説明

剥離シート及び粘着体

【課題】粘着シートを剥離シートから剥離した際に発生する糊残りを低減させることが可能な剥離シートを提供する。
【解決手段】剥離シートは、紙基材と、紙基材上に設けられた剥離層とを有する。剥離層が、シリコーン樹脂からなる剥離剤樹脂を含有する。剥離シートの剥離層が設けられた側の面は、平滑度2500秒以上である。剥離層の坪量を坪量A[g/m]とし、紙基材に含浸されていない剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、質量比率B/Aは0.20〜0.80である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剥離シート及び粘着体に関するものであり、特に、粘着シートがラベル加工される用途で用いられる剥離シート及び粘着体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着層を有する粘着シートと、紙基材上に剥離層が設けられた剥離シートとを備え、粘着層と剥離層が密着するように貼り合わされた粘着体が知られている。このような粘着体では、粘着シートを剥離シートから剥離した後においても、剥離シート上に粘着層の一部が残るいわゆる糊残り現象が発生する場合がある。糊残り現象は、紙基材上に設けられた剥離層にピンホールや凹凸ができてそこに粘着剤が入り込み、その入り込んだ粘着剤が、粘着シートを剥離シートから剥離する際に破断されて発生すると考えられている。
【0003】
粘着シート用の粘着剤は、溶剤型粘着剤が用いられるのが一般的であったが、近年、地球環境保護や労働環境等を改善させるために、水系のエマルション型に急速に転換されてきている。同様に、剥離シートに使用される剥離剤も、溶剤型剥離剤から無溶剤型剥離剤への転換が進んでいる。これら水系粘着剤や無溶剤型剥離剤が使用された粘着体では、糊残り現象が特に発生しやすくなる。
【0004】
ところで、ラベル加工された粘着シートをラベリングする時に糊残り現象が発生すると、ラベリング後に剥離シートの剥離層面が接触するガイドローラ等に、粘着剤の一部が転着することがある。このような粘着剤の転着は、紙送り不良や、ラベラーの動作不良等を引き起こし、ラベリングの作業性を低下させる原因になる。
【0005】
従来、糊残り現象を防止するために、所定の紙基材に剥離剤樹脂を0.8〜1.5g/mの坪量で塗布するとともに、剥離層の紙基材に含浸されていない部分(剥離剤単体層)の厚みを30〜150nmに調整した剥離シートが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−203561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1の剥離シートでは、粘着シートを剥離シートから剥離したときの糊残りを十分に防止することができず、ラベリングの作業性を十分に向上させることができない。
【0008】
そこで、本発明は、例えばラベリングするときのように、粘着シートを剥離シートから剥離したときに、剥離シート上に残存する粘着剤の量を低減させることが可能な剥離シート、及び粘着体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る剥離シートは、紙基材と、紙基材上に設けられた剥離層とを有し、剥離層が、シリコーン樹脂からなる剥離剤樹脂を含有し、剥離シートの剥離層が設けられた側の面が、平滑度2500秒以上であるとともに、剥離層の坪量を坪量A[g/m]とし、紙基材に含浸されていない剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、質量比率B/Aが0.20〜0.80であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る剥離シートは、紙基材の剥離層が設けられる側の面が、平滑度1000秒以上で、透気度31,000秒以上であることが好ましい。例えば坪量Aは、0.50〜2.50g/mである。また坪量Bは例えば、0.20〜2.00g/mである。
【0011】
本発明に係る粘着体は、紙基材、及び紙基材上に設けられた剥離層を有する剥離シートと、剥離層上に設けられた粘着層とを有し、剥離層が、シリコーン樹脂からなる剥離剤樹脂を含有し、剥離シートの剥離層が設けられた側の面が、平滑度2500秒以上であるとともに、剥離層の坪量を坪量A[g/m]とし、紙基材に含浸されていない剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、質量比率B/Aが0.20〜0.80であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、粘着シートを剥離シートから剥離するときに、剥離シート上に残存する粘着剤の量を低減させることができ、さらに、ラベル加工された粘着シートのラベリングの作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る剥離シートは、紙基材と、この紙基材上に設けられる剥離層とを備える。また、本発明の一実施形態に係る粘着体は、上記剥離シートと、剥離シートの剥離層の上に設けられた粘着シートとを備える。粘着シートは、基材シートと、この基材シートの少なくとも一方の面に粘着層が設けられたものであって、粘着層は粘着体において剥離層に密着している。ただし、粘着シートは、基材シートがないものであっても良い。粘着体は、特に限定されるわけではないが、例えばラベル加工された粘着シートがラベラー等によって被着体にラベリングされて使用されるものである。
【0014】
本実施形態の剥離層は、紙基材の一方の面に剥離剤樹脂が塗工された後硬化されることにより形成されるものであって、剥離層の一部は紙基材に含浸されている。剥離層を形成するための剥離剤樹脂は、シリコーン樹脂が使用される。剥離剤樹脂は、例えばエマルション型、溶剤型、無溶剤型等の形態で、紙基材に塗布されるが、環境負荷等を低減させるために無溶剤型が好ましい。紙基材に塗布された剥離剤樹脂は、ラジカル重合型、縮合型、付加型、架橋型、又は開環重合型反応系などの硬化機構で硬化される。剥離剤樹脂としてはこれらの中でも、付加型反応系シリコーン樹脂が特に好ましい。付加型反応系シリコーン樹脂としては、1分子中に少なくとも2個のビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンおよび白金系触媒を含み、所望により反応抑制剤等を含有するものが挙げられる。
【0015】
本実施形態では、剥離層を形成するために紙基材に塗工され硬化された剥離剤樹脂の坪量(すなわち、剥離層の坪量)を坪量A[g/m]とし、剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、剥離層に対する剥離剤単体層の質量比率B/Aは0.20〜0.80とされる。なお、剥離剤単体層とは、剥離層のうち紙基材に含浸されていない部分のことをいう(後述する坪量Bの測定方法を参照)。
【0016】
質量比率B/Aが0.20より小さいと、紙基材表面が剥離層によって十分に覆われなくなり、剥離層表面に発生する凹凸やピンホールを十分に防止することができなくなる。したがって、剥離シートから粘着シートを剥離した場合に、剥離層上に残存する粘着剤の量(粘着剤残存量)、すなわち糊残り量を少なくすることが難しくなる。一方、質量比率B/Aが0.80より大きいと、紙基材に対する剥離層の密着力(投錨力)が不十分となって、粘着層上に剥離層の一部が転写するおそれがある。質量比率B/Aは、糊残りや剥離層の粘着剤への転写をより効果的に防止するために、0.25〜0.60であることが好ましい。
【0017】
また、剥離シートの剥離層が設けられた側の面を、平滑度2500秒以上とするとともに、質量比率B/Aを0.20〜0.80とすることにより、粘着シートを剥離シートから高速剥離した場合でも、剥離シートの剥離力を適切な値に維持することができる。そのため、ラベル抜き加工とカス取りを30m/分程度の速度で行ってもラベルがカスとともに一緒に除去されてしまう身上がりが発生することはない。また、ラベリングを高速(例えば、100m/分以上)で行っても、剥離不良が発生することもない。
【0018】
剥離層を形成するために紙基材に塗工され硬化された剥離剤樹脂の坪量Aは、0.30〜3.00g/mであることが好ましく、0.50〜2.50g/mであることがより好ましい。また、剥離剤単体層の坪量Bは、0.10〜2.40g/mであることが好ましく、0.20〜2.00g/mであることがより好ましい。剥離剤は、例えばグラビアコーター、ロッドコーター、又はエアードクターコーターなどの公知の方法で紙基材に塗工される。
【0019】
紙基材は、原紙と、原紙の一面又は両面に設けられた目止め層とを有し、剥離層が紙基材の目止め層が設けられた側の面に設けられるものであることが好ましい。
【0020】
紙基材の少なくとも剥離層が設けられる側の面は、平滑度1000秒以上、透気度31,000秒以上とされている。また、剥離シートの剥離層が設けられた側の面は、剥離層が設けられることによってその平滑度が高められ、平滑度2500秒以上となる。
【0021】
紙基材の平滑度及び透気度がこのように高い値に設定されると、紙基材への剥離剤樹脂の浸み込み量が制御され、質量比率A/Bが0.20〜0.80に調整されやすくなる。また、剥離シートの剥離層が設けられた側の面の平滑度が2500秒以上であるため、剥離層表面におけるピンホールや凹凸が低減され、粘着シートを剥離シートから剥離した際の糊残りを低減させやすくなる。
【0022】
糊残りをより効果的に低減させるために、紙基材の少なくとも剥離層が設けられる側の面は、平滑度が1600秒以上であることが好ましく、また、透気度は100,000秒以上であることが好ましい。さらに、剥離シートの剥離層が設けられた側の面の平滑度は、4000秒以上であることが好ましい。
【0023】
原紙としては、特に限定されるものではなく、剥離シートに一般的に用いられるものが使用され、例えば上質紙、再生紙、クラフト紙、ロール紙、グラシン紙などが好適に使用される。また、原紙は、セルロース繊維を主成分とする限りは、他の繊維例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの繊維が少量含有されていても良い。原紙に使用されるパルプとしては、N−BKP(針葉樹晒硫酸塩パルプ)、N−BSP(針葉樹晒亜硫酸パルプ)、L−BKP(広葉樹晒硫酸塩パルプ)、又はL−BSP(広葉樹晒亜硫酸パルプ)等が例示される。
【0024】
原紙の坪量は、特に限定されるものではないが、好ましくは20〜250g/m、より好ましくは30〜150g/mである。坪量が20g/m未満になると紙の強度が低下し、剥離剤の塗工工程において作業性が劣ることがあり、250g/mを超えるとコストが高くなる。
【0025】
目止め層としては、従来公知の水溶性樹脂等の塗料が塗工されて形成されたものが使用される。目止め層用の塗料としては、デンプンやポリビニルアルコール等のバインダー、所望により添加されるサイズ剤、着色剤、流動性調整剤、消泡剤等の添加剤、及び溶媒等を含む塗料等が使用される。塗料は、例えばエアードクターコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ナイフコーター、又はリバースコーターなどの公知の方法によって原紙に塗工される。これらの中でも、目止め層を原紙両面に設けることができるオンマシン(すなわち、抄紙中)でのサイズプレスコーターが、生産性や品質安定性を高めることができるため好ましい。
【0026】
目止め層が両面に設けられる場合、目止め層を形成する塗料の塗工量(固形分)の両面合計は、特に限定されないが、目止め性能を効果的に発揮させ、かつ剥離剤樹脂の浸み込みを適度に抑えるために、好ましくは1〜10g/m、より好ましくは2.1〜5.0g/mとされる。すなわち、片面あたりの塗料の塗工量(固形分)は、好ましくは0.5〜5g/m、より好ましくは1.05〜2.5g/mとされる。
【0027】
紙基材の平滑度及び透気度を調整するために、原紙にスーパーカレンダー処理が施されることが好ましく、またダンピングマシン等によって原紙の水分が適宜調整されることが好ましい。
【0028】
粘着シートの基材シートとしては、紙類、プラスチックシート等が使用される。粘着層を形成するための粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が使用され、これらの中でもアクリル系粘着剤が特に好ましい。また、粘着剤の塗工液は、エマルション型、溶剤型、無溶剤型の形態のいずれでも良い。
【0029】
以上のように本実施形態では、剥離層に対する剥離剤単体層の質量比率B/Aが0.20以上とされることにより、紙基材表面が剥離層によって十分に覆われることになる。これにより、剥離層表面の平滑度が高い(2500秒以上)ことと相俟って、剥離シートの剥離層が設けられた側の面に、凹凸やピンホールができにくくなり、粘着シートを剥離シートから剥離した際、糊残りが発生しにくくなる。そのため、例えば、ラベル加工された粘着シートをラベリングする場合に、ラベラーのガイドローラ等に粘着剤が付着することが防止され、ラベリングの作業性を良好なものに維持することができる。また、剥離層に無溶剤型、粘着層にエマルション型のものが使用されるような場合でも、糊残りを十分に低減させることが可能である。
【0030】
なお、本明細書において、平滑度はJIS P 8119:1998に準じて測定したもの、透気度はJAPAN TAPPI NO.5−2:2000に準じて測定したもの、紙の坪量はJIS P8124:1988に準じて測定したものである。また、叩解度は、JIS P 8121:1995. パルプのろ水度試験方法に準拠して、ショッパー・リグラー形叩解度試験機により測定したものである。
【0031】
また、剥離層を形成するために紙基材に塗工されて硬化された剥離剤樹脂(すなわち、剥離層)の坪量A[g/m]は、剥離剤樹脂の塗工量(固形分)であって、剥離層面の蛍光X線測定により、単位面積当たりのケイ素の存在量を基にして求められるものである。一方、剥離剤単体層の坪量Bは、以下のように求めたものである。まず剥離層の剥離剤単体層の厚みを、X線光電子分光分析法を用いて測定する。具体的には、先ず、アルゴンビームで剥離層面を30秒間スパッタ掘削した後、X線光電子分光分析法にて、剥離層面の構成原子中のケイ素濃度を測定し、これをケイ素濃度の初期値とする。次いで、ケイ素濃度の初期値の測定で掘削した領域と同じ領域をさらに一定時間スパッタ掘削し、X線光電子分光分析法にて、掘削された剥離層面の構成原子中のケイ素濃度を測定する。これを繰り返し行い、剥離層の各深さでのケイ素濃度を測定する。なお、剥離層の掘削された深さは、単位時間当たりのスパッタ掘削厚みを基にして算出できる。
ここで、剥離層の深さ方向のケイ素濃度が、初期値の90%以上のケイ素濃度が検出される剥離層の深さを剥離剤単体層の厚みとする。上記範囲以外の部分は、剥離剤樹脂が紙基材に含浸されているかまたは剥離剤樹脂が存在しない部分となる。得られた剥離層の深さ方向のケイ素濃度のデータより、初期値の90%以上のケイ素濃度が検出される剥離層の厚みを、単位時間当たりの掘削厚みから算出し、剥離剤単体層の厚みを求め、3回の測定による平均値で評価する。なお、ケイ素濃度の初期値が、剥離層に使用した剥離剤樹脂のケイ素濃度と同一であることを予め確認しておくとよい。剥離剤単体層の厚みと剥離剤樹脂の比重から、下記式(1)より坪量Bを算出する。そして、坪量B/坪量Aを、剥離層に対する剥離剤単体層の質量比率B/Aとする。
坪量B=剥離剤単体層の厚み×剥離剤樹脂の比重・・・(1)
【実施例】
【0032】
次に、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記で述べる実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
叩解度を50°SRにした木材パルプ[N−BKP/L−BKP=33/67(重量比)]100重量部に対して、ロジンサイズ0.4重量部と硫酸バンド2重量部とを添加した原料から長網抄紙機を用いて原紙(坪量=70g/m)を抄紙し、同時にオンマシンのサイズプレスコーターにて、ポリビニルアルコール(平均重合度1700)の目止め層用塗料(商品名.ゴーセナルT−350、日本合成化学工業(株)製)を、両面合計2.3g/m(固形分)となるように塗工して目止め層を原紙の両面に形成し、グラシン用原紙を得た。
【0034】
次に、ダンピングマシンによってグラシン用原紙の水分を16%にした後、スーパーカレンダー処理して、剥離シート用紙基材としてのグラシン紙を得た。このグラシン紙は、平滑度1800秒、透気度128,000秒であった。このグラシン紙の一方の表面に剥離剤として、無溶剤型の付加型反応系シリコーン樹脂剥離剤(商品名.KNS−320A、信越化学工業(株)製)を坪量が約1.2g/m(固形分)となるように塗工した後、乾燥温度180℃で20秒間乾燥させて剥離剤を硬化させることにより、紙基材上に剥離層を形成して剥離シートを得た。
【0035】
剥離シートの剥離層の上に、ロールナイフコーターを用いて、乾燥後の塗布厚みが20μmになるように、エマルション型アクリル系粘着剤(商品名.KV−11、リンテック(株)製)を塗工して、90℃にて2分間乾燥して、粘着層を形成した。次いで、この粘着層にポリプロピレン系合成紙(商品名.ユポタック原紙80、ユポ・コーポレーション社製)を貼り合わせ、粘着体を得た。
【0036】
[実施例2]
剥離層を形成するための剥離剤として、溶剤型の付加型反応系シリコーン樹脂剥離剤(商品名.KS−776A、信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
【0037】
[実施例3]
グラシン用原紙の水分を13%とすることにより、紙基材の平滑度を1300秒、透気度を34,000秒とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0038】
[比較例1]
叩解度を45°SR、目止め層用塗料(ポリビニルアルコール)の塗工量(固形分)の両面合計を2.0g/m、グラシン用原紙の水分を13%とすることにより、紙基材の平滑度を550秒、透気度を19,000秒とした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0039】
[剥離シートの評価]
各剥離シートについて、剥離層が形成された側の面の平滑度を求めるとともに、坪量A(蛍光X線により測定)、坪量B、及び質量比率B/Aを測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
[粘着剤残存量]
各実施例及び比較例の粘着体を、それぞれ幅20mm、長さ500mに裁断し、紙管に巻き取って粘着体のロールをそれぞれ5ロール作製した。まず、実施例1の粘着体から得られたロールを用い、ラベラー(装置名.SRV150EV2、リンテック(株)製)にセットし、ラベリング速度100m/分でラベリング動作を間欠的に繰り返し、全量(500m×5ロール)のラベリングを行った。その後、剥離シートの剥離層側の面に接触するラベラーのガイドロールについて、ラベリング前後の質量差を粘着剤残存量として求めた。粘着剤残存量を求めた後ガイドローラを清掃し、同様に他の実施例及び比較例についての粘着剤残存量を求めた。
【0041】
[ベタツキ評価]
また、各実施例、比較例において、上記ガイドローラに糊残りによるベタツキがあったかどうかも評価した。表1において、ベタツキがなかったものを○、ベタツキがあったものを×にした。
【0042】
[高速剥離力測定]
各実施例、比較例で得られた粘着体を幅50mm、長さ150mmに裁断して試験片を作成し、引っ張り試験機を用いて、剥離力の測定を行った。剥離力の測定は、剥離シートを固定し、粘着シートを剥離速度30m/分で180°方向に引っ張ることにより、粘着シートに対する剥離シートの剥離力を測定した。なお、剥離力の測定は、温度23℃湿度50%の環境下で行った。
【0043】
【表1】

【0044】
表1からわかるように、本発明の剥離シートを用いた粘着体では、粘着剤残存量が非常に少なく、さらに、適度な剥離力を有しており、良好な結果が得られた。これに対して、比較例では、満足行く結果が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と、前記紙基材上に設けられた剥離層とを有する剥離シートにおいて、
前記剥離層が、シリコーン樹脂からなる剥離剤樹脂を含有し、
前記剥離シートの前記剥離層が設けられた側の面が、平滑度2500秒以上であるとともに、前記剥離層の坪量を坪量A[g/m]とし、前記紙基材に含浸されていない前記剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、質量比率B/Aが0.20〜0.80であることを特徴とする剥離シート。
【請求項2】
前記紙基材の前記剥離層が設けられる側の面が、平滑度1000秒以上、かつ透気度31,000秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の剥離シート。
【請求項3】
前記坪量Aが0.50〜2.50g/mであることを特徴とする請求項1に記載の剥離シート。
【請求項4】
前記坪量Bが0.20〜2.00g/mであることを特徴とする請求項1に記載の剥離シート。
【請求項5】
紙基材、及び前記紙基材上に設けられた剥離層を有する剥離シートと、前記剥離層上に設けられた粘着層とを有する粘着体において、
前記剥離層が、シリコーン樹脂からなる剥離剤樹脂を含有し、
前記剥離シートの前記剥離層が設けられた側の面が、平滑度2500秒以上であるとともに、前記剥離層の坪量を坪量A[g/m]とし、前記紙基材に含浸されていない前記剥離層の剥離剤単体層の坪量を坪量B[g/m]とした場合、質量比率B/Aが0.20〜0.80であることを特徴とする粘着体。

【公開番号】特開2011−252255(P2011−252255A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126893(P2010−126893)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】