前立腺癌密封小線源挿入補助具
【課題】穿刺針の位置調整が容易な前立腺癌密封小線源挿入補助具を提供する。
【解決手段】前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、例えばアクリル素材、ガラス等よりなる透明材料の基板１１の主表面にマトリックス状に配置された、例えば７×７の針挿入孔１３が設けられ、その列方向の針挿入孔群には下側から１〜７のラベリングが、その行方向の針挿入孔群には左側からＡ〜Ｇのラベリングが付されて、グリッドテンプレートを形成している。これにより、各針挿入孔１３の夫々を、例えばマトリックス位置表示によって位置を特定することができるようになっていて、穿刺時の穿刺針２の位置調整を可視的に行なうことができる。
【解決手段】前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、例えばアクリル素材、ガラス等よりなる透明材料の基板１１の主表面にマトリックス状に配置された、例えば７×７の針挿入孔１３が設けられ、その列方向の針挿入孔群には下側から１〜７のラベリングが、その行方向の針挿入孔群には左側からＡ〜Ｇのラベリングが付されて、グリッドテンプレートを形成している。これにより、各針挿入孔１３の夫々を、例えばマトリックス位置表示によって位置を特定することができるようになっていて、穿刺時の穿刺針２の位置調整を可視的に行なうことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、前立腺癌の小線源治療を行なう際に使用する前立腺癌密封小線源挿入補助具に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、日本人の食生活の欧米化等に伴って前立腺癌の発生率は漸増の傾向に有る。前立腺癌の治療法としては、薬物投与を主とした内科療法と、前立腺癌の全摘出または部分摘出の外科的療法、または放射線療法が適用されている。放射線療法も患部に外部から放射線を照射する療法と、体内の前立腺癌に密封小線源を挿入する前立腺癌密封小線源挿入治療が知られている。特に、前立腺癌密封小線源挿入治療は一度体内に密封小線源を挿入することにより生涯そのままで済むことから、この療法を希望する患者が増える傾向にある。
【０００３】
このような前立腺癌の小線源治療装置としては、表示装置と治療冶具を有し、該治療冶具は、該表示装置にリニア画像とコンベックス画像を表示させる超音波探触子と、該コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる密封小線源挿入補助具とを備え、該リニア画像は前記超音波探触子の周側面に並設される超音波振動子群により得られ、該グリッドテンプレートの針挿入孔位置情報の入力手段と、現在のリニア画像の画像面に相当する角度に対し前記入力情報から導かれる画像面であって前記針を含む画像面に相当する角度を算出する演算手段と、演算手段から算出される角度に前記超音波振動子群を超音波探触子の軸周りに回転させる回転機構とを備えた治療装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３２０５９０号公報
【０００４】
従来の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、通常、コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有する不透明のグリッドテンプレートで構成されていた。その一例を図４により説明する。図において、１は密封小線源挿入補助具であり、カーボン材等の不透明の基板１０に、この例では列の１，２・・・７、行のＡ，Ｂ・・・Ｇの交差点とその中間に穿刺針の挿入穴１３が複数形成されてなるグリッドテンプレートを形成し、更に治療装置の台座に固定するための接続コネクタ１２が設置されているものが用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
このように、従来の不透明な材料で形成された前立腺癌密封小線源挿入補助具は、前立腺癌に対する密封小線源治療で線源を体内に留置する際、通常、穿刺針を目的の位置に挿入するためには、表示装置上の位置を確認しながら指を用いて、若しくは、細棒の先端に押し、引くのためのフックが形成されたディドラーと呼ばれる部材等を密封小線源挿入補助具と皮膚の間に挿入し、細かい穿刺位置の調節を行うが、他の穿刺針が邪魔になり調節をするのに苦労があった。そこで、本発明はこれらの問題点を解決する新規な前立腺癌密封小線源挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために、この発明の請求項１に係る前立腺癌密封小線源挿入補助具は、表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられている構成とした。
【０００７】
これにより、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できる。
【０００８】
この発明の請求項２に係る前立腺癌密封小線源挿入補助具は、表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に間隔が同一ピッチまたは任意の間隔ピッチで形成された穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられている構成とした。
【０００９】
これにより、前立腺癌密封小線源挿入補助具の前記穿刺針の挿入穴の間隔は同一ピッチとして標準化することもできるし、必要に応じて患部の特徴にあわせて任意の間隔ピッチで形成された複数のパターンを準備することができる。
【発明の効果】
【００１０】
以上のように、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具が用いられるは前立腺癌密封小線源挿入治療の概要を図１により説明する。１は本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具であり、透明な材料により構成されている。２は穿刺針、３は超音波探触子（プローブ）、４は延在部、５は患者、６は前立腺、７は直腸、８は探触子固定台、９はサブ固定台、１２は接続コネクタである。
【００１２】
一般に超音波探触子３は、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第１超音波振動子と、先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第２超音波振動子とが備えられている。
【００１３】
第１超音波振動子はその駆動によって所謂リニア画像と呼ばれる画像情報を、また、第２超音波振動子はその駆動によって所謂コンベックス画像と呼ばれる画像情報を得ることができ、これら各画素情報は表示装置（図示せず）に表示されるようになっている。
【００１４】
超音波探触子３はその軸方向に延在する延在部４が取り付けられ、この延在部４は探触子固定台８に支持されるようになっている。また、この探触子固定台８に対して該超音波探触子３はその軸方向に移動でき、また、該軸に対して所定の範囲の回転ができるようになっている。更に、前記超音波探触子３の軸方向の移動に伴って同方向の移動がなされるように前立腺癌密封小線源挿入補助具１が配置されている。
【００１５】
即ち、超音波探触子３の延在部４を支持するサブ固定台９を有し、該超音波探触子３は回転可能にサブ固定台９に取り付けられている。また、サブ固定台９には前記前立腺癌密封小線源挿入補助具１が固定されている。更に、サブ固定台９は探触子固定台８に対し、該サブ固定台９が超音波探触子３の軸方向と一致する方向に移動可能に取り付けられている。また、前記前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、これに取り付けた接続コネクタ１２を介してサブ固定台９に取り付けられる。
【００１６】
前立腺癌密封小線源挿入補助具１の実施例の平面図を図２に、斜視図を図３に示す。前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、例えばアクリル素材、ガラス等よりなる透明材料の基板１１の主表面にマトリックス状に配置された、例えば７×７の針挿入孔１３が設けられ、その列方向の針挿入孔群には下側から１〜７のラベリングが、その行方向の針挿入孔群には左側からＡ〜Ｇのラベリングが付されて、グリッドテンプレートを形成している。これにより、各針挿入孔１３の夫々を、例えばマトリックス位置表示によって位置を特定することができるようになっている。
【００１７】
密封小線源挿入補助具１には、その所定の針挿入孔１３に穿刺針２を挿入することができ、該穿刺針２は密封小線源挿入補助具１をガイドとして超音波探触子３の軸方向に移動することができるようになっている。なお、放射物質を内包するカプセルを患者の所定の前立腺内に残存させることを可能にするため、この穿刺針２の先端には該カプセルが配置されるように構成されている。穿刺針２を密封小線源挿入補助具１上のどの針挿入孔１３に挿入するかは、例えば超音波探触子３によって得られる表示装置の画像に基づいてなされるようになっている。
【００１８】
前立腺癌の小線源治療に用いられる治療装置は、それを扱う術者によって次のような作業がなされる。まず術者は、治療装置に備えられる超音波探触子３を患者５の直腸７に挿入し、該超音波探触子３の先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群から得られるコンベックス画像を表示装置（図示せず）に表示させる。
【００１９】
表示装置のコンベックス画像にはその位置を特定できる情報が重ねて表示され、この情報から判断された位置情報に基づいて、術者は、前記超音波探触子３に備えられた前立腺癌密封小線源挿入補助具１の前記位置情報に対応する位置の針挿入孔１３を通して穿刺針２を挿入する。
【００２０】
該穿刺針２は、例えばその先端部にて放射性物質を内包するカプセル等が配置され、このカプセル等は該穿刺針２の先端部が前立腺６の所定の箇所に位置づけられた際に、前立腺６内に放出される。
【００２１】
また、超音波探触子３には、前記コンベックス画像を表示させる超音波振動子群とは別に、リニア画像を表示させるものであって、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群を備えて構成され、この超音波振動子群を超音波探触子３の軸に対して回転させることにより、前記穿刺針２を含む平面と一致するリニア画像を得るようにしている。
【００２２】
これにより、コンベックス画像に映像される穿刺針２はそれが点として表示されるのに対し、リニア画像に映像される穿刺針２は線として表示される。従って、リニア画像を観察することにより、該穿刺針２の深さ方向に該針がどれだけ入っているか、また、該穿刺針自身が真っ直ぐに刺さっているか否か、さらに、針の先端から前立腺６内にカプセルを所定間隔で離して残存させる場合にそれが正確にできているか否か等を容易に把握できるようになる。
【００２３】
このように、従来の不透明な材料で形成された前立腺癌密封小線源挿入補助具は、前立腺癌に対する密封小線源治療で線源を体内に留置する際、通常、穿刺針を目的の位置に挿入するためには、表示装置上の位置を確認しながら指を用いて、若しくは、細棒の先端に押し、引くのためのフックが形成されたディドラーと呼ばれる部材等を密封小線源挿入補助具と皮膚の間に挿入し、細かい穿刺位置の調節を行うが、他の穿刺針が邪魔になり調節をするのに苦労があったが、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できるようになった。
【００２４】
図２、図３の実施例の前立腺癌密封小線源挿入補助具においては、前記穿刺針２の挿入穴１３の間隔は同一ピッチで表示されているが、必要に応じて患部の特徴にあわせて任意の間隔ピッチで形成された複数のパターンを準備することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の補助具を用いる前立腺癌密封小線源挿入治療概要図。
【図２】本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具の平面図。
【図３】本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具の斜視図図。
【図４】従来の前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【符号の説明】
【００２６】
１ 前立腺癌密封小線源挿入補助具
２ 穿刺針
３ 超音波探触子（プローブ）
４ 延在部
５ 患者
６ 前立腺
７ 直腸
８ 探触子固定台
９ サブ固定台
１０ 不透明材料のの基板
１１ 透明材料の基板
１２ 接続コネクタ
１３ 針挿入孔
【技術分野】
【０００１】
本発明は、前立腺癌の小線源治療を行なう際に使用する前立腺癌密封小線源挿入補助具に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、日本人の食生活の欧米化等に伴って前立腺癌の発生率は漸増の傾向に有る。前立腺癌の治療法としては、薬物投与を主とした内科療法と、前立腺癌の全摘出または部分摘出の外科的療法、または放射線療法が適用されている。放射線療法も患部に外部から放射線を照射する療法と、体内の前立腺癌に密封小線源を挿入する前立腺癌密封小線源挿入治療が知られている。特に、前立腺癌密封小線源挿入治療は一度体内に密封小線源を挿入することにより生涯そのままで済むことから、この療法を希望する患者が増える傾向にある。
【０００３】
このような前立腺癌の小線源治療装置としては、表示装置と治療冶具を有し、該治療冶具は、該表示装置にリニア画像とコンベックス画像を表示させる超音波探触子と、該コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる密封小線源挿入補助具とを備え、該リニア画像は前記超音波探触子の周側面に並設される超音波振動子群により得られ、該グリッドテンプレートの針挿入孔位置情報の入力手段と、現在のリニア画像の画像面に相当する角度に対し前記入力情報から導かれる画像面であって前記針を含む画像面に相当する角度を算出する演算手段と、演算手段から算出される角度に前記超音波振動子群を超音波探触子の軸周りに回転させる回転機構とを備えた治療装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３２０５９０号公報
【０００４】
従来の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、通常、コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有する不透明のグリッドテンプレートで構成されていた。その一例を図４により説明する。図において、１は密封小線源挿入補助具であり、カーボン材等の不透明の基板１０に、この例では列の１，２・・・７、行のＡ，Ｂ・・・Ｇの交差点とその中間に穿刺針の挿入穴１３が複数形成されてなるグリッドテンプレートを形成し、更に治療装置の台座に固定するための接続コネクタ１２が設置されているものが用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
このように、従来の不透明な材料で形成された前立腺癌密封小線源挿入補助具は、前立腺癌に対する密封小線源治療で線源を体内に留置する際、通常、穿刺針を目的の位置に挿入するためには、表示装置上の位置を確認しながら指を用いて、若しくは、細棒の先端に押し、引くのためのフックが形成されたディドラーと呼ばれる部材等を密封小線源挿入補助具と皮膚の間に挿入し、細かい穿刺位置の調節を行うが、他の穿刺針が邪魔になり調節をするのに苦労があった。そこで、本発明はこれらの問題点を解決する新規な前立腺癌密封小線源挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために、この発明の請求項１に係る前立腺癌密封小線源挿入補助具は、表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられている構成とした。
【０００７】
これにより、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できる。
【０００８】
この発明の請求項２に係る前立腺癌密封小線源挿入補助具は、表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に間隔が同一ピッチまたは任意の間隔ピッチで形成された穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられている構成とした。
【０００９】
これにより、前立腺癌密封小線源挿入補助具の前記穿刺針の挿入穴の間隔は同一ピッチとして標準化することもできるし、必要に応じて患部の特徴にあわせて任意の間隔ピッチで形成された複数のパターンを準備することができる。
【発明の効果】
【００１０】
以上のように、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具が用いられるは前立腺癌密封小線源挿入治療の概要を図１により説明する。１は本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具であり、透明な材料により構成されている。２は穿刺針、３は超音波探触子（プローブ）、４は延在部、５は患者、６は前立腺、７は直腸、８は探触子固定台、９はサブ固定台、１２は接続コネクタである。
【００１２】
一般に超音波探触子３は、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第１超音波振動子と、先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第２超音波振動子とが備えられている。
【００１３】
第１超音波振動子はその駆動によって所謂リニア画像と呼ばれる画像情報を、また、第２超音波振動子はその駆動によって所謂コンベックス画像と呼ばれる画像情報を得ることができ、これら各画素情報は表示装置（図示せず）に表示されるようになっている。
【００１４】
超音波探触子３はその軸方向に延在する延在部４が取り付けられ、この延在部４は探触子固定台８に支持されるようになっている。また、この探触子固定台８に対して該超音波探触子３はその軸方向に移動でき、また、該軸に対して所定の範囲の回転ができるようになっている。更に、前記超音波探触子３の軸方向の移動に伴って同方向の移動がなされるように前立腺癌密封小線源挿入補助具１が配置されている。
【００１５】
即ち、超音波探触子３の延在部４を支持するサブ固定台９を有し、該超音波探触子３は回転可能にサブ固定台９に取り付けられている。また、サブ固定台９には前記前立腺癌密封小線源挿入補助具１が固定されている。更に、サブ固定台９は探触子固定台８に対し、該サブ固定台９が超音波探触子３の軸方向と一致する方向に移動可能に取り付けられている。また、前記前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、これに取り付けた接続コネクタ１２を介してサブ固定台９に取り付けられる。
【００１６】
前立腺癌密封小線源挿入補助具１の実施例の平面図を図２に、斜視図を図３に示す。前立腺癌密封小線源挿入補助具１は、例えばアクリル素材、ガラス等よりなる透明材料の基板１１の主表面にマトリックス状に配置された、例えば７×７の針挿入孔１３が設けられ、その列方向の針挿入孔群には下側から１〜７のラベリングが、その行方向の針挿入孔群には左側からＡ〜Ｇのラベリングが付されて、グリッドテンプレートを形成している。これにより、各針挿入孔１３の夫々を、例えばマトリックス位置表示によって位置を特定することができるようになっている。
【００１７】
密封小線源挿入補助具１には、その所定の針挿入孔１３に穿刺針２を挿入することができ、該穿刺針２は密封小線源挿入補助具１をガイドとして超音波探触子３の軸方向に移動することができるようになっている。なお、放射物質を内包するカプセルを患者の所定の前立腺内に残存させることを可能にするため、この穿刺針２の先端には該カプセルが配置されるように構成されている。穿刺針２を密封小線源挿入補助具１上のどの針挿入孔１３に挿入するかは、例えば超音波探触子３によって得られる表示装置の画像に基づいてなされるようになっている。
【００１８】
前立腺癌の小線源治療に用いられる治療装置は、それを扱う術者によって次のような作業がなされる。まず術者は、治療装置に備えられる超音波探触子３を患者５の直腸７に挿入し、該超音波探触子３の先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群から得られるコンベックス画像を表示装置（図示せず）に表示させる。
【００１９】
表示装置のコンベックス画像にはその位置を特定できる情報が重ねて表示され、この情報から判断された位置情報に基づいて、術者は、前記超音波探触子３に備えられた前立腺癌密封小線源挿入補助具１の前記位置情報に対応する位置の針挿入孔１３を通して穿刺針２を挿入する。
【００２０】
該穿刺針２は、例えばその先端部にて放射性物質を内包するカプセル等が配置され、このカプセル等は該穿刺針２の先端部が前立腺６の所定の箇所に位置づけられた際に、前立腺６内に放出される。
【００２１】
また、超音波探触子３には、前記コンベックス画像を表示させる超音波振動子群とは別に、リニア画像を表示させるものであって、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群を備えて構成され、この超音波振動子群を超音波探触子３の軸に対して回転させることにより、前記穿刺針２を含む平面と一致するリニア画像を得るようにしている。
【００２２】
これにより、コンベックス画像に映像される穿刺針２はそれが点として表示されるのに対し、リニア画像に映像される穿刺針２は線として表示される。従って、リニア画像を観察することにより、該穿刺針２の深さ方向に該針がどれだけ入っているか、また、該穿刺針自身が真っ直ぐに刺さっているか否か、さらに、針の先端から前立腺６内にカプセルを所定間隔で離して残存させる場合にそれが正確にできているか否か等を容易に把握できるようになる。
【００２３】
このように、従来の不透明な材料で形成された前立腺癌密封小線源挿入補助具は、前立腺癌に対する密封小線源治療で線源を体内に留置する際、通常、穿刺針を目的の位置に挿入するためには、表示装置上の位置を確認しながら指を用いて、若しくは、細棒の先端に押し、引くのためのフックが形成されたディドラーと呼ばれる部材等を密封小線源挿入補助具と皮膚の間に挿入し、細かい穿刺位置の調節を行うが、他の穿刺針が邪魔になり調節をするのに苦労があったが、本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具は、透明の材料でなる基板にグリッドテンプレートを形成しているので、複数の穿刺針が刺さった状態でも直接グリッドテンプレートと皮膚の間の針が視認できるため容易にディドラーを目的の針に誘導することが可能とし、線源留置の時に生じる問題点を簡単な工夫で回避できるようになった。
【００２４】
図２、図３の実施例の前立腺癌密封小線源挿入補助具においては、前記穿刺針２の挿入穴１３の間隔は同一ピッチで表示されているが、必要に応じて患部の特徴にあわせて任意の間隔ピッチで形成された複数のパターンを準備することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の補助具を用いる前立腺癌密封小線源挿入治療概要図。
【図２】本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具の平面図。
【図３】本発明の前立腺癌密封小線源挿入補助具の斜視図図。
【図４】従来の前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【符号の説明】
【００２６】
１ 前立腺癌密封小線源挿入補助具
２ 穿刺針
３ 超音波探触子（プローブ）
４ 延在部
５ 患者
６ 前立腺
７ 直腸
８ 探触子固定台
９ サブ固定台
１０ 不透明材料のの基板
１１ 透明材料の基板
１２ 接続コネクタ
１３ 針挿入孔
【特許請求の範囲】
【請求項１】
表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられていることを特徴とする前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【請求項２】
前記穿刺針の挿入穴の間隔は同一ピッチまたは任意の間隔ピッチで形成されることを特徴とする請求項１記載の前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【請求項１】
表示装置と治療冶具を有し、前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートでなる前立腺癌密封小線源挿入補助具とを備えた前立腺癌密封小線源治療装置において、前記補助具は透明の材料でなる基板に、複数の列、行の交差点とその中間点に穿刺針の挿入穴を複数形成してなるグリッドテンプレートを形成し、更に前記補助具には治療装置の台座に固定するための接続コネクタが設けられていることを特徴とする前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【請求項２】
前記穿刺針の挿入穴の間隔は同一ピッチまたは任意の間隔ピッチで形成されることを特徴とする請求項１記載の前立腺癌密封小線源挿入補助具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００９−７７９７２（Ｐ２００９−７７９７２Ａ）
【公開日】平成２１年４月１６日（２００９．４．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２５００２７（Ｐ２００７−２５００２７）
【出願日】平成１９年９月２６日（２００７．９．２６）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り ２００７年４月１４日〜１７日 財団法人 大阪腎臓バンク主催の「第９５回日本泌尿器科学会総会」に文書をもって発表
【出願人】（５０７３２０８２３）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年４月１６日（２００９．４．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年９月２６日（２００７．９．２６）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り ２００７年４月１４日〜１７日 財団法人 大阪腎臓バンク主催の「第９５回日本泌尿器科学会総会」に文書をもって発表
【出願人】（５０７３２０８２３）
【Ｆターム（参考）】
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