説明

前部車体構造

【課題】ブレーキ部品等をダンパハウジング近傍に装着しても、メンテナンス可能に、ダッシュボードアッパでダンパハウジング間を連結できる前部車体構造を提供する。
【解決手段】ダッシュボードロアの上端から前方に向かってダッシュボードアッパ5を延設した前部車体構造において、ダッシュボードアッパ5は、左右の少なくとも一方のダンパハウジング3b側に切り欠き部51aを有し、ダッシュボードアッパ5の上部に左右に延びるスチフナー6を固設し、スチフナー6は左右に延びる横骨61を有し、切り欠き部51aにおいて、横骨61とダンパハウジング3bの上部とを連結する荷重伝達部材10を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードロアの上端から前方に向かって延設された大型のダッシュボードアッパを備える前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンルームと車室を隔てるダッシュボードアッパを形成し、左右のダンパが収まる左右のダンパハウジングを形成した前部車体構造が記載されている。かかる前部車体構造は、ダッシュボードアッパの一端を左のダンパハウジングに接続し、ダッシュボードアッパの他端を右のダンパハウジングに接続するとともに、ダッシュボードアッパの長手方向に並行でかつ長手に直交する断面が凹状の排水路を、ダッシュボードアッパの前後に成形することにより、ダッシュボードアッパの強度を高め、ひいては左右のダンパハウジングの強度を高めている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−213291号公報(段落0024−0025、図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の自動車の性能向上に伴い、エンジンルーム内に設置すべき装置は増加しており、例えば、ダンパハウジングの近傍にブレーキ部品等を装着することが要求されている。
しかしながら、特許文献1に記載の前部車体構造では、ダッシュボードアッパの端部がダンパハウジングに接続されているため、ブレーキ部品等を装着する空間を設けることができなかった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みて創案されたものであり、ブレーキ部品等をダンパハウジング近傍に装着しても、メンテナンス可能に、ダッシュボードアッパでダンパハウジング間を連結できる前部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ダッシュボードロアの上端から前方に向かってダッシュボードアッパを延設した前部車体構造において、前記ダッシュボードアッパは、左右の少なくとも一方のダンパハウジング側に切り欠き部を有し、前記ダッシュボードアッパの上部に左右に延びるスチフナーを固設し、前記スチフナーは左右に延びる横骨を有し、前記切り欠き部において、前記横骨と前記ダンパハウジングの上部とを連結する荷重伝達部材を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構造によれば、ダッシュボードアッパが、ダンパハウジング側に切り欠き部を有することによって、ダンパハウジングの近傍にブレーキ部品等を装着する空間、および、メンテナンスの際に必要な空間が確保される。
また、横骨とダンパハウジングの上部とを連結する荷重伝達部材を備えることによって、ダンパハウジング間が、横骨および荷重伝達部材を介して連結される。そして、横骨を有するスチフナーが、ダッシュボードアッパの上部に固設されていることによって、ダンパハウジング間がダッシュボードアッパで連結されていることとなる。その結果、ダンパハウジング側の荷重が、荷重伝達部材を介して、ダッシュボードアッパおよびスチフナーに、効率よく伝達される。
【0008】
また、前記横骨の後端にはフランジが形成され、前記荷重伝達部材の後端には前記ダッシュボードアッパを介して前記横骨のフランジに接合するフランジが形成されているのが好ましい。
【0009】
このような構造にすれば、ダッシュボードアッパおよびスチフナーから荷重伝達部材へフランジ形状が追従することとなり、ダンパハウジング側の荷重が、荷重伝達部材を介して、ダッシュボードアッパおよびスチフナーに、より一層効率よく伝達される。
【0010】
また、前記横骨の前記切り欠き部側の端部には左右方向に沿ってビードが形成され、前記荷重伝達部材には前記ダッシュボードアッパを介して前記横骨のビードに接合するビードが形成されているのが好ましい。
【0011】
このような構造にすれば、ダッシュボードアッパおよびスチフナーから荷重伝達部材へビード形状が追従することとなり、ダンパハウジング側の荷重が、荷重伝達部材を介して、ダッシュボードアッパおよびスチフナーに、より一層効率よく伝達される。
【0012】
また、前記ダッシュボードアッパの前端にはフランジが形成され、前記荷重伝達部材の前端には前記ダッシュボードアッパのフランジに接合するフランジが形成されているのが好ましい。
【0013】
このような構造にすれば、ダッシュボードアッパから荷重伝達部材へフランジ形状が追従することとなり、ダンパハウジング側の荷重が、荷重伝達部材を介して、ダッシュボードアッパおよびスチフナーに、より一層効率よく伝達される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブレーキ部品等をダンパハウジング近傍に装着しても、メンテナンス可能に、ダッシュボードアッパでダンパハウジング間を連結でき、ダンパハウジングの剛性及び強度が向上した前部車体構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る前部車体構造を有する車両のフロント側のボディを示す斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図1のB部の拡大斜視図である。図4は、図3のC−C線断面図である。図5は、図3の荷重伝達部材をダッシュボードアッパの下部側から見た斜視図である。なお、説明において方向を示すときは、車両の運転席に着座した人から見た前後左右上下を基準にして説明する。
【0016】
本実施形態に係る前部車体構造は、ダッシュボードロアの上端から前方に向かってダッシュボードアッパを延設した前部車体構造において、前記ダッシュボードアッパは、左右の少なくとも一方のダンパハウジング側に切り欠き部を有し、前記ダッシュボードアッパの上部に左右に延びるスチフナーを固設し、前記スチフナーは左右に延びる横骨を有し、前記切り欠き部において、前記横骨と前記ダンパハウジングの上部とを連結する荷重伝達部材を備えることを特徴とする。まず、ダッシュボードアッパが左右の一方のダンパハウジング側に切り欠き部を有する前部車体構造について、以下に説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、車両1は、車両前方の左右両側に、車両1の前後方向に沿って延在するアッパメンバー2、2を備えている。アッパメンバー2、2の後方寄りには、ダンパ(図示省略)を支持するダンパハウジング3a、3bがそれぞれ設けられている。また、車両1のエンジンルームEの後端には、エンジンルームEと車室Rとを仕切るダッシュボードロア4(図2参照)が設置されている。ダッシュボードロア4の上端には、ダッシュボードアッパ5が設置されている。
【0018】
ダッシュボードアッパ5は、ダッシュボードロア4の上端から車両1の前方に向かって板状に延設されており、かつ、その左右端の前方側の一方(図1では右端)が、左右に配置されたダンパハウジングの一方(図1ではダンパハウジング3a)の上部に接合されている。また、ダッシュボードアッパ5の後方側の左右端は、アッパメンバー2,2に接合されている。
【0019】
ダッシュボードアッパ5は、他方のダンパハウジング(図1ではダンパハウジング3b)側に切り欠き部51aを有する。そして、ダッシュボードアッパ5の上部には、ダッシュボードアッパ5を補強するためのスチフナー6が固設されている。スチフナー6の左右端の一方(図1では右端)は、一方のダンパハウジング(図1ではダンパハウジング3a)の上部に接合されている。なお、これらの部材は、例えばスポット溶接やすみ肉溶接によって相互に接合されている。また、スチフナー6の左右端の他方(図1では左端)は、切り欠き部51aにおいて、荷重伝達部材10を介して、他方のダンパハウジング(図1ではダンパハウジング3b)の上部に連結されている。
【0020】
ちなみに、アッパメンバー2、2の後端には、フロントピラー7、7がそれぞれ接合されている。また、アッパメンバー2、2の斜め下方には、車両の前後方向に沿ってフロントサイドフレーム8、8がそれぞれ配置されている。ダンパハウジング3a、3bは、その上端がアッパメンバー2、2に接合され、その下端がフロントサイドフレーム8、8に接合されている。ダンパハウジング3a、3bに支持されるダンパは、タイヤの振動を減衰させる装置である。ダンパには、ショックを吸収するためのコイルスプリング(図示省略)が取り付けられている。ダンパ及びコイルスプリングの下方にはタイヤなどのバネ下部材(図示省略)が連結されている。ダッシュボードアッパ5の上方には、ダッシュボードアッパ5及びスチフナー6を覆うようにウィンドシールドサポート9(図2参照)が設置されている。ウィンドシールドサポート9は、ウィンドシールドWの下端部を支持している。
【0021】
図2に示すように(適宜図1参照)、ダッシュボードアッパ5は、ダッシュボードロア4の上端から車両前方に向かって延設された略板状の鋼製部材である。ダッシュボードアッパ5は、底壁51と、底壁51の周囲を囲うように底壁51に対して略垂直に立ち上がるフランジ52とから構成されている。
【0022】
底壁51は、前端側に形成された略水平な水平部53と、この水平部53の後端から後方に向かうにつれて低くなるように傾斜して延びる傾斜部54と、この傾斜部54の後端から後方に延びる排水部55と、を有する。ダッシュボードアッパ5の後端部には、排水部55と傾斜部54とフランジ52とによって、断面凹状の排水溝56が、左右方向に沿って形成されている。
【0023】
傾斜部54の一方のダンパハウジング3a側の端部には、ダンパの頭部を露出させるための貫通孔54a(図1参照)が形成されている。ダッシュボードアッパ5の他方のダンパハウジング3b側(切り欠き部51a側)の端部(底壁51)には、凹部57(図4参照)が形成されている。凹部57の上面にはスチフナー6がボルト等で接合され、凹部57の下面には荷重伝達部材10がボルト等で接合されている。ダッシュボードアッパ5は、例えばプレス成型によって形成される。
【0024】
図1及び図2に示すように、スチフナー6は、ダッシュボードアッパ5の上部に左右方向に延びて固設された鋼製の補強部材である。スチフナー6は、左右方向に沿って延設され、左右に配置されたダンパハウジングの一方(図1ではダンパハウジング3a)の上部と接合する横骨(以下、第1横骨と称する)61と、第1横骨61の後方において左右方向に延設された第2横骨62と、第1横骨61と第2横骨62とを結合する複数の縦骨63、63・・・と、を含んで構成されている。スチフナー6は、例えば所定の金型で鋼板をプレス成型することによって一体に形成されている。
【0025】
第1横骨61は、ダッシュボードアッパ5の傾斜部54の上面に左右方向に沿って延設されている。第1横骨61の前端には、ダッシュボードアッパ5の底壁51に対して略垂直に立ち上がるように、フランジ61aが折り曲げ形成されている。このフランジ61aによって、第1横骨61の左右方向の曲げ剛性が強化されている。
【0026】
第1横骨61は、一方のダンパハウジング(図1ではダンパハウジング3a)側で、平面視Y字状に形成された端部61bを有し、貫通孔54aから突出したダンパの頭部や取付ボルト(図示省略)を避けて、ダッシュボードアッパ5の上面に接合されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、第1横骨61は、他方のダンパハウジング3b側で、ダッシュボードアッパ5(底壁51)の上面に固定され、ダッシュボードアッパ5の切り欠き部51aにおいて、荷重伝達部材10を介して、他方のダンパハウジング3bの上部に連結されている。そして、第1横骨61と荷重伝達部材10とを、ダッシュボードアッパ5(底壁51の凹部57)を介して接合するために、第1横骨61の底壁61cの後端には、底壁61cに対して略垂直に立設するフランジ61dが形成され、底壁61cの略中央部には、底壁61cに対して下方に突出するビード61eが形成されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、第2横骨62は、ダッシュボードアッパ5の排水部55の上方を覆うように左右方向に延設されている。第2横骨62は、縦骨63の後端から後方に向かうにつれてダッシュボードアッパ5から離れるように傾斜するとともに、ダッシュボードアッパ5の後側のフランジ52の上部と同じ高さ位置で略水平となるように形成されている。第2横骨62の後端は、後側のフランジ52の上部とウィンドシールドサポート9の後端部とに挟まれた状態で固定されている。すなわち、断面凹状に形成された排水溝56と第2横骨62とによって、閉断面が形成されている。これにより、排水溝56の剛性が強化される。なお、第2横骨62には、部材の軽量化のために、複数の肉抜き穴が形成されている(図1参照)。
【0029】
縦骨63は、第1横骨61の後端部と第2横骨62の前端部とに連続して、前後方向に沿って複数形成されている。縦骨63同士の間には、隅が面取りされた平面視略長方形状の貫通孔64が形成されている。各貫通孔64の周囲にはフランジ部64aが立設されている。このフランジ部64aのうち、前後方向に沿ったフランジ部64aによって、縦骨63の前後方向の曲げ剛性が強化されている。縦骨63は、例えばスポット溶接によって、ダッシュボードアッパ5の上面に接合されている。
【0030】
スチフナー6の下面には、前後方向に沿って、上方に向かって凹んだ凹溝65が、互いに間隔を隔てて複数形成されている。凹溝65は、主に、第1横骨61、第2横骨62のうち、貫通孔64の前後に形成されている。第1横骨61、第2横骨62のそれぞれに形成された凹溝65は、貫通孔64を介して互いに連通している。つまり、ダッシュボードアッパ5の上面とスチフナー6の下面との間には、かかる凹溝65,65によって、前後方向に連通する隙間が形成されている。この隙間は、ダッシュボードアッパ5の上面に入り込んだ雨水などを、ダッシュボードアッパ5の後縁部に形成した排水溝56に導くための流路となる。凹溝65は、例えば、スチフナー6を構成する鋼板を、上面が凸状に、かつ下面が凹状になるように折り曲げて(プレス成型して)形成されている。
【0031】
図3〜図5に示すように(適宜図1参照)、荷重伝達部材10は、他方のダンパハウジング3bからダッシュボードアッパ5に向かって延設する板状の鋼製部材から構成され、その一端(図3では右端)において、横骨61とダッシュボードアッパ5(底壁51)を介してボルトで接合され、その他端(図3では左端)において、他方のダンパハウジング3bの上部から突出するボルトへナットで接合されている。
【0032】
荷重伝達部材10は、底壁11と、底壁11の後端に形成されたフランジ12と、底壁11の略中央部に形成されたビード13と、底壁11の前端に形成されたフランジ14とから構成されている。なお、底壁11には、ブレーキ部品等を取り付けるための取付手段15、15(図3、図5では、ナットが取り付けられた孔)が形成されている。荷重伝達部材10は、例えば所定の金型で鋼板をプレス成形することによって一体に成形されている。
【0033】
フランジ12は、底壁11に対して略垂直に立設し、ダッシュボードアッパ5(底壁51の凹部57)を介して、横骨61のフランジ61dと接合する。これにより、荷重伝達部材10の後端のフランジ形状が、横骨61の後端のフランジ形状を追従したものとなり、ダンパハウジング3bからダッシュボードアッパ5及びスチフナー6への荷重伝達効率が向上する。
【0034】
ビード13は、底壁11から下方に断面凹状に突出し、ダッシュボードアッパ5(底壁51の凹部57)を介して、横骨61のビード61eと接合する。これにより、荷重伝達部材10のビード形状が、横骨61の切り欠き部51a側の端部のビード形状を追従したものとなり、ダンパハウジング3bからダッシュボードアッパ5及びスチフナー6への荷重伝達効率が向上する。
【0035】
フランジ14は、底壁11に対して略垂直に立設し、ダッシュボードアッパ5のフランジ52と接合する。これにより、荷重伝達部材10の前端のフランジ形状が、ダッシュボードアッパ5の前端のフランジ形状を追従したものとなり、ダンパハウジング3bからダッシュボードアッパ5及びスチフナー6への荷重伝達効率が向上する。
【0036】
また、図1では、荷重伝達部材10が、エンジンルームEの左側部に備えられている場合を記載したが、エンジンルームEの右側部に備えられている場合(図示せず)においても、同様である。すなわち、ダッシュボードアッパ5は右端に切り欠き部51aを有し、かつ、荷重伝達部材10は、その左端において、スチフナー6(横骨61)の右端とダッシュボードアッパ5を介してボトルで接合され、その右端において、ダンパハウジング3aの上部から突出するボルトへナットで接合されている。
【0037】
つづいて、本実施形態に係る前部車体構造の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、図1、図3〜図5に示すように、ダッシュボードアッパ5が端部に切り欠き部51aを有することによって、ダンパハウジング3bの上部との間に空間が形成され、ダンパハウジング3bの近傍にメンテナンス可能にブレーキ部品等を装着することが可能となる。
【0038】
また、切り欠き部51aにおいて、ダッシュボードアッパ5に固接され、ダンパハウジング3aの上部と接合する横骨61を有するスチフナー6と、ダンパハウジング3bの上部とを連結する荷重伝達部材10を備えることによって、ダンパハウジング3a、3b間が、ダッシュボードアッパ5及びスチフナー6(横骨61)で連結される。そのため、ダンパハウジング3a、3bのそれぞれに負荷される荷重が、ダッシュボードアッパ5及びスチフナー6(横骨61)に効率よく伝達されることとなり、結果的にダンパハウジング3a、3bのそれぞれの剛性及び強度を向上させることが可能となる。
【0039】
特に、荷重伝達部材10の後端に横骨61(フランジ61d)と接合するフランジ12が形成され、略中央部に横骨61(ビード61e)と接合するビード13が形成され、前端にダッシュボードアッパ5(フランジ52)と接合するフランジ14が形成されていることによって、ダッシュボードアッパ5及びスチフナー6(横骨61)から荷重伝達部材10へフランジ形状、ビード形状が追従することとなる。そのため、ダンパハウジング3b側からの荷重伝達効率が向上し、結果的にダンパハウジング3bの剛性及び強度をより一層向上させることが可能となる。
【0040】
前記では、ダッシュボードアッパ5が左右の一方のダンパハウジング3b側に切り欠き部51aを有する前部車体構造について説明したが、本発明は、ダッシュボードアッパ5が左右の両方のダンパハウジング3a、3b側に切り欠き部51a、51aを有する前部車体構造(図示省略)であってもよい。
この場合、ダッシュボードアッパ5およびスチフナー6(横骨61)は、左右に配置されたダンパハウジング3a、3bの上部と直接接合されず、左右の切り欠き部51a、51aに備えられた荷重伝達部材10、10を介してダンパハウジング3a、3bの上部と連結する。他の構成については前記の前部車体構造と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図3〜図5では、荷重伝達部材10として、底壁11と、フランジ12と、ビード13と、フランジ14とから構成されたものを記載したが、底壁11と、フランジ12、ビード13及びフランジ14のうちの1つ以上とから構成されたもの(図示省略)であってもよい。また、横骨61に形成されるビード61e、及び、荷重伝達部材10に形成されるビード13として、下方に断面凹状に突出するビードを記載したが、上方に断面凹状に突出するビード(図示省略)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る前部車体構造を有する車両のフロント側のボディを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB部の拡大斜視図である。
【図4】図3のC−C線断面図である。
【図5】図3の荷重伝達部材をダッシュボードアッパの下部側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
3a、3b ダンパハウジング
4 ダッシュボードロア
5 ダッシュボードアッパ
51a 切り欠き部
52 フランジ
6 スチフナー
61 横骨
61d フランジ
61e ビード
10 荷重伝達部材
12、14 フランジ
13 ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュボードロアの上端から前方に向かってダッシュボードアッパを延設した前部車体構造において、
前記ダッシュボードアッパは、左右の少なくとも一方のダンパハウジング側に切り欠き部を有し、前記ダッシュボードアッパの上部に左右に延びるスチフナーを固設し、
前記スチフナーは左右に延びる横骨を有し、
前記切り欠き部において、前記横骨と前記ダンパハウジングの上部とを連結する荷重伝達部材を備えることを特徴とする前部車体構造。
【請求項2】
前記横骨の後端にはフランジが形成され、前記荷重伝達部材の後端には前記ダッシュボードアッパを介して前記横骨のフランジに接合するフランジが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の前部車体構造。
【請求項3】
前記横骨の前記切り欠き部側の端部には左右方向に沿ってビードが形成され、前記荷重伝達部材には前記ダッシュボードアッパを介して前記横骨のビードに接合するビードが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の前部車体構造。
【請求項4】
前記ダッシュボードアッパの前端にはフランジが形成され、前記荷重伝達部材の前端には前記ダッシュボードアッパのフランジに接合するフランジが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−67113(P2009−67113A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235063(P2007−235063)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】