説明

剛性ベルトの選別装置

複数の並置された実質上平行な無端コンベヤベルト(27)を備え、特に魚類または小エビのような物体をその寸法で選別する選別装置であって、近接コンベヤベルトを分離する幅(9)がベルトの投入端(28)におけるよりも排出端(29)における方が大きく、かつ、分類チャネルを規定しており、チャネル幅が物品の幅に対応したときに物品がこのチャネルを通って落下し、各近接する対をなすベルト間において、各コンベヤベルトが約70〜85°の範囲の角度にある各々実質上連続傾斜側面(2)を伴うV字状谷を形成するような傾斜断面を伴う複数のヒンジ連結されたセグメントを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類または小エビなどの特に脆い物品のような物体をその寸法において選別する装置に関する。この装置は並置された実質上平行な無端コンベヤベルトを備え、無端コンベヤベルトは各近接する対のベルト間に実質上連続する急傾斜側面を伴うV字状谷間が形成されるような傾斜した断面を伴った、ヒンジにより連結したセグメントによって形成される。
【背景技術】
【0002】
魚類および小エビのような脆い物体を選別するための多数の異なる技術的解決策が、食品処理産業に存在している。この種の物体に対して、あらゆる機械的処理において、取り扱いに注意する必要があるが同時に寸法による分類を含む高生産省力処理への要求が、常に高まっている。
【0003】
現在利用可能な選別機には、本発明者によって以前に開発され、その全内容が参照としてここに組み込まれる国際公開第96/41541号および国際公開第98/48951号に開示されたようなリッジベルト機(ridge belt machine)が含まれる。他の同様の装置が米国特許第4,723,660号およびノルウェー特許第132917号に開示されている。リッジベルト機は、近接ベルト間のチャネルの幅がベルトの投入端よりも排出端の方が広くなるように配備された並置コンベヤベルトを備える。分類されるべき物品がコンベヤの投入端に投入されるとともにコンベヤによって排出端に向かって搬送される。物品を投入端に均一に、かつ、適切に投入するための手段が開発されており、例えば国際公開第98/48951号に開示されている。物品の幅がチャネルの幅とほぼ同じであるとき、物品はベルト間のチャネルを通って落下する。従って、より小さい物品はより早くチャネルを通って落下し、一方、より大きい物品はチャネルを通って落下する前にさらにコンベヤに沿って搬送される。この種の機械を使用することによって、カラフトシシャモまたはイワシのような物品は5m長のコンベヤに渡って3つから4つの異なる寸法の等級に分類されるが、選別の精度は制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来のリッジベルト分類機にはいくつかの欠点があり、選別処理能力が限られている。最適には、魚類または小エビの全体のような物品は、垂直方向に対称方向にあお向けになった物品の本体を横断して、実質上対称な物品の左右を分ける中央平面と直交する方向に測定された公称幅によって分類される。しかし、物品が分類チャネル内に傾斜した状態で置かれていれば、公称幅よりも大きい傾斜幅によって分類されることになり、従って物品は後になるまで分類チャネルを通って落下しない。物品が小エビのように不規則な形状をしていれば、「傾斜幅」は、図4に示すようにその公称幅よりも相当に大きくなる。物品のこの不規則な方向の問題が、選別の精度および可能な処理能力を低下させ、選別された一群に一部公称より小さい寸法のものが相当数含まれてしまう。すなわち、分類チャネルに沿ってはるかに遠くまで搬送され、はるかに遅れて、より大きい物品を意図する等級のチャネルを通して落下してしまう。
【0005】
先行技術のリッジ選別機を試験したところ、8〜18mm(幅増大率2mm/m)の分類チャネルを形成する5m長のリッジベルトにおいて物品(カラフトシシャモまたは小エビ)の20〜70%が不規則に配置され、このような物品は、適切に方向付けられた場合よりも60cm遠くまで分類チャネルを搬送された。これは物品の相当な部分が不正確な寸法群に分類されることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに本発明者は、近接ベルト幅間に約12〜40°(すなわち、各側面が約70〜85°の範囲の角度を有する)の範囲のV字状で底部の開放したチャネル角度を形成するような、実質上急な側面を伴うリッジベルトを提供することによって、はるかに改善された選別が達成されることを発見した。これは、物品が分類チャネル内に実質上より規則的に(傾斜せずに)方向付けされるからである。
【0007】
本発明の装置における好ましい実施の形態は、約80°傾斜した側壁を持つ分類チャネルを有する。すなわち、分類チャネルは両2つの側面間に20°の総チャネル角を有し、2つのリッジベルト間に形成され、リッジベルトは複数のヒンジ連結されたセグメントを備え、セグメントは各々更に間隙を備える。5m長のコンベヤを伴うこの種の装置は、例えばカラフトシシャモまたは小エビのような物品を従来技術のリッジベルト選別機によるよりもはるかに正確に多数の異なる寸法等級で選別するために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
これまでに説明したように、本発明の装置はカラフトシシャモ、イワシまたは小エビのような脆い物品の選別に適しており、またこれに限定しないが、ニシン、サバ、メンハーデン、アンチョビ、アジおよびブルー・ホワイティングをはじめとしてカキ、ハマグリおよびイガイのような他の脆い物品、さらに同様の特徴を有する他の産物を分類するためにも使用できる。
【0009】
この装置は、殻むきされた、または殻付きいずれの小エビの選別にも特に有効であって、一方従来の先行技術によるリッジベルト分類機は小エビの選別に適していない。図5aに示したように、小エビ(15)はチャネルを横断して測定された小エビの測定幅が小エビ本体の公称幅(10)に等しくなるように本発明の装置の急峻分類チャネル内に垂直方向対称的に方向付けられる。比較の目的で、先行技術リッジ分類機の二つのセグメント間に載置された小エビを図5bに示す。この種の先行技術のセグメントは実質的に傾斜の小さい、すなわち、より広く、より浅いチャネルを形成する約60〜65°の側面を有し、小エビは有効幅が公称幅よりも広くなるようにチャネルの一方側面に向けて傾斜している。傾斜のゆるい側面により、図6bと6cに示したように小エビとチャネルの側面間の接触点(12)が小エビの後方により接近し、また、小エビの重心からより離れて配置される。これによって、小エビは方向付けに安定性が少なく、その左または右側に傾斜する傾向がはるかに高くなる。図6aは本発明の装置の分類チャネルに載置される小エビを示し、小エビとチャネルの側面間の接触点(13)が小エビの側部上で高い位置となり、これによって小エビがより安定して方向付けられる。
【0010】
これまでに説明したように、本発明による分類チャネルは好ましくは約10〜40°、より好ましくは約15〜35°、さらに好ましくは約20〜30°の範囲にあるチャネル角度(7)を有する。特に有効な実施の形態において、分類チャネルは約20°のチャネル角度を有する。これはチャネルの両側面の角度(8)が、約70〜85°、好ましくは約70〜80°、さらに好ましくは約75〜80°の範囲である。
【0011】
本発明の装置は、ここで説明するような適切な断面を伴った形状に形成されている限り多数の異なるタイプのベルトを使用することができる。一実施の形態において、連続硬質ベルトにはベルトがコンベヤ・ホイール(20)の回りを回転できるような弾性的な屈折可能な物質から作られたものが使用される。この種のベルトは、例えば押出ポリマー/ゴム混合物から作られる。任意に、この種のベルトはベルトのリッジにノッチを規則的に分布させてコンベヤベルト(20)の回りでベルトが容易に曲がるようにすることもできる。
【0012】
他の好ましい実施の形態は添付図面に示したようにヒンジ連結されたセグメントを備えたベルトを使用するようにしてもよい。この種のセグメントはナイロンおよび/またはHDPE(高密度ポリエチレン)のような食品産業で共用できる種々の材料で作ることができる。
【0013】
本発明の装置の一実施の形態において、前記各ヒンジ連結されたセグメントは図1および2bに示したように傾斜側面間に間隙(3)を有する。この間隙は、コンベヤベルトのすすぎと洗浄を実質上簡単にする。間隙はさらに本発明の一つの重要な観点を強調している。間隙の設計により、側壁の高さを低くし、可撓性を与え、側壁傾斜の調整を可能にしている。閉鎖リッジを有するセグメントを伴う従来のリッジベルトにおいて、不純物がセグメント内に閉じ込められることがあり、これは簡単なすすぎで除去することが困難である。間隙の幅はセグメントの傾斜側面の高さによって決まり、一般的に約4〜10mmの範囲または約4〜8mmの範囲、あるいは、4,5,6,7,8,9または10mmの範囲を含む約3〜10mmの範囲のような約3〜12mmの範囲にある。
【0014】
セグメントの比率(幅と高さ)は、近接するセグメントの分離する幅、すなわち、分類チャネル低部の幅がそうであるように、分類されるべき物品によって決まる。一般的に、カラフトシシャモまたは小エビのような物品に対して、セグメントの高さは約5〜9cmの範囲、または約6〜8cmの範囲、または約5,6,7,8または9cmである。しかし、大きい魚類のような大きい物体の分類に対しては、異なる寸法例えば約10〜15cmのように約10〜20cmの範囲にある高さを伴うセグメントを有するものが使用される。これまでに説明したようにリッジに間隙を伴うこの種の大きいセグメントを備えたベルトの場合、間隙の幅はこれに対応して広くなり、より小さいベルトセグメントに対しては上述したものと同じかまたは近似する比率を維持する。
【0015】
傾斜側面(2)の底部エッジ(4)は鋭い境界面、丸みのあるエッジ、あるいは細いリム、例えばほぼ垂直方向に1〜5mm幅のリムで形成することができる。
【0016】
セグメント/チャネルの傾斜側面(2)は、実質上平坦、かつ、滑らかであるが、別の実施の形態においては、例えば出目および/またはヒレを有する魚類のような不規則面を伴う物品の分類に適用させることができるうねりないし波形パターンを有する。
【0017】
リッジベルトの傾斜は、一般的に約−5°から25°、または約4°から10°の範囲のような、約4°から8°の範囲のような約0〜10°、または約5°から7°の範囲にある。ある実施の形態ではベルトの傾斜が、約−3°または約0°(すなわち、水平ベルト)の範囲のような−3°から0°の範囲にある。
【0018】
セグメントは図2aに示したように簡単な「ヒンジ」(5,6)によるような様々な方法で互いに連結することができる。従って、セグメントは図3に示したように実質的連続リッジベルト(27)を形成するとともに、リッジベルト(27)の動作を維持する回転ホイール(20)を巻回するレールまたはベルトによって案内される無端ループを形成することができる。
【0019】
図7はフレーム(19)、ホイール(20)、供給手段(21〜24)および回収手段(25,26)を有する本発明の装置の側面図である。図を簡潔にするために、5つのリッジベルトセグメント(1)のみを最外方リッジベルト(27)内に示している。図8は同装置の平面図であり、9本のリッジベルト(27)を有しているが、所望の数のベルトを使用することができる。ベルトの数が多い場合、分類されるべき材料が全ベルトに分配されることを保証するために供給手段に手を加える必要がある。分類チャネル(9)は、供給端(28)におけるよりも排出端(29)における方が広くなっている。回収手段(25)は異なる数の寸法等級に対して構成することができ、排出端の回収手段(26)は分類チャネルから落下する大きすぎる物品を受承する。例えば、カラフトシシャモ、イワシまたは小エビのような物品のために構成された分類機において、5m長のコンベヤを伴う好ましい実施の形態において約5〜10mmの範囲で開始し、15〜25mmで終了するチャネル幅が使用でき、分類チャネルは供給端(28)で約8mm、排出端(29)で約18mm幅である。
【0020】
供給手段(21〜24)は、分類されるべき材料が分類チャネル内に均一に分配され、セグメント上のリッジ間隙(3)の頂部上に載置されないことを保証する。この種の供給手段は、本出願人による先の国際公開第03/043428号に開示されており、その全体を参照としてここに組み込む。
【0021】
カラフトシシャモ選別に対して構成された28本のリッジベルトを伴う本発明による装置は、1時間当り30〜40トンまで分類でき、また、1秒当り約650匹のカラフトシシャモを受承できる。選別の精度は高く、各寸法の選別において基準以下の寸法の物品数を最小限にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のコンベヤベルトのセグメントを示す図である。
【図2】図2aはセグメントの側面図であり、図2bはセグメントの前方および後方を示す図である。
【図3】連結された5個のセグメントを示す図である。
【図4】例えば、小エビ(4a)とカラフトシシャモ(4b)のような物品の垂直方向に対称な位置、および垂直方向に傾斜した位置での、測定幅との間の差を示す図である。
【図5】本発明(5a)による分類チャネル内に真っ直ぐに載置された小エビと先行技術装置(5b)による小エビとの間の差を示す図である。
【図6】小エビのような物品と本発明(6a)による分類チャネルの側壁との接触点、および先行技術(6b)による分類チャネルの側壁との接触点を示し、(6c)は両者の接触点との間の差を明確に示す図である。
【図7】本発明の装置の側面図である。
【図8】本発明の装置の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の並置無端コンベヤベルト(27)を備え、魚類または小エビのような物体をその寸法で選別する選別装置であって、
近接コンベヤベルトを分離する幅(9)がベルトの投入端(28)におけるよりも排出端(29)における方が大きく、
各コンベヤベルト(27)が傾斜側面を伴う断面を有し、各近接対ベルト間に実質上連続傾斜側面(2)を伴う分類チャネルが形成され、各側面が前記ベルトの軸に対して約70〜85°の角度(8)をなし、
各ベルトが前記実質上連続傾斜側面を形成する複数のヒンジ連結されたセグメントを備え、前記ヒンジ連結されたセグメント(1)の各々が傾斜側面間のリッジに間隙(3)を有する選別装置。
【請求項2】
各ベルトが連続弾性ベルトである請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記連続傾斜側面(2)は各々約70〜80°の範囲の角度(8)を有する請求項1に記載の選別装置。
【請求項4】
前記連続傾斜側面(2)は各々約75〜80°の範囲の角度(8)を有する請求項3に記載の選別装置。
【請求項5】
前記連続傾斜側面(2)は各々約80°の角度(8)を有する請求項3に記載の選別装置。
【請求項6】
前記間隙(3)が約3〜10mmの範囲の幅を有する請求項1に記載の選別装置。
【請求項7】
選別されるべき物体を近接ベルト間にあるチャネルに案内するとともに前記ヒンジ連結されたセグメントの頂部上のリッジおよび/または間隙から離れているコンベヤベルト(27)の投入端(28)の側に構成された案内手段(21〜24)をさらに備える請求項1に記載の選別装置。
【請求項8】
物品を寸法で選別する請求項1から7のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項9】
物品が殻むきされた、または殻付きの小エビ尾部、ロブスター尾部、魚類例えばカラフトシシャモ、イワシ、ニシン、サバ、アジ、メンハーデン、アンチョビ、ブルー・ホワイティング、オーシャン・パーチ、タラ、ポラック、小ダラ、カキ、ハマグリ、イガイからなる群から選択される請求項8に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−519511(P2007−519511A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548590(P2006−548590)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/IS2005/000002
【国際公開番号】WO2005/068094
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506240986)
【氏名又は名称原語表記】STYLE EHF.
【Fターム(参考)】