説明

剥離フィルムおよび導電性材料の製造方法

【課題】製造時には剛度が高く、完成時には剛度が低くなるような導電性材料、および極めて薄い導電性材料の生産に好適であり、薄い剥離層上に形成された金属パターンを安定して剥離できる剥離フィルム、およびこれを用いた導電性材料の製造方法を提供することにある。
【解決手段】基材上に、質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物とエポキシ化合物を含有する剥離層を少なくとも有し、該剥離層が前記した活性エネルギー線硬化性高分子化合物を剥離層の全固形分量に対して40質量%以上含有し、かつエポキシ化合物を剥離層の全固形分量に対して8質量%以上含有することを特徴とする剥離フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾フィルム、ハードコートフィルムなどの各種光学フィルムなどに用いられる剥離フィルム、特にフレキシブルプリント基板用回路材、携帯電話や車載アンテナなどの各種アンテナ材、集電材、電磁波シールド材などの導電性材料に用いられる剥離フィルムに関する。また、該剥離フィルムを用いた導電性材料の製造方法に用いる。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用アンテナや携帯電話のアンテナなど、曲面を有する成型品の上にアンテナなどの金属パターンを形成することが要求されている。しかしながら、曲面の上に微細な金属パターンを形成することは非常に困難である。
【0003】
可撓性を有する樹脂基材の上に金属パターンを形成して可撓性を有する導電性材料を製造する方法としては、サブトラクト法や印刷法、写真法など様々な方法が提案されている。この可撓性を有する導電性材料を曲面に貼り合わせることで、曲面の上に金属パターンを形成することは可能である。曲面に導電性材料を貼り合わせる場合には導電性材料は柔らかいほど貼り合わせ時の浮きなどが発生しにくいので好ましい。一方で、導電性材料を製造する段階では剛度が高いほうが製造時に皺などが発生しにくくなる。従って、導電性材料を製造する段階では剛度は高く、貼り合わせる時点で剛度が低い導電性材料が得られることが求められている。
【0004】
例えば特開2003−78324号公報(特許文献1)では剛度のある金属箔にキャリアフィルムを貼り合わせ、続いてハーフカット加工をし、パターニングされた金属パターンをキャリアフィルムごとはがすことでパターンを形成している。しかしながらこの方法では、例えばループアンテナなどの複雑なパターンでは剥離できない部分が発生してしまう。また、特許文献1の図3にあるような剥離法を用いる場合、剥離時に金属箔が切断してしまうおそれもあり、これを防ぐためには金属箔の厚みを厚くする必要があるが、曲面加工が困難になってしまうという問題も抱えている。
【0005】
曲面の加工ではないが、例えば特開2006−15662号公報(特許文献2)、特表2009−520251号公報(特許文献3)などで、基材上に金属箔を貼り合わせ、この金属箔を公知の方法でエッチングすることにより、パターニングした後、被転写体に転写する方法も提案されている。しかしながら、転写法においてはパターニングの前に基材と金属箔を貼り合わせるが、この時の貼り合わせする時の糊の強度が強すぎると金属箔を剥離する際に剥離できない部分ができたり、あるいは強度が弱すぎると転写までの工程で金属箔が剥離してしまうなどの問題が発生するため、糊の接着強度の調整が困難であるという問題も存在する。また剥離するパターンの形状や大きさによって剥離のし易さが異なるため、パターンの絵柄によってはうまく転写できない場合もあった。
【0006】
特開2004−82711号公報(特許文献4)、特開2008−260227号公報(特許文献5)などでは基材と金属箔を貼り合わせるのに活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を用いている。活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を用いる場合、転写直前に活性エネルギー線を照射することで糊の粘着力がなくなるため、糊の強度の調整は容易である。しかしながら金属パターンをパターニングする際に粘着剤層が表面に来るため、粘着剤が工程を汚したり、あるいは粘着剤により転写体がロールに巻きついたりするなどして破壊されてしてしまう場合もあった。更には転写する際には金属パターンを被着体に接着剤などを用いて剥離するのであるが、この際に硬化された活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤も一緒に接着されるため、うまく剥離できない場合もあった。
【0007】
特開2006−111889号公報(特許文献6)では銀塩写真転写法を用いて作製した金属メッシュを酵素処理により剥離して用いる方法が提案されている。あるいは特開2002−275661号公報(特許文献7)でも金属メッシュ単体を製造する方法が提案されている。これらの方法では基材からパターンを剥離するために、パターンを作製するまでの問題は存在せず、また微細なパターンも容易に作製できる。しかしながら、メッシュのようにパターンがつながっているものでは良いが、アレーアンテナなど剥離した時点でばらばらになってしまうので、アレーアンテナなどの加工に対する問題の解決策とはならない。
【0008】
また、近年アンテナ材や電磁波シールド材は用途によっては軽量、薄肉性が強く求められている。例えば携帯電話では、部品の集積度は既に限界に達しており、しかも一層のスリム化、軽量化が求められており、導電性機能に寄与しない基材の重量や厚さが増えることは極力避けられなければならない。自動車の電装品用の電磁波シールドにあっても、自動車の軽量化のためには導電性材料は薄いほど好ましい。
【0009】
特開2010−126633号公報(特許文献8)や特許第2779590号公報(特許文献9)などのように基材上に保護層と接着剤層を設けるハードコート転写シートが知られている。これら転写シートは保護層と接着剤層の間に金属薄膜などからなる装飾層を設けることも知られている。この転写シートは製造段階においては基材があるため、剛度は高く、ハンドリングは容易であるが、剥離後は極めて薄い層のみ使用することになる。しかしながら、この装飾層に用いられる金属薄膜は保護層と接着層の間で埋まっているため、外部から配線を取っての導電性材料として用いることは困難である。更に保護層が傷防止用のハードコート機能を有することから、被着物がリジッドなものでない限り、剥離時に割れたり、更にその後に二次加工する際に破れたりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−78324号公報
【特許文献2】特開2006−15662号公報
【特許文献3】特表2009−520251号公報
【特許文献4】特開2004−82711号公報
【特許文献5】特開2008−260227号公報
【特許文献6】特開2006−111889号公報
【特許文献7】特開2002−275661号公報
【特許文献8】特開2010−126633号公報
【特許文献9】特許第2779590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、製造時には剛度が高く、完成時には剛度が低くなるような導電性材料、および極めて薄い導電性材料の生産に好適であり、薄い剥離層上に形成された金属パターンを安定して剥離できる剥離フィルム、およびこれを用いた導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の発明により達成された。
(1)基材上に、質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物とエポキシ化合物を含有する剥離層を少なくとも有し、該剥離層が前記した活性エネルギー線硬化性高分子化合物を剥離層の全固形分量に対して40質量%以上含有し、かつエポキシ化合物を剥離層の全固形分量に対して8質量%以上含有することを特徴とする剥離フィルム。
(2)前記剥離層が更に熱カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする(1)記載の剥離フィルム。
(3)(1)に記載する剥離フィルムが有する剥離層の基材から離れた側に導電性層を形成する工程、活性エネルギー線照射工程、剥離層側の導電性層を有する側にプロテクトフィルムを貼合する工程、およびプロテクトフィルムと共に少なくとも剥離層と導電性層を剥離する工程、を少なくとも具備する導電性材料の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、製造時には剛度が高く、完成時には剛度が低くなるような導電性材料、および極めて薄い導電性材料の生産に好適であり、薄い剥離層上に形成された金属パターンを安定して剥離できる剥離フィルムを提供することが可能となる。また製造時には剛度が高く、完成時には剛度が低くなる導電性材料の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の剥離フィルムは基材上に、質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物とエポキシ樹脂を含有する剥離層を少なくとも有する。本発明の剥離フィルムに用いる基材は活性エネルギー線を透過するような素材であれば特に制限はないが、特に全光線透過率が50%以上である樹脂基材が好ましく、更に全光線透過率が80%以上である樹脂基材が好ましい。かかる基材としては例えばポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、セロハン、セルロイド等の樹脂基材が挙げられる。これら基材の中でも剛度があり、ハンドリングしやすく、また良好な剥離性が得られるポリエステル樹脂が好ましい。また、剥離層を剥離しやすいように、離型層を基材と剥離層との間に設けることも可能である。本発明における離型層としては、パラフィン、カルナバ、ポリエチレン等のワックス類、アクリル系、メラミン系、エポキシ系、脂肪族エステル系、オレフィン系、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂類を単独、または併用して含有せしめた離型層が挙げられ、また界面活性剤等を含有しても良い。また基材の反対面に帯電防止層等の公知の機能層を設けることも可能である。
【0015】
本発明の剥離フィルムの剥離層は、質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物を含有する。かかる活性エネルギー線硬化性高分子化合物は(1)水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、アミド基などの活性水素含有基を有する分子量15000以上の高分子化合物であり、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマールなどの各種ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリルアミン、あるいはアクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミドおよびメタクリロニトリル等のいずれかのモノマーの単独重合体またはこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体などのアクリルポリマーに、エポキシ基含有重合性不飽和化合物、例えばアリルグリシジルエーテルなどや、イソシアネート基含有重合性不飽和化合物、例えばメタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの活性水素と反応しうる基と不飽和二重結合を有する化合物を作用させ、付加反応させる方法により得られた高分子化合物や、(2)国際公開第2005/87831号パンフレットに記載されているようなエポキシ基含有アクリル重合体に不飽和カルボン酸を付加反応させる方法などの公知の方法により合成して得られた高分子化合物が挙げられる。これら活性エネルギー線硬化性高分子化合物の中でも、アクリル重合体に不飽和化合物を付加反応させた高分子が良好な剥離性を得られる点で好ましい。これらの質量平均分子量15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物は単独でもまた複数種類混合して用いても良い。
【0016】
質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物としては市販品を使用することも可能である。市販品としては、日立化成工業(株)のヒタロイド7975(平均分子量50000)が好ましく用いることができる。
【0017】
本発明の剥離フィルムの剥離層において、分子量15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物は剥離層の全固形分量に対し、40質量%以上含有する。更に、好ましくは50〜90質量%含有することが好ましく、より好ましくは60〜70質量%である。
【0018】
本発明の剥離フィルムの剥離層はエポキシ化合物を含有する。エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を少なくとも1個、より好ましくはエポキシ基を2個以上有する単量体であって、該化合物としては高分子化合物と低分子化合物の両者を包含する。例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物等や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤、その他ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂など公知のエポキシ化合物を使用することができる。
【0019】
本発明の剥離フィルムの剥離層において、エポキシ化合物は剥離層の全固形分量に対し8質量%以上、好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは15〜25質量%で用いることが好ましい。
【0020】
本発明の剥離フィルムの剥離層は熱カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。熱カチオン重合剤は加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物であり、例えばベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、いずれも商品名で、アデカオプトンCP77およびアデカオプトンCP66(以上、(株)ADEKA製)、CI−2639およびCI−2624(以上、日本曹達(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80LおよびサンエイドSI−100L(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。これらの化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら熱カチオン重合開始剤はエポキシ化合物の固形分量に対して0.5〜10質量%で用いることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。
【0021】
本発明の剥離フィルムの剥離層は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、一般に知られているものが使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられるがこの限りではない。これら光重合開始剤は単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、光重合開始剤は質量平均分子量15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物の固形分量に対し0.1〜20質量%含有されることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
【0022】
光重合開始剤に加えて、必要に応じて少なくとも1種類以上の光増感剤を添加し、硬化時間や硬化状態を制御することができる。光増感剤はアミン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、ベンゾイン化合物、カルボニル化合物、イオウ化合物、ナフタレン系化合物、縮合芳香族炭化水素、金属塩およびそれらの混合物から選択することができる。具体例な例としては、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミン等のアミン化合物、アシルフォスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンなどのリン化合物、5−ニトロアセナフテンなどのニトリル化合物、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル等のベンゾイン化合物、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、メチルアントラキノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイルギ酸メチル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−プロペン−1、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のカルボニル化合物、ジフェニルジスルフィド、ジチオカルバメート等のイオウ化合物、α−クロルメチルナフタレン等のナフタレン系化合物、アントラセン等の縮合芳香族炭化水素、塩化鉄等の金属塩を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。その含有量は質量平均分子量15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物の固形分量に対し0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0023】
本発明の剥離フィルムの剥離層は分子量15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物以外にも、不飽和二重結合を有さない高分子化合物を併せて用い、剥離層の強度、柔軟性を高め、剥離工程にて導電性材料の破れや折れが発生しないようにすることもできる。不飽和二重結合を有さない高分子化合物としては例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマールなどの各種ポリビニルアセタール樹脂、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミドおよびメタクリロニトリル等のいずれかのモノマーの単独重合体またはこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体などのアクリルポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロオロエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンなどが挙げられる。またこれらの不飽和二重結合を有さない高分子化合物を複数種類用いることも可能である。本発明では密着力の調整のしやすいポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましく、更に好ましくはTg60℃以上、より好ましくはTg80〜150℃のポリビニルアセタール樹脂を用いる。本発明の剥離フィルムの剥離層が含有する不飽和二重結合を有さない高分子化合物は剥離層の全固形分量に対し、50質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜40質量%である。
【0024】
本発明の剥離フィルムの剥離層は公知の架橋剤を含有することも可能である。架橋剤としてはアルデヒド化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、活性ハロゲン化合物、少なくとも2個のビニルスルホニル基を有する化合物等が挙げられる。架橋剤の添加量は剥離層の全樹脂成分量に対して0.1〜5質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜3質量%である。またアクリルモノマーやアクリルオリゴマーなどの分子量が15000以下の不飽和二重結合を有する化合物も含有させることもできるが、その量は全樹脂成分量の5質量%以下とすることがブロッキング等を発生させずに済むため好ましい。
【0025】
本発明で用いる剥離フィルムの剥離層には上述した成分以外にも帯電防止剤、界面活性剤、マット剤、フィラー、滑剤、紫外線吸収剤などを含有させることができる。
【0026】
剥離層の全固形分量は0.1g/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8g/m、更に好ましくは1〜5g/mである。
【0027】
本発明において剥離層の上には、反射防止層、ハードコート層、印刷層、防眩層、粘着層、インクジェット受理層、導電性層、易接着層などの、各種公知の機能層を設けることが可能である。特に本発明の剥離フィルムは、各種アンテナ材や集電材、電磁波シールド材など極めて薄い導電性材料の製造に好適に用いることが可能であることから、剥離層の機材から離れた側には、導電性層を好ましく設けることができる。また、導電性層の上には上記した各種機能層を更に設けても良い。
【0028】
導電性層は剥離層上に直接設けることも可能であるが、導電性層が微細な導電性パターン(例えば細線幅が50μmを下回るような微細パターン)である場合、あるいは孤立パターンを含む場合、剥離層と導電性層の間に易接着層を設けることが好ましい。易接着層を設けることで、微細な導電性パターンや孤立パターンの保持や導電性材料のハンドリングがとりわけ簡便となる。
【0029】
易接着層はその上に設ける金属部の製造方法によって好ましい形態は変わるが、易接着層を設ける際に、活性エネルギー線密着力低下型樹脂層を溶解させないように水系の塗液で塗布することが好ましい。
【0030】
易接着層は、各種高分子ラテックスを含有することが好ましい。中でも耐候性の観点からポリエステルラテックス、アクリルラテックス、およびウレタンラテックスの水分散物を含有することが好ましく、更に各種材料との接着性の観点からウレタンラテックス、特に耐候性の高い無黄変型ウレタンポリカーボネートラテックスが好ましい。これら高分子ラテックスの平均粒子径は0.01〜0.3μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜0.1μmである。また、これら高分子ラテックスは複数種類のラテックスを混合して用いることも可能であるが、ポリエステルラテックスやアクリルラテックスやウレタンラテックスは易接着層中の樹脂成分の30質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは50質量%以上である。
【0031】
易接着層は更に水溶性高分子化合物を含有することが好ましく、架橋剤を含有することがより好ましい。かかる水溶性高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸とスチレンの共重合体等が挙げられ、またゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリリジン等の蛋白質、カラギーナン、ヒアルロン酸などムコ多糖類、「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)2.6.4章記載のアミノ化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、アリルアミンとジアリルアミンの共重合体、ジアリルアミンと無水マレイン酸との共重合体、ジアリルアミンと二酸化硫黄との共重合体などが挙げられる。これら水溶性高分子化合物の中でも蛋白質を用いることが好ましい。水溶性高分子化合物は易接着層中の樹脂成分の60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2〜40質量%である。また易接着層に用いる樹脂成分量は100mg/m以上であることが剥離する際に故障が発生しないことから好ましく、上限は2500mg/mであることが好ましい。より好ましくは200〜2000mg/m、更に好ましくは300〜1000mg/mである。
【0032】
架橋剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基を二個以上有する化合物、エポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど、あるいはこれら以外に「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2・6・7章、5・2章、9・3章など記載の架橋剤等の公知の高分子架橋剤を含有させることもできる。中でもエポキシ基を分子中に二個以上有する水溶性架橋剤が好適である。易接着層における架橋剤の添加量は易接着層中の全樹脂成分量に対して1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは3〜15質量%である。
【0033】
更に易接着層にはシリカなどのマット剤、滑剤、顔料、染料、界面活性剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。また易接着層の厚みは0.05〜0.5μmであることが好ましい。
【0034】
後述するが、本発明において導電性材料前駆体の金属部を設ける方法として、最も好ましい方法は銀塩拡散転写法を用いる方法である。この場合、易接着層中に物理現像核を含有させることが好ましい。物理現像核は易接着層塗液に含有させることにより、易接着中に均一に分布させても良いし、易接着層塗設後に再度塗布することによりその表面に分布させても良い。
【0035】
本発明において用いる物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等の金属コロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属流化物等が挙げられる。易接着層における物理現像核の含有量は、固形分で0.1〜10mg/m程度が適当である。
【0036】
剥離層の上に設けられる導電性層は、金属パターンであることが好ましく、特に金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムからなるパターンであることが好ましい。これら導電性層を形成する方法としては、銀塩感光材料を用いる方法、同方法を用い更に得られた銀画像に無電解めっきや電解めっきを施す方法、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストなどの導電性インキを印刷する方法、銀インクなどの導電性インクをインクジェット法で印刷する方法、無電解めっき等で銅などの金属からなる導電性層を形成する方法、あるいは蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、更にその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法など、公知の方法を用いることができる。中でも製造される金属パターンの厚みが薄くでき、更に極微細な金属パターンも容易に形成できる銀塩拡散転写法を用いることが好ましい。
【0037】
<活性エネルギー線照射工程>
本発明において剥離フィルムは、活性エネルギー線を照射し、剥離層を架橋させ、基材と剥離層との密着力を低下させ、基材から剥離層を剥離する。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線(UV)および電子線(EB)を用いることができるが、安全性の観点から可視光もしくは紫外線を用いることが好ましい。可視光線または紫外線が用いられる時は、光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン水銀灯、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、石英ハロゲンランプ、タングステンランプ、紫外線蛍光灯、炭素アーク灯、無電極マイクロウエーブ方式、紫外線ランプ等が好ましく用いられる。活性エネルギー線の照射は剥離層の上に設けられた層が邪魔にならないよう剥離フィルムの基材側から照射することが好ましい。好ましい照射光量は光重合開始剤、増感剤等によって異なるが、50〜5000mJ/cmであることが好ましい。また、活性エネルギー線照射後の剥離工程での剥離が容易になるよう、また剥離層の上に機能層を設ける場合にはその機能層に熱ダメージを与えないように表面温度が100℃以下になる条件下、好ましくは60℃以下になる条件下で照射することが好ましい。更に活性エネルギー線の照射は、後述するプロテクトフィルムの貼合工程の前後のいずれであってもよいが、プロテクトフィルムの貼合工程の前が好ましい。
【0038】
前述の通り本発明における活性エネルギー線照射工程により、剥離層を剥離する際の密着力が変化する。本発明においては180°剥離法で活性エネルギー線照射後の密着力が0.5N/25mm以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.001〜0.1N/25mmである。また、活性エネルギー線照射前では密着力が0.5N/25mmを超えることが好ましく、更に好ましくは1N/25mm以上である。
【0039】
<剥離工程>
本発明は活性エネルギー線を照射した剥離フィルムから剥離層(あるいは剥離層上の機能層と共に)を剥離する。剥離後の剥離層(および剥離層とその上の機能層)は剛度が低いため、剥離する際にカールしたりする場合もあり、ハンドリングしにくくなる場合もある。これを防ぐため、剥離の前に剥離フィルムの剥離層側(導電性層を始めとする機能層を有する側)にプロテクトフィルムを貼り合わせ、プロテクトフィルムごと剥離層を剥離することも好ましい態様である。プロテクトフィルムとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどからなる剛度の低い基材の上にエチレン−酢酸ビニルコポリマー層やアクリル粘着剤層が設けられた市販のものを用いることができるが、プロテクトフィルムと剥離フィルムの密着力が、剥離フィルムの剥離層と剥離フィルムの基材の密着力よりも強くなければならない。なお、プロテクトフィルムの剛度は5cm/100以下のものを用いることが好ましい。一方で、プロテクトフィルムとの密着力が強すぎると、後の工程で剥離層からプロテクトフィルムを剥離することが困難になる。よって、好ましいプロテクトフィルムの密着力は剥離層により変化するが、好ましくは0.001〜0.5N/25mmの密着力となるものを選択することが好ましい。これら好ましいプロテクトフィルムの市販品の例としては東洋紡績(株)製のパイレンDC042、(株)スミロン製E2035、E203、EC625、積水化学工業(株)製622AX、622Fなどが挙げられる。プロテクトフィルムの厚みは30〜100μmのものが好ましい。プロテクトフィルムを剥離層に貼合するには常温ラミネートや加温ラミネートなど公知のラミネート法を用いることができる。
【0040】
剥離フィルムにプロテクトフィルムを貼合し、プロテクトフィルムごと剥離層(および剥離層とその上の機能層)を基材から剥離すると、剥離後にもう一度剥離層(および剥離層とその上の機能層)をプロテクトフィルムから剥離することが必要になる場合もある。この場合には、例えば剥離層を被着体に接着剤などを使用して接着し、その後に、被着体に接着した剥離層(および剥離層とその上の機能層)をプロテクトフィルムから剥離することが剥離層の破れ等が発生しないために好ましい。
【実施例】
【0041】
本発明の実施例を以下に示す。なお、記載中百分率は特に断りのない限り、質量基準である。
【0042】
(実施例1)
「剥離フィルム1、導電性材料1の作製」
基材として帝人デュポンフィルム(株)製片面易接着処理テトロンHLY(厚み100μmPET。全光線透過率91%)の未処理面に下記処方の剥離層塗液1を作製し、固形分量が4g/mとなるよう塗布し、70℃で5分乾燥した。剥離層を塗布した後のテトロンHLYフィルムと塗布前のテトロンHLYフィルムの厚みを測定し、剥離層の厚みを算出した。結果を表1に示す。
【0043】
<剥離層塗液1>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 14.9部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物) 29.9部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製熱カチオン重合開始剤)1.04部
【0044】
続いて、硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製した。
【0045】
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
【0046】
続いて、下記処方に従い、易接着層塗液1を作製し、剥離フィルム1の剥離層の上に塗布し、50℃で10分乾燥させた。乾燥後には50℃24時間加温処理した。
【0047】
<易接着層塗液1処方/1mあたり>
ハイドランWLS210(DIC(株)製無黄変型ウレタンポリカーボネート。平均粒径0.05μm。固形分として) 300mg
ゼラチン 50mg
ノニオンOT221(日油(株)製ノニオン界面活性剤) 1mg
EX313(ナガセケムテックス(株)製エポキシ硬化剤) 9mg
ハイミクロンL271(中京油脂(株)製滑剤) 4mg
前記硫化パラジウムゾル(硫化パラジウムとして) 0.4mg
【0048】
得られた易接着層の厚みをオプテリクスC120共焦点顕微鏡(レーザーテック(株)製)を用いて測定したところ、0.1μmであった。
【0049】
続いて、基材に近いほうから順に下記組成の中間層1、ハロゲン化銀乳剤層1、および最外層1をこの順に上記易接着層の上に塗布した。また基材の反対面に裏塗り層1を塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸とを用い金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
【0050】
<中間層1組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
【0051】
<ハロゲン化銀乳剤層1組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
【0052】
<最外層1組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤S−1 10mg
【0053】
<裏塗り層1組成/1mあたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
【0054】
【化1】

【0055】
続いて、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介し、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パターン部分(金属パターン)と絵柄のない部分(非画像部)を有するポジ透過原稿を密着させて、2mJ/cmの露光量で露光した。
【0056】
その後、下記組成の拡散転写現像液中に15℃で90秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層1、中間層1、最外層1および裏塗り層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。これにより易接着層上に細線幅が20μm、格子間隔250μmの金属パターンと非画像部を形成し(導電性層の形成)、剥離フィルム1を得た。
【0057】
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL
85質量%リン酸水溶液にてpH=12.2に調整した。
【0058】
得られた剥離フィルム1について、活性エネルギー線照射前剥離試験としてクラーク剛度の測定と密着力の測定を実施した。クラーク剛度はJIS−P8143に従い測定した。密着力の測定は上記のようにして得られた非画像部にニチバン(株)製車両用マスキングテープNo241を貼合し、25mm幅に切り取り、イマダIPT200−5Nを用いて180°剥離法で密着力を測定した。更に金属パターンや剥離層が剥離していないかを確認した。結果を表1に示す。なお、表1において金属パターンや剥離層に剥離がない場合は○、金属パターンあるいは剥離層の剥離があったものを×とした。
【0059】
次に剥離フィルムの剥離層と反対側(基材側)から高圧水銀灯80W/cm(2灯)で照射量200mJ/cmの活性エネルギー線を照射した。続いて、剥離層面側に(株)スミロン製EC625プロテクトフィルム(厚み60μm)を貼合した。なお、このプロテクトフィルムを活性エネルギー線照射前の剥離層の非画像部に貼合し、それを25mm幅に切り取り、イマダIPT200−5Nを用いて180°剥離法で密着力を測定したところ0.5Nであった。
【0060】
活性エネルギー線照射後の剥離フィルム1について、密着力の測定を下記の通り実施した。結果を表1に示す。
【0061】
剥離フィルム1の非画像部にニチバン(株)製車両用マスキングテープNo241を貼合し、続いて25mm幅に切り取り、イマダIPT200−5Nを用いて180°剥離法で密着力を測定した。また、剥離の際に剥離層から剥離している時は○とし、それ以外の場所で剥離したものは×とした。
【0062】
前述の活性エネルギー線を照射し、基材と反対側の金属パターン面並びに易接着層面に(株)スミロン製EC625プロテクトフィルムを貼合した剥離フィルム1からプロテクトフィルムと一緒に金属パターンと易接着層と剥離層とを含む導電性材料を剥離し、導電性材料1を得た。
【0063】
上記のようにして得た導電性材料1のクラーク剛度をJIS−P8143に従い測定した。また、下記の方法による球面接着試験を実施した。結果を表1に示す。
【0064】
<球面接着試験>
導電性材料1を外形300mmと200mmのアクリル製球にヘンケルジャパン(株)製ロックタイトU−30FL(ウレタン接着剤)接着剤を用いて貼合し、接着後30分経過した後、EC625プロテクトフィルムを剥離した。皺、破れなどなく、アクリル球表面に良好な面を有する金属パターンできたものを○とし、皺や破れの入ったものを×として評価した。
【0065】
また高圧水銀灯にて活性エネルギー線を照射する前に50℃3日間加温した剥離フィルムも作製し、これを加温していない剥離フィルムと同様に評価した。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
「剥離フィルム2、導電性材料2の作製」
エスレックKS10(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール樹脂。質量平均分子量17000。水酸基25モル%含有)15gをジオキソラン/メチルエチルケトン1:1溶媒85gに溶解し、40℃で攪拌しながらカレンズAOI(昭和電工(株)製2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート)を10g滴下し、40℃で1時間攪拌した。得られた樹脂溶液にエチルセロソルブを加え、固形分濃度10%の変性ポリビニルアセタール樹脂溶液を得た。
【0067】
上記作製した変性ポリビニルアセタール樹脂溶液をヒタロイド7975の代わりに(1mあたりの塗布固形分量を同じにして)用いる以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム2を作製した。続いて剥離フィルム2を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料2を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。やや活性エネルギー線照射後の密着力が高いことから、剥離性がわずかに低下したが、実施例1と同様の結果が得られた。
【0068】
(比較例1)
「比較剥離フィルム1、比較導電性材料1の作製」
ヒタロイド7975の代わりにUA340P(新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレートオリゴマー。質量平均分子量13000。)を用いる以外(1mあたりの塗布固形分量を同じにして)、実施例1と同様にして比較導電性材料1を作製し、評価しようとした。しかしながら活性エネルギー線を照射し、プロテクトフィルムを貼合した後、プロテクトフィルムと共に金属パターンと易接着層と剥離層とを含む導電性材料を剥離しようとしたが、剥離できなかった。
【0069】
(比較例2)
「比較導電性材料2、比較導電性材料2の作製」
ヒタロイド7975の代わりにA−DPH(新中村化学工業(株)製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。質量平均分子量578。)を用いる以外(1mあたりの塗布固形分量を同じにして)、実施例1と同様にして比較導電性材料2を作製し、評価しようとした。しかしながら活性エネルギー線を照射し、プロテクトフィルムを貼合して剥離しようとしたが、剥離できなかった。
【0070】
(実施例3)
「剥離フィルム3、導電性材料3の作製」
下記剥離層塗液3を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム3を作製した。続いて剥離フィルム3を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料3を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0071】
<剥離層塗液3>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 32.5部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)11.9部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 0.41部
【0072】
(実施例4)
「剥離フィルム4、導電性材料4の作製」
下記剥離層塗液4を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム4を作製した。続いて剥離フィルム4を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料4を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0073】
<剥離層塗液4>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 29.9部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)14.9部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 0.52部
【0074】
(実施例5)
「剥離フィルム5、導電性材料5の作製」
下記剥離層塗液5を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム5を作製した。続いて剥離フィルム5を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料5を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0075】
<剥離層塗液5>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 22.47部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)22.4部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 0.78部
【0076】
(実施例6)
「剥離フィルム6、導電性材料6の作製」
下記剥離層塗液6を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム6を作製した。続いて剥離フィルム6を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料6を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0077】
<剥離層塗液6>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 7.49部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)37.4部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.31部
【0078】
(実施例7)
「剥離フィルム7、導電性材料7の作製」
下記剥離層塗液7を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム7を作製した。続いて剥離フィルム7を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料7を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0079】
<剥離層塗液7>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.84部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 2.3部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)46.1部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.61部
【0080】
(比較例3)
「比較剥離フィルム3、比較導電性材料3の作製」
下記比較剥離層塗液3を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、比較剥離フィルム3を作製した。続いて比較剥離フィルム3を用いる以外は実施例1と同様にして比較導電性材料3を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。なお50℃3日間加温した剥離フィルムに活性エネルギー線を照射し、プロテクトフィルムを貼合した後、プロテクトフィルムと共に金属パターンと易接着層と剥離層とを含む導電性材料を剥離しようとしたが、剥離できなかった。また、ニチバン(株)製車両用マスキングテープNo241を活性エネルギー線照射後の導電性材料前駆体に貼合し、剥離したが、金属パターンを含む導電性材料は基材から剥離できなかった。
【0081】
<比較剥離層塗液3>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 35.5部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)9.36部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 0.32部
【0082】
(比較例4)
「比較剥離フィルム4、比較導電性材料4の作製」
下記比較剥離層塗液4を作製し、塗布固形分量を9.1g/mとする以外は実施例1と同様にして、比較剥離フィルム4を作製した。続いて比較剥離フィルム4を用いる以外は実施例1と同様にして比較導電性材料4を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。なお50℃3日間加温した剥離フィルムに活性エネルギー線を照射し、プロテクトフィルムを貼合した後、プロテクトフィルムと共に金属パターンと易接着層と剥離層とを含む導電性材料を剥離しようとしたが、剥離できなかった。また、ニチバン(株)製車両用マスキングテープNo241を活性エネルギー線照射後の導電性材料前駆体に貼合し、剥離したが、金属パターンを含む導電性材料は基材から剥離できなかった。
【0083】
<比較剥離層塗液4>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.67部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 10.1部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)1.26部
【0084】
(実施例8)
「剥離フィルム8、導電性材料8の作製」
下記剥離層塗液8を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム8を作製した。続いて剥離フィルム8を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料8を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0085】
<剥離層塗液8>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 4.16部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 27.9部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)33.3部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.16部
【0086】
(実施例9)
「剥離フィルム9、導電性材料9の作製」
下記剥離層塗液9を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム9を作製した。続いて剥離フィルム9を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料9を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0087】
<剥離層塗液9>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 5部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 53.5部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物) 40部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.4部
【0088】
(実施例10)
「剥離フィルム10、導電性材料10の作製」
下記剥離層塗液10を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム10を作製した。続いて剥離フィルム10を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料10を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0089】
<剥離層塗液10>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 6.25部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 91.8部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物) 50部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.75部
【0090】
(比較例5)
「比較剥離フィルム5、比較導電性材料5の作製」
下記比較剥離層塗液5を作製し、塗布固形分量を4.5g/mとする以外は実施例1と同様にして、比較剥離フィルム5を作製した。続いて比較剥離フィルム5を用いる以外は実施例1と同様にして比較導電性材料5を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。なお50℃3日間加温した剥離フィルムに活性エネルギー線を照射し、プロテクトフィルムを貼合した後、プロテクトフィルムと共に金属パターンと易接着層と剥離層とを含む導電性材料を剥離しようとしたが、剥離できなかった。また、ニチバン(株)製車両用マスキングテープNo241を活性エネルギー線照射後の導電性材料前駆体に貼合し、剥離したが、金属パターンを含む導電性材料は基材から剥離できなかった。
【0091】
<比較剥離層塗液5>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 6.36部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 127.3部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)50.9部
サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製) 1.78部
【0092】
(実施例11)
「剥離フィルム11、導電性材料11の作製」
下記剥離層塗液11を作製し、塗布固形分量を4g/mとする以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム11を作製した。続いて剥離フィルム11を用いる以外は実施例1と同様にして導電性材料11を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。なお、剥離層塗布乾燥後の剥離フィルム表面にはややタック性があった。
【0093】
<剥離層塗液11>
ヒタロイド7975(日立化成工業(株)製アクリルアクリレート樹脂溶液。平均分子量50000。固形分量として) 100部
イルガキュア819(チバガイギー(株)製光重合開始剤) 3.74部
エスレックKS1(積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール。平均分子量27000。Tg=107℃) 14.9部
デナコールEX512(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物)29.9部
【0094】
【表1】

【0095】
表1より、本発明の有効性が良く判る。
【0096】
(実施例12)
<銀超微粒子分散液1の作製>
10Lのステンレスビーカーに焙焼デキストリン(日澱化學(株)製、デキストリンNo.3)272gと純水4300gを加え、約30分間撹拌し溶解した。その後、硝酸銀659gを加え、約30分間撹拌し溶解した。この液を氷浴中にて約5℃まで冷却し、水酸化カリウム304.5gを純水419.5gに溶解した10℃の液を添加し、氷浴中で攪拌しながら1時間の還元反応を行った。得られた溶液に酢酸を添加し、pH=5.6に調整した後、ビオザイムF10SD(天野エンザイム(株)製)を1g添加し45℃で1時間撹拌した。次に、得られた銀超微粒子分散液を遠心分離法により精製した後、銀濃度が45質量%になるように純水を加えて再分散し、銀超微粒子分散液1を800g得た。含まれる銀超微粒子の平均粒径は20nm、収率は86%であった。
【0097】
<銀超微粒子含有組成物1の作製>
銀超微粒子分散液1を200g取り、これにポリマーラテックスとして三洋化成工業(株)製ユーコートUWS−145(ポリウレタンラテックス、平均粒径0.02μm、固形分35質量%)を27g加え、更に界面活性剤、純水、エチレングリコールを加え、銀濃度30質量%、表面張力30mN/m、粘度9mPa・sの銀超微粒子含有組成物1を得た。
【0098】
実施例1で作製した剥離フィルム1の剥離層の上に、銀超微粒子含有組成物1をフレキソ印刷により線幅50μm、線間隔500ミクロンのメッシュ状に印刷し、温風で乾燥した後、80℃の3N−塩化ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗、乾燥を行い、額縁部分に銀膜を形成した。この印刷工程の間で、剥離層には粘着性がないので、印刷時にトラブルが発生することはなかった。この後、実施例1と同様に剥離フィルムの剥離層と反対側から高圧水銀灯を照射し、剥離フィルムの剥離層を剥離した。この剥離工程でも、なんら問題なく、剥離することができた。
【0099】
(比較例7)
ブチルアクリレート90質量部、アクリル酸10質量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を酢酸エチル300質量部に溶解し、窒素ガス雰囲気下、80℃に加熱して共重合を行い、カルボン酸基を有するアクリルポリマー溶液を合成した。次に、得られたカルボン酸基を有するアクリルポリマー溶液にグリシジルメタクリレート5質量部を添加し、40℃に加熱して、アクリルポリマー中のカルボン酸基とグリシジルメタクリレートのグリシジル基とを反応させ、カルボン酸基とメタクリル基とを有するアクリルポリマー溶液を得た。次に、得られたカルボン酸基とメタクリル基とを有するアクリルポリマー溶液にトリレンジイソシアネート2.5質量部および4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン0.5質量部を添加し、粘着剤溶液を調製した。
【0100】
上記で得られた粘着剤溶液を実施例1で用いたのと同じ基材の上に塗布し、70℃で5分乾燥し、紫外線粘着力消失型粘着フィルムを作製した。
【0101】
実施例12と同様にして、銀超微粒子含有組成物1をフレキソ印刷により線幅50μm、線間隔500ミクロンのメッシュ状に印刷しようとしたが、粘着層がフレキソ印刷板に貼り付き、うまく印刷できなかった。ここから、粘着力のない剥離層を有する本発明の剥離フィルムの効果が良く判る結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、質量平均分子量が15000以上の不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性高分子化合物とエポキシ化合物を含有する剥離層を少なくとも有し、該剥離層が前記した活性エネルギー線硬化性高分子化合物を剥離層の全固形分量に対して40質量%以上含有し、かつエポキシ化合物を剥離層の全固形分量に対して8質量%以上含有することを特徴とする剥離フィルム。
【請求項2】
前記剥離層が更に熱カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1記載の剥離フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載する剥離フィルムが有する剥離層の基材から離れた側に導電性層を形成する工程、活性エネルギー線照射工程、剥離層側の導電性層を有する側にプロテクトフィルムを貼合する工程、およびプロテクトフィルムと共に少なくとも剥離層と導電性層を剥離する工程、を少なくとも具備する導電性材料の製造方法。

【公開番号】特開2013−31928(P2013−31928A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165175(P2011−165175)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】