説明

剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物

【課題】ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対して極めて良好な接着性を示し、適用にあたり基材表面にプライマ処理等を施す必要のない剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】(A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン 100重量部、(B)1分子中に少なくとも3個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有し、25℃における動粘度が1mm/s以上であるポリオルガノハイドロジェンシロキサン 0.1〜30重量部、(C)1分子中にケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有するシロキサン単位を10モル%以上含有し、かつ、ケイ素原子に直接結合した水素原子を実質的に有さない、前記エポキシ基以外のケイ素原子に結合する有機基がメチル基である重合度が5以上のポリオルガノシロキサン 0.1〜30重量部、および(D)白金系触媒 触媒量を含有する剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物に係り、特に、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対する密着性を高めた剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙、プラスチックフィルム、金属箔等の基材表面に剥離性の硬化皮膜を形成するため、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンおよび白金系触媒からなる、いわゆる付加反応型のポリオルガノシロキサン組成物(シリコーン組成物)が汎用されている。
【0003】
しかしながら、従来のこの種のシリコーン組成物は、紙基材には良好に密着するものの、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに対する密着性に乏しく、その硬化皮膜表面を強く擦ると部分的に脱落して剥離性が低下するという難点があった。しかも、密着性は時間の経過とともに低下し、硬化皮膜の脱落が発生しやすくなる傾向にあった。
【0004】
そこで、これらのシリコーン組成物に、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランやビニルトリアセトキシシラン等のシランカップリング剤を配合したり、基材表面にプライマ処理を施すことにより、基材に対する密着性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、シランカップリング剤を配合した組成物は、高温で加熱処理しなければ基材に対する密着性が向上しないため、耐熱性が紙等に比べて低く高温での処理が困難なプラスチックフィルム基材への適用には不向きである。また、基材表面にプライマ処理を施す方法は、適用時の工程が増えることによる不利がある。
【0005】
また、有機アルミニウム化合物、メタクリロキシ基もしくはアクリロキシ基含有オルガノアルコキシシランおよびアルケニル基含有オルガノアシロキシシランを併用したシリコーン組成物も提案されているが、その改善効果は十分なものではなかった(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭46−2187号公報
【特許文献2】特開平6−16941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物は、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対する密着性が乏しいという問題があり、これを改善するため、シランカップリング剤を配合する等、様々な方法が提案されている。しかしながら、基材表面にプライマ処理を施すことなく、プラスチックフィルムからなる基材上に強固に密着した剥離性硬化皮膜を形成可能なシリコーン組成物は未だ得られていない。
【0008】
本発明はこのような従来技術の課題に対処してなされたもので、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対して極めて良好な接着性を示し、適用にあたり基材表面にプライマ処理等を施す必要のない剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物は、(A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン 100重量部、(B)1分子中に少なくとも3個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有し、25℃における動粘度が1mm/s以上であるポリオルガノハイドロジェンシロキサン 0.1〜30重量部、(C)1分子中にケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有するシロキサン単位を10モル%以上含有し、かつ、ケイ素原子に直接結合した水素原子を実質的に有さない、前記エポキシ基以外のケイ素原子に結合する有機基がメチル基である重合度が5以上のポリオルガノシロキサン 0.1〜30重量部、および(D)白金系触媒 触媒量を含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物によれば、プライマ処理等を施さずとも、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材上に極めて強固に接着した剥離性硬化皮膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明で用いられる(A)成分のポリオルガノシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するものである。
【0013】
アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられるが、合成の容易さや熱安定性等の点から、なかでもビニル基が好ましい。このアルケニル基の結合位置は、特に限定されるものではなく、分子鎖末端および分子鎖側鎖のいずれであってもよく、また、その両方であってもよい。
【0014】
また、ケイ素原子に結合するアルケニル基以外の有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等のアリール基;β‐フェニルエチル基、β‐フェニルプロピル基等のアラルキル基、または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部もしくは全部を、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基等で置換した、クロロメチル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル基、シアノプロピル基、フェノール基、ヒンダードフェノール基等の、同種または異種の置換または非置換の1価の炭化水素基等が挙げられる。これらの基のなかでも、合成が容易で、硬化後に良好な物理的性質を保つ上で必要な重合度を与え、かつ、硬化前においては低い粘度を与えることから、メチル基が好ましい。
【0015】
このポリオルガノシロキサンの分子構造は、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれであってもよく、直鎖状のものと分枝鎖状のものを混合して使用することもできる。また、このポリオルガノシロキサンとしては、液状のものから生ゴム状のものまで使用可能であるが、粘度があまり低いと基材への浸透が多くなり過ぎて剥離特性が低下するおそれがあることから、25℃における粘度が20mPa・s以上のものが好ましい。
【0016】
本成分の具体例としては、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端水酸基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いられる(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有し、かつ、25℃における動粘度が1mm/s以上であるものである。本成分は(A)成分のポリオルガノシロキサンの架橋成分として作用する。
【0018】
ケイ素原子に結合する水素原子以外の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部もしくは全部を、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基等で置換した、3‐クロロプロピル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル基、シアノプロピル基、フェノール基、ヒンダードフェノール基等の、同種または異種の置換または非置換の1価の炭化水素基、その他少量の水酸基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等が例示されるが、なかでも、メチル基が合成が容易であるという点から好ましい。
【0019】
このポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子構造は、特に限定されるものではなく、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状等が例示され、これらの併用も可能である。また、粘度は、25℃における動粘度が1mm/s未満であると、揮発性が大きく、硬化皮膜の形成に悪影響を及ぼすことから、25℃における粘度が1mm/s以上であることが必要であるが、25℃における粘度が5mm/s以上であるとより好ましい。
【0020】
本成分の具体例としては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、環状ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0021】
この(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンの配合量は、1分子中のケイ素原子に結合した水素原子の数によって異なるが、一般的には(A)成分のポリオルガノシロキサン100重量部に対し、0.1〜30重量部の範囲である。0.1重量部未満では、硬化が不十分となり、また、30重量部を超えると、硬化皮膜の剥離性および強度が低下する。
【0022】
本発明で用いられる(C)成分は、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有し、かつ、ケイ素原子に直接結合した水素原子を実質的に有さないポリオルガノシロキサンである。本成分は、主として本発明の組成物の基材に対する密着性を向上させる作用を有する。特にポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対する密着性を向上させる。1分子中のケイ素原子に炭素原子を介して結合するエポキシ基数が1個では、かかる効果を得ることはできない。また、分子中にケイ素原子に直接結合した水素原子が存在すると、良好な剥離力が得られない。この(C)成分のポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、また、それらの混合物であってもよい。
【0023】
ケイ素原子に結合するエポキシ基を有する1価の有機基としては、例えば下記の(1)〜(3)の構造式で示されるものが例示される。
【化1】

【0024】
また、ケイ素原子に結合するエポキシ基を有する1価の有機基以外の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部もしくは全部を、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基等で置換した、クロロメチル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル基、シアノプロピル基、フェノール基、ヒンダードフェノール基等の、同種または異種の置換または非置換の1価の炭化水素基等が挙げられる。これらの基のなかでも、合成が容易であることから、メチル基が好ましい。
【0025】
この(C)成分のポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有するシロキサン単位を5モル%以上含有するポリオルガノシロキサンであることが好ましく、ケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有するシロキサン単位を10モル%以上含有するポリオルガノシロキサンであるとより好ましい。
【0026】
また、(C)成分のポリオルガノシロキサンは、重合度が5以上のポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0027】
この(C)成分のポリオルガノシロキサンの配合量は、(A)成分のポリオルガノシロキサン100重量部に対し、0.1〜30重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。0.1重量部未満では、密着性を向上させることができず、また、30重量部を超えると、剥離特性に影響を与えたり、硬化皮膜の強度を低下させたりする。
【0028】
本発明で用いられる(D)成分の白金系触媒は、(A)成分中のアルケニル基と、(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進する触媒である。このような白金系触媒の具体例としては、白金、白金とオレフィン、アルケニルシロキサン、ケトン等との錯体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、炭素粉末、アルミナ粉末、シリカ粉末等の担体上に吸着させた微粒子白金、白金黒、パラジウム、ロジウム触媒等が例示される。
【0029】
この(D)成分の白金系触媒の配合量は、(A)成分のポリオルガノシロキサンに対し、白金原子の量として、10〜1000ppmの範囲となる量である。10ppm未満では、添加による効果が得られず、1000ppmを超えても、特に効果は変わらず、非経済的となる。
【0030】
本発明のシリコーン組成物には、以上の成分の他に、組成物の硬化時間や使用可能時間を調節する目的で、この種の組成物に一般に使用されている反応遅延剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。反応遅延剤としては、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールのシリル化物、マレイン酸エステル、ビニル基またはアリル基を有するシロキサン化合物等が例示される。
【0031】
また、その他、必要に応じて、有機溶剤、剥離調整剤、顔料、染料等を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、ペンタンのような脂肪族炭化水素;トリクロロエチレン、パークロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール等が例示される。
【0032】
本発明のシリコーン組成物は、上記(A)〜(D)成分および任意成分を均一に混合することにより得られる。使用する際には、(D)成分を除く各成分を予め均一に混合した後、(D)成分を添加するか、もしくは(B)成分を除く各成分を均一に混合した後、(B)成分を添加することが好ましい。
【0033】
本発明の組成物の硬化皮膜を形成させるには、本発明の組成物を基材表面に塗布し、50〜200℃程度の温度で加熱すればよい。本発明の組成物は、従来のものに比べ、特にポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムからなる基材に対する密着性が向上しているため、かかるプラスチックフィルム基材用のコーティング材、剥離性硬化皮膜形成材として好適に用いられる。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に明記しない限り、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味し、粘度は25℃における測定値である。
【0035】
また、硬化皮膜の「密着性」の評価は次のようにして行った。
[密着性]
剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリプロピレンフィルム)基材上に約0.8g/m塗工し、120℃に設定した熱風循環式オーブン中で30秒間熱処理して硬化皮膜を形成させた。次いで、これを40℃、90%RHの条件にて24時間セパレーターエージングした後、その硬化皮膜面を指で擦り、塗膜の脱落を目視により判定した。
【0036】
実施例1
分子鎖両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(トルエンで濃度30%に希釈したときの粘度15Pa・s、ビニル基を有するシロキサン単位含有量2.0モル%;ポリジメチルシロキサンと表記)100部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(動粘度25mm/s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6%;ポリメチルハイドロジェンシロキサンと表記)3.2部、密着性向上剤として、(CH)SiO1/2単位8モル%、(CH)SiO単位56モル%および(CH)XSiO単位(式中、Xは前記構造式(1)で示される基)36モル%からなる鎖状シロキサン化合物(密着性向上剤C−1と表記)4部、反応遅延剤として、アセチレンアルコール0.3部と、トルエン/メチルエチルケトン(=80/20)混合溶媒900部を均一に混合した後、白金系触媒として、上記ポリジメチルシロキサンに対して白金量として100ppmとなる量を添加し、均一に混合して剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【0037】
実施例2
密着性向上剤として、下記式(4)で示されるシロキサン化合物(密着性向上剤C−2と表記)を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【化2】

(式中、Xは前記構造式(1)で示される基)
【0038】
比較例1
密着性向上剤を未配合とした以外は、実施例1と同様にして剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【0039】
比較例2
密着性向上剤を、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(密着性向上剤C−3と表記)に代えた以外は、実施例1と同様にして剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【0040】
比較例3
密着性向上剤を、ビニルトリエトキシシラン(密着性向上剤C−4と表記)に代えた以外は、実施例1と同様にして剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【0041】
比較例4
密着性向上剤を、下記式(5)で示されるメタクリロキシプロピルトリメトキシランとポリメチルハイドロジェンシロキサンの反応物(密着性向上剤C−5と表記)に代えた以外は、実施例1と同様にして剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物を調製した。
【化3】

【0042】
上記各実施例および各比較例で得られた剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物について、「密着性」を評価した。結果を表1に併せ示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から明らかなように、実施例の剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物は、プラスチックフィルム基材に対する密着性において良好な特性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に直接結合したアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン 100重量部、
(B)1分子中に少なくとも3個のケイ素原子に直接結合した水素原子を有し、25℃における動粘度が1mm/s以上であるポリオルガノハイドロジェンシロキサン
0.1〜30重量部、
(C)1分子中にケイ素原子に炭素原子を介して結合したエポキシ基を有するシロキサン単位を10モル%以上含有し、かつ、ケイ素原子に直接結合した水素原子を実質的に有さない、前記エポキシ基以外のケイ素原子に結合する有機基がメチル基である重合度が5以上のポリオルガノシロキサン 0.1〜30重量部、
および
(D)白金系触媒 触媒量
を含有することを特徴とする剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物。

【公開番号】特開2011−132532(P2011−132532A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26206(P2011−26206)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【分割の表示】特願2005−27853(P2005−27853)の分割
【原出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】