説明

剛体電車線測定装置

【課題】剛体電車線の幅方向の摩耗に関する情報を得ることが可能で、剛体電車線の状態を高精度で簡易に測定する剛体電車線測定装置を提供する。
【解決手段】本発明は、レール上を移動する保守用車に搭載されて剛体電車線10の測定を行う剛体電車線測定装置であって、ローラー支持部材131によって回動可能に支持されると共に、前記剛体電車線10に接触し前記保守用車の移動に伴い回転する摺接ローラー132と、前記摺接ローラー132の回転を検出するロータリーエンコーダー133と、前記剛体電車線10の幅方向にわたる形状を計測するラインレーザ型2次元形状計測センサ140と、前記ラインレーザ型2次元形状計測センサ140を移動可能に搭載するリニアレール141と、前記ローラー支持部材131と前記リニアレール141とが搭載される計測基台130と、前記摺接ローラー132を一定の荷重で前記剛体電車線10に接触させる定荷重バネ123と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下鉄などに採用されているT型架台方式の剛体電車線のパンタグラフ摺接
面における摩耗状況等を高精度で測定する剛体電車線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の屋外を走行する電車線路においては、電気車両のパンタグラフに給電するためにワイヤなどのトロリ線を張架してこれを介し給電する方式が採用されている。このようなトロリ線を水平に張架するためには、種々の構造物を配する必要があるが、地下鉄などのトンネル内を走行する電車線路の場合、地下の限られた空間内に、これらの構造物を配するための空間を設けることができないというケースがある。そこで剛体電車線を用いる方式が地下鉄には採用されることが多い。
【0003】
このような剛体電車線は電気車両のパンタグラフと摺接するものであるので、鉄道の営業開始後定期的にその状態をチェックする必要がある。そのための装置として、例えば、特許文献1(特開2008−2945号公報)には、レール上を移動する自走式架線工作車によって剛体電車線の凹凸を非接触状態で測定する剛体電車線凹凸測定装置において、該自走式架線工作車に固定される固定枠と、該固定枠に対して可動する可動枠と、該可動枠に固定されて剛体電車線のパンタグラフ摺接面と間の変位を計測する変位計と、当該変位計の上下振動の加速度を計測する加速度計とからなることを特徴とする剛体電車線凹凸測定装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−2945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示されている剛体電車線凹凸測定装置は、変位計と、当該変位計の上下振動の加速度を計測する加速度計とを利用して、加速度計から得られる値を2回積分することによって振動変位分の変位量を得るようにし、そこから剛体電車線の凹凸を求めるものであるが、このような特許文献1に開示されている方法では剛体電車線の車両進行方向(長手方向)の凹凸に係る情報を得ることができるものの、車両進行方向と直角方向(剛体電車線の幅方向)の摩耗に関する情報を得ることができない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、請求項1に係る発明は、レール上を移動する保守用車に搭載されて剛体電車線の測定を行う剛体電車線測定装置であって、ローラー支持部材によって回動可能に支持されると共に、前記剛体電車線に接触し前記保守用車の移動に伴い回転する摺接ローラーと、前記摺接ローラーの回転数を検出するロータリーエンコーダーと、前記剛体電車線の幅方向にわたる形状を計測するラインレーザ型2次元形状計測センサと、前記ラインレーザ型2次元形状計測センサを移動可能に搭載するリニアレールと、前記ローラー支持部材と前記リニアレールとが搭載される計測基台と、前記摺接ローラーを一定の荷重で前記剛体電車線に接触させる定荷重バネと、を有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の剛体電車線測定装置において、前記計測基台の変位を検出する高さ検出用ポテンショメーターを有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の剛体電車線測定装置にお
いて、前記ラインレーザ型2次元形状計測センサの変位を検出するセンサ位置検出用ポテンショメーターを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の剛体電車線測定装置において、前記剛体電車線を支持する碍子の位置を検出する支持点検出用センサが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の剛体電車線測定装置によれば、ラインレーザ型2次元形状計測センサによって剛体電車線の幅方向(車両進行方向と直角方向)にわたる形状を計測するので、剛体電車線の幅方向の摩耗に関する情報を得ることが可能となり、剛体電車線の状態を高精度で簡易に測定することができる。
【0010】
さらに、本発明の剛体電車線測定装置は、構造が簡単で、小型軽量化が図られているので、保守用車にも簡単に設置することができると共に、測定操作が比較的に容易であるために、そのための訓練を受けた熟練の作業員でなくても、測定が可能となる。したがって、測定のための複雑な準備や熟練作業員が必要ないため、コストをかけずに剛体電車線の測定を行うことができる。そして、本発明のような簡易な測定装置によって、早期に剛体電車線の異常摩耗を発見し保守などの対処を行うことができるので、剛体電車線の維持管理がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る剛体電車線測定装置の概略構成を斜視的に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る剛体電車線測定装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図3】ラインレーザ型2次元形状計測センサ140で取得される剛体電車線10周辺の形状データを示す図である。
【図4】剛体電車線10の摩耗データの導出方法を説明する図である。
【図5】剛体電車線10の摩耗データの導出方法を説明する図である。
【図6】本発明の剛体電車線測定装置によって取得される剛体電車線の測定データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る剛体電車線測定装置の概略構成を斜視的に示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る剛体電車線測定装置のブロック構成の概略を示す図である。図1及び図2において、10は剛体電車線、11はT型架台、12は挟持部材、100は剛体電車線測定装置、110は支持基台、111は支持基台側壁部、112は支持基台天板部、113は穴部、120は可動板状部材、121はシャフト部材、123は定荷重バネ、124は高さ検出用ポテンショメーター、125は変位伝達棒状部材、130は計測用基台、131はローラー支持部材、132は摺接ローラー、133はロータリーエンコーダー、140はラインレーザ型2次元形状計測センサ、141はリニアレール、144はセンサ位置検出用ポテンショメーター、145は変位伝達棒状部材、146は支持点検出用超音波センサ、148はキロ程記録用押しボタン、149は番札位置記録用押しボタン、200はパーソナルコンピュータをそれぞれ示している。
【0013】
本実施形態に係る剛体電車線測定装置100は、位置毎の剛体電車線10の摩耗状況、位置毎の剛体電車線10の高さ、位置毎の剛体電車線10の偏位状況に係るデータを取得するものであり、保守用車(モーターカー)に搭載されて使用されるものである。この保
守用車は、例えば、剛体電車線測定装置100と数人の作業員が搭乗でき、電車軌道(不図示)上を走行することが可能な一般的なものを用いることができる。
【0014】
剛体電車線10は通常使用時においては、電車のパンタグラフに接触しパンタグラフに給電を行うものであり、その上面はT型架台11下面に接触しつつ、さらに両側から2つの挟持部材12によって挟持されるようにして固定・支持されている。T型架台11はその長手方向に一定の間隔をもって設けられている不図示の支持点において碍子(不図示)を介し支持されている。
【0015】
保守用車に搭載される支持基台110は、両側に設けられる2つの支持基台側壁部111と、その間にわたされる支持基台天板部112とからなっており、保守用車に対して不動の状態となっている。
【0016】
支持基台天板部112には2つの穴部113が設けられており、この2つの穴部113には可動板状部材120と計測用基台130とを連結している2本のシャフト部材121が移動可能に挿通されるようになっている。このような構造であるために、可動板状部材120と計測用基台130とは、支持基台110に対して上下方向に可動可能となっている。
【0017】
また、支持基台110の支持基台天板部112と、可動板状部材120と間には、一定の荷重をかけることが可能な定荷重バネ123が配されている。このような定荷重バネ123が設けられているために、計測用基台130のローラー支持部材131に回動可能に支持されている摺接ローラー132は、例えば5kgf程度の一定の荷重で剛体電車線10に圧接するようになっている。
【0018】
可動板状部材120には高さ検出用ポテンショメーター124が設けられており、支持基台天板部112に固着されている変位伝達棒状部材125から、可動板状部材120のH−H’方向の変位が伝達されるようになっている。このような高さ検出用ポテンショメーター124によれば、可動板状部材120の変位、すなわち、計測用基台130のローラー支持部材131に回動可能に支持され剛体電車線10に圧接している摺接ローラー132の上下動の変位を検出することができ、剛体電車線10の高さ方向のデータを取得することが可能となる。
【0019】
なお、本実施形態においては、高さ検出用ポテンショメーター124を可動板状部材120に設けて支持基台天板部112との間の変位を計測することによって剛体電車線10の高さ方向のデータを取得するようにしているが、高さ検出用ポテンショメーターを支持基台天板部112に設けて計測用基台130との間の変位を計測することによって剛体電車線10の高さ方向のデータを取得するようにしてもよい。
【0020】
計測用基台130には2つのローラー支持部材131が設けられており、これら2つのローラー支持部材131によって摺接ローラー132が回動可能に支持されるようになっている。また、この摺接ローラー132は、剛体電車線10に接触し保守用車のF方向への移動に伴い、R方向に回転するようになっている。また、前述したとおり、摺接ローラー132は、一定の荷重で剛体電車線10に圧接するようになっており、このために計測用基台130と剛体電車線10との間の間隔は略一定に保たれるようになっている。
【0021】
一方のローラー支持部材131には、ロータリーエンコーダー133が設けられており、摺接ローラー132の回転状況(回転数)を検出することができるようになっている。摺接ローラー132の径は既知であるので、このようなロータリーエンコーダー133からの検出情報に基づいて保守用車の移動状況が検知可能となっている。また、ロータリー
エンコーダー133からの検出情報によって、剛体電車線10の摩耗データの取得位置も検知可能となっている。
【0022】
ラインレーザ型2次元形状計測センサ140は、シリンドリカルレンズ(不図示)によって帯状に広げられたレーザー光を測定対象物にあてて、この測定対象物からの反射光をCMOS(不図示)などの撮像デバイス上に結像させて、測定対象物の位置・2次元形状を測定するものであり、例えば、キーエンス社製のLJ−G030などを用いることができる。なお、このラインレーザ型2次元形状計測センサ140の測定対象物の位置・2次元形状の測定原理などの詳細については、特開2008−96125号公報、特開2008−111821号公報などの記載を参照して援用するものとする。
【0023】
ラインレーザ型2次元形状計測センサ140は、リニアレール141上をY−Y’方向(剛体電車線の幅方向と同じ方向)に移動可能に構成されている。このラインレーザ型2次元形状計測センサ140のリニアレール141上の移動については、作業員の手動操作によって行うように設定することもできるし、アクチュエーターなどによって自動的に行うように設定することもできる。電車のパンタグラフの局所的な摩耗を避けるために、剛体電車線10はその幅方向に偏位するようにして設けられている。このため、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140はY−Y’方向に移動可能に構成している。
【0024】
また、計測用基台130上にはセンサ位置検出用ポテンショメーター144が設けられており、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140に固着されている変位伝達棒状部材145から、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140のY−Y’方向の変位が伝達されるようになっている。このようなセンサ位置検出用ポテンショメーター144によれば、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140の変位を求めることができ、さらにラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって計測された剛体電車線10の形状から、剛体電車線10の偏位データを取得することが可能となる。
【0025】
T型架台11はその長手方向に一定の間隔をもって設けられている碍子(不図示)などからなる支持点によって支持されるようになっているが、支持点検出用超音波センサ146は、碍子を検出することによって、支持点の位置を検出する。保守用車の位置に係る情報については、基本的には摺接ローラー132の回転数をロータリーエンコーダー133によって検出することで求めることができるが、支持点検出用超音波センサ146で検出される支持点の位置情報も参照して、ロータリーエンコーダー133に基づく位置情報を適宜補正することができるようになっている。なお、本実施形態においては、支持点に設けられる碍子を検出するために超音波センサを用いたが、光学センサなどの他の原理のセンサを用いることも可能である。
【0026】
キロ程記録用押しボタン148は、キロ程を記録するために用いられるボタンである。このボタンは、保守用車が所定のキロ程に達したときに、作業員が押下することが想定されているものであり、キロ程記録用押しボタン148によって入力されたキロ程情報は、ロータリーエンコーダー133に基づく位置情報を補正する目的などに利用することができる。
【0027】
また、番札位置記録用押しボタン149は、番札(適当な間隔をおいて設けられる標識)の位置情報を記録するために用いられるボタンである。このボタンについても、保守用車に同乗する作業員が、番札を目視確認したときに、押下することが想定されているものである。この番札位置記録用押しボタン149によって入力されたキロ程情報は、ロータリーエンコーダー133に基づく位置情報を補正する目的などに利用することができる。
【0028】
ラインレーザ型2次元形状計測センサ140、センサ位置検出用ポテンショメーター1
44、高さ検出用ポテンショメーター124、ロータリーエンコーダー133、支持点検出用超音波センサ146、キロ程記録用押しボタン148、番札位置記録用押しボタン149はそれぞれ所定のインターフェイス(不図示)を介して、パーソナルコンピュータ200に接続されており、パーソナルコンピュータ200にはそれぞれの構成で取得されたデータが入力されるようになっている。
【0029】
ラインレーザ型2次元形状計測センサ140によってセンシングされたデータはパーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、計測対象物の形状が再現されるようになっている。この計測対象物の形状から剛体電車線10の摩耗状況を導出するが、その具体的な方法については後に説明する。
【0030】
センサ位置検出用ポテンショメーター144によって取得されたデータはパーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の幅方向のふれに係るデータ(偏位データ)を導くようになっている。
【0031】
また、高さ検出用ポテンショメーター124によって取得されたデータはパーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の高さに係るデータを導くようになっている。
【0032】
また、ロータリーエンコーダー133によって取得されたデータはパーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の計測点の位置情報が導かれる。
【0033】
また、支持点検出用超音波センサ146によって取得される支持点の検出情報は、パーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の計測点の位置情報を補正するためなどに利用される。
【0034】
また、キロ程記録用押しボタン148の押下によるキロ程の記録情報は、パーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の計測点の位置情報を補正するためなどに利用される。
【0035】
また、番札位置記録用押しボタン149の押下による番札位置の記録情報は、パーソナルコンピュータ200に入力されて、所定のソフトウエアの動作などによって、剛体電車線10の計測点の位置情報を補正するためなどに利用される。
【0036】
次に、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140で取得される計測対象物の形状データから剛体電車線10の摩耗状況を導出する方法についてより詳しく説明する。図3はラインレーザ型2次元形状計測センサ140で取得される剛体電車線10周辺の形状データを示す図である。図3において最下部はラインレーザ型2次元形状計測センサ140の基準面(照射面など)の位置を示している。図中の実線がラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって取得されるデータであり、剛体電車線10と共にT型架台11、挟持部材12などの構成も含まれて形状データが取得されるようになっている。このように取得されたデータは所定の画像解析によって、まず基準面に最も近い位置の座標P0が求め
られる。この座標P0は剛体電車線10の最下面に相当する線K−K’と、挟持部材12
の両端の2つの線L−L’、M−M’の中間の線N−N’との交点に相当する。次に、T型架台11上の2点で、それらの中点の垂線が座標P0を通る座標P1及び座標P2を求め
る。
【0037】
以上のように求められた各点から、剛体電車線10の摩耗データを導くときの算出方法について説明する。図4及び図5は剛体電車線10の摩耗データの導出方法を説明する図
であり、図4はT型架台11などの構造物に傾きがない場合を示しており、図5はT型架台11などの構造物に傾きがある場合を示している。
【0038】
図4の場合について説明する。座標P0からH0を、また座標P1及び座標P2からH1
2を導出する。HtはT型架台11の寸法から既知である。以上から剛体電車線10の断面頂点からパンタグラフの摺接面までの長さHrは下式(1)によって求めることができ
る。
【0039】
【数1】

また、剛体電車線10の摩耗分dについては、新品の剛体電車線10の径をHroとすると、次式(2)によって求めることができる。
【0040】
【数2】

次に図5に示すようにT型架台11などの構造物に傾きがある場合について説明する。図5に示すような場合についても、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって取得される対象物の形状データから座標P0、座標P1及び座標P2を求める。
【0041】
ここで、座標系としては、図示するように基準面を構成する線をx軸、それに垂直な線をy軸とし、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140の中心を原点(0,0)とするx、y座標を用いて、これに基づいて座標P0、座標P1及び座標P2を求める。
【0042】
T型架台11の傾き(=m)と平行であり、かつ、原点を通る直線は次式(3)によって現すことができる。
【0043】
【数3】

ただし、
【0044】
【数4】

である。
【0045】
ここで、y=mxに対してP0から下ろした垂線とy=mxとの交点をQ0、また、y=mxに対してP1から下ろした垂線とy=mxとの交点をQ1、また、y=mxに対してP2から下ろした垂線とy=mxとの交点をQ2とする。
【0046】
y=mx上にない点(xo,yo)から、y=mxに下ろした垂線の長さvは次式(5)によって求めることができる。
【0047】
【数5】

従って、長さH1’、すなわちP1とQ1との間の距離は、次式(6)によって求めるこ
とができる。
【0048】
【数6】

また、長さH2’ 、すなわちP2とQ2との間の距離は、次式(7)によって求めることができる。
【0049】
【数7】

また、長さH0’ 、すなわちP0とQ0との間の距離は、次式(8)によって求めることができる。
【0050】
【数8】

以上のようにして求められた長さH1’、長さH2’、長さH0’、及びT型架台11の
寸法Htから、剛体電車線10とT型架台11との接点Rからパンタグラフの摺接面(線
)までの長さHrは下式(9)によって求めることができる。
【0051】
【数9】

また、剛体電車線10の摩耗分dについては、新品の剛体電車線10の径をHroとすると、次式(10)によって求めることができる。
【0052】
【数10】

以上のような本発明の剛体電車線測定装置100の構成によれば、ラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって剛体電車線10の幅方向(車両進行方向と直角方向)にわたる形状を計測するので、剛体電車線の幅方向の摩耗に関する情報を得ることが可能となり、剛体電車線の状態を高精度で簡易に測定することができる。
【0053】
さらに、本発明の剛体電車線測定装置100は、構造が簡単で、小型軽量化が図られているので、保守用車にも簡単に設置することができると共に、測定操作が比較的に容易であるために、そのための訓練を受けた熟練の作業員でなくても、測定が可能となる。したがって、測定のための複雑な準備や熟練作業員が必要ないため、コストをかけずに剛体電車線の測定を行うことができる。そして、本発明のような簡易な測定装置によって、早期に剛体電車線の異常摩耗を発見し対処を行うことができるので、剛体電車線の維持管理がしやすくなる。
【0054】
図6は本発明の剛体電車線測定装置100によって取得される剛体電車線10の測定データの例を示す図である。図6における横軸は位置データを示しており、これはこれまでに説明してきたように、ロータリーエンコーダー133、支持点検出用超音波センサ146、キロ程記録用押しボタン148、番札位置記録用押しボタン149からの情報に基づいて導出することができる。
【0055】
図3上段のデータは剛体電車線10の摩耗データであり、これはラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって得られる形状データから算出することができる。
【0056】
また、図6中段のデータは剛体電車線10の高さデータであり、これは高さ検出用ポテンショメーター124により得られる変位検出値から求めることができる。
【0057】
また、図6下段のデータは剛体電車線10の偏位データであり、これはラインレーザ型2次元形状計測センサ140によって得られる座標P0の位置及びセンサ位置検出用ポテ
ンショメーター144により得られる変位検出値から求めることができる。
【0058】
このように、本発明の剛体電車線測定装置100では、位置に応じた剛体電車線10の摩耗データ、高さデータ、偏位データを一覧的に示すものであるので、剛体電車線10の摩耗状況を認識することが可能であるだけでなく、剛体電車線10の摩耗原因などについても検討することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
10・・・剛体電車線、11・・・T型架台、12・・・挟持部材、100・・・剛体電車線測定装置、110・・・支持基台、111・・・支持基台側壁部、112・・・支持基台天板部、113・・・穴部、120・・・可動板状部材、121・・・シャフト部材、123・・・定荷重バネ、124・・・高さ検出用ポテンショメーター、125・・・変位伝達棒状部材、130・・・計測用基台、131・・・ローラー支持部材、132・・・摺接ローラー、133・・・ロータリーエンコーダー、140・・・ラインレーザ型2次元形状計測センサ、141・・・リニアレール、144・・・センサ位置検出用ポテンショメーター、145・・・変位伝達棒状部材、146・・・支持点検出用超音波センサ、148・・・キロ程記録用押しボタン、149・・・番札位置記録用押しボタン、200・・・パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を移動する保守用車に搭載されて剛体電車線の測定を行う剛体電車線測定装置であって、
ローラー支持部材によって回動可能に支持されると共に、前記剛体電車線に接触し前記保守用車の移動に伴い回転する摺接ローラーと、
前記摺接ローラーの回転を検出するロータリーエンコーダーと、
前記剛体電車線の幅方向にわたる形状を計測するラインレーザ型2次元形状計測センサと、
前記ラインレーザ型2次元形状計測センサを移動可能に搭載するリニアレールと、
前記ローラー支持部材と前記リニアレールとが搭載される計測基台と、
前記摺接ローラーを一定の荷重で前記剛体電車線に接触させる定荷重バネと、を有することを特徴とする剛体電車線測定装置。
【請求項2】
前記計測基台の変位を検出する高さ検出用ポテンショメーターを有することを特徴とする請求項1に記載の剛体電車線測定装置。
【請求項3】
前記ラインレーザ型2次元形状計測センサの変位を検出するセンサ位置検出用ポテンショメーターを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の剛体電車線測定装置。
【請求項4】
前記剛体電車線を支持する碍子の位置を検出する支持点検出用センサが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の剛体電車線測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−261723(P2010−261723A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110348(P2009−110348)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(591048830)日本電設工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】