説明

副生成物の少ないメチルグリシン−N,N−二酢酸−三アルカリ金属塩の製造方法

本発明は、以下の順序での工程(a)〜(f):(a)30℃以下の温度でメチルグリシンジアセトントリル(MGDN)と水性の苛性アルカリ液とを混合する工程、(b)水性の苛性アルカリMGDN懸濁液を、10〜30℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させ、その際に溶液が形成される工程、(c)工程(b)からの溶液を30〜40℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させる工程、(d)場合により工程(c)からの溶液を50〜80℃の範囲の温度で0.5〜2時間反応させる工程、(e)場合により工程(c)もしくは(d)からの溶液を110〜200℃の範囲の温度で5〜60分反応させる工程、(f)工程(c)、(d)もしくは(e)で得られた溶液を加水分解し、かつ90〜105℃でストリッピングすることにより該溶液からアンモニアを分離する工程、によりMGDNをアルカリ性加水分解することにより、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−三アルカリ金属塩を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルグリシン−N,N−ジアセトニトリルのアルカリ性加水分解により、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−三アルカリ金属塩を製造する方法に関する。
【0002】
例えば清浄剤中でしばしば錯化剤として使用されるアミノポリホスホネート(EDTA)は、低い度合いで生分解性であるにすぎない。グリシン−N,N−二酢酸誘導体、例えばメチルグリシン−N,N−二酢酸(MGDA)は、高価な代替物であり、これは非毒性であり、かつ生分解性が良好である。MGDAの使用および清浄剤中で使用されるグリシン−N,N−二酢酸誘導体ならびにこれらの合成はWO−A94/29421およびUS5,849,950に記載されている。グリシン−N,N−二酢酸誘導体の安価な製造のためには、個々の合成工程の収率と、単離された中間生成物の純度に対して高い要求が課されている。
【0003】
MGDAは、イミノジアセトニトリルとアセトアルデヒドおよび青酸との、またはα−アラニンニトリルとホルムアルデヒドおよび青酸との反応および中間生成物として得られたメチルグリシンジアセトントリル(MGDN)の、水酸化ナトリウム溶液によるアルカリ性加水分解により製造され、その際、MGDAの三ナトリウム塩が得られる。高いMGDA収率および純度を達成するために、MGDNを中間生成物として単離し、かつ純粋な物質としてその後の加水分解工程で使用する。
【0004】
アルキルグリシンニトリル−N,N−ジアセトニトリルを加水分解する際の問題は、その熱的な、特にアルカリ性の環境中での不安定性である。立体的に要求の高いアルキル置換により逆分解反応が促進される。MGDNの場合、第一の分解生成物は特にシアン化物、アセトアルデヒド、イミノジアセトニトリル(IDN)およびホルムアルデヒドである。アルカリ性条件下で加水分解またはその他の副反応によりさらに、とりわけさらに次の副生成物が(ナトリウム塩またはカリウム塩として)生じる。副生成物とはつまり、イミノ二酢酸塩(IDA)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、グリシン酸塩またはアラニン酸塩である。シアン化物は急性毒性である。NTAは腎毒性であると記載されている。シアン化物およびアセトアルデヒドは重合する傾向があり、かつ着色した副生成物を形成しうる。アセトアルデヒドはさらに、揮発性成分として、アルカリ性加水分解のカップリング生成物であるアンモニアの蒸留液を汚染する。
【0005】
US5,849,950は、α−アラニンニトリルとホルムアルデヒドおよび青酸との反応および中間生成物として得られたメチルグリシンジアセトントリル(MGDN)の、水酸化ナトリウム溶液によるアルカリ性加水分解によりメチルグリシン二酢酸を製造することを開示している。加水分解のために、結晶質のMGDNを40℃で20質量%の水酸化ナトリウム水溶液に導入し、40℃で3時間攪拌し、かつ引き続き95℃でさらに5時間攪拌する。加水分解の際に、副生成物、例えばNTAが顕著な量で形成される。
【0006】
本発明の課題は、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸塩の製造方法を提供することである。
【0007】
上記課題は、メチルグリシンジアセトントリル(MGDN)をアルカリ性加水分解することにより、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−トリアルカリ金属塩を製造する方法であって、以下の順序での工程(a)〜(f):
(a)30℃以下の温度でメチルグリシンジアセトントリル(MGDN)と水性の苛性アルカリ液とを混合する工程、
(b)水性の苛性アルカリMGDN懸濁液を、10〜30℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させ、その際に溶液が形成される工程、
(c)工程(b)からの溶液を30〜40℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させる工程、
(d)場合により工程(c)からの溶液を50〜80℃の範囲の温度で0.5〜2時間反応させる工程、
(e)場合により工程(c)もしくは(d)からの溶液を110〜200℃の範囲の温度で5〜60分反応させる工程、
(f)工程(c)、(d)もしくは(e)で得られた溶液を加水分解し、かつ90〜105℃でストリッピングすることにより該溶液からアンモニアを分離する工程
を有する、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−トリアルカリ金属塩を製造する方法により解決される。
【0008】
工程(a)では、メチルグリシンジアセトントリル(MGDN)を水性の苛性アルカリ液と30℃以下の混合温度で混合する。一般に混合温度は10〜30℃、有利には20〜25℃である。MGDNは、固体として、有利には粉末として、湿った原料として、または水性懸濁液として使用することができる。水性の苛性アルカリ液は、適切な混合容器(例えば攪拌反応器)中に装入し、かつMGDNを固体もしくは水性懸濁液として計量供給する。アルカリ液およびMGDNは、並行して混合容器または管型反応器に供給することもできる。水性アルカリ液として、一般に5〜50質量%、有利には20〜50質量%のアルカリ金属水酸化物含有率を有する水性NaOH(苛性ソーダ液)または水性KOH(苛性カリ液)が考えられる。有利であるのは苛性ソーダ液である。MGDN:苛性アルカリ液のモル比は、一般に1:3.0〜3.5であり、有利には1:3.05〜3.1である。
【0009】
引き続き水性のアルカリMGDN溶液を工程(b)および(c)で反応させ、その際、2つの異なった温度段階を経る。まず、水性のアルカリMGDN溶液を第一の工程(b)で、20〜30℃、有利には25〜30℃の範囲の温度で0.1〜10時間、有利には1〜5時間、特に有利には2〜3時間反応させ、かつ引き続き第二の工程(c)で30〜40℃、有利には35〜40℃の範囲の温度で、0.1〜10時間、有利には1〜5時間、特に有利には3〜4時間反応させる。
【0010】
任意の工程(d)では、工程(c)で得られた溶液を、さらに50〜80℃、有利には70〜80℃の範囲の温度で、0.5〜2時間、有利には1〜2時間、反応させる。
【0011】
工程(c)もしくは(d)の後に、いわゆる加圧鹸化が工程(e)として続く。この場合、得られた溶液を110〜200℃、有利には140〜180℃の範囲の温度で、5〜60分鹸化する。その際に溶液は温度に相応する(「自発的な」)圧力下にある。
【0012】
引き続き工程(f)で、得られた溶液から90〜105℃、有利には95〜105℃でのストリッピングによりアンモニアを分離する。その際、溶液中に含有されている加水分解可能な成分の残りの加水分解も、アンモニアの形成下に行われる。例えば700〜960ミリバールへの圧力低下により、溶液はほぼアンモニア不含になるようストリッピングされる。有利にはさらに、空気をストリップガスとして使用する。
【0013】
工程(f)で得られた溶液を、引き続きほぼ、ないし完全に脱色するために、さらに過酸化水素および/または活性炭を「漂白剤」として用いて漂白工程に供することができる。
【0014】
本発明によるMGDNの加水分解は、不連続的に、半連続的に、または連続的に実施することができる。加水分解は、例えば攪拌反応器中で不連続的または半連続的に実施され、例えば攪拌反応器および/または管型反応器および/または羽根型反応器中で連続的に実施される。
【0015】
本発明により得られる工業用MGDA−三ナトリウム塩は、固体に対して一般に<5質量%の副生成物含有率を有する。NTA−三ナトリウム塩の含有率は一般に<0.3質量%である。
【0016】
MGDNを含有する水性の粗生成物混合物は、
1.イミノジアセトニトリル(IDN)と、HCNおよびアセトアルデヒドとを水溶液中で反応させる。イミノジアセトニトリルは、前貯蔵された段階で、ウロトロピンと青酸とから、またはホルムアルデヒドシアンヒドリンとアンモニアとから、水性エマルションとして得られる、
2.アラニンニトリルとHCNおよびホルムアルデヒドとを水溶液中で反応させる。アラニンニトリルは、前貯蔵された段階で、アセトアルデヒド、HCNおよびアンモニアまたはアセトアルデヒドシアンヒドリンおよびアンモニアとから得られる、
ことにより得ることができる。
【0017】
有利にはMGDNを含有する水性の粗生成物混合物は以下のとおりに得られる:
1a.イミノジアセトニトリル(IDN)は、インサイチューでアンモニアとホルムアルデヒドとから製造することができるウロトロピンと、青酸とを、5.5〜6.3のpH値および20〜90℃の範囲の温度で反応させることにより得られる。アンモニア:ホルムアルデヒド:青酸のモル比は、一般に1:1.5:1.5〜1.9であり、得られた水性エマルション中のIDN濃度は一般に15〜40質量%である。引き続き水性のIDNエマルションのpH値を鉱酸で2〜1.0に調整する。次いで酸性にしたIDNエマルションをアセトアルデヒドおよび青酸と反応させてMGDNが得られる。IDN:アセトアルデヒド:HCNのモル比は一般に1:1〜1.2:1〜1.2であり、反応の際の温度は一般に40〜90℃である。得られた水性エマルションのMGDN濃度は一般に20〜50質量%である。
【0018】
IDNは、ホルムアルデヒドシアンヒドリンとアンモニアとの反応によっても製造することができる。代替的に原料として結晶質のIDNから出発することができ、これは水中に懸濁させる。
【0019】
2a.α−アラニンニトリル(AN)は、過剰のアンモニアとアセトアルデヒドおよびHCNとの反応により、またはアセトアルデヒドシアンヒドリンと過剰のアンモニアとの反応により製造し、その際、アンモニアを水溶液として、気体状で、または液状で使用することができる。反応は加圧下で実施することができる。過剰のアンモニアを有利には真空下で留去する。粗ANをホルムアルデヒドおよび青酸と反応させてMGDNが得られる。このために水性AN溶液のpH値を鉱酸で2〜1.0に調整する。AN:ホルムアルデヒド:HCNのモル比は一般に1:1.0〜1.2:1.0〜1.2であり、反応の際の温度は一般に40〜90℃である。
【0020】
得られた水性エマルションのMGDN濃度は一般に20〜50質量%である。ここからMGDNを結晶化により分離することができる。有利には水性エマルションをここで結晶化を実施する前に、水により15〜40質量%のMGDN含有率になるよう希釈する。
【0021】
得られた水性のMGDN含有粗製混合物もまた本発明によりアルカ性加水分解することができる。この場合にも、MGDNのアルカリ性加水分解によりわずかな副生成物が形成される。この変法はしかし、MGDN粗製混合物の著しい副生成物含有率に基づいてあまり有利ではない。従って有利にはMGDNをまず結晶化により、および固−液分離により粗製混合物から分離する。
【0022】
結晶化の有利な実施態様では、一般に飽和MGDN水溶液中のMGDNのエマルションとして存在するMGDN含有粗製生成物混合物を、ごくゆっくりと、つまり時間的な平均で低い冷却速度で(K/hにより記載)凝固温度以下に冷却する。実質的に乳化したMGDNの全量が凝固したら初めて、有利には比較的高い冷却速度で冷却する。その際に水溶液から晶出する、溶解していたMGDNは、すでに凝固した結晶質のMGDNとして現れ、このことにより結晶種の新たな形成は低減されるか、またはほぼ完全に抑制される。従って微細な割合は、明らかにより少ないか、または実質的に全く形成されない。結晶化工程の間、水を蒸発させ、その際、この蒸発工程は、混合物の冷却および/または濃縮に付随してもよい。蒸発により水性混合物の気液空間の界面に接して過飽和の帯域が生じる。この過飽和帯域で結晶が形成され、該結晶は引き続き液体の内部に輸送され、かつここでさらに成長する。緩慢な蒸発に基づいて過飽和の極めて狭い帯域においてのみ実質的に液体表面の下側で新たな結晶が形成され、かつこれらのみが液体の内部でさらに成長することができるので、総じてそれほど大きな結晶は形成されない。この結晶にわずかな母液が付着しており、特に母液は微細な結晶の凝集体中に「封入」され得ないか、もしくは付着している母液を、例えば簡単な濾過または遠心分離により容易に分離することができる。このことにより精製コストが著しく低減される。これらの「真空冷却結晶化」によって、結晶化装置の壁のスケール形成もまた有効に回避される。
【0023】
水性のMGDN含有混合物は、水の蒸発により冷却することができ、その際、混合物のMGDN濃度は実質的に一定に維持される。この変法は「真空冷却結晶化」ともよばれ、完全に返送することによって実施される。この水性混合物は水の蒸発により濃縮することができ、その際、混合物の温度は実質的に一定に維持される。この変法は「等温蒸発結晶化」ともよばれうる。両方の工程、つまり冷却も水性混合物の濃縮も、あるいはまた同時に、もしくは順次に行うことができる。
【0024】
水性混合物の特定の温度で、一般に約30℃より低い温度で、その際の低い水蒸気圧に基づいて熱はもはや蒸発冷却のみにより除去されず、結晶化装置の容器壁を介して、有利には塩水冷却により除去することができる。
【0025】
結晶化装置のモデルは任意である。この場合、例えば攪拌容器型、強制換気型、導管型または流動床型の結晶化装置、例えばOsloタイプのものであってよい。
【0026】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0027】

比較例1
純粋なMGDN148g(1.0モル)を、約80℃で強力に攪拌しながら20質量%の苛性ソーダ液608g(3.04モル)中に約2時間以内に導入した。引き続き窒素下に80℃で3時間、さらに攪拌した。その後、95℃で約5時間、窒素を用いてストリッピングした。その間に、固体濃度を水の添加により45質量%以下に維持した。以下の組成を有する暗褐色の溶液(ヘーズによる色数>1000)が得られた:MGDA−Na3:230g(0.85モル、収率=85%)、約35質量%のMGDA−Na3溶液657gに相応、NTA−Na3:1.9質量%、IDA−Na2:3.7質量%、Na2CO3:1.5質量%、NaOH:0.2質量%、酢酸Na:0.4質量%、ギ酸Na:0.3質量%、グリコール酸Na:0.5質量%、乳酸Na:0.4質量%、グリシン酸Na:0.2質量%、アラニン酸Na:0.3質量%、アセトアルデヒド:1.5質量%、水55質量%。
【0028】
比較例2
純粋なMGDN148g(1.0モル)を、約40℃で強力に攪拌しながら20質量%の苛性ソーダ液608g(3.04モル)中に約2時間以内に導入した。引き続き窒素下に40℃で3時間、さらに攪拌した。その後、95℃で約5時間、窒素を用いてストリッピングした。その間に、固体濃度を水の添加により45質量%以下に維持した。以下の組成を有する褐色の溶液(ヘーズによる色数:445)が得られた:MGDA−Na3:247g(0.91モル、収率=91%)、約35質量%のMGDA−Na3溶液705gに相応、NTA−Na3:0.3質量%、IDA−Na2:2.5質量%、Na2CO3:0.3質量%、NaOH:0.3質量%、酢酸Na:0.2質量%、ギ酸Na:0.15質量%、グリコール酸Na:0.2質量%、乳酸Na:0.1質量%、グリシン酸Na:0.1質量%、アラニン酸Na:0.1質量%、アセトアルデヒド:720ppm、水60質量%。
【0029】
実施例1
純粋なMGDN148g(1.0モル)を、約25℃で強力に攪拌しながら20質量%の苛性ソーダ液608g(3.04モル)中に約2時間以内に導入した。引き続き窒素下に30℃で3時間、および次いで40℃で2時間さらに攪拌した。その後、95℃で約5時間以内に、窒素を用いてストリッピングした。その間に、固体濃度を水の添加により45質量%以下に維持した。以下の組成を有する黄橙色の溶液(ヘーズによる色数:95)が得られた:MGDA−Na3:260g(0.96モル、収率=96%)、約40質量%のMGDA−Na3溶液650gに相応、NTA−Na3:<0.1質量%、IDA−Na2:0.8質量%、Na2CO3:0.1質量%、NaOH:0.2質量%、酢酸Na:0.06質量%、ギ酸Na:0.07質量%、グリコール酸Na:0.07質量%、乳酸Na:0.0質量%、グリシン酸Na:0.06質量%、アラニン酸Na:0.1質量%、アセトアルデヒド:80ppm、水58質量%。
【0030】
実施例2
純粋なMGDN148g(1.0モル)を、約25℃で強力に攪拌しながら20質量%の苛性ソーダ液608g(3.04モル)中に約2時間以内に導入した。引き続き窒素下にまず30℃で3時間、および次いで40℃で2時間、さらに攪拌した。例1と異なり、今度は管型反応器中で加圧下に15分、170℃に加熱した。その後、100〜104℃で5時間以内に、窒素を用いてストリッピングした。その間に、固体濃度を水の添加により45質量%以下に維持した。以下の組成を有する黄橙色の溶液(ヘーズによる色数;105)が得られた:MGDA−Na3:257g(0.95モル、収率=95%)、40質量%のMGDA−Na3溶液643gに相応、アセトアルデヒド:<10ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルグリシンジアセトントリル(MGDN)をアルカリ性加水分解することにより、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−三アルカリ金属塩を製造する方法であって、以下の順序での工程(a)〜(f):
(a)30℃以下の温度でMGDNと水性の苛性アルカリ液とを混合する工程、
(b)水性の苛性アルカリMGDN懸濁液を、10〜30℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させ、その際に溶液が形成される工程、
(c)工程(b)からの溶液を30〜40℃の範囲の温度で0.1〜10時間反応させる工程、
(d)場合により工程(c)からの溶液を50〜80℃の範囲の温度で0.5〜2時間反応させる工程、
(e)場合により工程(c)もしくは(d)からの溶液を110〜200℃の範囲の温度で5〜60分反応させる工程、
(f)工程(c)、(d)もしくは(e)で得られた溶液を加水分解し、かつ90〜105℃でストリッピングすることにより該溶液からアンモニアを分離する工程
を有する、副生成物の少ない、淡色のメチルグリシン−N,N−二酢酸−三アルカリ金属塩を製造する方法。
【請求項2】
工程(b)で温度が25〜30℃であり、かつ工程(c)で温度が35〜40℃であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水性の苛性アルカリ液として5〜50質量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
方法を不連続的に、半連続的に、または連続的に実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法により製造される、0.3質量%未満のNTA−三ナトリウム塩の含有率を有する工業用MGDA三ナトリウム塩。

【公表番号】特表2008−540375(P2008−540375A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509433(P2008−509433)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061968
【国際公開番号】WO2006/120129
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】