説明

剛性に優れた薄鋼板

【課題】板厚が1.6 mm以下の薄鋼板でも、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上で、しかもプレス成形後に軟窒化処理を実施した後の平均ヤング率が220GPa以上を満足する、剛性に優れた薄鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.008%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.10%を含有し、かつ次式(1)で定義される固溶Ti濃度Ti*が−0.01〜0.05%の範囲を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、面積率で、フェライト相:90%以上、マルテンサイト相:10%以下(但し、0%を含む)の組織とし、さらに圧延直角方向のヤング率が230 GPa以上で、窒化処理を施した後の鋼板表層の硬度がHv300以下で、かつ次式(2)で定義される平均ヤング率EAVE後を220 GPa以上とする。
Ti*=[%Ti]−(47.9/14)×[%N]−(47.9/32.1)×[%S]−(47.9/12)×[%C] --- (1)
AVE後=(EL後+2ED後+EC後)/4 --- (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車車体用として好適な剛性に優れた薄鋼板に関し、特にプレス成形後、ガス軟窒化処理を施すことにより、ヤング率の有利な向上を図るところに特徴があり、自動車のセンターピラーやロッカー、サイドフレームおよびクロスメンバーなど、剛性の板厚感受性指数が1に近いコラム状あるいはそれに近い断面形状の構造用部材に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題に対する関心の高まりを受けて、自動車でも排ガス規制が行われるなど、自動車における車体の軽量化は極めて重要な課題である。そのため、鋼板の高強度化により板厚を減少させることによって、車体の軽量化が図られているが、最近では、鋼板の高強度化が顕著に進んだ結果、板厚:1.6 mmを下回るような鋼板の使用が増加しており、さらなる高強度化による軽量化のためには、薄肉化による部品剛性の低下を同時に改善することが不可欠になってきている。
【0003】
一般に、部品の剛性を高めるには、部品形状を変更したり、またスポット溶接がなされている部品に対しては、溶接点を増加するか、あるいはレーザ溶接に切り替えるなどの溶接条件を変更することが有効とされている。
しかし、自動車用部品として用いられる場合、自動車内の限られた空間で部品形状を変更することは容易ではないし、また溶接条件の変更にしてもコストの増加を伴うなどの問題がある。
【0004】
そこで、部品形状や溶接条件を変更することなく、部品の剛性を高めるためには、部品に使用される部材のヤング率を高めることが有効となる。
ヤング率は、集合組織に強く支配され、体心立方格子である鋼の場合は、原子の最稠密方向である<111>方向が最も高く、逆に原子密度の小さい<100>方向が最も小さいことが知られている。結晶方位に異方性の小さい通常の鉄のヤング率は、およそ210GPa程度であることは広く知られているが、結晶方位に異方性を持たせ、特定方向の原子密度を高めることができれば、その方向のヤング率を高めることが可能となる。
【0005】
従来より、鋼板のヤング率に関しては、集合組織を制御することで特定方向のヤング率を高めることが種々検討されてきている。
例えば、特許文献1には、極低炭素鋼にNbまたはTiを添加した鋼を用い、熱間圧延工程において、Ar3〜(Ar3+150℃)の温度域での圧下率を85%以上とすることにより、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進させることで、熱延板段階で{311}<011>方位および{332}<113>方位のフェライトを発達させ、その後の冷延、再結晶焼鈍により、{211}<011>を主方位として、圧延方向と直角方向のヤング率を高める技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、C量が0.02〜0.15%の低炭素鋼にNbやMo,Bを添加し、Ar3〜950℃の温度域での圧下率を50%以上とすることで、{211}<011>方位を発達させることによって、ヤング率を高めた熱延鋼板の製造方法が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3および4には、低炭素鋼にNb添加した鋼を用い、炭窒化物として固定されないC量を規定すると共に、熱間圧延工程において950℃以下での総圧下量を30%以上として、未再結晶オーステナイトからのフェライト変態を促進させることで、熱延板段階で{113}<110>方位のフェライトを発達させ、その後の冷延、再結晶焼鈍により、{112}<110>を主方位として、圧延方向と直角方向のヤング率を高める技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献5には、粉末冶金法を適用し、鉄や鉄合金中に高剛性の化合物粒子を分散させることによって鉄鋼材料の高剛性化を図った技術が提案されている。
【0009】
一方、加工後の鋼板を硬化させる技術として表面硬化処理が知られている。この表面硬化処理は、鋼の表面を硬化させるのと同時に、鋼の表面に残留応力を生じさせて、耐摩耗性や疲労特性を向上させる処理である。現在実用化されている代表的な表面硬化処理法としては、浸炭処理と窒化処理を挙げることができる。
窒化処理は、活性窒素の拡散により、鋼表面に高硬度の拡散層を得る手法であり、その窒化機構は、<2NH3 → 2N+3H2>の反応でNH3ガスの分解によって生じた活性窒素Nを鋼表面に拡散させて、高硬度の拡散層(窒化層)を得る技術である。かかる窒化処理は、A1点以下で窒素を拡散・浸透させるため、処理温度が500〜550℃と低いのが特徴である。そのため、加熱による相変態が起こらないので、浸炭処理のように鋼に歪みが生じることはない。しかし、処理時間が50〜100時間と長く、処理後も表面に生成した脆い化合物層を除去する必要があるなどの問題があった。
【0010】
そこで、ガス軟窒化処理と呼ばれる方法が開発されている。このガス軟窒化処理は、主として浸炭性ガス(具体的には、急熱型変性ガスまたは有機溶剤の熱分解ガスなどの浸炭性ガス)または窒素ガス雰囲気中にNH3ガスを30〜50vol%添加し、550〜600℃の温度で1〜5時間加熱保持することにより、窒素と炭素を同時に侵入拡散させて、表面に炭窒化物を形成させる方法である。また、浸炭性ガスの他に、N2−NH3−CO2ガスの混合雰囲気を使用した方法も開発されている。かような処理によって、表面近傍(表層)には、Feを主成分とするε(Fe2-3N)相およびFe3Cの混合相を含む化合物層が、また、その内部には拡散層としてν´(Fe4N)相が形成されて、表面の硬度を高める作用を発現する。なお、以後、上記したガス軟窒化処理を単に「軟窒化処理」という。
【0011】
このような軟窒化処理を施して用いられる鋼として、例えば特許文献6、特許文献7には、良好なプレス成形性を有する軟窒化処理用鋼板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5-255804号公報
【特許文献2】特開平8-311541号公報
【特許文献3】特開2006-183131号公報
【特許文献4】特開2005-314792号公報
【特許文献5】特開平7-252609号公報
【特許文献6】特許第3153108号公報
【特許文献7】特許第3840939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した従来技術には、以下に述べるような問題があった。
すなわち、特許文献1に開示の技術は、C量が0.01%以下の極低炭素鋼を用い、集合組織を制御することで、鋼板のヤング率を高めているが、得られる引張強度はせいぜい450 MPa程度にすぎず、この技術の適用によってさらなる高強度化を図るには限界があった。
【0014】
特許文献2に開示の技術は、対象とする鋼板が熱延鋼板であるため、冷間加工による集合組織制御を利用することができず、一層の高ヤング率化は困難であるだけでなく、板厚が2.0mmを下回るような高強度鋼板を低温仕上げ圧延により安定的に製造することも難しいという問題があった。
【0015】
特許文献3に開示の技術は、合金添加量を増加させ、マルテンサイト分率を増加させることによって引張強度を上昇させているが、提示されたヤング率は圧延直角方向のみであり、他方向のヤング率に関しては何ら考慮が払われていない。
また、特許文献3および4に開示の技術は、熱間圧延工程において950℃以下での総圧下量を30%以上とすることでヤング率を高めているが、950℃以下の温度域は圧延荷重が高いため総圧下量:30%以上を確保することが難しいという問題があった。
【0016】
特許文献5に開示の技術は、基本的に粉末冶金法を適用するものであるので、その工程の複雑さから、コストが高く、かつ大量生産が困難という問題があった。
【0017】
特許文献6に開示の技術は、V添加が必須であるため高コストであるだけでなく、軟窒化処理前の鋼板の製造に際して、特に集合組織を制御するといった配慮はなく、母板の強度も不明である。
【0018】
特許文献7に開示の技術は、強度が440MPa以下と低く、従ってこの技術の適用によって高強度化を図るには問題があった。
【0019】
このように、従来の技術は、高ヤング率化に関しては、板厚の厚い熱延鋼板や軟質鋼板や、440〜450MPa程度の強度の鋼板を対象にしたものであったり、製造性に困難を伴うものであったり、圧延直角方向のヤング率は高まるものの他の方向のヤング率は不明なものであるため、かような従来技術を用いて、板厚が1.6mm以下のような薄鋼板において、圧延直角方向(C方向)ヤング率≧230 GPa、かつ平均ヤング率≧220 GPaを達成することは困難であった。
すなわち、結晶方位に異方性を持たせて、圧延直角方向(C方向)のみのヤング率を高めた鋼板は従来技術で得ることは可能であったが、この場合、別の方向、特に圧延45°方向(D方向)のヤング率が低下する。その結果、自動車部品における長手方向が圧延直角方向に平行になるように採取することで、優れた曲げ剛性を得ることができるものの、捻り剛性は劣位となる。優れた曲げ剛性を有しつつ、捻り剛性を確保するためには、圧延直角方向(C方向)のヤング率≧230GPaを満足し、かつ次式で表される平均ヤング率≧220GPaを満足する必要がある。
AVE=(EL+2ED+EC)/4
【0020】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、板厚が1.6 mm以下の薄鋼板においても、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上で、しかもプレス成形後に軟窒化処理を実施した後の平均ヤング率が220GPa以上を満足する、剛性に優れた薄鋼板を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
さて、鋼のヤング率は、集合組織に大きく依存し、体心立方格子である普通鋼の場合は、原子の最密方向である<111>方向で高く、逆に原子密度の小さい<100>方向で低いことから、(112)[1-10]方位を発達させれば 、鋼板の圧延直角方向に<111>方向が揃うため、この方向のヤング率を高めることができる。
しかしながら、(112)[1-10]方位の集積度が高すぎるとヤング率の異方性が大きくなり、特に圧延方向から45°方向(D方向)のヤング率が低下する傾向にある。
【0022】
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、全Ti添加量から窒化物、炭化物、硫化物およびその複合体を除いた量で定義される固溶Ti濃度(Ti*)を一定範囲内に制御することによって、プレス成形性に優れるだけでなく、圧延直角方向のヤング率を230GPa以上とすることができ、さらにプレス成形後の軟窒化処理後に平均ヤング率を220GPa以上に高め得ることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0023】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.008%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.10%を含有し、かつ下記(1)式で定義される固溶Ti濃度Ti*が−0.01〜0.05%の範囲を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
面積率で、フェライト相:90%以上、マルテンサイト相:10%以下(但し、0%を含む)の組織を有し、
圧延直角方向のヤング率が230 GPa以上であって、
窒化処理を施した後の鋼板表層の硬度がHv300以下で、かつ下記(2)式で定義される平均ヤング率EAVE後が220 GPa以上であることを特徴とする剛性に優れた薄鋼板。

Ti*=[%Ti]−(47.9/14)×[%N]−(47.9/32.1)×[%S]
−(47.9/12)×[%C] --- (1)
ここで、[%M]はM元素の含有量(質量%)
AVE後=(EL後+2ED後+EC後)/4 --- (2)
ここで、EL後:軟窒化処理後の圧延方向のヤング率
D後:軟窒化処理後の圧延方向から45°方向のヤング率
C後:軟窒化処理後の圧延直角方向のヤング率
【0024】
(2)前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Nb:0.02〜0.2%を含有することを特徴とする前記(1)に記載の剛性に優れた薄鋼板。
【0025】
(3)前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Cr:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の剛性に優れた薄鋼板。
【0026】
(4)前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%およびCu:0.2〜2.0%のうちから選んだ一種または二種を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の剛性に優れた薄鋼板。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、引張強度が440MPa以上で、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上で、しかもプレス成形後に軟窒化処理を実施することで、平均ヤング率が220GPa以上を満足する薄鋼板を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において鋼板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼板の成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
【0029】
C:0.008%以下
Cは、鋼の集合組織制御に大きく影響を及ぼす元素であり、Ti,Nbに固定されない、いわゆる固溶C量が大きくなると、鋼板のヤング率は劣化する傾向にある。したがって、C含有量が多いと、それに伴ってTi,Nbの添加量も増加しなければならなくなり、製造コストが増大する。また、冷間圧延後の焼鈍工程において、高ヤング率化に有利な方位の再結晶を抑制する傾向にあるため、0.008%以下とする。好ましくは0.005%未満である。なお、0.001%未満では鋼の高純化のための負荷が増大し、製造コストが飛躍的に上昇して経済的でないので、0.001%以上とすることが好ましい。
【0030】
Si:0.5〜1.0%
Siは、熱間圧延において、Ar3変態点を上昇させることから、Ar3直上での圧延に際し、加工オーステナイトの再結晶を促進させるため、1.0%を超える多量のSiを含有させた場合には、高ヤング率化に必要な結晶方位を得ることができなくなる。また、多量のSi添加は、鋼板の溶接性を劣化させるだけでなく、熱間圧延工程での加熱時に、スラブ表面におけるファイヤライトの生成を促進させ、いわゆる赤スケールと呼ばれる表面模様の発生を助長する。さらに、冷延鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が化成処理性を劣化させ、また溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、表面に生成するSi酸化物が不めっきを誘発する。このため、Si含有量は1.0%以下に限定した。なお、表面性状を必要とする鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、Si含有量を0.8%以下とすることが好ましい。
一方、Siは、固溶強化により鋼の強度を高めることが可能である。このような効果を得るためには、Si含有量は0.5%以上とすることが必要である。好ましくは0.6%以上である。
【0031】
Mn:1.0〜3.0%
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、Ac1変態点を低下させ、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進し、均熱後の冷却過程において生成するフェライトの方位に関し、ヤング率の向上に有利な方位を発達させることができる。
また、Mnは、固溶強化元素として作用することで、鋼の高強度化にも寄与する。このような効果を得るためには、Mn含有量を1.0%以上とする必要がある。好ましくは1.2%以上である。一方、3.0%を超える多量のMn含有は、焼鈍後の冷却時にフェライトの生成を著しく阻害し、また多量のMn含有は鋼板の溶接性も劣化させてしまう。従って、Mn含有量は3.0%以下とした。好ましくは2.5%以下である。
【0032】
P:0.05%以下
Pは、粒界に偏析して、鋼板の延性および靱性を低下させるだけでなく、溶接性も劣化させる。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板として使用する場合には、合金化速度を遅延させる不都合が生じる。このため、P含有量は0.05%以下とした。
【0033】
S:0.01%以下
Sは、熱延での延性を著しく低下させて熱間割れを誘発し、表面性状を著しく劣化させる。また、Sは、不純物元素として粗大なMnSを形成することにより、延性および穴拡げ性を低下させるため、極力低減することが望ましい。これらの問題はS量が0.01%を超えると顕著となるため、S量は0.01%以下とした。なお、穴拡げ性をとくに向上させる観点からは、S量は0.005%以下とすることが好ましい。
【0034】
Al:0.5%以下
Alは、フェライト安定化元素であり、焼鈍時のAc3点を大きく上昇させることから、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を抑制することによって、冷却時のオーステナイトからフェライトが生成する際に、ヤング率に有利な方位の発達を妨げることになる。このため、Al含有量は0.5%以下とした。一方、Alは、鋼の脱酸元素として有用であるため、Al含有量は0.01%以上とすることが好ましい。また、Alは、窒素との親和力が強く、窒化物層の表層を非常に硬くする元素であるので、窒化性を高めるために添加する場合には、0.10%以上とすることが好ましい。
【0035】
N:0.01%以下
Nは、多量に含有すると、熱間圧延中にスラブ割れを伴い、表面疵が発生するおそれがあり、またプレス成形性も劣化してくるため、N量は0.01%以下とする必要がある。なお、プレス成形性を確保するためには少ない方が良いが、0.0002%未満まで低減するには製造コストが飛躍的に向上して経済的でなくなるので、下限値は0.0002%とすることが好ましい。
【0036】
Ti:0.02〜0.10%
Tiは、本発明における最も重要な元素である。すなわち、Tiは、焼鈍工程における昇温過程において、加工フェライトの再結晶を抑制することによって、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進させ、焼鈍後の冷却過程において生成するフェライトに関して、ヤング率の向上に優位な方位を発達させることができる。また、Tiの微細析出物は、強度の上昇に寄与し、さらにフェライトおよびマルテンサイトの微細化にも有利に作用する。このような作用を得るためには、Ti含有量を0.02%以上とする必要がある。好ましくは0.04%以上である。
一方、多量のTiを添加しても、通常の熱間圧延工程における再加熱時においては、炭窒化物を全量固溶させることができず、粗大な炭窒化物が残るため、かえって強度上昇効果や再結晶抑制効果が阻害される。また、連続鋳造からスラブを一旦冷却したのち再加熱を行う工程を経ることなく、連続鋳造後そのまま熱間圧延を開始する場合においても、Tiの添加量が0.10%を超えた分の強度上昇効果および再結晶抑制効果に対する寄与分は小さく、さらに合金コストの増加も招いてしまう。従って、Ti含有量は0.10%以下とした。
【0037】
以上、本発明の基本組成について説明したが、本発明では、上記の基本組成を単に満足させだけでは不十分で、次式(1)で示されるTi*を−0.01〜0.05%の範囲に制御することが重要である。このTi*は、鋼板製造時に、窒素や硫黄,炭素で固定されない固溶Ti濃度のことで、このTi*を厳密に管理することが重要である。このTi*が−0.01%未満では軟窒化処理によるヤング率の上昇が十分でなく、一方0.05%を超えると軟窒化後に特に表層の硬度がHv:300以上の脆性領域に入り、靭性の劣化を招く。
Ti*=[%Ti]−(47.9/14)×[%N]−(47.9/32.1)×[%S]
−(47.9/12)×[%C] --- (1)
ここで、[%M]はM元素の含有量(質量%)
【0038】
また、本発明では、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Nb:0.02〜0.2%
Nbは、冷間圧延後の焼鈍工程における昇温過程において、加工フェライトの再結晶を抑制することによって、未再結晶フェライトからのオーステナイト変態を促進させ、またオーステナイト粒の粗大化を抑制すると共に、焼鈍均熱後の冷却過程において生成するフェライトに関し、ヤング率の向上に有利な方位の発達に寄与する。さらに、Nbの微細な炭窒化物は、強度の上昇にも有効に寄与する。このような作用を有するためには、Nbの含有量を0.02%以上とする必要がある。
一方、多量のNbを添加しても、通常の熱間圧延工程における再加熱時では、炭窒化物を全量固溶させることができず、粗大な炭窒化物が残るため、熱間圧延工程における加工オーステナイトの再結晶抑制効果や、冷間圧延後の焼鈍工程における加工フェライトの再結晶抑制効果を得ることはできない。また、連続鋳造からスラブを一旦冷却したのち再加熱を行う工程を経ることなく、連続鋳造後そのまま熱間圧延を開始する場合においても、Nbの添加量が0.2%を超えた分の再結晶抑制効果に対する寄与分は小さく、その上、合金コストの増加も招いてしまう。したがって、Nb含有量は0.2%以下とする必要がある。好ましくは0.15%以下である。
【0039】
Cr:0.1〜0.5%
Crは、軟窒化処理により窒化物を形成して表面硬度を高める効果を有する成分であり、このような効果を得るためには0.1%以上の含有が必要である。好ましくは0.2%以上である。一方、Crの多量添加は軟窒化後の鋼板表面を過度に硬化させ、靱性を劣化させることがあり、また溶融亜鉛めっき鋼板として使用される場合には、表面に生成するCrの酸化物が不めっきを誘発してしまうため、Cr含有量は0.5%以下とする必要がある。
【0040】
Ni:0.1〜1.0%
Niは、固溶強化元素として、鋼の高強度化に寄与する。また、Cu添加鋼の場合には、熱間圧延時において、熱間延性の低下に伴う割れにより表面欠陥が誘発されるが、Niを複合含有させることによって表面欠陥の発生を抑制することができる。このような作用を得るためには、Ni含有量は0.1%以上とする必要がある。一方、多量のNi添加は、均熱後の冷却過程において高ヤング率化に必要なフェライトの生成を阻害し、また合金コストが増加することから、Niは1.0%以下で含有させる必要がある。
【0041】
Cu:0.2〜2.0%
Cuは、固溶強化元素として、鋼の高強度化に寄与する。このような効果を得るためには、Cu含有量は0.2%以上とする必要がある。一方、過剰なCu添加は熱間延性を低下させ、熱間圧延時の割れに伴う表面欠陥を誘発するため、Cu含有量は2.0%以下とする必要がある。
【0042】
次に、本発明の組織の限定理由について説明する。
本発明の鋼板は、フェライト相を主相としていて、面積率で90%以上のフェライト相を有し、マルテンサイト相を10%以下で含む組織である。
フェライト相は、ヤング率の向上に有利な集合組織の発達に有効であることから、面積率で90%以上とする必要がある。また、マルテンサイト相は、強度および強度−伸びバランスが向上することから、面積率で10%以下のマルテンサイト相を含んでもよい。好ましくは3%以下である。0%であってもよい。
フェライト相およびマルテンサイト相以外の相としては、パーライト、ベイナイトおよびセメンタイトを挙げることができるが、これらの相は3%以下であれば含んでいても問題はない。好ましくは1%以下である。
【0043】
なお、フェライト相およびマルテンサイト相の面積率は、鋼板断面をナイタール腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、25μm×30μm域の写真を3枚撮影し、これらの写真を画像処理することによって求めることができる。
【0044】
以上の成分組成ならびに組織とすることによって、引張強さTSが440MPa以上、圧延直角方向のヤング率が230GPa以上で、プレス成形後に軟窒化処理を実施した後の表層の硬度がHv:300以下で、かつ次式(2)で定義される平均ヤング率EAVE後が220 GPa以上を満足するプレス成形性に優れた薄鋼板を得ることができる。
AVE後=(EL後+2ED後+EC後)/4 --- (2)
ここで、EL後:軟窒化処理後の圧延方向のヤング率
D後:軟窒化処理後の圧延方向から45°方向のヤング率
C後:軟窒化処理後の圧延直角方向のヤング率
【0045】
そして、自動車部品における長手方向が圧延直角方向に平行になるように採取することで、優れた部品剛性を得ることができる。部品の曲げ剛性を高めるためには、圧延直角方向のヤング率は高い方が望ましく、230GPa以上とする必要がある。好ましくは235GPa以上である。しかしながら、圧延直角方向のヤング率のみを優先的に高めた場合には、圧延方向から45°方向のヤング率が低下するなど異方性が大きくなり、捻り剛性が低下するため好ましくないので、上限は240GPaとすることが好ましい。優れた曲げ剛性を有しつつ、捻り剛性も確保するには、結晶方位制御だけで達成することは難しく、軟窒化処理による底上げによりはじめて可能となる。そのため、軟窒化処理後の平均ヤング率EAVE後を220 GPa以上とする。
【0046】
また、軟窒化処理後の鋼板表層の硬度とは、鋼板表面から深さ50μmの位置にて測定したビッカース硬さのことである。特にこの表層の硬度がHv:300を超えると部品後に高い靭性が得られないため、Hv:300以下とする必要がある。
ここで、軟窒化処理後の鋼板の特性は、NH3:RX=50:50の雰囲気ガス中で、580℃,2hのガス軟窒化処理を施した後の鋼板特性により代表して評価することができる。
【0047】
なお、本発明の薄鋼板は、主に成形加工と軟窒化処理を施されたのち、自動車用構造部品として用いられる。したがって、プレス成形性やヤング率、軟窒化後のヤング率に優れること以外にも、素材自体が高強度であること、好ましくは引張強さが440〜680MPa、より好ましくは460〜660MPaの範囲にあることが望ましい。引張強さが440MPa未満では、部品等に求められる強度が得られず、一方660MPaを超えるとプレス成形性の低下を招くからである。また、プレス成形性の指標は幾つか挙げられるが、本発明では平均r値で1.5以上のものが優れたプレス成形性を有する鋼板として好ましい。より好ましくは平均r値:1.55以上である。
【0048】
次に、本発明鋼板の好適製造方法について説明する。
本発明の鋼板を製造するに当たっては、まず目的とする強度レベルに応じて上記した組成に従う化学成分の鋼を溶製する。溶製方法は、通常の転炉法、電炉法など適宜適用することができる。溶製された鋼は、スラブに鋳造後、そのまま、あるいは一旦冷却してから加熱し、仕上温度:850〜950℃の条件で熱間圧延を施す。
仕上温度を950℃以下とすることによって、未再結晶オーステナイトからフェライトへの変態が進み、微細なフェライト組織が得られ、さらに冷間圧延および焼鈍により(112)〔1-10〕方位への集積度を高めることができる。一方、仕上温度が850℃を下回ると、Ar3変態点を下回るおそれが大きくなり、熱延組織に加工組織が混じる結果、冷延焼鈍後に(112)〔1-10〕方位への集積が妨げられる。また、変形抵抗の増加により圧延荷重が大幅に増大するなど、製造上の困難が伴う。従って、仕上温度は850〜950℃の範囲とする必要がある。
【0049】
熱間圧延を、上記の条件で終了した後、650℃以下で巻取る。
仕上圧延後の巻取り温度が650℃を上回ると、TiおよびNbの炭窒化物が粗大化してしまい、冷間圧延後の焼鈍工程における加熱段階において、フェライトの再結晶を抑制する効果や、オーステナイト粒の粗大化を抑制する効果が小さくなるため、巻取り温度は650℃以下とすることが好ましい。一方、巻取り温度が400℃を下回ると硬質な低温変態相が多く生成して、その後の冷間圧延での変形が不均一となり、ヤング率に有利な方位への集積が妨げられ、その結果、焼鈍後の集合組織が発達せず、ヤング率を向上させることが困難となる。さらに、巻取り後の冷間圧延での荷重が増加するため、巻取り温度は400℃以上にすることが好ましい。
【0050】
上記の巻取り後は、酸洗を施した後、60%以上の圧下率での冷間圧延に供する。この冷間圧延により、ヤング率の向上に有効な(112)〔1-10〕方位を集積させる。すなわち、冷間圧延により(112)〔1-10〕方位を発達させることによって、その後の焼鈍工程後の組織でも、(112)〔1-10〕方位を持つフェライト粒を増やし、ヤング率を高くする。このような効果を得るには、冷間圧延時の圧延率を60%以上とする必要がある。より好ましくは65%以上である。一方、冷間圧延率が大きくなると、圧延荷重が大きくなって製造が困難になるため、圧延率の上限は85%とすることが好ましい。
【0051】
ついで、焼鈍を施すが、この際、少なくとも550℃から700℃の温度範囲を15℃/s以上の平均昇温速度にて加熱する。均熱温度は780〜880℃の範囲とし、この均熱温度での保持時間は150s以下とする。均熱後は、平均冷却速度:3〜50℃/sの条件で少なくとも400℃まで冷却する。
焼鈍後の鋼板のヤング率を高めるには、焼鈍の昇温過程において、冷間圧延によって発達させた(112)〔1-10〕方位のフェライトの再結晶を抑制し、加工フェライトからオーステナイトへ変態させる必要があり、そのためには少なくとも550℃から700℃の温度範囲において、15℃/s以上の昇温速度が必要である。なお、昇温速度は、特に上限を設けるものではないが、大きな昇温速度を得るには急速加熱設備等が必要となり製造コストが上昇するため、平均で30℃/s以下とすることが好ましい。 焼鈍の加熱時に十分な量のフェライトをオーステナイトに変態させ、冷却時にフェライトに再変態させことで集合組織が発達し、ヤング率が向上する。また、焼鈍温度が低い場合には、圧延組織が残存し、伸びが低下する。このため、均熱温度は780℃以上とする必要がある。一方、均熱温度が高すぎると、オーステナイト粒が粗大になり、焼鈍後冷却時に再変態したフェライトが(112)〔1-10〕方位に集積することが難しくなるため、均熱温度は880℃以下とする必要がある。また、この温度帯での長時間保持によってもオーステナイト粒の粗大化が起こるため、均熱時間は150s以下とする必要がある。
【0052】
均熱後の冷却時にフェライトを生成させることにより、ヤング率の向上に有利な集合組織が発達する。このためには、80%以上のフェライトを生成させる必要がある。ここに、冷却時における冷却速度が速すぎると必要量のフェライトを得ることが難しくなるので、冷却速度は50℃/s以下とする必要がある。一方、冷却が遅すぎる場合や冷却停止温度が高い場合には、ベイナイトやパーライトが生成し、YS/TS比の上昇や延性の低下を招くことになる。このため、冷却速度は好ましくは3℃/s以上とし、少なくとも400℃までは所定の冷却速度で制御冷却する必要がある。
その後は、過時効帯を通過させる処理を施してもよい。また、溶融亜鉛めっき鋼板として製造する場合には、溶融亜鉛浴中を通板させてもよく、さらに合金化溶融亜鉛めっき鋼板として製造する場合には、合金化処理を行ってもよい。
【実施例】
【0053】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
まず、表1に示す成分組成の鋼A〜Mを真空溶解炉にて溶製し、熱間圧延後、酸洗し、冷間圧延したのち、焼鈍を施して冷延鋼板を作製した。その際、熱間圧延に先立つ加熱条件:1250℃で1時間、熱間圧延の仕上温度:880〜920℃、熱間圧延後の板厚:4.0 mm、巻取り条件:600℃で1時間保持後に炉冷する巻取り相当処理、冷間圧延の圧下率:60〜70%、冷間圧延後の板厚:1.0〜2.0 mm、550〜700℃の温度範囲における昇温速度:18℃/s、焼鈍温度での保持時間:60s、400℃までの冷却速度:15℃/sとし、その後室温まで空冷した。表2に製造条件を示す。
【0054】
上記の焼鈍後に、鋼板の圧延方向(L方向)、圧延方向から45°方向(D方向)および直角な方向(C方向)から10mm×50mmの試験片を切り出し、横振動型の共振周波数測定装置を用いて、American Society to Testing Materialsの基準(C1259)に従ってヤング率(EL、ED、EC)を測定した。また、0.5%の調質圧延を施した冷延鋼板から、圧延方向に対し直角な方向からJIS5号引張試験片を切り出して、引張特性(引張強さTSと伸びEl)を測定し、またL方向、D方向、C方向からJIS5号引張試験片を採取して、10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を測定し、これらの測定値を用い、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。
なお、フェライト相の面積率およびマルテンサイト相の面積率は、前述した方法により求めた。各相の測定結果を表2に併記する。
さらに、上記焼鈍板を、アンモニアガス(NH3)とRXガス(RX)を体積比でNH3:RX=50:50とする雰囲気ガス中で、580℃,2hのガス軟窒化処理を施した。軟窒化処理後のヤング率(EL後、ED後、EC後)は、鋼板の圧延方向、圧延方向に対し45°方向および直角方向から試験片を切り出し、上述した方法により測定した。軟窒化処理後の硬度は、表層から50μmの位置にて荷重:50gの条件で5点測定し、その平均値を用いた。
上記測定の結果を表3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
表3に示したとおり、本発明の成分組成を満足し、かつ本発明の条件を満たす方法で製造した発明例(鋼板:A1,A2,B1,C1,D1,L1,M1)はいずれも、焼鈍後において適度の強度と優れたヤング率およびr値(プレス成形性)を有しており、また軟窒化処理後のヤング率にも優れていることが分かる。
これに対し、本発明の成分組成や製造条件が外れている比較例(鋼板:A3,E1,F1,G1,H1,I1,J1,K1)はいずれも、鋼板強度、r値、ヤング率、軟窒化処理後の表層硬度またはヤング率の少なくともいずれか一つの特性が劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によって、引張強度が440MPa以上と高強度で、しかも圧延直角方向のヤング率が230GPa以上で、軟窒化処理後の平均ヤング率が220GPa以上という高剛性の薄鋼板の提供が可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.008%以下、Si:0.5〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.5%以下、N:0.01%以下およびTi:0.02〜0.10%を含有し、かつ下記(1)式で定義される固溶Ti濃度Ti*が−0.01〜0.05%の範囲を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
面積率で、フェライト相:90%以上、マルテンサイト相:10%以下(但し、0%を含む)の組織を有し、
圧延直角方向のヤング率が230 GPa以上であって、
窒化処理を施した後の鋼板表層の硬度がHv300以下で、かつ下記(2)式で定義される平均ヤング率EAVE後が220 GPa以上であることを特徴とする剛性に優れた薄鋼板。

Ti*=[%Ti]−(47.9/14)×[%N]−(47.9/32.1)×[%S]
−(47.9/12)×[%C] --- (1)
ここで、[%M]はM元素の含有量(質量%)
AVE後=(EL後+2ED後+EC後)/4 --- (2)
ここで、EL後:軟窒化処理後の圧延方向のヤング率
D後:軟窒化処理後の圧延方向から45°方向のヤング率
C後:軟窒化処理後の圧延直角方向のヤング率
【請求項2】
前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Nb:0.02〜0.2%を含有することを特徴とする請求項1に記載の剛性に優れた薄鋼板。
【請求項3】
前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Cr:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の剛性に優れた薄鋼板。
【請求項4】
前記鋼板が、前記組成に加えて、さらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%およびCu:0.2〜2.0%のうちから選んだ一種または二種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の剛性に優れた薄鋼板。

【公開番号】特開2013−87331(P2013−87331A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229107(P2011−229107)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】