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剥離性積層フィルムとその製造方法、偏光板とその製造方法及び液晶表示装置
説明

剥離性積層フィルムとその製造方法、偏光板とその製造方法及び液晶表示装置

【課題】剥離性が良好な剥離性積層フィルムの製造方法の提供。
【解決手段】セルロースエステルとアクリル樹脂と溶媒を含むA層形成用のドープAと、樹脂と溶媒を含むB層形成用のドープBとを、前記ドープA、前記ドープBおよび前記ドープAをこの順で流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層体を形成する工程と、前記積層体を前記流延用支持体より剥離する工程と、剥離した前記積層体を乾燥させる工程とを含み、前記A層形成用のドープAが前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、前記B層形成用のドープB中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層形成用のドープB中のアクリル樹脂比率が、前記A層形成用のドープA中のアクリル樹脂比率よりも1%以上高い剥離性積層フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性積層フィルムとその製造方法、偏光板とその製造方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低消費電力で、薄型化が可能であることから、TVやパーソナルコンピューター等の画像表示装置として広く採用されている。液晶表示装置は液晶セルの両側に偏光板を設置したもので、偏光板はヨウ素や染料を吸着配向させた偏光フィルムの両側を透明な樹脂層で挟み込んだ構成をしている。このような透明な樹脂層は偏光子を保護する目的を持ち、セルロースエステルフィルムがよく使用されている。
【0003】
近年液晶表示装置はその普及にともない、更なる薄膜化、大型化、また高性能化が求められている。特に、ノートパソコン、中小型(スマートフォン、スレートPC)の用途では、更なる部材の薄膜化が求められている。例えば、液晶表示装置に用いられる偏光板の偏光子を保護するセルロースエステルフィルムにおいても、薄膜化が要求されている。しかし、溶液製膜で製造されるセルロースエステルフィルムの薄膜を製造しようとすると、セルロースエステルと溶剤を含む溶液(以下ドープ)の吐出量が減少するため、流延ダイから、金属支持体上へ着地するまでの間のドープの強度が減り、風圧変動や、機械振動の影響を受けやすくなり、厚みムラが発生し易くなる。また、薄膜化により乾燥も速くなるため、レベリングしにくくなり表面にできた厚みムラの平滑化の効果が薄れ、面状が悪くなるという問題も発生してきている。
【0004】
また、金属支持体上にドープを流延した後に剥ぎ取り、高揮発分状態のフィルムを搬送し乾燥していく溶液製膜の過程においても、薄膜は剛性が減少するため、そもそも搬送やハンドリングが難しくなる。
また、セルロースエステルフィルムは透過率が高く、アルカリ水溶液に浸漬させてその表面を鹸化し親水化することで、偏光子との優れた密着性を実現し、偏光板が作製されている。しかしながら、薄膜化により、搬送性が困難になるという問題があった。溶液流延製膜で薄膜であっても、優れた面状を有し、搬送性が良好な光学フィルムが求められている。
【0005】
搬送性等を考慮した場合、光学フィルムに剥離性の保護フィルムを取り付ける態様が考えられ、一挙に光学フィルムと同時に成膜する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
この方法では、溶融製膜で外層に添加された可塑剤の一部がフィルムから揮散し、不均一となり、平面性、カール、寸法安定性、レターデーション均一性が劣化するという課題を解決する方法が開示されている。これは、加熱溶融時に生じるフィルム内部からの添加剤の揮発防止を目的として、溶融可能なセルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネテート、セルロースアセテートブチレートなど)と可塑剤を含有するA層の両側に、非接着性の剥離可能な熱可塑性樹種層Bを3層以上の共押し出しで、添加剤揮発の解決を図っているものであり、あくまで基層となる中央のフィルムを保護するための積層体であった。
一方、特許文献2には、表面を構成する外層にアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を50:50〜30:70の質量比で含有し、内部層であるコア層にアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を80:20〜55:45の質量比で含有することで、フィルムの接着性及び硬度を改善した光学フィルムが開示されている。また、特許文献3には、表面を構成する外層にアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を95:5〜85:15の質量比で含有し、内部層であるコア層にアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を80:20〜50:50の質量比で含有することで、フィルムの硬度及び取り扱い性を改善した光学フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献2および3にはいずれも積層フィルムの層間を剥離した態様について開示も示唆もされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4517881号公報
【特許文献2】WO2010/116857号公報
【特許文献3】WO2010/116858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、薄膜化に適した製造技術を開発せずとも、従前の製造技術の範疇で、比較的容易かつ効率的に薄膜なフィルムを得ることが可能な、剥離性が良好な剥離性積層フィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、外層とコア層の組成を特定の範囲に制御することで、積層した際の層間密着力を調整して容易に層間剥離が可能となる、剥離性が良好な剥離性積層フィルムを得られることを見出すに至った。また、積層フィルムの総体として厚膜化することで、厚膜の製造技術の範疇で比較的容易に薄膜のフィルムを得られる剥離性積層フィルムの製造方法を見出すに至った。
すなわち本発明は以下の構成により達成される。
【0009】
[1] 少なくともセルロースエステルとアクリル樹脂と溶媒を含むA層形成用のドープAと、樹脂と溶媒を含むB層形成用のドープBとを、前記ドープA、前記ドープBおよび前記ドープAをこの順で流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層体を形成する工程と、
前記積層体を前記流延用支持体より剥離する工程と、
剥離した前記積層体を乾燥させる工程とを含み、
前記A層形成用のドープAが前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、
前記B層形成用のドープB中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルとアクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、
前記B層形成用のドープB中のアクリル樹脂比率が、前記A層形成用のドープA中のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする剥離性積層フィルムの製造方法。
[2] [1]に記載の剥離性積層フィルムの製造方法は、前記積層体を、長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な剥離性積層フィルムとなるように形成することが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の剥離性積層フィルムの製造方法は、前記A層形成用のドープAの膜厚が5〜60μmとなり、剥離性積層フィルムの全体膜厚が20〜200μmとなるように制御することが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法は、前記ドープAに用いるセルロースエステルは、下記式(I)〜(III)を満たすセルロースアシレートであることが好ましい。
式(I):1.0≦X+Y≦3.0
式(II):0≦X≦3.0
式(III):0≦Y≦2.6
(式(I)〜(III)において、Xは前記セルロースアシレートのグルコース単位の水酸基のアセチル基による置換度であり、Yは前記セルロースアシレートのグルコース単位の水酸基の炭素原子数が3以上のアシル基による置換度である。)
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法は、前記A層形成用のドープAの前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万未満であることが好ましい。
[6] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法は、前記B層形成用のドープBの前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万〜400万であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルムをそのまま巻き取ることを特徴とする剥離性積層フィルムロールの製造方法。
[8] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルムの積層体の一部の層を剥離して、該剥離した層を個別のフィルムとして巻き取ることを特徴とするフィルムの製造方法。
[9] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルム。
[10] A層とB層とA層とをこの順で含み、
前記A層がセルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、アクリル樹脂を80質量%以下含み、前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルとアクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層のアクリル樹脂比率が、前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする剥離性積層フィルム。
[11] [9]または[10]に記載の剥離性積層フィルムは、前記A層と前記B層の密着力が0.05〜0.5N/cmであることが好ましい。
[12] [9]〜[11]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムは、長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な積層体であることが好ましい。
[13] [9]〜[12]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムは、前記A層の膜厚が5〜60μmであり、剥離性積層フィルムの全体膜厚が20〜200μmであることが好ましい。
[14] [9]〜[13]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムは、前記B層を形成する樹脂のガラス転移温度が、前記B層に含まれる前記アクリル樹脂単独のガラス転移温度よりも1℃以上高いことが好ましい。
[15] [9]〜[14]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムは、前記A層の前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万未満であることが好ましい。
[16] [9]〜[14]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムは、前記B層の前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万〜400万であることが好ましい。
[17] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法を含み、前記積層体を、長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な剥離性積層フィルムとなるように形成し、該剥離性積層フィルムの前記表裏面の外層をそれぞれ前記内層から剥離させる工程と、該表裏面の外層で偏光子を挟持することを特徴とする偏光板の製造方法。
[18] [17]に記載の偏光板の製造方法は、前記表裏面の外層が、いずれも前記A層であることが好ましい。
[19] [17]または[18]に記載の偏光板の製造方法は、前記B層が搬送用支持体であることが好ましい。
[20] [17]〜[19]のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
[21] [9]〜[16]のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの前記A層を、偏光子の両表面の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
[22] [20]または[21]に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、薄膜化に適した製造技術を開発せずとも、従前の製造技術の範疇で、剥離性が良好な剥離性積層フィルムの製造方法を提供することができる。また、本発明の剥離性積層フィルムの製造方法によれば、比較的容易かつ効率的に薄膜のフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】バンド流延装置の一例を示す模式図である。
【図2】ドラム流延装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の剥離性積層体から偏光板を作成する一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の剥離性積層フィルム及びその製造方法、並びに本発明の剥離性積層フィルムから剥離して得られる光学フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
[剥離性積層フィルム]
本発明の剥離性積層フィルムは、A層と、B層とA層とをこの順で含み、前記A層が前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層のアクリル樹脂比率が、前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする。
なお、本発明のフィルム及び光学フィルムは、剥離性積層フィルムから剥離して得られるものであるが、本明細書において、単に「フィルム」と記載した場合の該「フィルム」には両者(フィルム及び光学フィルム)を含むものとする。
以下、本発明の剥離性積層フィルムの好ましい態様について説明する。
なお、本発明の剥離性積層フィルムは、WO2010/116857号およびWO2010/116858号公報に記載のフィルムの好ましい態様について、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、適宜引用して本発明の剥離性積層フィルムに採用することができる。
【0014】
<フィルム層構成>
(A層の厚み)
本発明の剥離性積層フィルムの積層体は、A層とB層とA層とをこの順で含み、前記A層が前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層のアクリル樹脂比率が、前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高い積層体である。このような構成により、本発明のフィルムは、厚膜の製造条件下で各層が薄膜として適した特性を有する。
本発明の剥離性積層フィルムは、前記A層と前記B層の密着力が0.05N/cm以上であることがフィルム搬送時にA層とB層とが容易に剥離して分離してしまうのを防ぐ観点から好ましく、0.5N/cm以下であることが剥離しようとする際に密着力が強すぎて剥離しなかったり、A層とB層のどちらかが切断してしまわないようにしたりする観点から好ましい。
A層とB層とA層を含む前記積層体の合計膜厚は、20μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上180μm以下の厚みであることがより好ましく、30μm以上150μm以下であることが特に好ましく、最も好ましくは40μm以上100μm以下である。薄すぎると成膜適性の観点から面状の悪化等が懸念され、厚すぎるとハンドリング性の悪化等が懸念される。積層体の合計膜厚が40μm以上100μm以下であると、現在セルロース系フィルムとして流通している厚みに近いため、搬送や加工などの各種技術や装置の転用や導入が非常に容易である点でも好ましい。
また、A層単体の膜厚は所望の厚みをすることができるが、5μm以上60μm以下であることが好ましく、8μm以上50μm以下の厚みであることがより好ましく、10μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
【0015】
(B層の厚み)
B層単体の膜厚は、A層同様に所望の厚みとすることができる。
ただし、B層を搬送用支持体として製造する場合は、B層は他の層を支持補助するために適度な機械性能を有する必要があるためある程度の厚みを有する必要がある。
【0016】
(積層態様)
本発明の剥離性積層フィルムは、A層とB層以外に、A層やB層と異なる溶液成膜可能な樹脂を含むC層を更に含んでもよく、またA層、B層及びC層をそれぞれ複数層有する互層構造とすることもできる。
【0017】
(フィルム幅)
本発明の剥離性積層フィルム、及び該剥離性積層フィルムから剥離されて得られるフィルムは、フィルム幅が400〜2500mmであることが好ましく、1000mm以上であることがより好ましく、1500mm以上であることが特に好ましく、1800mm以上であることがより特に好ましい。
【0018】
次に、本発明の剥離性積層フィルムの各層に含まれる成分の詳細と好ましい態様について、説明する。
以下、A層、B層の構成について順に説明する。
【0019】
<A層>
本発明の剥離性積層フィルムにおいて、A層が前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、後述するB層のアクリル樹脂比率は前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高い。
前記A層が前記セルロースエステルを30質量%以上100質量%未満含むことが好ましく、30質量%以上100質量%未満含むことがより好ましい。
【0020】
(厚み)
前記A層の厚みの好ましい態様については、本発明の層構成の説明において上述したとおりである。
【0021】
(セルロースアシレート)
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に定めるものではない。原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
【0022】
本発明に用いられるセルロースエステルは、アシル基の総置換度が1.0以上3.0以下であることが好ましい。
更に、本発明に用いられるセルロースエステル(好ましくはセルロースアシレート)は、アシル基の総置換度をX+Y、炭素数が2のアシル基(アセチル基)の置換度をX、炭素原子数が3以上のアシル基の置換度をYとしたときに、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の範囲にすることで、隣接層との密着性、流延時の支持体からの剥離性、フィルムのカール低減の観点で優れたA層を得ることができる。
1.0≦X+Y≦3.0
0≦X≦3.0
0≦Y≦2.6
【0023】
また、セルロースエステルは、より好ましくは以下の条件を満たすセルロースアシレート系樹脂である。
2.0≦X+Y≦3.0
1.5≦X≦3.0
0≦Y≦2.0
【0024】
本発明に用いられるセルロースアシレートとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でより好ましいセルロースアシレートは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートであり、更に好ましくはセルロースアセテートである。
【0025】
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めることができる。
【0026】
本発明に用いられるセルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル系樹脂との密着性の観点から、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)が75000以上であればセルロースアシレート系樹脂層自身の自己成膜性や密着の改善効果が発揮され、好ましい。本発明では2種以上のセルロースアシレート樹脂を混合して用いることもできる。
【0027】
<B層>
本発明の剥離性積層フィルムにおいて、前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層のアクリル樹脂比率が、前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高い。 前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜15:85(質量比)であることが好ましく、0:100〜10:90(質量比)であることがより好ましい。
前記B層は、アクリル樹脂以外にも、セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有してもよい。本明細書中、(メタ)アクリル系樹脂以外のセルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂とは、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、等が挙げられ、これらの樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂から選ぶことができる。
【0028】
また、B層は前記A層と密着力が0.05〜0.5N/cmの剥離性を有する様に積層されることが好ましい。
剥離性を付与するためには、A層とB層の組成が相溶性を有しないことが好ましく、その指標としてSP値(溶解度パラメーター)を用いることができ、上記樹脂やその組成を適宜選択してB層を形成することができる。なお、A層およびB層に用いる樹脂の溶解度パラメーターSP値は、後述の有機溶剤の溶解度パラメーターと同様に「PolymerHandbook(4th.edition)」に記載の内容のものを表す。
本発明において剥離性を付与するためには、A層に用いる樹脂とB層に用いる樹脂のSP値の差が0.2MPa1/2以上となる様にそれぞれの層に用いる材料を選択することで調整することができる。なお、層のSP値とは、実質的に層に用いる樹脂のSP値に相当する。したがって、本発明において、A層に用いる樹脂(セルロースエステル)とB層に用いる樹脂のSP値の差は0.2MPa1/2以上であることが好ましい。
【0029】
なお、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル樹脂とアクリル樹脂の両方を含む概念である。また、(メタ)アクリル樹脂には、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体も含まれる。
【0030】
((メタ)アクリル樹脂)
前記(メタ)アクリル酸脂の繰り返し構造単位は、特に限定されない。前記(メタ)アクリル酸系樹脂は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
【0031】
前記(メタ)アクリル樹脂は、繰り返し構造単位として、更に、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸及び下記一般式(201)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
【0032】
一般式(201)
CH2=C(X)R201
【0033】
(式中、R201は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−CN基、−CO−R202基、又は−O−CO−R203基を表し、R202及びR203は水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。)
【0034】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%である。
【0035】
前記水酸基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
【0036】
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
前記不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
【0037】
前記一般式(201)で表される単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記一般式(201)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
【0038】
前記単量体成分は重合した後にラクトン環を形成していてもよい。その場合、単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得ることが好ましい。
前記単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
【0039】
溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の製造方法では、(メタ)アクリル系樹脂を有機溶媒に溶解させて溶液流延を行って前記B層を形成するため、(メタ)アクリル系樹脂の合成時における有機溶媒は、溶融製膜を行う場合よりも限定されず、沸点が高い有機溶媒を用いて合成してもよい。
【0040】
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
重合開始剤の量の調整により、重合体の重量平均分子量を調整することができる。
【0041】
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
【0042】
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができる。添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。
【0043】
重合工程で得られた前記単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体の重量平均分子量は、60万〜400万が好ましく、80万〜200万がより好ましく、100万より大きく200万以下の範囲であることが更に好ましく、100万より大きく180万以下の範囲であることが特に好ましい。
【0044】
(メタ)アクリル樹脂としては、共重合成分として脂環式アルキル基を含有するか、又は分子内環化により分子主鎖に環状構造を形成させた(メタ)アクリル樹脂も用いることができる。分子主鎖に環状構造を形成させた(メタ)アクリル樹脂の例としては、一つの好ましい態様としてラクトン環含有重合体を含む(メタ)アクリル系の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましい樹脂組成や合成方法は特開2006−171464号公報に記載されている。また、別の好ましい態様としてグルタル酸無水物を共重合成分として含有する樹脂が挙げられ、共重合成分や具体的合成方法については特開2004−070296号公報に記載されている。
【0045】
B層を形成する樹脂の重量平均分子量(質量平均分子量と称することもある)とA層との重量平均分子量の組合せに制限はないが、製膜の過程で最適となるよう、適宜、重量平均分子量を選択できる。
【0046】
ここで、(メタ)アクリル樹脂として一般に分子量10万程度のものが製膜に用いられている。詳しくは、溶融製膜では、高分子量の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを製膜することがそもそも不可能である。また、アクリル樹脂フィルムは溶液製膜によっても製膜可能だが、その場合は溶液流延しやすい粘度のドープを調製する必要がある。分子量30万以上の(メタ)アクリル系樹脂であれば、流延適性が高いドープを調製しやすく、このようなアクリル樹脂が製膜に用いられている。本発明の剥離性積層フィルムは、前記A層形成用のドープAの前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万未満であることが好ましく、30万以上60万未満であることがより好ましい。
【0047】
これに対し、本発明の剥離性積層フィルムではセルロースエステルのA層との共流延を実現するため、更に大きい重量平均分子量の(メタ)アクリル系樹脂を用いて製膜してもよい。すなわち、本発明の剥離性積層フィルムに用いられるB層を形成する前記B層形成用のドープBの樹脂は、特に光学フィルムとしての脆性および自己成膜性を重視する場合の観点からは、重量平均分子量(Mw)は60万〜400万が好ましく、80万〜200万がより好ましく、100万より大きく200万以下の範囲であることが更に好ましく、100万より大きく180万以下の範囲であることが特に好ましい。(メタ)アクリル樹脂を用いる場合、その前記B層形成用のドープBの前記アクリル樹脂の主成分として用いられる(メタ)アクリル樹脂の重合平均分子量が60万〜400万であることが好ましく、80万〜200万がより好ましい。なお、主成分とは層を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
【0048】
B層を形成する樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0049】
B層を形成する樹脂が、分子内にメチルメタクリレート単位を50質量%以上有する(メタ)アクリル系樹脂であることが特に好ましい。
【0050】
B層を形成する樹脂は、セルロースエステルを含むことにより、前記B層に含まれる前記アクリル樹脂単独のガラス転移温度(B層の主たる高分子樹脂そのもの)よりもガラス転移温度が1℃以上高いことが好ましい。より好ましくは3℃以上高く、5℃以上高いことがさらに好ましい。
B層を形成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上℃であり、本発明のフィルムでは123〜133℃であることがより特に好ましく、125〜133℃であることがよりさらに特に好ましい。
【0051】
A層、B層の密着力は、適宜、B層に後述する添加剤を添加し、調整することが好ましく、A層、B層の主たる高分子樹脂の親疎水性のバランスに対し、添加する添加剤の親疎水性を制御することで、密着力を制御する。また、使用する溶媒の溶媒組成を変えることで、適宜、調整することができる。
【0052】
(残留溶媒量)
本発明の剥離性積層フィルムは、後述する本発明の製造方法によって共流延や逐次流延による積層によって製膜されることが好ましい。このように溶液製膜によって、セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有する前記B層を形成することによって、セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有する層を溶融製膜により形成した場合よりも、前記A層の表面面状を改善することができる。
【0053】
<添加剤>
本発明の剥離性積層フィルムには、前記B層及び前記A層のそれぞれにおいて、主原料となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂とともに、前記湿度依存性改良剤以外の添加剤、例えば、可塑剤、脆性改良剤、A層とB層の層間剥離促進剤、帯電防止剤、フィラー、紫外線吸収剤、遊離酸、ラジカルトラップ剤、粒子等を、本発明の趣旨に反しない限りにおいて含有させてもよい。
以下、本発明の剥離性積層フィルムに添加してもよい添加剤について説明する。
【0054】
(脆性改良剤)
本発明の剥離性積層フィルムにおいて、B層には脆性改良剤を含んでもよい。前記脆性改良剤としては、特に制限はないが、例えば下記のような化合物を挙げることができる。(繰り返し単位を有する化合物)
本発明における脆性改良剤としては繰り返し単位を有する化合物が好ましい。繰り返し単位を有する化合物とは、縮合物若しくは付加物を挙げることができ、縮合物としては、多価アルコールと多塩基酸との縮合物、多価エーテルアルコールと多塩基酸との縮合物、多価アルコールと多塩基酸との縮合物とイソシアナート化合物との縮合物を好ましく挙げることができ、付加物としては、アクリル酸エステルの付加物、メタクリル酸エステルの付加物を好ましく挙げることができる。また、ポリエーテル系化合物、ポリウレタン系化合物、ポリエーテルポリウレタン系化合物、ポリアミド系化合物、ポリスルフォン系化合物、ポリスルフォンアミド系化合物、その他の高分子系化合物としては数平均分子量が600以上の化合物を用いることもできる。
そのうち少なくとも1種は、多価アルコールと多塩基酸との縮合物、多価エーテルアルコールと多塩基酸との縮合物、アクリル酸エステルの付加物又はメタクリル酸エステルの付加物であることが好ましく、多価アルコールと多塩基酸との縮合物又はアクリル酸エステルの付加物であることがより好ましく、多価アルコールと多塩基酸との縮合物であることが更に好ましい。
【0055】
(可塑剤)
本発明においては、フィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために可塑剤を用いてもよい。
【0056】
好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にある分子量190〜5000程度の低分子〜オリゴマー化合物が挙げられ、例えばリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。
【0057】
リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。好ましくは、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートである。
【0058】
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
【0059】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
【0060】
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなくその利用方法あるいはその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
【0061】
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
【0062】
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステル及び又はポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン又はポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂又はノボラック樹脂等が挙げられる。
また、耐揮発性、ブリードアウト、低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、例えば特開2009−98674号公報に記載の両末端が水酸基であるポリエステルジオールを用いるのが好ましい。また、光学フィルムの平面性や低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、特開2009−155454号公報、特開2009−235377号公報、特開2009−299014号公報、特開2010−031132号公報、特開2010−053254号公報、特開2010−242050号公報に記載のポリエステル化合物や、WO2009/031464号公報に記載の糖エステル誘導体も好ましい。
【0063】
これらの可塑剤は単独若しくは2種類以上を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量は熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜120質量部使用することができ、2〜70質量部が好ましく、更に好ましくは2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。また、後述する本発明の製造方法に用いるA層用ドープ(ドープA)、B層用ドープ(ドープB)のうち隣接する層の可塑剤の組み合わせによっては、流延時のドープの界面の乱れの発生が少なくなったり、界面の密着性を制御したり、カールが低減したりする観点から、適宜選択することが好ましい。
【0064】
(紫外線吸収剤)
本発明のフィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0065】
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
【0066】
本発明のフィルムには、主原料となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂とともに、添加剤を含有していてもよい。添加剤の例には、フッ素系界面活性剤(好ましい添加量は熱可塑性樹脂に対して0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学異方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)等が含まれる。
【0067】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、微量の有機材料、無機材料及びそれらの混合物からなる粒子を分散含有していてもよい。これらの粒子は、製膜時におけるフィルムの搬送性向上を目的として(マット剤として)添加される場合には、粒子の粒径は5〜3000nmであるのが好ましく、添加量は1質量%以下であるのが好ましい。
【0068】
<有機酸>
本発明のフィルムは、偏光板の保護フィルムとして用いることができる。この場合樹脂と、25℃におけるテトラヒドロフラン/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数が2〜7の有機酸を該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含有することが好ましい。このような有機酸を用いることで、前記偏光板保護フィルムは、高温低湿下での偏光子耐久性を悪化させることなく高温高湿下での偏光子耐久性を改善することができる。
【0069】
<有機酸>
(溶解度)
本発明のフィルムに含まれる有機酸は、25℃における水に対する溶解度が0.1質量%以下である。前記有機酸の25℃における水に対する溶解度は0.06質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以下であることがより好ましい。
本発明における前記溶解度の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第4版の153ページ〜156ページに記載の方法を採用した。
【0070】
本発明のフィルムに含まれる有機酸は、25℃におけるTHF/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数が2〜7の有機酸である。前記有機酸のTHF/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数は2.5〜7であることが好ましく、2.5〜6.5であることがより好ましく、3〜5であることが特に好ましい。
本発明における前記酸解離定数の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ適定法を採用した。
【0071】
(分子量)
本発明のフィルムに含まれる有機酸の分子量は、200〜1000であることが好ましく、250〜800であることがより好ましく、280〜500であることが特に好ましい。分子量が上述の範囲の下限値以上であると高温低湿下における偏光子耐久性が改善され、分子量が上述の範囲の上限値以下であると高温高湿下における偏光子耐久性が改良され、好ましい。
【0072】
(構造)
本発明のフィルムに含まれる有機酸は、芳香環構造を含むことが好ましく、炭素数6〜12のアリール基を含むことが好ましく、フェニル基を含むことが特に好ましい。前記有機酸の芳香環構造は、その他の環と縮合環を形成していてもよい。前記有機酸の芳香環構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、ハロゲン原子又はアルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、塩素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
【0073】
前記有機酸は、下記一般式(3)で表されることが好ましい。
一般式(3)
【0074】
【化1】

【0075】
一般式(3)において、R6はアリール基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R6及びR7はそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0076】
前記R6は炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
前記R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)又は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(シクロアルキル基も含む)又はフェニル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキサン基又はフェニル基であることが特に好ましい。
前記R6が有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、ハロゲン原子又はアルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、塩素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
前記R7が有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0077】
以下において一般式(3)で表される有機酸の具体例を例示するが、本発明は以下に限定されるものではない。
【0078】
【化2】

【0079】
(有機酸の入手方法)
本発明に用いられる有機酸は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
【0080】
(有機酸の含有量)
前記有機酸は、フィルムに用いられる樹脂に対して1〜20質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば、偏光子耐久性改良効果が得られやすく、また20質量%以下であれば、偏光板保護フィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。前記有機酸の含有量は1〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
【0081】
(有機酸の酸解離定数)
本発明の偏光板に用いられる前記偏光板保護フィルムに含まれる有機酸は、25℃におけるテトラヒドロフラン/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数が2〜7であることが好ましく、3〜6であることがより好ましく、3〜5であることが更に好ましい。
本発明における前記酸解離定数の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ適定法を採用した。
【0082】
(粒子)
フィルムの表面に凹凸を与えたりフィルム内部に光散乱性を付与したりするために粒子を添加することもでき、その場合には、粒子の粒径は1〜20μmであるのが好ましく、添加量は2〜30質量%好ましい。これら粒子屈折率は本発明のポリマーフィルムの屈折率との差が0〜0.5であるのが好ましく、例えば、無機材料の粒子の例には、酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粒子が含まれる。有機材料の粒子の例には、アクリル樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が含まれる。
【0083】
<フィルム上への付加的な層の積層>
本発明の剥離性積層フィルム及び該剥離性積層フィルムから剥離されて得られるフィルムには、前記積層体の少なくとも一方の面に更に他の塗布層を設けてもよい。
そのような塗布層としては、例えば、0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けてもよい。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
【0084】
また、硬化性樹脂層を設けたフィルムの強度としては、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましい。
また、棒状又は円盤状の液晶性重合化合物を配向させて、硬化させてなる位相差を形成することもできる。
【0085】
[本発明の剥離性積層フィルムの製造方法]
本発明の剥離性積層フィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)は、少なくともセルロースエステルとアクリル樹脂と溶媒を含むA層形成用のドープAと、樹脂と溶媒を含むB層形成用のドープBとを、前記ドープA、前記ドープBおよび前記ドープAをこの順で流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層体を形成する工程と、前記積層体を前記流延用支持体より剥離する工程と、剥離した前記積層体を乾燥させる工程とを含み、前記A層形成用のドープAが前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、前記B層形成用のドープB中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルと前記アクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、前記B層形成用のドープB中のアクリル樹脂比率が、前記A層形成用のドープA中のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする。
以下、本発明の製造方法について、好ましい態様を説明する。
【0086】
(フィルム製膜方法)
本発明の剥離性積層フィルムの製膜の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられる。本発明の製造方法は、これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)を用いることで、本発明のフィルムを生産性よく製造することを特徴とする。
【0087】
<ドープの調製>
本発明の剥離性積層フィルムの製造に用いる熱可塑性樹脂の溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、室温溶解法、冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、更にはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にはセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明のセルロースエステル及びその他の熱可塑性樹脂に対しても、これらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。更に熱可塑性樹脂のドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
【0088】
(有機溶媒)
本発明の製造方法において、前記セルロースエステル及び前記ドープAのセルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂をそれぞれ溶解しドープを形成する有機溶媒について記述する。用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
【0089】
本発明で用いられる溶剤は、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが面状安定性を付与するために好ましく、更に好ましくは、良溶剤と貧溶剤の混合比率は良溶剤が60〜99質量%であり、貧溶剤が40〜1質量%である。本発明において、良溶剤とは使用する樹脂を単独で溶解するもの、貧溶剤とは使用する樹脂を単独で膨潤するか又は溶解しないものをいう。本発明に用いられる良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類が挙げられる。また、本発明に用いられる貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等が好ましく用いられる。
【0090】
前記ドープA及びBに含有される有機溶媒のうちアルコールの割合が有機溶剤全体の10〜50質量%であることが製膜後の支持体(流延基材)上での乾燥時間を短縮し、早く剥ぎ取って乾燥することができるという理由から好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。
【0091】
(ドープの固形分濃度)
本発明の剥離性積層フィルムを形成する材料は、有機溶媒に10〜60質量%の固形分濃度(乾燥後固体となる成分の和)で溶解していることが好ましく、更に好ましくは10〜50質量%である。セルロースアシレート系樹脂を主成分とする場合には、10〜30質量%溶解していることが好ましく、15〜25質量%であることが好ましく、18〜20質量%であることが最も好ましい。但し、用途によっては、有機溶剤の含有量を少なくでき、乾燥時間の短縮ができるという理由などからドープAの固形分濃度が20質量%を超え22質量%以下であっても好ましい場合がある。これらの固形分濃度に調製する方法は、溶解する段階で所定の固形分濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。更に、予め高濃度の光透過性基材を形成する材料の溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度の溶液としてもよい。
支持体離型性、界面密着性、低カールを達成する観点から、ドープA、B中の熱可塑性樹脂の組成は、以下の条件を満たすことが好ましい。ドープA中の熱可塑性樹脂中にセルロースエステルの占める割合は、50〜100質量%が好ましく、更に好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。またドープB中の熱可塑性樹脂中に(メタ)アクリル系樹脂の占める割合は、30〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜100質量%、最も好ましくは70〜100質量%である。
一方、共流延製膜にて良好な面状のフィルムを得るためには、ドープBとドープAの固形分濃度の差が10質量%以内であることが好ましく、5質量%以内であることがより好ましい。
特に、ドープBにおいて、固形分濃度が16〜30質量%であり、かつ、ドープBとドープAの固形分濃度の差が10質量%以内であることが好ましい。
【0092】
(ドープの複素粘度)
本発明の製造方法では、また、25℃における流前記ドープAの複素粘度ηAと、前記ドープBの複素粘度ηBが、下記式(III)の関係を満たすように制御することが、好ましい。
(式III) ηA≦ηB
【0093】
本発明の製造方法では、その中でも、前記ドープA及び前記ドープBの複素粘度がいずれも10〜80Pa・s以下であり、かつ、前記ドープBの複素粘度が前記ドープAの複素粘度よりも大きいことが、製膜後のフィルム面状を改善する観点から、好ましい。
【0094】
本発明の製造方法では、前記ドープA及び前記ドープBの複素粘度がいずれも10〜80Pa・s以下であることが好ましい。複素粘度をこのような範囲とすることにより、溶液流延適性がより向上する傾向にあり好ましい。ここで、本発明におけるドープの複素粘度とは、溶液剪断レオメータ測定によって測定した粘度をいう。
この範囲内であれば、フィルムの白化の抑制効果が更に高まる。更に好ましくは、20〜80Pa・sであり、とくに好ましくは、25〜70Pa・sである。粘度の測定は次のようにして行った。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用いて測定した。
試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−5〜35℃である。上記のとおり、本発明では、25℃における値を採用した。
【0095】
<共流延工程>
(流延)
本発明の製造方法においては、少なくともセルロースエステルとアクリル樹脂と溶媒を含むA層形成用のドープAと、樹脂と溶媒を含むB層形成用のドープBとを、前記ドープA、前記ドープBおよび前記ドープAをこの順で流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層体を形成する工程を含む。積層体の形成方法としては同時に流延ができる共流延法が好ましく、以降は共流延の事例を用いて説明する。
積層の層数は特に規定はないが、各層や積層体全体の厚み、層間の密着力によって積層体のハンドリング性が変化するので、層構成によって流延可能な層数を選択できる。
このとき、積層フィルムの全体膜厚が20〜200μmであると、既知の溶液流延方法の技術を使うことができるので好ましい。
また、積層の形態は少なくともA層とB層とA層とをこの順で含む積層体よりなるが、更にドープA及び/又はドープBの複数の層が互層構造を構成してもよく、互層構造を取る場合に各層A、各層Bの厚みを変えてもよく、材料組成比等を変えて物性等が異なるフィルムを得られる様にしてもよい。
更に、必要に応じて前記ドープAと前記ドープBに用いられる樹脂とは異なる溶液成膜可能な樹脂有機溶媒を含有するドープC等の複数種の材料を用いて多種の層からなる積層体を成膜することもできる。
【0096】
更に、前記ドープ(A)の流延厚みを該ドープ(A)の乾燥厚みが5〜60μmになるように制御することが好ましい。このような流延厚みの方法については特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。より好ましい乾燥厚みの範囲は、本発明の光学フィルムの前記A層の好ましい厚みと同様である。
【0097】
ドープは、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することがきる。ここで、前記支持体は、特に制限はないが、ドラム又はバンドであることが好ましい。支持体の表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
【0098】
図1はバンドを有する流延設備の要部を示す概略図であって、側面からの平面図である。流延設備11は、流延ダイ14と、第1及び第2のバックアップローラ32、33と、バンド31と、剥ぎ取りローラ37と、温調板51と、複数の凝縮板52と、複数の液受け53と、回収タンク56と、送液管とからなる。なお、流延ドープ12として3種類のドープをそれぞれ調製し、これらを一度の流延操作によって、流延膜を3層構造とすることもできる。PSは流延開始位置を表す。36はフィルムを表す。
図2はドラムを含む流延設備を示す図である。図2は流延設備101の要部を示す概略図であって、側面からの平面図である。なお、上述の図1と同様の装置及び部材については、同じ符号を付し、説明を略する。図2では図1のバンドの代わりにドラム102を用いている。流延ダイ14からの流延ドープ12は、ドラム102上に形成された流延膜が流延開始位置PSから下方に向かうように、ドラム102の最上部よりやや下方に流延されている。この場合も、ドラム102上の流延開始位置PSにおける接線と流延ダイ14からの流延曲線の接線とができるだけ一致するように、流延開始位置PSを定めることが好ましい。
【0099】
ドラム102は、温度調整機能を有している。流延膜の外側には、複数の凝縮板105が設置されており、凝縮板105同士の隙間の傾斜をつたわって、外部の液受け53に入り、回収タンク56に回収される。ドラム102上を走行した流延膜は、フィルム36として剥ぎ取りローラ37により剥ぎ取られ、次の工程である乾燥設備に送られる。これにより、液だれを防止しながら、流延膜を均一に乾燥し、溶媒を高収率で回収することができる。ただし、ドラム102の回転方向を逆として、流延膜の走行方向が流延開始位置PSから上向きになされた場合にも、流延膜の均一乾燥と、フィルム36の厚みの均一化効果は得られる。
【0100】
ドープは、表面温度が5℃以下の支持体上に流延することが好ましい。流延基材(支持体)の表面温度は−30〜5℃が好ましく、−10〜2℃がより好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムを支持体から剥ぎ取り、更に100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時の支持体の表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0101】
本発明では、流延基材としての支持体上に前記2種以上のドープを流延して製膜する。本発明の剥離性積層フィルムの製造方法としては、上記以外に特に制限はなく公知の共流延方法を用いることができる。例えば、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からドープ溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からドープ溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。
【0102】
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、前記有機溶媒を除去する工程を含む。
ドラムやバンド上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
本発明では、多層流延したドープを乾燥させてから、支持体から剥離することが好ましい。
【0103】
本発明では、ドープが流延基材上に流延され剥離される時間、すなわち、流延基材上を搬送される時間は、特に制限はないが、製造効率の点で、180秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがより好ましい。
【0104】
<延伸工程>
本発明の製造方法は、前記製膜工程のあとに、製膜した前記積層フィルムを延伸する工程を含んでもよい。
本発明の剥離性積層フィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
【0105】
なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量の更に好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜35質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
【0106】
延伸倍率は、一般的に5%〜100%で行うことができ、15%〜40%にすることも好ましい。ここで、一方の方向に対して5%〜100%延伸するとは、フィルムを支持しているクリップやピンの間隔を延伸前の間隔に対して1.05〜2.00倍の範囲にすることを意味している。
また、延伸はフィルム搬送方向(縦方向)に行っても、フィルム搬送方向に直交する方向(横方向)に行っても、両方向に行ってもよい。
【0107】
本発明では、溶液流延製膜したものは、特定の範囲の残留溶媒量であれば高温に加熱しなくても延伸可能であるが、乾燥と延伸を兼ねると、工程が短くてすむので好ましい。本発明では、前記延伸工程における延伸温度は、110〜190℃であることが好ましく、120〜150℃であることがより好ましい。延伸温度が120℃以上であることが低ヘイズ化の観点から好ましく、150℃以下であることが光学発現性を高める観点(薄膜化の観点)から好ましい。
一方、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、可塑剤として揮散しやすい低分子可塑剤を用いる場合は、室温(15℃)〜145℃以下の範囲が好ましい。
【0108】
また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの光学発現性を高める観点、特にフィルムのRth(レターデーション)の値を高める観点から、有効な方法である。
【0109】
本発明では、延伸工程において同時に2軸方向に延伸してもよいし、逐次に2軸方向に延伸してもよい。逐次に2軸方向に延伸する場合は、それぞれの方向における延伸ごとに延伸温度を変更してもよい。
同時2軸延伸する場合、延伸温度は110℃〜190℃で行った場合でも本発明の剥離性積層フィルムを得ることができ、同時2軸延伸する場合の延伸温度は、120℃〜150℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。また、同時2軸延伸することで、ヘイズはある程度高くなるものの、光学発現性を更に高めることができる。
一方、逐次2軸延伸する場合、先にフィルム搬送方向に平行な方向に延伸し、その次にフィルム搬送方向に直交する方向に延伸することが好ましい。前記逐次延伸を行う延伸温度のより好ましい範囲は上記同時2軸延伸を行う延伸温度範囲と同様である。
【0110】
<熱処理工程>
本発明の剥離性積層フィルムの製造方法は乾燥工程終了後に熱処理工程を設けることが好ましい。当該熱処理工程における熱処理は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、熱処理工程だけを別途設けてもよい。本発明においては乾燥工程終了後に一旦、室温〜100℃以下まで冷却した後において改めて前記熱処理工程を設けることが好ましい。これは熱寸法安定性のより優れたフィルムを得られる点で有利であるからである。同様の理由で熱処理工程直前において残留溶媒量が2質量%未満、好ましくは0.4質量%未満まで乾燥されていることが好ましい。
【0111】
熱処理は、搬送中のフィルムに所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエーブなどの加熱手段などを用いる方法により行われる。
熱処理は150〜200℃の温度で行うことが好ましく、160〜180℃の温度で行うことが更に好ましい。また、熱処理は1〜20分間行うことが好ましく、5〜10分間行うことが更に好ましい。
【0112】
<加熱水蒸気処理工程>
また、延伸処理されたフィルムは、その後、100℃以上に加熱された水蒸気を吹き付けられる工程を経て製造されてもよい。この水蒸気の吹付け工程を経ることにより、製造されるフィルムの残留応力が緩和されて、寸度変化が小さくなるので好ましい。水蒸気の温度は100℃以上であれば特に制限はないが、フィルムの耐熱性などを考慮すると、水蒸気の温度は、200℃以下となる。
【0113】
本発明の製造方法においては、剥離性積層フィルムの両端の耳きりを行ってもよい。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。
前記剥離性積層フィルムの耳部をフィルム走行方向で切断し、リサイクル用のポリマー原料として回収する耳部回収工程とを有することが好ましい。ここで切断する耳部の幅は、10〜500mmが好ましい。
【0114】
切断、回収された本発明の剥離性積層フィルムは、積層体としてリサイクル用のポリマー原料としてそのまま使用してもよいし、積層体のうち、セルロースエステルとアクリル樹脂を含む樹脂層(A層)と、前記アクリル樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂)を含む樹脂層(B層)とを剥離などの手法により分離することがより好ましい。リサイクルしたポリマー原料においては、一方の樹脂への他方の樹脂のコンタミネーションによる含有率は20%以下であることが好ましい。更に好ましくは10%以下である。
【0115】
<バルクロールの回収>
本発明の剥離性積層フィルムは、50m以上の長さのロール形態とした後に、巻き形状や面状の点で問題が生じた際に、バルクロールとして回収し、リサイクル用の原料としてもよい。この際、耳部回収と同様に、積層体をそのまま回収してもよいし、剥離などの手法により各層を分離して回収してもよい。リサイクルした原料としては、一方の樹脂への他方の樹脂のコンタミネーションによる含有率は20%以下であることが好ましく、更に好ましくは10%以下である。
【0116】
上記の各工程を経て得られた剥離性積層フィルムをそのまま巻き取ることで剥離性積層フィルムロールを得ることができる。
また、剥離性積層フィルムの一部の層を剥離して、該剥離した層を個別のフィルムとして巻き取ることもできる。剥離方法については後述する。
例えば、剥離性積層フィルムから剥離したA層をセルロースエステルフィルムとして巻き取ることで、長尺のセルロースエステルフィルムを得ることができる。該長尺のセルロースエステルフィルムは、そのまま偏光板保護フィルムとして用いてもよい。ここで、長尺とは、長手方向の長さが5m以上であれば特に限定はなく、好ましくは100m以上、更に好ましくは1000m以上300000m以下であることが製造工程上好ましい。
【0117】
<表面処理工程>
本発明の剥離性積層フィルムから剥離したフィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用し、偏光子と接着させる場合には、偏光子との接着性の観点から、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面を親水的にする処理を実施することが特に好ましい。
その中でも、本発明の剥離性積層フィルムは、前記B層の両側にセルロースアシレートのA層を有するため、このセルロースアシレートのA層をアルカリ鹸化して、通常使用される、ポリビニルアルコール偏光子との貼り合わせを改善することが好ましい。A層がなければ、接着剤を使用する必要があり、生産効率に劣るため不利となる。
【0118】
<剥離性積層体からの各層の剥離方法>
剥離性積層フィルム(剥離性積層体)からの各層の剥離は、物理的な折り曲げ、切断端面からの捲れ、熱、湿熱処理を起点として、剥離することができる。
積層フィルムの各層の物理機械特性(延性、靭性)の差異を利用する方法と、熱、湿熱処理による寸法変化等の物性変化の差異を利用する方法、上下の膜厚方向のせん断速度差を利用したなどが行なうことができ、フィルムの特性に応じて、適宜使い分けることができる。熱、湿熱寸法変化の差異を利用する場合も、剥離時に、加熱ロールや、加熱した水蒸気を所望の箇所に当てることで局所的な変化を生じさせ、その層ごとの変位量の差が剪断力として働き、その力が層間の密着力を超すと剥離が起きることになる。
なお、本発明の剥離性積層フィルムから複数のフィルムを同時に得ることもできるが、そのまま積層体として巻き取り、適宜剥離して用いることもできる。成膜された層が非常に薄い場合は可搬性の観点から積層体のまま、ハンドリングして加工することが好ましい。
本発明では、剥離したA層を薄膜のセルロースエステルフィルムとして用いることができる。該フィルムを光学フィルムとして用いることが好ましい。同様に、剥離したB層も、セルロースエステル以外の樹脂の光学フィルムとして、好ましく用いることができる。
【0119】
<剥離したフィルムの物性>
(レターデーション)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
【0120】
本明細書において、Re、Rth(単位;nm)は次の方法に従って求めたものである。まず、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、プリズムカップラー(MODEL2010 Prism Coupler:Metricon製)を用い、25℃、相対湿度60%において、532nmの固体レーザーを用いて下記式(10)で表される平均屈折率(n)を求める。
式(10): n=(nTE×2+nTM)/3
[式中、nTEはフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、nTMはフィルム面法線方向の偏光で測定した屈折率である。]
【0121】
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
【0122】
【数1】

上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(11)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
式(12)
Rth={(nx+ny)/2−nz}xd
【0123】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0124】
(光学特性)
剥離したセルロースエステルフィルムの光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。また、該セルロースエステルフィルムのヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
【0125】
(弾性率)
剥離したセルロースアセテートフイルムの弾性率は、1000〜8000MPaであることが好ましく、2000〜6000MPaであることが更に好ましい。
【0126】
(配向度)
剥離したセルロースエステルフィルムの配向度は、P1が0≦|P1|≦0.20を満たすのが好ましい。より好ましくは0≦|P1|≦0.10であり、特に好ましくは0≦|P1|≦0.05である。配向度については、特開2008−260921号公報に記載されている方法により求めることができる。
【0127】
(デラミ性)
剥離したセルロースエステルフィルムを光学フィルムとして用いる場合、より好ましい態様では、光学フィルム内部におけるデラミ(剥がし試験での割れ)が小さい。このようなデラミの大きさは、特定の方法で測定した際に生じるデラミに由来する剥離部の筋の幅によって定量化することができ、本明細書中、デラミとは、特開平9−185148号公報[0030]の記載に基づいて観測し、測定した値のことを言う。前記デラミは実用上300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。
前記デラミが280μm以下であれば、液晶表示板のリワーク作業の際にフィルム内で割れが発生しにくくなり、製造コスト上の損失が生じる可能性が低くなるため好ましい。なお、本明細書中、リワーク作業とは、液晶ディスプレイのガラス基板へ偏光板を貼り合わせるときにミスが生じた場合に、貼り合わせをし直すことを目的として、一度偏光板をガラス基板から剥す作業のことを言う。
即ち、本発明のフィルムのうち、より好ましい態様の光学フィルムを用いると、本発明の液晶表示装置のリワーク性が向上し、製造コストの観点から好ましい。
【0128】
(フィルム表面及び、剥離面の平滑性)
本発明の剥離性積層フィルム、並びに該剥離性積層フィルムから剥離したA層及びB層については、光学フィルムとしての均一性の観点から、フィルム表面が平滑であることが好ましい。
フィルム表面の平滑性の評価は、表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所製)を用いてJIS B0601:2001、ISO 4287:1997に基づいて、平均算術粗さ(Ra)で評価することができる。
剥離性積層フィルムの最外層表面である、製膜時の空気界面(エア面)側表面及び支持体面側表面の好ましい平均算術粗さ(Ra外)は、どちらの表面においても0.05μm以下であり、より好ましくは0.03μm以下であり、特に好ましくは0.02μm以下である。
A層とB層を剥離した面の好ましい平均算術粗さ(Ra内)は0.2μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下であり、特に好ましくは0.05μm以下である。
【0129】
(フィルム表面の接触角)
本発明の剥離性積層フィルム、並びに該剥離性積層フィルムから剥離したA層及びB層については、液晶ディスプレイ部材として表面処理や貼り合せ等の加工上の観点から、フィルム表面が適度な親疎水性を有していることが好ましい。
親疎水性は、フィルム表面の接触角測定で大まかに評価出来る。接触角測定は、接触角測定機(協和界面科学株式会社製)を用いて、滑落法により、水滴の接触角を測定することで評価を行うことができる。
剥離性積層フィルムの最外層表面である、製膜時の空気界面(エア面)側表面及び支持体面側表面の好ましい接触角は、どちらの表面においても40〜100度であり、より好ましくは45〜90度であり、特に好ましくは50〜80度である。
A層とB層を剥離した面の好ましい接触角の範囲は40〜120度であり、より好ましくは45〜110度の範囲であり、特に好ましくは50〜100度である。120度より接触角が小さいと、偏光板保護フィルムとして用いる際に、偏光子との貼り合せ等の加工性が向上して、好ましい。
【0130】
(剥離帯電)
本発明の剥離性積層フィルム、並びにA層及びセB層については、防塵性の観点から、フィルム表面の帯電量が小さいことが好ましい。剥離性積層フィルム及び該剥離性積層フィルムから剥離したフィルムの表面について、常温常湿で測定した垂直剥離帯電が−200pc(ピコクーロン)/cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2であることが好ましい。より好ましくは−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、更に好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である。ここで、単位のpc(ピコクーロン)は、10-12クーロンである。更に好ましくは、常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−100pc/cm2〜+100pc/cm2であり、さらに好ましくは−50pc/cm2〜+50pc/cm2であり、最も好ましくは0pc/cm2である
垂直剥離帯電は、特許3847130号に記載の方法で測定することができる。
【0131】
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明のフィルムを含むことを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、偏光子とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。
【0132】
また偏光板の構成として、偏光子の両面に保護フィルムを配置する形態においては、一方の保護フィルム又は、位相差フィルムとして用いることもできる。
【0133】
偏光子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
【0134】
[剥離性積層体を用いた偏光板の製造方法]
剥離性積層体として、内層となる搬送用支持体としてのB層の両側に外層であるセルロースからなるA層からなる3層構成の場合、この剥離性積層体から偏光板を製造することができる。
前述の剥離方法でB層から両側のA層を同時又は逐次で剥離し、剥離後の2層で偏光子を挟持することでこの2層を保護フィルムとした偏光板を作成することができる。
図3に、偏光板の製造工程の一例を模式的に示す。図3に示すように、本発明の剥離性フィルム7の内層であるB層2と、その両側の剥離性フィルム7の表裏面の外層であるA層1および3を剥離し、剥離した表裏面の外層のA層1および3を連続的に搬送し、偏光子フィルムの送り出し部4から搬送される偏光子6を挟持して貼り合わせて、本発明の偏光板8を製造することができる。なお、剥離性フィルムのB層2は、剥離された後は、例えば剥離性フィルムのB層を剥離したフィルムの巻取り部5に巻取って回収することができる。この場合、A層を極めて薄くしても積層体として厚みがあるため、表面加工や塗布層の付与は通常の厚膜同様に扱えるため各種操作の困難性は低く、その後の偏光板製造工程までの可搬性や製造適性も余り損なうことなく、保護フィルムも薄型化された薄型偏光板を製造できるため、本発明の剥離性積層体の活用方法として好ましく適用できる事例として挙げられる。
【0135】
ここで、A層とB層を剥離する前に、剥離性積層フィルムとして鹸化処理を行った場合は、A層の最外層のみが鹸化されることになる。この際には、剥離したA層の鹸化面を偏光子と貼合するには、外側から搬送される偏光子と貼り合せるか、搬送する際に剥離したA層の(表裏)を捻って搬送して、内側から搬送される偏光子に接着してもよい。
なお、剥離後にA層に鹸化処理を行ってもよい。
また、予め剥離性積層フィルムのままA層側を偏光子に貼り合わせ、その後、偏光子と貼り合せたA層から、B層を剥離してもよい。
偏光子への保護フィルム貼り合わせ方法として、水溶性の粘着剤や接着剤を用いてもよいし、アクリル系やエポキシ系、ウレタン系などの粘着剤も用いてもよい。
【0136】
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、本発明のフィルム、又は、本発明の偏光板を用いることを特徴とする。
本発明のフィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、バックライト側の最表層に用いることが好ましい。
【0137】
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
【0138】
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードなどが知られているがいかなる動作モードの液晶表示装置に対しても好ましく用いることができる。
【実施例】
【0139】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0140】
[測定方法]
<重量平均分子量測定条件>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトラヒドロフラン
装置名:TOSOH HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H(4.6mm×15cm)を3本接続して使用した。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
流速:0.35ml/min
校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000〜1050までの7サンプルによる校正曲線を使用した。
【0141】
(密着力)
下記の90°剥離試験法で剥離性積層フィルムの密着力を測定した。
1.共流延フィルムを、粘着剤を介して、剥離性積層フィルムを上にし、ガラス板に貼り合わせる。例えば、少なくともセルロースエステルを含むA層をガラス板側に(下に)、少なくともアクリル樹脂を含むB層を上にする。
試験サンプルサイズは幅1cm×長さ15cmで、貼り合わせ部分の長さは7cmとする。
2.剥離性積層フィルムの界面で、B層を90°方向へ引っ張ることで界面剥離を進行させ、フィルム端部のみ剥離する。このときの荷重を測定し、この値を密着力とする。
【0142】
(剥離性)
剥離性が良すぎると、製膜・乾燥中にA層とB層との間で層間剥離が生じ、搬送に問題が発生するおそれがある。以下の基準にしたがって、剥離性を評価した。
【0143】
○:容易に剥離できた。
×:剥離不能または乾燥中に層間剥離の問題が生じた。
【0144】
[実施例1〜6、比較例1および2]
<ドープの作製>
下記表1の組成に従ってドープP2およびT1を作製した。
下記表1中、アクリル1としては、開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を用い、主ポリマーに対して下記構造の添加剤LA4258を5質量%添加し、けん濁重合で重合した、PMMA(重量平均分子量Mw1=150万)を用いた。
アクリル2としては、市販の三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR85、重量平均分子量35万を用いた。
セルロースエステルとしては、下記表1に記載のセルロースエステルCA−1およびCA−2を用いた。
添加剤A1としては、下記化合物を用いた。下記構造式中、Rはベンゾイル基を表し、平均置換度が5〜7のものを使用した。
【0145】
【化3】

【0146】
添加剤A2としては、下記化合物を用いた(R9のそれぞれの構造式と置換度は下記)。
【0147】
【化4】

【0148】
添加剤LA4258としては、(株)クラレのブチルアクリレート−メチルメタアクリレートのブロック共重合体を用いた。
【0149】
添加剤UV1としては、下記化合物UV1を用いた。
【化5】

【0150】
<製膜条件>
下記表1に記載のドープを用いて溶液流延製膜を行い、下記表1の構成となるように剥離性積層フィルムを作製した。具体的には、3層共流延が可能な流延ギーサーを通して、金属支持体上に、表1に記載の層構成となるように流延した。このとき、金属支持体面側から順に下側層に外層用ドープA、中間層にコア層用ドープB、上側層に外層用ドープAとなるように流延し、各層の粘度は、共流延が可能なように各ドープの組み合わせに応じて適宜、固形分濃度で調整し、均一流延が可能な状態になるように設定した。金属支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で5分間乾燥した。このとき、下側層および上側層とした外層用ドープAの乾燥膜厚をいずれも10μmとなるようにし、中間層としたコア層用ドープBの乾燥膜厚を40μmとした。ピンを外した後、更に130℃で20分間乾燥し、積層フィルムの状態で巻き取った。
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
上記表2より、本発明の製造方法で製造した本発明の剥離性積層フィルムは、剥離性が良好であり、容易に3層に分けることができた。
一方、比較例1の剥離性積層フィルムはアクリルを含まない外層用ドープAを用いて製造したものであり、乾燥中にコア層と外層の層間剥離の問題が生じることがわかった。比較例2の剥離性積層フィルムはアクリルの含有量が本発明の範囲の上限値を上回るコア層用ドープBを用い、外層用ドープAとコア層用ドープBのアクリル樹脂比率差が本発明の範囲外であるドープを用いて製造したものであり、コア層と外層は剥離不能であった。
【0154】
[実施例11〜16]
<偏光板の作製>
実施例1〜6で作成した剥離性積層フィルムを37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理した剥離性積層フィルムを作製し、上層と下層を中間層から剥離し搬送させて、偏光子(特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸して得られた厚み20μmの偏光子)と、上側層、下側層のケン化した面が前記偏光子側になるように、偏光子を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが平行となるようにロールツーロールで貼り合わせて実施例11〜16の偏光板を作成した。いずれもポリビニルアルコールとの貼合性は十分であり、優れた偏光板加工適性を有していた。また、薄膜でありながら鹸化時には、積層されているので、鹸化工程の搬送性も良好であり、偏光板加工時のつれやシワの発生などなかった。3層積層の試料では2枚同時に鹸化できるため、生産性の向上も図れた。
【0155】
[実施例21〜26]
(IPS型液晶表示装置への実装)
上記で作製した試料市販の液晶テレビ(IPSモードの42型液晶テレビ)から、液晶セルを挟んでいる偏光板を剥がし取り、実施例11〜16で作製した偏光板を、粘着剤を介して液晶セルに再貼合し、市販品の性能と表示性能を比べたところ、良好な表示性能が得られた。
【0156】
[実施例31]
(TNモードモニターへの実装実験)
(剥離性積層フィルム408の作製)
実施例1で作製した剥離性積層フィルムにおける上側層及び下側層のドープにレターデーション発現剤として下記化合物Cがセルロースアシレート100質量部当たり、2.0質量%となるように添加して、実施例1と同様に実施例31の剥離性積層フィルムを製膜した。
得られた実施例31の剥離性積層フィルムにおいて、上層側及び下側層のセルロースアシレートフィルムの部分の残留溶剤量が0.2%未満であった。
【0157】
【化6】

【0158】
実施例31の剥離性積層フィルムにおいて、上層側及び下側層のセルロースアシレートフィルムのレターデーションを測定し、Rthは81nmであった。
【0159】
(鹸化処理)
上記で作製した実施例31の剥離性積層フィルム上に下記組成の液を5.2ml/m2塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
<鹸化液組成>
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
水酸化カリウム 80質量部
【0160】
(配向膜の形成)
鹸化処理した剥離性積層フィルム408の上層側のセルロースアシレートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥して配向膜を形成した。
次に、上記セルロースアシレートフィルムの遅相軸と45°の方向に形成した配向膜にラビング処理を実施した。
【0161】
<配向膜塗布液組成>
下記構造の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
【0162】
【化7】

【0163】
(光学異方性層の形成及び光学補償フィルムの作製)
上記配向膜上に、下記ディスコティック液晶性化合物91質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を、214.2質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーコーターで5.2ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成すると共に、実施例31の積層剥離性位相差フィルムを作製した。
【0164】
【化8】

【0165】
《偏光板の作製》
この実施例31の積層剥離性位相差フィルムを実施例1と同様の条件で、鹸化直前に剥離性積層フィルムを剥離し、鹸化を行い、上層、下層フィルムの鹸化された剥離面を偏光子と貼り合わせ偏光板を作製した。
【0166】
〈視野角の評価〉
NEC製LA−1529HM型のTFT−TN液晶パネルの偏光板を剥がし、偏光板と液晶パネルの間に設置されている光学補償フィルムを剥がした。上述の方法で作製した偏光板試料を、位相差フィルム側を偏光子と液晶パネルとの間になるように、積層フィルムを剥離して、設置し添付した。この偏光板の貼付は、液晶パネルに対してバックライト側と画像観察面側の両側に実施した。
【0167】
パソコンでモニターを駆動し、白色/黒色表示時のコントラスト比をELDIM社のEz−Contrastを用いて測定し、上下左右について、コントラストが10以上を示す液晶パネルの放線方向からの角度をそれぞれ測定し、上下左右で何れも40°以上の良好な結果を得た。
【符号の説明】
【0168】
1 剥離性積層フィルムのA層
2 剥離性積層フィルムのB層
3 剥離性積層フィルムのA層
4 偏光子フィルムの送り出し部
5 剥離性積層フィルムのB層を剥離したフィルムの巻取り部
6 偏光子
7 本発明の剥離性積層フィルム
8 本発明の偏光板
11 流延設備
12 ドープ
14 流延ダイ
31 バンド
32 バックアップローラ
33 バックアップローラ
36 フィルム
37 剥ぎ取りローラ
51 温調板
52 凝縮板
53 液受け
56 回収タンク
101 流延設備
102 ドラム
105 凝縮板
PS 流延開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともセルロースエステルとアクリル樹脂と溶媒を含むA層形成用のドープAと、樹脂と溶媒を含むB層形成用のドープBとを、前記ドープA、前記ドープBおよび前記ドープAをこの順で流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層体を形成する工程と、
前記積層体を前記流延用支持体より剥離する工程と、
剥離した前記積層体を乾燥させる工程とを含み、
前記A層形成用のドープAが前記セルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、前記アクリル樹脂を80質量%以下含み、
前記B層形成用のドープB中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルとアクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、
前記B層形成用のドープB中のアクリル樹脂比率が、前記A層形成用のドープA中のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする剥離性積層フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記積層体を、長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な剥離性積層フィルムとなるように形成することを特徴とする請求項1に記載の剥離性積層フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記A層形成用のドープAの膜厚が5〜60μmとなり、剥離性積層フィルムの全体膜厚が20〜200μmとなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の剥離性積層フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記ドープAに用いるセルロースエステルは、下記式(I)〜(III)を満たすセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法。
式(I):1.0≦X+Y≦3.0
式(II):0≦X≦3.0
式(III):0≦Y≦2.6
(式(I)〜(III)において、Xは前記セルロースアシレートのグルコース単位の水酸基のアセチル基による置換度であり、Yは前記セルロースアシレートのグルコース単位の水酸基の炭素原子数が3以上のアシル基による置換度である。)
【請求項5】
前記A層形成用のドープAの前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記B層形成用のドープBの前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万〜400万であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルムをそのまま巻き取ることを特徴とする剥離性積層フィルムロールの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルムの積層体の一部の層を剥離して、該剥離した層を個別のフィルムとして巻き取ることを特徴とするフィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法で製造された剥離性積層フィルム。
【請求項10】
A層とB層とA層とをこの順で含み、
前記A層がセルロースエステルを20質量%以上100質量%未満含み、かつ、アクリル樹脂を80質量%以下含み、
前記B層中に含まれる前記樹脂の組成がセルロースエステルとアクリル樹脂の0:100〜19:81(質量比)であり、
前記B層のアクリル樹脂比率が、前記A層のアクリル樹脂比率よりも1%以上高いことを特徴とする剥離性積層フィルム。
【請求項11】
前記A層と前記B層の密着力が0.05〜0.5N/cmであることを特徴とする請求項9または10に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項12】
長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な積層体であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項13】
前記A層の膜厚が5〜60μmであり、剥離性積層フィルムの全体膜厚が20〜200μmであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項14】
前記B層を形成する樹脂のガラス転移温度が、前記B層に含まれる前記アクリル樹脂単独のガラス転移温度よりも1℃以上高いことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項15】
前記A層の前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万未満であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項16】
前記B層の前記アクリル樹脂の主成分として用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量が60万〜400万であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項17】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの製造方法を含み、
前記積層体を、長尺状で、3層であり、内層と表裏面の外層に剥離可能な剥離性積層フィルムとなるように形成し、
該剥離性積層フィルムの前記表裏面の外層をそれぞれ前記内層から剥離させる工程と、
該表裏面の外層で偏光子を挟持することを特徴とする偏光板の製造方法。
【請求項18】
前記表裏面の外層が、いずれも前記A層であることを特徴とする請求項17に記載の偏光板の製造方法。
【請求項19】
前記B層が搬送用支持体であることを特徴とする請求項17または18に記載の偏光板の製造方法。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
【請求項21】
請求項9〜16のいずれか一項に記載の剥離性積層フィルムの前記A層を、偏光子の両表面の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
【請求項22】
請求項20または21に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99875(P2013−99875A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244172(P2011−244172)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】