前立腺癌の生存及び再発
本明細書の開示は、前立腺癌に臨床的に関連する遺伝子発現プロフィールの同定及び使用を含む。特に、本明細書の開示は、患者の生存及び前立腺癌再発と相関する遺伝子の同定に基づく。該遺伝子発現プロフィールは、核酸発現、タンパク質発現、又は他の発現フォーマットを含み、そして前立腺癌に罹患する対象の生存を予測し、そして前立腺癌再発を予測するために使用することができる。また、該プロフィールは前立腺癌細胞及び組織の研究及び/又は診断、ならびに患者の予後の研究及び/又は決定のために使用することができる。診断又は予後のために使用される場合、該プロフィールは平均余命及び癌再発及び/又は転移の可能性に基づき前立腺癌の治療を決定するために使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年2月23日(12ヶ月後の2008年2月23日は土曜日で祝日である)に出願した米国仮出願第60/891,477号の優先権の利益を主張し、記載された全てが参考として本明細書中に組み込まれている。
【0002】
開示される分野
本明細書の開示は、前立腺癌に臨床的に関連する遺伝子(又は配列)発現プロフィール又はパターンの同定及び使用に関する。特に、本明細書の開示は遺伝子又は発現配列の同定に基づき、その発現は患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生に関係する。該遺伝子発現プロフィール(核酸発現、タンパク質発現、又は他の発現型を包含する)は、前立腺癌に罹患する患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生を予測するために使用することができる。また、該プロフィールは前立腺癌細胞及び組織の研究及び/又は診断において、ならびに患者の予後の診断及び/又は決定のために使用することができる。診断や予後診断のために使用される場合、該プロフィールは、平均余命、癌再発、及び/又は癌転移の可能性に基づき、前立腺癌の処置を決定するために使用される。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌は、米国人男性に最も一般的に診断される癌であり、毎年、およそ240,000人の新たに診断される患者及び40,000人の癌死亡者を伴う。前立腺癌を診断し、管理することは、分子や遺伝子レベルにおける癌の知識が不足しており、また自然疾患進行の理解についても不良なことから臨床的に極めて困難である。
【0004】
研究用途に利用可能な前立腺癌組織検体、特に病理学的に十分に特徴づけられており、RNA及びタンパク質研究のために適当に保存されており、かつ患者の臨床的、病理学的及び追跡情報に関連する検体は資源として不十分であるため、前立腺癌の研究は制限されている。
【0005】
前立腺癌、例えばT2前立腺癌の治療のいくらかのケースにおいては、外科的治療が用いられる。しかしながら、一部の患者は治療に失敗する恐れがある。これは、化学的失敗(chemical failure)(手術から1年後のPSAの評価)又は転移の進行(一般に、リンパ節及び骨における)によって判定される。PSA再発(PSA failure)、前立腺癌の再発、及び/又は転移の進行に遭遇する術後患者を同定又は予測するための能力は、患者に複数の利益を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の開示は、前立腺癌に臨床的に関連する遺伝子(又は配列)発現パターン(又はプロフィール又は「特性」(signature))の同定及び使用を含む。遺伝子発現プロフィール(核酸発現、タンパク質発現、又は他の発現型を包含する)は、前立腺癌に罹患する患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生を予測するために使用することができる。前立腺切除を含む実施形態において、本明細書の開示は、前立腺癌再発、癌転移及び/又は上昇したPSAレベルの再発の可能性を予測するための方法を含む。
【0007】
ある態様において、本明細書の開示は、前立腺癌に関連する予測情報を提供する遺伝子(又は配列)発現プロフィールを同定し、これらを使用するための方法を含む。該発現プロフィールは、良好又は不良な癌再発、癌転移、及び/又は生存結果を有する患者に相関し、これにより患者を区別することができる。いくつかの実施形態において、本明細書の開示は、前立腺癌に罹患する患者における癌再発及び/又は転移に関する発現プロフィールを同定するための方法を含む。他の実施形態において、本明細書の開示は、患者、例えば前立腺切除後に生じる結果を決定するために同定された発現結果に対して、患者由来の前立腺癌細胞試料中の遺伝子(又は配列)の発現を比較する方法を含む。これらの本明細書に開示される実施形態は、患者が前立腺癌の治療ための手術から利益を得ることができるか、あるいは患者に他の治療を行ったほうが良いのか、あるいは手術に加えてアジュバント処置が必要なのかを予測するための能力のための対処されていない重要な診断の必要性を満足するために有効に用いることができる。
【0008】
手術、例えば前立腺全摘出術から利益を受ける患者の制限されない一例は、本明細書に開示される患者の前立腺癌の発現プロフィールによって、手術後の癌再発及び/又は転移を有さないことが予測される者である。関連する様式において、手術から利益を受けないことが予想される患者の制限されない例は、患者の前立腺癌細胞の発現プロフィールによって、本明細書に開示される手術後の癌転移が発現することが予測される者である。例えば、前立腺癌の再発は同じ場所で生じうるが、転移はしばしば異なる部位又は組織、例えば制限されることなく、リンパ管や骨で生じうる。
【0009】
さらなる実施形態において、前立腺癌細胞を有するか、あるいはその後の前立腺切除後の患者を患者の母集団(population)から患者を同定するための方法は、良好な癌再発及び/又は生存結果(例えば再発又は転移の低いリスク)を有する患者の部分母集団(subpopulation)に属するものとして他の部分母集団に関連するか、あるいは不良な癌再発及び/又は生存結果(再発又は転移の上昇したリスク)を有する部分母集団(subpopulation)に属するものとして他の部分母集団に関連する。したがって、該方法は、少なくとも2つの部分母集団又はサブタイプに区別することができる。
【0010】
本明細書の開示は、本明細書に開示される発現パターンをアッセイすることにより、任意に前立腺切除後の良好な又は不良な癌再発、癌転移、及び/又は生存結果を有するような前立腺癌を有する患者の同定のための非主観的(non-subjective)手段を含む。したがって、主観的解釈(例えば、免疫組織化学染色及び主観的分析)が、前立腺癌患者又は前立腺切除後患者の予後及び/又は治療を決定するために使用されている場合、これは、単独で、あるいは患者の結果、例えば生存及び癌の再発又は転移のより正確な評価を供するための他の(主観的及び/又は客観的な)基準との組み合わせにおいて使用することができる。したがって、本明細書に開示される発現パターンは、前立腺癌、前立腺切除後の予後を決定するための手段を含む。
【0011】
本明細書に開示される発現パターンは、有意な正確性を伴い、前立腺癌又は前立腺切除後の結果において区別できる1以上の遺伝子又は発現配列を含む。遺伝子又は発現配列の発現レベルは、該発現レベルが患者の好ましい治療プロトコルの決定に関する結果に相関するように同定される。したがって、本発明は、本明細書に開示されるとおり、対象由来の試料を含有する前立腺癌細胞を患者の結果に相関する発現レベルについてアッセイすることにより、任意に前立腺切除後の前立腺癌に罹患する対象の結果を決定するための方法を提供する。
【0012】
他の態様において、本明細書の開示は、対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための方法を含む。該方法は対象由来の前立腺癌細胞を含む試料を図14及び15中の遺伝子番号1〜362から選択される2以上の遺伝子の発現レベルについてアッセイし、そして各々の遺伝子の発現レベル又は全体としての集合発現レベルを前立腺癌細胞の母集団の平均発現値又は中央発現値と比較することを含む。その後、この評価は試料が得られた対象の前立腺癌再発及び/又は転移のリスクを決定するために使用することができる。開示された遺伝子(又は発現配列)の発現レベルは、前立腺癌細胞の母集団における発現の平均値又は中央値との比較に基づき、癌再発及び/又は転移の低いリスク、あるいは癌再発及び/又は転移の高いリスクに相関する。換言すれば、本明細書に開示される個々の遺伝子(又は発現配列)は、本明細書に開示される高い又は低いリスクに相関する平均値又は中央値からはずれるように、(前立腺癌細胞母集団における発現の平均値又は中央値と比較して)高い又は低いレベルにおいて発現する。2以上の遺伝子(又は発現配列)における偏差の各々の集積が、本明細書に開示されるパターン又はプロフィール(profile)となる。
【0013】
いくつかの実施形態において、発現レベルについてのアッセイは、本明細書に開示される配列番号1〜362から選択される2以上の核酸プローブを用いて行うことができる。これらのプローブは適当な条件下でハイブリダイズし、そして本明細書に開示される発現配列を検出する。他の実施形態においては、配列番号1〜362と同一の発現配列とハイブリダイズする他のプローブを使用することができる。他の場合において、追加的なプローブ配列は、遺伝子番号1〜362として同定される配列の全て又は一部であってよい。多くの実施形態において、プローブは本明細書に記載される発現配列(又は遺伝子)から増幅した配列の領域を検出するために使用することができる。
【0014】
本明細書に開示される2以上の配列の発現レベルの検出又は測定は、発現プロフィール又は発現特性を検出又は測定することを意味する。本明細書に開示される2以上の配列を含む本明細書に開示される発現パターンは、本明細書に記載されるとおり同定され、使用される。これらの同定のために、前立腺癌細胞を含有する試料中の遺伝子発現レベルの大量のサンプリングは、mRNAの発現レベルを定量することによって得られる。ある実施形態において、本明細書の開示は、単純な生体検査ができないような、コンタミネートした細胞から解離し、あるいは単離又は精製したグローバル又はニアグローバルな単一の細胞又は均一な細胞群を分析することにより、遺伝子(又は配列)発現レベルを検出することを含む。多くの遺伝子の発現は、異なる患者由来の細胞間、ならびに同じ患者の試料由来の細胞間で異なるため、個々の遺伝子配列の発現からの複数のデータが、個々の遺伝子及び配列の同定を順々に許容するモデルを作成するための参照データとして使用され、特に前立腺癌、あるいは前立腺切除後に相関する発現の結果がもたらされる。
【0015】
その後、これらのモデルにおける多様な遺伝子の発現レベルが分析され、前立腺癌又は前立腺切除後の結果に陽性的又は陰性的に相関する核酸配列の発現が同定される。本明細書の開示は、本明細書に記載される結果に相関するように同定される細胞中の発現配列のサブセットである核酸配列を含む。本明細書に開示される発現パターン又はプロフィールは、これらの同定された配列(又は遺伝子)の組み合わせを含む。発現配列の同定のための複数の試料の使用は、前立腺癌の再発、転移及び/又は生存結果に対する遺伝子の相関性についての信頼性を向上させる。十分な信頼性がない場合、特定の遺伝子が実際に結果に相関するのかを予測することはできず、また遺伝子の発現が、前立腺癌、前立腺切除後の対象又は患者の結果を同定するために成功的に使用できるかを予測することもできない。一度同定すれば、予測的なプロフィールについて検出又は評価される発現プロフィールとしての評価のために、開示される遺伝子(又は発現配列)に対応する2以上の核酸配列を選択することができる。
【0016】
他と関連する1つの結果と高度に相関する発現レベルのプロフィールは、対象又は患者由来の試料を含有する前立腺癌細胞をアッセイし、試料が得られた対象の結果を予測することが可能である。このようなアッセイは、同定された結果に基づき、対象の治療処置を決定するための方法の一部として使用することができる。
【0017】
相関した遺伝子は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果との分子発現表現型を的確に相互に関連付けるための能力を向上させるために、(有意な正確性を伴う)ペアで、あるいはより多くのメンバーにおいて使用することができる。該相関性は、本明細書に開示されるとおり、前立腺癌再発、癌転移及び/又は生存結果の分子定量を供する。理論に拘束されることなく、本明細書の開示の理解を改善するために、本明細書に開示される分子定量は、前立腺癌に関する他の分子指標、例えば前立腺血清抗原(PSA)値よりも強力である。相関した発現パターン及びプロフィールの更なる使用は、細胞及び組織の分類;診断及び/又は予後の決定;及び治療の決定及び/又は変更におけるものである。
【0018】
区別するための能力は、関連のある個々の遺伝子配列の発現の同定によって確認され、発現の実際のレベルを測定するために使用されるアッセイの形態によって確認されるものではない。アッセイは、該アッセイが定量的又は定性的に「トランスクリプトーム」(ゲノム中の遺伝子の転写されたフラクション)又は「プロテオーム」(ゲノム中の発現遺伝子の翻訳されたフラクション)中の遺伝子配列の発現を反映する限り、本明細書に開示される同定された個々の遺伝子の同定特性(identifying feature)を利用できる。同定特性は、制限されることなく、コード(DNA)するため、又は発現(RNA)するために使用されるユニークな核酸配列該遺伝子又は該遺伝子によりコードされるタンパク質に特異的なエピトープ又はその活性を含む。必要とされる全てのものは、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を区別するために必要な遺伝子配列の同定、ならびに発現アッセイにおける使用のための試料を含有する適当な細胞である。
【0019】
同様に、試料を含有する細胞の性質は、制限されることなく、新鮮な組織、新鮮に凍結された組織、及び固定された組織、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織として、本明細書に開示される方法において使用することができる。いくつかの実施形態において、試料は、ニードル(コア)生検又は他の生検のものであってよい。
【0020】
同定された発現パターン又はプロフィールを検出するために、本明細書に開示された発明は、単純な生体検査ができないようなコンタミネートした細胞から解離し、あるいは単離又は精製したグローバル又はニアグローバルな単一の細胞又は均一な細胞群を分析することにより、遺伝子(又は配列)発現レベルの同定を供する。該パターン又はプロフィールにおける遺伝子(配列)の発現レベルは、その後検出されるか、あるいは測定される。他の実施形態において、方法は、他の遺伝子又は配列の発現を評価又は測定することなく、該プロフィールにおける遺伝子(配列)の発現レベルのみを検出又は測定することができる。
【0021】
さらなる態様において、発現レベルの分析は、前立腺癌の他の評価又は指標と組み合わせて、あるいは置き換えて行うことができる。いくつかの実施形態において、該分析は、対象由来の前立腺癌細胞を含む試料中の前立腺癌のグレードを決定する方法と組み合わせて行うことができる。他の実施形態において、該組み合わせは、試料中の前立腺癌のステージを決定する方法との組み合わせである。3つ目の可能性は、任意的に、前立腺癌細胞を単離するために使用される手順の前に、対象におけるPSAレベルを検出又は測定する方法との組み合わせである。当然に、これらの例のいずれか1つ、2つ又は3つ全てと組み合わせることが可能である。1以上の評価が使用される場合、該結果は多変量分析となる。本明細書の開示は、多変量的な実施形態として本明細書に記載される評価の全ての可能な組み合わせを明確に含む。
【0022】
一般に前立腺癌グレード及び/又はステージを評価するために当業者に受け入れられている方法が使用できる。いくつかのケースにおいて、前立腺癌グレードを決定するための方法は、グリースン・スコア(グリースン・グレード)の決定を含む。他のケースにおいて、前立腺癌ステージを決定する方法は、前立腺癌ステージを評価するための対癌米国合同委員会(AJCC)腫瘍ステージング・システムに従う決定を含む。また、本明細書に記載されるとおり、遺伝子(配列)発現レベルの分析は、グリースン・スコア又はAJCC腫瘍ステージ決定のいずれかに代えて行うことができる。
【0023】
PSAレベルの場合、その評価は、本明細書に記載されるいずれかの方法における使用のための前立腺癌細胞を含む試料を提供するために使用される前立腺切除前に行うことができる。
【0024】
更なる態様において、本明細書の開示は、本明細書に開示される遺伝子(又は配列)の発現を検出するための物理的及び方法論的な手段を含む。これらの手段は、遺伝子(又は配列)の発現の原因となるDNA鋳型、該遺伝子(又は配列)を発現するための中間体として使用されるRNA、又は該遺伝子(又は配列)により発現されるタンパク質生成物の1又は複数の態様をアッセイすることに関してよい。
【0025】
本明細書により提供される1つの利点は、コンタミネートした非前立腺癌細胞(例えば、浸潤性リンパ球又は他の免疫系細胞)を除去し、本明細書に開示される発現パターン又はプロフィールの測定における、これらの影響を減少させ、患者の癌再発/生存結果を予測できることである。このようなコンタミネーションは、遺伝子発現プロフィールを産生するために、多くの細胞種を含有する生検が使用される場合に存在する。
【0026】
本発明はヒト前立腺癌において主に記載されているが、前立腺癌に罹患する可能性が知られているいずれかの動物の前立腺癌においても実施することができる。本発明の適用についての動物の制限されない例は、哺乳類、特に農業に重要な動物(例えば、制限されることなく、ウシ、ヒツジ、ウマ、及び他の「家畜」)、前立腺癌の動物モデル、及びヒトにかかわる動物(例えば、制限されることなく、イヌ及びネコ)である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本明細書の実施例1及び表1に記載される、ヒト患者試料に基づく、代表的なデータ分析スキームを表す。
【図2】図2は、本明細書に記載される、Random ForestsTM アルゴリズムの500遺伝子選択反復の結果を示す。
【図3A】図3Aは、同定された癌組織領域を有する前立腺全摘出術検体(FFPE組織)を含有するスライドにおける前立腺癌の代表的な同定を示す。
【図3B】図3Bは、非癌組織の除去後の切除された(微小切開した)前立腺癌材料を示す。
【図4】図4は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴とグリソン・グレード又はスコア(<=6,7又は>=8)の相関を示す。
【図5】図5は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴とAJCC病理学的腫瘍ステージ(II又はIII)の相関を示す。
【図6】図6は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴と術前PSA(前立腺血清抗原)値の相関を示す。
【図7】図7は、前立腺癌を治療するための外科的介入後のPSA再発が存在しないカプラン・マイヤー分析からの結果を示す。該結果は、良好な癌再発及び生存結果(再発及び転移による脂肪の低い発生率)の可能性を有する「低」リスク部分母集団及び不良な結果(再発及び転移による脂肪の高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団への分離を示す。
【図8】図8は、<=6,7のグリソン・グレード又はスコアを有する細胞試料における、前立腺癌を治療するための外科的介入後のPSA再発が存在しないカプラン・マイヤー分析からの結果を示す。該結果は、良好な癌再発及び生存結果(再発及び転移による脂肪の低い発生率)の可能性を有する「低」リスク部分母集団及び不良な結果(再発及び転移による脂肪の高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団への分離を示す。試料が、<=6のグリソン・グレード又はスコア、7のスコア、又は>=8のスコアを伴うものに分離される場合、同様の結果が観察された。
【図9】図9は、グリソン・グレード単独に基づく生存曲線を示す。
【図10】図10は、AJCCステージ単独に基づく生存曲線を示す。
【図11】図11は、10年間にわたり、189人の患者を良好な生存結果の可能性(転移による死亡の低い発生率)を有する「低」リスク部分母集団と不良な結果(転移による高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団とに分離するための開示されたリスク・スコア(62の代表的な遺伝子に基づく)を使用した結果を示す。
【図12】図12は、図11の10年間のリスク・スコア対転移の可能性のプロットを示す。グラフに示されるとおり、対象の前立腺癌における0のスコアは、外科的介入後10年間で生じた転移の増加したリスクを示す。
【図13】図13は、PSA再発についての一変量及び多変量分析の使用を概要し、比較する。示されたAJCCステージはII対IIIである。CIは信頼区間を意味する。
【図14−1】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−2】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−3】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−4】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−5】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−6】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−7】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−8】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−9】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−10】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−11】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−12】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−13】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−14】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図15−1】図15は、本明細書に記載される使用のための更なる25遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号及びパフォーマンス情報(z及びp値)は、各々の遺伝子と以下の表3中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。各々の遺伝子の同定情報は、遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表3中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図15−2】図15は、本明細書に記載される使用のための更なる25遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号及びパフォーマンス情報(z及びp値)は、各々の遺伝子と以下の表3中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。各々の遺伝子の同定情報は、遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表3中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【0028】
本発明を実施するための詳細な説明
用語の定義
遺伝子発現「パターン」又は「プロフィール」又は「特徴」は、2以上の前立腺癌又は前立腺切除後、癌再発、転移及び/又は生存結果における2以上の遺伝子(発現配列)の相対的な発現を意味し、その相関する発現は該結果を区別することができる。
【0029】
「遺伝子」又は「発現配列」は、別個の生成物(本質的にはRNA又はタンパク質)をコードし、そして検出可能な様式において発現するポリヌクレオチドである。1以上のポリヌクレオチドは、別個の生成物をコードすることができる。該用語は、染色体位置及び正常な有糸分裂における組換え能力に基づき、同じ生成物をコードする遺伝子又は発現配列の対立遺伝子及び多型、又は機能的に関連する(機能の獲得、喪失又は修飾を含む)その類似体を含む。
【0030】
用語「相関する」又は「相関」又はこれらの相当語句は、2以上の遺伝子の発現と、本明細書に記載される方法の使用により同定される1以上の他の状態を除く前立腺細胞の生理状態の関連性を意味する。遺伝子は高レベル又は低レベルにおいて発現し、そして1又は複数の前立腺癌、又は前立腺切除後の状態若しくは結果に相関する。相関性を表現するための1つの方法は、多様な遺伝子(又は発現配列)の発現のために本明細書に開示されるz値によるものである。z値は、遺伝子(又は発現配列)の発現レベルと、特定の結果、例えば癌再発、癌転移及び/又は経時生存との関連性の強度(strength)又は加重(weight)を示すように見ることができる。該値は、任意に、しかしながら一貫して、それぞれ発現の過剰又は不足を示す正符号又は負符号(+/−)を有する。該符号は任意であるため、これらの指定は、悪影響を与えることなく、容易に(しかしながら一貫して)逆にすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、強度(又は加重)は、標準化(例えば、相対的に一定レベルにおいて発現する参照遺伝子の発現に対する)後、与えられた遺伝子(又は発現配列)の発現レベルで乗じられ、遺伝子(又は配列)の発現の値又はスコアを供する。多くのケースにおいて、該発現データは、更なる使用、例えばクラスタリング及び判別分析の前に、当業者に知られるように標準化され、中央化され、そしてlog変換される。1以上の発現レベルが(遺伝子発現プロフィール又はパターンのケースとして)使用される場合、該値又はスコアは合計され、その後相関を評価するため、あるいは相関に基づく分類を行うために総合値として分析される。
【0032】
「ポリヌクレオチド」は、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態であって、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかである。該用語は、分子の一次構造のみを意味する。したがって、該用語は、二本鎖−及び一本鎖DNA及びRNAを含む。これはまた、既知のタイプの修飾、例えば当業界に既知の標識、メチル化、「キャップ」、1又は複数の天然ヌクレオチドの類似体による置換、及びヌクレオチド内修飾、例えば非荷電リンケージ(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、ならびにポリヌクレオチドの未修飾ポリヌクレオチドを含む。
【0033】
用語「増幅する」は、広い意味で用いられ、増幅産物の作成がDNA又はRNAポリメラーゼにより酵素的に行うことができることを意味する。本明細書において使用される「増幅」は、一般に、所望の配列、特に試料の配列の複数のコピーを産生する方法を意味する。「複数のコピー」は少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、鋳型配列と完全に相補的又は同一の配列を必ずしも意味しない。
【0034】
用語「対応する」は、適当な場合には、核酸分子が他の核酸分子と相当量の配列同一性を共有することを意味してよい。相当量は、少なくとも95%、通常少なくとも98%、そしてより一般的には少なくとも99%を意味し、そして配列同一性は、Altschul et al. (1990), J. MoI. Biol. 215:403-410に記載されるとおり(公開された初期設定、すなわちパラメーター、w=4、t=17を使用する)、BLASTアルゴリズムを使用して決定される。mRNAを増幅するための方法は、当業界に一般に知られており、逆転写PCR(RT−PCR)及び米国特許出願第10/062,857号に記載されるもの(2001年10月25日出願)、ならびに米国仮特許出願第60/298,847号(2001年6月15日出願)及び第60/257,801号(2000年12月22日出願)に記載されるものを含み、これら全ては参考として本明細書中にその記載された全てが組み込まれている。使用することができる他の方法は、定量PCR(又はQ−PCR)である。あるいは、RNAは当業者に既知の方法により対応するcDNAとして直接標識することができる。
【0035】
「マイクロアレイ」は、別個の領域の直線的又は二次元的なアレイであり、各々は、固形支持体、例えば、制限されることなく、ガラス、プラスチック又は合成膜の表面上に形成され、一定の範囲を有する。マイクロアレイ上の別個の領域の密度は、単一の固相支持体の表面上で検出される固定化ポリヌクレオチドの総数により決定され、いくつかの実施形態においては、例えば、少なくとも約50/cm2、少なくとも約100/cm2、少なくとも約500/cm2であるが、約1000/cm2以下である。該アレイは、合計で、約500以下、約1000、約1500、約2000、約2500又は約3000の固定化ポリヌクレオチドを含んでよい。本明細書において使用される場合、DNAマイクロアレイは、試料由来の増幅又はクローン化したポリヌクレオチドにハイブリダイズするために使用されるチップ又は他の表面上に置かれたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドのアレイである。該アレイ中のポリヌクレオチドの各々の特定の群の位置は既知であるため、試料ポリヌクレオチドの同定は、該マイクロアレイ中の特定の位置に対するこれらの結合に基づき決定することができる。
【0036】
本明細書の開示は、過剰又は不足して発現される遺伝子(又は発現遺伝子)の同定に依存するため、本発明の開示の実施形態は、試料細胞のmRNA又はその増幅もしくはクローン化バージョン(例えば、DNA又はcDNA)の特定の遺伝子配列にユニークなポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションにより、発現を決定することを含む。このタイプのポリヌクレオチドは、他の遺伝子配列には見られない、少なくとも約20、少なくとも約22、少なくとも約24、少なくとも約26、少なくとも約28、少なくとも約30又は少なくとも約32の遺伝子配列の連続した塩基対を含む。上記において使用される用語「約」は、言及した数値から1の増加又は減少を意味する。他の実施形態は、少なくとも又は約50、少なくとも又は約100、少なくとも又は約150、少なくとも又は約200、少なくとも又は約250、少なくとも又は約300、少なくとも又は約350、又は少なくとも又は約400の、他の遺伝子配列には見られない遺伝子配列の塩基対のポリヌクレオチドを使用できる。上記において使用される用語「約」は、言及した数値から10%の増加又は減少を意味する。このようなポリヌクレオチドはまた、本明細書に記載される遺伝子又はそのユニークな部分の配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブを意味してもよい。多くのケースにおいて、ハイブリダイゼーション条件は、約30%v/v〜約50%のホルムアミド、及び約55〜約65℃又はそれ以上における、約0.01M〜約0.15Mのハイブリダイゼーションのための塩、及び0.01M〜約0.15Mの洗浄のための塩の条件のストリンジェント条件、あるいはこれらと同等の条件である。
【0037】
他の実施形態において、配列番号1〜362と同一の発現配列とハイブリダイズする他のプローブを使用することができる。これらの更なるプローブは、配列番号1〜362により検出された発現配列の分析によって調製又は選択することができる。本明細書の開示において使用するための、このような更なるポリヌクレオチドプローブは、使用される遺伝子配列と約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の同一性を有してよい。同一性は、上記のとおり、BLASTアルゴリズムを使用して決定される。これらの更なるプローブはまた、上述のストリンジェントな条件又はそれと同等の条件下において、本明細書の開示の発現遺伝子及び配列とハイブリダイズするための能力に基づき記載されてよい。
【0038】
多くのケースにおいて、該配列は、該遺伝子、mRNAに対応するcDNA、及びこれらの配列の増幅バージョンによりコードされるmRNAのものである。本明細書の開示のいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドプローブは、アレイ、他のデバイス、又はプローブが1又は複数のする個々のスポットに固定化される。多くの実施形態において、該プローブは、3’未翻訳領域の一部を含む遺伝子(又は発現配列)の領域に関する。いくつかのケースにおいて、該領域は、ポリアデニル化シグナル又はポリアデニル化mRNAの約100、200、300、400、500、600、700、800又は900又はそれ以上のヌクレオチド内にある。
【0039】
あるいは、本発明の開示の他の実施形態において、遺伝子発現は、細胞試料中の個々の遺伝子産物(タンパク質)1又は複数のエピトープに特異的な1又は複数の抗体の使用により、注目の細胞試料中の発現タンパク質の分析によって決定することができる。このような抗体は、遺伝子産物に結合後、簡単な検出を許容するために標識化することができる。
【0040】
用語「標識」は、標識された分子の存在の指標となる検出可能なシグナルを産生することが可能な組成物を意味する。適当な標識は、ラジオアイソトープ、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発酵部分、磁性粒子、生物発光部分等を含む。例えば、標識は、分光的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段により検出可能ないずれかの組成物である。
【0041】
用語「支持体」は、慣習的な支持体、例えばビーズ、粒子、ディップスティック、ファイバー、フィルター膜及びシラン又はケイ酸支持体、例えばガラススライドを意味する。
【0042】
本明細書において使用される「前立腺組織試料」又は「前立腺癌細胞試料」は、個人、例えば前立腺癌に罹患している者から単離された前立腺組織の試料を意味する。該試料は、前立腺切除、例えば前立腺全摘出術を介して除去された物質に由来してよい。あるいは、これらは、他の手段、例えばニードル(コア)生検又は他の生検技術、例えば外側生検、慣習的な六カ所生検法、拡張技術として六カ所生検及び外側生検の異なる組み合わせ、経直腸超音波誘導前立腺生検、及び当業者に既知の他の手段によって得られる。このような試料は主に単離物(培養細胞に対比する)であり、そして当業界に認識されるいずれかの適当な方法により回収できる。いくつかの実施形態において、「試料」は、侵襲的方法、例えば制限されることなく、外科的生検により回収することができる。試料は、当業者に所望される機知の方法又は他の適当な方法によって単離される前立腺癌細胞を含んでよい。単離方法は、制限されることなく、本明細書の開示に従う使用の前の顕微解剖、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)、又はレーザー・マイクロダイセクション(LMD)を含む。
【0043】
「発現」及び「遺伝子発現」は、核酸材料の転写及び/又は翻訳を含む。
【0044】
本明細書において使用される「含んで成る」の用語、及びその同義語は、包括的な意味において使用される:すなわち用語「含む」及びその同義語と同じである。
【0045】
ある事象が発生することを「許容する」条件、又はある事象が生じるために「適当な」条件、例えばハイブリダイゼーション、鎖伸張等に適当な条件は、このような事象が生じることを妨害しない条件である。したがって、これらの条件は、該事象を許容し、増強し、促進し、そして/あるいは誘導する。当業者に既知であり、本明細書に記載されるこのような条件は、例えばヌクレオチド配列の性質、温度及び緩衝液の条件に依存する。これらの条件はまた、どのような事象が所望されているか、例えばハイブリダイゼーション、切断、鎖伸張又は転写に依存する。
【0046】
本明細書において使用される配列「突然変異」は、参照配列と比較して注目の本明細書に開示される遺伝子の配列におけるいずれかの変化を意味する。配列突然変異は、例えば置換、欠失、又は挿入による、配列中の単一のヌクレオチド変化又は1以上のヌクレオチド変化を含む。単一のヌクレオチド多型(SNP)もまた、本明細書において使用される配列突然変異である。本発明の開示は、遺伝子(又は配列)発現レベルに基づくため、本明細書に開示される遺伝子の非コードの制御領域中の突然変異は、本明細書の開示の実施においてアッセイすることができる。同様に、「検出可能な程度に多い」生成物は、直接又は間接的に観察されるいずれかの増加を含む。
【0047】
「検出」は、検出するためのいずれかの手段、例えば遺伝子発現のその変化の直接的及び間接的な検出を含む。例えば、「検出可能な程度に少ない」生成物は、直接的又は間接的に観察することができ、そして該用語は、いずれかの減少(検出可能なシグナルの不存在を含む)を意味する。同様に「検出可能な程度に多い」生成物は、直接的又は間接的に観察されるいずれかの増加を意味する。
【0048】
前立腺切除は、当業者、例えば外科医による前立腺組織の除去を意味する。制限のない例は、前立腺全摘出術;オープン(伝統的な)前立腺切除(会陰を介する切開に関する);腹腔鏡前立腺切除;及びロボット(神経温存)前立腺切除を含む。
【0049】
グリソン・スコアは、グリソン・システムの経験のある病理学者による前立腺癌の試料の等級付け(grading)を意味し、これは正常な前立腺組織と比較した前立腺組織の試料の細胞における類似性に基づく1〜5の数字を用いてグリソン・スコアを与える。正常な前立腺組織と極めて類似する組織は1のスコア又はグレードが与えられ、一方正常なプロフィールを喪失し、そして該細胞が前立腺にでたらめに広がっているような組織は5のスコア又はグレードが与えられる。2〜4のスコア又はグレードは、包括的に、これらの可能性におけるプロフィールを有する。しかしながら、前立腺癌は異なるスコア又はグレードを伴う領域を有しうるため、ほとんどの組織を網羅する2つの領域に対して別々のスコア又はグレードが与えられる。該2つのスコア又はグレードが合計され、2〜10のグリソン・スコア(又はグリソン合計)が作成される。
【0050】
別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当業者が慣習的に理解するものと同じ意味を有する。
【0051】
概要
本明細書の開示は、1993〜1995年に達成されたFFPE組織由来の前立腺癌試料の別々のトレーニング及びテスト・セットを使用することによる、前立腺血清抗原(PSA)再発の遺伝子(又は配列)発現に基づく予測の発見に一部基づく。該試料は、長期間追跡した患者、例えば試料が得られた、術後少なくとも10年間疾患の証拠を伴わない患者(NED)及びその後再発(例えば遠隔転移)に発展した患者に由来する臨床データに関する。62、92、337及び362遺伝子(又は発現配列)(異なる癌タイプ中に高度な動的発現(又は発現レベルにおけるバリエーション)を伴う約1536遺伝子の出発セットに由来する)を、試料のRNAに基づく発現プロファイリングを介して同定した。これらの遺伝子の発現レベルは、本明細書に記載されるPSA再発及び臨床結果と相関し、したがって本明細書に開示される予測因子として使用することができる。同定された遺伝子は、細胞機能、例えば細胞周期、血液凝固、創傷治癒、転写制御及びアポトーシスに関与することが報告されている。
【0052】
開示される遺伝子発現パターン(プロフィール)の予測能力は、グリソン・スコア及びAJCC腫瘍ステージに相関する。これはまた、術前PSAレベルと一致する。該プロフィールはまた、<=6及び7のグリソン・スコアを有する試料をPSA再発の低リスク及び高リスクに階層化するための能力を有する。既知の予測因子による多変量分析において、該プロフィールは、統計的な有意性(p<0.05)を維持する唯一の予測因子であった。したがって、生検又は前立腺切除において除去された組織におけるプロフィールの検出は、無痛性の進行癌を区別することを許容する。
【0053】
本明細書の開示は、対象における前立腺癌生存及び再発結果を区別する(又は相関する)遺伝子発現パターン(又はプロフィール)の同定及び使用を含む。このようなパターンは、いくつかの参照細胞又は組織試料、例えば前立腺癌の病理学における当業者によって検査されたもの、を使用して本明細書に開示される方法によって決定することができ、これは正常又は他の非癌細胞とは対照的に、前立腺癌細胞を示す。試料由来の対象により経験される結果は発現データと相関し、結果に相関するパターンを同定することができる。全ての遺伝子発現プロフィールは、人、癌、癌細胞によって異なるため、一定の細胞と発現した、あるいは発現下にある遺伝子の相関は、本明細書に開示したとおり行い、前立腺癌結果を区別することができる遺伝子を同定できる。
【0054】
遺伝子及び配列の同定及び記載
本明細書の開示は、前立腺癌、又は前立腺切除後の結果、例えば0.2ngの術後PSA上昇(「PSA再発」)に関して特異的に発現することが発見された2以上のいずれかの開示された遺伝子(発現遺伝子)により実施することができる。該同定は、多様な均一な前立腺癌細胞群の発現プロフィールを使用して行った。発現プロフィールの各々の遺伝子の発現レベルは、特定の結果に相関することができる。あるいは、2以上の遺伝子(発現配列)の発現レベルは、クラスター(組み合わせ)化し、そして特定の結果の相関に基づき使用することができる。結果の例は、制限されることなく、遠隔転移、例えばリンパ節又は骨への転移、又は化学治療又は放射線治療又は凍結治療を追跡する必要性を含む。さらなる実施形態において、該発現プロフィールは、対象又は患者を「静観」と「さらなる治療が必要」の異なる予後に分類するために使用することができ、後者の場合には、前立腺癌/腫瘍を除去する手術を超えて、ネオアジュバント又はアジュバント治療を含む。したがって、開示される方法は、前立腺癌管理として使用することができる。
【0055】
前立腺癌(又は前立腺切除後)生存、転移又は再発結果に対する有意な相関性を有する遺伝子は、結果を区別するために使用される。あるいは、有意な相関性を有する遺伝子は、結果を区別する能力の有意な喪失を伴わずに開示される発現パターン又はプロフィールを形成するための低い相関性を有する遺伝子との組み合わせにおいて使用することができる。このような組み合わせ(又は発現パターン)は、当業界に認識されるいずれかの適当な手段、例えば制限されることなく、クラスター分析、支持されたベクトル機械、ニューラル・ネットワーク又は当業界に既知の他のアルゴリズムによって選択及び試験することができる。該パターン又はプロフィールは、該モデルにおける区別のために使用される遺伝子の発現に基づき、未知の試料の分類を予測することができる。「Leave one out」クロス−バリデーションは、多様な組み合わせの性能を試験するため、そして組み合わせの予測能力に対して情報が不足しかつ有害な加重(発現遺伝子又は配列)を同定するのを助けるために使用することができる。クロス−バリデーションはまた、遺伝子又は配列を同定するために使用することができ、その発現は該モデルの予測能力を増強する。
【0056】
特に前立腺癌又は前立腺切除後の結果に相関するように発現した開示される遺伝子(配列)は、遺伝子発現分析を、異なる結果における対象を分類するための能力に寄与するこれらの遺伝子のみに焦点を当てる能力を供する。前立腺癌細胞中の他の遺伝子の発現は、相対的に関連する情報を供することができず、したがって前立腺癌結果の異なる予後(又は区別)を支援しうる。
【0057】
当業者に理解されるとおり、該組み合わせ(発現パターン又はプロフィール)は、参照遺伝子発現データの少数のセットに基づく場合であっても極めて有用であり、正確性における増加は追加的なデータに従い減少するように見えるが、追加的な参照データの含有によりますます正確性が増す。前立腺癌又は前立腺切除後の異なる結果を区別するために同定され、本明細書において開示される遺伝子を使用する追加的な参照遺伝子発現データの同定はルーチンであり、当業者によって容易に行うことができ、上述のモデルを産生することを許容し、これらの遺伝子の発現レベルに基づき未知の試料の状態を予測することができる。
【0058】
本発明の開示は、図14中の以下の遺伝子における発現配列を含む。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】
アッセイ方法
本明細書の開示の実施における遺伝子(発現配列)の(増加又は減少した)発現レベルを測定するために、当業界に既知のいずれかの方法を利用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書において同定され、開示される遺伝子(プローブ配列)とハイブリダイズするRNAの検出に基づく発現が使用される。これは、当業界に知られる、又は同等であると認められる、いずれかのRNA検出又は増幅+検出方法、例えば制限されることなく、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、米国特許出願第10/062857(2001年10月25日出願)に開示される方法、ならびに米国仮特許出願第60/298847号(2001年6月15日出願)及び第60/257801号(2000年12月22日出願)、及びRNA安定化又は不安定化配列の存在又は不存在を検出するための方法により、容易に行われる。
【0071】
あるいは、DNA状態の検出に基づく発現を使用することができる。メチル化又は欠失として同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の前立腺癌又は前立腺切除後の結果と相関する減少する発現を有する遺伝子のための使用することができる。これは、当業界に既知のPCRに基づく方法、例えば制限されることなくQ−PCRにより、容易に行うことができる。反対に、増幅として同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の前立腺癌又は前立腺切除後の結果と相関する増加する発現を有する遺伝子のために使用することができる。これは、当業界に既知のPCRに基づく蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)及び染色体in situハイブリダイゼーション(CISH)法により、容易に行うことができる。
【0072】
タンパク質レベル又は活性の存在、増加又は減少の検出に基づく発現もまた使用できる。検出は、当業界に知られている、あるいはタンパク質の検出に適当であると認識されている、免疫組織化学(IHC)に基づく方法、血液に基づく方法(特に分泌タンパク質)、抗体(タンパク質に対する自己抗体を含む)に基づく方法、剥脱細胞(癌由来)に基づく方法、質量分析に基づく方法、及びイメージ(標識リガンドの使用を含む)に基づく方法により行うことができる。抗体及びイメージに基づく方法は、癌細胞の起源が知られていない場合、非侵襲的手順(例えば洗浄又は針吸引)により得られた細胞の使用によって癌の決定後に腫瘍の位置を特定するために有用である。標識抗体又はリガンドは、患者内の癌の位置を特定するために使用できる。
【0073】
発現を決定するための核酸に基づくアッセイを使用する1実施形態は、固形支持体、例えば制限されることなく、当業界に既知のアレイ又はビーズとしての固形基質又はビーズに基づく技術における、本明細書においてポリヌクレオチドとして同定された遺伝子の1又は複数の配列の固定化によるものである。いくつかの実施形態において、該アッセイは、Illuminaから入手可能なDASL(cDNA媒介アニーリング、選択、伸張及びライゲーション)アッセイである。あるいは、当業界に既知の溶液に基づく発現アッセイもまた使用できる。
【0074】
固定化ポリヌクレオチドプローブは、該ポリヌクレオチドが遺伝子(又は発現配列)に対応するDNA又はRNAに対してハイブリダイズすることが可能なように、開示される遺伝子(又は発現配列)に特有的又は特異的であってよい。これらのポリヌクレオチドは、該遺伝子(又は発現配列)の完全長であっても、あるいは任意的な遮断が少ない(例えばミスマッチ又は挿入された非相補的な塩基対による)、これらと該遺伝子(又は発現配列)に対応する関連DNA又はRNAとのハイブリダイゼーションは影響を受けないような、より短い長さ(該配列の5’又は3’末端からの欠失により当業界に既知の完全長配列よりも最大1つのヌクレオチドだけ短い)のプローブであってよい。多くの実施形態において、ポリヌクレオチドプローブは、開示される遺伝子又は発現配列の3’末端からの配列を含む。また、開示される遺伝子の配列に関連する突然変異を含むポリヌクレオチドプローブは、該突然変異の存在がなお検出可能なシグナルを産生するようなハイブリダイゼーションを許容する限り、使用することができる。
【0075】
固定化ポリヌクレオチドは、試料の対象(例えば試料が得られた患者)の結果が知られていないか、あるいは試料の対象にすでに与えられた結果を確認するため、試料前立腺細胞から調製された核酸試料の状態を決定するために使用することができる。本明細書の開示を制限することなく、このような細胞は、前立腺癌を有する患者に由来するもの、例えば前立腺切除によって除去された材料であってよい。固定化ポリヌクレオチドは、適当な条件下において試料由来の対応する核酸分子に特異的にハイブリダイズすれば十分である。単一の相関する遺伝子の発現は、2つの前立腺癌結果における区別において適当な正確性を提供することができるが、本明細書の開示は、1以上の遺伝子又は発現配列からの発現レベルの使用を含む。
【0076】
したがって、本発明の開示は、結果を区別するために、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、又は11以上の本明細書に開示される遺伝子又は発現配列の使用を含む。更に、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、32以上、34以上、36以上、38以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、62以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、又は92以上の遺伝子又は発現配列の発現レベルを開示された方法においてアッセイし、使用することができる。当然に更なる実施形態は、本明細書に開示されるとおり、表1及び図14の各々において100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、最大337、あるいは合計362遺伝子(又は発現配列)の使用を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、62のセット又は92のセットの遺伝子(発現配列)が使用される。他の実施形態において、使用される遺伝子(又は発現配列)は、表1及び図14中の337のセットに由来し、あるいはこれら由来の遺伝子と表3及び図15中のものとの組み合わせである。多くのケースにおいて、使用される遺伝子(又は発現配列)の組み合わせ又はセットは、遺伝子番号1(FEV)又は配列番号1とハイブリダイズする発現配列を含む。更なる実施形態において、組み合わせはp値<0.0001の相関性を伴い発現した1又は複数の遺伝子又は発現配列を含む。
【0078】
あるいは、組み合わせは、本発明に開示される発生の高い頻度を伴う遺伝子又は発現配列を含む。このような遺伝子又は発現配列の制限されない例は、本明細書に開示されるとおり、400以上、350以上、300以上、250以上、200以上、150以上、又は100以上の頻度を有するものである。しかしながら、当然に、より高い頻度を伴う1又は複数の遺伝子(又は配列)とより低い頻度を伴う1又は複数の遺伝子(又は配列)との組み合わせもまた使用できる。
【0079】
2又は数個の遺伝子しか分析されない実施形態においては、前立腺癌細胞試料由来の核酸は、分析すべき僅かな遺伝子が増幅され、試料中の他の発現遺伝子又は配列由来のバックグランドシグナルのコンタミネーションが低下するように、好ましくは適当なプライマー(例えばPCRにおいて使用される)の使用によって増幅することができる。開示されるPCRアンプリコンのサイズは、例えば少なくとも又は約50、少なくとも又は約100、少なくとも又は約150、少なくとも又は約200、少なくとも又は約250、少なくとも又は約300、少なくとも又は約350、又は少なくとも又は約400の連続ヌクレオチドであり、使用されるPCRプライマーに相補的な部分を含有する全てを含む。当然に、PCRは任意に、逆転写結合PCR(又はRNA出発材料の場合にはRT−PCR)又は定量PCR、例えばリアルタイムPCR、又はこれらの組み合わせであってよい。当然に、本明細書に記載される試料由来のRNAは、当業者に容易に知られる手段によって調製し、使用することができる。
【0080】
あるいは、複数の遺伝子が分析される場合、又は極めて少数の細胞(又は1つの細胞)が使用される場合、試料由来の核酸は、固定化ポリヌクレオチドプローブ、アレイ又はマイクロアレイとのハイブリダイゼーション前に、グローバルに増幅することができる。当然に、RNA又は対応するcDNAは、当業界に既知の方法によって、増幅することなく、直接的に標識し使用することができる。
【0081】
本明細書の開示は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を区別する(又は表す)ための、別個の遺伝子セットの遺伝子発現プロフィールの形態におけるより客観的な基準のセットを提供する。いくつかの実施形態において、該アッセイは、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から10年以内又は約10年後の良好な又は不良な結果を区別するために使用される。約10ヶ月、約20ヶ月、約30ヶ月、約40ヶ月、約50ヶ月、約70ヶ月、約80ヶ月、約90ヶ月、又は約100ヶ月後の結果を区別する比較もまた行うことができる。
【0082】
良好な及び不良な癌の再発、転移及び/又は生存結果は、互いの比較において相対的に定義することができるが、「良好な」結果は、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から約60ヶ月後における、癌再発の50%の可能性及び/又は生存の50%の可能性よりも優れたものとして評価することができる。「良好な」結果はまた、外科的介入後約60ヶ月目の、約60%、約70%、約80%又は約90%の癌再発及び/又は生存の可能性よりも優れたものであってよい。「不良な」結果は、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から約60ヶ月後における、50%以上の癌再発の可能性、及び/又は50%以下の生存の可能性として評価することができる。
【0083】
また、開示された方法は、固形組織材料と共に使用することができる。例えば、固形生検は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を決定するために本明細書において同定された2以上の遺伝子又は発現配列の発現の視覚化、及びその後の決定のために回収し、調製することができる。1つの手段は、前記遺伝子の発現をアッセイするための、ポリヌクレオチド又はタンパク質同定プローブとのin situ ハイブリダイゼーションの使用によるものである。
【0084】
いくつかの実施形態において、試料由来の遺伝子発現の検出は、利便性及び正確性のために本明細書に開示されるいくつか又は全ての遺伝子からの遺伝子発現をアッセイすることが可能な単一のマイクロアレイの使用によるものである。
【0085】
更なる実施形態
本明細書に開示される他の用途は、更なる研究又は実験のために、特定の前立腺癌生存又は再発結果と相関する前立腺癌細胞試料を同定するための能力を提供することである。これは、客観的な遺伝子又は分子基準に基づく細胞の同定を必要とする多くの場合において特別な利点を提供する。
【0086】
本明細書に開示される方法における使用のための材料は、周知の手順に従い製造されるキットの調製に理想的である。したがって、本明細書の開示は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を同定するための開示された遺伝子及び配列の発現を検出するための薬剤を含んで成る。このようなキットは、該薬剤と共に、本明細書に開示される方法におけるこれらの使用に関連する記載又はラベル又は指示書を任意に含んで成る。このようなキットは、該方法に有用な1以上の多様な試薬(典型的には濃縮形態)を各々伴う容器を含んでよく、予め組み立てられたマイクロアレイ、バッファー、適当なヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTP及びdTTP;又はrATP、rCTP、rGTP及びUTP)、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、及び本明細書に開示される1又は複数のプライマー・コンプレックス(例えば、RNAポリメラーゼと反応性のプロモーターと連結した適当な長さのポリ(T)又はランダム・プライマー)を含む。指示書のセットもまた典型的には含まれる。
【0087】
また、本明細書の開示において提供される方法は、全体又は一部が自動化されていてよい。本明細書の開示の全ての態様はまた、細胞含有試料を介する前立腺癌再発、転移及び/又は生存結果の同定とは無関係な材料を除外して、開示された遺伝子のサブセットから本質的に成るように実施されていてよい。
【0088】
本明細書において一般的な開示が適用されているが、実例によって提供される以下の実施例を参照することによって、より容易に理解できるものと考えられる。なお、特定されていない限り、本明細書の開示を制限することは意図されない。
【実施例】
【0089】
例I:臨床検体回収及び臨床病理学的パラメーター
1993年〜1995年における前立腺全摘除術からのPSA及び他の患者結果データを伴う前立腺試料を、発現レベルが臨床的前立腺癌又は前立腺切除後の結果に相関する遺伝子(発現遺伝子)のセットを発見するために用いた。他の試料は、同定した遺伝子セットの予測的又は予知的な能力を試験又は検証するために用いた。
【0090】
該試料に対応する患者プロフィールの特徴を表2に示す。
【表12】
【0091】
この同定のために患者試料を使用する方法は、図1で図式的に説明される。端的には、210の初期セットから191の患者試料を選択した。この191の試料をトレーニング・セット(124試料)とテスト・セット(67試料)に分け、ここで前者は、Random ForestsTMアルゴリズムを介して遺伝子セットを同定するために使用した。該アルゴリズムを使用して得られた500の独立ラン(遺伝子セット)を伴う代表的な結果を、セット中の遺伝子(発現配列)数と未調整P値のログ値のプロット(ログ・ランク・テストに相当する)として図2に示す。図2は、これらの500セットのパフォーマンスを示し、これは多数の遺伝子(発現配列)及び観察された未調整P値により示される有意性を伴い、癌再発及び/又は転移の高い又は低いリスクとして正確に試料(及び患者)を分類するための能力を含む。500セット中の遺伝子(発現配列)は、上記表1及び図14に概要される337のユニークな(複製のない)核酸分子を反映する。
【0092】
上記アルゴリズムによって生じた34遺伝子の7セットを調査し、そして上記表1に同定されている62の非複製分子を反映することが発見された(「62のセット」の列を参照のこと、これは遺伝子番号(配列番号に対する比較)及び337のエントリー中の発生頻度を介して図14と相互参照することができる)。これらの62遺伝子(発現配列)の発現レベルは、制限のない遺伝子セットの代表的な例として本明細書において議論されており、図2及び本明細書に示される追加的なセットを含む。前立腺癌細胞試料中の62遺伝子の発現レベルは、図1に示されるテスト・セットにおける結果のリスク指標(予測因子)として使用した。
【0093】
例II:異なる患者結果を伴うサブタイプの同定
遺伝子選択は、結果を予測した遺伝子を同定するために124の試料のトレーニング・セットと共に使用した。その後、同定した遺伝子を癌細胞の単離による67の試料のテスト・セットにおける結果を予測するために使用した(図3A及び3Bを参照のこと)。予測された結果を、試料が得られた患者について実証された結果と比較した。
【0094】
代表的な例として、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブを、例えばマイクロアレイ上に固定し、その後1×ハイブリダイゼーション緩衝液中65℃の共ハイブリダイゼーション反応において、Cy5−標識化試料RNA及びCy3−標識化参照RNAとハイブリダイズさせる。固定化標識を、0.1×SSC/0.005% Triton X−102により37℃で洗浄する。イメージ分析ソフトウェアを用いてイメージ分析を行う。強度依存性非線形回帰を用いて粗Cy5/Cy3比を標準化する。
【0095】
全試料からの標準化したCy5/Cy3比を、各々の遺伝子について中央化(又は平均化)する。適当なソフトウェア、例えばCox回帰分析及びRandom ForestsTMを用いて異なる遺伝子発現の有意性についての同定及び並び替えテストを行う。診断データから疾患を伴わない生存を計算する。事象を一次再発又は遠隔転移としてスコア化する。生存曲線をカプラン−マイヤー評価により算出し、そしてlog−ランク・テストにより比較した。
【0096】
図4〜6は、前立腺癌試料及び患者を評価するために使用された既知の因子との比較における組み合わせとして、本明細書に開示される62の遺伝子セットを用いた代表的なリスク指標(又はリスク・スコア)の成績を示す。該因子は、グリソン・グレード(又はグリソン・スコア)、前立腺癌のためのAJCCステージング系、及び術前(外科的介入前)PSA(前立腺血清抗原)レベルである。これらの比較は、本明細書に開示される遺伝子発現プロフィールがこれらの他因子と相関し、したがって、これらの因子のいずれか1又は複数の組み合わせにおいて、あるいは単独で使用し、各々のこれらの因子によって提供される情報を概括できることを示す。
【0097】
該62遺伝子(発現配列)の発現レベルはまた、トレーニング・セットの124試料及びテスト・セットの67試料を「高」及び「低」リスク分類に分けることができることが見出された(図7を参照のこと)。
【0098】
例III:異なる前立腺癌グレードにおけるサブタイプの同定
図7との組み合わせにおいて、図4は、代表的な62遺伝子の発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)が、グリソン・グレードと一致する様式において試料(及び患者)を分類するために使用できることを実証する。ここで、グレードが高くなるにつれ、ゼロ値以上のリスク・スコアの可能性がより上昇し、したがって不良な結果のリスクが高くなる。ゼロ値は、セット中の全前立腺癌試料におけるスコアの平均値及び/又は中央値を表す。「高リスク」分類はゼロ以上のリスク・スコアに基づき、そして「低リスク」分類はゼロ以下の値に基づく。結果として、該リスク・スコア(又はリスク指標)は、<=6又は7(あるいは>=8)のグリソン・グレードを伴う試料及び患者を本明細書に記載される「高」及び「低」リスクグループに分類するために使用することができる。図8を参照のこと。
【0099】
これは、該リスク・スコア(又はリスク指標)が、グリソン・グレードの使用とは独立して、試料及び患者を分類するために使用できることを実証する。あるいは、2つの分析は、任意の順番で一緒に使用することができる。例えば、グリソン・グレードの決定後、<=6又は7(あるいは>=8)のグレードを伴う試料(及び患者)におけるリスク・スコアが決定される。
【0100】
該併用は、適当な又は更なる臨床治療、例えば当業者に既知の化学治療、放射能治療、又は凍結治療のための高リスクの対象を「決定(rule in)」し、そして所望されない副作用を伴う治療を不必要にしないように低リスクの対象を「除外(rule out)」するために特に有利である。
【0101】
例IV:異なる前立腺癌ステージにおけるサブクラスの同定
図7との組み合わせにおいて、図5は、代表的な62の遺伝子セットの発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)が、AJCC前立腺癌ステージと一致する様式において試料(及びその患者)を分類するために使用できることを実証する。ここで、ステージIIIは、ゼロ値以上のリスク・スコアとより相関するようであり、そして不良な結果のより高いリスクが存在する。ゼロ値はまた、セット中の全前立腺癌試料におけるスコアの平均値及び/又は中央値を表す。「高リスク」グループはゼロ以上のリスク・スコアに基づき、そして「低リスク」グループはゼロ以下の値に基づく。結果として、該リスク・スコア(又はリスク指標)は、AJCCステージII又はIII分類を伴う試料及びその患者を、本明細書に記載される「高」及び「低」リスクグループに分類するために使用することができる。
【0102】
これは、該リスク・スコア(又はリスク指標)が、AJCCステージ評価の使用から独立して、試料及びその患者を分類するために使用できることを実証する。あるいは、2つの分析は、任意の順番で一緒に使用することができる。例えば、AJCCステージの決定後、ステージII又はIII前立腺癌を伴う試料(及びその患者)におけるリスク・スコアが決定される。
【0103】
該併用は、熟練した臨床医に既知の適当な臨床治療のための高いリスクの対象を「決定(rule in)」し、そして所望されない副作用を伴う治療を合理的に回避するため低リスクの対象を「除外(rule out)」するために特に有利である。併用はまた、「静観」に適した患者又は対象の分類を変更することができる。
【0104】
例V:術前PSA分析との比較
上記グリソン・グレード及びAJCCステージ分析は共に前立腺癌細胞試料の使用を必要とするが、代表的な62の遺伝子セットの発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)の図6における一貫性は、上述のリスク・スコアとの組み合わせにおいて術前PSA値を考慮すべきことを示す。該組み合わせは、順番に、例えば術前PSA値の決定後、30以上、25以上、20以上、15以上、10以上又は5以上のPSA値を有する試料(及びその患者)のリスク・スコアを決定する。
【0105】
例VI:Cox回帰分析による遺伝子の同定
92遺伝子(又は発現配列)を同定するためにCox回帰分析を使用した。その発現レベルは、上述のとおり、前立腺癌細胞含有試料を同定することが可能である。これらの92遺伝子(又は発現配列)中67遺伝子は、図14及び表1の337遺伝子(又は発現配列)と共通する(図14又は表1の「Cox92」列を参照のこと。これは遺伝子番号(対配列番号)及び頻度により互いに相互参照させることができる)。92遺伝子中の残りの25遺伝子(又は発現配列)を図15及び以下の表3に挙げる。これは、遺伝子番号(配列番号との比較における)、ならびにz及びp値により、互いに相互参照させることができる。
【0106】
【表13】
【0107】
本明細書に引用される全ての参考文献、例えば特許、特許出願及び公報は、予め具体的に組み込まれているかにかかわらず、その全てが参考により本明細書に組み込まれている。
【0108】
このたび、本発明は十分に記載されているため、当業者は、本明細書の開示の精神の範囲を離れることなく、かつ過剰な実験をすることなく、同等のパラメーター、濃度、及び条件の広い範囲において実施することが可能である。
【0109】
本明細書は、具体的な実施形態に関連して記載されているが、更なる改変が可能であることが理解されるものと考えられる。本願は、一般的な開示の原則に従い、本発明のいずれかの変更、使用、又は適合を網羅することを意図し、本発明に属する当業界に既知又は慣習的な実施内の本明細書の開示を離れたものを含み、かつ本明細書に記載される本質的な特徴に適用されることができる。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年2月23日(12ヶ月後の2008年2月23日は土曜日で祝日である)に出願した米国仮出願第60/891,477号の優先権の利益を主張し、記載された全てが参考として本明細書中に組み込まれている。
【0002】
開示される分野
本明細書の開示は、前立腺癌に臨床的に関連する遺伝子(又は配列)発現プロフィール又はパターンの同定及び使用に関する。特に、本明細書の開示は遺伝子又は発現配列の同定に基づき、その発現は患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生に関係する。該遺伝子発現プロフィール(核酸発現、タンパク質発現、又は他の発現型を包含する)は、前立腺癌に罹患する患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生を予測するために使用することができる。また、該プロフィールは前立腺癌細胞及び組織の研究及び/又は診断において、ならびに患者の予後の診断及び/又は決定のために使用することができる。診断や予後診断のために使用される場合、該プロフィールは、平均余命、癌再発、及び/又は癌転移の可能性に基づき、前立腺癌の処置を決定するために使用される。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌は、米国人男性に最も一般的に診断される癌であり、毎年、およそ240,000人の新たに診断される患者及び40,000人の癌死亡者を伴う。前立腺癌を診断し、管理することは、分子や遺伝子レベルにおける癌の知識が不足しており、また自然疾患進行の理解についても不良なことから臨床的に極めて困難である。
【0004】
研究用途に利用可能な前立腺癌組織検体、特に病理学的に十分に特徴づけられており、RNA及びタンパク質研究のために適当に保存されており、かつ患者の臨床的、病理学的及び追跡情報に関連する検体は資源として不十分であるため、前立腺癌の研究は制限されている。
【0005】
前立腺癌、例えばT2前立腺癌の治療のいくらかのケースにおいては、外科的治療が用いられる。しかしながら、一部の患者は治療に失敗する恐れがある。これは、化学的失敗(chemical failure)(手術から1年後のPSAの評価)又は転移の進行(一般に、リンパ節及び骨における)によって判定される。PSA再発(PSA failure)、前立腺癌の再発、及び/又は転移の進行に遭遇する術後患者を同定又は予測するための能力は、患者に複数の利益を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の開示は、前立腺癌に臨床的に関連する遺伝子(又は配列)発現パターン(又はプロフィール又は「特性」(signature))の同定及び使用を含む。遺伝子発現プロフィール(核酸発現、タンパク質発現、又は他の発現型を包含する)は、前立腺癌に罹患する患者の生存、前立腺癌の再発、及び/又は前立腺癌転移の発生を予測するために使用することができる。前立腺切除を含む実施形態において、本明細書の開示は、前立腺癌再発、癌転移及び/又は上昇したPSAレベルの再発の可能性を予測するための方法を含む。
【0007】
ある態様において、本明細書の開示は、前立腺癌に関連する予測情報を提供する遺伝子(又は配列)発現プロフィールを同定し、これらを使用するための方法を含む。該発現プロフィールは、良好又は不良な癌再発、癌転移、及び/又は生存結果を有する患者に相関し、これにより患者を区別することができる。いくつかの実施形態において、本明細書の開示は、前立腺癌に罹患する患者における癌再発及び/又は転移に関する発現プロフィールを同定するための方法を含む。他の実施形態において、本明細書の開示は、患者、例えば前立腺切除後に生じる結果を決定するために同定された発現結果に対して、患者由来の前立腺癌細胞試料中の遺伝子(又は配列)の発現を比較する方法を含む。これらの本明細書に開示される実施形態は、患者が前立腺癌の治療ための手術から利益を得ることができるか、あるいは患者に他の治療を行ったほうが良いのか、あるいは手術に加えてアジュバント処置が必要なのかを予測するための能力のための対処されていない重要な診断の必要性を満足するために有効に用いることができる。
【0008】
手術、例えば前立腺全摘出術から利益を受ける患者の制限されない一例は、本明細書に開示される患者の前立腺癌の発現プロフィールによって、手術後の癌再発及び/又は転移を有さないことが予測される者である。関連する様式において、手術から利益を受けないことが予想される患者の制限されない例は、患者の前立腺癌細胞の発現プロフィールによって、本明細書に開示される手術後の癌転移が発現することが予測される者である。例えば、前立腺癌の再発は同じ場所で生じうるが、転移はしばしば異なる部位又は組織、例えば制限されることなく、リンパ管や骨で生じうる。
【0009】
さらなる実施形態において、前立腺癌細胞を有するか、あるいはその後の前立腺切除後の患者を患者の母集団(population)から患者を同定するための方法は、良好な癌再発及び/又は生存結果(例えば再発又は転移の低いリスク)を有する患者の部分母集団(subpopulation)に属するものとして他の部分母集団に関連するか、あるいは不良な癌再発及び/又は生存結果(再発又は転移の上昇したリスク)を有する部分母集団(subpopulation)に属するものとして他の部分母集団に関連する。したがって、該方法は、少なくとも2つの部分母集団又はサブタイプに区別することができる。
【0010】
本明細書の開示は、本明細書に開示される発現パターンをアッセイすることにより、任意に前立腺切除後の良好な又は不良な癌再発、癌転移、及び/又は生存結果を有するような前立腺癌を有する患者の同定のための非主観的(non-subjective)手段を含む。したがって、主観的解釈(例えば、免疫組織化学染色及び主観的分析)が、前立腺癌患者又は前立腺切除後患者の予後及び/又は治療を決定するために使用されている場合、これは、単独で、あるいは患者の結果、例えば生存及び癌の再発又は転移のより正確な評価を供するための他の(主観的及び/又は客観的な)基準との組み合わせにおいて使用することができる。したがって、本明細書に開示される発現パターンは、前立腺癌、前立腺切除後の予後を決定するための手段を含む。
【0011】
本明細書に開示される発現パターンは、有意な正確性を伴い、前立腺癌又は前立腺切除後の結果において区別できる1以上の遺伝子又は発現配列を含む。遺伝子又は発現配列の発現レベルは、該発現レベルが患者の好ましい治療プロトコルの決定に関する結果に相関するように同定される。したがって、本発明は、本明細書に開示されるとおり、対象由来の試料を含有する前立腺癌細胞を患者の結果に相関する発現レベルについてアッセイすることにより、任意に前立腺切除後の前立腺癌に罹患する対象の結果を決定するための方法を提供する。
【0012】
他の態様において、本明細書の開示は、対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための方法を含む。該方法は対象由来の前立腺癌細胞を含む試料を図14及び15中の遺伝子番号1〜362から選択される2以上の遺伝子の発現レベルについてアッセイし、そして各々の遺伝子の発現レベル又は全体としての集合発現レベルを前立腺癌細胞の母集団の平均発現値又は中央発現値と比較することを含む。その後、この評価は試料が得られた対象の前立腺癌再発及び/又は転移のリスクを決定するために使用することができる。開示された遺伝子(又は発現配列)の発現レベルは、前立腺癌細胞の母集団における発現の平均値又は中央値との比較に基づき、癌再発及び/又は転移の低いリスク、あるいは癌再発及び/又は転移の高いリスクに相関する。換言すれば、本明細書に開示される個々の遺伝子(又は発現配列)は、本明細書に開示される高い又は低いリスクに相関する平均値又は中央値からはずれるように、(前立腺癌細胞母集団における発現の平均値又は中央値と比較して)高い又は低いレベルにおいて発現する。2以上の遺伝子(又は発現配列)における偏差の各々の集積が、本明細書に開示されるパターン又はプロフィール(profile)となる。
【0013】
いくつかの実施形態において、発現レベルについてのアッセイは、本明細書に開示される配列番号1〜362から選択される2以上の核酸プローブを用いて行うことができる。これらのプローブは適当な条件下でハイブリダイズし、そして本明細書に開示される発現配列を検出する。他の実施形態においては、配列番号1〜362と同一の発現配列とハイブリダイズする他のプローブを使用することができる。他の場合において、追加的なプローブ配列は、遺伝子番号1〜362として同定される配列の全て又は一部であってよい。多くの実施形態において、プローブは本明細書に記載される発現配列(又は遺伝子)から増幅した配列の領域を検出するために使用することができる。
【0014】
本明細書に開示される2以上の配列の発現レベルの検出又は測定は、発現プロフィール又は発現特性を検出又は測定することを意味する。本明細書に開示される2以上の配列を含む本明細書に開示される発現パターンは、本明細書に記載されるとおり同定され、使用される。これらの同定のために、前立腺癌細胞を含有する試料中の遺伝子発現レベルの大量のサンプリングは、mRNAの発現レベルを定量することによって得られる。ある実施形態において、本明細書の開示は、単純な生体検査ができないような、コンタミネートした細胞から解離し、あるいは単離又は精製したグローバル又はニアグローバルな単一の細胞又は均一な細胞群を分析することにより、遺伝子(又は配列)発現レベルを検出することを含む。多くの遺伝子の発現は、異なる患者由来の細胞間、ならびに同じ患者の試料由来の細胞間で異なるため、個々の遺伝子配列の発現からの複数のデータが、個々の遺伝子及び配列の同定を順々に許容するモデルを作成するための参照データとして使用され、特に前立腺癌、あるいは前立腺切除後に相関する発現の結果がもたらされる。
【0015】
その後、これらのモデルにおける多様な遺伝子の発現レベルが分析され、前立腺癌又は前立腺切除後の結果に陽性的又は陰性的に相関する核酸配列の発現が同定される。本明細書の開示は、本明細書に記載される結果に相関するように同定される細胞中の発現配列のサブセットである核酸配列を含む。本明細書に開示される発現パターン又はプロフィールは、これらの同定された配列(又は遺伝子)の組み合わせを含む。発現配列の同定のための複数の試料の使用は、前立腺癌の再発、転移及び/又は生存結果に対する遺伝子の相関性についての信頼性を向上させる。十分な信頼性がない場合、特定の遺伝子が実際に結果に相関するのかを予測することはできず、また遺伝子の発現が、前立腺癌、前立腺切除後の対象又は患者の結果を同定するために成功的に使用できるかを予測することもできない。一度同定すれば、予測的なプロフィールについて検出又は評価される発現プロフィールとしての評価のために、開示される遺伝子(又は発現配列)に対応する2以上の核酸配列を選択することができる。
【0016】
他と関連する1つの結果と高度に相関する発現レベルのプロフィールは、対象又は患者由来の試料を含有する前立腺癌細胞をアッセイし、試料が得られた対象の結果を予測することが可能である。このようなアッセイは、同定された結果に基づき、対象の治療処置を決定するための方法の一部として使用することができる。
【0017】
相関した遺伝子は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果との分子発現表現型を的確に相互に関連付けるための能力を向上させるために、(有意な正確性を伴う)ペアで、あるいはより多くのメンバーにおいて使用することができる。該相関性は、本明細書に開示されるとおり、前立腺癌再発、癌転移及び/又は生存結果の分子定量を供する。理論に拘束されることなく、本明細書の開示の理解を改善するために、本明細書に開示される分子定量は、前立腺癌に関する他の分子指標、例えば前立腺血清抗原(PSA)値よりも強力である。相関した発現パターン及びプロフィールの更なる使用は、細胞及び組織の分類;診断及び/又は予後の決定;及び治療の決定及び/又は変更におけるものである。
【0018】
区別するための能力は、関連のある個々の遺伝子配列の発現の同定によって確認され、発現の実際のレベルを測定するために使用されるアッセイの形態によって確認されるものではない。アッセイは、該アッセイが定量的又は定性的に「トランスクリプトーム」(ゲノム中の遺伝子の転写されたフラクション)又は「プロテオーム」(ゲノム中の発現遺伝子の翻訳されたフラクション)中の遺伝子配列の発現を反映する限り、本明細書に開示される同定された個々の遺伝子の同定特性(identifying feature)を利用できる。同定特性は、制限されることなく、コード(DNA)するため、又は発現(RNA)するために使用されるユニークな核酸配列該遺伝子又は該遺伝子によりコードされるタンパク質に特異的なエピトープ又はその活性を含む。必要とされる全てのものは、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を区別するために必要な遺伝子配列の同定、ならびに発現アッセイにおける使用のための試料を含有する適当な細胞である。
【0019】
同様に、試料を含有する細胞の性質は、制限されることなく、新鮮な組織、新鮮に凍結された組織、及び固定された組織、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織として、本明細書に開示される方法において使用することができる。いくつかの実施形態において、試料は、ニードル(コア)生検又は他の生検のものであってよい。
【0020】
同定された発現パターン又はプロフィールを検出するために、本明細書に開示された発明は、単純な生体検査ができないようなコンタミネートした細胞から解離し、あるいは単離又は精製したグローバル又はニアグローバルな単一の細胞又は均一な細胞群を分析することにより、遺伝子(又は配列)発現レベルの同定を供する。該パターン又はプロフィールにおける遺伝子(配列)の発現レベルは、その後検出されるか、あるいは測定される。他の実施形態において、方法は、他の遺伝子又は配列の発現を評価又は測定することなく、該プロフィールにおける遺伝子(配列)の発現レベルのみを検出又は測定することができる。
【0021】
さらなる態様において、発現レベルの分析は、前立腺癌の他の評価又は指標と組み合わせて、あるいは置き換えて行うことができる。いくつかの実施形態において、該分析は、対象由来の前立腺癌細胞を含む試料中の前立腺癌のグレードを決定する方法と組み合わせて行うことができる。他の実施形態において、該組み合わせは、試料中の前立腺癌のステージを決定する方法との組み合わせである。3つ目の可能性は、任意的に、前立腺癌細胞を単離するために使用される手順の前に、対象におけるPSAレベルを検出又は測定する方法との組み合わせである。当然に、これらの例のいずれか1つ、2つ又は3つ全てと組み合わせることが可能である。1以上の評価が使用される場合、該結果は多変量分析となる。本明細書の開示は、多変量的な実施形態として本明細書に記載される評価の全ての可能な組み合わせを明確に含む。
【0022】
一般に前立腺癌グレード及び/又はステージを評価するために当業者に受け入れられている方法が使用できる。いくつかのケースにおいて、前立腺癌グレードを決定するための方法は、グリースン・スコア(グリースン・グレード)の決定を含む。他のケースにおいて、前立腺癌ステージを決定する方法は、前立腺癌ステージを評価するための対癌米国合同委員会(AJCC)腫瘍ステージング・システムに従う決定を含む。また、本明細書に記載されるとおり、遺伝子(配列)発現レベルの分析は、グリースン・スコア又はAJCC腫瘍ステージ決定のいずれかに代えて行うことができる。
【0023】
PSAレベルの場合、その評価は、本明細書に記載されるいずれかの方法における使用のための前立腺癌細胞を含む試料を提供するために使用される前立腺切除前に行うことができる。
【0024】
更なる態様において、本明細書の開示は、本明細書に開示される遺伝子(又は配列)の発現を検出するための物理的及び方法論的な手段を含む。これらの手段は、遺伝子(又は配列)の発現の原因となるDNA鋳型、該遺伝子(又は配列)を発現するための中間体として使用されるRNA、又は該遺伝子(又は配列)により発現されるタンパク質生成物の1又は複数の態様をアッセイすることに関してよい。
【0025】
本明細書により提供される1つの利点は、コンタミネートした非前立腺癌細胞(例えば、浸潤性リンパ球又は他の免疫系細胞)を除去し、本明細書に開示される発現パターン又はプロフィールの測定における、これらの影響を減少させ、患者の癌再発/生存結果を予測できることである。このようなコンタミネーションは、遺伝子発現プロフィールを産生するために、多くの細胞種を含有する生検が使用される場合に存在する。
【0026】
本発明はヒト前立腺癌において主に記載されているが、前立腺癌に罹患する可能性が知られているいずれかの動物の前立腺癌においても実施することができる。本発明の適用についての動物の制限されない例は、哺乳類、特に農業に重要な動物(例えば、制限されることなく、ウシ、ヒツジ、ウマ、及び他の「家畜」)、前立腺癌の動物モデル、及びヒトにかかわる動物(例えば、制限されることなく、イヌ及びネコ)である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本明細書の実施例1及び表1に記載される、ヒト患者試料に基づく、代表的なデータ分析スキームを表す。
【図2】図2は、本明細書に記載される、Random ForestsTM アルゴリズムの500遺伝子選択反復の結果を示す。
【図3A】図3Aは、同定された癌組織領域を有する前立腺全摘出術検体(FFPE組織)を含有するスライドにおける前立腺癌の代表的な同定を示す。
【図3B】図3Bは、非癌組織の除去後の切除された(微小切開した)前立腺癌材料を示す。
【図4】図4は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴とグリソン・グレード又はスコア(<=6,7又は>=8)の相関を示す。
【図5】図5は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴とAJCC病理学的腫瘍ステージ(II又はIII)の相関を示す。
【図6】図6は、トレーニング及びテスト・セット由来の試料の遺伝子リスク特徴と術前PSA(前立腺血清抗原)値の相関を示す。
【図7】図7は、前立腺癌を治療するための外科的介入後のPSA再発が存在しないカプラン・マイヤー分析からの結果を示す。該結果は、良好な癌再発及び生存結果(再発及び転移による脂肪の低い発生率)の可能性を有する「低」リスク部分母集団及び不良な結果(再発及び転移による脂肪の高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団への分離を示す。
【図8】図8は、<=6,7のグリソン・グレード又はスコアを有する細胞試料における、前立腺癌を治療するための外科的介入後のPSA再発が存在しないカプラン・マイヤー分析からの結果を示す。該結果は、良好な癌再発及び生存結果(再発及び転移による脂肪の低い発生率)の可能性を有する「低」リスク部分母集団及び不良な結果(再発及び転移による脂肪の高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団への分離を示す。試料が、<=6のグリソン・グレード又はスコア、7のスコア、又は>=8のスコアを伴うものに分離される場合、同様の結果が観察された。
【図9】図9は、グリソン・グレード単独に基づく生存曲線を示す。
【図10】図10は、AJCCステージ単独に基づく生存曲線を示す。
【図11】図11は、10年間にわたり、189人の患者を良好な生存結果の可能性(転移による死亡の低い発生率)を有する「低」リスク部分母集団と不良な結果(転移による高い発生率)を有する「高」リスク部分母集団とに分離するための開示されたリスク・スコア(62の代表的な遺伝子に基づく)を使用した結果を示す。
【図12】図12は、図11の10年間のリスク・スコア対転移の可能性のプロットを示す。グラフに示されるとおり、対象の前立腺癌における0のスコアは、外科的介入後10年間で生じた転移の増加したリスクを示す。
【図13】図13は、PSA再発についての一変量及び多変量分析の使用を概要し、比較する。示されたAJCCステージはII対IIIである。CIは信頼区間を意味する。
【図14−1】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−2】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−3】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−4】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−5】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−6】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−7】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−8】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−9】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−10】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−11】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−12】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−13】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図14−14】図14は本明細書に記載される使用のための337の遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号は、各々の遺伝子と以下の表1中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。同定された分子が500の産生したセット(実施例1に記載される)の間で生じる頻度は、「頻度」列に示される。残りの列は各々の遺伝子の同定情報、例えば遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表1中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図15−1】図15は、本明細書に記載される使用のための更なる25遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号及びパフォーマンス情報(z及びp値)は、各々の遺伝子と以下の表3中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。各々の遺伝子の同定情報は、遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表3中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【図15−2】図15は、本明細書に記載される使用のための更なる25遺伝子の注釈及び同定情報の一覧である。遺伝子番号及びパフォーマンス情報(z及びp値)は、各々の遺伝子と以下の表3中の対応するプローブの配列番号及びそのパフォーマンス情報を相互参照するために用いることができる。各々の遺伝子の同定情報は、遺伝子登録番号(「探索キー」列)、表3中の対応するプローブ配列の登録番号(「プローブID」列)、遺伝子記号(「記号」列)、及び簡単な説明(最後の列)を含む。
【0028】
本発明を実施するための詳細な説明
用語の定義
遺伝子発現「パターン」又は「プロフィール」又は「特徴」は、2以上の前立腺癌又は前立腺切除後、癌再発、転移及び/又は生存結果における2以上の遺伝子(発現配列)の相対的な発現を意味し、その相関する発現は該結果を区別することができる。
【0029】
「遺伝子」又は「発現配列」は、別個の生成物(本質的にはRNA又はタンパク質)をコードし、そして検出可能な様式において発現するポリヌクレオチドである。1以上のポリヌクレオチドは、別個の生成物をコードすることができる。該用語は、染色体位置及び正常な有糸分裂における組換え能力に基づき、同じ生成物をコードする遺伝子又は発現配列の対立遺伝子及び多型、又は機能的に関連する(機能の獲得、喪失又は修飾を含む)その類似体を含む。
【0030】
用語「相関する」又は「相関」又はこれらの相当語句は、2以上の遺伝子の発現と、本明細書に記載される方法の使用により同定される1以上の他の状態を除く前立腺細胞の生理状態の関連性を意味する。遺伝子は高レベル又は低レベルにおいて発現し、そして1又は複数の前立腺癌、又は前立腺切除後の状態若しくは結果に相関する。相関性を表現するための1つの方法は、多様な遺伝子(又は発現配列)の発現のために本明細書に開示されるz値によるものである。z値は、遺伝子(又は発現配列)の発現レベルと、特定の結果、例えば癌再発、癌転移及び/又は経時生存との関連性の強度(strength)又は加重(weight)を示すように見ることができる。該値は、任意に、しかしながら一貫して、それぞれ発現の過剰又は不足を示す正符号又は負符号(+/−)を有する。該符号は任意であるため、これらの指定は、悪影響を与えることなく、容易に(しかしながら一貫して)逆にすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、強度(又は加重)は、標準化(例えば、相対的に一定レベルにおいて発現する参照遺伝子の発現に対する)後、与えられた遺伝子(又は発現配列)の発現レベルで乗じられ、遺伝子(又は配列)の発現の値又はスコアを供する。多くのケースにおいて、該発現データは、更なる使用、例えばクラスタリング及び判別分析の前に、当業者に知られるように標準化され、中央化され、そしてlog変換される。1以上の発現レベルが(遺伝子発現プロフィール又はパターンのケースとして)使用される場合、該値又はスコアは合計され、その後相関を評価するため、あるいは相関に基づく分類を行うために総合値として分析される。
【0032】
「ポリヌクレオチド」は、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態であって、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかである。該用語は、分子の一次構造のみを意味する。したがって、該用語は、二本鎖−及び一本鎖DNA及びRNAを含む。これはまた、既知のタイプの修飾、例えば当業界に既知の標識、メチル化、「キャップ」、1又は複数の天然ヌクレオチドの類似体による置換、及びヌクレオチド内修飾、例えば非荷電リンケージ(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、ならびにポリヌクレオチドの未修飾ポリヌクレオチドを含む。
【0033】
用語「増幅する」は、広い意味で用いられ、増幅産物の作成がDNA又はRNAポリメラーゼにより酵素的に行うことができることを意味する。本明細書において使用される「増幅」は、一般に、所望の配列、特に試料の配列の複数のコピーを産生する方法を意味する。「複数のコピー」は少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」は、鋳型配列と完全に相補的又は同一の配列を必ずしも意味しない。
【0034】
用語「対応する」は、適当な場合には、核酸分子が他の核酸分子と相当量の配列同一性を共有することを意味してよい。相当量は、少なくとも95%、通常少なくとも98%、そしてより一般的には少なくとも99%を意味し、そして配列同一性は、Altschul et al. (1990), J. MoI. Biol. 215:403-410に記載されるとおり(公開された初期設定、すなわちパラメーター、w=4、t=17を使用する)、BLASTアルゴリズムを使用して決定される。mRNAを増幅するための方法は、当業界に一般に知られており、逆転写PCR(RT−PCR)及び米国特許出願第10/062,857号に記載されるもの(2001年10月25日出願)、ならびに米国仮特許出願第60/298,847号(2001年6月15日出願)及び第60/257,801号(2000年12月22日出願)に記載されるものを含み、これら全ては参考として本明細書中にその記載された全てが組み込まれている。使用することができる他の方法は、定量PCR(又はQ−PCR)である。あるいは、RNAは当業者に既知の方法により対応するcDNAとして直接標識することができる。
【0035】
「マイクロアレイ」は、別個の領域の直線的又は二次元的なアレイであり、各々は、固形支持体、例えば、制限されることなく、ガラス、プラスチック又は合成膜の表面上に形成され、一定の範囲を有する。マイクロアレイ上の別個の領域の密度は、単一の固相支持体の表面上で検出される固定化ポリヌクレオチドの総数により決定され、いくつかの実施形態においては、例えば、少なくとも約50/cm2、少なくとも約100/cm2、少なくとも約500/cm2であるが、約1000/cm2以下である。該アレイは、合計で、約500以下、約1000、約1500、約2000、約2500又は約3000の固定化ポリヌクレオチドを含んでよい。本明細書において使用される場合、DNAマイクロアレイは、試料由来の増幅又はクローン化したポリヌクレオチドにハイブリダイズするために使用されるチップ又は他の表面上に置かれたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドのアレイである。該アレイ中のポリヌクレオチドの各々の特定の群の位置は既知であるため、試料ポリヌクレオチドの同定は、該マイクロアレイ中の特定の位置に対するこれらの結合に基づき決定することができる。
【0036】
本明細書の開示は、過剰又は不足して発現される遺伝子(又は発現遺伝子)の同定に依存するため、本発明の開示の実施形態は、試料細胞のmRNA又はその増幅もしくはクローン化バージョン(例えば、DNA又はcDNA)の特定の遺伝子配列にユニークなポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションにより、発現を決定することを含む。このタイプのポリヌクレオチドは、他の遺伝子配列には見られない、少なくとも約20、少なくとも約22、少なくとも約24、少なくとも約26、少なくとも約28、少なくとも約30又は少なくとも約32の遺伝子配列の連続した塩基対を含む。上記において使用される用語「約」は、言及した数値から1の増加又は減少を意味する。他の実施形態は、少なくとも又は約50、少なくとも又は約100、少なくとも又は約150、少なくとも又は約200、少なくとも又は約250、少なくとも又は約300、少なくとも又は約350、又は少なくとも又は約400の、他の遺伝子配列には見られない遺伝子配列の塩基対のポリヌクレオチドを使用できる。上記において使用される用語「約」は、言及した数値から10%の増加又は減少を意味する。このようなポリヌクレオチドはまた、本明細書に記載される遺伝子又はそのユニークな部分の配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドプローブを意味してもよい。多くのケースにおいて、ハイブリダイゼーション条件は、約30%v/v〜約50%のホルムアミド、及び約55〜約65℃又はそれ以上における、約0.01M〜約0.15Mのハイブリダイゼーションのための塩、及び0.01M〜約0.15Mの洗浄のための塩の条件のストリンジェント条件、あるいはこれらと同等の条件である。
【0037】
他の実施形態において、配列番号1〜362と同一の発現配列とハイブリダイズする他のプローブを使用することができる。これらの更なるプローブは、配列番号1〜362により検出された発現配列の分析によって調製又は選択することができる。本明細書の開示において使用するための、このような更なるポリヌクレオチドプローブは、使用される遺伝子配列と約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の同一性を有してよい。同一性は、上記のとおり、BLASTアルゴリズムを使用して決定される。これらの更なるプローブはまた、上述のストリンジェントな条件又はそれと同等の条件下において、本明細書の開示の発現遺伝子及び配列とハイブリダイズするための能力に基づき記載されてよい。
【0038】
多くのケースにおいて、該配列は、該遺伝子、mRNAに対応するcDNA、及びこれらの配列の増幅バージョンによりコードされるmRNAのものである。本明細書の開示のいくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドプローブは、アレイ、他のデバイス、又はプローブが1又は複数のする個々のスポットに固定化される。多くの実施形態において、該プローブは、3’未翻訳領域の一部を含む遺伝子(又は発現配列)の領域に関する。いくつかのケースにおいて、該領域は、ポリアデニル化シグナル又はポリアデニル化mRNAの約100、200、300、400、500、600、700、800又は900又はそれ以上のヌクレオチド内にある。
【0039】
あるいは、本発明の開示の他の実施形態において、遺伝子発現は、細胞試料中の個々の遺伝子産物(タンパク質)1又は複数のエピトープに特異的な1又は複数の抗体の使用により、注目の細胞試料中の発現タンパク質の分析によって決定することができる。このような抗体は、遺伝子産物に結合後、簡単な検出を許容するために標識化することができる。
【0040】
用語「標識」は、標識された分子の存在の指標となる検出可能なシグナルを産生することが可能な組成物を意味する。適当な標識は、ラジオアイソトープ、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発酵部分、磁性粒子、生物発光部分等を含む。例えば、標識は、分光的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段により検出可能ないずれかの組成物である。
【0041】
用語「支持体」は、慣習的な支持体、例えばビーズ、粒子、ディップスティック、ファイバー、フィルター膜及びシラン又はケイ酸支持体、例えばガラススライドを意味する。
【0042】
本明細書において使用される「前立腺組織試料」又は「前立腺癌細胞試料」は、個人、例えば前立腺癌に罹患している者から単離された前立腺組織の試料を意味する。該試料は、前立腺切除、例えば前立腺全摘出術を介して除去された物質に由来してよい。あるいは、これらは、他の手段、例えばニードル(コア)生検又は他の生検技術、例えば外側生検、慣習的な六カ所生検法、拡張技術として六カ所生検及び外側生検の異なる組み合わせ、経直腸超音波誘導前立腺生検、及び当業者に既知の他の手段によって得られる。このような試料は主に単離物(培養細胞に対比する)であり、そして当業界に認識されるいずれかの適当な方法により回収できる。いくつかの実施形態において、「試料」は、侵襲的方法、例えば制限されることなく、外科的生検により回収することができる。試料は、当業者に所望される機知の方法又は他の適当な方法によって単離される前立腺癌細胞を含んでよい。単離方法は、制限されることなく、本明細書の開示に従う使用の前の顕微解剖、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)、又はレーザー・マイクロダイセクション(LMD)を含む。
【0043】
「発現」及び「遺伝子発現」は、核酸材料の転写及び/又は翻訳を含む。
【0044】
本明細書において使用される「含んで成る」の用語、及びその同義語は、包括的な意味において使用される:すなわち用語「含む」及びその同義語と同じである。
【0045】
ある事象が発生することを「許容する」条件、又はある事象が生じるために「適当な」条件、例えばハイブリダイゼーション、鎖伸張等に適当な条件は、このような事象が生じることを妨害しない条件である。したがって、これらの条件は、該事象を許容し、増強し、促進し、そして/あるいは誘導する。当業者に既知であり、本明細書に記載されるこのような条件は、例えばヌクレオチド配列の性質、温度及び緩衝液の条件に依存する。これらの条件はまた、どのような事象が所望されているか、例えばハイブリダイゼーション、切断、鎖伸張又は転写に依存する。
【0046】
本明細書において使用される配列「突然変異」は、参照配列と比較して注目の本明細書に開示される遺伝子の配列におけるいずれかの変化を意味する。配列突然変異は、例えば置換、欠失、又は挿入による、配列中の単一のヌクレオチド変化又は1以上のヌクレオチド変化を含む。単一のヌクレオチド多型(SNP)もまた、本明細書において使用される配列突然変異である。本発明の開示は、遺伝子(又は配列)発現レベルに基づくため、本明細書に開示される遺伝子の非コードの制御領域中の突然変異は、本明細書の開示の実施においてアッセイすることができる。同様に、「検出可能な程度に多い」生成物は、直接又は間接的に観察されるいずれかの増加を含む。
【0047】
「検出」は、検出するためのいずれかの手段、例えば遺伝子発現のその変化の直接的及び間接的な検出を含む。例えば、「検出可能な程度に少ない」生成物は、直接的又は間接的に観察することができ、そして該用語は、いずれかの減少(検出可能なシグナルの不存在を含む)を意味する。同様に「検出可能な程度に多い」生成物は、直接的又は間接的に観察されるいずれかの増加を意味する。
【0048】
前立腺切除は、当業者、例えば外科医による前立腺組織の除去を意味する。制限のない例は、前立腺全摘出術;オープン(伝統的な)前立腺切除(会陰を介する切開に関する);腹腔鏡前立腺切除;及びロボット(神経温存)前立腺切除を含む。
【0049】
グリソン・スコアは、グリソン・システムの経験のある病理学者による前立腺癌の試料の等級付け(grading)を意味し、これは正常な前立腺組織と比較した前立腺組織の試料の細胞における類似性に基づく1〜5の数字を用いてグリソン・スコアを与える。正常な前立腺組織と極めて類似する組織は1のスコア又はグレードが与えられ、一方正常なプロフィールを喪失し、そして該細胞が前立腺にでたらめに広がっているような組織は5のスコア又はグレードが与えられる。2〜4のスコア又はグレードは、包括的に、これらの可能性におけるプロフィールを有する。しかしながら、前立腺癌は異なるスコア又はグレードを伴う領域を有しうるため、ほとんどの組織を網羅する2つの領域に対して別々のスコア又はグレードが与えられる。該2つのスコア又はグレードが合計され、2〜10のグリソン・スコア(又はグリソン合計)が作成される。
【0050】
別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当業者が慣習的に理解するものと同じ意味を有する。
【0051】
概要
本明細書の開示は、1993〜1995年に達成されたFFPE組織由来の前立腺癌試料の別々のトレーニング及びテスト・セットを使用することによる、前立腺血清抗原(PSA)再発の遺伝子(又は配列)発現に基づく予測の発見に一部基づく。該試料は、長期間追跡した患者、例えば試料が得られた、術後少なくとも10年間疾患の証拠を伴わない患者(NED)及びその後再発(例えば遠隔転移)に発展した患者に由来する臨床データに関する。62、92、337及び362遺伝子(又は発現配列)(異なる癌タイプ中に高度な動的発現(又は発現レベルにおけるバリエーション)を伴う約1536遺伝子の出発セットに由来する)を、試料のRNAに基づく発現プロファイリングを介して同定した。これらの遺伝子の発現レベルは、本明細書に記載されるPSA再発及び臨床結果と相関し、したがって本明細書に開示される予測因子として使用することができる。同定された遺伝子は、細胞機能、例えば細胞周期、血液凝固、創傷治癒、転写制御及びアポトーシスに関与することが報告されている。
【0052】
開示される遺伝子発現パターン(プロフィール)の予測能力は、グリソン・スコア及びAJCC腫瘍ステージに相関する。これはまた、術前PSAレベルと一致する。該プロフィールはまた、<=6及び7のグリソン・スコアを有する試料をPSA再発の低リスク及び高リスクに階層化するための能力を有する。既知の予測因子による多変量分析において、該プロフィールは、統計的な有意性(p<0.05)を維持する唯一の予測因子であった。したがって、生検又は前立腺切除において除去された組織におけるプロフィールの検出は、無痛性の進行癌を区別することを許容する。
【0053】
本明細書の開示は、対象における前立腺癌生存及び再発結果を区別する(又は相関する)遺伝子発現パターン(又はプロフィール)の同定及び使用を含む。このようなパターンは、いくつかの参照細胞又は組織試料、例えば前立腺癌の病理学における当業者によって検査されたもの、を使用して本明細書に開示される方法によって決定することができ、これは正常又は他の非癌細胞とは対照的に、前立腺癌細胞を示す。試料由来の対象により経験される結果は発現データと相関し、結果に相関するパターンを同定することができる。全ての遺伝子発現プロフィールは、人、癌、癌細胞によって異なるため、一定の細胞と発現した、あるいは発現下にある遺伝子の相関は、本明細書に開示したとおり行い、前立腺癌結果を区別することができる遺伝子を同定できる。
【0054】
遺伝子及び配列の同定及び記載
本明細書の開示は、前立腺癌、又は前立腺切除後の結果、例えば0.2ngの術後PSA上昇(「PSA再発」)に関して特異的に発現することが発見された2以上のいずれかの開示された遺伝子(発現遺伝子)により実施することができる。該同定は、多様な均一な前立腺癌細胞群の発現プロフィールを使用して行った。発現プロフィールの各々の遺伝子の発現レベルは、特定の結果に相関することができる。あるいは、2以上の遺伝子(発現配列)の発現レベルは、クラスター(組み合わせ)化し、そして特定の結果の相関に基づき使用することができる。結果の例は、制限されることなく、遠隔転移、例えばリンパ節又は骨への転移、又は化学治療又は放射線治療又は凍結治療を追跡する必要性を含む。さらなる実施形態において、該発現プロフィールは、対象又は患者を「静観」と「さらなる治療が必要」の異なる予後に分類するために使用することができ、後者の場合には、前立腺癌/腫瘍を除去する手術を超えて、ネオアジュバント又はアジュバント治療を含む。したがって、開示される方法は、前立腺癌管理として使用することができる。
【0055】
前立腺癌(又は前立腺切除後)生存、転移又は再発結果に対する有意な相関性を有する遺伝子は、結果を区別するために使用される。あるいは、有意な相関性を有する遺伝子は、結果を区別する能力の有意な喪失を伴わずに開示される発現パターン又はプロフィールを形成するための低い相関性を有する遺伝子との組み合わせにおいて使用することができる。このような組み合わせ(又は発現パターン)は、当業界に認識されるいずれかの適当な手段、例えば制限されることなく、クラスター分析、支持されたベクトル機械、ニューラル・ネットワーク又は当業界に既知の他のアルゴリズムによって選択及び試験することができる。該パターン又はプロフィールは、該モデルにおける区別のために使用される遺伝子の発現に基づき、未知の試料の分類を予測することができる。「Leave one out」クロス−バリデーションは、多様な組み合わせの性能を試験するため、そして組み合わせの予測能力に対して情報が不足しかつ有害な加重(発現遺伝子又は配列)を同定するのを助けるために使用することができる。クロス−バリデーションはまた、遺伝子又は配列を同定するために使用することができ、その発現は該モデルの予測能力を増強する。
【0056】
特に前立腺癌又は前立腺切除後の結果に相関するように発現した開示される遺伝子(配列)は、遺伝子発現分析を、異なる結果における対象を分類するための能力に寄与するこれらの遺伝子のみに焦点を当てる能力を供する。前立腺癌細胞中の他の遺伝子の発現は、相対的に関連する情報を供することができず、したがって前立腺癌結果の異なる予後(又は区別)を支援しうる。
【0057】
当業者に理解されるとおり、該組み合わせ(発現パターン又はプロフィール)は、参照遺伝子発現データの少数のセットに基づく場合であっても極めて有用であり、正確性における増加は追加的なデータに従い減少するように見えるが、追加的な参照データの含有によりますます正確性が増す。前立腺癌又は前立腺切除後の異なる結果を区別するために同定され、本明細書において開示される遺伝子を使用する追加的な参照遺伝子発現データの同定はルーチンであり、当業者によって容易に行うことができ、上述のモデルを産生することを許容し、これらの遺伝子の発現レベルに基づき未知の試料の状態を予測することができる。
【0058】
本発明の開示は、図14中の以下の遺伝子における発現配列を含む。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】
アッセイ方法
本明細書の開示の実施における遺伝子(発現配列)の(増加又は減少した)発現レベルを測定するために、当業界に既知のいずれかの方法を利用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書において同定され、開示される遺伝子(プローブ配列)とハイブリダイズするRNAの検出に基づく発現が使用される。これは、当業界に知られる、又は同等であると認められる、いずれかのRNA検出又は増幅+検出方法、例えば制限されることなく、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、米国特許出願第10/062857(2001年10月25日出願)に開示される方法、ならびに米国仮特許出願第60/298847号(2001年6月15日出願)及び第60/257801号(2000年12月22日出願)、及びRNA安定化又は不安定化配列の存在又は不存在を検出するための方法により、容易に行われる。
【0071】
あるいは、DNA状態の検出に基づく発現を使用することができる。メチル化又は欠失として同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の前立腺癌又は前立腺切除後の結果と相関する減少する発現を有する遺伝子のための使用することができる。これは、当業界に既知のPCRに基づく方法、例えば制限されることなくQ−PCRにより、容易に行うことができる。反対に、増幅として同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の前立腺癌又は前立腺切除後の結果と相関する増加する発現を有する遺伝子のために使用することができる。これは、当業界に既知のPCRに基づく蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)及び染色体in situハイブリダイゼーション(CISH)法により、容易に行うことができる。
【0072】
タンパク質レベル又は活性の存在、増加又は減少の検出に基づく発現もまた使用できる。検出は、当業界に知られている、あるいはタンパク質の検出に適当であると認識されている、免疫組織化学(IHC)に基づく方法、血液に基づく方法(特に分泌タンパク質)、抗体(タンパク質に対する自己抗体を含む)に基づく方法、剥脱細胞(癌由来)に基づく方法、質量分析に基づく方法、及びイメージ(標識リガンドの使用を含む)に基づく方法により行うことができる。抗体及びイメージに基づく方法は、癌細胞の起源が知られていない場合、非侵襲的手順(例えば洗浄又は針吸引)により得られた細胞の使用によって癌の決定後に腫瘍の位置を特定するために有用である。標識抗体又はリガンドは、患者内の癌の位置を特定するために使用できる。
【0073】
発現を決定するための核酸に基づくアッセイを使用する1実施形態は、固形支持体、例えば制限されることなく、当業界に既知のアレイ又はビーズとしての固形基質又はビーズに基づく技術における、本明細書においてポリヌクレオチドとして同定された遺伝子の1又は複数の配列の固定化によるものである。いくつかの実施形態において、該アッセイは、Illuminaから入手可能なDASL(cDNA媒介アニーリング、選択、伸張及びライゲーション)アッセイである。あるいは、当業界に既知の溶液に基づく発現アッセイもまた使用できる。
【0074】
固定化ポリヌクレオチドプローブは、該ポリヌクレオチドが遺伝子(又は発現配列)に対応するDNA又はRNAに対してハイブリダイズすることが可能なように、開示される遺伝子(又は発現配列)に特有的又は特異的であってよい。これらのポリヌクレオチドは、該遺伝子(又は発現配列)の完全長であっても、あるいは任意的な遮断が少ない(例えばミスマッチ又は挿入された非相補的な塩基対による)、これらと該遺伝子(又は発現配列)に対応する関連DNA又はRNAとのハイブリダイゼーションは影響を受けないような、より短い長さ(該配列の5’又は3’末端からの欠失により当業界に既知の完全長配列よりも最大1つのヌクレオチドだけ短い)のプローブであってよい。多くの実施形態において、ポリヌクレオチドプローブは、開示される遺伝子又は発現配列の3’末端からの配列を含む。また、開示される遺伝子の配列に関連する突然変異を含むポリヌクレオチドプローブは、該突然変異の存在がなお検出可能なシグナルを産生するようなハイブリダイゼーションを許容する限り、使用することができる。
【0075】
固定化ポリヌクレオチドは、試料の対象(例えば試料が得られた患者)の結果が知られていないか、あるいは試料の対象にすでに与えられた結果を確認するため、試料前立腺細胞から調製された核酸試料の状態を決定するために使用することができる。本明細書の開示を制限することなく、このような細胞は、前立腺癌を有する患者に由来するもの、例えば前立腺切除によって除去された材料であってよい。固定化ポリヌクレオチドは、適当な条件下において試料由来の対応する核酸分子に特異的にハイブリダイズすれば十分である。単一の相関する遺伝子の発現は、2つの前立腺癌結果における区別において適当な正確性を提供することができるが、本明細書の開示は、1以上の遺伝子又は発現配列からの発現レベルの使用を含む。
【0076】
したがって、本発明の開示は、結果を区別するために、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、又は11以上の本明細書に開示される遺伝子又は発現配列の使用を含む。更に、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、32以上、34以上、36以上、38以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、62以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、又は92以上の遺伝子又は発現配列の発現レベルを開示された方法においてアッセイし、使用することができる。当然に更なる実施形態は、本明細書に開示されるとおり、表1及び図14の各々において100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、最大337、あるいは合計362遺伝子(又は発現配列)の使用を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、62のセット又は92のセットの遺伝子(発現配列)が使用される。他の実施形態において、使用される遺伝子(又は発現配列)は、表1及び図14中の337のセットに由来し、あるいはこれら由来の遺伝子と表3及び図15中のものとの組み合わせである。多くのケースにおいて、使用される遺伝子(又は発現配列)の組み合わせ又はセットは、遺伝子番号1(FEV)又は配列番号1とハイブリダイズする発現配列を含む。更なる実施形態において、組み合わせはp値<0.0001の相関性を伴い発現した1又は複数の遺伝子又は発現配列を含む。
【0078】
あるいは、組み合わせは、本発明に開示される発生の高い頻度を伴う遺伝子又は発現配列を含む。このような遺伝子又は発現配列の制限されない例は、本明細書に開示されるとおり、400以上、350以上、300以上、250以上、200以上、150以上、又は100以上の頻度を有するものである。しかしながら、当然に、より高い頻度を伴う1又は複数の遺伝子(又は配列)とより低い頻度を伴う1又は複数の遺伝子(又は配列)との組み合わせもまた使用できる。
【0079】
2又は数個の遺伝子しか分析されない実施形態においては、前立腺癌細胞試料由来の核酸は、分析すべき僅かな遺伝子が増幅され、試料中の他の発現遺伝子又は配列由来のバックグランドシグナルのコンタミネーションが低下するように、好ましくは適当なプライマー(例えばPCRにおいて使用される)の使用によって増幅することができる。開示されるPCRアンプリコンのサイズは、例えば少なくとも又は約50、少なくとも又は約100、少なくとも又は約150、少なくとも又は約200、少なくとも又は約250、少なくとも又は約300、少なくとも又は約350、又は少なくとも又は約400の連続ヌクレオチドであり、使用されるPCRプライマーに相補的な部分を含有する全てを含む。当然に、PCRは任意に、逆転写結合PCR(又はRNA出発材料の場合にはRT−PCR)又は定量PCR、例えばリアルタイムPCR、又はこれらの組み合わせであってよい。当然に、本明細書に記載される試料由来のRNAは、当業者に容易に知られる手段によって調製し、使用することができる。
【0080】
あるいは、複数の遺伝子が分析される場合、又は極めて少数の細胞(又は1つの細胞)が使用される場合、試料由来の核酸は、固定化ポリヌクレオチドプローブ、アレイ又はマイクロアレイとのハイブリダイゼーション前に、グローバルに増幅することができる。当然に、RNA又は対応するcDNAは、当業界に既知の方法によって、増幅することなく、直接的に標識し使用することができる。
【0081】
本明細書の開示は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を区別する(又は表す)ための、別個の遺伝子セットの遺伝子発現プロフィールの形態におけるより客観的な基準のセットを提供する。いくつかの実施形態において、該アッセイは、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から10年以内又は約10年後の良好な又は不良な結果を区別するために使用される。約10ヶ月、約20ヶ月、約30ヶ月、約40ヶ月、約50ヶ月、約70ヶ月、約80ヶ月、約90ヶ月、又は約100ヶ月後の結果を区別する比較もまた行うことができる。
【0082】
良好な及び不良な癌の再発、転移及び/又は生存結果は、互いの比較において相対的に定義することができるが、「良好な」結果は、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から約60ヶ月後における、癌再発の50%の可能性及び/又は生存の50%の可能性よりも優れたものとして評価することができる。「良好な」結果はまた、外科的介入後約60ヶ月目の、約60%、約70%、約80%又は約90%の癌再発及び/又は生存の可能性よりも優れたものであってよい。「不良な」結果は、前立腺癌腫瘍を除去するための外科的介入から約60ヶ月後における、50%以上の癌再発の可能性、及び/又は50%以下の生存の可能性として評価することができる。
【0083】
また、開示された方法は、固形組織材料と共に使用することができる。例えば、固形生検は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を決定するために本明細書において同定された2以上の遺伝子又は発現配列の発現の視覚化、及びその後の決定のために回収し、調製することができる。1つの手段は、前記遺伝子の発現をアッセイするための、ポリヌクレオチド又はタンパク質同定プローブとのin situ ハイブリダイゼーションの使用によるものである。
【0084】
いくつかの実施形態において、試料由来の遺伝子発現の検出は、利便性及び正確性のために本明細書に開示されるいくつか又は全ての遺伝子からの遺伝子発現をアッセイすることが可能な単一のマイクロアレイの使用によるものである。
【0085】
更なる実施形態
本明細書に開示される他の用途は、更なる研究又は実験のために、特定の前立腺癌生存又は再発結果と相関する前立腺癌細胞試料を同定するための能力を提供することである。これは、客観的な遺伝子又は分子基準に基づく細胞の同定を必要とする多くの場合において特別な利点を提供する。
【0086】
本明細書に開示される方法における使用のための材料は、周知の手順に従い製造されるキットの調製に理想的である。したがって、本明細書の開示は、前立腺癌又は前立腺切除後の結果を同定するための開示された遺伝子及び配列の発現を検出するための薬剤を含んで成る。このようなキットは、該薬剤と共に、本明細書に開示される方法におけるこれらの使用に関連する記載又はラベル又は指示書を任意に含んで成る。このようなキットは、該方法に有用な1以上の多様な試薬(典型的には濃縮形態)を各々伴う容器を含んでよく、予め組み立てられたマイクロアレイ、バッファー、適当なヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTP及びdTTP;又はrATP、rCTP、rGTP及びUTP)、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、及び本明細書に開示される1又は複数のプライマー・コンプレックス(例えば、RNAポリメラーゼと反応性のプロモーターと連結した適当な長さのポリ(T)又はランダム・プライマー)を含む。指示書のセットもまた典型的には含まれる。
【0087】
また、本明細書の開示において提供される方法は、全体又は一部が自動化されていてよい。本明細書の開示の全ての態様はまた、細胞含有試料を介する前立腺癌再発、転移及び/又は生存結果の同定とは無関係な材料を除外して、開示された遺伝子のサブセットから本質的に成るように実施されていてよい。
【0088】
本明細書において一般的な開示が適用されているが、実例によって提供される以下の実施例を参照することによって、より容易に理解できるものと考えられる。なお、特定されていない限り、本明細書の開示を制限することは意図されない。
【実施例】
【0089】
例I:臨床検体回収及び臨床病理学的パラメーター
1993年〜1995年における前立腺全摘除術からのPSA及び他の患者結果データを伴う前立腺試料を、発現レベルが臨床的前立腺癌又は前立腺切除後の結果に相関する遺伝子(発現遺伝子)のセットを発見するために用いた。他の試料は、同定した遺伝子セットの予測的又は予知的な能力を試験又は検証するために用いた。
【0090】
該試料に対応する患者プロフィールの特徴を表2に示す。
【表12】
【0091】
この同定のために患者試料を使用する方法は、図1で図式的に説明される。端的には、210の初期セットから191の患者試料を選択した。この191の試料をトレーニング・セット(124試料)とテスト・セット(67試料)に分け、ここで前者は、Random ForestsTMアルゴリズムを介して遺伝子セットを同定するために使用した。該アルゴリズムを使用して得られた500の独立ラン(遺伝子セット)を伴う代表的な結果を、セット中の遺伝子(発現配列)数と未調整P値のログ値のプロット(ログ・ランク・テストに相当する)として図2に示す。図2は、これらの500セットのパフォーマンスを示し、これは多数の遺伝子(発現配列)及び観察された未調整P値により示される有意性を伴い、癌再発及び/又は転移の高い又は低いリスクとして正確に試料(及び患者)を分類するための能力を含む。500セット中の遺伝子(発現配列)は、上記表1及び図14に概要される337のユニークな(複製のない)核酸分子を反映する。
【0092】
上記アルゴリズムによって生じた34遺伝子の7セットを調査し、そして上記表1に同定されている62の非複製分子を反映することが発見された(「62のセット」の列を参照のこと、これは遺伝子番号(配列番号に対する比較)及び337のエントリー中の発生頻度を介して図14と相互参照することができる)。これらの62遺伝子(発現配列)の発現レベルは、制限のない遺伝子セットの代表的な例として本明細書において議論されており、図2及び本明細書に示される追加的なセットを含む。前立腺癌細胞試料中の62遺伝子の発現レベルは、図1に示されるテスト・セットにおける結果のリスク指標(予測因子)として使用した。
【0093】
例II:異なる患者結果を伴うサブタイプの同定
遺伝子選択は、結果を予測した遺伝子を同定するために124の試料のトレーニング・セットと共に使用した。その後、同定した遺伝子を癌細胞の単離による67の試料のテスト・セットにおける結果を予測するために使用した(図3A及び3Bを参照のこと)。予測された結果を、試料が得られた患者について実証された結果と比較した。
【0094】
代表的な例として、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブを、例えばマイクロアレイ上に固定し、その後1×ハイブリダイゼーション緩衝液中65℃の共ハイブリダイゼーション反応において、Cy5−標識化試料RNA及びCy3−標識化参照RNAとハイブリダイズさせる。固定化標識を、0.1×SSC/0.005% Triton X−102により37℃で洗浄する。イメージ分析ソフトウェアを用いてイメージ分析を行う。強度依存性非線形回帰を用いて粗Cy5/Cy3比を標準化する。
【0095】
全試料からの標準化したCy5/Cy3比を、各々の遺伝子について中央化(又は平均化)する。適当なソフトウェア、例えばCox回帰分析及びRandom ForestsTMを用いて異なる遺伝子発現の有意性についての同定及び並び替えテストを行う。診断データから疾患を伴わない生存を計算する。事象を一次再発又は遠隔転移としてスコア化する。生存曲線をカプラン−マイヤー評価により算出し、そしてlog−ランク・テストにより比較した。
【0096】
図4〜6は、前立腺癌試料及び患者を評価するために使用された既知の因子との比較における組み合わせとして、本明細書に開示される62の遺伝子セットを用いた代表的なリスク指標(又はリスク・スコア)の成績を示す。該因子は、グリソン・グレード(又はグリソン・スコア)、前立腺癌のためのAJCCステージング系、及び術前(外科的介入前)PSA(前立腺血清抗原)レベルである。これらの比較は、本明細書に開示される遺伝子発現プロフィールがこれらの他因子と相関し、したがって、これらの因子のいずれか1又は複数の組み合わせにおいて、あるいは単独で使用し、各々のこれらの因子によって提供される情報を概括できることを示す。
【0097】
該62遺伝子(発現配列)の発現レベルはまた、トレーニング・セットの124試料及びテスト・セットの67試料を「高」及び「低」リスク分類に分けることができることが見出された(図7を参照のこと)。
【0098】
例III:異なる前立腺癌グレードにおけるサブタイプの同定
図7との組み合わせにおいて、図4は、代表的な62遺伝子の発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)が、グリソン・グレードと一致する様式において試料(及び患者)を分類するために使用できることを実証する。ここで、グレードが高くなるにつれ、ゼロ値以上のリスク・スコアの可能性がより上昇し、したがって不良な結果のリスクが高くなる。ゼロ値は、セット中の全前立腺癌試料におけるスコアの平均値及び/又は中央値を表す。「高リスク」分類はゼロ以上のリスク・スコアに基づき、そして「低リスク」分類はゼロ以下の値に基づく。結果として、該リスク・スコア(又はリスク指標)は、<=6又は7(あるいは>=8)のグリソン・グレードを伴う試料及び患者を本明細書に記載される「高」及び「低」リスクグループに分類するために使用することができる。図8を参照のこと。
【0099】
これは、該リスク・スコア(又はリスク指標)が、グリソン・グレードの使用とは独立して、試料及び患者を分類するために使用できることを実証する。あるいは、2つの分析は、任意の順番で一緒に使用することができる。例えば、グリソン・グレードの決定後、<=6又は7(あるいは>=8)のグレードを伴う試料(及び患者)におけるリスク・スコアが決定される。
【0100】
該併用は、適当な又は更なる臨床治療、例えば当業者に既知の化学治療、放射能治療、又は凍結治療のための高リスクの対象を「決定(rule in)」し、そして所望されない副作用を伴う治療を不必要にしないように低リスクの対象を「除外(rule out)」するために特に有利である。
【0101】
例IV:異なる前立腺癌ステージにおけるサブクラスの同定
図7との組み合わせにおいて、図5は、代表的な62の遺伝子セットの発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)が、AJCC前立腺癌ステージと一致する様式において試料(及びその患者)を分類するために使用できることを実証する。ここで、ステージIIIは、ゼロ値以上のリスク・スコアとより相関するようであり、そして不良な結果のより高いリスクが存在する。ゼロ値はまた、セット中の全前立腺癌試料におけるスコアの平均値及び/又は中央値を表す。「高リスク」グループはゼロ以上のリスク・スコアに基づき、そして「低リスク」グループはゼロ以下の値に基づく。結果として、該リスク・スコア(又はリスク指標)は、AJCCステージII又はIII分類を伴う試料及びその患者を、本明細書に記載される「高」及び「低」リスクグループに分類するために使用することができる。
【0102】
これは、該リスク・スコア(又はリスク指標)が、AJCCステージ評価の使用から独立して、試料及びその患者を分類するために使用できることを実証する。あるいは、2つの分析は、任意の順番で一緒に使用することができる。例えば、AJCCステージの決定後、ステージII又はIII前立腺癌を伴う試料(及びその患者)におけるリスク・スコアが決定される。
【0103】
該併用は、熟練した臨床医に既知の適当な臨床治療のための高いリスクの対象を「決定(rule in)」し、そして所望されない副作用を伴う治療を合理的に回避するため低リスクの対象を「除外(rule out)」するために特に有利である。併用はまた、「静観」に適した患者又は対象の分類を変更することができる。
【0104】
例V:術前PSA分析との比較
上記グリソン・グレード及びAJCCステージ分析は共に前立腺癌細胞試料の使用を必要とするが、代表的な62の遺伝子セットの発現レベルに基づく「高」及び「低」サブクラスにおけるリスク・スコア(又はリスク指標)の図6における一貫性は、上述のリスク・スコアとの組み合わせにおいて術前PSA値を考慮すべきことを示す。該組み合わせは、順番に、例えば術前PSA値の決定後、30以上、25以上、20以上、15以上、10以上又は5以上のPSA値を有する試料(及びその患者)のリスク・スコアを決定する。
【0105】
例VI:Cox回帰分析による遺伝子の同定
92遺伝子(又は発現配列)を同定するためにCox回帰分析を使用した。その発現レベルは、上述のとおり、前立腺癌細胞含有試料を同定することが可能である。これらの92遺伝子(又は発現配列)中67遺伝子は、図14及び表1の337遺伝子(又は発現配列)と共通する(図14又は表1の「Cox92」列を参照のこと。これは遺伝子番号(対配列番号)及び頻度により互いに相互参照させることができる)。92遺伝子中の残りの25遺伝子(又は発現配列)を図15及び以下の表3に挙げる。これは、遺伝子番号(配列番号との比較における)、ならびにz及びp値により、互いに相互参照させることができる。
【0106】
【表13】
【0107】
本明細書に引用される全ての参考文献、例えば特許、特許出願及び公報は、予め具体的に組み込まれているかにかかわらず、その全てが参考により本明細書に組み込まれている。
【0108】
このたび、本発明は十分に記載されているため、当業者は、本明細書の開示の精神の範囲を離れることなく、かつ過剰な実験をすることなく、同等のパラメーター、濃度、及び条件の広い範囲において実施することが可能である。
【0109】
本明細書は、具体的な実施形態に関連して記載されているが、更なる改変が可能であることが理解されるものと考えられる。本願は、一般的な開示の原則に従い、本発明のいずれかの変更、使用、又は適合を網羅することを意図し、本発明に属する当業界に既知又は慣習的な実施内の本明細書の開示を離れたものを含み、かつ本明細書に記載される本質的な特徴に適用されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺癌に罹患している対象の癌の再発及び/又は生存結果、又は予後を決定するための方法であって、該方法は、該対象の前立腺癌細胞を含む試料を遺伝子の発現レベルについてアッセイする工程を含んで成り、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、又は
前立腺切除から約1年後の上昇したPSAレベル、
に相関することを特徴とする、方法。
【請求項2】
対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための方法であって、該方法は、
該対象由来の前立腺癌細胞を含む試料を図14及び15の遺伝子番号1〜362から選択される2以上の遺伝子の発現レベルについてアッセイする工程、
各々の遺伝子の発現レベル又は集合発現レベルと前立腺癌細胞における平均発現値又は中央発現値とを比較する工程、及び
該対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定する工程、
を含んで成り、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、又は
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、
に相関することを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記方法が、決定された癌の再発及び/又は生存結果を伴う対象のための治療を選択する工程をさらに含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アッセイが、前記試料からRNAを調製する工程を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記RNAがPCRのために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アッセイがアレイを使用する工程を含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、前立腺切除において除去された組織から解体される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記PCRが、RT−PCR、任意にはリアルタイムRT−PCRである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記発現レベルが、<0.0001のp値と相関する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、単離された前立腺癌細胞を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前立腺切除後の前立腺癌患者のための治療処置を決定するための方法であって、該方法は、
該患者由来の前立腺癌細胞の試料を遺伝子の発現レベルについてアッセイすることにより、該患者についての癌の再発及び/又は生存結果を決定する工程であって、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、又は
前立腺切除から約1年後の上昇したPSAレベル、
に相関することを特徴とする、工程、及び
かかる癌の再発及び/又は生存結果を伴う患者のための治療を選択する工程、を含んで成る方法。
【請求項12】
前記治療が化学療法を含んで成る、請求項3又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記治療が放射線治療を含んで成る、請求項3又は11に記載の方法。
【請求項14】
i)前記試料における前立腺癌のグレードを決定する工程、
ii)前記試料における前立腺癌のステージを決定する工程、又は
iii)これらの両方の工程;
をさらに含んで成り、ここでi)、ii)又はi)とii)の両方は、前記対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定する前に任意に行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前立腺癌グレードの決定がグリソン・スコアの決定を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前立腺癌ステージの測定がAJCCステージの決定を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための多変量分析を生成するためにグリソン・スコアにより前立腺癌グレードを決定する工程、及びAJCCステージに従い前立腺癌ステージを決定する工程を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前立腺癌細胞を含む試料を提供するために用いられる前立腺切除の任意的な前に、対象における前立腺血清抗原(PSA)を決定する工程をさらに含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
4以上、例えば6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、32以上、34以上、36以上、38以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上又は92以上の遺伝子の発現レベルがアッセイされる、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記アッセイが、プローブとして配列番号1の使用を任意に介して、遺伝子番号1の発現レベルを決定する工程を含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項1】
前立腺癌に罹患している対象の癌の再発及び/又は生存結果、又は予後を決定するための方法であって、該方法は、該対象の前立腺癌細胞を含む試料を遺伝子の発現レベルについてアッセイする工程を含んで成り、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、又は
前立腺切除から約1年後の上昇したPSAレベル、
に相関することを特徴とする、方法。
【請求項2】
対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための方法であって、該方法は、
該対象由来の前立腺癌細胞を含む試料を図14及び15の遺伝子番号1〜362から選択される2以上の遺伝子の発現レベルについてアッセイする工程、
各々の遺伝子の発現レベル又は集合発現レベルと前立腺癌細胞における平均発現値又は中央発現値とを比較する工程、及び
該対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定する工程、
を含んで成り、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、又は
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、
に相関することを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記方法が、決定された癌の再発及び/又は生存結果を伴う対象のための治療を選択する工程をさらに含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アッセイが、前記試料からRNAを調製する工程を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記RNAがPCRのために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アッセイがアレイを使用する工程を含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、前立腺切除において除去された組織から解体される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記PCRが、RT−PCR、任意にはリアルタイムRT−PCRである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記発現レベルが、<0.0001のp値と相関する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、単離された前立腺癌細胞を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前立腺切除後の前立腺癌患者のための治療処置を決定するための方法であって、該方法は、
該患者由来の前立腺癌細胞の試料を遺伝子の発現レベルについてアッセイすることにより、該患者についての癌の再発及び/又は生存結果を決定する工程であって、ここで該発現レベルは、
癌の再発及び/又は転移の低いリスク、
癌の再発及び/又は転移の高いリスク、又は
前立腺切除から約1年後の上昇したPSAレベル、
に相関することを特徴とする、工程、及び
かかる癌の再発及び/又は生存結果を伴う患者のための治療を選択する工程、を含んで成る方法。
【請求項12】
前記治療が化学療法を含んで成る、請求項3又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記治療が放射線治療を含んで成る、請求項3又は11に記載の方法。
【請求項14】
i)前記試料における前立腺癌のグレードを決定する工程、
ii)前記試料における前立腺癌のステージを決定する工程、又は
iii)これらの両方の工程;
をさらに含んで成り、ここでi)、ii)又はi)とii)の両方は、前記対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定する前に任意に行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前立腺癌グレードの決定がグリソン・スコアの決定を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前立腺癌ステージの測定がAJCCステージの決定を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記対象における前立腺癌の再発及び/又は転移のリスクを決定するための多変量分析を生成するためにグリソン・スコアにより前立腺癌グレードを決定する工程、及びAJCCステージに従い前立腺癌ステージを決定する工程を含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前立腺癌細胞を含む試料を提供するために用いられる前立腺切除の任意的な前に、対象における前立腺血清抗原(PSA)を決定する工程をさらに含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
4以上、例えば6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、28以上、30以上、32以上、34以上、36以上、38以上、40以上、45以上、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上又は92以上の遺伝子の発現レベルがアッセイされる、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記アッセイが、プローブとして配列番号1の使用を任意に介して、遺伝子番号1の発現レベルを決定する工程を含んで成る、請求項2に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図14−4】
【図14−5】
【図14−6】
【図14−7】
【図14−8】
【図14−9】
【図14−10】
【図14−11】
【図14−12】
【図14−13】
【図14−14】
【図15−1】
【図15−2】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図14−4】
【図14−5】
【図14−6】
【図14−7】
【図14−8】
【図14−9】
【図14−10】
【図14−11】
【図14−12】
【図14−13】
【図14−14】
【図15−1】
【図15−2】
【公表番号】特表2010−518868(P2010−518868A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551054(P2009−551054)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/054820
【国際公開番号】WO2008/103971
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509237114)バイオセラノスティクス,インコーポレイティド (2)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/054820
【国際公開番号】WO2008/103971
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509237114)バイオセラノスティクス,インコーポレイティド (2)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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