサブクローン化され、そして種々の哺乳動物細胞株(例えば、NIH 3T3、PC3およびLnCaP)に感染するために使用されて、24P4C12発現細胞株を確立する。当該分野において周知の種々の他の発現系もまた使用され得る。24P4C12コード配列にインフレームで連結されたリーダーペプチドをコードする発現構築物は、組換え24P4C12タンパク質の分泌形態の産生のために使用され得る。
【0057】
24P4C12もしくはH38087遺伝子またはそれらのフラグメントによってコードされるタンパク質は、種々の用途を有する。これには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体の産生、および24P4C12またはH38087遺伝子産物に結合する、リガンドおよび他の因子および細胞構成要素を同定するための方法において。24P4C12もしくはH38087タンパク質またはそれらのフラグメントに対して惹起された抗体は、診断および予後アッセイにおいて、そして24P4C12タンパク質の発現によって特徴付けられるヒト癌(前立腺の癌を含むが、これに限定されない)の管理における画像化方法において有用であり得る。このような抗体は、細胞内で発現され得、そしてこのような癌を有する患者を処置する方法において使用され得る。24P4C12またはH38087タンパク質の検出のために有用な種々の免疫学的アッセイが意図され、これには、種々の型のラジオイムノアッセイ、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、酵素結合免疫蛍光アッセイ(FLIFA)、免疫細胞学的方法などが挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は、標識され得、そして24P4C12またはH38087発現細胞を検出し得る免疫学的画像化試薬として使用され得る(例えば、ラジオシンチグラフィ(radioscintigraphic)画像化方法において)。24P4C12タンパク質はまた、以下にさらに記載されるように、癌ワクチンを生成するにおいて特に有用であり得る。
【0058】
(24P4C12ポリペプチド)
本発明の別の局面は、24P4C12タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントを提供する。本発明の24P4C12タンパク質としては、本明細書中で特に同定されたタンパク質、ならびに以下に概説される方法に従って過度な実験を伴わずに単離/生成および特徴付けされ得る対立遺伝子改変体、保存的置換改変体およびホモログが挙げられる。異なる24P4C12タンパク質またはそのフラグメントの部分を組合せる融合タンパク質、ならびに24P4C12タンパク質および異種ポリペプチドの融合タンパク質もまた含まれる。このような24P4C12タンパク質は、集合的に、24P4C12タンパク質、本発明のタンパク質、または24P4C12という。本明細書中で使用される場合、用語「24P4C12ポリペプチド」は、少なくとも10個のアミノ酸(好ましくは、少なくとも15個のアミノ酸)のポリペプチドフラグメントまたは24P4C12タンパク質をいう。
【0059】
24P4C12タンパク質の特定の実施形態は、図1A〜1D(配列番号2)に示されるようなヒト24P4C12のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。あるいは、24P4C12タンパク質の実施形態は、図1A〜1D(配列番号2)に示されるようなヒト24P4C12のアミノ酸配列において変更を有する改変体ポリペプチドを含む。
【0060】
一般的に、ヒト24P4C12の天然に存在する対立遺伝子改変体は、高い程度の構造的同一性および相同性(例えば、90%以上の同一性)を共有する。代表的に、24P4C12タンパク質の対立遺伝子改変体は、本明細書中に記載される24P4C12配列内に保存的アミノ酸置換を含むか、または24P4C12ホモログにおいて対応する位置に由来するアミノ酸の置換を含む。24P4C12対立遺伝子改変体の1つのクラスは、特定の24P4C12アミノ酸配列の少なくとも小さな領域と高い程度の相同性を共有するが、この配列とは根本的な背反(例えば、非保存的置換、短縮化(truncation)、挿入、またはフレームシフト)をさらに含むタンパク質である。
【0061】
保存的アミノ酸置換はしばしば、タンパク質のコンフォメーションも機能も変更することなく、タンパク質中で作製され得る。このような変化としては、以下が挙げられる:任意のイソロイシン(I)、バリン(V)、およびロイシン(L)の、任意の他のこれらの疎水性アミノ酸についての置換;グルタミン酸(E)に対するアスパラギン酸(D)、およびその逆の置換;アスパラギン(N)に対するグルタミン(Q)、およびその逆の置換;ならびに、スレオニン(T)に対するセリン(S)、およびその逆の置換。他の置換はまた、タンパク質の三次元構造における特定のアミノ酸の環境およびその役割に依存して、保存的とみなされ得る。例えば、グリシン(G)およびアラニン(A)は、しばしば交換可能であり得、アラニン(A)およびバリン(V)も同様であり得る。比較的疎水性であるメチオニン(M)はしばしば、ロイシンおよびイソロイシンと交換可能であり得、そして時としてバリンと交換可能であり得る。リシン(K)およびアルギニン(R)はしばしば、そのアミノ酸残基の重要な特徴がその電荷であり、そしてこれら2つのアミノ酸残基の異なるpKが重要でない位置において、交換可能である。さらに他の変化が、特定の状況において、「保存的」とみなされ得る。
【0062】
本明細書中に開示される本発明の実施形態は、広範な種々の当該分野で認められた24P4C12タンパク質の改変体(例えば、アミノ酸の挿入、欠失および置換を有するポリペプチド)を含む。24P4C12改変体は、当該分野において公知の方法(例えば、部位特異的変異誘発、アラニンスキャニング(alanine scanning)、およびPCR変異誘発)を使用して作製され得る。部位特異的変異誘発[Carterら、Nud.Acids Res.13:4331(1986);Zollerら、Nud.Acids Res.10:6487(1987)]、カセット式変異誘発[Wellら、Gene 34:315(1985)]、制限選択的変異誘発[Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA 317:415(1986)]または他の公知技術を、クローン化されたDNAにおいて実施し、24P4C12改変体DNAを産生し得る。走査型アミノ酸分析もまた、連続配列に沿って1以上のアミノ酸を同定するために使用され得る。とりわけ好ましい走査アミノ酸は、比較的小さい中性アミノ酸である。このようなアミノ酸としては、アラニン、グリシン、セリン、およびシステインが挙げられる。アラニンが、代表的に、この群の中で好ましい走査アミノ酸である。なぜなら、アラニンは、β炭素を越えてβ鎖を排除し、そして改変体の主鎖コンフォメーションを変更する可能性が低いからである。アラニンが、代表的に好ましい。なぜなら、アラニンは、最も一般的なアミノ酸であるからである。さらに、埋没位置および露出位置の両方において、頻繁に見出される[Creighton、The Proteins(W.H.Freeman&Co.、NY);Chothia、J.Mol.Biol.150:1(1976)]。アラニン置換が適切な量の改変体を生じない場合には、同配体アミノ酸が使用され得る。
【0063】
上記で考察したように、特許請求された本発明の実施形態は、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の710未満のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。例えば、本明細書中に開示される本発明の代表的な実施形態は、以下が挙げられる:図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸1個〜約アミノ酸10個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸20個〜約アミノ酸30個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸30個〜約アミノ酸40個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸40個〜約アミノ酸50個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸50個〜約アミノ酸60個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸60個〜約アミノ酸70個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸70個〜約アミノ酸80個からなるポリペプチド、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸80個〜約アミノ酸90個からなるポリペプチド、および図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸90個〜約アミノ酸100個からなるポリペプチドなど。このスキームに従って、24P4C12タンパク質のアミノ酸100〜710のアミノ酸配列の部分からなるポリペプチドが、本発明の代表的な実施形態である。24P4C12タンパク質のより大きな部分からなるポリペプチドもまた意図される。例えば、図1A〜1D(配列番号2)に示される24P4C12タンパク質の約アミノ酸1(または、20もしくは30もしくは40など)個〜約アミノ酸20(または、30もしくは40もしくは50など)個からなるポリペプチドが、当該分野において周知の種々の技術によって生成され得る。
【0064】
本明細書中に開示される本発明のさらなる例示的な実施形態は、図1A(配列番号2)に示されるような24P4C12ポリペプチド配列内に含まれる1以上の生物学的モチーフのアミノ酸残基を含む24P4C12ポリペプチドである。1つの実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、図1A〜1D(配列番号2)に示される1以上の膜貫通領域、またはH38087、NG22もしくはCEESB82Fに対して相同性を示す24P4C12の1以上の領域を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基29〜32(図1Aに示される最初のアミノ酸残基から番号付ける)でNRSC(配列番号8)、残基69〜72におけるNSTG(配列番号9)、残基155〜158におけるNMTV(配列番号10)、残基197〜200におけるNDTT(配列番号11)、残基298〜301におけるNLSA(配列番号12)、残基393〜396におけるNISS(配列番号13)、残基405〜408におけるNTSC(配列番号14)、残基416〜419におけるNSSC(配列番号15)、および/または残基678〜681におけるNGSL(配列番号16)のような1以上の24P4C12 N−グリコシル化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基22〜24におけるSFR、残基218〜220におけるSVK、残基430〜432におけるSSK、残基494〜496におけるTLR、残基573〜575におけるSAK、および/または残基619〜621におけるSGRのような1以上の24P4C12タンパク質キナーゼCリン酸化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基31〜34でSCTD(配列番号17)、残基102〜105におけるSVAE(配列番号18)、残基119〜122におけるSCPE(配列番号19)、残基135〜138におけるTVGE(配列番号20)、および/または残基304〜307におけるSVQE(配列番号21)のような1以上の24P4C12カゼインキナーゼIIリン酸化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基6〜13におけるRDEDDEAY(配列番号22)のような1以上のチロシンキナーゼリン酸化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基72〜77におけるGAYCGM(配列番号23)、残基76〜81におけるGMGENK(配列番号24)、残基151〜156におけるGVPWNM(配列番号25)、残基207〜212におけるGLIDSL(配列番号26)、残基272〜277におけるGIYYCW(配列番号27)、残基287〜292におけるGASISQ(配列番号28)、残基379〜354におけるGQMMST(配列番号29)、残基449〜454におけるGLFWTL(配列番号30)および/または残基467〜472におけるGAFASF(配列番号31)のような1以上のN−ミリストイル化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基695〜698におけるLGKK(配列番号32)のような1以上のアミド化部位を含み得る。別の実施形態では、本発明の代表的ポリペプチドは、残基245〜266におけるLFILLLRLVAGPLVLVILGVL(配列番号33)のようなロイシンジッパーパターンを含み得る。これらの本発明の関連した実施形態としては、上記で考察された異なるモチーフの組合せを含むポリペプチドが挙げられ、好ましい実施形態は、これらのポリペプチドのモチーフまたは介在配列のいずれにも、挿入も欠失も置換も含んでいないポリペプチドである。
【0065】
本発明のなお別の実施形態において、代表的なポリペプチドは、1以上の24P4C12の選択的スプライシング改変体に対して固有のアミノ酸配列を含み得る。24P4C12の選択的スプライシング改変体のモニタリングは、有用である。なぜなら、タンパク質の選択的スプライシング改変体における変化は、癌の進行を導く一連の事象における1つの工程として示唆されているからである(例えば、Carstensら、Oncogene 15(250:3059−3065(1997)を参照のこと)。結果として、24P4C12の選択的スプライシング改変体のモニタリングは、24P4C12遺伝子産物における摂動に関連する症候群(例えば、癌)を評価するためのさらなる手段を提供する。
【0066】
上記で議論された1以上の24P4C12モチーフからなるポリペプチドは、この上記で議論された24P4C12モチーフが増殖調節不全に関連するという観察の観点から、そして24P4C12が癌において過剰発現されるので(図5)、悪性疾患表現型の特異的特性の解明に有用である。例えば、カゼインキナーゼII、ならびにcAMPおよびcCMP依存性タンパク質キナーゼは、悪性疾患表現型の発生に関連することが公知の酵素である(例えば、Chenら、Lab Invest.,78(2):165−174(1998);Gaiddonら、Endocrinology 136(10):4331−4338(1995)、およびHallら、Nucleic Acids Research
24(6):1119−1126(1996)を参照のこと)。さらに、グリコシル化およびミリスチル化の両方は、癌および癌進行にまた関連するタンパク質修飾である(例えば、Dennisら、Biochim.Biophys.Acta 1473(1):21−34(1999);Rajuら、Exp.Cell Res.235(1):145−154(1997)を参照のこと)。
【0067】
前述の段落のポリペプチドは、多くの異なる特異的用途を有する。24P4C12は、前立腺癌において高度に発現されることが示されるので(図2A、3C、5、6)、これらのポリペプチドは、正常組織 対 癌性組織における24P4C12遺伝子産物の状態を評価するための方法、および悪性疾患表現型を解明するための方法において使用され得る。代表的に、24P4C12タンパク質の特定の領域をコードするポリペプチドは、24P4C12遺伝子産物の特定の領域(例えば、膜貫通ドメインを含む領域)における摂動(例えば、欠失、挿入、点変異など)の存在を評価するために使用され得る。例示的アッセイは、24P4C12ポリペプチド配列内に含まれる1以上の生物学的モチーフのアミノ酸残基を含む24P4C12ポリペプチドを標的化する抗体を利用して、正常組織 対 癌性組織における、この領域の特性を解明し得る。あるいは、24P4C12ポリペプチド配列内に含まれる1以上の生物学的モチーフのアミノ酸残基を含む24P4C12ポリペプチドは、24P4C12のこの領域と相互作用する因子をスクリーニングするために使用され得る。
【0068】
上記で議論されたように、遺伝コードにおける縮重は、24P4C12遺伝子配列における変更を可能にする。特に、当業者は、特定の宿主種に好ましい特定のコドンを認識し、そして所望の宿主に好ましいように、開示された配列を適応させ得る。例えば、好ましいコドン配列は、代表的に、希少コドン(すなわち、所望の宿主の公知の配列において、約20%未満の使用頻度を有するコドン)が、高頻度のコドンで置換されている。特定の生物についてのコドンの好ましさは、例えば、以下のアドレスの、INTERNET上で利用可能なコドン使用表を利用することによって算出され得る:http://www.dna.affrc.go.jp/〜nakamura/codon.htlm。約20%未満の使用頻度を有する任意のコドンを置換することによって、特定の宿主種について最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書中で「コドン最適化配列」といわれる。
【0069】
さらなる配列改変が、細胞宿主におけるタンパク質発現を増強するのに公知である。これらとしては、偽性のポリアデニル化シグナル、エキソン/イントロンスプライシング部位シグナル、トランスポゾン様反復をコードする配列、および/または遺伝子発現に有害であり得る、他のこのような、よく特徴付けられた配列の排除が挙げられる。配列のGC含量は、所定の細胞宿主について、その宿主細胞において発現される公知の遺伝子を参照して算出されるように、平均レベルに調整され得る。可能な場合、この配列はまた、予測されるヘアピンmRNA二次構造を回避するように改変され得る。他の有用な改変としては、Kozak,Mol.Cell.Biol.9:5073−5080(1989)に記載のように、オープンリーディングフレームの開始部位での、翻訳開始コンセンサス配列の付加が挙げられる。コドン最適化に加えて、偽性のポリアデニル化配列の排除、エキソン/イントロンスプライシングシグナルの排除、トランスポゾン様反復の排除、および/またはGC含量の最適化によって、所定の宿主種における発現を最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書中で、「発現増強配列」と呼ばれる。
【0070】
24P4C12タンパク質は、多くの形態、好ましくは、単離された形態で具体化され得る。本明細書中で使用される場合、物理的方法、機械的方法または化学的方法を使用して、24P4C12タンパク質に通常関連する細胞成分からこの24P4C12タンパク質を取り出した場合に、タンパク質が「単離された」といわれる、当業者は、標準的な精製方法を容易に使用して、単離された24P4C12タンパク質を獲得し得る。精製された24P4C12タンパク質分子は、24P4C12の抗体または他のリガンドへの結合を損なう、他のタンパク質または分子を実質的に含まない。単離および精製の性質および程度は、意図される用途に依存する。24P4C12タンパク質の実施形態として、精製された24P4C12タンパク質、および機能的な可溶性24P4C12タンパク質が挙げられる。1つの形態において、このような機能的な可溶性24P4C12タンパク質またはそのフラグメントは、抗体または他のリガンドを結合する能力を保持する。
【0071】
本発明はまた、24P4C12アミノ酸配列の生物学的に活性なフラグメント(例えば、図1A〜1D(配列番号2)に示されるような24P4C12のアミノ酸配列の部分に対応するポリペプチド)を含む、24P4C12ポリペプチドを提供する。本発明のこのようなポリペプチドは、24P4C12タンパク質の特性(例えば、24P4C12タンパク質に関連するエピトープを特異的に結合する抗体の産生を誘発する能力)を示す。
【0072】
24P4C12ポリペプチドは、本明細書中に開示されるヒト24P4C12タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、当該分野において周知の、標準的なペプチド合成技術または化学切断方法を使用して生成され得る。あるいは、組換え方法を使用して、24P4C12タンパク質のポリペプチドフラグメントをコードする核酸分子を生成し得る、この点において、本明細書中に記載される24P4C12コード核酸分子は、24P4C12タンパク質の規定のフラグメントを生成するために手段を提供する。24P4C12ポリペプチドは、ドメイン特異的抗体(例えば、24P4C12タンパク質の細胞外エピトープおよび細胞内エピトープを認識する抗体)の生成および特徴付け、24P4C12またはその特定の構造ドメインに結合する薬剤または細胞因子の同定、および種々の治療状況(癌ワクチンを含むが、これらに限定されない)において、特に有用である。
【0073】
特定の興味深い構造を含む24P4C12ポリペプチドは、例えば、以下:Chou−Fasman、Garnier−Robson、Kyte−Doolittle、Eisenberg、Karplus−SchultzまたはJameson−Wolf分析の方法を含む、当該分野で周知の種々の分析技術を使用するか、または免疫原性に基づいて、予測および/または同定され得る。このような構造を含むフラグメントは、サブユニット特異的抗24P4C12抗体の生成、または24P4C12に結合する細胞因子の同定において、特に有用である。
【0074】
以下の実施例に記載される実施形態において、24P4C12は、市販の発現ベクター(例えば、C末端6×HisおよびMYCタグを含む、24P4C12をコードするCMV駆動発現ベクター(pcDNA3.1/mycHIS、Imvitrogen))でトランスフェクトされた細胞(例えば、293T細胞)において、簡便に発現され得る。細胞において発現されたHISタグ化24P4C12は、標準的な技術を使用して、ニッケルカラムを使用して精製され得る。
【0075】
24P4C12の改変(例えば、共有結合性改変)は、本発明の範囲内に含まれる。1つの型の共有結合性改変としては、24P4C12の選択された側鎖あるいはN末端残基またはC末端残基と反応し得る有機誘導体化薬剤での、24P4C12ポリペプチドの標的化されたアミノ酸残基の反応が挙げられる。本発明の範囲内の24P4C12ポリペプチドの別の型の共有結合性改変としては、このポリペプチドのネイティブなグリコシル化パターンの変更が挙げられる。「ネイティブなグリコシル化パターンの変更」は、本明細書中の目的に含まれ、ネイティブ配列24P4C12に見い出される1以上の炭水化物部分の欠失(基礎となるグリコシル化部位の除去、または化学的手段および/または酵素的手段によるグリコシル化の欠失のいずれかによって)、および/またはネイティブ配列24P4C12に存在しない、1以上のグリコシル化部位の付加を意味する。さらに、この句は、存在する種々の炭水化物部分の性質および割合の変更を含む、ネイティブタンパク質のグリコシル化の質的変化を含む。24P4C12の別の型の共有結合性改変としては、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号または同第4,179,337号に示されるような様式の、種々の非タンパク質様ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン)のうちの1つへの、24P4C12ポリペプチドの連結が挙げられる。
【0076】
本発明の24P4C12はまた、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合された24P4C12を含むキメラ分子を形成する様式で、改変され得る。1つの実施形態において、このようなキメラ分子としては、ポリヒスチジンエピトープタグを有する24P4C12の融合体が挙げられ、このタグは、固定されたニッケルが選択的に結合し得るエピトープを提供する。このエピトープタグは、一般に、24P4C12のアミノ末端またはカルボキシル末端に配置される。代替的実施形態において、このキメラ分子は、24P4C12の免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特定の領域との融合体を含み得る。キメラ分子の二価形態(「免疫付着因子(immunoadhesin)」とも呼ばれる)について、このような融合体は、IgG分子のFc領域に対するものであり得る。このIg融合体は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の、24P4C12ポリペプチドの可溶性(膜貫通ドメインを欠失または不活性化した)形態での置換を含む。特に好ましい実施形態において、免疫グロブリン融合体は、IgGI分子のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域、またはヒンジ領域、CH1領域、CH2領域およびCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の産生については、米国特許第5,428,130号(1995年6月27日公布)もまた参照のこと。
【0077】
(H38087ポリペプチド)
本発明の別の局面は、H38087タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントを提供する。本発明のH38087タンパク質としては、本明細書中で特異的に同定されたH38087タンパク質、ならびに本明細書中に概略される方法に従って過度の実験を伴わずに、単離/生成および特徴付けされ得る、対立遺伝子改変体、保存的置換改変体およびホモログが挙げられる。異なるH38087タンパク質またはそのフラグメントの部分を組み合わせた融合タンパク質、ならびにH38087タンパク質と異種ポリペプチドとの融合タンパク質もまた、含まれる。このようなH38087タンパク質をまとめて、H38087タンパク質またはH38087と称する。本明細書中で使用される場合、用語「H38087ポリペプチド」とは、少なくとも10アミノ酸、好ましくは、少なくとも15アミノ酸の、ポリペプチドフラグメントまたはH38087タンパク質をいう。
【0078】
上記で議論されたように、本発明の実施形態は、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の704アミノ酸の配列未満を含むポリペプチドを含む。例えば、本明細書中に開示される本発明の代表的な実施形態は、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸1〜約アミノ酸10からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸20〜約アミノ酸30からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸30〜約アミノ酸40からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸40〜約アミノ酸50からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸50〜約アミノ酸60からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸60〜約アミノ酸70からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸70〜約アミノ酸80からなるポリペプチド、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸80〜約アミノ酸90からなるポリペプチド、および図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸90〜約アミノ酸100からなるポリペプチドなど、を含む。このスキームに従って、H38087タンパク質のアミノ酸100〜710のアミノ酸配列の部分からなるポリペプチドは、本発明の代表的な実施形態である。H38087タンパク質のより大きい部分からなるポリペプチドもまた、意図される。例えば、図7A〜7D(配列番号7)に示されるH38087タンパク質の約アミノ酸1(または20、または30、または40など)〜約アミノ酸20(または30、または40、または50など)からなるポリペプチドが、当該分野で周知の種々の技術によって生成され得る。
【0079】
本明細書中に開示される本発明のさらなる例示的実施形態としては、図7(配列番号7)に示されるようなH38087ポリペプチド配列内に含まれる1以上の生物学的モチーフのアミノ酸残基を含むH38087ポリペプチドが挙げられる。1つの実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、図7A〜7Dに示される1以上の膜貫通領域、または24P4C12、NG22 OR CEESB82Fに対して相同性を示すH38087の1以上の領域を含み得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、1以上のH38087のNグリコシル化部位(例えば、残基185〜188(番号は、図7に示されるアミノ酸残基の最初のアミノ酸からの番号)のNETT(配列番号46)、残基198〜201のNITD(配列番号47)、および/または残基695〜698のNKTN(配列番号48))を含み得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、1以上のH38087タンパク質キナーゼCリン酸化部位(例えば、残基19〜21のTFK、残基126〜128のSSR、残基195〜197のSRK、残基402〜404のTAK、残基574〜576のSAR、残基620〜622のTHR、残基689〜691のTLK、および/または残基697〜699のTNK)を含み得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、1以上のH38087カゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、残基54〜57のTHGD(配列番号49)、残基67〜70のSRGE(配列番号50)、残基77〜80のTKNE(配列番号51)、残基126〜129のSSRD(配列番号52)、残基187〜190のTTYE(配列番号53)、残基188〜191のTYED(配列番号54)、残基293〜296のSLVD(配列番号55)、残基321〜234のSILE(配列番号56)、残基385〜388のTSNE(配列番号57)、および/または残基413〜416のSSHE(配列番号58))を含み得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、1以上のチロシンキナーゼリン酸化部位(例えば、残基125〜133のRSSRDFEYY(配列番号59))を含み得る。別の実施形態において、本発明の代表的なポリペプチドは、1以上のNミリスチル化部位(例えば、残基73〜78のGQKGTK(配列番号60)、残基184〜189のGNETTY(配列番号61)、残基194〜199のGSRKNI(配列番号62)、残基205〜210のGAKKAN(配列番号63)、残基211〜216のGVLEAR(配列番号64)、残基236〜241のGLVIAM(配列番号65)、残基273〜278のGIFHCY(配列番号66)、残基289〜294のGSDVSL(配列番号67)、残基431〜436のGGESGY(配列番号68)、残基468〜473のGAFASY(配列番号69)、および/または残基568〜573のGTNFCT(配列番号70))を含み得る。これらの発明に関連する実施形態は、上記で議論された異なるモチーフの組み合わせを含むポリペプチドを含み、好ましい実施形態は、これらのポリペプチドのモチーフまたは介在配列のいずれかの内で、挿入、欠失または置換を含まないポリペプチドである。
【0080】
本発明のH38087ポリペプチドは、当業者に公知かつ明らかなように、24P4C12ポリペプチドについての上記の様式と類似の様式で、改変、生成および使用され得る。
【0081】
(24P4C12抗体)
用語「抗体」は、広い意味で使用され、そして特に、単一の抗24P4C12モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニストおよび中和抗体を含む)、およびポリエピトープ(polyepitopic)特性を有する抗24P4C12抗体組成物を含む。本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」(mAb)とは、実質的に均質な抗体の集団(すなわち、個々の集団を含む抗体は、少量で存在し得る潜在的な天然に存在する変異を除いて、同一である)から得られた抗体をいう。
【0082】
本発明の別の局面は、24P4C12タンパク質およびポリペプチドに結合する抗体を提供する。最も好ましい抗体は、24P4C12タンパク質に特異的に結合し、そして非24P4C12タンパク質およびポリペプチドに結合しない(または、弱く結合する)。特に意図される抗24P4C12抗体としては、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにこれらの抗体の抗原結合ドメインおよび/または1以上の相補性決定領域を含むフラグメントが挙げられる。本明細書中で使用される場合、抗体フラグメントは、その標的に結合する免疫グロブリン分子の可変領域(すなわち、抗原結合領域)の少なくとも一部として定義される。
【0083】
本発明の24P4C12抗体は、前立腺癌の診断アッセイおよび予後アッセイ、ならびに画像化方法において特に有用であり得る。細胞内発現された抗体(例えば、単鎖抗体)は、24P4C12の発現が関連する癌(例えば、進行性および転移性の前立腺癌)の処置に治療的に有用であり得る。毒素または治療分子の送達のために、24P4C12機能に干渉するか、または24P4C12の細胞外領域を標的化する、全身投与された24P4C12抗体もまた、前立腺癌の処置のための治療方法において有用である。このような毒素または治療分子の送達は、24P4C12抗体またはそのフラグメントに対して第2の分子を結合体化させる公知の方法を使用して、達成され得る。同様に、このような抗体は、24P4C12が他の型の癌でもまた発現または過剰発現される限り、他の癌の処置、診断および/または予後に有用であり得る。
【0084】
本発明はまた、24P4C12および変異体24P4C12のタンパク質およびポリペプチドの、検出および定量に有用な種々の免疫学的アッセイを提供する。このようなアッセイは、一般に、適切には、24P4C12または変異体24P4C12タンパク質を認識および結合し得る、1以上の24P4C12抗体を含み、そして、以下を含むが、これらに限定されない当該分野で周知の種々の免疫学的アッセイ形式で行われ得る:種々の型のラジオイムノアッセイ、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素連結免疫蛍光アッセイ(ELIFA)など。さらに、前立腺癌および24P4C12を発現する他の癌を検出し得る、免疫学的画像化方法もまた、本発明によって提供され、これらには、標識した24P4C12抗体を使用するラジオシンチグラフィー画像化方法が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは、24P4C12を発現する癌(例えば、前立腺癌)の検出、モニタリングおよび予後において、臨床的に有用であり得る。
【0085】
24P4C12抗体はまた、24P4C12および変異体24P4C12のタンパク質およびポリペプチドの精製、および24P4C12ホモログおよび関連分子の単離のための方法において使用され得る。例えば、1つの実施形態において、24P4C12タンパク質を精製する方法は、24P4C12抗体(これは、固体マトリックスに結合されている)を、24P4C12を含有する溶解物または他の溶液と共に、この24P4C12抗体が24P4C12に結合するのを可能にする条件下でインキュベートする工程;固体マトリックスを洗浄して不純物を除去する工程;および24P4C12をその結合された抗体から溶出する工程を包含する。本発明の24P4C12抗体の他の用途としては、24P4C12タンパク質を模倣する抗イディオタイプ抗体の生成が挙げられる。
【0086】
抗体の調製のための種々の方法が、当該分野で周知である。例えば、抗体は、単離または免疫結合体化された形態の、24P4C12のタンパク質、ペプチドまたはフラグメントを使用して、適切な哺乳動物宿主を免疫することによって調製され得る(Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press編、HarlowおよびLane(1988);Harlow、Antibodies,Cold Spring Harbor Press,NY(1989))。さらに、24P4C12の融合タンパク質(例えば、24P4C12 GST融合タンパク質)もまた使用され得る。特定の実施形態において、図1A〜1D(配列番号2)のオープンリーディングフレームアミノ酸配列の全てまたはほとんどを含むGST融合タンパク質が生成され得、そして適切な抗体を生成するための免疫原として使用され得る。別の実施形態において、24P4C12ペプチドが合成され得、そして免疫原として使用され得る。
【0087】
さらに、当該分野で公知の裸のDNA免疫技術を(精製24P4C12タンパク質または24P4C12発現細胞を伴い、または伴わずに)使用して、そのコードされる免疫原に対する免疫応答を生成し得る(概要については、Donnellyら、1997、Ann.Rev.Immunol.15:617−648を参照のこと)。
【0088】
図1A〜1D(配列番号2)に示されるような24P4C12のアミノ酸配列を使用して、抗体を生成するために24P4C12タンパク質の特定の領域を選択し得る。例えば、24P4C12アミノ酸配列の疎水性および親水性分析を使用して、24P4C12構造の疎水性領域を同定し得る。免疫原性構造を示す24P4C12タンパク質の領域、ならびに他の領域およびドメインは、以下のような当該分野で公知の種々の他の方法を使用して容易に同定され得る::Chou−Fasman、Garnier−Robson、Kyte−Doolittle、Eisenberg、Karplus−SchultzまたはJameson−Wolf分析。24P4C12抗体の生成のための方法はさらに、本明細書中に提供される実施例によって例示される。
【0089】
免疫原としての使用のためのタンパク質またはポリペプチドを調製するための方法、およびキャリア(例えば、BSA、KLHまたは他のキャリアタンパク質)とのタンパク質の免疫結合体を調製するための方法は、当該分野で周知である。いくつかの状況下で、例えば、カルボジイミド試薬を使用する直接的な結合体化が使用され得;他の例において、連結試薬(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILによって供給される連結試薬)が、効果的であり得る。24P4C12免疫原の投与は一般に、当該分野で一般に理解されるように、適切な期間にわたって、適切なアジュバントの使用を伴う注射によって行われ得る。免疫スケジュールの間、抗体の力価は、抗体形成の能力(adequacy)を決定することによって理解され得る。
【0090】
ポリクローナル24P4C12抗体は、当該分野で公知の従来技術を使用して調製され得る。このような抗体の調製のための代表的プロトコルは、以下の実施例に記載される。ポリクローナル抗体は、24P4C12に関連する複数のエピトープの高感度の検出に有用であり得る。
【0091】
24P4C12モノクローナル抗体は、当該分野で周知の種々の手段によって産生され得る。例えば、所望のモノクローナル抗体を分泌する不死化細胞株が、一般に公知のように、KohlerおよびMilsteinの標準的なハイブリドーマ技術、または産生性(producing)B細胞を不死化する改変を使用して調製され得る。所望の抗体を分泌する不死化細胞株は、抗原が24P4C12タンパク質または24P4C12フラグメントである免疫アッセイによってスクリーニングされる。所望の抗体を分泌する適切な不死化細胞培養物が同定された場合、これらの細胞を拡大し、そしてインビトロ培養物または腹水のいずれかから抗体が産生され得る。
【0092】
抗体またはフラグメントはまた、現在の技術を使用する、組換え手順によって産生され得る。24P4C12タンパク質の所望の領域に特異的に結合する領域はまた、複数の種起源のキメラ抗体またはCDR移植化(grafted)抗体の状況下で産生され得る。ヒト化24P4C12抗体またはヒト24P4C12抗体もまた産生され得、そして治療的状況下での使用のために好ましい。1以上の非ヒト抗体CDRを対応するヒト抗体配列と置換することによる、マウス抗体および他の非ヒト抗体をヒト化するための方法は、周知である(例えば、Jonesら、1986、Nature 321:522−525;Riechmannら、1988、Nature 332:323−327;Verhoeyenら、1988、Science 239:1534−1536を参照のこと)。Carterら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285、およびSimsら、1993、J.Immunol.151:2296もまた参照のこと。完全なヒトモノクローナル抗体を産生するための方法としては、ファージディスプレイ法およびトランスジェニック法が挙げられる(概要について、Vaughanら、1998、Nature Biotechnology 16:535−539を参照のこと)。
【0093】
完全なヒト24P4C12モノクローナル抗体は、大きいヒトIg遺伝子コンビナトリアルライブラリー(すなわち、ファージディスプレイ)を使用するクローニング技術を使用して生成され得る(Protein Engineering of Antibody Molecules for Prophylactic and Therapeutic Applications(Man.Clark,M.編)、Nottingham Academic、45−64頁(1993)のGriffithsおよびHoogenboom、Building an in vitro immune system:human antibodies from phage display libraries;BurtonおよびBarbas、Human Antibodies from combinatorial libraries(同書)65−82頁)。完全なヒト24P4C12モノクローナル抗体はまた、PCT特許出願WO98/24893(KucherlapatiおよびJakobovitsら、1997年12月3日提出)に記載されるように、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように操作されたトランスジェニックマウスを使用して産生され得る(Jakobovits、1998、Exp.Opin.Invest.Drugs 7(4):607−614もまた参照のこと)。この方法は、ファージディスプレイ技術に必要とされるインビトロ操作を回避し、そして高親和性の真正ヒト抗体を効率的に産生する。
【0094】
24P4C12抗体の24P4C12タンパク質との反応性は、適切には、24P4C12タンパク質、24P4C12ペプチド、24P4C12発現細胞またはその抽出物を使用する、多くの周知の手段(ウエスタンブロット、免疫沈降、ELISAおよびFACS分析を含む)によって確証され得る。
【0095】
本発明の24P4C12抗体またはそのフラグメントは、検出可能なマーカーで標識され得るか、または第2の分子に結合体化され得る。適切な検出可能なマーカーとしては、放射性同位体、蛍光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート剤または酵素が挙げられるが、これらに限定されない。24P4C12抗体への結合体化のための第2の分子は、意図される用途に従って選択され得る。例えば、治療的用途のために、第2の分子は、毒素または治療薬剤であり得る。さらに、2以上の24P4C12エピトープに特異的な二特異的抗体が、当該分野で一般に公知の方法を使用して生成され得る。ホモダイマー性の抗体もまた、当該分野で公知の架橋技術によって生成され得る(例えば、Wolffら、Cancer Res.53:2560−2565)。
【0096】
(H38087抗体)
本発明はまた、H38087に対する抗体(ポリクローナルおよびモノクローナルの両方)を提供する。これらの抗体は、24P4C12抗体について上記に記載された様式と類似の様式で、改変、生成および使用され得る。H38087の遍在性の発現は、24P4C12特異的治療剤を試験するコントロールとして、および潜在的に24P4C12診断適用における比較のために、H38087を有用なものとする。H38087機能に影響を及ぼす24P4C12特異的治療剤は、正常細胞に対して毒性であり得る。しかし、24P4C12に選択的に影響を及ぼし、H38087には影響しない治療剤は、正常細胞に対してほとんど毒性がないかもしれない。従って、H38087タンパク質および抗体は、24P4C12に対する治療様式についての前臨床試験ツールとして有用であり得る。
【0097】
(24P4C12トランスジェニック動物)
24P4C12またはその改変形態をコードする核酸はまた、トランスジェニック動物または「ノックアウト」動物のいずれかを生成するために使用され得、これらの動物は、次いで、治療的に有用な試薬の開発およびスクリーニングにおいて有用である。トランスジェニック動物(例えば、マウスまたはラット)は、導入遺伝子を含む細胞を有する動物であり、その導入遺伝子は、その動物に、または出生前(例えば、胚段階)でその動物の祖先に導入される。導入遺伝子は、細胞のゲノム内に組み込まれるDNAであり、トランスジェニック動物は、その細胞から発生する。1つの実施形態において、24P4C12をコードするcDNAが、確立された技術に従って、24P4C12コードするゲノムDNAをクローニングするために使用され得、そしてそのゲノム配列は、24P4C12をコードするDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を生成するために使用され得る。トランスジェニック動物(特に、マウスまたはラットのような動物)を生成するための方法は、当該分野で慣用的となり、そして例えば、米国特許第4,736,866号および4,870,009号に記載される。代表的に、特定の細胞が、組織特異的エンハンサーと共に24P4C12導入遺伝子の組み込みのために標的化される。胚段階の動物の生殖系列に導入された、24P4C12をコードする1コピーの導入遺伝子を含むトランスジェニック動物を使用して、24P4C12をコードするDNAの発現の増大の効果を試験し得る。このような動物は、例えば、その過剰発現と関連する病理学的状態からの防御を付与することが考えられる試薬についての、試験動物として使用され得る。本発明のこの局面に従って、動物をその試薬で処置し、そしてこの導入遺伝子を保有する処置していない動物と比較した、その病理学的状態の発生率の減少は、その病理学的状態についての潜在的な治療的介入を示す。
【0098】
あるいは、24P4C12の非ヒトホモログを使用して、24P4C12「ノックアウト」動物を構築し得、この動物は、24P4C12をコードする内因性遺伝子とその動物の胚細胞に導入された24P4C12をコードする改変ゲノムDNAと間の相同組換えの結果として、24P4C12をコードする欠損性または改変型遺伝子を有する。例えば、24P4C12をコードするcDNAを使用して、確立された技術に従って、24P4C12をコードするゲノムDNAをクローニングし得る。24P4C12をコードするゲノムDNAの一部は、欠失され得るか、または別の遺伝子(例えば、組み込みをモニターするために使用され得る、選択マーカーをコードする遺伝子)で置換され得る。代表的に、数キロベースの変更されていない隣接DNA(5’末端および3’末端の両方)が、そのベクターに含まれる[相同組換えベクターの記載については、例えば、ThomasおよびCapecchi、Cell、51:503(1987)を参照のこと]。このベクターは、胚性幹細胞株に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入され、そして導入されたDNAが内因性のDNAと相同組換えした細胞が、選択される[例えば、Liら、Cell、69:915(1992)を参照のこと]。次いで、この選択された細胞を、動物(例えば、マウスまたはラット)の胚盤胞に導入し、凝集キメラを形成させる[例えば、Bradley、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach、E.J.Robertson編(IRL,Oxford、1987)、113−152頁を参照のこと]。次いで、キメラ性の胚を、適切な偽妊娠雌性養母動物に移植し、そしてその胚は、満期まで育成させて、「ノックアウト」動物を作製し得る。生殖細胞中に相同組換えされたDNAを有する子孫は、標準的な技術によって同定され得、そしてその子孫を用いて、全ての細胞が相同組換えDNAを含む動物を育種し得る。ノックアウト動物は、例えば、24P4C12ポリペプチドの非存在に起因する、特定の病理学的状態に対して防御する能力および病理学的状態の発生について、特徴付けられ得る。
【0099】
同様に、H38087トランスジェニック動物が、H38087をコードする核酸を使用して調製され得る。
【0100】
(24P4C12の検出のための方法)
本発明の別の局面は、24P4C12ポリヌクレオチド、ならびに24P4C12タンパク質およびその改変体を検出するための方法、および24P4C12を発現する細胞を同定するための方法に関する。24P4C12は、前立腺癌のリンパ節転移および骨転移に由来するLAPC異種移植片において発現されるようであり、そして24P4C12の発現プロフィールは、それを転移された疾患についての潜在的な診断マーカーにする。この状況において、24P4C12遺伝子産物の状態は、進行した状態の疾患に対する感受性、進行速度および/または腫瘍の凝集性を含む、種々の因子を予測するために有用な情報を提供し得る。以下で詳細に議論されるように、患者サンプル中の24P4C12遺伝子産物の状態は、以下を含む周知の種々のプロトコルによって分析され得る:免疫組織化学分析、インサイチュハイブリダイゼーションを含む種々のノーザンブロット技術、RT−PCR分析(例えば、レーザー捕捉微小分析サンプルに対して)、ウエスタンブロット分析および組織アレイ分析。
【0101】
より詳細には、本発明は、生物学的サンプル(例えば、血清、骨、前立腺および他の組織、尿、精液、細胞調製物など)中の24P4C12ポリヌクレオチドの検出のためのアッセイを提供する。検出可能な24P4C12ポリヌクレオチドとしては、例えば、24P4C12遺伝子またはそのフラグメント、24P4C12 mRNA、選択的スプライシング改変体24P4C12 mRNA、および24P4C12ポリヌクレオチドを含む組換えDNAもしくはRNA分子が挙げられる。24P4C12ポリヌクレオチドを増幅し、そして/または24P4C12ポリヌクレオチドの存在を検出するための多くの方法は、当該分野において周知であり、そして本発明のこの局面の実施に用いられ得る。
【0102】
1つの実施形態において、生物学的サンプル中の24P4C12 mRNAを検出するための方法は、少なくとも1つのプライマーを使用して、逆転写によってサンプルからcDNAを産生する工程;その中の24P4C12 cDNAを増幅するために、センスおよびアンチセンスのプライマーとして24P4C12ポリヌクレオチドを使用して、そのように産生されたcDNAを増幅する工程;および増幅された24P4C12 cDNAの存在を検出する工程、を包含する。必要に応じて、増幅された24P4C12 cDNAの配列が、決定され得る。別の実施形態において、生物学的サンプル中の24P4C12遺伝子を検出する方法は、サンプルからゲノムDNAを最初に単離する工程;その中の24P4C12遺伝子を増幅するために、センスおよびアンチセンスのプライマーとして24P4C12ポリヌクレオチドを使用して単離されたゲノムDNAを増幅する工程;および増幅された24P4C12遺伝子の存在を検出する工程、を包含する。任意の多くの適切なセンスプローブおよびアンチセンスプローブの組合せが、24P4C12について提供されるヌクレオチド配列(図1A〜1D;配列番号1)から設計され、そしてこの目的のために使用され得る。
【0103】
本発明はまた、組織または他の生物学的サンプル(例えば、血清、骨、前立腺、および他の組織、尿、細胞調製物など)中の24P4C12タンパク質の存在を検出するためのアッセイを提供する。24P4C12タンパク質を検出するための方法もまた、周知であり、そして例えば、免疫沈降、免疫組織化学分析、ウエスタンブロット分析、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFAなどが挙げられる。例えば、1つの実施形態において、生物学的サンプル中の24P4C12タンパク質の存在を検出する方法は、24P4C12抗体、その24P4C12反応性フラグメント、または24P4C12抗体の抗原結合領域を含む組換えタンパク質と、サンプルとを最初に接触させる工程;ならびに次いで、それに対するサンプル中の24P4C12タンパク質の結合を検出する工程、を包含する。
【0104】
24P4C12を発現する細胞を同定するための方法もまた、提供される。1つの実施形態において、24P4C12遺伝子を発現する細胞を同定するためのアッセイは、細胞中の24P4C12 mRNAの存在を検出するための工程を包含する。細胞中の特定のmRNAを検出するための方法は、周知であり、そして例えば、相補DNAプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、標識された24P4C12リボプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロットおよび関連技術)ならびに種々の核酸増幅アッセイ(例えば、24P4C12に特異的な相補プライマーを使用するRT−PCR、および例えば、分岐DNA、SISBA、TMAなどの他の増幅型検出方法)が挙げられる。あるいは、24P4C12遺伝子を発現する細胞を同定するためのアッセイは、細胞中の24P4C12Sタンパク質または細胞によって分泌された24P4C12タンパク質の存在を検出する工程を包含する。タンパク質を検出するための種々の方法が、当該分野において周知であり、そして24P4C12タンパク質および24P4C12発現細胞の検出のために用いられ得る。
【0105】
24P4C12発現分析はまた、24P4C12遺伝子発現を調節する薬剤を同定かつ評価するためにツールとして有用であり得る。例えば、24P4C12発現は、前立腺癌で有意に上方制御され、そしてまた、他の癌において発現され得る。癌細胞での24P4C12発現または過剰発現を阻害し得る分子または生物学的薬剤の同定は、治療上の価値があり得る。このような薬剤は、RT−PCR、核酸ハイブリダイゼーションまたは抗体結合によって24P4C12発現を定量するスクリーニングを使用して、同定され得る。
【0106】
(24P4C12およびその産物の状態のモニタリング)
個体における24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物の状態を評価するアッセイは、この個体に由来する生物学的サンプルの増殖または腫瘍潜在性に関する情報を提供し得る。例えば、24P4C12 mRNAは、正常組織に比べて前立腺癌においてかなり多く発現されるので、生物学的サンプル中の24P4C12 mRNA転写物またはタンパク質の相対レベルを評価するアッセイは、24P4C12調節不全と関連する疾患(例えば、癌)を診断するために使用され得、そして適切な治療オプションを規定するに有用である予後情報を提供し得る。同様に、生物学的サンプルにおける24P4C12ヌクレオチドおよびアミノ配列の完全性を評価するアッセイもまた、この状況において使用され得る。
【0107】
24P4C12 mRNAが前立腺癌においてかなり多く発現され、そして正常組織においてかなり多く発現されないという知見は、この遺伝子が細胞増殖の調節不全に関連するという証拠を提供し、それによってこの遺伝子およびその産物を、当業者が24P4C12調節不全に関連する疾患を有することが疑われる個体由来の生物学的サンプルを評価するために使用し得る標的として同定する。この状況において、24P4C12遺伝子およびその産物の発現状態の評価は、組織サンプルに潜在的な疾患に関する情報を得るために使用され得る。この状況における用語「発現状態」は、遺伝子およびその産物の発現、機能および調節(例えば、mRNA発現レベル、発現された遺伝子産物(例えば、核酸およびアミノ酸配列)の完全性、ならびにこれらの分子に対する転写改変および翻訳改変)に関与する種々の因子を広範にいうために使用される。
【0108】
24P4C12の発現状態は、特定の疾患の状態、進行および/または腫瘍攻撃性に対する感受性を推定するために有用な情報を提供し得る。本発明は、24P4C12発現状態を決定し、そして24P4C12を発現する癌(例えば、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、骨癌、結腸癌、膵臓癌、精巣癌、頚部癌および卵巣癌)を診断するための方法およびアッセイを提供する。特定のサンプルにおける24P4C12発現状態は、当該分野で周知の多数の手段(免疫組織化学的分析、インサイチュハイブリダイゼーション、レーザ捕捉マイクロ精査(micro−dessected)サンプルに対するRT−PCR分析、臨床サンプルおよび細胞株のウエスタンブロット分析、ならびに組織アレイ分析が挙げられるがこれらに限定されない)によって分析され得る。24P4C12遺伝子および遺伝子産物の発現状態を評価するための代表的なプロトコルは、例えば、Current Protocols In Molecular Biology,Units 2[Northern Blotting],4[Southern
Blotting],15[Immunoblotting]および18[PCR Analysis],Frederick M.Ausubulら(編)(1995)に見出され得る。
【0109】
1つの局面において、本発明は、細胞増殖の調節不全と関連する疾患(例えば、過形成または癌)を有すると疑われる個体に由来する試験組織サンプル中の細胞によって発現される24P4C12遺伝子産物の状態を決定して、次いでそのように決定された状態を、対応する正常サンプル中の24P4C12遺伝子産物の状態に対して比較することによって24P4C12遺伝子産物をモニターための方法であって、正常サンプルと比較して試験サンプルにおける異常な24P4C12遺伝子産物の存在は、この個体の細胞において細胞増殖の調節不全の存在を指標を提供する、方法を提供する。
【0110】
別の局面において、本発明は、個体における癌の存在の決定に有用なアッセイを提供する。このアッセイは、対応する正常細胞または組織における発現レベルと比べて、試験細胞サンプルまたは組織サンプルにおける24P4C12 mRNAまたはタンパク質の発現における有意な増加を検出する工程を包含する。これらの組織における24P4C12の有意な発現の存在は、癌の発生、存在および/または重篤度を示すために有用であり得る。
【0111】
関連する実施形態において、24P4C12発現状態は、核酸レベルではなくタンパク質レベルで決定され得る。例えば、このような方法またはアッセイは、試験組織サンプル中の細胞によって発現される24P4C12タンパク質のレベルを決定する工程、およびそのように決定されたレベルを、対応する正常サンプルにおいて発現される24P4C12のレベルに対して比較する工程を包含する。1つの実施形態において、24P4C12タンパク質の存在は、例えば、免疫組織化学方法を使用して評価される。24P4C12タンパク質発現を検出し得る24P4C12抗体または結合パートナーが、この目的のために、当該分野で周知の種々のアッセイ形式において使用され得る。
【0112】
他の関連する局面において、これらの分子の構造における混乱(perturbation)(例えば、挿入、欠失、置換など)を同定するために、生物学的サンプル中の24P4C12ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得る。このような実施形態は、有用である。なぜなら、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における混乱は、増殖調節不全の表現型と関連する多くのタンパク質で観察されるからである(例えば、Marrogiら、J.Gutan.Pathol.26(8):369〜378(1999)を参照のこと)。この状況において、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における混乱を観察するための広範な種々のアッセイが、当該分野において周知である。例えば、24P4C12遺伝子産物の核酸配列またはアミノ酸配列のサイズおよび構造は、本明細書中で議論されるノーザン、サザン、ウエスタン、PCRおよびDNA配列決定プロトコルによって観察され得る。さらに、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における混乱を観察するための他の方法(例えば、一本鎖高次構造多型分析)が、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,382,510号および同第5,952,170号を参照のこと)。
【0113】
別の関連する実施形態において、本発明は、個体における癌の存在の決定に有用なアッセイを提供する。このアッセイは、対応する正常細胞または組織における発現レベルに対して、試験細胞サンプルまたは組織サンプル中に発現される24P4C12選択的スプライシング改変体における有意な変化を検出する工程を包含する。24P4C12選択的スプライシング改変体のモニタリングは、有用である。なぜなら、タンパク質の選択的スプライシングの変化は、癌の進行を引き起こす一連の事象における1つの段階として示唆されるからである(例えば、Garstensら、Oncogene 15(250:3059〜3065(1997)を参照のこと)。
【0114】
遺伝子増幅は、24P4C12の状態を評価するさらなる方法を提供する。遺伝子増幅は、サンプルにおいて、例えば、本明細書中に提供される配列に基づいて、適切な標識プローブを使用して、従来のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量するノーザンブロッティング[Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201〜5205(1980)]、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイチュハイブリダイゼーションによって直接的に測定され得る。あるいは、特定の二重鎖(例えば、DNA二重鎖、RNA二重鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二重鎖またはDNA−タンパク質二重鎖を含む)を認識し得る抗体が、用いられ得る。次いで、この抗体が、標識され得、そしてアッセイ(ここで二重鎖が表面に結合され、その結果、この表面上での二重鎖の形成により、二重鎖に結合した抗体の存在が検出され得る)が、行われ得る。
【0115】
上記で議論される組織に加えて、末梢血が、24P4C12発現を検出するためにRT−PCRを使用して、癌細胞(前立腺癌を含むがこれに限定されない)の存在について従来通りにアッセイされ得る。RT−PCRにより増幅可能な24P4C12 mRNAの存在は、癌の存在の指標を提供する。末梢血中の腫瘍細胞についてのRT−PCR検出アッセイは、多数のヒト固形腫瘍の診断および管理における使用について現在評価されている。前立腺癌の分野において、これらは、PSAおよびPSMを発現する細胞の検出のためのRT−PCRアッセイを含む(Verkaikら、1997、Urol.Res.25:373〜384:Ghosseinら,1995,J.Clin.Oncol.13:1195〜2000;Hestonら,1995,Clin.Chem.41:1687〜1688)。RT−PCRアッセイは、当該分野で周知である。
【0116】
本発明の関連する局面は、個体における癌の発症の感受性の推定に関する。1つの実施形態において、癌に対する感受性を推定するための方法は、組織サンプル中の24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質を検出する工程であって、その存在が、癌に対する感受性を示し、ここで存在する24P4C12 mRNA発現の程度が感受性の程度に比例する、工程を提供する。特定の実施形態において、前立腺組織中の24P4C12の存在が、試験され、ここでこのサンプル中の24P4C12の存在は、前立腺癌の感受性(または前立腺腫瘍の発生もしくは存在)の指標を提供する。密接に関連する実施形態において、これらの分子の構造における混乱(例えば、挿入、欠失、置換など)を同定するために、生物学的サンプルにおける24P4C12ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、ここでサンプル中の24P4C12遺伝子産物における1以上の混乱の存在が、癌の感受性(または前立腺腫瘍の発生もしくは存在)の指標を提供する。
【0117】
本発明のなお別の関連する局面は、腫瘍攻撃性を測定するための方法に関する。1つの実施形態において、腫瘍の攻撃性を測定するための方法は、腫瘍サンプル中の細胞によって発現される24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質のレベルを決定する工程、そのように決定されたレベルを、同じ個体から採取された対応する正常組織または正常組織参照サンプル中に発現される24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質のレベルに対して比較する工程であって、ここで正常サンプルに対する腫瘍サンプルにおける24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質発現の程度が、攻撃性の程度を示す、工程を包含する。特定の実施形態において、前立腺腫瘍の攻撃性は、24P4C12が腫瘍細胞中に発現される程度を決定することによって評価され、ここでより高い発現レベルは、より攻撃性の腫瘍を示す。密接に関連する実施形態において、これらの分子の構造における混乱(例えば、挿入、欠失、置換など)を同定するために、生物学的サンプルにおける24P4C12ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、ここで1以上の混乱の存在は、より攻撃性の腫瘍を示す。
【0118】
本発明のなお別の関連する局面は、個体の悪性疾患の進行を経時的に観察するための方法に関する。1つの実施形態において、個体における悪性疾患の進行を経時的に観察するための方法は、腫瘍サンプル中の細胞によって発現される24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質のレベルを決定する工程、そのように決定されたレベルを、同じ個体から異なる時間に採取された等価な組織サンプル中に発現される24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質のレベルに対して比較する工程であって、ここで腫瘍サンプルにおける経時的な24P4C12 mRNAまたは24P4C12タンパク質発現の程度が、癌の進行に関する情報を提供する、工程を包含する。特定の実施形態において、癌の進行は、腫瘍細胞における24P4C12発現が経時的に変化する程度を決定することによって評価され、ここでより高い発現レベルは、癌の進行を示す。密接に関連する実施形態において、これらの分子の構造における混乱(例えば、挿入、欠失、置換など)を同定するために、生物学的サンプル中の24P4C12ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、ここで1以上の混乱の存在は、癌の進行を示す。
【0119】
上記の診断アプローチは、当該分野で公知の種々の予後プロトコルおよび診断プロトコルのいずれか1つと組み合わされ得る。例えば、本明細書中に開示される本発明の別の実施形態は、組織サンプルの状態を診断し、かつ予後を判定する手段として、24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物の発現(または24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物における混乱)と、悪性疾患に関連する因子との間の一致を観察するための方法に関する。この状況において、悪性疾患に関連する広範な種々の因子(例えば、そうでなければ悪性疾患と関連する遺伝子の発現(PSA、PSCAおよびPSM発現を含む))および肉眼的細胞学的観察(例えば、Bockingら,Anal Quant Cytol.6(2):74〜88(1984);Eptsein,Hum Pathol.1995年2月;26(2)223〜9(1995);Thorsonら,Mod Pathol.1998年1月;11(6):543〜51;Baisdenら,Am J Surg Pathol.23(8):918〜24(1999)を参照のこと)が、利用され得る。24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物の発現(または24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物における混乱)と、悪性疾患に関連するさらなる因子との間の一致を観察するための方法が、有用である。なぜなら、例えば、一致する一連のまたは一群の特定の因子の存在は、組織サンプルの状態を診断し、かつ予後を判定するために重要な情報を提供するからである。
【0120】
代表的な実施形態において、24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物の発現(または24P4C12遺伝子および24P4C12遺伝子産物における混乱)と、悪性疾患に関連する因子との間の一致を観察するための方法は、組織サンプルにおいて、24P4C12 mRNAまたはタンパク質の過剰発現を検出する工程、組織サンプルにおいてPSA mRNAまたはタンパク質の過剰発現を検出する工程、ならびに24P4C12 mRNAまたはタンパク質の過剰発現とPSA mRNAまたはタンパク質の過剰発現との一致を観察する工程を包含する。特定の実施形態において、前立腺組織における24P4C12
mRNAおよびPSA mRNAの発現が、試験される。好ましい実施形態において、サンプルにおける24P4C12 mRNA過剰発現とPSA mRNA過剰発現との一致は、前立腺癌、前立腺癌感受性、または前立腺腫瘍の発生もしくは存在の指標を提供する。
【0121】
24P4C12 mRNAまたはタンパク質の発現を検出および定量するための方法が、本明細書中に開示され、そして標準的な核酸およびタンパク質の検出技術および定量技術の使用が、当該分野において周知である。24P4C12 mRNAの検出および定量のための標準的な方法としては、標識された24P4C12リボプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーション、24P4C12ポリヌクレオチドプローブを使用するノーザンブロットおよび関連する技術、24P4C12に特異的なプライマーを使用するRT−PCR分析、ならびに他の増幅型検出方法(例えば、分岐DNA、SISBA、TMAなど)が挙げられる。特定の実施形態において、半定量的RT−PCRが、以下の実施例に記載されるように、24P4C12 mRNA発現を検出および定量するために使用され得る。24P4C12を増幅し得る任意の数のプライマー(本明細書中に詳細に記載される種々のプライマーセットを含むがこれらに限定されない)が、この目的のために使用され得る。タンパク質の検出および定量のための標準的な方法が、この目的のために使用され得る。特定の実施形態において、野生型24P4C12タンパク質と特異的に反応するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が、生検組織の免疫組織化学的アッセイにおいて使用され得る。
【0122】
(24P4C12と相互作用する分子の同定)
本明細書中に開示される24P4C12タンパク質配列により、当業者は、種々の当該分野で受け入れられるプロトコルのいずれか1つを通じて、この配列と相互作用する分子を同定し得る。例えば、種々のいわゆる相互作用捕捉系(「ツーハイブリッドシステム」ともいわれる)のうちの1つを利用し得る。このような系において、相互作用する分子は、転写因子およびレポーター遺伝子の直接的な発現を再構成し、次いで、その発現をアッセイする。代表的な系は、真核生物転写アクチベーターの再構成を通じて、インビボでタンパク質間相互作用を同定し、そして例えば、米国特許第5,955,280号、同第5,925,523号、同第5,846,722号および同第6,004,746号に開示されている。
【0123】
あるいは、ペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、24P4C12タンパク質配列と相互作用する分子を同定し得る。このような方法において、選択されたレセプター分子(例えば、24P4C12)に結合するペプチドが、アミノ酸の無作為または制御された収集物をコードするライブラリーをスクリーニングすることによって同定される。このライブラリーによってコードされるペプチドは、バクテリオファージコートタンパク質の融合タンパク質として発現され、次いで、バクテリオファージ粒子が、目的のレセプターに対してスクリーニングされる。それによって、広範な種々の使用(例えば、治療用試薬または診断用試薬)を有するペプチドが、予期されるリガンド分子またはレセプター分子の構造に関する任意の予備情報を必要することなく同定され得る。24P4C12タンパク質配列と相互作用する分子を同定するために使用され得る代表的なペプチドライブラリーおよびスクリーニング方法が、例えば、米国特許第5,723,286号および同第5,773,731号に開示されている。
【0124】
あるいは、24P4C12を発現する細胞株が、24P4C12によって媒介されるタンパク質間相互作用を同定するために使用され得る。この可能性は、他の研究者によって示されるような免疫沈降技術(Hamilton BJら、Biochem.Biophys.Res.Commun.1999,261:646〜51)を使用して試験され得る。代表的には、24P4C12タンパク質は、抗24P4C12抗体を使用して、24P4C12を発現している前立腺癌細胞株から免疫沈降され得る。あるいは、Hisタグに対する抗体が、(例えば、上記のベクターを使用して)24P4C12を発現するように操作された細胞株において使用され得る。免疫沈降した複合体は、ウエスタンブロッティング、タンパク質の35S−メチオニン標識、タンパク質微量配列決定、銀染色および2次元ゲル電気泳動のような手順によってタンパク質の結合に対して試験され得る。
【0125】
このようなスクリーニングアッセイの関連する実施形態としては、24P4C12と相互作用する低分子を同定するための方法が挙げられる。代表的な方法は、例えば、米国特許第5,928,868号に議論されており、そして少なくとも1つのリガンドが低分子であるハイブリッドリガンドを形成するための方法が挙げられる。例示的な実施形態において、このハイブリッドリガンドは、細胞中に導入され、次いでこの細胞は、第1および第2の発現ベクターを含む。各発現ベクターは、転写モジュールについてのコード配列に連結された標的タンパク質をコードするハイブリッドタンパク質を発現するためのDNAを含む。各細胞は、レポーター遺伝子をさらに含み、その発現は、第1および第2のハイブリッドタンパク質の互いに対する近接性の条件下に置かれており、ハイブリッドリガンドが、両方のハイブリッドタンパク質上の標的部位に結合する場合のみに、事象が生じる。レポーター遺伝子を発現するそれらの細胞が選択され、そして未知の低分子または未知のハイブリッドタンパク質が、同定される。
【0126】
本発明の代表的な実施形態は、図1A〜1Dに示される24P4C12アミノ酸配列と相互作用する分子についてスクリーニングする方法からなる。この方法は、分子集団と24P4C12アミノ酸配列とを接触させる工程、相互作用を促進する条件下で、分子集団と24P4C12アミノ酸配列とを相互作用させる工程、24P4C12アミノ酸配列と相互作用する分子の存在を決定する工程、次いで24P4C12アミノ酸配列と相互作用する分子から24P4C12アミノ酸配列と相互作用しない分子を分離する工程を包含する。特定の実施形態において、この方法はさらに、24P4C12アミノ酸配列と相互作用する分子を精製する工程を包含する。好ましい実施形態において、24P4C12アミノ酸配列は、ペプチドのライブラリーと接触される。
【0127】
(治療方法および組成物)
24P4C12の前立腺腫瘍関連タンパク質としての同定は、このような癌の処置に対する多くの治療アプローチを開放する。上記で議論されるように、24P4C12は、増殖シグナルの活性化または調節に関与するレセプターとして機能し、そして治療のために標的とされ得る細胞表面上にエピトープを提示することが可能である。
【0128】
24P4C12の発現プロフィールは、MAGE、PSA、およびPMSAを暗示し、MAGE、PSA、およびPMSAは、黒色腫および他の癌にてアップレギュレートされる、組織特異的遺伝子である(Van de EyndeおよびBoon、Int J Clin Lab Res.27:81〜86、1997)。癌におけるその組織特異的発現および高レベル発現に起因して、これらの分子は、癌ワクチンについての標的として現在調査されている(Durrant、Anticancer Drugs 8:727〜733、1997;Reynoldsら、Int J Cancer 72:972〜976、1997)。24P4C12の発現パターンは、24P4C12が同様に、前立腺癌および他の癌に対する癌ワクチンアプローチのための潜在的標的であるという証拠を提供する。なぜなら、その発現が正常な組織に限定されるからである。潜在的レセプターとしてのその構造的特徴もまた、24P4C12が、低分子標的であり得ること、ならびに抗体に基づく治療ストラテジーのための標的であり得ることの証拠を提供する。
【0129】
従って、24P4C12の細胞外部分を標的とする治療アプローチまたは24P4C12タンパク質の活性を阻害することを目指す治療アプローチが、前立腺癌、精巣癌、および24P4C12を発現する他の癌に罹患する患者に有用であることが予期される。24P4C12タンパク質の活性を阻害することを目指す治療アプローチは、一般的に、2つの種類に分類される。1つの種類は、その結合パートナーまたは他のタンパク質との、24P4C12タンパク質の結合または会合を阻害するための、種々の方法を包含する。別の種類は、24P4C12遺伝子の転写または24P4C12 mRNAの翻訳を阻害するための、種々の方法を包含する。
【0130】
(抗体に基づく治療のための細胞表面標的としての24P4C12)
24P4C12の構造的特徴は、この分子がおそらく細胞表面抗原であることを示し、抗体に基づく治療ストラテジーのための魅力的な標的を提供する。24P4C12は正常な細胞と比較して、癌細胞にて過剰発現されるので、24P4C12免疫反応性組成物の全身投与は、非標的器官および非標的組織へのその免疫治療分子の結合により引き起こされる、毒性効果、非特異的効果および/または非標的効果が最小である、比較的良好な感受性を示すことが予期される。24P4C12の細胞外ドメインと特異的に反応性である抗体は、毒素または治療薬剤との結合体、あるいは細胞の増殖または機能を阻害し得る裸の抗体のいずれかとして、24P4C12を発現する癌を全身的に処置するために有用であり得る。
【0131】
24P4C12抗体は、癌細胞上の24P4C12にその抗体が結合しかつ細胞および腫瘍の破壊を媒介し、かつ/または細胞もしくは腫瘍の増殖を阻害するように、患者に導入され得る。このような抗体が治療効果を発揮する機構は、補体媒介性細胞溶解、抗体依存性細胞性細胞傷害、24P4C12の生理学的機能を調節すること、リガンド結合またはシグナル伝達経路を阻害すること、腫瘍細胞分化を調節すること、腫瘍脈管形成因子プロフィールを変化させること、および/またはアポトーシスを誘導することを包含し得る。24P4C12抗体は、毒性薬剤または治療薬剤に結合され得、そして24P4C12を保有する腫瘍細胞に直接その毒性薬剤または治療薬剤を送達するために使用され得る。毒性薬剤の例としては、カルケマイシン(calchemicin)、マイタンシノイド(maytansinoid)、放射性同位体(例えば、131I、イットリウム、およびビスマス)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
抗24P4C12抗体を使用する癌免疫治療法は、以下を含むがこれらに限定されない、他の型の癌の処置にて首尾良く使用されている種々のアプローチから生じる技術に従い得る:結腸癌(Arlenら、1998、Crit.Rev.Immunol.18:133〜138)、多発性骨髄腫(Ozakiら、1997、Blood 90:3179〜3186;Tsunenariら、1997、Blood 90:2437〜2444)、胃癌(Kasprzykら、1992、Cancer Res.52:2771〜2776)、B細胞リンパ腫(Funakoshiら、1996、J.Immunother.Emphasis Tumor Immunol.19:903〜101)、白血病(Zhongら、1996、Leuk.Res.20:581〜589)、結腸直腸癌(Mounら、1994、Cancer Res.54:6160〜6166;Veldersら、1995、Cancer Res.55:4398〜4403)、および乳癌(Shepardら、1991、J.Clin.Immunol.11:117〜127)。いくつかの治療アプローチは、毒素への裸の抗体の結合(例えば、抗CD20抗体への131Iの結合(例えば、RituxanTM、IDEC Pharmaceuticals Corp.、裸抗体;Coulter Pharmaceuticals、Palo Alto、CA、131I−CD20結合体)を含むが、一方他のアプローチは、抗体と他の治療薬剤との(例えば、HerceptinTM(トラスツズマブ(trastuzumab)とパクリタキセル(Genentech,Inc.)との)同時投与を含む。前立腺癌の処置のために、例えば、24P4C12抗体が、照射、化学療法またはホルモン切除と組み合わせて、投与され得る。
【0133】
24P4C12抗体治療は癌のすべての病期について有用であり得るが、抗体治療は、進行性または転移性の癌にて特に適切であり得る。本発明の抗体療法での処置は、以前に1つ以上の化学療法を受けている患者に示され得、一方、化学療法レジメンまたは照射レジメンと本発明の抗体療法を組み合わせることが、化学療法処置を受けていない患者に好ましくあり得る。さらに、抗体療法は、減少した投薬量の同時化学療法の使用を、特に、非常に十分にはその化学療法薬剤の毒性を許容しない患者にとって、可能にし得る。
【0134】
好ましくは、腫瘍組織の免疫組織化学的評価、定量的24P4C12画像化、または24P4C12発現の存在および程度を確かに示し得る他の技術を使用して、何人かの癌患者が24P4C12発現の存在およびレベルについて評価されることは、好ましくあり得る。腫瘍生検または外科的生検の免疫組織化学分析が、この目的に好ましくあり得る。腫瘍組織の免疫組織化学的分析のための方法が、当該分野で周知である。
【0135】
前立腺癌および他の癌を処置する際に有用な抗24P4C12モノクローナル抗体としては、その腫瘍に対する強力な免疫応答を示し得る抗体、および直接細胞傷害性であり得る抗体が挙げられる。これに関して、抗24P4C12モノクローナル抗体(mAb)は、補体媒介性細胞傷害または抗体依存性細胞傷害(ADCC)のいずれかの機構によって、腫瘍細胞溶解を惹起し得、これらの機構の両方が、エフェクター細胞Fcレセプター部位または補体タンパク質との相互作用のために、その免疫グロブリン分子のインタクトなFc部分を必要とする。さらに、腫瘍増殖に対する直接の生物学的効果を発揮する抗24P4C12モノクローナル抗体が、本発明の実施にて有用である。このような直接細胞傷害性のモノクローナル抗体が作用し得る可能な機構としては、細胞増殖の阻害、細胞分化の調節、腫瘍脈管形成因子プロフィールの調節、およびアポトーシスの誘導が、挙げられる。特定の抗24P4C12モノクローナル抗体が抗腫瘍効果を発揮する機構は、当該分野で一般的に知られているように、ADCC、ASMCC、補体媒介性細胞溶解などを決定するように設計されたかなり多数のインビトロアッセイを使用して、評価され得る。
【0136】
マウスまたは他の非ヒトのモノクローナル抗体の使用、あるいはヒト/マウスキメラモノクローナル抗体の使用が、何人かの患者で、中程度から強力な免疫応答を誘導し得る。いくつかの場合において、これは、循環からの抗体のクリアランスおよび減少した効力をもたらす。最も深刻な場合において、このような免疫応答は、潜在的に腎不全を引き起こし得る、免疫複合体の広範な形成をもたらし得る。従って、本発明の治療法の実施にて使用される好ましいモノクローナル抗体は、高い親和性で標的24P4C12抗原に特異的に結合するが、患者において低い抗原性を示すかまたは全く抗原性を示さない、完全にヒトであるかまたはヒト化されているかのいずれかである抗体である。
【0137】
本発明の治療法は、単一の抗24P4C12モノクローナル抗体の投与、ならびに異なるモノクローナル抗体の組み合わせまたはカクテルの投与を意図する。このようなモノクローナル抗体カクテルは、それらが、異なるエピトープを標的とするモノクローナル抗体を含むか、異なるエフェクター機構を使用するか、または免疫エフェクター機能性に依存するモノクローナル抗体と直接細胞傷害性モノクローナル抗体を組み合わせるのと同じ程度だけ、特定の利点を有し得る。組み合わせたこのようなモノクローナル抗体は、相乗的治療効果を示し得る。さらに、抗24P4C12モノクローナル抗体の投与は、種々の化学療法薬剤、アンドロゲン遮断薬、および免疫モジュレーター(例えば、IL−2、GM−CSF)を含むがこれらに限定されない、他の治療薬剤と組合され得る。抗24P4C12モノクローナル抗体は、その「裸」の形態または非結合形態で投与され得るし、またはそれらに結合した治療薬剤を有し得る。
【0138】
抗24P4C12抗体処方物は、腫瘍部位にその抗体を送達し得る任意の経路を介して投与され得る。投与の潜在的に有効な経路としては、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、腫瘍内経路、皮内経路などが挙げられるが、これらに限定されない。処置は一般的に、受容可能な投与経路(例えば、静脈注射(IV))を介する、代表的には約0.1〜約10mg/kg体重の範囲の用量での、抗24P4C12抗体調製物の反復投与を包含する。10〜500mgモノクローナル抗体/週の範囲の用量が、効果的であり得かつ十分に許容され得る。
【0139】
転移性乳癌の処置においてHerceptinモノクローナル抗体を用いる臨床実験に基づいて、初回負荷量約4mg/kg患者の体重のIVに続いての、毎週の用量約2mg/kgの抗24P4C12モノクローナル抗体調製物のIVが、受容可能な投薬レジメンを示し得る。好ましくは、この初回負荷量が、90分以上注入として投与される。周期的維持用量は、30分以上の注入として投与され得るが、ただし、その初回量が十分に許容された場合に限る。しかし、当業者が理解するように、種々の因子が、特定の場合における初回量レジメンに影響する。このような因子としては、例えば、使用される抗体またはモノクローナル抗体の結合親和性および半減期、患者における24P4C12発現の程度、循環する落ちた(shed)24P4C12抗原の程度、所望される安定状態の抗体濃度レベル、処置の頻度、ならびに本発明の処置方法と組み合わせて使用される化学療法薬剤の影響が、挙げられ得る。
【0140】
必要に応じて、患者は、最も有効な投薬レジメンおよび関連因子の決定を補助するために、血清中の循環する落ちた24P4C12抗原のレベルについて評価されるべきである。このような評価はまた、治療を通じモニターする目的のために使用され得、そして他のパラメーター(例えば、前立腺癌治療における血清PSAレベル)を評価することと組み合わせて、治療の成功を判断するために有用であり得る。
【0141】
(24P4C12タンパク質機能の阻害)
本発明は、その結合パートナーまたはリガンドへの24P4C12の結合あるいは他のタンパク質との24P4C12の会合を阻害するための、種々の方法および組成物、ならびに24P4C12機能を阻害するための方法を包含する。
【0142】
(細胞内抗体を用いる24P4C12の阻害)
1つのアプローチにおいて、24P4C12に特異的に結合する単鎖抗体をコードする組換えベクターが、24P4C12を発現する細胞中へと遺伝子移入技術を介して導入され得、その遺伝子移入技術において、そのコードされる単鎖抗24P4C12抗体が細胞内発現され、24P4C12タンパク質に結合し、そしてそれにより24P4C12タンパク質の機能を阻害する。このような細胞内単鎖抗体を操作するための方法は、周知である。このような細胞内抗体(「内部抗体(intrabody)」としても公知)は、その細胞内の特定の区画に特異的に標的化され得、その処置の阻害活性が焦点を合わせる制御を提供する。この技術は、当該分野で首尾良く適用されている(概説として、RichardsonおよびMarasco、1995、TIBTECH、第13巻を参照のこと)。内部抗体は、そうしなければ豊富なはずの細胞表面レセプターの発現を事実上除去することが示されている。例えば、Richardsonら、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:3137〜3141;Beerliら、1994、J.Biol.Chem.289:23931〜23936;Deshaneら、1994、Gene Ther.1:332〜337を参照のこと。
【0143】
単鎖抗体は、可撓性のリンカーポリペプチドにより結合された、重鎖および軽鎖の可変ドメインを含み、そして単一のポリペプチドとして発現される。必要に応じて、単鎖抗体は、その軽鎖定常領域に結合された単鎖可変領域フラグメントとして発現され得る。周囲の細胞内輸送シグナルが、発現される内部抗体を所望の細胞内区画に正確に標的化するために、このような単鎖抗体をコードする組換えポリヌクレオチドベクター中に操作され得る。例えば、小胞体(ER)に標的化された内部抗体は、リーダーペプチドを組み込むように、そして必要に応じてC末端ER保持シグナル(例えば、KDELアミノ酸モチーフ)を組み込むように、操作され得る。核において活性を発揮することが意図される内部抗体は、核局在化シグナルを含むように操作され得る。脂質部分が、原形質膜の細胞質ゾル側に内部抗体をつなぐために、その内部抗体に結合され得る。内部抗体はまた、細胞質ゾルにおいて機能を発揮するように標的化され得る。例えば、細胞質内部抗体が、細胞質ゾル内に因子を隔離し、それによりそれらの因子がその天然での細胞での終着点に輸送されることを防ぐために、使用され得る。
【0144】
このような内部抗体の発現を特定の腫瘍細胞に特異的に向けるために、その内部抗体の転写が、適切な腫瘍特異的プロモーターおよび/またはプロモーターの調節制御下に配置され得る。前立腺に特異的に内部抗体発現を標的化するために、例えば、PSAプロモーターおよび/またはプロモーター/エンハンサーが、利用され得る(例えば、米国特許第5,919,652号を参照のこと)。
【0145】
(組換えタンパク質を用いる24P4C12の阻害)
別のアプローチにおいて、24P4C12に結合し得、それにより24P4C12がその結合パートナーに接近/結合することまたは他のタンパク質と会合することを妨げ得る、組換え分子が、24P4C12機能を阻害するために使用される。このような組換え分子は、例えば、24P4C12特異的抗体分子の反応性部分を含み得る。特定の実施形態において、24P4C12結合パートナーの24P4C12結合ドメインが、ヒトIgG(例えば、ヒトIgG1)のFc部分に連結された2つの24P4C12リガンド結合ドメインを含む、二量体融合タンパク質へと操作され得る。このようなIgG部分は、例えば、GH2ドメインおよびGH3ドメインならびにヒンジ領域を含み得るが、GH1ドメインは含まないかもしれない。このような二量体融合タンパク質は、可溶性形態で、24P4C12の発現と関係する癌に罹患する患者に投与され得、ここでこの二量体タンパク質は24P4C12に特異的に結合し、それにより結合パートナーとの24P4C12の相互作用をブロックする。このような二量体融合タンパク質は、公知の抗体連結技術を使用してさらに組み合わされて、多量体タンパク質にされ得る。
【0146】
(24P4C12の転写または翻訳の阻害)
別の種類の治療アプローチにおいて、本発明は、24P4C12遺伝子の転写を阻害するための、種々の方法および組成物を提供する。同様に、本発明はまた、24P4C12 mRNAからタンパク質への翻訳を阻害するための、方法および組成物も提供する。
【0147】
1つのアプローチにおいて、24P4C12遺伝子の転写を阻害する方法は、24P4C12遺伝子を24P4C12アンチセンスポリヌクレオチドと接触させる工程を包含する。別のアプローチにおいて、24P4C12 mRNAの翻訳を阻害する方法は、24P4C12 mRNAをアンチセンスポリヌクレオチドと接触させる工程を包含する。別のアプローチにおいて、24P4C12特異的リボザイムが、24P4C12メッセージを切断し、それにより翻訳を阻害するために使用され得る。このようなアンチセンスに基づく方法およびリボザイムに基づく方法はまた、24P4C12遺伝子の調節領域(例えば、24P4C12プロモーターエレメントおよび/またはエンハンサーエレメント)に関し得る。同様に、24P4C12遺伝子転写因子を阻害し得るタンパク質が、24P4C12 mRNA転写を阻害するために使用され得る。上述の方法において有用な種々のポリヌクレオチドおよび組成物が、上記に記載されている。転写および翻訳を阻害するためのアンチセンス分子およびリボザイム分子の使用は、当該分野で周知である。
【0148】
24P4C12転写活性化を妨害することを介して24P4C12の転写を阻害する他の因子もまた、24P4C12を発現する癌の処置に有用であり得る。同様に、24P4C12のプロセシングを妨害し得る因子は、24P4C12を発現する癌の処置に有用であり得る。このような因子を利用する癌の処置方法もまた、本発明の範囲内にある。
【0149】
(治療ストラテジーについての一般的な考慮)
遺伝子移入および遺伝子治療の技術は、24P4C12を合成している腫瘍細胞に、治療用ポリヌクレオチド分子(すなわち、アンチセンス、リボザイム、内部抗体をコードするポリヌクレオチドおよび他の24P4C12阻害分子)を送達するために使用され得る。多数の遺伝子治療アプローチが、当該分野で公知である。24P4C12アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム、24P4C12転写を妨害し得る因子などをコードする組換えベクターは、このような遺伝子治療アプローチを使用して標的腫瘍細胞に送達され得る。
【0150】
上記の治療アプローチは、広範な種々の化学療法または放射線療法のレジメンのいずれか1つと組み合わされ得る。これらの治療アプローチはまた、特に、化学療法剤の毒性に十分に寛容ではない患者において、化学療法の投薬量の減少、および/またはより頻度の少ない投与の使用を可能にし得る。
【0151】
特定の組成物(例えば、アンチセンス、リボザイム、内部抗体)、またはこのような組成物の組合せの抗腫瘍活性は、種々のインビトロおよびインビボアッセイ系を使用して評価され得る。治療の可能性を評価するためのインビトロアッセイとしては、細胞増殖アッセイ、軟ゲルアッセイおよび腫瘍促進活性を示す他のアッセイ、治療用組成物が結合パートナーへの24P4C12の結合を阻害する程度を決定し得る結合アッセイなどが挙げられる。
【0152】
インビボでは、24P4C12治療用組成物の効果は、適切な動物モデルにおいて評価され得る。例えば、外因性前立腺癌モデル(ここで、ヒト前立腺癌外植片または継代された異種移植組織が、免疫無防備動物(例えば、ヌードマウスまたはSCIDマウス)に導入される)は、前立腺癌に関して適切であり、そして記載されている(Kleinら、1997,Nature Medicine 3:402〜408)。例えば、PCT特許出願WO98/16628,Sawyersら(1998年4月23日公開)は、原発性腫瘍の発生、微小転移、および後期段階疾患の特徴である骨芽細胞性転移の形成を要約し得る、ヒト前立腺癌の種々の異種移植モデルを記載している。効力は、腫瘍形成、腫瘍後退または転移などの阻害を測定するアッセイを使用して推定され得る。以下の実施例もまた参照のこと。
【0153】
アポトーシスの促進を修飾(qualify)するインビボアッセイもまた、潜在的な治療用組成物の評価において有用であり得る。1つの実施形態において、治療用組成物で処置された保有マウス由来の異種移植片は、アポトーシス病巣の存在について試験され、そして未処置のコントロール異種移殖片保有マウスに比較される。アポトーシス病巣が処置マウスの腫瘍に見出される程度は、この組成物の治療効力の指標を提供する。
【0154】
前述の方法の実施において使用される治療用組成物は、所望の送達方法に適切なキャリアを含む薬学的組成物中に処方され得る。適切なキャリアとしては、治療用組成物と組み合わされる場合に、治療用組成物の抗腫瘍機能を保持し、かつ患者の免疫系と非反応性である、任意の物質が挙げられる。例としては、任意の多数の標準的な薬学的キャリア(例えば、滅菌リン酸緩衝化生理食塩水溶液、静菌水など)が挙げられるがこれらに限定されない(一般には、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第16版),A.Osal.編,1980を参照のこと)。
【0155】
治療用処方物は、可溶化され得、そして腫瘍部位に治療用組成物を送達させ得る任意の経路を通じて投与され得る。潜在的に効果的な投与経路としては、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内、器官内、眼内などが挙げられるがこれらに限定されない。静脈内注射に好ましい処方物は、保存された静菌水、滅菌非保存水の溶液における治療用組成物を含み、そして/または注射用0.9%滅菌塩化ナトリウム(USP)を含むポリビニルクロリドまたはポリエチレンバッグに希釈される。治療用タンパク質調製物は、凍結乾燥され得、そして滅菌粉末として、好ましくは減圧下で貯蔵され得、次いで注射する前に、例えば、ベンジルアルコール保存剤を含む静菌水中に、または滅菌水中に再構成され得る。
【0156】
前述の方法を使用する癌の処置についての投薬量および投与プロトコルは、方法および標的の癌とともに変動し、そして一般に、当該分野で理解される多数の他の因子に依存する。
【0157】
(癌ワクチン)
本発明はさらに、24P4C12タンパク質またはそのフラグメントを含む癌ワクチン、およびDNAベースのワクチンを提供する。好ましくは、このワクチンは、24P4C12タンパク質またはポリペプチドの免疫原性部分を含む。24P4C12の組織により制限される発現を考慮すると、24P4C12癌ワクチンは、非標的組織に対して非特異的効果を生成することなく、24P4C12を発現している癌の特異的な予防および/または処置に効果的であることが予期される。抗癌療法での使用について、液性免疫および細胞媒介性免疫を生成するワクチンにおける腫瘍抗原の使用は、当該分野で周知であり、そしてヒトPSMAおよびげっ歯類PAP免疫原を使用して、前立腺癌に使用されている(Hodgeら、1995,Int.J.Cancer 63:231〜237;Fongら、1997、J.Immunol.159:3113〜3117)。このような方法は、24P4C12タンパク質もしくはそのフラグメント、または24P4C12をコードする核酸分子、および24P4C12免疫原を発現し、かつ適切に提示し得る組換えベクターを用いることによって容易に実施され得る。
【0158】
例えば、ウイルス遺伝子送達系は、24P4C12をコードする核酸分子を送達するために用いられ得る。本発明のこの局面の実施において使用され得る種々のウイルス遺伝子送達系は、以下を包含するが、これらに限定されない:ワクシニアウイルス、鶏痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、およびシンドビスウイルス(Restifo、1996、Curr.Opin.Immunol.8:658−663)。非ウイルス送達系もまた、抗腫瘍応答を誘導するために患者に導入される(例えば筋内で)、24P4C12タンパク質またはそのフラグメントをコードする裸のDNAを用いることにより用いられ得る。1つの実施形態では、全長ヒト24P4C12 cDNAが用いられ得る。別の実施形態では、特定の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)エピトープをコードする24P4C12核酸分子が用いられ得る。CTLエピトープは、特定化されたHLA対立遺伝子に最適に結合し得る、24P4C12タンパク質内のペプチドを同定するための特定のアルゴリズム(例えば、Epimer、Brown University)を用いて決定され得る。
【0159】
種々のエキソビボストラテジーが、用いられ得る。1つのアプローチは、患者の免疫系に24P4C12抗原を呈示するための樹状細胞の使用を包含する。樹状細胞は、MHCクラスIおよびII、B7共同刺激因子(co−stimulator)、およびIL−12を発現し、そして従って、高度に分化された(specialized)抗原提示細胞である。前立腺癌では、前立腺特異的膜抗原(PSMA)のペプチドでパルスされた自己樹状細胞が、第I相臨床試験において、前立腺癌患者の免疫系を刺激するために使用されつつある(Tjoaら、1996、Prostate 28:65−69;Murphyら、1996、Prostate 29:371−380)。樹状細胞は、MHCクラスIおよびII分子の背景においてT細胞に対して24P4C12ペプチドを提示するために使用され得る。1つの実施形態では、自己樹状細胞は、MHC分子に結合し得る24P4C12ペプチドでパルスされる。別の実施形態では、樹状細胞は、完全24P4C12タンパク質でパルスされる。さらに別の実施形態は、当該分野で公知の種々の実行ベクター(例えば、アデノウイルス(Arthurら、1997、Cancer Gene Ther.4:17−25)、レトロウイルス(Hendersonら、1996、Cancer Res.56:3763−3770)、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、DNAトランスフェクション(Ribasら、1997、Cancer Res.57:2865−2869)、および腫瘍由来RNAトランスフェクション(Ashleyら、1997、J.Exp.Med.186:1177−1182))を用いて樹状細胞における24P4C12遺伝子の過剰発現を操作することを包含する。24P4C12を発現する細胞は、免疫調節因子(例えば、GM−CSF)を発現するように操作され得、そして免疫剤として使用され得る。
【0160】
抗イディオタイプ抗24P4C12抗体もまた、抗癌療法において、24P4C12タンパク質を発現する細胞に対する免疫応答を惹起するためのワクチンとして使用され得る。詳細には、抗イディオタイプ抗体の生成は、当該分野で周知であり、そして24P4C12タンパク質上のエピトープを模倣する抗イディオタイプ抗24P4C12抗体を生成するように容易に適合され得る(例えば、Wagnerら、1997、Hybridoma 16:33−40;Foonら、1995、J Clin Invest 96:334−342;Herlynら、1996、Cancer Immunol Immunother 43:65−76を参照のこと)。このような抗イディオタイプ抗体は、癌ワクチンストラテジーにおいて使用され得る。
【0161】
遺伝子免疫法は、24P4C12を発現する癌細胞に対する予防的または治療的な体液性免疫応答および細胞性免疫応答を生成するために使用され得る。24P4C12タンパク質/免疫原をコードするDNAおよび適切な調節配列を含む構築物は、個体の筋肉または皮膚に直接的に注射され得、それにより、筋肉または皮膚の細胞が、この構築物を取り込み、そしてコードされた24P4C12タンパク質/免疫原を発現する。24P4C12タンパク質免疫原の発現は、前立腺癌に対する予防的または治療的な体液性免疫および細胞性免疫の生成を生じる。当該分野で公知の種々の予防的および治療的遺伝子免疫技術が使用され得る(検討のために、インターネットアドレスwww.genweb.comで公開されている情報および参考文献を参照のこと)。
【0162】
(キット)
上記で記載または示唆された診断適用および治療適用において使用するために、本発明によって、キットもまた提供される。このようなキットは、1つ以上のコンテナ手段(例えば、バイアル、チューブなど)を厳重に閉じ込めて受容するように区画化されるキャリア手段を備え得る。コンテナ手段のそれぞれは、本方法において、使用されるべき別々の要素の1つを含む。例えば、コンテナ手段の1つは、検出可能に標識された、または検出可能に標識され得るプローブを含み得る。このようなプローブは、それぞれ24P4C12(および/またはH38087)タンパク質または24P4C12(および/またはH38087)遺伝子またはメッセージに特異的な抗体またはポリヌクレオチドであり得る。キットが、標的核酸配列を検出するために核酸ハイブリダイゼーションを利用する場合、キットはまた、標的核酸配列の増幅用のヌクレオチドを含むコンテナ、および/またはレポーター分子(例えば、酵素標識、蛍光標識、または放射性同位体標識)に結合されるレポーター手段(例えば、ビオチン結合タンパク質(例えば、アビジンまたはストレプトアビジン)を含むコンテナを有し得る。
【0163】
本発明のキットは、代表的には、上記コンテナ、および使用説明書と共に、市販および使用者の観点で所望の材料(緩衝液、希釈剤、フィルター、ニードル、シリンジ、およびパッケージ挿入物を含む)を含む1つ以上の他のコンテナを含む。表示は、組成物が、特定の治療または非治療適用について使用されることを示し、そしてまたインビボまたはインビトロのいずれかの使用(例えば、上記の使用)についての説明を示し得るために、コンテナ上に存在し得る。
【0164】
24P4C12 cDNAは、ブダペスト条約の下でアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC;10801 University Blvd.Manassas、VA 20110−2209 USA)に、プラスミドp24P4C12−GTE9およびp24P4C12−GTE5としてそれぞれ1999年2月2日および26日に寄託され、そしてATCC受託番号207084および207129で承認されている。
【実施例】
【0165】
本発明の種々の局面を、以下に続くいくつかの例によってさらに記載および例示する。これらはいずれも、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
【0166】
(実施例1:24P4C12遺伝子のcDNAフラグメントのSSH生成単離)
(材料および方法)
(LAPC異種移植片)
LAPC異種移植片を、Cheales Sawyers博士(UCLA)から入手し、記載のように生成した(Kleinら、1997、Nature Med.3:402−408;Craftら、1999、Cancer Res.59:5030−5036)。アンドロゲン依存性LAPC−4異種移植片およびアンドロゲン非依存性LAPC−4異種移植片(それぞれLAPC−4 ADおよびAI)をそれぞれインタクトな雄SCIDマウスまたは雄去勢マウスにおいて増殖させ、そしてレシピエント雄に小組織塊として継代させた。LAPC−4 AI異種移植片は、LAPC−4 AD腫瘍から誘導して得た。AI異種移植片を生成するために、LAPC AD腫瘍を有する雄マウスを去勢し、そして2〜3ヶ月間飼育した。LAPC腫瘍が再増殖した後、この腫瘍を採集し、そして去勢雄SCIDマウスにおいてまたは雌SCIDマウスにおいて継代させた。
【0167】
(細胞株)
ヒト細胞株(例えば、HeLa)を、ATCCから入手し、そして5%ウシ胎児血清を有するDMEM中で維持した。
【0168】
(RNA単離)
腫瘍組織および細胞株を、10ml/g組織または10ml/108細胞を用いてTrizol試薬(Life Technologies、Gibco BRL)においてホモジナイズし、総RNAを単離した。ポリA RNAを、Qiagen’s Oligotex mRNA MiniキットおよびMidiキットを用いて総RNAから精製した。総RNAおよびmRNAを、分光光度計分析(O.D. 260/280nm)によって定量し、そしてゲル電気泳動によって分析した。
【0169】
(オリゴヌクレオチド)
以下のHPLC精製オリゴヌクレオチドを使用した。
【0170】
DPNCDN(cDNA合成プライマー):
5’TTTTGATCAAGCTT303’(配列番号34)
アダプター1(それぞれ配列番号35、36):
5’CTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAGCGGCCGCCCGGGCAG3’
3’GGCCCGTCCTAG5’
アダプター2(それぞれ配列番号37、38):
5’GTAATACGACTCACTATAGGGCAGCGTGGTCGCGGCCGAG3’
3’CGGCTCCTAG5’
PCRプライマー1(配列番号39):
5’CTAATACGACTCACTATAGGG3’
ネスト化プライマー(NP)1(配列番号40)
5’TCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGA3’
ネスト化プライマー(NP)2(配列番号41):
5’AGCGTGGTCGCGGCCGAGGA3’。
【0171】
(抑制サブトラクティブハイブリダイゼーション)
抑制サブトラクティブハイブリダイゼーション(SSH)を使用して、前立腺癌で示差的に発現され得る24P4C12に対応するcDNAを同定した。SSH反応は2つの異なる前立腺組織源からのcDNAを利用し、LAPC−4 AD cDNAからBPH(良性前立腺肥大)cDNAを差し引く。LAPC−4
AD cDNAを「テスター」の供給源として使用し、一方、BPH cDNAを「ドライバー」の供給源として使用した。
【0172】
テスターcDNAおよびドライバーcDNAに対応する二本鎖cDNAを、CLONTECHのPCR−Select cDNA Subtraction Kitおよびプライマーとして1ngのオリゴヌクレオチドDPNCDNを使用して、上記のように、関連の異種移植片組織から単離された2μgのポリ(A)+RNAから合成した。第一鎖および第二鎖合成を、キットの使用者マニュアルプロトコル(CLONTECH Protocol No.PT1117−1、Catalog No.K1804−1)に記載のように実施した。得られたcDNAをDpnIIで37℃で3時間消化した。消化したcDNAをフェノール/クロロホルム(1:1)で抽出し、そしてエタノール沈殿した。
【0173】
ドライバーcDNAを、1:1比で、関連の異種移植片供給源からのDpnII消化cDNA(上述を参照のこと)を、ヒト良性前立腺肥大(BPH)、ヒト細胞株HeLa、293、A431、Colo205、およびマウス肝臓由来の消化cDNAの混合物と組み合わせることにより生成した。
【0174】
テスターcDNAを、5μlの水中に関連の異種移植片供給源(上記を参照のこと)からの1μlのDpnII消化cDNA(400ng)を希釈することにより生成した。次いで、希釈したcDNA(2μl、160ng)を、総容量10μlで16℃で一晩、400uのT4 DNAリガーゼ(CLONTECH)を用いて、別の連結反応中で、2μlのアダプター1およびアダプター2(10μM)に連結した。連結を、1μlの0.2M EDTAで、そして72℃で5分間加熱して終結させた。
【0175】
第一のハイブリダイゼーションは、1.5μl(600ng)のドライバーcDNAを、1.5μl(20ng)のアダプター1連結のおよびアダプター2連結のテスターcDNAを含む2つの各チューブに添加することにより実施した。4μlの最終容量で、サンプルに鉱油を重層し、MJ Research サーマルサイクラー中で、98℃で1.5分間変性し、次いで、68℃で8時間ハイブリダイズさせた。次いで、2つのハイブリダイゼーションを、さらなる1μlの新鮮な変性ドライバーcDNAと一緒に混合し、そして68℃で一晩ハイブリダイズさせた。次いで、第二のハイブリダイゼーションを、200μlの20mM Hepes、pH8.3、50mM NaCl、0.2mM EDTA中で希釈し、70℃で7分間加熱し、そして−20℃で貯蔵した。
【0176】
(SSHから生成した遺伝子フラグメントのPCR増幅、クローニング、および配列決定)
SSH反応から生じる遺伝子フラグメントを増幅するために、2つのPCR増幅を行った。第一のPCR反応において、1μlの希釈最終ハイブリダイゼーション混合物を、最終容量25μlの1μlのPCRプライマー1(10μM)、0.5μl dNTP混合物(10μM)、2.5μlの10×反応緩衝液(CLONTECH)、および0.5μlの50×Advantage cDNA polymerase Mix(CLONTECH)に添加した。PCR1を、以下の条件を用いて実施した:75℃で5分、94℃で25秒、次いで27サイクルの94℃で10秒、66℃で30秒、72℃で1.5分。5つの別の第一のPCR反応を各実験について行った。産物をプールし、そして水で1:10に希釈した。第二のPCR反応については、プールし、そして希釈した第一のPCR反応物からの1μlを、プライマーNP1およびNP2(10μM)をPCRプライマー1の代わりに使用したことを除き、PCR1について用いたものと同じ反応混合物に添加した。PCR2を、10〜12サイクルの94℃で10秒、68℃で30秒、72℃で1.5分を用いて実施した。PCR産物を、2%アガロースゲル電気泳動を用いて分析した。
【0177】
PCR産物を、T/Aベクタークローニングキット(Invitrogen)を用いてpCR2.1に挿入した。形質転換E.coliを青/白およびアンピシリン選択に供した。白色コロニーを釣り上げ、96ウェルプレート中に並べ、そして液体培養中で一晩増殖させた。挿入物を同定するために、PCR増幅をPCR1の条件ならびにプライマーとしてNP1およびNP2を用いて1mlの細菌培養物において実施した。PCR産物を2%アガロースゲル電気泳動を用いて分析した。
【0178】
96ウェルフォーマットで20%グリセロール中に細菌クローンを貯蔵した。プラスミドDNAを調製し、配列決定し、そしてGenBank、dBest、およびNCI−CGAPデータベースの核酸相同性検索に供した。
【0179】
(RT−PCR発現分析)
第一鎖cDNAを、Gibco−BRL Superscript Preamplificationシステムを用いるオリゴ(dT)12〜18プライミングによって1μgのmRNAから生成した。製造者プロトコルを使用し、そしてこれは、42℃で50分間の逆転写酵素とのインキュベーション、続いて37℃で20分間のRNAse H処理を包含した。反応を完了した後、この容積を、標準化の前に水で200μlに増大させた。16の異なる正常ヒト組織からの第一鎖cDNAを、Clontechから入手した。
【0180】
複数の組織からの第一鎖cDNAの標準化を、プライマー5’atatcgccgcgctcgtcgtcgacaa3’(配列番号42)および5’agccacacgcagctcattgtagaagg3’(配列番号43)を用いてβアクチンを増幅することにより実施した。第一鎖cDNA(5μl)を、0.4μMプライマー、0.2μM各dNTP、1×PCR緩衝液(Clontech、10mM Tris−HCL、1.5mM MgCl2、50mM KCl、pH8.3)、および1×Klentaq DNAポリメラーゼ(Clontech)を含む総容量50μlで増幅した。18サイクル、20サイクルおよび22サイクルで、5μlのPCR反応物を取り出し、そしてアガロース電気泳動のために使用した。PCRを、以下の条件下で、MJ Researchサーマルサイクラーを用いて実施した:初期変性は94℃で15秒間であり、続いて18サイクル、20サイクル、および22サイクルの94℃で15、65℃で2分、72℃で5秒。72℃での最終伸長を2分間行った。アガロースゲル電気泳動後、複数の組織からの283bpのβアクチンバンドのバンド強度を可視検査によって比較した。22サイクルのPCR後に全ての組織において等しいβアクチンバンド強度を生じるように、第一鎖cDNAの希釈因数を算定した。22サイクルのPCR後に全ての組織において等しいバンド強度を達成するには、3ラウンドの標準化が必要であった。
【0181】
24P4C12遺伝子の発現レベルを決定するために、5μlの標準化された第一鎖cDNAを、以下のプライマー対を用いる25、30、および35サイクルの増幅を用いるPCRによって分析した。これらプライマーは、(MIT;詳細については、www.genome.wi.mit.eduを参照のこと)の補助により設計した:
5’−agatgaggaggaggacaaaggtg−3’(配列番号44)
5’−actgctgggaggagtaccgagtg−3’(配列番号45)
半定量発現分析を、軽度のバンド強度を与えるサイクル数でPCR産物を比較することにより達成した。
【0182】
(結果)
上述の材料および方法に記載のSSH実験は、多数の候補遺伝子フラグメントクローン(SSHクローン)の単離に至った。全ての候補クローンを配列決定し、そして、対応する遺伝子の正体に関する情報を提供し、そして示差的な発現について特定の遺伝子を分析するための決定を導くのを補助するために、主な公的な遺伝子およびESTデータベース中の全配列に対する相同性分析に供した。一般に、検索したデータベースのいずれかにおいていかなる公知の配列とも相同性を有さず、従って新規な遺伝子を表すと考えられる遺伝子フラグメント、ならびに以前に配列決定された発現配列タグ(EST)に対して相同性を示す遺伝子フラグメントを、RT−PCRおよび/またはノーザン分析によってディファレンシャル発現分析に供した。
【0183】
約160bpを含む、SHHクローンの1つは、53アミノ酸の推定オープンリーディングフレーム(ORF)をコードし、そして結腸腫瘍ライブラリー由来のESTに有意な相同性を示す(図1E;配列番号3、4)。24P4C12と称される、このSSHクローンを、種々の組織における24P4C12遺伝子のRT−PCR発現分析のためのプライマーを設計するために使用した。RT−PCR分析は、24P4C12が、LAPC異種移植片および正常前立腺の全てにおいて、ほぼ等しいレベルで発現されることを示した(図2A)。16の正常な組織由来の第一鎖cDNAのRT−PCR分析は、25サイクルの増幅後に結腸、前立腺、腎臓、および肺において発現を示した(図2Bおよび2C)。プローブとして24P4C12 SSHフラグメントを使用するノーザンブロット分析は、LAPG−9AD、続いてLAPC−4 ADにおけるほぼ3kbの24P4C12転写物の最も高い発現を示す(図3A〜3C)。
【0184】
(実施例2:全長24P4C12cDNAのクローニング)
24P4C12遺伝子をコードする全長cDNAを、正常な前立腺のライブラリーから単離し、そして配列決定した。単離されたクローンの2つ(24P4C12−GTE9(24P4C12遺伝子のコード領域のほとんどを含む)および24P4C12−GTE5(24P4C12遺伝子のコード領域全体を含む)と称する)をそれぞれ、ATCC(Manassas、Virginia)に、プラスミドp24P4C12−GTE9およびp24P4C12−GTE5として、1999年2月2日および26日に寄託し、そしてそれぞれATCC受託番号207084および207129で承認されている。これらの2つのクローン、ならびに24P4C12コード領域のほとんどをコードする別のクローン24P4C12−GTE4は、図1A〜1D(配列番号1)に示されるような24P4C12の完全なコード配列および部分的な非コード配列を生成するように合わせられた重複するヌクレオチド配列を有した。
【0185】
図1A〜1D(配列番号1)に示された2587bpの24P4C12 cDNA配列は、マウス遺伝子NG22およびC.elegans遺伝子CEESB82Fに対して有意な相同性を有する710アミノ酸のORFをコードする。図1A〜1D(配列番号2)のcDNAによりコードされたヒト24P4C12タンパク質およびマウスNG22遺伝子産物のアミノ酸配列整列を図4A〜4Bに示す。
【0186】
NG22は、マウスゲノムにおいてMHCクラスIIIを包含するゲノムBACクローン内の多くのORFの1つとして、最近同定された。NG22およびCEESB82Fはともに、12の膜貫通ドメインを含む遺伝子であるようである。図1A〜1D(配列番号1)に示される24P4C12 cDNA配列は、13の可能な膜貫通ドメインを含む。12回膜貫通輸送タンパク質が公知である(KittyおよびAmara、1992、Curr.Opin.Biotechnology 3:675−682)。24P4C12の推定二次構造に起因して、24P4C12タンパク質は、細胞表面膜ポンプまたは輸送因子として機能すると考えられる。
【0187】
(実施例3:24P4C12遺伝子発現分析)
正常ヒト組織における24P4C12 mRNA発現を、プローブとして標識された24P4C12 SSHフラグメント(実施例1)を用いる、全部で16の異なる正常ヒト組織を含む、多重組織ブロットのノーザンブロッティングによって分析した(Clontech;Palo Alto、California)。RNAサンプルを、βアクチンプローブを用いて定量的に標準化した。ノーザンブロット分析は、主に前立腺および結腸において発現を示し、腎臓においてやや低い発現が検出され、そして膵臓、肺および胎盤において顕著により低い発現が検出された。
【0188】
癌組織における24P4C12発現を分析するために、ノーザンブロッティングを、LAPC異種移植片、ならびにいくつかの前立腺および非前立腺癌細胞株由来のRNAにおいて実施した。結果は、LAPC−4 AD、LAPC−4 AI、LAPC−9 AD、LNCaP、およびLAPC−4細胞株において24P4C12の高い発現レベルを示す(図3、図5)。非常に高いレベルがLAPC−3 AIで検出される(図5)。より低いレベルが、LAPC−9 AIで検出される。異種移植片のより詳細な分析は、24P4C12が、マウスの脛骨内で増殖する場合でさえ、異種移植片において高度に発現されることを示す(図5)。ノーザン分析はまた、24P4C12が、正常な前立腺および前立腺癌患者に由来する前立腺腫瘍組織において発現されることを示している(図6A)。これらの結果は、24P4C12は、前立腺癌において高度に発現される前立腺遺伝子であり、そして前立腺癌における薬物または抗体標的としての有用性を有し得ることを示唆する。
【0189】
(実施例4:24P4C12ポリクローナル抗体の生成)
24P4C12に対するポリクローナル血清を生成するために、24P4C12タンパク質配列のアミノ酸1−14(MGGKQRDEDDEAYG;配列番号71)に対応するペプチドを合成した。このペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップルさせ、そして以下のようにウサギを免疫するために用いた。最初にウサギを完全フロイントのアジュバント中に混合した200μgのペプチド−KLHで免疫した。次いで、不完全フロイントアジュバント中の200μgのペプチド−KLHを2週間毎に注射した。各免疫の後約7−10日に採血した。ELISAおよびウェスタンブロッティング分析を用いて免疫ペプチドおよび24P4C12タンパク質に対するウサギ血清の力価および特異性それぞれを測定した。アフィニティー精製した抗−24P4C12ポリクローナル抗体は、免疫ウサギからの粗血清をAffigel 15(BioRad)に共有結合した24P4C12ペプチドを含むアファニティーマトリックス上を通過させることにより調製した。PBSを用いてマトリックスを十分に洗浄した後、24P4C12ペプチドに特異的な抗体を、低pHグリシン緩衝液(0.1M、pH2.5)で溶出し、そしてPBSに対して透析した。
【0190】
次いで、ウェスタンブロット分析を、CMVで駆動されるPCDNA3.1 Myc−His(Invitrogen)またはレトロウイルスpSR−α発現ベクターのいずれか中の24P4C12 cDNAで一過性にトランスフェクトした293T細胞の抗−24P4C12 pAbを用いて実施した。293T細胞は、10μgの、空のベクター、またはpCDNA3.1 CMV駆動MYC−His(Invitrogen)またはpSR−αレトロウイルス発現ベクターで、CaPO4を用いて一過性にトランスフェクトした。40時間後、トランスフェクション細胞を回収し、そして2×SDS−PAGE試料緩衝液中で溶解した。試料緩衝液中の細胞溶解液を、次いで、温和な加熱変性(70℃)または強熱変性(100℃)のいずれかを行い、10%SDS−PAGEゲル上で分離し、そしてニトロセルロースに転写した。次いでメンブレンを、24P4C12のアミノ酸1−14(MGGKQRDEDDEAYG;配列番号71)に対して惹起されたアフィニティー精製された2μg/mlのウサギ抗−ペプチドpAbを用いるウェスタン分析にかけた。抗−24P4C12免疫反応性バンドを、二次抗体に結合した抗ウサギHRPとのインキュベーションおよび増大化学発光により可視化した。
【0191】
ウェスタンブロット分析の結果は、90kDバンドと、トランスフェクト細胞中の高分子量スメアの特異的認識を示すが、空のベクターでトランスフェクトした細胞にはなかった(図10A、図10B)。アミノ酸配列から算出された24P4C12の分子量は、79.2kDである。細胞溶解液のウェスタン分析における90kDバンドの出現は、24P4C12が翻訳後改変を含むことを示唆する。実際、このアミノ酸配列から予想される複数の可能なN連結グリコシル化部位がある。高分子スメアの比率は、温和な加熱(70℃)変性に比べ高加熱(100℃)によって増大し、これは、疎水性配列の熱誘導曝露に際し、この12の膜貫通タンパク質の凝集を示す。分解産物であり得る複数の低分子量バンドもまた、高度に発現されたpCDNA3.1ベクターでトランスフェクトされた細胞中で検出される。
【0192】
(実施例5:哺乳動物系における組換え24P4C12の産生)
組換え24P4C12を発現するために、完全長の24P4C12 cDNAを、C末端に6Hisタグを提供する発現ベクター(pCDNA3.1 myc−his、InVitrogen)中にクローン化し得る。これらの構築物は、293T細胞中にトランスフェクトされ得る。トランスフェクト293T細胞溶解液は、ウェスタンブロットにおいて実施例4に記載された抗−24P4C12ポリクローナル血清でプローブされ得る。
【0193】
24P4C12遺伝子はまた、レトロウイルス発現ベクターpSRαMSVtkneo中にサブクローン化し得、そして以下のように24P4C12発現細胞株0確立するために用いた。24P4C12コード配列(翻訳開始ATG〜停止コドンまで)は、24P4C12 cDNAからds cDNAテンプレートを用いてPCRにより増幅される。PCR産物を、ベクター上のEcoR1(平滑末端化)およびXba1制限部位を介してpSRαMSVtkneo中にサブクローン化し、そしてDH5αコンピテント細胞中に形質転換する。コロニーを釣り上げ、cDNA上の特有の内部制限部位をもつクローンをスクリーニングする。陽性のクローンは、このcDNA挿入片の配列決定により確認する。その後、レトロウイルスを、例えば、NIH3T3、PC3、およびLnCap細胞を用いる、種々の細胞株の感染および生成のために用いられ得る。
【0194】
(実施例6:バキュロウイルス系における組換え24P4C12の産生)
バキュロウイルス発現系における組換え24P4C12タンパク質を生成するために、24P4C12 cDNAを、N末端にHis−タグを提供する、バキュロウイルス転移ベクターpBlueBac4.5(Invitrogen)中にクローン化する。詳細には、pBlueBac−24P4C12を、ヘルパープラスミドpBac−N−Blue(Invitrogen)とともに、SF9(Spodoptera frugiperda)昆虫細胞中に同時トランスフェクトし、組換えバキュロウイルスを生成する(詳細についてはInvitrogenの指示マニュアルを参照のこと)。次いで、バキュロウイルスを細胞上清から収集し、そしてプラークアッセイにより生成する。
【0195】
次いで、組換え24P4C12タンパク質を、精製バキュロウイルスを用いたHighFive昆虫細胞(InVitrogen)の感染により生成する。組換え24P4C12タンパク質は、抗−24P4C12抗体を用いて検出され得る。24P4C12タンパク質は、精製され、そして種々の細胞を基礎にしたアッセイにおいて、または24P4C12に特異的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するための免疫原として用いられ得る。
【0196】
(実施例7:H38087の同定&クローニング、24P4C12のファミリーメンバー)
H38087を、NCBI中のtblastnツールを用いて24P4C12アミノ酸配列を用いdBESTデータベースをサーチすることにより24P4C12のファミリーメンバーとして同定した。相同性タンパク質のタンパク質フラグメントをコードするESTを同定した。これらのうちの1つ、H38087は、精巣ライブラリーからクローン化した。このcDNA(クローンGTB6)は、サイズが2738bpであり、そして11の推定の膜貫通ドメインをもつ704アミノ酸タンパク質をコードする(図7A−7D;配列番号6、7)。5’非翻訳領域の58塩基対は、非常にGCリッチ(87%)であり、この遺伝子が翻訳調節エレメントを含み得ることを示す(図7A−7D)。24P4C12(配列番号2)およびH38087(配列番号7)のアミノ酸配列は、完全配列に亘って44%同一および56%相同である(図8)。発現分析は、H38087が遍在的に発現されることを示す(図9)。最高の発現レベルが精巣で検出される。発現はまた、すべてのLAPC異種移植片中で観察される。H38087は、遍在的に発現されるので、24P4C12−特異的治療剤を試験するためのコントロールとして供し得る。H38087機能に影響する24P4C12特異的治療剤は、正常細胞に対して毒性であり得る。しかし、H38087ではなく、24P4C12に選択的に影響する治療剤は、正常細胞に対してより少ない毒性であり得る。従って、H38087タンパク質は、24P4C12に対する治療様式の前臨床試験ツールとして有用である。
【0197】
(実施例8:潜在的なシグナル伝達経路の同定)
24P4C12が細胞中の既知のシグナル伝達経路を直接的または間接的に活性化するか否かを決定するために、ルシフェラーゼ(luc)を基礎にした転写レポーターアッセイを、24P4C12を発現する細胞中で実施する。これらの転写レポーターは、良く特徴付けられたシグナル伝達経路の下流にある、既知の転写因子のためのコンセンサス結合部位を含む。これらのレポーターおよびそれらの関連転写因子、シグナル伝達経路、および活性化刺激物の例を、以下に列挙する。
1.NFκB−luc、NFκB/Rel;Ik−キナーゼ/SAPK;成長/アポトーシス/ストレス
2.SRE−luc、SRF/TCF/ELK1;MAPK/SAPK;成長/分化
3.AP−1−luc、FOS/JUN;MAPK/SAPK/PKC;成長/アポトーシス/ストレス
4.ARE−luc、アンドロゲンレセプター;ステロイド類/MAPK;成長/分化/アポトーシス
5.p53−luc、p53;SAPK;成長/分化/アポトーシス
6.CRE−luc、CREB/ATF2;PKA/p38;成長/アポトーシス/ストレス
24P4C12媒介効果は、mRNA発現を示す細胞中でアッセイされ得る。ルシフェラーゼレポータープラスミドは、脂質媒介トランスフェクション(TFX−50、Promega)により導入され得るルシフェラーゼ活性、相対的転写活性の指標は、細胞抽出物のルシフェリン基質とのインキュベーションにより測定され、そして反応の化学発光がルミノメーター中でモニターされる。
【0198】
(実施例9:24P4C12モノクローナル抗体の生成)
24P4C12モノクローナル抗体を生成するために、24P4C12タンパク質を含むグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質を合成し、そして免疫原として用いる。あるいは、24P4C12は、C末端6XHisおよびMYCタグをもつ24P4C12をコードするCMV駆動発現ベクター(pcDNA3.1/mycHIS、Invitrogen)でトランスフェクトされた293T細胞中で首尾良く発現され得る。細胞中で発現されたHISタグ24P4C12は、標準的な技法を用いるニッケルカラムを用いて精製され得る。
【0199】
Balb Cマウスを、最初、腹腔内に、完全フロイントアジュバント中に交合された、200μgのGST−24P4C12融合タンパク質で免疫する。次いで、マウスに、フロイントの不完全アジュバント中に混合された75μgの24P4C12タンパク質で2週間毎に、合計3回の免疫を行う。完全長24P4C12タンパク質に対する免疫マウスからの血清の反応性を、293T細胞から発現されたHISタグ24P4C12タンパク質の部分精製された調製物(実施例5)を用いてELISAによりモニターする。最も強い反応性を示すマウスを3週間休息させ、そしてPBS中の融合タンパク質の最後の注射をし、次いで4日後に屠殺する。次いで屠殺マウスの脾臓を回収し、そして標準的な手順を用いてSPO/2ミエローマ細胞に融合する(HarlowおよびLane、1988)。HAT選択の後、増殖ウェルからの上清を、ELISAおよびWesternブロットによりスクリーニングし、24P4C12特異的抗体産生クローンを同定する。
【0200】
24P4C12モノクローナル抗体の結合親和性は、標準的な技術を用いて測定し得る。親和性測定は、エピトープ結合に対する抗体の強さを定量し、そしてどの24P4C12モノクローナル抗体が診断または治療使用に好適であるかを規定するのを補助するために用いられ得る。BIAcoreシステム(Uppsala、Sweden)は、結合親和性を決定するための好適な方法である。BIAcoreシステムは、生体分子相互作用をリアルタイムでモニターするために、表面プラスモン共鳴を用いる(SPR、Weldford K.1991、Opt.Quant.Elect.23:1;MortonおよびMyszka、1998、Methods in Enzymology 295:268)。BIAcore分析は、会合速度定数、解離速度定数、平衡解離定数、および親和性定数を首尾良く生成する。
【0201】
(実施例10:24P4C12機能のインビトロアッセイ)
前立腺およびその他の癌における24P4C12の発現は、この遺伝子が腫瘍進行および/または腫瘍開始において機能的役割を有するという証拠を提供する。24P4C12が、増殖シグナルを活性化することに関与するレセプターとして機能する可能性がある。24P4C12機能は、インビトロアプローチを用いて哺乳動物細胞中で評価され得る。哺乳動物発現には、24P4C12は、pcDNA 3.1 myc−His−タグ(実施例5)およびレトロウイルスベクターpSRαtkneo(Mullerら、1991、MCB 11:1785)を含む多くの適切なベクター中にクローン化され得る。このような発現ベクターを用い、24P4C12は、PC−3、NIH3T3、LNCaPおよび293Tを含むいくつかの細胞株で発現され得る。24P4C12の発現は、抗−24P4C12抗体およびノザンブロット分析を用いてモニターされ得る(実施例4および9を参照のこと)。
【0202】
24P4C12を発現する哺乳動物細胞株は、いくつかのインビトロおよびインビボアッセイで試験され得、これには、組織培養中の細胞増殖,アポトーシスシグナルの活性化、SCIDマウスにおける腫瘍形成、および膜侵襲培養系を用いるインビトロ侵襲(MICS;Welchら、Int.J.Cancer 43:449−457)が含まれる。24P4C12細胞表現型を、24P4C12の発現を欠く細胞の表現型と比較する。
【0203】
24P4C12を発現する細胞株はまた、マトリゲルでコートされた多孔性膜チャンバ(Becton Dickinson)を通る細胞の通過を測定することにより、侵襲および遊走性質の改変についてアッセイされ得る。対向する側面への膜を通じる細胞の通過は、カルセイン−Am(Molecular Probes)を負荷したインジケーター細胞を用いる蛍光アッセイ(Becton Dickinson Technical Bulletin #428)を用いてモニターされる。分析された細胞株は、親および24P4C12過剰発現PC3、NIH3T3ならびにLNCaP細胞を含む。24P4C12発現細胞が化学誘引物質の性質を有するか否かを決定するために、インジケーター細胞を、コントロール培地に比較して24P4C12馴化培地のグラジエントに向かう多孔性膜を通じる通過についてモニターする。このアッセイはまた、候補の癌治療組成物による24P4C12で誘導される効果の特異的中和を定性および定量するために用いられ得る。
【0204】
24P4C12の機能は、上記の種々の機能的アッセイ(例えば、成長、侵襲および移動)と連結された抗アンチセンスRNA技術を用いて評価され得る。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを、24P4C12発現細胞中に導入し得、それによって24P4C12の発現を防ぐ。コントロールおよびアンチセンス含有細胞は、増殖、侵襲、移動、アポトーシスおよび転写能力について分析し得る。24P4C12発現の損失の局所および全身効果が評価され得る。
【0205】
(実施例11:24P4C12腫瘍成長促進に対するインビボアッセイ)
腫瘍細胞増殖に対する24P4C12タンパク質の影響は、腫瘍をもつマウス中の遺伝子過剰発現によりインビボで評価され得る。例えば、SCIDマウスに、各脇腹上に、tkNeo空ベクターまたは24P4C12を含む、PC3、TSUPR1、またはDU145細胞のいずれの1×106を皮下し得る。少なくとも以下の2つの戦略が用いられ得る:(1)ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日に公開されたUK2,211,504)、(アデノウイルス2のような)アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、トリザルコーマウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから、または例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター(このようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で)から得られた構成的プロモーターのようなプロモーターの調節下の、構成的24P4C12発現、および(2)(このようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で)ecdysone、tetなどのような、誘導性ベクター系の制御下の調節発現。次いで、腫瘍容積を、触知可能な腫瘍の出現時にモニターし、そして、経時的に、24P4C12発現細胞が、より速い速度で成長するか否か、および24P4C12発現細胞により生成される腫瘍が、改変された病原性の特徴(例えば、増大した転移、血管形成、化学的治療薬物に対して減少した応答性)を示すか否かを測定する。さらに、マウスに、1×105の同じ細胞を同所的に移植し得、24P4C12が、前立腺における局所成長に対する影響、または特に肺、リンパ節、および骨髄に特異的に転移する細胞の能力に対する影響を有するか否かを決定する。
【0206】
このアッセイはまた、(例えば、24P4C12内部抗体、24P4C12アンチセンス分子およびリボザイムのような)候補治療組成物の24P4C12阻害効果を決定するために有用である。
【0207】
(実施例12:細胞下画分中の24P4C12発現のウェスタン分析)
24P4C12の配列分析は、膜貫通ドメインの存在を示した。24P4C12の細胞位置は、細胞生物学で広く用いられる細胞下分画技法を用いて評価され得る(Storrie Bら、Methods Enzymol.1990;182:203−25)。前立腺細胞株は、核、細胞質ゾルおよび膜画分に分離され得る。異なる画分中の24P4C12発現は、ウェスタンブロッティング技法を用いて試験され得る。
【0208】
あるいは、24P4C12の細胞下局在化を決定するために、293T細胞を、HISタグ24P4C12をコードする発現ベクター(PCDNA 3.1 MYC/HIS、Invitrogen)でトランスフェクトされ得る。このトランスフェクト細胞を回収し、そして先に記載のように(Pemberton、P.A.ら、1997、J of Histochemistry and Cytochemistry、45:1697−1706)、差次的細胞下分画プロトコルに供し得る。このプロトコルは、細胞を、核、重膜(リソソーム、ペルオキシソーム、およびミトコンドリア)、軽膜(原形質膜および小胞体)、および可溶性タンパク質について濃縮された画分に分割する。
【0209】
本出願を通じて、種々の刊行物が括弧内に参照されている。これらの刊行物の開示は、それらの全体が本明細書に参考として援用されている。
【0210】
本発明は、本明細書に開示の実施の形態により範囲を限定されるべきではなく、これらは、本発明の個々の局面の単なる例示として意図され、そして機能的に等価である任意のものは、本発明の範囲内にある。本明細書に記載のこれらに加えて、本発明のモデルおよび方法に対する種々の改変は、先行する記述および教示から当業者に明らかとなり、そして本発明の範囲内に同様に入ることが意図される。このような改変またはその他の実施の形態は、本発明の真の範囲および思想から逸脱することなく実施され得る。これらの改変およびその他の実施の形態は、制限されることなく、24P4C12と組み合わせて、本明細書に開示の種々の方法、アッセイ、分子および戦略を、H38087との使用のために適合することを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載される、前立腺癌において発現される13回膜貫通タンパク質。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2010−51321(P2010−51321A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269211(P2009−269211)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【分割の表示】特願2007−161935(P2007−161935)の分割
【原出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(500553659)アジェンシス,インコーポレイテッド (35)
【Fターム(参考)】