説明

剥離組成物

本発明は、ジカルボン酸ジエステルを含む剥離組成物に関する。この組成物は、塗料を剥離させるのに有用であり、特に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題事項は、ジカルボン酸ジエステルを含む剥離(decapante)組成物にある。この組成物は、塗料を剥離させるのに有用であり、特に有効である。
【背景技術】
【0002】
コーティングを剥離させるために、剥離組成物がしばしば用いられる。多くの組成物は、利用者に対して(例えば刺激性若しくは可燃性であるという点で)及び環境に対して(例えば揮発性溶剤を含むという点で)有毒性及び/若しくは危険性があり、且つ/又はそのように認識されている。
【0003】
環境に対する影響が少なく且つ/又は毒性及び/若しくは危険度が低く、環境に優しいとされる組成物、例えばFluxaf Green及びSyntilorの名称で販売されている製品が知られている。
【0004】
さらに、利用者及び/又は環境に対して毒性があると認識される溶剤をベースとする組成物、例えばV33、Decapex及びOxistripの名称で販売されていてラベルに比較的高い毒性及び/又は危険度が示されている製品が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環境に対する影響が少なく且つ/又は毒性及び/若しくは危険度が低く、改善された有効性を示す新規の剥離組成物に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のものを含む剥離組成物を提供することによって、この要望を満たすものである。
(a)少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の、以下のものを含む溶剤混合物:
・(a1)式(I)に相当するジカルボン酸ジエステル:
1−OOC−A−COO−R2 (I)
(ここで、
1及びR2基は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐鎖状の環状又は非環状C1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル基を表わし、
A基は直鎖状又は分岐鎖状の二価アルキレン基を表わす)、及び
・(a2)アルコール以外の少なくとも1種の共溶剤
((a2)対(a1)の重量比は5/50〜30/70の範囲とする)、
(b)少なくとも1種のノニオン性界面活性剤、
(c)随意としてのアニオン性界面活性剤、
(d)随意としての酸、
(e)随意としての活性剤、好ましくはアルコール、
(f)随意としての水、並びに
(g)随意としての増粘剤。
【0007】
本発明の好ましい実施形態に従えば、剥離組成物は、以下のものを含む:
・少なくとも50重量%、好ましくは50〜90重量%の、前記の式(I)に相当するジカルボン酸ジエステル(a1)、
・5〜45重量%の、アルコール以外の少なくとも1種の共溶剤(a2)、
・0.1〜5重量%の、少なくとも1種のノニオン性界面活性剤(b)、
・0〜15重量%の、以下のもの:
(c)アニオン性界面活性剤、
(d)酸、
(e)活性剤、
(f)水、
(g)増粘剤
の内の1種以上から選択される化合物。
【0008】
本発明はまた、基材上に存在するコーティングを剥離させるために前記組成物を使用することにも関する。本発明はまた、例えば剥離させるべきコーティングを有する基材に前記剥離組成物を塗布する工程を含む、前記組成物を用いた剥離方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
【0010】
本特許出願において量及び/又は比は、別段の記載がない限り、重量によって与えられる。
【0011】
本特許出願においてすべての上限値及び/又は下限値は、別段の記載がない限り、その値が厳密にその上限より小さいか若しくは等しいこと及び/又は厳密にその下限より大きいか若しくは等しいことを示す。用語「〜の範囲」及び「〜から〜まで」等は、それぞれの境界を含み且つ開示することもあれば、該上限を除外した厳密にそれより小さい値若しくは該下限を除外した厳密にそれより大きい値を含み且つ開示することもある。
【0012】
本特許出願において材料の量は、別段の記載がない限り、活性材料又は乾物のものと考えられる。
【0013】
(a)溶剤混合物
【0014】
本特許出願において用語「溶剤混合物」とは、前もって調製された物理的混合物(プレミックス)と、別々の供給源から出発する組合せ物との両方を意味するものとし、この混合物は組成物の調製の際に溶剤群及び他の成分群を混合することによって得られる。
【0015】
(a1)ジカルボン酸ジエステル
【0016】
本発明の別形態に従えば、ジカルボン酸ジエステルは、式(I)の異なるジカルボン酸ジエステル群の混合物の形で提供することができる。
【0017】
1及びR2基は同一であっても異なっていてもよく、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ベンジル、フェニル、n−ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、ヘキシル、n−ヘキシル、イソオクチル又は2−エチルヘキシル基から選択することができる。これらは、式R1−OH及びR2−OHのアルコールに相当し、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
本特許出願において、この式(I)のジカルボン酸のジエステルは、「ジエステル」、「特定ジエステル」又は「本発明において用いられるジエステル」と示すことができる。
【0019】
1種以上の特定ジエステルを用いることができる。本特許出願においては、少なくとも2種の特定ジエステルを存在させるということが明記されていなければ、特定ジエステルとは、式(I)に相当する単一のジエステル又は式(I)に相当するいくつかの特定ジエステルの混合物若しくは組合せ物であることができる。
【0020】
A基は二価アルキレン基である。対応する酸は式HOOC−A−COOHの化合物である。言語の濫用により、A基は対応する酸によって示されることがある。
【0021】
本発明の別形態に従えば、Aは式(CH2)r(ここで、rは2〜4の範囲の平均数である)の直鎖状二価アルキレン基である。
【0022】
好ましくは、Aは、ジエステルがアジピン酸ジエステル(r=4)とグルタル酸ジエステル(r=3)とコハク酸ジエスエル(r=2)との混合物となるように選択される。
【0023】
有利には、本発明において用いられるジエステルは、以下のものから選択される:
・アジピン酸ジメチル、
・アジピン酸ジメチル(例えばガスクロマトグラフィーにより9〜17重量%)とグルタル酸ジメチル(例えば59〜67重量%)及びコハク酸ジメチル(例えば20〜28重量%)との混合物、例えばRhodia社よりRhodiasolv(登録商標)RPDEの名称で販売されているもの、
・アジピン酸ジイソブチル、
・アジピン酸ジイソブチル(例えばガスクロマトグラフィーにより9〜17重量%)とグルタル酸ジイソブチル(例えば59〜67重量%)とコハク酸ジイソブチル(例えば20〜28重量%)との混合物、例えばRhodia社よりRhodiasolv(登録商標)DIBの名称で販売されているもの。
【0024】
本発明の他の別形態に従えば、式(I)においてA基が分岐鎖状二価C3〜C10アルキレン基であるジカルボン酸ジエステルが用いられる。本特許出願においては、このジカルボン酸ジエステルを「分岐鎖状ジエステル」と称することができる。
【0025】
本発明において用いられる分岐鎖状ジエステルにおいて、A基は特にC3、C4、C5、C6、C7、C8若しくはC9基又はそれらの混合物であることができる。C4基であるのが好ましい。
【0026】
A基は、次の基から選択するのが好ましい:
・式−CH(CH3)−CH2−CH2−のAMG基(2−メチルグルタル酸に対応)、
・式−CH(C25)−CH2−のAES基(2−エチルコハク酸に対応)、及び
・それらの混合物。
【0027】
有利には、前記分岐鎖状ジエステルは、次式に相当する2−メチルグルタル酸ジメチルである。
CH3−OOC−CH(CH3)−CH2−CH2−COO−CH3
【0028】
好ましい実施形態に従えば、前記特定ジエステルは、次の式(I')、(I'')及び随意としての(II)のジカルボン酸ジエステルを含む混合物の形で提供される:
・R1−OOC−AMG−COO−R2 (I')、
・R1−OOC−AES−COO−R2 (I'')、
・随意としてのR1−OOC−(CH2)4−COO−R2 (II)(アジピン酸ジエステル)
(ここで、
・AMGは式−CH(CH3)−CH2−CH2−の基であり、
・AESは式−CH(C25)−CH2−の基である)。
【0029】
これらの式(I')、(I'')及び(II)において、R1及びR2基は特にメチル、エチル又はイソブチル基であることができる。
【0030】
本発明の特に好ましい実施形態に従えば、前記のジエステルの混合物は、以下のものを含む:
・式(I')のジカルボン酸ジエステル(好ましくはジメチルエステル)70〜95重量%、
・式(I'')のジカルボン酸ジエステル(好ましくはジメチルエステル)5〜30重量%、及び
・式(II)のジカルボン酸ジエステル(好ましくはジメチルエステル)0〜10重量%。
【0031】
A基が分岐鎖状であるジエステルの混合物は、Rhodia社よりRhodiasolv(登録商標)IRISの名称で販売されている。かかる混合物及び適切な調製方法は、特に国際公開WO2007/101929号、WO2007/141404号、WO2008/009792号及びWO2008/062058号に記載されている。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態において、用いられるジエスエルは、直鎖状ジエステル、例えばRhodiasolv(登録商標)RPDEと、分岐鎖状ジエステル、例えばRhodiasolv(登録商標)IRISとの混合物であることができる。
【0033】
前記組成物は例えば、ジカルボン酸ジエステルを少なくとも50重量%、好ましくは50〜90重量%、より一層好ましくは60〜85重量%、特に60〜80重量%含むことができる。
【0034】
(a2)共溶剤
【0035】
共溶剤は、特に極性溶剤であることができる。共溶剤は特に、以下のものから選択される化合物であることができる。
・ジメチルスルホキシド、
・アルキレンカーボネート、好ましくはエチレンカーボネート、
・ケトン、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン又はブタノン、
・ジオキソラン、好ましくは1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
・N−アルキルピロリドン、好ましくはN−メチルピロリドン又はN−エチルピロリドン、
・エステル、好ましくはエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート、又はギ酸アルキル、例えばギ酸エチル、又は酢酸アルキル、例えば酢酸ブチル若しくは酢酸ベンジル、又はメチルレビルネート(levilunate)、
・ホスフェート又はホスホネート、好ましくはリン酸トリアルキル、例えばリン酸トリエチル、又はアルキルホスホン酸ジアルキル、例えばブチルホスホン酸ジブチル、
・エーテル、好ましくはグリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノエチルエーテル若しくはトリプロピレングリコールモノエチルエーテル、又はアニソール、及び
・それらの混合物又は組合せ物。
【0036】
有利には、共溶剤は以下のものから選択される。
・ジメチルスルホキシド、
・アルキレンカーボネート、好ましくはエチレンカーボネート、
・ケトン、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン又はブタノン、
・ジオキソラン、好ましくは1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
・エステル、好ましくはエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート、又はギ酸アルキル、例えばギ酸エチル、又は酢酸アルキル、例えば酢酸ブチル若しくは酢酸ベンジル、又はメチルレビルネート、
・ホスフェート又はホスホネート、好ましくはリン酸トリアルキル、例えばリン酸トリエチル、又はアルキルホスホン酸ジアルキル、例えばブチルホスホン酸ジブチル、
・エーテル、好ましくはグリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノエチルエーテル若しくはトリプロピレングリコールモノエチルエーテル、又はアニソール、及び
・それらの混合物又は組合せ物。
【0037】
本発明の特に好ましい実施形態に従えば、共溶剤は、次のものから選択される。
・ジメチルスルホキシド、
・アルキレンカーボネート、好ましくはエチレンカーボネート、
・ジオキソラン、好ましくは1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
・エステル、好ましくはエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
・エーテル、好ましくはグリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノエチルエーテル又はトリプロピレングリコールモノエチルエーテル、及び
・それらの混合物又は組合せ物。
【0038】
共溶剤が上に挙げた複数の類に属することも除外されないということに留意されたい。
【0039】
有利には、ジエステルとジメチルスルホキシド、エステル、エーテル又はアルキレンカーボネートとを組み合わせることができ;好ましくは、ジエステルとジメチルスルホキシド又はエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)とが組み合わされる。有利には、式(I)においてAが分岐鎖状であるジエステルとジメチルスルホキシド、エステル、グリコールエーテル又はアルキレンカーボネートとを組み合わせることができ;好ましくは分岐鎖状ジエステルとジメチルスルホキシド又はエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)とが組み合わされる。
【0040】
前記組成物は、例えば、共溶剤を5〜45重量%、好ましくは5〜30重量%含むことができる。
【0041】
1つの実施形態に従えば、前記溶剤混合物は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素タイプの溶剤、例えば炭化水素画分及び/又はパラフィン系溶剤{例えばホワイトスピリット或はExxon社のIsopar(登録商標)若しくはSolvesso(登録商標)シリーズ又はShell社のSoltrol(登録商標)シリーズの製品}を多量には含まない(5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは全くなし)。
【0042】
(b)ノニオン性界面活性剤
【0043】
1つの実施形態に従えば、前記組成物は、ポリアルコキシル化テルペン以外のノニオン性界面活性剤を含まない。有利には、このポリアルコキシル化テルペンノニオン性界面活性剤は、ポリエトキシル化され且つ/又はポリプロポキシル化されたテルペン、好ましくはポリエトキシル化され且つポリプロポキシル化されたテルペンであり、エトキシ単位及びプロポキシ単位はランダムに又はブロックとして分布される。
【0044】
ポリアルコキシル化テルペンは、次式(III)に相当することができる。
【化1】

[この式中、
Zはビシクロ[a.b.c.]ヘプテニル又はビシクロ[a.b.c.]ヘプチル基(ここで、a+b+cは5であり、aは2、3又は4であり、bは2又は1であり、cは0又は1である)であり、この基は、随意に少なくとも1個のC1〜C6アルキル基で置換されていてよく、以下に示すもの:
【化2】

【化3】

から選択されるZ主鎖又は二重結合のない対応する主鎖を含み、
Xは−CH2−C(R3)(R4)−O−又は−O−CH(R'3)−CH(R'4)−O−を表わし、ここで、R3、R4、R'3及びR'4は同一であっても異なっていてもよく、水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状C1〜C22、好ましくはC1〜C6炭化水素基を表わし;
5及びR6は同一であっても異なっていてもよく、水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状C1〜C22炭化水素基を表わし、但し、R5及びR6基の内の少なくとも1つは水素以外であり;
7は水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは(芳香族若しくは非芳香族)環状C1〜C22炭化水素基{随意に(例えばOH基で)置換されていてよい}を表わし;
n、p及びqは0以上の整数又は非整数であり、n+p+qは1より大きく、好ましくは2〜200、好ましくは5〜50である。]
【0045】
好ましくは、n、p及びqは、
・nが2〜10の範囲(境界を含む)の整数又は非整数であり;
・pが3〜20の範囲(境界を含む)の整数又は非整数であり;
・qが0〜30の範囲(境界を含む)の整数又は非整数である:
ように選択される。
【0046】
ポリアルコキシル化テルペンタイプのノニオン性界面活性剤は、例えばRhodia社よりRhodoclean(登録商標)の名称で販売されている。例えば、Rhodoclean(登録商標)MSCなる製品を用いることができる。
【0047】
ジエステルと相乗効果的に作用するポリオキシル化テルペンタイプの界面活性剤を使用することにより、剥離についての前記ジエステルの有効性を向上させることができる。
【0048】
第1のタイプの化合物は、Xが−CH2−C(R3)(R4)−O−である式(III)によって規定される。
【0049】
この化合物(以下、化合物(IIIa)とする)は、次式に相当する。
【化4】

この式中、Z、R3、R4、R5、R6、R7、n、p及びqは上に示した一般的意味を持つ。
【0050】
好ましくは、Z基は式c)〜g)の基から選択される。
【0051】
Z基はより特定的には1〜6位の炭素原子のいずれか1つを介して鎖の残部に結合し、1、5及び6位の炭素原子が好ましい。
【0052】
さらに、このZ基は、その炭素原子の少なくとも1つの上を2個のC1〜C6アルキル基、好ましくは2個のメチル基で置換されていることができる。
【0053】
より特定的には、7位の炭素がこれら2個のアルキル基、より特定的には2個のメチル基で置換される。
【0054】
従って、本発明において用いられる好ましい化合物の1つは、そのZ基が上記の式c)〜g)に示したものの1つ(より特定的には基d)及びe))に相当し且つこのZ基の7位の炭素上を2個のメチル基で置換された化合物から成る。
【0055】
特に好ましくは、Z基は、式d)又はe)に相当するものであって、5位又は1位の炭素を介して鎖の残部に結合し、且つ7位の炭素上に2個のメチル基を有するものに相当する。
【0056】
好ましくは、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、水素又はメチル基を表わす。好ましくはR3及びR4は水素原子を表わす。
【0057】
上に示したように、R5及びR6基は同一であっても異なっていてもよく、水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状C1〜C22炭化水素基を表わし、但し、R5及びR6基の内の少なくとも1つは水素以外である。
【0058】
より特定的には、これらの基は、水素又はC1〜C6アルキル基、好ましくはメチル基若しくはエチル基であり、但し、これら2つの基の内の少なくとも1つは水素以外である。好ましくは、これらの基の内の一方が水素を表わし且つもう一方がメチル基を表わす。
【0059】
7は水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは(芳香族若しくは非芳香族)環状C1〜C22炭化水素基{随意に(例えばOH基で)置換されていてよい}を表わす。
【0060】
7が炭化水素基である場合、この炭化水素基はより特定的には、C1〜C6アルキル基又はアルキルフェニル基{随意に(例えば塩素のような)ハロゲンで置換されたもの}である。
【0061】
好ましくは、R7は水素原子である。
【0062】
本発明の特定的な実施形態に従えば、nの値は3である。
【0063】
さらに、pの値はより特定的には6.2〜7の範囲(境界を含む)である。好ましくはpは6.3〜7の範囲(境界を含む)である。
【0064】
本発明の別の特定的な実施形態に従えば、nは4〜5の範囲(境界を含む)である。
【0065】
さらに、pの値は、好ましくは7(境界を含む)〜10(境界を含む)の範囲、より一層好ましくは8(境界を含む)〜10(境界を含む)の範囲である。
【0066】
好ましくは、qは0である。0以外である場合、qは5〜25の範囲(境界を含む)であるのが好ましい。
【0067】
第2のタイプの化合物は、Xが−O−CH(R'3)−CH(R'4)−O−を表わす式(III)によって規定される。
【0068】
この化合物(以下、化合物(IIIb)とする)は、次式に相当する。
【化5】

この式中、Z、R'3、R'4、R5、R6、R7、n、p及びqは上に示した一般的意味を持つ。
【0069】
本発明の好ましい実施形態に従えば、Z基は、基c)において二重結合を含まない二環式化合物に相当する。
【0070】
ここでも再び、Z基はより特定的には1〜6位の炭素原子のいずれか1つを介して鎖の残部に結合する。より特定的には、1、3、4及び6位の炭素原子が選択される。
【0071】
さらに、このZ基は、その炭素原子の少なくとも1つの上を2個のC1〜C6アルキル基、好ましくは2個のメチル基で置換されていることができる。
【0072】
より特定的には、7位の炭素がこれら2個のアルキル基、より特定的には2個のメチル基で置換される。
【0073】
さらに、このZ基は、2位及び5位の炭素原子の内の1つの上にC1〜C6アルキル置換基、好ましくはメチル基を有する。
【0074】
より特定的には、そして上記のように、R'3及びR'4基は同一であっても異なっていてもよく、水素又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状C1〜C22炭化水素基を表わし、但し、それら2つの内の1つは水素以外である。
【0075】
本発明の特定的な実施形態に従えば、これらの基は、水素又はC1〜C6アルキル基、好ましくはメチル基を表わす。
【0076】
5、R6及びR7基について述べたこと、並びにn、p及びqについて述べたこと、さらにはこれらの意味に関する好ましい別形態に関して述べたことは依然として有効であり、ここで改めて繰り返すことはしない。
【0077】
1つの実施形態に従えば、前記組成物は、ポリアルコキシル化テルペン及び随意としての随意にポリアルコキシル化されたリン酸エステル以外の界面活性剤を含まない。特定的な実施形態に従えば、本発明に従う組成物は、ポリエトキシル化され且つ/又はポリプロポキシル化された脂肪アルコールのようなポリアルコキシル化脂肪アルコールを含まない。特定的な実施形態に従えば、本発明に従う組成物は、ポリエトキシル化され且つ/又はポリプロポキシル化されたノニル−又はオクチルフェノールのようなポリアルコキシル化アルキルフェノール(場合によりエチル又はメチル単位を末端基とするもの)を含まない。
【0078】
本発明の別の実施形態に従えば、前記ノニオン性界面活性剤は、ソルビタンエステル、アルコキシル化ヒマシ油、好ましくはエトキシル化ヒマシ油(例えばAlkalmus(登録商標)696Dの名称で販売されているもの)、アルコキシル化脂肪アミン、好ましくはエトキシル化脂肪アミン(例えばRhodameen(登録商標)PN 430の名称で販売されているもの)、アルコキシル化トリスチリルフェノール、好ましくはエトキシル化トリスチリルフェノール(例えばSoprophor(登録商標)CY8の名称で販売されているもの)、又はそれらの混合物から選択することができる。
【0079】
前記組成物は、例えば、ノニオン性界面活性剤を0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%含むことができる。
【0080】
(c)アニオン性界面活性剤
【0081】
前記組成物は、アニオン性界面活性剤を随意に含むことができる。これは特にサルフェート、スルホネート、スクシネート、カルボキシレート、ホスフェート又はホスホネートタイプの界面活性剤であることができる。かかる界面活性剤は特に、被処理金属基材の腐食を防止することができ(特にホスフェート及びホスホネート)、且つ/又は有効性を向上させるのに寄与することができる。前記組成物は例えば、アニオン性界面活性剤を0.5〜5%含むことができる。
【0082】
特に、随意にポリアルコキシル化されたリン酸エステル(塩形成された形又は塩形成されていない形のもの)を用いることができる。用いることができるリン酸エステルは、特に次式を有するものである:
【化6】

ここで、
・Mはプロトン、カチオン又はそれらの混合物、例えばH+、K+又はNa+から選択され、
・x'及びx''は1又は2であり、但しx'とx''との合計は3であり、
・yは平均値であり、0〜100の範囲、好ましくは1〜15の範囲であり、
・R''基は同一であっても異なっていてもよく、1〜35個の炭素原子を有する炭化水素基を表わし、
・A''基は同一であっても異なっていてもよく、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を表わす。
【0083】
R''基は同一であっても異なっていてもよく、C1〜C35、好ましくはC5〜C20のアルキル、アルキルアリール、ポリアルキルアリール又は(ポリアリールアルキル)アリール基を表わす(これらアルキル基は飽和又は不飽和であることができ、直鎖状又は分岐鎖状であることができる)。ポリアルコキシル化化合物については、これらはポリエトキシル化化合物であることができる。アルコキシル化度は特に0〜100の範囲、好ましくは1〜15の範囲であることができる。
【0084】
より特定的には、R''基は、8〜26個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル又は1個以上のエチレン性不飽和を有するアルケニル基である。かかる基の例としては、特にステアリル、オレイル、リノレイル及びリノレニル基を挙げることができる。さらに、R''基は同一であっても異なっていてもよく、アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール置換基を有する芳香族基であることができ、これらの基は6〜30個の炭素原子を有する。かかる基の例としては、他にもあるが特にノニルフェニル並びにモノ−、ジ−及びトリスチリルフェニル基を挙げることができる。
【0085】
より特定的には、(O−A'')基は同一であっても異なっていてもよく、オキシエチレン、オキシプロピレン若しくはオキシブチレン基又はそれらの混合物に相当する。好ましくは、この基はオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基に相当する。
【0086】
有用なリン酸エステルタイプの界面活性剤は、特にRhodia社よりLubrhophos(登録商標)及びRhodafac(登録商標)の名称で販売されている。特にRhodafac(登録商標)RA600製品が挙げられる。
【0087】
(d)酸
【0088】
前記組成物は特に酸を含むことができる。特定の理論に縛られるのは望まないが、かかる化合物は特に剥離させるべきコーティングのポリマー鎖を壊す手助けをすることができるものと思われる。この酸は、有機酸であるのが好ましい。かかる化合物は、有害性及び/若しくは安全性の理由並びに/又はジエステルの安定性(耐加水分解性)の理由で、特に好ましい。前記組成物は特に酸を1〜5重量%含むことができる。酸の性状に関して述べた理由と同じ理由で、ほどほどの量で酸を用いるのが好ましい。
【0089】
用いることができる酸としては、特に脂肪族カルボン酸、例えばギ酸又は酢酸又はシュウ酸又は乳酸が挙げられる。
【0090】
(e)活性剤
【0091】
活性剤は、剥離させるべきコーティングのポリマー鎖を開くことができる一般的に小さい寸法の分子である。すべての既知の活性剤及び/又は通常用いられる活性剤を用いることができる。この活性剤は特にアルコールであることができる。特に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールが挙げられる。前記組成物は、活性剤、好ましくはアルコールを0.1〜5%含むことができる。
【0092】
(f)水
【0093】
水の存在は意図的なものであることができる:水は剥離の活性化に寄与することができる。水の存在はまた、組成物の成分の不純物若しくは副生成物として又は成分を希釈するための媒体として、強制的なものでもあり得る。前記組成物は、好ましくは水を最大10重量%、より一層好ましくは最大5重量%含む。水を含む場合、水の量は例えば0.1重量%以上であることができる。
【0094】
(g)増粘剤
【0095】
前記組成物の粘度は、増粘剤を用いて調整することができる。望まれる粘度は、適用方法に依存する(適用方法は組成物の粘度に依存し得る)。指標として、増粘剤を用いる場合、この増粘剤は、0.1〜5重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0096】
既知のすべての増粘剤及び/又は通常用いられるすべての増粘剤を用いることができる。これらは、例えばセルロース誘導体(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、キサンタンガム若しくはその誘導体、グアーガム若しくはその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム若しくはその誘導体、アルギネート若しくはその誘導体、ポリアクリレート又は澱粉若しくはその誘導体であることができる。特にセルロースエーテル、例えばDow社よりMethocel(商品名)311 の名称で販売されている製品を用いることができる。
【0097】
特別な特徴
【0098】
本発明の好ましい実施形態に従えば、前記剥離組成物は、以下のものを含む:
・前記の式(I)に相当するジカルボン酸ジエステル(a1)60〜85重量%、
・アルコール以外の少なくとも1種の共溶剤 (a2)5〜30重量%、
・少なくとも1種のノニオン性界面活性剤(b)0.1〜5重量%、
・以下のもの:
(c)アニオン性界面活性剤、
(d)酸、
(e)活性剤、
(f)水、
(g)増粘剤
の内の1種以上から選択される化合物0〜10重量%。
【0099】
特に有用な及び/又は効果的な実施形態に従えば、前記剥離組成物は、以下のものを含む:
(a1)ジカルボン酸ジエステル60〜80重量% 、
(a2)ジメチルスルホキシド、グリコールエーテル、エステル及びアルキレンカーボネート(好ましくはジメチルスルホキシド又はエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP))から選択される共溶剤5〜30重量%、
(b)ポリアルコキシル化テルペン界面活性剤0.1〜2重量%、
(c)ポリアルコキシル化リン酸エステル界面活性剤(塩形成された形又は塩形成されていない形のもの)0.5〜5重量%、
(d)酸、好ましくは有機酸、例えばギ酸又は酢酸又はシュウ酸又は乳酸1〜5重量%、
(e)メタノール0.1〜5重量%、
(f)水0〜10重量%。
【0100】
組成物の調製方法
【0101】
前記組成物は、様々な成分を混合することを伴う任意の好適な方法によって、調製することができる。特定的な実施形態に従えば、数種の成分のプレミックスを用いることができる。プレミックスは特に、商品として入手できる製品であることができる。特に、組成物又はブレンド中に導入するための使用準備のできたプレミックスであって、ジエステルと共溶剤とのプレミックス、ジエステルとノニオン性界面活性剤(特にポリアルコキシル化テルペン)とのプレミックス、又はジエステルと共溶剤とノニオン性界面活性剤(特にポリアルコキシル化テルペン)とのプレミックスを用いることができる。
【0102】
剥離組成物の利用
【0103】
前記剥離組成物は、基材上に存在するコーティングを剥離させるために、伝統的に用 いることができる。
【0104】
このコーティングは、典型的には水性溶剤又は非水性溶剤(即ち有機溶剤)中の塗料、好ましくはアクリル、アルキド、グリセロ、エポキシ、ポリウレタン又はポリエステル塗料である。このコーティングは、ワニス又はラッカーであることができる。
【0105】
基材は特に、金属、木材、セラミック又はプラスチック(樹脂や複合材料、熱可塑性物質であることができる)から作られた基材であることができる。基材の材料とは、剥離させるべきコーティングが存在する表面の材料に相当する。基材が多層構造である場合には、剥離させるべきコーティングに接触する層を基材の材料と考える。
【0106】
基材は特に、建築物表面(例えば壁、天井若しくは床)、製造物品若しくは部材、家具、フェンス、鉄格子、シャッター(鎧戸)、扉、列車やトラック、自動車、飛行機等の乗物の車体、又は船体であることができる。基材(及びコーティング)は、屋内又は屋外にあることが予定されるものであることができ、従って悪天候や汚染、太陽光線に曝されることが予定されるものであることができる。
【0107】
剥離組成物の使用に当たっては、典型的には、コーティングされた基材に組成物を接触させることによって操作を実施する。接触操作は、任意の慣用の手段、特に浸漬、吹付又は層としての塗布(例えばブラシやローラーを用いることによる)によって、実施することができる。適切な作用時間(これは塗布方法や塗布量、コーティングの性状及び/又はその厚さに依存し得る)の後に、剥離したコーティングを取り除くことができる。特に、機械的作用及び/又は例えば水によるすすぎによって操作することができる。すすぎは典型的には洗剤を用いないすすぎである。機械的作用は例えば、噴射作用によって、又はスパチュラタイプの物品若しくは道具によって、実施することができる。前記組成物は、剥離の後に回収することができ、且つ/又は、適宜に濾過及び/若しくは精製操作の後に、再使用することができる。かくして、前記組成物は少なくとも一部リサイクルすることができる。剥離は、基材製造業者(工業製品の製造業者及び販売業者)によって、基材の持ち主若しくは使用者(例えば消費者)によって、又は剥離業務の作業者によって、実施することができる。剥離業務は、現場で作業することもでき、また、剥離させるべき基材を輸送した後に処理センターで作業することもできる。
【実施例】
【0108】
本発明のその他の詳細や利点は、以下の実施例に照らして明らかになるだろう。
【0109】
実施例において、記号Cは比較例を示す。
【0110】
例1−剥離組成物
【0111】
混合によって以下の組成物を製造する(量は活性物質の重量で示す)。
【表1】

s.q.f=残余量
【0112】
例2−金属基材上での剥離試験
【0113】
次の塗料(溶剤相中のアルキドタイプ):Tollens銘柄のBlanc brillant(光沢白色):でコーティングされた試験片に対して、様々な剥離組成物を用いて、剥離試験を実施する。
【0114】
鉄鋼試験片(14cm×2.5cmの寸法、Q-Panel社製)にフィルムドロワー装置を用いて塗料を塗布して、厚さ80μmの均一塗料フィルムを形成させる。
【0115】
アクリル塗料用の寸法番号20のブラシを用いて塗料の表面に有意の量の剥離組成物を塗布する。剥離組成物を塗布し終えたら、ストップウォッチを始動させる。塗料の90%が金属基材から完全に引き離される時間を剥離時間とする。この時間は、剥離組成物の有効性を特徴付ける:この時間が短ければ短いほど、剥離組成物がより一層効果的ということになる。
【0116】
結果を下記の表に示す。
【表2】

1)商品として入手できる剥離組成物、Vliegenthart
【表3】

2)商品として入手できる剥離組成物、Syntilor-Blanchon
3)商品として入手できる剥離組成物、V33シリーズ
4)商品として入手できる剥離組成物、Dyrup
5)商品として入手できる剥離組成物、Scheidel
【0117】
上の結果は、本発明の剥離組成物1.1は比較例2.5C及び2.6Cの環境に優しいとされる組成物より効果的であり、比較例2.7C〜2.9Cの攻撃性がある組成物と同じぐらい効果的であるということを示している。
【0118】
また、本発明の組成物1.3も比較例2.5C及び2.6Cの組成物と同程度に効果的であるということもわかる。
【0119】
加えて、上記の試験から、Rhodiasolv(登録商標)IRISはRhodiasolv(登録商標)RPDEより好ましく、共溶剤としてはDMSOの方がエチレンカーボネートより好ましいことがわかる。
【0120】
例3−剥離組成物
【0121】
混合によって以下の組成物を製造する(量は活性物質の重量で示す)。
【表4】

【0122】
例4−金属基材上での剥離試験
【0123】
次の塗料(溶剤相中のアルキドタイプ):Tollens銘柄のBlanc brillant(光沢白色):でコーティングされた試験片に対して、様々な剥離組成物3.1〜3.4を用いて、剥離試験を実施する。
【0124】
鉄鋼試験片(14cm×2.5cmの寸法、Q-Panel社製)にフィルムドロワー装置を用いて塗料を塗布して、厚さ80μmの均一塗料フィルムを形成させる。
【0125】
アクリル塗料用の寸法番号20のブラシを用いて塗料の表面に有意の量の剥離組成物を塗布する。剥離組成物を塗布し終えたら、ストップウォッチを始動させる。組成物が塗料の90%を金属基材から剥離させることができた順番を見る。この格付けは、剥離組成物の有効性を特徴付ける:最初の組成物が最も効果的ということになる。
【0126】
結果を下記の表に示す。
【表5】

【0127】
組成物3.1〜3.4はすべて良好な剥離特性を示し、ノニオン性界面活性剤 Rhodoclean(登録商標)MSCは剥離速度の点で最も効果的だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む剥離組成物:
(a)次の(a1)及び(a2)を含む溶剤混合物少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%:
・(a1)式(I)に相当するジカルボン酸ジエステル:
1−OOC−A−COO−R2 (I)
(ここで、
1及びR2基は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐鎖状の環状又は非環状C1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル基を表わし、
A基は直鎖状又は分岐鎖状の二価アルキレン基を表わす)、及び
・(a2)アルコール以外の少なくとも1種の共溶剤
((a2)対(a1)の重量比は5/50〜30/70の範囲とする)、
(b)少なくとも1種のノニオン性界面活性剤、
(c)随意としてのアニオン性界面活性剤、
(d)随意としての酸、
(e)随意としての活性剤、好ましくはアルコール、
(f)随意としての水、並びに
(g)随意としての増粘剤。
【請求項2】
以下のもの:
・次式(I):
1−OOC−A−COO−R2 (I)
(ここで、
1及びR2基は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐鎖状の環状又は非環状C1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキル基を表わし、
A基は直鎖状又は分岐鎖状の二価アルキレン基を表わす)
に相当するジカルボン酸ジエステル(a1)少なくとも50重量%、好ましくは50〜90重量%、及び
・アルコール以外の少なくとも1種の共溶剤(a2)5〜45重量%、
・少なくとも1種のノニオン性界面活性剤(b)0.1〜5重量%、
・次の(c)〜(g):
(c)アニオン性界面活性剤、
(d)酸、
(e)活性剤、
(f)水、
(g)増粘剤
の内の1種以上から選択される化合物0〜15重量%:
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の剥離組成物。
【請求項3】
Aが式−CH(CH3)−CH2−CH2−のAMG基、式−CH(C25)−CH2−のAES基、−(CH2)4−基及びそれらの混合物より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
1及びR2がメチル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記ジカルボン酸ジエステルを60〜85重量%、好ましくは60〜80重量%含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記共溶剤が
・ジメチルスルホキシド、
・アルキレンカーボネート、好ましくはエチレンカーボネート、
・ケトン、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン又はブタノン、
・ジオキソラン、好ましくは1,3−ジオキソラン又は4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、
・N−アルキルピロリドン、好ましくはN−メチルピロリドン又はN−エチルピロリドン、
・エステル、好ましくはエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート、又はギ酸アルキル、例えばギ酸エチル、又は酢酸アルキル、例えば酢酸ブチル若しくは酢酸ベンジル、又はメチルレビルネート、
・ホスフェート又はホスホネート、好ましくはリン酸トリアルキル、例えばリン酸トリエチル、又はアルキルホスホン酸ジアルキル、例えばブチルホスホン酸ジブチル、
・エーテル、好ましくはグリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノエチルエーテル若しくはトリプロピレングリコールモノエチルエーテル、又はアニソール、及び
・それらの混合物又は組合せ物
から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
共溶剤を5〜30重量%含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ノニオン性界面活性剤がポリアルコキシル化テルペンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記ノニオン性界面活性剤がソルビタンエステル、アルコキシル化ヒマシ油、好ましくはエトキシル化ヒマシ油、アルコキシル化脂肪アミン、好ましくはエトキシル化脂肪アミン、アルコキシル化トリスチリルフェノール、好ましくはエトキシル化トリスチリルフェノール、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が随意にポリアルコキシル化されたリン酸エステル(塩形成された形又は塩形成されていない形のもの)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記ノニオン性界面活性剤を0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
アニオン性界面活性剤を0.5〜5重量%含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記酸が有機酸、好ましくはギ酸又は酢酸又はシュウ酸又は乳酸であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
酸を1〜5重量%含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記アルコールがメタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
アルコールを0.1〜5重量%含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
水を最大10重量%、好ましくは最大5重量%含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
以下のもの:
(a1)ジカルボン酸ジエステル60〜80重量% 、
(a2)ジメチルスルホキシド、グリコールエーテル、エステル及びアルキレンカーボネート(好ましくはジメチルスルホキシド又はエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP))から選択される共溶剤5〜30重量%、
(b)ポリアルコキシル化テルペン界面活性剤0.1〜2重量%、
(c)ポリアルコキシル化リン酸エステル界面活性剤(塩形成された形又は塩形成されていない形のもの)0.5〜5重量%、
(d)酸、好ましくは有機酸、例えばギ酸又は酢酸又はシュウ酸又は乳酸1〜5重量%、
(e)メタノール0.1〜5重量%、
(f)水0〜10重量%
を含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
基材上に存在するコーティングを剥離させるための請求項1〜18のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項20】
前記コーティングが水性又は非水性溶剤中の塗料、好ましくはアクリル、アルキド、グリセロ、エポキシ、ポリウレタン又はポリエステル塗料であることを特徴とする、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2012−515826(P2012−515826A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546791(P2011−546791)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050696
【国際公開番号】WO2010/084159
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】