説明

剤形

本発明は、薬物を含む溶融押出された微粒子およびマトリックスを含む剤形、特に変造防止性の剤形を提供し、前記溶融押出された微粒子は、前記マトリックス内の不連続相として存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物を含む溶融押出された微粒子およびマトリックスを含む剤形、特に変造防止(tamper-resistant)剤形、ならびに前記剤形を製造する方法に関する。本発明はまた、疼痛の治療などにおける、医薬品における剤形の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品が所期の方式で摂取される機会を最大限にするために、医薬品を変造防止の形態で提供することが望ましい。これにより、医薬品が所望の完全な薬理学的効果を有する可能性が高くなるようにする。さらにより重要なことには、医薬品を変造防止の形態で提供することは、それらが乱用されにくくなることを意味する。
【0003】
特定の種類の薬物を含む医薬品は、当然のことながら他のものよりも乱用の標的となる可能性が高い。例えば、オピオイドアゴニスト、精神安定剤、CNS抑制剤、CNS刺激物質または鎮静睡眠薬を含有する剤形(例えば錠剤)、特にオピオイドアゴニストを含有する剤形は、乱用の標的となることが多い。
【0004】
オピオイド鎮痛剤は、疼痛の治療および管理のための重要な医薬品である。乱用者は一般に、多幸感を生じる(euphorogenic)効果を経験するために、オピオイド鎮痛剤を含有する剤形、特に制御放出剤形を改変し、次いで短期間で高いインビボ濃度が達成されるようにそれらを投与しようとする。オピオイドを含有する制御放出錠剤は、例えば、錠剤内に存在するオピオイドを経口または経鼻投与時の即時放出に利用可能にするために、破砕され得る。発生する乱用の別の形態は、主にエタノールを使用することによって、オピオイドを含有する製剤からオピオイドを抽出するものであるが、他の溶媒、例えば水またはアセトンも使用される。次いで、得られた溶液は、注射によってそのまま投与され得る。さらに乱用者は、オピオイドを含有する剤形の使用指示を無視すると同時に、薬物放出を強化するために、剤形を摂取するときにアルコールを飲むことがある。これにより乱用者が、所期の速度よりも急速に、ある用量のオピオイドを摂取するおそれがある。
【0005】
乱用が発生する可能性を最小限にするために、オピオイド鎮痛剤を、高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)を用いて錠剤に製剤化することが提案されている。PEOは、剤形からのオピオイドの放出速度を制御し、剤形に耐破砕性(crush resistance)を付与する働きをすることができる。PEOはまた、剤形がエタノール抽出されると、注入および注射されにくい粘性溶液を確実にもたらすことができる。
【0006】
PEOの量、特に剤形内の薬物および他の添加剤(存在する場合)とのPEOの比は、放出速度および耐破砕性の制御を達成するのに必須であるが、制限的である。特に、剤形からの薬物の放出速度を制御するのに必要な、耐破砕性をもたらすPEOの量は非実用的に多いため、高い強度の剤形(すなわち、相対的に多量の薬物を含有する剤形)を調製することは困難である。剤形(例えば錠剤)は、投与を容易にするには大きく、重くなりすぎる。結果として、変造防止性でもある持続放出剤形、特に24時間にわたって薬物を放出する剤形を提供することは困難である。
【0007】
オピオイド鎮痛剤を含む溶融押出された多重粒子も公知である。これらは、例えば国際公開第2005/079760号に記載されている。溶融押出を容易にするためにかかる多重粒子内に存在するポリマーのいくらかは、その多重粒子に一定のレベルの耐破砕性を付与することができる。実際、かかる多重粒子内に存在するかかるポリマーのレベルが高いほど、破砕に対して弾性が高くなることが知られている。
【0008】
しかし他方では、前述の多重粒子は、それでもアルコール抽出による乱用をいくらか受けやすい。例えば、これらの多重粒子は、アルコールの存在下では、それがない場合よりもオピオイドを2〜3倍多く放出することが知られている。これは、多重粒子を生成するためのペレット化過程の際に溶融押出成形物を切断することにより作り出された表面から生じる薬物放出によって引き起こされると考えられる。しかしこのことは、乱用の可能性が相対的に高い場合には、非常に望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/079760号
【特許文献2】欧州特許EP-A-0425154号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association(1986年)
【非特許文献2】Pharmacopoeia XXI(1985年)
【非特許文献3】Pharmacopoeia XXII(1990年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、耐破砕性ならびに溶媒(例えばエタノール)抽出に対する抵抗性を有する代替の剤形、特に変造防止性の剤形が必要である。剤形は、容易に経口摂取され得る形状、大きさおよび重量のものが有利であるはずである。当然のことながら、剤形は、費用効果の高い方式で容易に製造されるべきである。
【0012】
驚くべきことには、薬物を含む溶融押出された微粒子がマトリックスに組み込まれ、その混合物が剤形(例えば錠剤)に形成される場合、その剤形は、優れたアルコール抽出抵抗性(すなわち変造防止)ならびに耐破砕性を有することがここで見出された。微粒子が存在するマトリックスは、アルコールに曝露されると注入または注射に対抗するゲルまたは粘性の溶液を形成することによって、アルコール抽出に対する抵抗性を提供する。薬物を含む微粒子の組成および大きさによって耐破砕性が提供されるので、マトリックスが破砕可能な材料であっても、分離困難であり、小さすぎてそれ以上容易には破砕できず、経鼻投与するには大きすぎる微粒子を得ることができればよい。マトリックスは硬化性ポリマーを含むこともでき、この場合、このマトリックスは、有利には耐破砕性を有する全体的な剤形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって第1の態様から見て、本発明は、
薬物を含む溶融押出された微粒子、および
マトリックス
を含む剤形を提供し、前記溶融押出された微粒子は、前記マトリックス内の不連続相として存在する。
【0014】
本発明の好ましい剤形では、微粒子は延伸微粒子である。特に好ましくは、微粒子は、溶融押出成形物を延伸および切断することによって調製される。
【0015】
本発明のさらに好ましい剤形は、剤形の総重量に対して15〜80%wtの前記微粒子を含む。またさらに好ましい剤形は、剤形の総重量に対して20〜85%wtの前記マトリックスを含む。
【0016】
またさらに好ましい剤形では、マトリックスは、ゲル形成剤、特に硬化したゲル形成剤を含む連続相を含む。
【0017】
別の態様から見て、本発明は、薬物を含む溶融押出された微粒子をマトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、前記混合物を剤形に形成するステップとを含む、薬物を含む剤形を調製する方法を提供する。
【0018】
別の態様から見て、本発明は、薬物を含む溶融押出成形物を、任意選択により(例えば好ましくは)延伸および切断することによって調製される溶融押出された微粒子を、マトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、前記混合物を剤形に形成するステップとを含む、薬物を含む剤形を調製する方法を提供する。
【0019】
別の態様から見て、本発明は、
i)前記薬物を含む組成物を溶融押出して、溶融押出成形物を形成するステップと、
ii)任意選択により、例えば好ましくは、前記溶融押出成形物を延伸して、延伸押出成形物を形成するステップと、
iii)前記延伸押出成形物を切断して、微粒子を形成するステップと、
iv)前記微粒子をマトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、
前記混合物を剤形に形成するステップと
を含む、薬物を含む剤形を調製する方法を提供する。
【0020】
さらなる一態様から見て、本発明は、薬物を含む溶融押出成形物を提供し、前記押出成形物は、約1mm未満の直径を有する。
【0021】
好ましい押出成形物は、延伸押出成形物である。
【0022】
さらなる一態様から見て、本発明は、薬物を含む微粒子を提供し、前記微粒子は、約1mm未満の直径および/または長さを有する。
【0023】
好ましい微粒子は、溶融押出された微粒子である。特に好ましい微粒子は、延伸され、溶融押出された微粒子である。
【0024】
さらなる一態様から見て、本発明は、薬物を含む微粒子を提供し、前記微粒子は、
i)前記薬物を含む組成物を溶融押出して、溶融押出成形物を形成するステップと、
ii)任意選択により、例えば好ましくは、前記溶融押出成形物を延伸して、延伸押出成形物を形成するステップと、
iii)前記延伸押出成形物を切断して、微粒子を形成するステップと
によって得ることができる。
【0025】
さらなる一態様から見て、本発明は、医薬品において使用するため(例えば、疼痛の治療または管理に使用するため)の、本明細書で先に記載の剤形を提供する。
【0026】
さらなる一態様から見て、本発明は、医薬品において使用するため(例えば、疼痛の治療または管理に使用するため)の、本明細書で先に記載の微粒子を提供する。
【0027】
さらなる一態様から見て、本発明は、疼痛の治療のための、本明細書で先に記載の剤形の製造における、薬物(例えば、乱用されやすい薬物)を含む溶融押出された微粒子およびマトリックス材料の使用を提供する。
【0028】
別の態様から見て、本発明はまた、疼痛緩和を必要としている対象に、本明細書で先に記載の薬物(例えば、乱用されやすい薬物)を含む剤形を投与するステップを含む、前記対象を治療する方法を提供する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、剤形は、変造防止性である。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施形態では、薬物は、乱用されやすい薬物である。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態では、剤形内に存在する微粒子は、マイクロ微粒子(microparticulate)である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関する仮定的溶解速度の図である。
【図2】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【図3】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【図4】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【図5】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【図6】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【図7】本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「剤形」は、薬物から構成され、実際に患者に投与され、または患者によって摂取される医薬品としての実体を指す。剤形の代表例は、錠剤である。カプセル剤は、別の剤形である。本発明の好ましい剤形は、錠剤である。好ましい剤形は、経口投与に合わせて設計される。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「変造防止」は、アルコール抽出に抵抗性のある剤形を指す。したがって、この剤形は乱用を妨げることができる。本発明の好ましい変造防止性の剤形は、アルコール抽出および破砕に抵抗性がある。
【0035】
本発明の好ましい剤形は、USP Apparatus 1(バスケット)内において40%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定した場合の、0.5時間で剤形から放出された薬物の量が、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900m中、37℃において100rpmで測定した場合の、0.5時間で剤形から放出された薬物の量の±20%以内(例えば、±10%以内、さらにより好ましくは±5%以内)となる剤形である。特に好ましい剤形では、40%エタノールを伴うSGFにおいて前述の試験に従って測定した場合の、0.5時間で剤形から放出された薬物の量は、0%エタノールを伴うSGFにおいて放出された薬物の量未満であるか、またはおよそそれに等しい。さらにより好ましくは、40%エタノールを伴うSGFにおいて前述の試験に従って測定した場合の、0.5時間で放出された薬物の量は、0%エタノールを伴うSGFにおいて放出された薬物の量の、90%以下、より好ましくは80%以下、例えば70%以下である。
【0036】
本発明の特に好ましい剤形は、平坦化の前の剤形の厚さの約60%未満の厚さ、好ましくは約50%未満の厚さ、さらにより好ましくは約40%未満の厚さまで、破壊することなく平坦化され得る(例えばハンマーで打つことによって)。特に好ましい剤形は、平坦化の前の剤形の厚さの約10%〜約99%、約20%〜約80%または約40%〜約60%の厚さまで、破壊することなく平坦化され得る(例えばハンマーで打つことによって)。本発明の特に好ましい剤形は、本明細書の実施例に記載の手順に従って試験される通り、少なくとも350ニュートン、好ましくは500ニュートン、例えば400〜495ニュートンの破壊強度を有する。
【0037】
本発明の剤形は、微粒子を不連続相として含む。本明細書で使用される場合、用語「微粒子」は、例えば20℃または室温または周囲温度で固体である材料の離散した塊を指すために使用される。好ましくは、微粒子は20℃で固体である。
【0038】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、薬物を含む溶融押出成形物、より好ましくは薬物を含む延伸された溶融押出成形物から調製される。したがって、本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは、薬物を含む組成物を溶融押出して溶融押出成形物を形成し、前記溶融押出成形物を延伸し、延伸押出成形物を切断することによって調製される。したがって、本発明の剤形の不連続相として存在する好ましい微粒子は、延伸された溶融押出成形物から形成されるため、従来の多重粒子とは異なり、一般に約1mm(長さ)×1mm(直径)の寸法を有し、したがって従来の多重粒子よりも著しく小さい直径を有する。したがって、これらの微粒子は繊維に例えられ、または繊維とみなされることがある。有利には、この微粒子は、耐破砕性を強化し、微粒子をマトリックス内に組み込むことができる。好ましくは、剤形の不連続相として存在する微粒子は、圧縮力によっても影響を受けない。
【0039】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、マイクロ微粒子である。本明細書で使用される場合、用語「マイクロ微粒子」は、1000μm以下の平均長および平均直径を有する微粒子を指すために使用される。微粒子の「長さ」は、押出方向と平行な微粒子の寸法である。微粒子の「直径」は、押出方向と垂直な最大寸法である。
【0040】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、一般に円柱状の形状である。したがって、かかる微粒子の直径は、円形断面の直径である。
【0041】
特に好ましい微粒子、例えばマイクロ微粒子は、約1000μm未満の平均直径、より好ましくは約800μm未満の平均直径、さらにより好ましくは約650μm未満の平均直径を有する。特に好ましい微粒子は、700μm未満、特に600μm未満、さらにより具体的には500μm未満、例えば400μm未満の平均直径を有する。したがって、特に好ましい微粒子は、200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、さらにより好ましくは450〜700μm、さらにより好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲の平均直径を有する。さらに好ましい微粒子は、約300μm〜約400μm、約400μm〜500μmまたは約500μm〜600μmの平均直径を有する。従来の多重粒子よりも小さい、本発明の微粒子、例えばマイクロ微粒子の直径は、好ましくは(preferablly)、溶融押出成形物をペレット化の前に延伸することによって達成される。したがって微粒子、例えばマイクロ微粒子の最小平均直径は、主に、押出成形物が破壊することなくどの程度まで確実に延伸され得るかによって決定することができ、溶融押出成形物の組成に応じて、例えば約500μm、約400μm、約300μmまたは約200μmであってよい。
【0042】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、約1000μm未満の平均長、好ましくは約800μm未満の平均長、さらにより好ましくは約650μm未満の平均長、例えば約600μm、約500μm、約400μmまたは約300μmの長さを有する。特に好ましい微粒子は、700μm未満、特に650μm未満、さらにより具体的には550μm未満、例えば450μm未満の平均長を有する。したがって、特に好ましい微粒子は、200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、さらにより好ましくは450〜700μm、さらにより好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲の平均長を有する。マイクロ微粒子の最小平均長は、切断ステップによって決定され、例えば500μm、400μm、300μmまたは200μmであってよい。
【0043】
微粒子の大きさは、当技術分野で公知の任意の従来の手順、例えばレーザー光散乱、ふるい分析、光学顕微鏡法または画像分析によって決定することができる。
【0044】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、耐破砕性である。したがって好ましくは、微粒子は、平坦化の前の微粒子の厚さの約60%未満の厚さ、好ましくは約50%未満の厚さ、さらにより好ましくは約40%未満の厚さまで、破壊することなく平坦化され得る(例えばハンマーで打つことによって)。特に好ましい微粒子は、平坦化の前の微粒子の厚さの約10%〜約99%、約20%〜約80%または約40%〜約60%の厚さまで、破壊することなく平坦化され得る(例えばハンマーで打つことによって)。本発明で使用するためのいくつかの微粒子は、本明細書の実施例に記載の手順に従って試験される通り、少なくとも350ニュートン、好ましくは500ニュートン、例えば400〜495ニュートンの破壊強度を有することができる。
【0045】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは、乱用されやすい薬物を含む。乱用されやすい薬物は、好ましくはオピオイドアゴニスト、精神安定剤、CNS抑制剤、CNS刺激物質または鎮静睡眠薬である。特に好ましくは、乱用されやすい薬物はオピオイドアゴニストである。
【0046】
本発明の特に好ましい剤形では、薬物は、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、モルヒネ、コデイン、ブプレノルフィン、フェンタニル、トラマドール、タペンタドールおよび薬学的に許容されるその塩からなる群から選択されるオピオイドアゴニストである。さらにより好ましくは、存在する薬物は、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、モルヒネ、コデインおよび薬学的に許容されるその塩からなる群から選択されるオピオイドアゴニストである。本発明のいくつかの実施形態では、好ましいオピオイドアゴニストは、オキシコドンである。他の好ましい実施形態では、好ましいオピオイドアゴニストは、ヒドロモルホンである。当業者であれば、何が適切な薬学的に許容される塩であるかを容易に決定することができる。
【0047】
薬学的に許容される塩には、それに限定されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩などの金属塩;カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩およびN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩およびリン酸塩などの無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩および酒石酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルギネート、アスパルギネートおよびグルタミン酸塩などのアミノ酸塩が含まれる。無機酸塩が一般に好ましい。
【0048】
オキシコドン塩酸塩およびヒドロモルホン塩酸塩が、好ましいオピオイドアゴニストである。
【0049】
本発明の剤形の調製物に含まれる薬剤は、好ましくは500ミクロン未満、さらにより好ましくは300ミクロン未満、さらにより好ましくは200または100ミクロン未満の平均粒径を有する。平均粒径に下限はなく、例えば50ミクロンであってよい。薬物の粒径は、当技術分野で慣習的な任意の技術、例えばレーザー光散乱、ふるい分析、光学顕微鏡法または画像分析によって決定することができる。概して、薬物粒子の最大寸法が、微粒子の大きさ未満(例えば、微粒子の最小寸法未満)であることが好ましい。また、延伸された溶融押出成形物の直径の半分未満の粒径を有する薬物粒子ならびに非溶融および/または非軟化添加剤を利用することが一般に有利であると思われる。これは、薬物を含む微粒子が連続マトリックス内の不連続相を確実に形成するように働く。これが達成される場合、押出成形物は、破壊の危険性をほとんど伴わずに延伸することができる。
【0050】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは、微粒子の総重量に対して3〜50wt%の薬物、より好ましくは5〜40wt%の薬物、さらにより好ましくは7.5〜35wt%の薬物、例えば10〜20wt%の薬物を含む。
【0051】
本発明の剤形は、1つまたは複数の追加の活性成分を含むこともできる。追加の活性成分は、乱用されやすい薬物または別の医薬品であってよい。追加の活性成分は、前述の微粒子内(「粒内」)またはマトリックス内(「粒外」)に存在することができる。追加の活性成分が粒内に存在する場合、その活性成分は、同じ微粒子内の1つもしくは複数の活性成分と組み合わさって、または剤形内に存在する任意の他の活性成分とは分離された唯一の別個の(discreet)微粒子集団として存在することができる。
【0052】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、当技術分野で現在認められている試験方法によって決定される、適切な引張強度を有する微粒子である。さらに好ましい微粒子は、当技術分野の試験方法によって決定されるヤング率を有する微粒子である。またさらに好ましい微粒子は、許容される破断点伸びを有する微粒子である。
【0053】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは耐破砕性を付与するポリマー、特に好ましくはゴム状ポリマーまたは塑性特性を有するポリマーを含む。このポリマーの存在は、剤形が乱用者によって破砕されても、薬物が微粒子から放出されないことを意味する。さらに、マトリックス内に存在する微粒子の大きさが十分に小さいことから、乱用者は破砕したマトリックスから微粒子を分離することができない。耐破砕性を付与する好ましいポリマーには、Eudragit(登録商標)NEもしくはNMポリマー、またはEudragit(登録商標)RSもしくはRLポリマーなどの塑性特性を有するポリマーが含まれる。
【0054】
本発明の好ましい剤形では、耐破砕性を付与するポリマー、例えばゴム状ポリマーは、アクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはその混合物である。したがって本発明の剤形は、好ましくは、アクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはその混合物から選択されるポリマーを含む。これらのポリマーは、耐破砕性の増大に加えて、溶融押出を容易にし、微粒子からの薬物の放出速度を制御する一助になる。
【0055】
アクリルおよびメタクリルポリマーの代表例には、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリレートコポリマーが含まれる。
【0056】
特に好ましくは、本発明の剤形内に存在する微粒子は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびその混合物のコポリマーを含む。好ましいアルキルエステルは、メチルエステルおよびエチルエステルである。特に好ましくは、コポリマーは、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートのコポリマーである。
【0057】
耐破砕性を付与するポリマー、例えばゴム状ポリマーは、中性(すなわち、電荷を担持していない)であってよく、または荷電していても良い。中性ポリマーでは、側鎖(例えば、アルキルエステル側鎖のアルキル基)は、一般に非官能性である。荷電ポリマーでは、側鎖(例えば、アルキルエステル側鎖のアルキル基)は、一般に、例えばトリメチルアンモニオなどの第4級アンモニウム基によって官能化されている。トリメチルアンモニオ基は、好ましくは塩として存在し、ポリマーを透水性にする傾向がある。好ましくは、耐破砕性を付与するポリマーは中性である(すなわち、荷電していない)。
【0058】
特に好ましくは、耐破砕性を付与するポリマー、例えばエチルアクリレートおよびメチルメタクリレートのコポリマーなどのゴム状ポリマーは、50,000〜200,000、より好ましくは60,000〜150,000、例えば70,000〜100,000の範囲の平均分子量を有する。平均分子量は、数平均分子量である。
【0059】
本発明の剤形内に存在する微粒子において使用するためのアクリルポリマーおよびメタクリルポリマーは、例えばEvonikから市販されている。適切なポリマーの代表例には、商標Eudragit、特にEudragit(登録商標)RL 100、Eudragit(登録商標)RL PO、Eudragit(登録商標)RS 100、Eudragit(登録商標)RS PO、Eudragit(登録商標)NE 40 D、Eudragit(登録商標)NE 30 Dで販売されているポリマーが含まれる。約150,000の平均分子量を有するエチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの中性コポリマーである、Eudragit(登録商標)NE 40 D、Eudragit(登録商標)NE 30 DおよびEudragit(登録商標)NM 30 Dが特に好ましい。
【0060】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、微粒子の総重量に対して、好ましくは10〜50%wt、より好ましくは20〜40%wt、さらにより好ましくは25〜35wt%の耐破砕性を付与するポリマー、例えばアクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはその混合物などのゴム状ポリマーを含む。
【0061】
薬物は、耐破砕性を付与するポリマー、例えばアクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはその混合物などのゴム状ポリマーに溶解することができる。しかし、薬物はポリマーに溶解しないことが好ましい。
【0062】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは速度制御剤または速度改変剤を含む。本明細書で使用される場合、速度制御剤または速度改変剤という用語は、微粒子からの薬物の放出速度に影響を与える目的で含まれる、微粒子の構成成分を指すために使用される。微粒子において使用するのに好ましい速度制御剤または速度改変剤は、制御放出、特に徐放を提供するものである。
【0063】
本発明において使用するのに好ましい速度制御剤または速度改変剤は、疎水性材料、特に疎水性ポリマーである。さらに好ましい速度制御剤または速度改変剤は、水不溶性材料、特に水不溶性ポリマーである。
【0064】
速度制御剤または速度改変剤は、耐破砕性を付与するポリマーであり得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0065】
微粒子において使用するのに特に好ましい速度制御剤または速度改変剤は、アルキルセルロースである。これらには、天然および合成アルキルセルロースが含まれる。水溶性および水不溶性セルロース誘導体も、共に適している。アルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースの代表例には、水溶性メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシルプロピルメチルセルロースが含まれる。水不溶性アルキルセルロースの一例は、エチルセルロースである。本発明の剤形内に存在する微粒子において速度制御剤または速度改変剤として使用するのに特に好ましいアルキルセルロースは、エチルセルロースである。
【0066】
微粒子における使用に適したアルキルセルロースは、市販されている。存在することができる市販のアルキルセルロースの例には、エチルセルロースN10およびN45、ならびに水性分散液であるSurerelease E-7-1940が含まれる。エチルセルロースN10およびN45が、特に好ましい。これらは、数々の供給者から利用可能である。アルキルセルロースは、顆粒、粉末または微粉の形態であってよい。すべての形態が市販されている。
【0067】
本発明の剤形の微粒子において採用するのに適した他の速度制御剤または速度改変剤には、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムなどの不溶性の親水性ウィッキング剤;高分子量グレード(高粘度)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンオキシド、ペクチン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムなどの、水和してゲルを形成し、水の移動を制御するゲル化剤;PEG 6000などの高分子量ポリエチレングリコール;ならびにEudragit(登録商標)RL POなどの透水性アンモニウムメタクリレート(アンモニオメタクリレートとも呼ばれる)コポリマーが含まれる。
【0068】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは、微粒子の総重量に対して20〜50wt%の速度制御剤または速度改変剤、より好ましくは25〜45%wtの速度制御剤または速度改変剤、さらにより好ましくは30〜40%wtの速度制御剤または速度改変剤を含む。
【0069】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、滑沢剤を含むこともできる。滑沢剤は、ポリマー混合物またはブレンドと、例えば押出機の内部表面との摩擦を低減する処理助剤である。滑沢剤の代表例には、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル(例えば、ジベヘン酸グリセリルの形態)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクおよび二酸化ケイ素(溶融シリカ)が含まれる。押出混合物内の滑沢剤の存在によって、ブレンド、混練および運搬が改善され、接着力が低減される。低温から中程度の温度での滑沢剤による平滑な押出によって、バッチ間の再現性(reproducibilty)が改善され、生成物および製造装置の両方に対する緊張が低減される。ジベヘン酸グリセリルは、微粒子において使用するのに好ましい滑沢剤である。
【0070】
微粒子内に存在する滑沢剤の量は、微粒子の総重量に対して、好ましくは1〜25%wt、より好ましくは2〜15%wt、さらにより好ましくは3〜10%wtの範囲である。
【0071】
本発明の剤形内に存在する好ましい微粒子は、可塑剤も含む。可塑剤は、微粒子内に存在する任意のポリマーの内部潤滑を提供することによって押出を容易にし、凝集を低減する。可塑剤の代表例には、水不溶性固体(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびセトステアリルアルコール)、水溶性固体(例えば、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール)、および液体(例えば、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコールおよびポリソルベート80)が含まれる。好ましい固体可塑剤は、ステアリルアルコールである。液体可塑剤も好ましい。クエン酸トリエチルは、好ましい液体可塑剤である。
【0072】
本発明の剤形内に存在する可塑剤の量は、微粒子の総重量に対して、好ましくは1〜30%wt、より好ましくは5〜20%wt、さらにより好ましくは10〜15%wtの範囲である。
【0073】
可塑剤は、時に滑沢剤として作用することができ、滑沢剤は、時に可塑剤として作用することができる。
【0074】
本発明の剤形内に存在する微粒子がオピオイドアゴニストを含む場合、剤形は、オピオイドアンタゴニストを含むこともできる。任意の従来のオピオイドアンタゴニスト、例えばナルトレキソンまたはナロキソンまたはそれらの薬学的に許容される塩が存在することができる。その塩を含むナロキソンが、特に好ましい。オピオイドアンタゴニストは、微粒子またはマトリックス内に存在することができる。あるいはオピオイドアンタゴニストは、前述の薬物に対して別個の微粒子として提供することもできる。かかる微粒子の好ましい組成は、薬物を含有する微粒子について記載のものと同じである。
【0075】
本発明の特に好ましい剤形は、ナロキソン、特にナロキソン塩酸塩と、オキシコドンまたは薬学的に許容されるその塩の1つおよびヒドロモルホンまたは薬学的に許容されるその塩の1つから選択されるオピオイドアゴニストを含む微粒子とを含む。特に好ましいオピオイドアゴニストは、オキシコドン塩酸塩およびヒドロモルホン塩酸塩である。
【0076】
本発明の剤形におけるオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの比は、好ましくは重量で1:1〜3:1、例えば重量で約2:1である。例えば、オピオイドアゴニストがヒドロモルホンHClであり、オピオイドアンタゴニストがナロキソンHClである場合、アゴニスト:アンタゴニスト比は、重量で1:1〜3:1、例えば重量で約2:1であってよい。オピオイドアゴニストがオキシコドンHClであり、オピオイドアンタゴニストがナロキソンHClである場合、アゴニスト:アンタゴニスト比は、重量で1:1〜3:1、好ましくは重量で約2:1であってよい。
【0077】
オピオイドアンタゴニストが本発明の剤形内に存在する場合、微粒子内に存在するオピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストの総量は、微粒子の総重量に対して、好ましくは5〜40%wt、より好ましくは10〜30%wt、さらにより好ましくは20〜25%wtの範囲である。オピオイドアゴニストがヒドロモルホンまたはその塩(例えばHCl塩)であり、アンタゴニスト(例えばナロキソンHCl)が存在する場合、剤形内に存在するヒドロモルホンまたはその塩の量は、好ましくは2〜80mgまたは5〜80mg、例えば5、10、20、40または80mgであり、さらにより好ましくはヒドロモルホンまたはその塩の量は、2〜32mg、例えば2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、28または32mgである。オピオイドアゴニストがオキシコドンまたはその塩(例えばHCl塩)であり、アンタゴニスト(例えばナロキソンHCl)が存在する場合、剤形内に存在するオキシコドンまたはその塩の量は、好ましくは2〜32mgまたは5〜80mg、例えば2、4、8、16または32mgであり、さらにより好ましくはオキシコドンまたはその塩の量は、5〜80mg、例えば5、10、20、30、40、50、60、70または80mgである。
【0078】
本発明の剤形内に存在する微粒子の前述の好ましい構成成分のそれぞれに適した量の百分率を、微粒子の総重量に対して、以下の表に記載する。この表は、示された範囲のいずれかを、他の好ましい範囲のいずれかと組み合わせて開示することを企図する。
【0079】
【表1】

【0080】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、当技術分野で慣習的な他の添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、香味剤(flavourant)、流動促進剤および他の放出改変剤をさらに含有することができる。当業者であれば、適切なさらなる添加剤、ならびにこれらの添加剤のそれぞれの量を容易に決定することができる。本発明の剤形を製剤化するために使用できる薬学的に許容される担体および添加剤の具体例は、その内容が本明細書に組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association(1986年)に記載されている。
【0081】
ラクトース、グルコースまたはショ糖、デンプンおよびそれらの加水分解物、微結晶性セルロース、セラトース(cellatose)、ソルビトールまたはマンニトールなどの糖アルコール、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムなどの多様な可溶性の(polysoluble)カルシウム塩を、充填剤として使用することができる。ポビドンは、造粒助剤として使用することができる。高分散性シリカ、滑石(talcum)、トウモロコシデンプン、酸化マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウムは、好ましくは流動化剤(flowing agent)として使用することができる。
【0082】
本発明の剤形内に存在する特に好ましい微粒子は、好ましくは塩酸塩としてのオキシコドンまたはヒドロモルホン、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートコポリマー、好ましくはEudragit(登録商標)NE 30 DまたはNE 40 D、速度制御剤または速度改変剤としてのエチルセルロース、可塑剤としてのステアリルアルコールおよび/またはクエン酸トリエチル、滑沢剤としてのジベヘン酸グリセリルならびに任意選択によりオピオイドアンタゴニストを含む。オピオイドアンタゴニストが存在する場合、特に塩酸塩の形態のナロキソンが好ましい。
【0083】
本発明の剤形内に存在する微粒子は、好ましくは、構成成分を混合し、混合物を溶融押出し、次いで押出成形物を、例えば所定の直径および長さに延伸および切断することによって調製される。混合は、均質性を達成する任意の従来の手段、例えばブレンドおよび/または造粒によって達成することができる。好ましい方法では、構成成分の混合は、造粒によって達成される。造粒物は、好ましくは乾燥される。次いで造粒物は、記載の通り、押出、延伸および切断され得る。例えば、薬物は、薬物を含有する顆粒を生成するための他の構成成分と一緒に造粒し、次いでその顆粒を乾燥させ、乾燥させた顆粒を押出および切断することができる。あるいは、薬物を含まない構成成分を造粒してプラセボ顆粒を生成し、プラセボ顆粒を乾燥させた後、薬物と乾燥ブレンドし、得られた乾燥ブレンドを押出および切断することができる。後者は、水と感応しやすい活性剤、例えばヒドロモルホンまたは薬学的に許容されるその塩を薬物として含有する微粒子を生成するのに好ましい方法である。
【0084】
特に好ましい方法では、液体可塑剤は、速度制御または速度改変ポリマー(例えばエチルセルロース)と、5〜25%wt(律速放出(rate releasing)ポリマーの重量に対して)の量で混合され、例えば5〜12時間静置される。これによって、可塑剤がポリマー構造の深部に浸透し、そのガラス転移温度(Tg)が低下し、最終的には速度制御または速度改変ポリマーの耐破砕性が増大する。次いで、塑性化された速度制御または速度改変ポリマーは、他の構成成分、例えばオピオイドアゴニスト、耐破砕性を付与するポリマー(例えば、ゴム状ポリマーおよび/または塑性特性を有するポリマー)、滑沢剤および可塑剤と共に混合、例えば造粒される。混合は、任意の従来のミキサーを使用して実施することができる。
【0085】
押出は、任意の従来の押出装置、例えば溶融押出機を使用して実施することができるが、好ましくは、共回転式または反回転式スクリューを有することができる2軸スクリュー押出機が使用される。一般に、混合物(例えば、粉末または乾燥顆粒として)は、通常、より高温のバレルセグメントに一定流が送られるようにするために、フィーダーによって相対的に低い温度(例えば10〜20℃)でバレルの第1のセグメントに供給される。フィーダーは、ブレンドの均一流を押出機に提供する。変則的で可変的な供給速度によって、密度および多孔性などの様々な物理的特性を有する微粒子を生成することができる粘稠度が望ましい。
【0086】
好ましい押出機は、混合物を運搬、ブレンド、圧縮、加熱および軟化する目的で、2軸スクリュー、好ましくは反回転式スクリューを用いて設計される。ブレンドの構成要素および押出条件の選択に応じて、ブレンドが溶融ならびに軟化することになる。この押出過程のかなりの部分を行うスクリューは、様々なスクリュー要素および混練要素から選択される、異なる小さい要素から構築される。混合および混練時間は、スクリュー要素の種類、長さおよび構成、ならびに場合により混練機要素を変更することによって著しく変わり得る。短い滞留時間および中程度から低度のせん断力は、熱感受性の薬物についても安全な処理および安定な生成物をもたらすのに貢献する。適切な押出機の例には、Leistritz、Brabender、RandcastleおよびKurimoto Co.Ltd製のものが含まれる。
【0087】
スクリュー回転速度は、生成される微粒子の質に部分的に役割を果たすことができる。ブレンド供給速度が適切に補償されない高速回転は、可変的な薬物放出速度の、多孔性の高い微粒子を生成し得る。他方では、スクリュー回転が遅いと、長く不要な滞留時間が誘発され得る。押出機のバレルに接続された吸引機は、軟化したブレンド内の封入空気を除去し、したがって多孔性の低い高密度の微粒子を生成するのに望ましい。
【0088】
スクリュー速度に加えて、影響力の大きい他の主なパラメータは、スクリュートルク、個々のバレルの温度、ならびに押出ヘッドの圧力および温度である。好ましくは、押出は、100℃以下、例えば80〜100℃の温度で実施される。
【0089】
押出ヘッドは、一般に、固定された直径の複数のひも状物質(strand)を生成するように設計される。オリフィスの数、形状および直径は、所定の仕様に適合するように変更することができる。しかし一般に、押出成形物の直径は、1.0〜1.2mm、すなわち従来の押出成形物の直径と同じである。したがって、本発明の好ましい実施形態の利点は、従来の多重粒子の調製の際と同じ方法で、従来の押出装置を使用できるということである。これは、ダイの孔の大きさを小さくする(閉塞する可能性を増大し得る)必要がなく、または押出を達成するのに必要な圧力レベルを増大する必要がないことを意味する。
【0090】
押出は、製薬技術において十分に確立された生成方法でもあり、当業者には周知である。当業者は、供給速度、スクリュー速度、押出機の様々な帯域の加熱温度(利用可能な場合)、含水量などの、押出過程中の様々なパラメータを変更して、所望の特徴の生成物を生成できることを十分に認識されよう。
【0091】
前述のパラメータは、使用される押出機の特定の種類に応じて変わることになる。押出の際に、本発明の製剤の構成要素が溶融される加熱帯域の温度は、特に反回転式2軸スクリュー押出機が使用される場合、40〜120℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは50〜90℃、さらにより好ましくは50〜70℃、最も好ましくは50〜65℃であってよい。当業者は、すべての加熱帯域が加熱される必要がないことを十分に認識されよう。特に、構成要素が混合されるフィーダーの後は、約25℃での冷却が必要となり得る。スクリュー速度は、特に反回転式2軸スクリュー押出機が使用される場合、1分当たり50〜500回転(rpm)、好ましくは100〜250rpm、より好ましくは100〜200rpmで変更することができ、最も好ましくは約150rpmである。ノズルの幾何形状および直径は、必要に応じて選択することができる。一般に使用される押出機のノズルの直径は、一般に1〜10mm、好ましくは2〜8mm、最も好ましくは3〜5mmである。本明細書に記載の剤形の生成に使用することができる押出機のスクリューの長さ対直径の比は、一般に約40:1である。
【0092】
一般に、加熱帯域の温度は、薬学的に活性な化合物を破壊するおそれのある温度が発生しないように選択しなければならない。供給速度およびスクリュー速度は、押出することによって生成された調製物から、薬学的に活性な化合物が持続的に、独立に、また不変の方式で放出されるように選択される。例えば、供給速度を上昇させたら、同じ回転率を確保するように、スクリュー速度をそれに対応して上昇させなければならない。
【0093】
前述のパラメータのすべては、特定の生成条件(押出機の種類、スクリューの幾何形状、構成要素の数等)に応じて変わり、生成される押出成形物が所望の特性を有するように適合される必要があることを、当業者は認識されよう。
【0094】
次いで好ましくは、溶融押出成形物は延伸される。これは、好ましくは押出成形物がまだ可撓性である間に実施される。好ましくは、延伸は、押出成形物をペレタイザーおよび/またはペレタイザーのニップローラーに輸送するベルトコンベアを使用して実施される。特に好ましくは、ベルトコンベア速度およびニップローラー速度は、所望の延伸を達成するように連動され、調節される。一般に、ベルトコンベアおよび/またはニップローラーは、押出成形物が押出機から出るよりも速い速度で押出成形物を加工するように設定される。しかし当業者であれば、所望の延伸を達成するために、押出機、ベルトコンベア、ニップローラー等に適した設定を容易に決定することができる。
【0095】
延伸過程中、溶融押出成形物の直径は低減し、押出成形物の長さはそれに対応して増大する。好ましくは延伸によって、溶融押出成形物の直径は、その元の直径の80〜30%、より好ましくは75〜40%、さらにより好ましくは70〜45%、さらにより好ましくは60〜50%、例えばその元の直径の約50%まで低減される。溶融押出成形物が延伸され得る最大量は、溶融押出成形物の組成および/または溶融押出成形物内に存在する薬物の粒径に応じて、元の直径の約40%〜約30%の範囲(例えば30%)の直径まで、押出成形物の直径を低減する量であり得る。
【0096】
特に好ましくは、延伸された溶融押出成形物の平均直径は、約1000μm未満、より好ましくは約800μm未満、さらにより好ましくは約650μm未満、例えば600または500μm未満であり、またさらにより好ましくは約450μm未満、例えば約300μm〜約400μmである。微粒子の最小平均直径は、主に、押出成形物が破壊することなくどの程度まで確実に延伸され得るかによって決定され、例えば約500μm、約400μm、約300μmまたは約200μmであってよい。これもまた、押出成形物の正確な組成に応じて決まる。したがって、延伸された溶融押出成形物の平均直径は、好ましくは200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、さらにより好ましくは450〜700μm、さらにより好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲である。他の好ましい実施形態では、延伸された溶融押出成形物の平均直径は、300〜600μm、例えば400〜500μmの範囲である。
【0097】
延伸された溶融押出成形物の直径は、好ましくは経時的に不変である。したがって、前述の平均粒径は、好ましくは±20%、より好ましくは±10%、例えば±5%で達成される。
【0098】
任意選択により、レーザーによる直径の測定をベルトコンベアとペレタイザーの間で使用して、押出成形物の直径を継続的にモニタすることができる。モニタリング系によって提供される情報を使用して、ベルトコンベア速度および/またはニップローラー速度を調節する支援にすることができる。レーザーによる直径の測定は、押出成形物の平均直径を決定するために使用することもできる。
【0099】
本発明の剤形内に存在する微粒子を生成するために、延伸された溶融押出成形物は切断される。切断は、当技術分野で公知の任意の従来の手順によって実施することができる。例えば、延伸押出成形物は、ニップロールによってペレタイザーに供給することができる。次いでペレタイザーが、例えば回転ナイフカッターを使用して、供給された押出成形物を所定の長さに、例えば約1000μm未満の平均長、好ましくは約800μm未満の平均長、さらにより好ましくは約650μm未満の平均長、例えば約600μmまたは500μmの長さに切断する。他の好ましい実施形態では、供給された押出成形物は、約300〜600μm、例えば約400μm、450μmまたは500μmの平均長に切断される。溶融押出成形物の供給速度、例えばコンベヤーベルト速度およびペレタイザーのカッター速度は、主に微粒子の長さを決定する。微粒子の最小平均長は、例えば400μm〜200μm(例えば200μm)であってよい。したがって、微粒子の平均長は、好ましくは200〜1000μm、例えば約300μm、約400μmまたは約500μm、より好ましくは400〜800μm、例えば約400〜500μm、さらにより好ましくは450〜700μm、例えば約450〜600μm、さらにより好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲である。
【0100】
本発明の剤形では、前述の微粒子は、マトリックスに組み込まれる。本明細書で使用される場合、用語「マトリックス」は、剤形内に存在する連続相を指すために使用される。本発明の剤形のマトリックスは、好ましくは、1つまたは複数のゲル形成剤および/またはシリコーンを含む。好ましいシリコーンを以下に記載する。
【0101】
好ましくは、剤形のマトリックスは、1つまたは複数のゲル形成剤を含む。好ましいゲル形成剤は、ポリマーである。マトリックス内に存在するポリマーの平均分子量は、別段特定されない限り数平均である。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「ゲル形成薬剤」は、溶媒(例えば水)との接触時に、溶媒を吸収し、膨張し、それによって粘性または半粘性の物質を形成する化合物を指すために使用される。この物質は、水性および水性アルコール性媒体の両方に包埋した微粒子からの薬物放出を穏やかにすることができる。完全に水和されると、一般に高い粘性の溶液または分散液が生成され、これは、ある量の可溶化した薬物を含有し、かつシリンジに吸い込まれ得る自由な溶媒の量を著しく低減し、かつ/または最小限にする。形成されるゲルは、薬物をゲル構造内に捕捉することによって、溶媒を用いて抽出され得る薬物の全体的な量を低減することもできる。したがって、ゲル形成剤は、本発明の剤形に変造防止を付与する重要な役割を果たすことができる。
【0103】
本発明の剤形において使用することができる好ましいゲル形成剤には、薬学的に許容されるポリマー、一般にヒドロゲルなどの親水性ポリマーが含まれる。ゲル形成剤として使用するのに好ましいポリマーは、適切な溶媒との接触時に高い度合いの粘度を示す。高い粘度によって、乱用者が、水性および/または水性アルコール性ビヒクルに剤形の内容物を破砕して溶解し、それを静脈内注射しようとする場合、高い粘性のゲルの形成を強化することができる。
【0104】
ゲル形成剤として使用することができるポリマーの代表例には、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリ(ウロン)酸およびその混合物が含まれる。これらのポリマーのそれぞれの好ましい特徴を、以下に記載する。
【0105】
本発明の剤形において使用するのに特に好ましいシリコーンおよびゲル形成剤(例えばポリマー)は、硬化性のものである。本明細書で使用される場合、硬化性という用語は、例えば加熱によって架橋され得る薬剤、一般にポリマーを指すために使用される。硬化過程中に導入される架橋は、薬剤、例えばポリマーを硬くまたは強くするように働き、それによって剤形に耐破砕性を付与する。かかる剤形は、耐破砕性を提供する2つの機構、すなわち硬化したマトリックスならびに微粒子を用いる機構を含むことができるため、特に好ましい。
【0106】
硬化性薬剤として使用することができるポリマーの代表例には、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、カルボマー、ポリ(ウロン)酸、シリコーンおよびその混合物が含まれる。特に好ましい硬化性ゲル形成剤は、ポリエチレンオキシドである。別の好ましい硬化性薬剤は、シリコーンである。
【0107】
ポリエチレンオキシド
本発明の剤形のマトリックスは、ポリエチレンオキシド(PEO)を含むことができる。本発明の剤形内に存在するPEOは、好ましくはホモポリマーである。特に好ましくは、PEOは、反復するオキシエチレン基、すなわち-(O-CH2-CH2)n-(nは、約2,000〜約180,000であってよい)を有するホモポリマーである。
【0108】
特に好ましくは、PEOは、例えばレオロジー測定に基づいて、少なくとも約1,000,000の平均分子量を有する。さらにより好ましくは、PEOは、約2,000,000〜約7,000,000、例えば約3,000,000〜約4,000,000の平均分子量を有する。
【0109】
好ましくは、PEOは、2%水溶液として25℃で400〜5,000cpsの粘度を有し、より好ましくは、PEOは、2%水溶液として25℃で400〜800cpsの粘度を有し、さらにより好ましくは2%水溶液として25℃で2,000〜4,000cpsの粘度を有する。PEOはまた、好ましくは1%水溶液として25℃で1,500〜12,000cpsの粘度、より好ましくは1%水溶液として25℃で1,650〜5,500cpsの粘度、さらにより好ましくは1%水溶液として25℃で5,500〜7,500cpsの粘度、さらにより好ましくは1%水溶液として25℃で7,500〜10,000cpsの粘度を有することができる。
【0110】
特に好ましくは、本発明の剤形内に存在するPEOは、以下の表に記載の平均分子量および粘度を有するポリマーである。例えば、本発明の剤形において使用するのに好ましいPEOは、4,000,000の平均分子量を有し、1%水溶液として25℃で1650〜5500cpsの粘度を有する。本発明の剤形において使用するのに好ましい別のPEOは、5,000,000の平均分子量を有し、1%水溶液として25℃で5,550〜7,500cpsの粘度を有する。本発明の剤形において使用するのに好ましいさらに別のPEOは、7,000,000の平均分子量を有し、1%水溶液として25℃で7,500〜10,000cpsの粘度を有する。
【0111】
【表2】

【0112】
本発明のいくつかの実施形態では、マトリックスは、異なる分子量を有するPEOの混合物を含むことができる。いくつかの剤形においては、例えば、レオロジー測定に基づいて少なくとも1,000,000(例えば、前述の通り2,000,000〜7,000,000)の平均分子量を有するPEO、ならびにレオロジー測定に基づいて1,000,000未満(例えば200,000〜800,000)の平均分子量を有するPEOを含むことが有利となり得る。かかる剤形は、薬物の耐破砕性、ならびに改変および/または制御放出、例えば徐放の有利な特徴を有することができる。
【0113】
本発明の剤形における使用に適したPEOは、Dowから市販されている。例えば、Polyox WSR N-12K、Polyox N-60K、Polyox WSR 301 NFまたはPolyox WSR 303NFを、本発明の剤形において使用することができる。
【0114】
ポリビニルアルコール
本発明の剤形のマトリックスは、ポリビニルアルコールを含むことができる。ポリビニルアルコールは、好ましくは、約20,000〜約200,000の平均分子量を有する。ポリビニルアルコールの粘度は、好ましくは4%水溶液として25℃で約4〜約65cpsである。
【0115】
マトリックスにおいて使用されるポリビニルアルコールは、好ましくは水溶性ポリマーである。好ましいポリビニルアルコールは、式-(C2H4O)n-(nは、約500〜約5,000の範囲であってよい)を有する。本発明の剤形のマトリックスにおいて使用することができる市販のポリビニルアルコールポリマーの代表例には、Spectrum Chemical Manufacturing Corporationから利用可能なPVAであるUSPが含まれる。
【0116】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
本発明の剤形のマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーを含むことができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、2%水溶液として25℃で、好ましくは約1,000〜約150,000cps、より好ましくは約3,000〜120,000cps、例えば3,000〜5,600cps、11,250〜21,000cpsまたは80,000〜120,000cpsである。
【0117】
本発明の剤形のマトリックス内に存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは水溶性ポリマーである。剤形において使用することができる市販のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーの例には、The Dow Chemical Companyから利用可能なMethocel(商標)K4M、Methocel(商標)K15MおよびMethocel(商標)K100Mが含まれる。
【0118】
カルボマー
本発明の剤形のマトリックスは、カルボマーを含むことができる。カルボマーは、好ましくは700,000〜約4,000,000,000の範囲の分子量を有する。カルボマーの粘度は、好ましくは、中性pHの1%水溶液として、25℃で約4000〜約39,400cpsの範囲である。本発明の剤形のマトリックス内に存在することができる市販のカルボマーの例には、Lubrizolから利用可能なCarbopol(登録商標)934P NF、Carbopol(登録商標)974P NFおよびCarbopol(登録商標)971 P NFが含まれる。
【0119】
ポリウロン酸
本発明の剤形のマトリックスは、ポリウロン酸、好ましくは水溶性ポリウロン酸を含むことができる。マトリックスにおいて使用することができるポリウロン酸の水溶性塩の例には、アルギン酸のアルカリ金属塩およびペクチン酸のアルカリ金属塩が含まれる。好ましいマトリックスにおいては、ポリウロン酸の水溶性塩は、アルギン酸の塩であり、これは実際には2つのポリウロン酸、すなわちマンヌロン(mannuoronic)酸およびグルロン酸の混合物である。本発明の剤形のマトリックスにおいて使用することができるアルギン酸のアルカリ金属塩の例には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムおよびアルギン酸アンモニウムが含まれる。同じまたは異なる粘度の同じまたは異なるアルギン酸塩の混合物を使用することができる。
【0120】
シリコーン
本発明の剤形のマトリックスは、シリコーン、好ましくは100℃未満の温度で硬化され得るシリコーンを含むことができる。特に好ましいシリコーンは、ケイ素と結合した水素原子を有するポリジオルガノシロキサンとの反応に利用可能な、ケイ素と結合した不飽和有機基、例えばビニル基を有するポリジオルガノシロキサンを含むシリコーンである。適切なシリコーンは、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許EP-A-0425154号に記載されている。
【0121】
本発明の剤形のマトリックスは、任意選択により滑沢剤を含むことができる。好ましい滑沢剤は、微粒子の組成に関して先に記載した滑沢剤である。マトリックス内に存在する滑沢剤の量は、マトリックスの総重量に対して、好ましくは1〜10%wt、好ましくは2〜5%wtの範囲である。
【0122】
本発明の剤形のマトリックスは、さらに、当技術分野で慣習的な他の添加剤、例えば賦形剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、香味剤、流動促進剤、湿潤調整剤(wet-regulating agent)および崩壊剤を含有することができる。当業者であれば、これらの添加剤のそれぞれの適切な量を容易に決定することができる。
【0123】
好ましくは、本発明の剤形は、剤形の総重量に対して15〜80%wt、より好ましくは20〜60%wt、さらにより好ましくは30〜55%wt、さらにより好ましくは35〜45%wtの微粒子を含む。好ましくは、本発明の剤形は、剤形の総重量に対して20〜85%wt、より好ましくは30〜70%wt、さらにより好ましくは45〜65%wt、さらにより好ましくは50〜60%wtのマトリックスを含む。本発明の剤形の利点は、同じ微粒子を、マトリックス材料と異なる量で混合することによって、異なる強度の剤形を生成し得ることである。さらに、本発明の剤形は優れた変造防止特性を有するので、長期にわたって薬物を放出する高い強度の剤形を調製することができる。有利には、かかる剤形は、1日1回または2回投与するだけでよい。
【0124】
本発明の剤形は、任意の従来の方法によって調製することができる。しかし好ましくは、剤形は、圧縮によって調製される。したがって、本明細書で先に定義の微粒子は、好ましくはマトリックス材料と混合、例えばブレンドおよび/または造粒(例えば、湿式造粒)され、次いで得られたミックス(例えば、ブレンドまたは造粒物)は、錠剤を形成するために、好ましくは鋳型内で圧縮される。また本明細書に記載の微粒子は、溶融造粒(例えば、脂肪アルコールおよび/または水溶性ワックスおよび/または水不溶性ワックスを使用する)または高せん断造粒などの他の過程を使用してマトリックスに組み込まれ、その後圧縮され得ることが想定される。
【0125】
剤形のマトリックスが、硬化性薬剤、例えばPEOを含む場合、その調製方法は、好ましくは硬化性材料、例えばPEOを含む剤形を、少なくとも約60℃、好ましくは少なくとも約65℃、より好ましくは少なくとも約70℃、例えば50〜100℃の温度に加熱するステップを含む。特に好ましい方法では、剤形は、約60℃〜約90℃、好ましくは約65℃〜約85℃または約70℃〜約80℃の温度に加熱される。この加熱または「硬化」過程は、硬化性薬剤、例えばPEOに、その耐破砕性特性を付与する。加熱または硬化ステップは、好ましくは所望の耐破砕性特性を達成するのに適した時間にわたって実施される。これは、例えば少なくとも1分であってよい。本発明の剤形を製造する好ましい方法では、硬化は、少なくとも約5分、好ましくは少なくとも約15分、より好ましくは少なくとも約30分、さらにより好ましくは少なくとも約60分、例えば少なくとも約90分間実施される。特に好ましい方法では、硬化は、約1分〜約24時間、好ましくは約5分〜約12時間、さらにより好ましくは約30分〜約6時間、例えば約1時間〜約3時間実施される。硬化は、好ましくは剤形の形成後に実施される。
【0126】
本発明の剤形は、任意選択によりコーティング、例えば化粧用コーティングを含むことができる。コーティングは、好ましくは剤形の形成後に適用される。コーティングは、硬化過程の前または後に適用することができる。好ましいコーティングは、Colorconから利用可能なOpadry(登録商標)コーティングである。他の好ましいコーティングは、やはりColorconから市販のOpaglos(登録商標)コーティングである。
【0127】
当業者は、剤形に含まれる薬物の適切な量を容易に決定することができる。例えば、鎮痛剤の場合、剤形内に存在する薬物の総量は、鎮痛をもたらすのに十分な量である。患者に1用量で投与される薬物の総量は、薬物の性質、患者の体重、疼痛の重症度、投与される他の治療剤の性質等を含む数々の因子に応じて変わることになる。前述の通り、本発明の剤形の利点は、異なる強度の剤形を容易に調製できることである。一般的な指針として、本発明の剤形内に存在する薬物の総量は、1〜500mg、より好ましくは2〜200mg、さらにより好ましくは5〜100mg、例えば約10〜50mgの範囲であってよい。例えば、薬物がヒドロモルホンHClである場合、剤形内の薬物の総量は、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、28または32mgであってよい。薬物がオキシコドンHClである場合、剤形内の薬物の総量は、5、10、20、30、40、50、60、70または80mgであってよい。
【0128】
本発明の好ましい剤形は、例えば摂取され、胃液、次いで腸液に曝露される場合、制御放出プロファイルで薬物を放出する。正確な放出プロファイルは、例えば微粒子の組成、マトリックスの組成および/または微粒子とマトリックスの割合を変更することによって、変えることができる。
【0129】
本発明の好ましい剤形は、持続放出剤形である。本明細書で使用される場合、用語「持続放出剤形」は、「徐放剤形」および「延長放出(prolonged-release)剤形」と同じ意味を有し、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、少なくとも6時間、例えば少なくとも12時間にわたって薬物を放出し続ける剤形を指す。したがって、薬物の例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%(剤形内に元々存在する薬物の総重量に対して)が、溶解し初めて1時間で(すなわち0〜1時間に)放出され得る。本発明の好ましい剤形は、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、少なくとも8〜12時間の範囲にわたって薬物を放出し続ける。本発明の他の特に好ましい剤形は、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、少なくとも12〜24時間の範囲にわたって薬物を放出し続ける。
【0130】
本発明のさらに好ましい剤形では、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、1時間で持続放出剤形から放出される薬物の量は、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは8%未満、例えば5%未満である(剤形内に元々存在する薬物の総重量に対して)。換言すれば、本発明の剤形は、最初の放出速度が高くないことが好ましい。むしろ本発明の剤形は、放出プロファイルを通して制御放出を提供する。
【0131】
本発明のさらに好ましい剤形では、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、剤形の総重量に対して約0〜30%wt(例えば、剤形の総重量に対して10〜20%wt)が1時間後までにインビトロで放出され、剤形の総重量に対して80%wt超(例えば、剤形の総重量に対して85〜99%wt)が12時間後までにインビトロで放出される。
【0132】
本発明の他の好ましい剤形では、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定して、剤形の総重量に対して約0〜30%wt(例えば、剤形の総重量に対して10〜20%wt)が1時間後までにインビトロで放出され、剤形の総重量に対して80%wt超(例えば、剤形の総重量に対して85〜99%wt)が24時間後までにインビトロで放出される。これらの剤形の場合、好ましくは剤形の総重量に対して40〜70%wt(例えば、剤形の総重量に対して50〜60%wt)が、12時間後までに放出される。
【0133】
剤形内に存在する薬物が、ヒドロモルホンまたはその塩(例えばヒドロモルホンHCl)である場合、剤形のインビトロ溶解速度について、USPパドル法(Pharmacopoeia XXI(1985年)に記載の通り)によって、水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、37℃において100rpmで測定して、12.5〜42.5%(重量)のヒドロモルホンが1時間後までに放出され、25〜55%(重量)のヒドロモルホンが2時間後までに放出され、45〜75%(重量)のヒドロモルホンが4時間後までに放出され、55〜85%(重量)のヒドロモルホンが6時間後までに放出され、インビトロ放出速度は、pH1.6〜7.2のpHとは無関係であり、したがってインビボで得られたヒドロモルホンの血漿レベルのピークは、剤形投与の2〜4時間後に生じる。
【0134】
好ましくは、溶解速度について、17.5〜37.5%(重量)のヒドロモルホンが1時間後までに放出され、30〜50%(重量)が2時間後までに、50〜70%(重量)が4時間後までに、60〜80%(重量)が6時間後までに放出される。最も好ましくは、溶解速度について、22.5〜32.5%(重量)のヒドロモルホンが1時間後までに放出され、35〜45%(重量)が2時間後までに、55〜65%(重量)が4時間後までに、65〜75%(重量)が6時間後までに放出される。
【0135】
先の段落で使用した通り、「pHとは無関係」は、所与の任意の時間における、pH1.6で放出されたヒドロモルホンの量と、pH7.2以下の任意の他のpHで放出された量との差異が10%(重量)以下であることを意味し(USPパドル法(Pharmacopoeia XXI(1985年)に記載の通り)を使用して、水性緩衝液900ml中、100rpmにおいてインビトロで測定した場合)、放出された量は、すべての場合において少なくとも3回の実験の平均である。
【0136】
先の段落で使用した通り、「インビボで得られたヒドロモルホンの血漿レベルのピーク」は、単回用量による薬物動態試験を受ける場合の、少なくとも6人の健康なボランティアの血漿に見出されたヒドロモルホンの最大平均濃度を指す。
【0137】
好ましくは、ヒドロモルホンの血漿レベルのピークは、剤形投与の2.25〜3.75時間後にインビボで得られる。
【0138】
剤形内に存在する薬物が、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)である場合、剤形のインビトロ溶解速度について、USPパドル法(Pharmacopoeia XXII(1990年)に記載の通り)によって、水性緩衝液(pH1.6〜7.2)900ml中、37℃において100rpmで測定して、12.5〜42.5%(重量)のオキシコドンが1時間後までに放出され、25〜56%(重量)のオキシコドンが2時間後までに放出され、45〜75%(重量)のオキシコドンが4時間後までに放出され、55〜85%(重量)のオキシコドンが6時間後までに放出され、インビトロ放出速度は、pHとは実質的に無関係であり、したがってインビボで得られたオキシコドンの血漿レベルのピークは、剤形投与の2〜4.5時間後に生じる。
【0139】
好ましくは、溶解速度について、17.5〜38%(重量)のオキシコドンが1時間後までに放出され、30〜50%(重量)が2時間後までに、50〜70%(重量)が4時間後までに、60〜80%(重量)が6時間後までに放出される。最も好ましくは、溶解速度について、17.5〜32.5%(重量)のオキシコドンが1時間後までに放出され、35〜45%(重量)が2時間後までに、55〜65%(重量)が4時間後までに、65〜75%(重量)が6時間後までに放出される。
【0140】
オキシコドンに関して先の段落で使用した通り、用語「pHとは実質的に無関係」は、所与の任意の時間における、例えばpH1.6で放出されたオキシコドンの量と、任意の他のpH、例えばpH7.2で放出された量との差異が10%(重量)以下であることを意味し(USPパドル法(Pharmacopoeia XXII (1990年)に記載の通り)を使用して、水性緩衝液900ml中、100rpmにおいてインビトロで測定した場合)、放出された量は、すべての場合において少なくとも3回の実験の平均である。
【0141】
オキシコドンに関して先の段落で使用した通り、「インビボで得られたオキシコドンの血漿レベルのピーク」は、単回用量による薬物動態試験を受ける場合の、少なくとも6人の健康なボランティアの血漿に見出されたオキシコドンの最大平均濃度を指す。
【0142】
剤形がオキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む場合、その剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、15分後に、好ましくは1〜40%(重量)、好ましくは5〜35%(重量)、より好ましくは10〜30%(重量)、さらにより好ましくは15〜25%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。好ましい剤形は、前述の方法によって決定して、15分後に、15〜20%(重量)、20〜25%(重量)、約15%(重量)、約20%(重量)または約25%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0143】
別の実施形態では、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、1時間後までに、25〜65%(重量)、好ましくは30〜60%(重量)、より好ましくは35〜55%(重量)、さらにより好ましくは40〜50%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。好ましい剤形は、前述の方法によって決定して、1時間後までに、40〜45%(重量)、45〜50%(重量)、約40%(重量)、約45%(重量)または約50%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0144】
別の実施形態では、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、2時間後までに、40〜80%(重量)、好ましくは45〜75%(重量)、より好ましくは45〜70%(重量)、さらにより好ましくは45〜50%(重量)、50〜55%(重量)、55〜60%(重量)、60〜65%(重量)または65〜70%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。好ましい剤形は、前述の方法によって決定して、2時間後までに、約45%(重量)、約50%(重量)、約55%(重量)、約60%(重量)、約65%(重量)または約70%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0145】
別の実施形態では、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、4時間後までに、70〜100%(重量)、好ましくは75〜95%(重量)、より好ましくは80〜95%(重量)、さらにより好ましくは80〜90%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。好ましい剤形は、前述の方法によって決定して、4時間後までに、80〜85%(重量)、85〜90%(重量)、約80%(重量)、約85%(重量)または約90%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0146】
別の実施形態では、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、7時間後までに、70〜100%(重量)、好ましくは75〜100%(重量)、より好ましくは80〜95%(重量)、さらにより好ましくは80〜85%(重量)、85〜90%(重量)または90〜95%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。好ましい剤形は、前述の方法によって決定して、7時間後までに、約80%(重量)、約85%(重量)、約90%または約95%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0147】
別の実施形態では、オキシコドンまたはその塩(例えばオキシコドンHCl)およびナロキソン(例えばナロキソンHCl)を含む剤形は、USPバスケット法を適用し、HPLCを使用することによってpH1.2で決定して、12時間後までに、85〜100%(重量)、好ましくは90〜100%(重量)、より好ましくは95〜100%(重量)、さらにより好ましくは97〜100%(重量)のオキシコドンおよび/またはナロキソンを放出する。
【0148】
薬物が剤形のマトリックス内で保護されることから生じる本発明の剤形のさらなる利点は、その薬物が、もしあるとしてもほとんど分解されないということである。好ましい剤形では、分解による薬物の喪失は、40℃および相対湿度75%の促進保存条件に6ヵ月間曝露した後、10%(重量)未満、好ましくは5%(重量)未満、さらにより好ましくは1%(重量)未満である。
【0149】
本発明の微粒子および剤形は、医薬品において、例えば鎮痛剤として使用することができる。したがって、微粒子および剤形は、疼痛の治療または管理に特に適している。かかる剤形では、薬物は、好ましくは鎮痛剤である。
【0150】
好ましい実施形態の詳細な説明
ここで、本発明を以下の非限定的な例によって説明する。ここで、図1は本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関する仮定的溶解速度の図を示し、図2から7は、本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関するインビトロ溶解速度の図を示す。
【実施例】
【0151】
試験手順
インビトロ溶解速度
錠剤を、標準の手順、例えばUSP Apparatus 1(バスケット)またはUSP Apparatus 2(パドル)を使用し、例えば酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、例えば37℃において50rpmで、Perkin Elmer UV/VIS分光計Lambda 20を使用して、錠剤内に存在する薬物の検出に適したUV波長でインビトロにて試験する。微粒子、非硬化錠剤、硬化錠剤および変造した、すなわち平坦化した微粒子または錠剤を使用することができる。変造型の錠剤/微粒子は、ハンマーを用いて物理的な変造を付与するために、手動によりハンマーで7回打つことによって平坦化される。平坦化の前および後の錠剤/微粒子の寸法および溶解プロファイルを、別個の試料に対して評価する。
【0152】
本発明の剤形内に存在する微粒子ならびに剤形自体に関する溶解速度を、図1に示す。図1は、微粒子からの薬物の放出速度が、剤形からの放出速度よりも高いことを示している。しかし、微粒子からの薬物の放出速度は、乱用者が多幸感を生じる効果を得るには十分ではない。したがって、乱用者が本発明の剤形を破砕する場合でも、薬物の放出速度が著しく増大することはない。このことは、乱用者が剤形を変造しようとする動機を低減する。
【0153】
変造防止試験
(i)破砕性
破壊に対する抵抗性を評価するために、硬化した錠剤を、Schleuniger 2E/106 Apparatusを使用して、最大196ニュートンの力を適用して破壊強度試験にかける。微粒子は、錠剤と同じまたは類似の破壊強度試験にかけることができる。
(ii)エタノール抽出に対する抵抗性
アルコール抽出性を評価するために、錠剤を、エタノール濃度0%、20%および40%のエタノール/SGF媒体を使用して、インビトロで試験する。試験は、標準の手順、例えばUSP Apparatus 1(バスケット)またはUSP Apparatus 2(パドル)を使用し、例えば媒体500ml中、例えば37℃において50rpmで、Perkin Elmer UV/VIS分光計Lambda 20を使用して、錠剤内に存在する薬物の検出に適したUV波長で実施する。試料の試験時間は0.5〜1時間とする。
【0154】
(実施例1)
以下のTable 1(表3)にまとめた組成物を有する微粒子を、以下の通り調製する。
【0155】
【表3】

【0156】
まず、エチルセルロース/クエン酸トリエチルの調製物を、ブレンダーにエチルセルロースを入れ、例えばスプレーによりクエン酸トリエチルを徐々に添加することによって調製する。均一なブレンドが得られるまで混合を継続し、次いでクエン酸トリエチルがエチルセルロースに浸透できるように、混合物を終夜静置する。
【0157】
次いで、ヒドロモルホンHCl、ナロキソンHCl、ステアリルアルコール、ジベヘン酸グリセリルおよび先に調製したエチルセルロース/クエン酸トリエチル調製物をブレンダーに添加し、混合する。得られた混合物を、Eudragit(登録商標)NE 40Dの水性分散液を用いて造粒する。次いでその造粒物を、一定の重量に乾燥させる。
【0158】
次いで、乾燥させた造粒物を押出する。溶融押出機を、所定の押出条件に設定し、押出を実施する。得られた押出成形物は、1mmの平均直径を有する。次いで押出成形物を、ペレタイザーへの移動中に、ベルトコンベアおよびニップローラーによって延伸する。延伸押出成形物は、約500μmの平均直径を有する。次いで、延伸押出成形物を、約500μmの平均長を有する微粒子に切断する。
【0159】
以下のTable 2(表4)にまとめた組成物を有する錠剤を、以下の通り調製する。
【0160】
【表4】

【0161】
微粒子を、マトリックス材料および任意選択により他の添加剤とブレンドする。次いで、滑沢剤を添加し、混合物をブレンドして、均一なブレンドを形成する。次いで、ブレンドを適切な道具で圧縮して、所定の重量および厚さの錠剤にする。
【0162】
その後、コーティングおよび硬化を、1つの装置で実施することができる。硬化の前にコーティングが必要な場合、錠剤を所定の温度に加熱し、スプレーコーティングし、乾燥させ、その後その温度を硬化に必要な温度まで上昇させる。コーティングの前に硬化が必要な場合、錠剤を、所定の時間にわたって必要な温度まで加熱し、次いで冷却する。次いで、任意選択によりスプレーコーティングを実施して、所定の重量を得ることができる。
【0163】
(実施例2)
以下のTable 3(表5)にまとめた組成物を含む溶融押出された微粒子を、第1に、以下のTable 4(表6)にまとめた組成物を含むプラセボ顆粒を調製し(流動床造粒(fluid bed granulation)によって)、第2に、プラセボ顆粒を製粉し(0.5mmのふるいを備えたRetschミルを使用する)、第3に、製粉したプラセボ顆粒を、適切な大きさのコーンブレンダーで、ヒドロモルホン塩酸塩、ナロキソン塩酸塩およびステアリン酸マグネシウムとブレンドして、ブレンドされた顆粒を生成し、最後にそのブレンドされた顆粒を、Leistritz Micro 27溶融押出機で溶融押出して押出成形物を得、それを延伸し、最後にペレタイザーを用いて切断して、溶融押出された微粒子を得ることによって生成した。
【0164】
得られた微粒子は、0.80mmの平均直径および0.84mmの平均長を有していた。
【0165】
【表5】

【0166】
【表6】

【0167】
以下のTable 5(表7)にまとめた組成物を含む錠剤は、微粒子をヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K4M)およびステアリン酸マグネシウムとブレンドし、その後得られたブレンドを直接圧縮する(Manesty F3 Betapressを使用する)ことによって製造した。
【0168】
【表7】

【0169】
(実施例3)
以下のTable 6(表8)にまとめた組成物を含む錠剤の実験室規模のバッチは、実施例2の微粒子(Table 3(表5)参照)を、様々な添加剤を用いて(水を液体結合剤として使用し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K4M)を結合剤として使用した)、Kenwoodプロセッサー内で湿式造粒し、その後、得られた造粒物をManesty F3 Betapressを使用して圧縮することによって製造した。
【0170】
【表8】

【0171】
微粒子および錠剤を、Ph.Eurパドル溶解装置を使用して、pH1.2の酵素なしの人工胃液(SGF)500mlおよび40%エタノール500ml中、別個に、37℃において75rpmで溶解について試験した。インビトロ放出速度を測定するアッセイでは、標準のHPLC手順を使用し、得られた結果を添付の図2にプロットした。
【0172】
(実施例4)
以下のTable 7(表9)にまとめた組成物を含む錠剤を、以下の過程によって製造した。
1.実施例2の微粒子およびラクトースを、Kenwoodミキサーのボウルに入れ、乾式混合した。
2.大型の顆粒が得られるまで、水を滴下添加して混合物を造粒した。
3.HPMC(Methocel K100M)を、継続的に混合しながら湿潤顆粒に添加した。
4.ミックスが粉末状になるにつれて、追加の水を添加した。
5.顆粒を50〜55℃のGallenkampオーブンで2時間乾燥させた。
6.乾燥させた顆粒を、Pharmatechブレンダー内でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
7.ブレンドを、Manesty F3 Betapressを使用して圧縮して錠剤にした。
【0173】
【表9】

【0174】
微粒子および錠剤を、Ph.Eurパドル溶解装置を使用して、pH1.2のSGF500ml中、37℃において75rpmで溶解について試験した。インビトロ放出速度を測定するアッセイでは、標準のHPLC手順を使用し、得られた結果を添付の図3にプロットした。
【0175】
(実施例5)
以下のTable 8(表10)にまとめた組成物を含む錠剤を、以下の過程によって製造した。
1.実施例2の微粒子およびラクトースをボウルに入れ、乾式混合した。
2.大型の顆粒が得られるまで、水を滴下添加して混合物を過剰に湿潤させた。
3.PEOを、継続的に混合しながら湿潤顆粒に添加した。
4.顆粒を50〜55℃のGallenkampオーブンで2時間乾燥させた。
5.乾燥させた顆粒を、Pharmatechブレンダー内でステアリン酸マグネシウムとブレンドした。
6.ブレンドを、Manesty F3 Betapressを使用して圧縮して錠剤にした。
7.得られた錠剤を、オーブンに1時間入れて72℃で硬化させた。
【0176】
【表10】

【0177】
微粒子および錠剤を、実施例4と同様にしてSGFへの溶解について試験した。さらに錠剤を、実施例3と同様にして40%エタノールへの溶解について試験した。インビトロ放出速度を測定するアッセイでは、標準のHPLC手順を使用し、得られた結果を添付の図4および5にプロットした。
【0178】
(実施例6)
以下のTable 9(表11)にまとめた組成物を含む溶融押出された微粒子を、第1に、以下のTable 10(表12)にまとめた組成物を含むプラセボ顆粒を調製し(流動床造粒によって)、第2に、プラセボ顆粒を製粉し(0.5mmのふるいを備えたRetschミルを使用する)、第3に、製粉したプラセボ顆粒を、適切な大きさのコーンブレンダーで、ヒドロモルホン塩酸塩、ナロキソン塩酸塩ならびにステアリン酸マグネシウムおよびラウリル硫酸ナトリウム(2mg/単位)とブレンドして、ブレンドされた顆粒を生成し、最後にそのブレンドされた顆粒を、Leistritz Micro 27溶融押出機で溶融押出して押出成形物を得、それを延伸し、最後にペレタイザーを用いて切断して、溶融押出された微粒子を得ることによって生成した。
【0179】
得られた微粒子は、0.82mmの平均直径および0.81mmの平均長を有していた。
【0180】
【表11】

【0181】
【表12】

【0182】
以下のTable 11(表13)にまとめた組成物を含む錠剤を、ステップ1において、実施例2の代わりにこの実施例の微粒子をラクトースおよびクエン酸三ナトリウムと乾式混合し、ステップ3において、PEOの代わりにアルギン酸ナトリウムを継続的に混合しながら湿潤顆粒に添加したことを除き、実施例5の過程によって、ステップ7(錠剤の硬化)なしに製造した。
【0183】
【表13】

【0184】
(実施例7)
以下のTable 12(表14)にまとめた組成物を含む錠剤を、ステップ1において、実施例2の代わりに実施例6の微粒子をラクトースおよびステアリン酸マグネシウムと乾式混合し、ステップ3において、PEOの代わりにキサンタンガムを継続的に混合しながら湿潤顆粒に添加したことを除き、実施例5の過程によって、ステップ7(錠剤の硬化)なしに製造した。
【0185】
【表14】

【0186】
微粒子および錠剤を、実施例4および5と同様にしてSGFへの溶解について試験した。さらに錠剤を、実施例3および5と同様にして40%エタノールへの溶解について試験した。インビトロ放出速度を測定するアッセイでは、標準のHPLC手順を使用し、得られた結果を添付の図6および7にプロットした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を含む溶融押出された微粒子、および
マトリックス
を含む剤形であって、前記溶融押出された微粒子が前記マトリックス内の不連続相として存在する、剤形。
【請求項2】
前記微粒子が、延伸微粒子である、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
剤形の総重量に対して15〜80wt%の前記微粒子を含む、請求項1または請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
剤形の総重量に対して20〜85wt%の前記マトリックスを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項5】
前記マトリックスが、ゲル形成剤、特に硬化性ゲル形成剤を含む連続相を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
錠剤の形態の、請求項1から5のいずれかに記載の剤形。
【請求項7】
前記剤形が変造防止性である、請求項1から6のいずれかに記載の剤形。
【請求項8】
USP Apparatus 1(バスケット)内において40%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900ml中、37℃において100rpmで測定した場合の、0.5時間で剤形から放出された薬物の量が、USP Apparatus 1(バスケット)内において0%エタノールを伴う酵素なしの人工胃液(SGF)900m中、37℃において100rpmで測定した場合の、0.5時間で剤形から放出された薬物の量の±20%以内となる、請求項1から7のいずれかに記載の剤形。
【請求項9】
前記微粒子が、少なくとも350ニュートンの破壊強度を有する、請求項1から8のいずれかに記載の剤形。
【請求項10】
前記微粒子が、マイクロ微粒子である、請求項1から9のいずれかに記載の剤形。
【請求項11】
前記溶融押出された微粒子が、約1000μm未満の直径を有する、請求項1から10のいずれかに記載の剤形。
【請求項12】
前記溶融押出された微粒子が、約1000μm未満の長さを有する、請求項1から11のいずれかに記載の剤形。
【請求項13】
前記薬物が、乱用されやすい薬物である、請求項1から12のいずれかに記載の剤形。
【請求項14】
前記薬物が、オピオイドアゴニスト、精神安定剤、CNS抑制剤、CNS刺激物質または鎮静睡眠薬である、請求項1から13のいずれかに記載の剤形。
【請求項15】
前記薬物が、オピオイドアゴニストである、請求項1から14のいずれかに記載の剤形。
【請求項16】
前記オピオイドアゴニストが、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、モルヒネ、コデイン、ブプレノルフィン、フェンタニル、トラマドール、タペンタドールおよび薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
前記微粒子が、微粒子の総重量に対して3〜50%wtの薬物を含む、請求項1から16のいずれかに記載の剤形。
【請求項18】
1つまたは複数の追加の活性成分をさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の剤形。
【請求項19】
前記微粒子が、耐破砕性を付与するポリマーをさらに含む、請求項1から18のいずれかに記載の剤形。
【請求項20】
前記微粒子が、アクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはその混合物から選択されるポリマーをさらに含む、請求項1から19のいずれかに記載の剤形。
【請求項21】
前記アクリル酸およびメタクリル酸コポリマーが、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリレートコポリマーから選択される、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
前記アクリル酸およびメタクリル酸コポリマーが、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびその混合物から選択される、請求項20または請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
前記微粒子が、微粒子の総重量に対して10〜50%wtの耐破砕性を付与するポリマーを含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項24】
前記微粒子が、速度制御剤または速度改変剤をさらに含む、請求項1から23のいずれかに記載の剤形。
【請求項25】
前記速度制御剤または速度改変剤が、アルキルセルロース、例えばエチルセルロースである、請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記微粒子が、微粒子の総重量に対して20〜50%wtの速度制御剤または速度改変剤を含む、請求項24または請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
前記微粒子が、滑沢剤をさらに含む、請求項1から26のいずれかに記載の剤形。
【請求項28】
前記微粒子が、可塑剤をさらに含む、請求項1から27のいずれかに記載の剤形。
【請求項29】
前記微粒子が、好ましくは塩酸塩としてのオキシコドンまたはヒドロモルホン、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートコポリマー、好ましくはEudragit(登録商標)NE 30 DまたはNE 40 D、速度制御剤または速度改変剤としてのエチルセルロース、可塑剤としてのステアリルアルコールおよび/またはクエン酸トリエチル、滑沢剤としてのジベヘン酸グリセリルならびに任意選択によりオピオイドアンタゴニストを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項30】
前記微粒子が、オピオイドアゴニストを含み、オピオイドアンタゴニスト、例えばナロキソンをさらに含む、請求項1から29のいずれかに記載の剤形。
【請求項31】
前記マトリックスが、シリコーンおよび/またはゲル形成剤を含む、請求項1から30のいずれかに記載の剤形。
【請求項32】
前記ゲル形成剤が、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリ(ウロン)酸またはその混合物から選択される、請求項31に記載の剤形。
【請求項33】
前記シリコーンまたはゲル形成剤が硬化性である、請求項31または請求項32に記載の剤形。
【請求項34】
前記剤形が、平坦化の前の剤形の厚さの約60%未満の厚さまで、破壊することなく平坦化され得る、請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
薬物を含む溶融押出された微粒子をマトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、前記混合物を剤形に形成するステップとを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形を調製する方法。
【請求項36】
薬物を含む溶融押出成形物を、任意選択により(例えば好ましくは)延伸および切断することによって調製される溶融押出された微粒子を、マトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、前記混合物を剤形に形成するステップとを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形を調製する方法。
【請求項37】
i)前記薬物を含む組成物を溶融押出して、溶融押出成形物を形成するステップと、
ii)任意選択により、例えば好ましくは、前記溶融押出成形物を延伸して、延伸押出成形物を形成するステップと、
iii)前記延伸押出成形物を切断して、微粒子を形成するステップと、
iv)前記微粒子をマトリックス材料と混合して、前記微粒子が前記マトリックス内の不連続相を形成するようにするステップと、
前記混合物を剤形に形成するステップと
を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形を調製する方法。
【請求項38】
前記微粒子が、100℃以下の温度で溶融押出される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記マトリックスを硬化するさらなるステップとを含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記押出成形物が、約1mm未満の直径を有する、薬物を含む溶融押出成形物。
【請求項41】
前記押出成形物が、延伸押出成形物である、請求項40に記載の押出成形物。
【請求項42】
約1mm未満の直径および/または長さを有する、薬物を含む微粒子。
【請求項43】
溶融押出された微粒子である、請求項42に記載の微粒子。
【請求項44】
延伸微粒子である、請求項43に記載の微粒子。
【請求項45】
i)前記薬物を含む組成物を溶融押出して、溶融押出成形物を形成するステップと、
ii)任意選択により、例えば好ましくは、前記溶融押出成形物を延伸して、延伸押出成形物を形成するステップと、
iii)前記延伸押出成形物を切断して、微粒子を形成するステップと
によって得られる、薬物を含む微粒子。
【請求項46】
医薬品において使用するため(例えば、疼痛の治療または管理に使用するため)の、請求項42から45のいずれか一項に記載の微粒子。
【請求項47】
医薬品において使用するため(例えば、疼痛の治療または管理に使用するため)の、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項48】
疼痛の治療のための、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形の製造における、薬物(例えば、乱用されやすい薬物)を含む溶融押出された微粒子およびマトリックス材料の使用。
【請求項49】
疼痛緩和を必要としている対象に、請求項1から34のいずれか一項に記載の薬物(例えば、乱用されやすい薬物)を含む剤形を投与するステップとを含む、前記対象を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−528845(P2012−528845A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513685(P2012−513685)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050948
【国際公開番号】WO2010/140007
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】