説明

前立腺癌の診断および治療に有用なKIAA核酸およびポリペプチドの発現分析

【課題】前立腺癌を検出、特定、予防、および治療するために有用なマーカー、およびそれを利用した各評価方法を提供する。
【解決手段】前立腺癌細胞の依存するアンドロゲンの存在でアップレギュレートされるKIAA18マーカー(トランスグルタミナーゼ様スーパーファミリーのメンバー)、またはダウンレギュレートされるKIAA96マーカー(セリン-トレオニンキナーゼ)を利用し、そのmRNAまたはタンパク質の発現レベルを評価する、前立腺癌の検出方法。また、該マーカーを用いる、前立腺癌の誘発物質、または治療用化合物の評価、スクリーニング方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が前立腺癌に罹患しているかどうかを評価する方法であって、
a)対象からのサンプル中のマーカーの発現レベル、ここでマーカーは1またはそれ以上のKIAAマーカーから成る群から選択される;と
b)対照サンプル中のマーカーの発現の正常レベル;
を比較することを含み、対象からのサンプル中のマーカーの発現のレベルと正常レベルの間の有意な差が、当該対象が前立腺癌に罹患していることを示すものである方法。
【請求項2】
マーカーが、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分に対応し、ポリヌクレオチドがマーカーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
サンプルが、対象から得られる細胞を含むものである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
細胞が、前立腺から採取されるものである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
細胞が、血液から採取されるものである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
サンプル中のマーカーの発現のレベルが、前立腺癌に罹患していない対象におけるマーカーの発現の正常レベルから、少なくとも係数2だけ差がある、請求項1記載の方法。
【請求項7】
サンプル中のマーカーの発現のレベルが、前立腺癌に罹患していない対象における当該マーカーの発現の正常レベルから、少なくとも係数3だけ差がある、請求項1記載の方法。
【請求項8】
マーカーが、非前立腺癌細胞において顕著には発現されない、請求項1記載の方法。
【請求項9】
サンプルにおけるマーカーの発現のレベルを、マーカーに対応するタンパク質のサンプル中での存在を検出することにより評価する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
タンパク質の存在を、タンパク質に特異的に結合する試薬を用いて検出する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
試薬が、抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントから成る群から選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
サンプル中のマーカーの発現のレベルを、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分のサンプル中での存在を検出することにより評価する方法であって、転写されたポリヌクレオチドがマーカーを含むものである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
転写されたポリヌクレオチドがmRNAである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
転写されたポリヌクレオチドがcDNAである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
検出のステップが、転写されたポリヌクレオチドを増幅することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
サンプル中のマーカーの発現のレベルを、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でマーカーとアニールするもしくはポリペプチドの部分とアニールする(ここで、ポリヌクレオチドはマーカーを含む)転写されたポリヌクレオチドのサンプル中での存在を検出することにより評価する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
さらに、
a)少なくとも2つのKIAAマーカーのサンプル中での発現のレベルを独立に得ること;
b)前立腺癌に罹患していない対照の対象から得た同じタイプのサンプル中の、少なくとも2つのKIAAマーカーの発現の正常レベルを得ること;
を含み、1以上のマーカーの発現のレベルが、マーカーの発現の対応する正常レベルに対して有意に変化していることが、対象が前立腺癌に罹患していることを示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
対象における前立腺癌の進行をモニターする方法であって、
a)第1の適当な時点で対象サンプルにおいてマーカーの発現を検出すること、ここでマーカーは、KIAA18およびKIAA96またはその組合せから成る群から選択される;
b)その後の適当な時点でステップ(a)を反復すること;および、
c)ステップ(a)と(b)において検出された発現のレベルを比較し、そしてそれより、対象における前立腺癌の進行をモニターすること、
を含む方法。
【請求項19】
マーカーが、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分に対応し、ポリヌクレオチドがマーカーを含むものである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
サンプルが、対象から得られる細胞を含むものである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
細胞が、前立腺から採取されるものである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
細胞が、血液から採取されるものである、請求項20記載の方法。
【請求項23】
対象において前立腺癌を阻害する治療の有効性を評価する方法であって、
a)治療の少なくとも一部を対象に提供する前に対象から得た第1サンプルにおいてKIAA18マーカーの発現を得ること;
b)治療の該一部を提供後に対象から得た第2サンプルにおいてKIAA18マーカーの発現を得ること;
を含み、第2サンプルにおけるマーカーの発現の、第1サンプルに対して有意に低いレベルが、治療が対象において前立腺癌を阻害するのに有効であることを示すものである方法。
【請求項24】
対象において前立腺癌を阻害する治療の有効性を評価する方法であって、
a)治療の少なくとも一部を対象に提供する前に対象から得た第1サンプルにおけるKIAA96マーカーの発現を得ること;
b)治療の該一部を提供後に対象から得た第2サンプルにおけるKIAA96マーカーの発現を得ること;
を含み、第2サンプルにおけるマーカーの発現の、第1サンプルに対して有意に高まったレベルが、治療が対象において前立腺癌を阻害するのに有効であることを示すものである方法。
【請求項25】
試験化合物が細胞において前立腺癌を誘発する潜在的能力を評価する方法であって、
a)試験化合物の存在および不在下に細胞の別個の部分標本を維持すること;および、
b)部分標本のそれぞれにおけるKIAA18マーカーの発現を比較すること、
を含み、試験化合物の存在下に維持した部分標本におけるKIAA18マーカーの発現の、試験化合物の不在下に維持した部分標本に対して有意に高まったレベルが、試験化合物が細胞において前立腺癌を誘発する潜在的能力を有することを示すものである方法。
【請求項26】
試験化合物が細胞において前立腺癌を誘発する潜在的能力を評価する方法であって、
a)試験化合物の存在および不在下に細胞の別個の部分標本を維持すること;および、
b)部分標本のそれぞれにおけるKIAA96マーカーの発現を比較すること、
を含み、試験化合物の存在下に維持した部分標本におけるKIAA96マーカーの発現の、試験化合物の不在下に維持した部分標本に対して有意に低下したレベルが、試験化合物が細胞において前立腺癌を誘発する潜在的能力を有することを示すものである方法。
【請求項27】
KIAA18マーカーに対応するポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを対象の細胞に提供することを含む、前立腺癌に罹患している対象を治療する方法。
【請求項28】
前立腺癌を進行させる危険のある対象において前立腺癌を阻害する方法であって、KIAA18マーカーに対応する遺伝子の発現を阻害することを含む方法。
【請求項29】
抗−KIAA18抗体を投与することを含む、前立腺癌に罹患している対象を治療する方法。
【請求項30】
KIAA96によりコードされるセリントレオニンキナーゼを対象の細胞に送達することを含む、前立腺癌に罹患している対象を治療する方法。
【請求項31】
対象の細胞においてKIAA96を発現させることを含む、前立腺癌に罹患している対象を治療する方法。
【請求項32】
前立腺癌を治療するのに有用な化合物を同定する方法であって、
a)試験化合物の存在下における細胞中のKIAA18マーカーの発現レベルを測定すること;および、
b)ステップ(a)において測定された発現を、試験化合物の不在下での細胞中のKIAA18マーカーの発現と比較すること、
を含み、試験化合物の存在下でのKIAA18マーカーの発現レベルが、試験化合物の不在下でのその発現レベルよりも低い場合に、試験化合物が前立腺癌を治療するのに有用なものである方法。
【請求項33】
発現レベルを、KIAA18マーカーのmRNAのレベルを測定することにより決定する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
発現レベルを、KIAA18マーカーのタンパク質のレベルを測定することにより決定する、請求項32記載の方法。
【請求項35】
細胞が前立腺癌細胞である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前立腺癌を治療するのに有用な化合物を同定する方法であって、
a)試験化合物の存在下における細胞中のKIAA96マーカーの発現レベルを測定すること;および、
b)ステップ(a)において測定された発現を、試験化合物の不在下での細胞中のKIAA96マーカーの発現と比較すること、
を含み、試験化合物の存在下でのKIAA96マーカーの発現レベルが、試験化合物の不在下でのその発現レベルよりも高い場合に、化合物が前立腺癌を治療するのに有用なものである方法。
【請求項37】
発現レベルを、KIAA96マーカーのmRNAのレベルを測定することにより決定する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
発現レベルを、KIAA96マーカーのタンパク質のレベルを測定することにより決定する、請求項36記載の方法。
【請求項39】
細胞が前立腺癌細胞である、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前立腺癌を治療するのに有用な化合物を同定する方法であって、
a)KIAA18マーカーの活性を測定すること;および、
b)ステップ(a)において測定された活性を、試験化合物の不在下でのKIAA18マーカーの活性と比較すること、
を含み、試験化合物の存在下でのKIAA18マーカーの活性が、試験化合物の不在下でのその活性よりも低い場合に、化合物が前立腺癌を治療するのに有用なものである方法。
【請求項41】
細胞が前立腺癌細胞である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前立腺癌を治療するのに有用な化合物を同定する方法であって、
a)KIAA96から選択されるマーカーの活性を測定すること;および、
b)ステップ(a)において測定された活性を、試験化合物の不在下でのKIAA96マーカーの活性と比較すること、
を含み、試験化合物の存在下でのKIAA96マーカーの活性が、試験化合物の不在下でのその活性よりも高い場合に、化合物が前立腺癌を治療するのに有用なものである方法。
【請求項43】
KIAA18マーカーの発現を低下させる化合物を患者に投与することを含む、患者において前立腺癌を治療する方法。
【請求項44】
化合物が、KIAA18マーカーのmRNAの発現を低下させるものである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
化合物が、KIAA18マーカータンパク質の発現を低下させるものである、請求項43記載の方法。
【請求項46】
KIAA96マーカーの発現を増加させる化合物を患者に投与することを含む、患者において前立腺癌を治療する方法。
【請求項47】
化合物が、KIAA96マーカーのmRNAの発現を増加させるものである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
化合物が、KIAA96マーカータンパク質の発現を増加させるものである、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前立腺癌に罹患している対象におけるアンドロゲン除去治療の有効性を決定する方法であって、
a)適当な第1時点で、マーカーの発現レベルを対象において検出すること、ここで、マーカーはKIAA18から成る群から選択される;
b)対象がアンドロゲン除去治療を開始した後のその後の適当な時点で、ステップ(a)を反復すること;および、
c)ステップ(a)と(b)において検出されたマーカーの発現のレベルを比較すること、
を含み、発現レベルの低下が、アンドロゲン除去治療が低下効力を有するものであることを示すものである方法。
【請求項50】
前立腺癌に罹患している対象におけるアンドロゲン除去治療の有効性を決定する方法であって、
a)適当な第1時点で、マーカーの発現レベルを対象において検出すること、ここで、マーカーはKIAA96から成る群から選択される;
b)対象がアンドロゲン除去治療を開始した後のその後の適当な時点で、ステップ(a)を反復すること;および、
c)ステップ(a)と(b)において検出されたマーカーの発現のレベルを比較することを含み、発現レベルの増加が、アンドロゲン除去治療が低下効力を有するものであることを示すものである方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−106282(P2009−106282A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272332(P2008−272332)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2002−546767(P2002−546767)の分割
【原出願日】平成13年11月28日(2001.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】