説明

副甲状腺ホルモン(PTH)受容体アゴニストとしての短鎖ペプチド

本発明は、副甲状腺ホルモン(PTH/ PTH-1)受容体アゴニストとして主に作用する、新規短鎖ペプチドを提供する。これらの短鎖ペプチドは、タンパク質分解的切断に対する上昇した安定性を示す。短鎖ペプチドの多くは、ラット血漿中で24時間(インビトロ)まで安定であることが分かり、GIT酵素、例えばペプシン及び酸性の胃pHなどに対する、及びさらには肝臓ミクロソーム(インビトロ)に対する上昇した安定性を示した。非経口投与以外の上昇した代謝安定性のために、一部の短鎖ペプチドは、副甲状腺機能低下症、及び骨量減少、例えば、骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症など、により特徴付けられる疾患の治療/予防のため、及び骨再生を刺激するために、経口投与により送達され得る。A-Z1-Z2-Z3-Z4-Z5-Z6-Z7-Z8-Z9-Z10-Z11-Z12-Z13-Z14-Z15-B。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般式(I)のPTH受容体アゴニストとしての新規の短鎖ペプチド、それらの医薬的に許容される塩、及びそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
本発明はまた、一般式(I)の化合物、それらの医薬的に許容される塩、及びそれらを含む医薬組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
骨粗鬆症は、減少した骨量、減少した骨ミネラル密度(BMD)、減少した骨強度により特徴付けられ、骨折の増大したリスクに関連する骨疾患である(Lane J. M., et al., Clin. Orthop. Relat. Res., 372, 2000, 139-150)。骨粗鬆症性骨折は、しばしば脊椎骨、寛骨、大腿骨首で起こる。これらの骨折は、痛み、長期にわたる不動性、及び乏しい回復により、生活の質を著しく損なう。骨は、いくつかの異なる細胞型を含む。骨芽細胞(骨形成)は、細胞の周りの細胞外環境に存在するミネラルから新しい骨を横たえる。破骨細胞(骨損失)は、古い骨を取り除き、骨内の蓄積されたミネラルを放出し、細胞外マトリックスに戻す。蓄えられる新しい骨と除去される古い骨の間の適切なバランスは、骨にその極めて有益な特性を与えるものである。骨粗鬆症は、骨形成の速度より骨吸収の速度が大きくなるときに起こる(Seeman E., et al., N. Engl. J. Med., 354(21), 2006, 2250-2261)。閉経後のエストロゲン減少は、エストロゲンは破骨細胞の寿命を破壊するので、女性の骨粗鬆症の最も一般的な原因である。骨粗鬆症の進行の他の主なリスク要因は以下:低カルシウム摂取、ビタミンD不足、1型糖尿病、関節リウマチ、抗けいれん剤及びコルチコステロイドなどの薬物の長期使用、男性のテストステロンの低いレベル、を含む(Cole Z. A., et al., Curr. Rheumatol. Rep., 10(2), 2008, 92-96; Harvey, N., et al., Curr. Rheumatol. Rep., 5(1), 2003, 75-81)。
【0005】
骨粗鬆症に罹患した患者は、骨折修復を促進するために設計された新規の治療から、又はその疾患に関連した骨折を予防する又は減少するために設計された治療から、恩恵を受ける(Lindsay R., Lancet, 341(8848), 1993, 801-805)。現在、骨粗鬆症のための効果的な治療法はないが、エストロゲン、ラロキシフェン(エストロゲン受容体モジュレーター)、カルシトニン、及びビスホスホネート(エチドロネート、アレンドロネート、及びリセドロネート)は、骨吸収を減少させるそれらの作用を解した成功の様々なレベルに伴って、疾患を治療するために用いられている(Recker R. R., J. Clin. Endocrinol. Metab., 1993, 76(1), 14-16)。
【0006】
天然のヒト副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨及び腎臓へのその直接作用を通じて、人体のカルシウム恒常性の最も主要なレギュレータとして作用する84のアミノ酸ポリペプチドである(Kronenberg H. M., Bringhurst F. R., Nussbaum S. R., J[upsilon]ppner H., Abou-Samra A. B., In Handbook of Experimental Pharmacology, Mundy, G. R., and Martin, T. J., (eds), pp. 185-201, Springer- Verlag, Heidelberg (1993))。副甲状腺からのPTH合成、及び放出は、血清カルシウムレベルにより、主に制御され;ホルモン合成及び放出の双方を、低いレベルは刺激し、高いレベルは抑制する。PTHは順に、直接的に、又は間接的に血中へのカルシウムの流入を促進することにより、血清カルシウム濃度は維持される。PTHは、ビタミンDの活性型の腎臓合成を助けることにより、胃腸のカルシウム吸収を得ることに寄与する。PTHは、間接的に破骨細胞(骨-再吸収細胞)の分化を刺激することによって、骨からの再吸収を促進する。非経口経路によるPTHの投与は、骨ミネラル密度(BMD) 、及び骨強度を効率的に増加させ、骨粗鬆症の患者の新規の骨粗鬆症性骨折の発生を減少させる(Greenspan S. L., et al., Ann. Intern. Med., 146(5), 2007, 326- 339; Neer R. M., et al., N. Engl. J. Med., 344, 2001, 1434-1441)。
【0007】
PTHは、その細胞表面のPTH受容体との、その相互作用を介して、主としてこれらの全ての効果を発揮し、それは、多数の組織、より豊富には腎臓、骨、及び成長板軟骨細胞で発現する(Lanske B., et al., Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr., 8, 1998, 297-320)。PTH受容体は、ペプチドホルモン、例えばセクレチン、カルシトニン、及びグルカゴンなど、と結合する多数の他の受容体と、主な構造において相同であり;共に、これらの受容体は、Gタンパク質共役受容体(GPCR/ GPCRs)ファミリーBと呼ばれる特有のファミリーを形成する(Kolakowski L. F., Receptor Channels, 2, 1994, 1-7)。GPCRは、100〜160残基の細胞外N末端ドメインを含み、仲介するループ及びC末端尾部を介して7回膜貫通型αヘリックスの膜近傍ドメイン(Jドメイン)につながっている(Donnelly D., FEBS Letts., 409, 1997, 431-436)。クラスBのGPCRは、中間規模、典型的には30〜40アミノ酸、の内因性ペプチドリガンドにより活性化する(Hoare, S. R. J., Drug. Discovery Today, 10, 2005, 423-427)。クラスB GPCRとのペプチドリガンド相互作用の一般的な機構は、明らかになり、「2ドメイン」モデルとして称される。ペプチドのC末端部分は、受容体のNドメインと結合し、このことは受容体とのリガンドの結合を確認し、N末端のリガンド領域はJドメインと結合、すなわち受容体を活性化し、細胞内シグナル伝達を刺激する相互作用をする(Ji T. H., et al., J. Biol. Chem., 273, 1988, 17299-17302; Hjorth, S. A., et al., Regulatory Peptides, 64, 1996, 70)。
【0008】
PTHは、nM範囲の親和性でPTH受容体と結合する;リガンドに占められた受容体は、細胞膜を超えて、中間のヘテロ三量体GTP結合タンパク質(Gタンパク質)を含む機構を介して、細胞内エフェクター酵素に信号を伝達する。PTHペプチドに応答してPTH受容体により活性化した第一の細胞内エフェクター酵素は、アデニリルシクラーゼ(AC)である (Goltzman D., J. Bone Miner. Res., 15(3), 2000, 605-608)。それゆえ、PTHは、第二のメッセンジャー、サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)、それは、特徴に乏しい骨再成形に関わる下流の細胞プロセスを制御する、の増加を誘導する(Juppner H., et al., Science, 254, 1991, 1024-1026)。この受容体の他の信号伝達経路、例えば、細胞内カルシウムの上昇、ホスホリパーゼC依存的及び独立的なプロテインキナーゼCの活性化など、は記述されている。PTHは血液カルシウム及びリン酸レベルを制御し、強力な同化(骨形成)効果を示すので、副甲状腺ホルモン及びその誘導体は、骨粗鬆症の治療のための潜在的な治療薬となる(Slovik D. M., et al., J. Bone Miner. Res., 1, 1986, 377-381; Dempster D. W., et al., Endocr. Rev., 14, 1993, 690-709)。
【0009】
PTH(1−34)合成物は、大抵の細胞に基づいたアッセイ系において完全な生物活性を示し、動物において骨量の強力な同化効果を有し、閉経後骨粗鬆症の女性において骨折のリスクを減少させることが近年示されている。閉経後の女性の人体試験において、PTH (1-34)の少量の毎日の皮下注射は、脊椎骨折の発生の著しい減少とともに、脊椎及び大腿骨頸部における優れた骨形成が起こることが示された(Neer R. M., et al., N. Engl. J. Med., 344, 2001, 1434-1441; Dempster D. W., et al., Endocr. Rev., 14, 1993, 690-709)。これらの臨床データは、骨粗鬆症のために試された最も効果的な薬剤のうちの一つとしてのPTHを明らかにする。商標名Forteo (Eli Lilly)の下で、テリパラチドアセテートの形のPTH(1−34)は、骨粗鬆症の治療のために認可されている。
【0010】
PTH誘導体は、アミノ酸置換を有する、又は全長の分子と比べて不完全であるポリペプチドを含む。PTH (1-34)のN及びC末端の双方が切断された形態は、研究されている。加えて、不完全なポリペプチド内のアミノ酸置換もまた、研究されている(Azurani A., et al., J. Biol. Chem., 271, 1996, 14931-14936)。PTHペプチドの15〜34ドメインの残基は、受容体結合親和性に重要な寄与している一方、PTHペプチドのN末端の1〜14アミノ酸は受容体の活性に関与していることが知られている(Naussbaum S. R., et al., J. Biol. Chem., 255, 1980, 10183-10187; Gardella T. J., et al., Endocrinology, 132, 1993, 2024-2030; Takasu H., et al., Biochemistry, 38, 1999, 13453-13460; Hoare S. R. J., et al., J. Biol. Chem., 276, 2001, 7741-7753; Luck M. D., et al., Molecular Endocrinology, 13, 1999, 670-680)。不完全なPTH (1−34)誘導体、例えば環化PTH (1-17)、PTH (1-28)及びPTH (1-31)などは、大抵のアッセイ系は活性化され、骨形成を促進される(Whitfield J. F., et al., J. Bone Miner. Res., 12, 1997, 1246-1252; WO 2007 / 1301 13 A2; WO 2008 / 068487; Whitefild J. F., et al., Calcif. Tissue Int., 56, 1995, 227-231; Rixon R. H., et al., J. Bone Miner. Res., 9, 1994, 1 179-1 189; Whitfield J. F., et al., Trends Pharmacol. Sci., 16, 1995, 372-386; Whitfield J. F., et al., Calcif. Tissue Int., 58, 1996, 81-87)。しかし、これらのペプチドは、効率的な非-非経口(non-parenteral)送達のためにはまだ大きすぎる。さらに小さいPTHアゴニストの送達は、骨粗鬆症のために新しい治療を開発する試みにおいて重要な進展となるだろう。
【0011】
残念なことに、PTHペプチドの大きい分子量のために、その治療的投与は限られており、その合成は、技術的に困難であり、それゆえ高価であり、効果及び唯一の可能な投与形式は、注射投与である。さらに、PTHはプロテアーゼ攻撃に高い感受性を有し、その低い安定性のために低温で保管されなければならない。これらの技術的な制限に加えて、許容性は、カルシウムの一時的な動員、及び高カルシウム血症により制限され、また毒物学的データ、特に発癌研究の好ましくない結果(投薬及び治療期間に依存した骨肉腫の増加したリスク)は、PTH (1- 34)の慎重な使用を誘導する(1- 34) (Vahle J. L., Toxicol. Pathos., 32(4), 2004, 426-438; Whitfiel J. F., Medscape Womens Health, 6(5), 2001, 7; Kuijpers G., BMJ, 324(7335), 2002, 435-436)。他方では、低分子量ペプチド、例えばPTHの最初の14又は11のアミノ酸からなるこれら(PTH(1-14)及びPTH(1-11))は、動物モデルにおいて、不活性と証明され、又は大変低い生物活性を示した(Tregear G. W., et al., Endocrinology, 93, 1973, 1349-1353; Gardella T. J., et al., J. Biol. Chem., 266, 1991, 13141-13146)。
【0012】
それゆえ、過去10年間、研究は、改良された生物学的特性、好ましくは経口投与可能な、プロテアーゼ耐性のある、合成の容易な、及び高い安全性指標を示す、を有するPTH由来低分子量ペプチドの開発に集中している。近年、低分子量ペプチドの活性は、特定の部位に非天然アミノ酸を固定化したヘリックスを導入することにより、改良されることが分かった。例えば、PTH(1-11)アナログ([Ala3, Gln10, Arg11]-PTH(1-11)、[Ala3, Gln10, Har11]-PTH(1-11)、及び[Aib1,3; Gln10; Har11]-PTH(1-11))、並びにPTH (1-14)アナログ、例えば[AC5C1, Aib3, Gln10, Har11, Ala12, Trp14]PTH(1-14)などは、nMの範囲で、cAMPを刺激する(WO 03/009804; WO 04/093902)。いくつかの研究は、PTH様活性を有する低分子量ペプチドを見つけるために行われた(Reidhaar-olson J. F., et al., Mol. Cell. Endocrinology., 160, 2000, 135-147; Shimizu M., et al., J. Biol. Chem., 275, 2000, 21836-21843; Shimizu M., et al., Endocrinology, 142, 2001, 3068-3074; Shimizu N., et al., J. Biol. Chem., 276, 2001, 49003-49012; WO 03/009804)。わずか11のアミノ酸からなる短いアナログ(PTHペプチドの最初の1〜11残基の誘導体、配列番号2)は、低い効能とともにPTH受容体(インビトロ)を活性化できるが(WO 04/067021)、しかしながら、動物モデル(インビボ)において、これらのアナログの骨同化活性は報告されていない。結論として、PTH受容体(インビトロ)単独のcAMP信号伝達経路のアゴニスト活性は、インビトロでの骨同化活性のために、全く予測的ではない。
【0013】
本研究において、驚くべきことに、我々は、非天然アミノ酸を用いたPTH (1-34)ペプチドのN末端の配列のホモログ置換(誘導体)(最初の1〜14又は1〜15残基、配列番号3及び4)は、選択性の様々な程度で、強力なPTH受容体アゴニスト活性、より具体的には、PTH-1受容体アゴニスト活性を有する、新種の短鎖ペプチドの同定に至ったことを発見した。作用の持続性、及びタンパク質分解酵素に対する安定性を強化するために、我々は、非天然アミノ酸を用いて、短鎖ペプチドを部位特異的に修飾し、代謝的に安定であり、より強力な短鎖ペプチドを同定スることに成功した。一部の短鎖ペプチドは、PTH-1受容体アゴニスト活性を保持する一方で、投与の経口投与法によってさえも生物学的利用性を示した。
【0014】
下記に示されたPTH (1-34)配列アライメントは、主要な構造的関係を表す:
PTH (1-34): 1SVSEIQLMHNLGKH14LNSMERVEWLRKKLQDVHNF34 (配列番号1)
PTH (1-11): 1SVSEIQLMHNL11 (配列番号2)
PTH (1-14): 1SVSEIQLMHNLGKH14 (配列番号3)
PTH (1-15): 1SVSEIQLMHNLGKHL15 (配列番号4)
アミノ酸の1文字略記は、Zubay, G著、Biochemistry 第2版、1988, MacMillan Publishing, New York, p. 33 で見られる。
【0015】
先行技術
一連の構造的に制御された副甲状腺ホルモンペプチド(PTH)アナログ、及び誘導体は、一般式Xaa1-Xaa11及び/又はXaa1-Xaa14であって、Xaa1-Xaa11及び/又はXaa1-Xaa14は、PTHペプチドの最初の1〜11及び/又は1〜14のN末端の残基を表し(SVSEIQLMHNL;配列番号2、及びSVSEIQLMHNLGKH;配列番号3)、Xaa1 及びXaa3は、Aib 又はAC5Cを表し, Xaa8はNleを表し、Xaa10はQを表し、Xaa11はHarを表し、Xaa12はAlaを表し、及びXaa14はWを表す、いくつかのアナログを伴う、と報告されている(WO 03 / 009804 A2; US 2006 / 7153951 B2; US 2007 / 0117157 A1; US 2007 / 0203071 A1; US 2006 / 0019902 A1; US 2007 / 0161569 A1; US 2007 / 0111946 A1; Gardella T. J., et al., J. Biol. Chem. 2000, 275, 21836-21843; Gardella T. J., et al., Endocrinology, 2001, 142, 3068-3074; Gardella T. J., et al., J. Biol. Chem., 2001, 52, 49003-49012)。近年、いくつかの非ペプチドPTHアゴニストはまた、文献において報告されているが、しかし、それらの中でインビボ動物モデルにおいて、可能性を有するものはないとみられた(US 2007 / 0099940 A1; WO 2005 / 077918 A1)。
【発明の概要】
【0016】
発明の概要
本発明は、PTH/PTH-1受容体に対して異なる程度の親和性を有し、骨粗鬆症の治療のための有用である、PTH受容体のアゴニストとして機能する新規短鎖ペプチドの群を記述する。これらの短鎖ペプチドは、下記に与えられたような一般式(I)により定義される。本発明の短鎖ペプチドは、副甲状腺機能低下症、及び骨量減少又は骨量損失、例えば骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症など、によって特徴付けられる疾患の治療又は予防のため、及び骨再生を刺激するために有用である。
【0017】
本発明は、式(I)の新規短鎖ペプチドを提供し、それはPTH/ PTH-1受容体アゴニストとして主に作用する。これらの短鎖ペプチドは、タンパク質分解酵素に対する増大した代謝的安定性を示す。短鎖ペプチドの大部分は、ラット血漿中で(インビトロ)24時間まで安定であったことが分かり、GIT酵素、例えばペプシン、及び酸性の胃pHに対して、及び同様に肝臓ミクロソーム(インビトロ)などに対して、増大した安定性を示した。投与の非経口経路以外の増大した代謝安定性のために、これらの一部の短鎖ペプチドはまた、経口投与により送達が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ラットPTH-1 Rアッセイ(放出されたcAMP量により測定されたアゴニスト活性)におけるPTH(1-34)(図A)、及び配列番号111(図B)のインビトロDRC及びEC50 の測定である。
【図2−1】図2は、短鎖ペプチドのFmoc型固相ペプチド合成(SPPS)に用いた直交に保護されたアミノ酸の例である。
【図2−2】図2(続き)は、短鎖ペプチドのFmoc型固相ペプチド合成(SPPS)に用いた直交に保護されたアミノ酸の例である。
【図3】図3は、OVX雌性のラットにおける配列番号111によるインビトロDRC試験である(図A:血清Ca2+レベルの増加%;図B:血清PO4レベルの減少%)。
【図4】図4は、配列番号111及びPTH(1-34)による処置から6週間後のOVXラットにおける、生化学的パラメータ、及び大腿骨重量の変化である。
【図5】図5は、配列番号111による処置から6週間後のOVXラットにおける、大腿骨の組織学的断面図である。
【図6】図6は、配列番号111による処置から6週間後のOVXラットにおける、脛骨の組織学的断面図である。
【図7】図7は、配列番号111による処置から6週間後のOVXラットにおける、腰椎の組織学的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好ましい実施形態
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I)の新規短鎖ペプチド、それらの合成に含まれる新規中間体、それらの医薬的に許容される塩、及びそれら又はそれらの混合物を含む医薬組成物を提供することであり、骨疾患の治療/緩和/制御のために好適である。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、一般式(I)の短鎖ペプチド、それらの医薬的に許容される塩、溶媒和物、及び医薬的に許容される担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、及びそれらの製造に通常用いられる他の媒体、を有するそれらの混合物、を含む医薬組成物が提供される。
【0021】
なおさらに好ましい実施形態では、そのような治療を必要としている哺乳動物に対して、式(I)の短鎖ペプチド、又はそれらの医薬的に許容される組成物の、治療的に効果的な、及び毒性を示さない量の投与により、新しい骨形成を刺激する、及び骨粗鬆症及び関連する骨疾患の治療する及び/又は予防するための治療薬として本発明の新規短鎖ペプチドの使用が提供される。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
発明の詳細な説明
本発明に従って、PTH-1受容体アゴニスト活性を示す、構造式(I)を有する合成短鎖ペプチドは、開示される。これらの短鎖ペプチドは、タンパク質分解的切断への代謝的安定性を示し、多くの短鎖ペプチドはラットの血漿中(インビトロ)で24時間安定であることが分かったように、GIT酵素、例えばペプシン、酸性の胃pHに対して、及びまた肝臓ミクロソーム(インビトロ)に対して、増加した安定性を示した。増加した代謝安定性のために、これらの一部の短鎖ペプチドはまた、副甲状腺機能低下症、及び骨量の減少により特徴付けられる疾患、例えば、骨粗鬆症、閉経後の骨粗鬆症の治療/予防のために、及び骨修復を刺激するために、経口投与により送達が可能である。
【0027】
本発明はそれゆえ、下記の構造(I):
【0028】
【化2】

【0029】
を有するPTH受容体アゴニストとしての新規短鎖ペプチドであって、「A」は、-NH-R1又は R3-CO-NH-基を表し、R1は水素、ビオチン、又は随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖、又は、好適なアミノ酸、例えばピログルタミン酸(Pyr)、Pro(P)、アルファ‐メチル-プロリン(αMe-P)、Val(V)、N-メチル-バリン(NMe-V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Lys(ビオチン)、Lys (アルキル)、Lys (アセチル)など、を表す;R3は、随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖、(C1-6)アルコキシル、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールアルキル基から選択される;
【0030】
好ましい実施形態では、アリール基は、フェニル、ナフチル(napthyl)、インダニル、フルオレニル、又はビフェニル、基から選択され;ヘテロアリール基は、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル基から選択され;アリールアルキル基は、アリール基を本明細書中の他の場所で定義されたアルキル基と結合させた基を表す。
【0031】
「B」は、-COOR2、-CONHR2、又はCH2OR2を表し、R2は水素、又は好適なアミノ酸、例えば、Val(V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Lys(ビオチン)、Lys(アルキル)、Lys(アセチル)などを示す;
【0032】
Z1、Z3、及びZ12のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Ser(S)、アルファ-メチル-セリン(αMe-S)、Val (V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Pro(P)、アルファ-メチル-プロリン(αMe-P)、Gly(G)、Ala(A)、α-アミノ-イソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0033】
Z2は、Val (V)又はαMe-Val(αMe-V)を表す;
【0034】
Z4、Z6、及びZ10のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、ホモグルタミン酸(HoGlu)、2-アミノ-4-シアノブタン酸(Abu(CN))、Asp(D)、Asn(N)、Gln(Q)、Aibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0035】
Z5、Z7、及びZ9のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile (I)、Nle (ノルロイシン)、Nva(ノルバリン)、HoLeu(ホモロイシン)、Abu(CN)、His(H)、Phe(F)、下記に示す、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine) (-α-Me-2,6-F-Phe-)、又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0036】
【化3】

【0037】
Z8は、Met、N-メチル-Met ((NMe)M)、アルファ-メチル-Met (αMe-M)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Leu、Nle、N-メチル-Nle((NMe)Nle)、アルファ-メチル-ノルロイシン(αMe-Nle)、Nva、HoLeu、エチオニン(EtMet)、セレノメチオニン(SMet)、Valからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0038】
Z11、及びZ13は、同一、又は異なっており、独立に、Aib、Pro(P)、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、リジン(ニトロ);K(NO2)、アルギニン(R)、アルギニン(ニトロ);(Arg(NO2))、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、オルニチン(ニトロ);Orn(NO2)、 シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、Phe(F)、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)、又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0039】
Z14は、下記に示す2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe)[αMe-Bip(OMe)]、αMe-Trp、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、 アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0040】
【化4】

【0041】
Z15は、存在しても、存在しなくてもよい。Z15は、存在する際、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0042】
【化5】

【0043】
新規短鎖ペプチドを開示する。
【0044】
本発明の実施形態では、式(I)の修飾されたPTHアナログであって、「A」は、-NH-R1又は R3-CO-NH-基を表し、R1 は水素、ビオチン、又は好適なアミノ酸、例えば、ピログルタミン酸(Pyr)、Pro (P)、Val (V)など、を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0045】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、R3は、随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖から選択される、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0046】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、「B」は、-COOR2、-CONHR2をを表し、R2は水素、又は好適なアミノ酸、例えば、Val(V)、アルファ-メチル‐バリン(αMe-V)、Lys(ビオチン)など、を示す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0047】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z1、Z3、及びZ12のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Ala(A)、α-アミノ-イソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0048】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z2は、Val(V)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0049】
本発明のさらなる実施形態では、式(I)の化合物であって、Z4、Z6、及びZ10のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、Gln(Q)、Aibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0050】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z5、Z7、及びZ9のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile (I)、Nle、HoLeu(ホモロイシン)、His(H)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0051】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z8は、Met、アルファ-メチル-Met (αMe-M)、Nle、N-メチル-Nle ((NMe)Nle)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0052】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z11、及びZ13のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Aib、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、K(NO2)、アルギニン(R)、Arg(NO2)、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、Orn(NO2)、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0053】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z14は、2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe) [αMe-Bip(OMe)]、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、ここで全ての他の記号は先に定義されたとおりである、が提供される;
【0054】
本発明の他の実施形態では、式(I)の化合物であって、Z15は存在し、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す;
【0055】
好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の修飾されたPTHアナログであって、「A」は、-NH-R1又は R3-CO-NH-基を表し、R1は水素、ビオチン、又は好適なアミノ酸、例えば、ピログルタミン酸(Pyr)、Pro (P)、Val (V)など、を表す;R3は、随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖から選択され;「B」は、-COOR2、-CONHR2を表し、R2は先に定義された通りであり;Z1、Z3、及びZ12のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Ala(A)、α-アミノ-イソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z2はVal(V)を表し;Z4、Z6、及びZ10のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、Gln(Q)、Aibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z5、Z7、及びZ9のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile (I)、Nle、HoLeu(ホモロイシン)、His(H)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine) (-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z8は、Met、アルファ-メチル-Met (αMe-M)、Nle、N-メチル-Nle ((NMe)Nle)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z11、及びZ13は、同一、又は異なっており、独立に、Aib、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、K(NO2)、アルギニン(R)、Arg(NO2)、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、Orn(NO2)、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z14は、2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe) [αMe-Bip(OMe)]、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(diflurophenylalanine)(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z15は存在する際、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、式(I)の修飾されたPTHアナログを開示する。
【0056】
上記で定義された任意の基の置換基は、ヒドロキシル、オキソ、ハロ、チオ、ニトロ、アミノ、アルキル、アルコキシル、ハロアルキル、又はハロアルコキシル基から選択される。
【0057】
用語「天然のアミノ酸」は、天然に存在するそれら全ての20のアミノ酸を指し示す。
【0058】
用語「非天然(unnatural)アミノ酸」、又は「非天然(non-natural)アミノ酸」は、好ましくは、L-アミノ酸の対応するD-アミノ酸との置き換え、例えば、L-AlaのD-Alaとの置き換えなど、又は好適なL-若しくはD-アミノ酸、アミノアルキル酸、の修飾、
-α-アルキル化、例えば、Alaのα-メチルAla(Aib)との置き換え、Metのα-メチルMetとの置き換えなど;
-アミノ酸の側鎖の置換、例えば、芳香族アミノ酸のハロゲン、(C1-C3)アルキル、アリール基への置換、より具体的には置換PheのハロPheとの置換など;
を表す。
【0059】
本明細書のどこでも用いられる、様々な基、ラジカル、及び置換基は、次の段落で記述される。
【0060】
本明細書で用いる用語「アルキル」、単独又は他のラジカルとの組み合わせは、1〜18の炭素を含む短鎖又は直鎖のラジカル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n‐ブチル、2級ブチル、3級ブチル、アミル、t-アミル、n‐ペンチル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、オクタデシルなどを意味する。
【0061】
本明細書で用いる用語「シクロアルキル」、単独又は他のラジカルとの組み合わせは、3〜7の炭素を含むラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを意味する。
【0062】
別段の指示がない限り、本明細書で用いる用語「アミノ酸」は、単独又は他の基の一部であり、制限なく、アミノ基、及び「α」炭素といわれるいくつかの炭素と結合したカルボキシル基を含む。
【0063】
「α」炭素における絶対的な「S」配座は、一般的に、「L」又は天然配座といわれる。「α」炭素における「R」配座は、一般的に、「D」アミノ酸といわれる。双方の「α-置換基」が等しい場合、例えば、水素、又はメチル、アミノ酸などは、Gly又はAibであり、キラルではない。
【0064】
本発明は、主として短鎖ペプチドに関して例示される一方、PTHアゴニスト活性を模倣する能力が保持されるならば、残基間のペプチド結合は非ペプチド結合により置き換わりうることは、また理解される。当業者は、そのような好適な修飾、例えば、チオアミド結合形成、アミド結合のNメチル化など、を知っているだろう。
【0065】
アミノ酸の包括的な保存的置換した配列はまた、生物学的活性が保持されるならば、本発明の範囲内である。
【0066】
本発明の化合物は、ペプチドアミド、及び非アミド、及びペプチドアナログを含むことは明白に理解され、以下:
a) 一つ又はそれ以上のアミノ酸が、その相当するD-アミノ酸によって置換された化合物。当業者は、逆-反転(retro-inverso)アミノ酸配列は標準手順;例、Chorev M., Acc. Chem. Res., 26, 1993, 266-273を参照;により合成され得ることを知っているだろう、
b) ペプチド結合が、代謝的分解に対してより耐性を有する構造で置き換えたペプチド模倣化合物。例、Olson G. L., et al., J. Med. Chem., 36(21), 1993, 3039-3049を参照、及び
c) 個別のアミノ酸が、アナログ構造、例えば、AlaをAibで;Metをα-Me-Metで、置き換えられた化合物。
を制限されることなく含む。
【0067】
一般的に、そのような代替構造の使用は、それらが生理学的条件下での分解に対するより強い抵抗を有するので、又は生物学的利用性の改良のために、著しく長い体内での半減期を提供する。
【0068】
記述を通して、天然のアミノ酸の従来の一文字、又は三文字表記は使用され、また一般的に許容される非天然アミノ酸の三文字表記、例えば、Har(ホモアルギニン)、Nle(ノルロイシン)、α-アミノイソブタン酸(Aib)など、は使用される。
【0069】
用語「PTH受容体モジュレータ又はアゴニスト」は、PTH-1及び/又はPTH-2受容体において、下流の信号伝達事象、例えばcAMP生産などを制御するその能力を変化させる作用をする化合物をいう。受容体モジュレータの例は、アゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、及びアロステリック促進剤を含む。
【0070】
本発明にしたがって、本明細書で記載される単離された短鎖ペプチドの合成物は、主にPTH受容体アゴニストとして作用する。これらの合成短鎖ペプチドは、UMR-106細胞で、濃度1〜1000 nMの範囲において、所望のインビトロPTH受容体アゴニスト活性を示す。PTH受容体アゴニスト活性は、試験化合物により放出されたcAMPの量を評価することにより評価する。一部の調製された短鎖ペプチドは、インビトロでのOVXラットモデルにおける試験時に、BMD及び/又は骨の強度の増加を示し、それゆえそれらは骨粗鬆症の治療及び予防のための理想的な治療的候補となる。これらの新種の短鎖ペプチドは、経口、又は他の非侵襲経路、又は非経口の投与により、投与されうる。
【0071】
本発明は、式(I)の短鎖ペプチド、そのような短鎖ペプチド単独又は組み合わせを用いた医薬組成物の短鎖ペプチド、及びそのような短鎖ペプチドを用いる方法、を提供する。特に、本発明は、医薬的に許容される担体を伴う、式(I)の短鎖ペプチド、単独若しくは組み合わせ(複数)、の治療的有効量を含む医薬組成物を提供する。さらに、骨粗鬆症、特に原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、遺伝性及び先天性(congentinal)型の骨粗鬆症の進行又は発症を治療する又は遅らせる方法であって、式(I)の短鎖ペプチド又はそれらの組み合わせ(複数)の治療的有効量が、哺乳動物、例えばヒト、及び治療の必要な患者に投与されうる方法、が提供される。
【0072】
短鎖ペプチドの調製
いくつかの合成経路は、本発明の短鎖ペプチドを調製するために用いられ、ペプチド合成の技術分野における当業者にはよく知られている。全ての記号は先に定義されている、式(I)の短鎖ペプチドは、ペプチド合成の分野の当業者に知られている従来の技術、又は当業者により認められているその変更とともに、下記の方法を用いて合成される。言及した方法は、後述のそれらを制限することなく含む。
【0073】
本明細書で記載されたその短鎖ペプチドは、液相(好ましくはBoc-化学; M. Bodansky, A. Bodansky, “The practice of peptide synthesis”, Springer-Verlag, Berlim, 1984; E. Gross, J. Meinhofer, “The peptide synthesis, analysis, biology”, Vol. 1, Academic Press, London, 1979、を用いて)、及び/又は固相技術、例えば、G. Barany & R. B. Merrifield, ''The peptides: Analysis, synthesis, Biology''; Volume 2- ''Special methods in peptide synthesis, Part A'', pp. 3-284, E. Gross & J. Meienhofer, Eds., Academic Press, New York, 1980; and in J. M. Stewart and J. D. Young, ''Solid-phase peptide synthesis'' 2nd Ed., Pierce chemical Co., Rockford, Il, 1984.、に記載されている、の双方の好適な変更を用いて、化学的合成により製造される。
【0074】
本発明の短鎖ペプチドを調製するための好ましい戦略は、Fmoc型SPPS手法の使用に基づき、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)基は、α-アミノ基の一時的な保護のために、アミノ酸側鎖が存在する場合には、一時的な保護のために、酸に不安定な保護基(図2)、例えば3級ブトキシカルボニル(Boc)、3級ブチル(But)、トリチル(Trt)基などと組み合わせて、使用される(例Eを参照 Atherton & R.C. Sheppard, ''The Fluorenylmethoxycarbonyl amino protecting group'', in ''The peptides: Analysis, synthesis, Biology''; Volume 9 - ''Special methods in peptide synthesis, Part C'', pp. 1-38, S. Undenfriend & J. Meienhofer, Eds., Academic Press, San Diego, 1987))。
【0075】
短鎖ペプチドは、不溶性の高分子支持体(レジン)上で、段階的な方法で合成され、ペプチドのC末端から始まる。ある実施形態では、合成は、アミド、エステル、又は他の結合の形成を介して、ペプチドのC末端アミノ酸に、レジンを付加することで始められる。これは、それぞれC末端アミド、カルボン酸、又はアルコールとして、得られたペプチドを最終的な切り離しを許容する。
【0076】
Fmoc型SPPSにおいて、C末端のアミノ酸、及び合成に用いられる他の全てのアミノ酸は、何らかの時期尚早なレジンからのペプチドの切断、又は通常酸に不安定な保護基で保護されている側鎖の保護基の脱保護がなく、αアミノ保護基は、合成の間に、好適な塩基、例えば20%ピペリジン用液など、を用いて選択的に取り除かれるように、それらのαアミノ基及び側鎖官能基(存在するならば)を異なって直交保護される必要がある。
【0077】
アミノ酸の結合は、そのカルボキシル基の活性エステルとしての活性化、及びレジンに付加されているN末端のアミノ酸のブロックされていないαアミノ基とのその反応によって行われる。全ての結合及び脱保護後、ペプチジルレジンは過剰な溶媒、例えば、DMF、DCM、及びジエチルエーテルなど、で洗浄された。αアミノ基脱保護及び結合の連続は、所望のペプチド配列が組み立てられるまで繰り返される(スキーム1)。ペプチドは、その後、好適な切断混合物を用いて、通常、副反応を制限するために適切なスカベンジャーの存在下で、側鎖官能基の脱保護に付随してレジンから切断される。得られたペプチドは最終的に逆相HPLCにより精製される。
【0078】
最終ペプチドの前駆体として要求されるペプチジルレジンの合成は、商業的に入手可能な架橋されたポリスチレンポリマーレジン(Novabiochem, San Diego, CA)が用いられる。Fmoc-PAL-PEG-PSレジン、4-(2', 4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシアセチル-p-メチルベンズヒドリルアミンレジン(Fmoc-Rink アミド MBHA レジン)、2−クロロ−トリチル−クロロリドレジン、又はp-ベンジルオキシベンジアルコールレジン(HMPレジン)、ここでアミノ酸のC末端はすでに付加されているかもしれない又はされていないかもしれない、は本発明の使用のために好ましい。C末端のアミノ酸が付加されていない場合、その付加は、DIPCDIとのその反応により形成されたFmoc保護アミノ酸のHOBt活性エステルにより達成される。2-クロロ-トリチルレジンの場合、最初のFmoc保護アミノ酸の結合は、DIPEAを用いて達成された。次のアミノ酸の組み立てのために、ペプチジルレジンのN末端の保護は、10〜20%のピペリジン溶液を用いて選択的に脱保護された。全ての結合及び脱保護後、過剰なアミノ酸及び結合試薬は、DMF、DCM、及びエーテルで洗浄することにより取り除かれた。置換アミノ酸の結合は、DIPCDI/HOBt又はDIPCDI/HOATそれぞれから製造されたHOBt又はHOAT活性エステルを用いることにより達成された。一部の異なる結合、特に、疎水性の又はかさ高な側鎖保護を有するアミノ酸の結合の場合には、完全な結合は、高効率の結合試薬、例えば、HBTU、PyBOP、又はTBTUなど、と添加物、例えばDIPEAなど、との組み合わせを用いて達成される。
【0079】
本明細書で記述される短鎖ペプチドの合成は、バッチ式又は連続フローのペプチド合成装置、例えば、CS-Bio、又はAAPPTECペプチドシンセサイザイザーなど、を用いて行われ、Fmoc/t-ブチル保護戦略を利用する。異なる位置で存在する非天然、非商業的なアミノ酸は、一つ又はそれ以上の当該技術分野で知られている方法を用いて、ペプチド鎖に取り込まれる。一つの方法では、Fmoc保護非天然アミノ酸は、適切な文献の手順を用いて、溶液中で調製される。例えば、上述のFmoc保護APPAアナログは、改良された文献手順を用いて、鏡像異性体の高い純度の中で、L-ピログルタミン酸から調製された(Betsbrugge J.V., et al., Tetrahedron, 54, 1988, 1753-1762)。
【0080】
Fmoc保護α-メチル化アミノ酸は、非対称のストレッカー合成を用いて調製された(Boesten, W.H.J., et al., Org. Lett., 3(8), 2001, 1121-1124; Cativiela C., Diaz-de-villegas M. D., Tetrahedran Asymmetry, 9, 1988, 3517-3599)。得られた誘導体は、それからペプチドの段階的な合成に用いられた。あるいは、所要の非天然アミノ酸は、有機合成化学手順を直接的に用いてレジン上で構築され、直鎖ペプチドは作られた。
【0081】
それらのそれぞれの短鎖ペプチドのためのペプチドレジン前駆体は、文献に記載の任意の標準的な切断手順の好適な変更を用いて切断及び脱保護される(King D.S., et al., Int. J. Peptide Protein Res., 1990, 36, 255-266)。本発明の使用のための好ましい方法は、水及びスカベンジャーとしてTIPSの存在下での、TFA切断混合物の使用である。典型的には、ペプチジルレジンは、TFA/水/TIPS(95:2.5:2.5)中で、1.5〜4時間、周囲温度でインキュベートされた。切断されたレジンは、それから濾過され、TFA溶液は濃縮され、又は減圧化で乾燥される。得られた粗製ペプチドは、分取用HPLCによる精製のために、沈殿され、又はEt2Oで洗浄され、又はDMF、若しくは50%酢酸水溶液中に直接再溶解される。
【0082】
所望の純度を有する短鎖ペプチドは、分取用HPLCを用いた精製により得られる。粗製ペプチドの溶液は、semi-Prep カラム(Luna 10μ;C18;100 A°)、寸法250 x50 mmに注入し、水にACN(双方ともに0.1%TFAで緩衝化した)の直線的勾配をかけ、流速40 mL/分、220 nmのPDA検出器で溶出液を監視し、溶出させた。精製された短鎖ペプチドの構造は、エレクトロスプレイ質量分析(ES−MS)により確認される。
【0083】
全ての調製されたペプチドは、分取HPLC精製後、対イオンとしてTFAを用い、トリフルオロ酢酸塩として単離された。しかしながら、一部のペプチドは、好適なイオン交換樹脂床通すことにより、好ましくは、陰イオン交換樹脂Dowex SBR P(Cl)又は同等の基本的な陰イオン交換樹脂を、通すことにより、脱塩された。ある場合では、TFA対イオンは、好適なイオン交換樹脂を通し、希酢酸バッファで溶出することにより、酢酸イオンで置き換えられた。ペプチドの塩酸塩の調製のために、製造の最終段階で、酢酸塩を伴う選択されたペプチドは4M HClで処理された。得られた溶液は、メンブレンフィルター(0.2 μm)で濾過され、続いて白色〜オフホワイトのHCl塩を得るために、凍結乾燥された。当該範囲の当業者によく知られている、同様の技術、及び/又はそのような好適な修飾に続いて、本発明の短鎖ペプチドの他の好適な医薬的に許容される塩は調製される。
【0084】
SPPS手法を用いた短鎖ペプチドの調製の一般的な方法
レジン上での短鎖ペプチドの組み立て:
十分な量(50〜100 mg)のFmoc-PAL-PEG-PSレジン、又はFmoc-Rink アミド MBHA レジン、ローディング:0.5〜0.6 mmol/ gは、DMF(1〜10 mL/100 mgレジン)で2〜10分膨潤させた。レジン上のFmoc基は、DMF (10〜30 mL /100 mg レジン)中、10〜30%ピペリジンで10〜30分インキュベートすることにより、取り除いた。脱保護されたレジンは、濾過され、過剰のDMF、DCM及びエーテル(50 mL x 4)で洗浄された。洗浄されたレジンは、新鮮な蒸留されたDMF (1 mL/ 100 mg レジン)中、窒素雰囲気下で、5分インキュベートされた。DMF中のHOBt (1〜3当量)、及びDIPCDI(1〜2当量)で予備的活性化された最初のFmoc保護アミノ酸(1〜3当量)の0.5M溶液は、レジンに加えられ、レジンはそれから1〜3時間、窒素雰囲気下で振盪された。結合完了は、定性的なニンヒドリン試験を用いることにより、観察された。最初のアミノ酸の結合後、レジンはDMF、DCM、及びジメチルエーテル(50 mL x 4)で洗浄された。次のアミノ酸の結合のために、まず、10〜20%ピペリジン溶液を用いて、レジンと結合している最初のアミノ酸のFmoc保護をは保護され、続いて好適な結合試薬を用いて、上述のように、Fmoc保護された2番目のアミノ酸が結合される。
【0085】
脱保護、洗浄、結合、及び洗浄の繰り返しのサイクルは、上記の一般的なスキーム1のように、所望のペプチド鎖がレジン上で組み立てられるまで行われた。最終的に、上記で調製されたFmoc保護ペプチジルレジンは、上記の20%ピペリジン処理により脱保護され、ペプチジルレジンは、DMF、DCM、及びジエチルエーテル(50 mL x 4)で洗浄された。所望のペプチドを含むレジンは、窒素圧力下で10〜15分乾燥され、切断/脱保護に付された。
当業者の範囲の内の、上述の手順及びその好適な変更を用いて、本明細書で設計された短鎖ペプチドは、Fmoc-SPPS手法を用いて、調製された。最終的に、レジン結合短鎖ペプチドは、切断され、及び脱保護され、精製され、及び次の部分で記述される手順を用いて特徴付けられる。
【0086】
ペプチド配列番号18 :H2N-(AC5C)-V-(AC5C)-EIQLMHQ-Har-(αMe-Pro)-K-(α-Me-Phe)-CONH2.の自動固相合成の代表的な例
直鎖の短鎖ペプチド、H2N-(AC5C)-V-(AC5C)-EIQLMHQ-Har-(αMe-Pro)-K-(α-Me-Phe)-PAL-PEG-PSは、Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)手法(スキーム2)を用いて、自動化されたCS-Bio 536 PepSynthesiser(登録商標)で構築された。Fmocアミノ酸、及び2-(1H-ベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)は、バイアルに供に充填され、合成装置のアミノ酸モジュール中に置かれた。
【0087】
【化6】

【0088】
ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;0.9 M)、及びDMFのストック溶液は、乾燥窒素雰囲気下で、試薬ボトル中で保管された。レジン、Fmoc-PAL-PEG-PS(0.38 mmol/ g;1 g)は、真空中で(1時間)、P2O5上で、乾燥され、新鮮な蒸留されたDMF(5 mL)で10分間膨潤された。膨潤されたレジンは、ガラスカラムにスラリー充填され、合成装置に置かれた。全ての合成サイクルは、流速5 mL/分で行われた、表1。レジンは、新鮮な蒸留されたDMFで、10分洗浄された。Fmoc基の脱保護は、DMF中20%のピペリジンで、10分行われ、脱保護は、カラム溶出液の304 nmでのUV検出により観察された。
【0089】
【表5】

【0090】
過剰のピペリジンは、3回の予備的な洗浄サイクル、及び蒸留したDMF洗浄サイクル、それぞれのサイクル15分、により取り除かれた。アミノ基は、Fmocアミノ酸(4当量)で処理され、DIPEA(8当量)存在下のTBTU (3.9当量)で予備的活性化され、120分再循環された。過剰なアミノ酸、及び溶解性の副生成物は、4回の予備的洗浄、及び蒸留DMFの洗浄サイクル、それぞれ10分のサイクル、によって、カラム、及びループから取り除かれた。さらに、合成サイクル(脱保護、洗浄、アセチル化、及び洗浄)は、直鎖ペプチドが完全に組み立てられるまで、繰り返された。最終的な脱保護のサイクルは、DMF中20%ピペリジンで、15分、末端のFmoc基を取り除くために行われ、続いて洗浄サイクル(10 x 4分)が行われた。完成したペプチドレジンは、焼結ガラスフィルターで濾過され、引き続いて、DMF、DCM、メタノール、DMF及びジエチルエーテル(それぞれ100 mL)で、3回洗浄された。ペプチドレジンは、P2O5 (2時間)上で真空中で乾燥され、−20℃で保管された。
【0091】
【化7】

【0092】
ニンヒドリンレジン試験は、レジン結合ペプチドのN末端の遊離アミノ基を確認するために行われた。溶液及びレジンビーズの青-紫の着色の出現は、レジン結合ペプチド上の遊離アミノ基を意味し、陽性試験であると考えられた。
【0093】
小規模の切断は、レジン結合ペプチドの純度を評価することにより行われた。乾燥ペプチジルレジン(約10 mg)は、TFA、水、トリイソプロピルシラン(95: 2.5: 2.5 v/v)の混合物(1 mL)で、90分、周囲温度で、時折穏やかに撹拌されて、処理された。レジンは濾過され、原液のTFA (1 mL)で十分洗浄され、濾過液全体は減圧下で蒸発させられた。残余TFAは、ジエチルエーテル(2 mL)で3回共沸された。得られた残余物は、蒸留水(2 mL)で懸濁され、水層は、ジエチルエーテル(3 mL)で3回抽出された。水層は、分離され、粗製ペプチド、H2N-(AC5C)-V-(AC5C)-EIQLMHQ-Har-(αMe-Pro)-K-(α-Me-Phe)-CONH2を得るために凍結乾燥された。凍結されたペプチド、H2N-(AC5C)-V-(AC5C)-EIQLMHQ-Har-(αMe-Pro)-K-(α-Me-Phe)-CONH2は、0.1%TFA水溶液(約1mg /1 mL)に溶解され、その純度は、RP-HPLCで分析され、エレクトロスプレイイオン化質量分析(ESI-MS)で特徴付けられた。純度百分率:90%(粗製ペプチド)、ESI-MS; H2N-(AC5C)-V-(AC5C)-EIQLMHQ-Har-(αMe-Pro)-K-(α-Me-Phe)-CONH2の計算値:1790 (M+)、1812 (M+Na+)及び1828 (M+K+);実測値(m/z):1790(M+)、1812(M+Na+)及び1828(M+K+)。
【0094】
当業者の範囲内である上記の手順及び好適なその変更を用いて、本発明において設計された短鎖ペプチドは、Fmoc-SPPS手法を用いて、調製された。さらに、レジン結合短鎖ペプチドは、下記の手順を用いて、切断され、脱保護され、精製され、及び特性評価された。
【0095】
切断及び脱保護
所望の短鎖ペプチドは、下記のようなTFA切断混合物での処理によって、それらのそれぞれのペプチジルレジンから切断され、脱保護された。TFA /水/トリイソプロピルシラン(95: 2.5: 2.5) (10 mL/ペプチジルレジン100 mg)の溶液は、ペプチジルリジンに加えられ、混合物は周囲温度で、時折撹拌されて、保たれた。レジンは濾過され、切断混合物で洗浄され、結合した濾過液は、乾燥のために蒸発させた。得られた残余物は、10 mLの水に溶解され、水層は、エーテル(各20 mL)で3回抽出され、最終的に水層は凍結乾燥された。凍結乾燥後に得られた粗製ペプチドは、分取HPLCで下記のように精製された:
【0096】
粗製短鎖ペプチドの分取HPLC精製
分取HPLCは、Shimadzu LC-8A液体クロマトグラフィーで行われた。DMF、又は水に溶解された粗製製ペプチドの溶液は、semi-Prepカラム(Luna 10μ;C18;100 A°)、寸法250 x 50 mmに注入され、水にACN(双方ともに0.1%TFAで緩衝化した)の直線的勾配をかけ、流速15〜50 mL/分、220 nmのPDA検出器により溶出液を監視し、溶出させた。0.1%TFAで緩衝化された水−ACN混合物の20〜70%典型的な勾配、50分間以上、1分につき1%勾配変化が用いられた。溶出された所望の生成物は、1つ10〜20 mL画分に回収され、精製短鎖ペプチドは、それぞれのHPLC画分の凍結乾燥により非結晶質の白色粉末として得られた。
【0097】
精製された短鎖ペプチドのHPLC分析
上述の分取HPLCによる精製後、それぞれのペプチドは、Shimadzu LC-10AD 分析的 HPLCシステムで、分析的RP-HPLCにより分析された。短鎖ペプチドの分析的HPLC分析のために、0.1% TFA 及びACNバッファの直線的勾配で、Luna 5μ;C18;100 A°、寸法 250 x 4.6 mm カラムが用いられ、PDA検出器を用いて、クロマトグラムの収集は220 nmで行われた。
【0098】
質量分析による特性評価
それぞれのペプチドは、フローインジェクション又はLC/MSモードで、エレクトロスプレイイオン化質量分析(ESI-MS)により、特性評価された。トリプル四重極質量分析(API-3000 (MDS-SCIES, Canada)は、正及び負イオンエレクトロスプレイモードで、全ての分析で用いられた。フルスキャンデータは、四重極の質量範囲をかけて得られ、分解能単位で行われた。全ての場合で、実験的に測定された分子量は、計算されたモノアイソトピック分子量の0.5 kDa以内であった。マスクロマトグラムの質量の「定量化は、Analyst 1.4.1ソフトウェアを用いて行われた。
他の一般的な既知の技術、及び好適なその変更とともに、本明細書で記述した合成方法の利用することによって、次の新規短鎖ペプチドは調製された[表2 (i-xix)]。この一覧は、短鎖ペプチドの様々な群を示し、それは、本発明により調製され、少なくともそれらの短鎖ペプチドの明らかな変更を含むことが予想される。しかしながら、そのような開示は、本発明の範囲をいかなる方法でも、制限するものとして解釈されない。表2 (i-xix)において、本発明の新規短鎖ペプチドは、それらの対応する配列番号とともに列挙する。
【0099】
【表6】

【0100】
【表7】

【0101】
【表8】

【0102】
【表9】

【0103】
【表10】

【0104】
【表11】

【0105】
【表12】

【0106】
【表13】

【0107】
【表14】

【0108】
【表15】

【0109】
【表16】

【0110】
【表17】

【0111】
【表18】

【0112】
【表19】

【0113】
【表20】

【0114】
【表21】

【0115】
【表22】

【0116】
【表23】

【0117】
【表24】

【0118】
【表25】

【0119】
【表26】

【0120】
【表27】

【0121】
【表28】

【0122】
【表29】

【0123】
【表30】

【0124】
【表31】

【0125】
【表32】

【0126】
【表33】

【0127】
【表34】

【0128】
【表35】

【0129】
【表36】

【0130】
【表37】

【0131】
【表38】

【0132】
【表39】

【0133】
【表40】

【0134】
【表41】

【0135】
【表42】

【0136】
【表43】

【0137】
【表44】

【0138】
【表45】

【0139】
【表46】

【0140】
【表47】

【0141】
【表48】

【0142】
【表49】

【0143】
【表50】

【0144】
【表51】

【0145】
【表52】

【0146】
【表53】

【0147】
【表54】

【0148】
【表55】

【0149】
【表56】

【0150】
【表57】

【0151】
【表58】

【0152】
【表59】

【0153】
【表60】

【0154】
【表61】

【0155】
【表62】

【0156】
【表63】

【表64】

【0157】
【表65】

【0158】
【表66】

【0159】
新規短鎖ペプチドのインビトロ及びインビボ試験
上述の調製された短鎖ペプチドは、以下:
a) インビボラットPTH−1 Rアゴニスト活性(UMR-106細胞中におけるサイクリックAMP測定);
b) ヒト血漿中、疑似胃液、腸液、及び肝臓ミクロソーム(エクスビボ)でのペプチド安定性;及び
c) OVXラットモデルにおける、インビボ抗−骨粗鬆症活性試験
の試験が行われた。
【0160】
a) インビボラットPTH−1 Rアゴニスト活性(UMR-106 細胞中におけるサイクリックAMP 測定)
PTHRはGPCRであり、PTHRアゴニストはそれと結合し、直通のシグナル伝達は、アデニル化サイクルの活性化を引き起こし、細胞内cAMPレベルが上昇する。新規化合物のアゴニスト活性の観察のために、UMR-106ラット骨粗鬆症細胞(供給元ATCC)は、内生的にラットPTHR、特にPTH-1Rを発現し、PTH-1Rは、試験化合物の様々な濃度で処理され、放出されたcAMPの量が測定された。
【0161】
UMR-106細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、及び1 x Penstrepを含むDMEM栄養培地(Sigma)で培養された。培養された細胞は、96ウェル組織培養プレート中の、10% FBSが補充されたDMEM培地中の、ウェルにつき5 x 104 細胞の密度でプレートされ、有効性の試験2日前に培養された。試験の日は、成長培地は、吸引により慎重に除かれ、細胞は200μlのPBSで一度洗浄され、90μlの反応培地(単純DMEM培地、低グルコース、0.1%BSA (Sigma)、及び1 mMの3-イソブチル−1−メチルキサンチン(Sigma)で、37℃、30分インキュベートされ、その後、90μlの反応培地中で、10μlの試験化合物(濃度1、10及び100 nM)で処理され、周囲温度で30分インキュベートされた。培地は吸引され、60μlの溶解バッファ、酵素供与体(ED)置換試薬、及びcAMP-抗体試薬が加えられ、プレートは周囲温度で1時間インキュベートされた。さらに、酵素受容体(EA)試薬(40μl)が加えられ、発光は、周囲温度で2時間インキュベート後、Top Count L-Max Luminometer (各ウェル20秒間測定)で、測定された。cAMPの標準曲線から、放出されたcAMPの量が決定された。データは、対照(媒体:水)の百分率として計算され、平均±SDが表された。それぞれのペプチドのインビトロPTH-1受容体アゴニスト活性は、表3に列挙された。データは、選択された試験化合物のEC50を決定するために、非直線的回帰曲線適合(シグモイド型用量)により、分析された(Carter P. H., et al., PNAS, 2007, 104(16), 6846-6851; Merritt B. S., J. Cellular Physiology, 2005, 152(3), 520-528; Reid I. R., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 253, 1987, E45-E50).。
【0162】
【表67】

【0163】
【表68】

【0164】
【表69】

【0165】
【表70】

【0166】
b) ヒト血漿中、疑似胃液、腸液、及び肝臓ミクロソーム(エクスビボ)でのペプチドの安定性
異なる短鎖ペプチド(最終濃度2μM)は、プールヒト血漿(7.5μM)、又は疑似胃液(pH 1.5;組成HCl、NaCl、及びペプシン)、又は疑似腸液(pH 7.5)、又はヒト肝臓ミクロソームと、0、2、4、6、12及び24時間(37℃;50 mM トリエタノールアミン−HClバッファ;pH 7.8)インキュベーションされた。ヒト血漿/疑似胃液/疑似腸液/ヒト肝臓ミクロソームの濃度は、1時間以内でPTH(1-34)の約50%の分解を提供する、予備実験で選択され、それゆえ、24時間以上観察されるための時間依存的な分解が許容された。反応は、TFA/H2O (15 mL、10%(v/v))の添加により、終了される。反応生成物は、その後、Vydac C18分析カラム(4.6 x 250 mm)に適用され、主な分解断片は無傷の短鎖ペプチドから分離された。カラムは流速1 mL/minで、TFA/H2Oにより平衡化された。70%アセトニトリル/H2O中の0.1% (v/v) TFAの使用することで、溶出した溶媒中のアセトニトリルの濃度は、10分以上で0%から28%まで、30分以上で28%から42%まで上昇した。吸光度は、206 nmで、UV検出器を用いて観察され、ピークはESI-MS分析に先立って、手作業で回収された。曲線の下の面積は、試験ペプチド、及びそれらの代謝産物のために測定され、分解百分率は、24時間以上の各時間で計算された。ヒト血漿/疑似胃液/疑似腸液/肝臓ミクロソーム(インビトロ)における選択されたペプチドの安定性試験結果を、表4に列挙する。
【0167】
【表71】

【0168】
【表72】

【0169】
【表73】

【0170】
c) OVXラットモデルにおける、インビボ抗−骨粗鬆症活性試験
卵巣摘出(OVX)ラットは、インビボでの試験化合物(短鎖ペプチド)の抗骨粗鬆症活性の試験のために用いられた。OVXラットは、卵巣ホルモン欠乏のため、骨減少が生じる。骨減少は、早ければ、OVXから14日後に発見され、100日後には増加し、その後安定化する(Wronski T. J., et al., Calcif. Tissue Int., 43(3), 1988, 179-183)。
【0171】
OVX動物における、骨マーカー、及び組織形態計測の同化治療効果の評価のための詳細な試験手順:
10〜11週齢の雌性のウィスターラット(150〜200 g)が用いられた。動物は、制御された温度(23° ± 3°C)、照明(12:12時間 明暗サイクル)、相対湿度(55 ± 10%)を備える室内に、個別に換気されたケージ中に置かれた。動物は、標準のラットの食事及び水と自由に接触をもった。本試験を行うための動物の使用の手順は、動物倫理委員会(IAEC)により審査され、承認されている。
【0172】
動物は、識別のためにピクリン酸で印をつけられ、試験開始の二日前に実験室の条件に慣れさせた。骨粗鬆症の誘発のために、ラットは、麻酔下で、両方ともの卵巣摘出がされた。卵巣摘出のために、切開は、動物の腰部近くの背側外側で行われた。その後、卵巣は切除され、静脈は、失血を防ぐために、卵巣切除の前に、結紮糸で縛られた。その後切開は結紮糸で縫合された。
【0173】
双方の卵巣摘出後、動物は4週間休むことが許容される。それらは、その後、それらの体重に基づいて、異なる群(n=9)に分けられた。群は、非処置対照、標準としてのPTH、及び試験化合物(短鎖ペプチド)の1つ又は2つの群からなる。処置は、6週の期間で行われた。処置の最終日に、動物は、絶食下で、尿の回収のために、一晩代謝ケージに置かれた。翌日、最終投与から24時間後に血液は回収され、動物は屠殺された。生物化学的パラメータ、及び骨代謝回転パラメータの変化(血清カルシウムの上昇、及びリン酸レベルの減少、酸ホスファターゼ、及びTRAP)は、尿及び血清で評価された。屠殺後、無傷の大腿骨及び脛骨は、摘出され、付着している組織、筋肉及び腱から除去され、きれいにした;ホルマール生理食塩水(10% ホルムアルデヒド溶液)中で秤量され、回収された。腰椎(L5)は摘出され、慎重に切除され、ホルマール生理食塩水中に回収された。大腿骨、脛骨、及び腰椎-5 (L5)は、後で組織形態計測評価(Zhang L., et al., Tohoku J Exp Med., 1998, 186(2), 131-41; Tanizawa T., et al., Toxicol Lett., 1998,102, 399-403)が行われた。選択されたペプチドの血清カルシウムの上昇、及びリン酸レベルの減少(%変化 対PTH)は表5に列挙する。
【0174】
【表74】

【0175】
【表75】

【0176】
【表76】

【0177】
PTH(1-34)(図A)、及び配列番号111(図B)のインビトロDRC試験(ラットにおけるPTH-1 Rアッセイ)データ(EC50)は、図を代表して、図1に示される。OVX雌性 ウィスターラットにおける、経口投与での、異なる投与量(0.1/0.2/0.3/0.5 mg/kg、経口投与)での、配列番号111((AC3C)-V-Aib-EIQ-(α-Me-2,6-F-Phe)-Nle-HQ-Har-Aib-K-(α-Me-2,6-F-Phe))で処置から6週間後のインビボDRC試験データは、図を代表して、図3に(図A:血清Ca2+ レベルの増加%;図B:血清PO4レベルの減少%)示される。図4は、配列番号111及びPTH(1-34)による処置から6週間後のOVXラットにおける、生物化学的パラメータ及び大腿骨重量の変化を示す。図5、6、及び7は、配列番号111により処置から6週間後のOVXラットにおける、大腿骨、脛骨、及び腰椎の組織学的断面図を示す。
【実施例1】
【0178】
実用性
好ましい実施形態では、本発明は、UMR-106細胞において、親和性の異なる程度(1〜1000 nM 濃度)を有するPTH-1受容体のアゴニストとして機能する短鎖ペプチドを作製する方法を提供する。PTH-1受容体アゴニスト活性は、試験化合物(インビトロ)により放出されたcAMP量の推定により評価された。OVXマウス/ラットモデル(インビボ)において、一部の短鎖ペプチドは、骨成長パラメータの改善を示し、それゆえ、それらは骨粗鬆症の治療及び予防のための、理想的な治療候補となる。
本発明の新規短鎖ペプチドは、上昇した安定性、及び短い鎖長により、様々なタンパク質分解酵素に対して上昇した安定性を示し、そのような短鎖ペプチドはまた、他の侵襲(invensive)及び、非侵襲経路(non-invensive)の投与とともに、経口投与により送達される。
【0179】
本発明の新規短鎖ペプチドは、よく知られている好適な賦形剤と組み合わせることで、好適な医薬的に許容される組成物に製剤され得る。
【0180】
医薬組成物は、従来の技術を用いて提供される。好ましくは、組成物は、本発明による、活性成分の有効量を含む単位剤形、すなわち、式(I)の短鎖ペプチド単独又は組み合わせである。医薬組成物は、知られている方法によって、当該分野で知られている好適な希釈剤、安定化剤、緩衝剤などから選択される好適な賦形剤と、式(I)の化合物と組み合わせることにより、調製され得る。
【0181】
医薬組成物、及びその単位剤形において、活性成分、すなわち、本発明による式(I)の短鎖ペプチドの量は、特定の適用方法、特定の短鎖ペプチドの有効性、及び所望の濃度に依存して、幅広く変更又は調整され得る。一般的に、活性成分の量は、組成物の重量の0.5%〜90%に及ぶ。
【0182】
従って、本発明の短鎖ペプチドは、哺乳動物、好ましくはヒトに、様々な症状、及び疾患の治療のために投与され、制限されることなく、骨粗鬆症、例えば、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、末端肥大症、1型糖尿病、副腎機能障害)、遺伝的及び先天性型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、及びライリー・デイ症候群)、栄養及び胃腸疾患、血液疾患/悪性腫瘍(多発性骨髄腫、リンパ腫、白血病、血友病、サラセミア)、運動不足による骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、又はリウマチ疾患(間接リウマチ、脊椎炎)、骨髄炎、又は骨減少に導かれる骨の感染病巣など、の治療又は予防することを含む。
【0183】
固形腫瘍及び、血液悪性腫瘍により生じる高カルシウム血症、甲状腺機能亢進症及び腎機能障害に関連する特発性高カルシウム血症、及び高カルシウム血症。ステロイド投与により引き起こされ、及び小腸及び大腸の疾患、並びに慢性肝疾患及び腎疾患に関連した外科手術に続く骨減少。外傷に関連する骨壊死若しくは骨細胞死、又はゴーシェ病、鎌状赤血球貧血、全身性エリテマトーデス、及び他の疾患に関連する非外傷性大腿骨頭壊死。歯周骨減少、溶骨性骨転移、骨折治療、及び例えば、乾癬のような過剰増殖性皮膚疾患。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、-NH-R1又はR3-CO-NH-基を表し、R1は水素、ビオチン、又は随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖、又は、好適なアミノ酸、例えばピログルタミン酸(Pyr)、Pro(P)、アルファ‐メチル-プロリン(αMe-P)、Val(V)、N-メチル-バリン(NMe-V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Lys(ビオチン)、Lys(アルキル)、Lys (アセチル)など、を示し;R3は、直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖、(C1-6)アルコキシル、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールアルキル基から選択され、それぞれの基はさらに好適な置換基で置換され;
「B」は、-COOR2、-CONHR2、又はCH2OR2を示し、R2は水素、又は、Val(V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Lys(ビオチン)、Lys(アルキル)、Lys(アセチル)から選択される好適なアミノ酸を示し;Z1、Z3、及びZ12のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Ser(S)、アルファ-メチル-セリン(αMe-S)、Val(V)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Pro(P)、アルファ-メチル-プロリン(αMe-P)、Gly(G)、Ala(A)、α-アミノイソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z2は、Val(V)又はαMe-Val (αMe-V)を表し;Z4、Z6、及びZ10のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、ホモグルタミン酸(HoGlu)、2-アミノ-4-シアノブタン酸(Abu(CN))、Asp(D)、Asn(N)、Gln(Q)、Aibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z5、Z7、及びZ9のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile(I)、Nle(ノルロイシン)、Nva(ノルバリン)、HoLeu(ホモロイシン)、Abu(CN)、His(H)、Phe(F)、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)、又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)基からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;
Z8は、Met、N-メチル-Met((NMe)M)、アルファ-メチル-Met(αMe-M)、アルファ-メチル-バリン(αMe-V)、Leu、Nle、N-メチル-Nle((NMe)Nle)、アルファ-メチル-ノルロイシン(αMe-Nle)、Nva、HoLeu、エチオニン(EtMet)、セレノメチオニン(SMet)、Valからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;
Z11、及びZ13のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Aib、Pro(P)、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、リジン(ニトロ);K(NO2)、アルギニン(R)、アルギニン(ニトロ);(Arg(NO2))、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、オルニチン(ニトロ);Orn(NO2)、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、Phe(F)、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)、又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;
Z14は、2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe)[αMe-Bip(OMe)]、αMe-Trp、アルファ-メチル-フェニルアラニン(-α-Me-Phe-)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)又は2-フルオロフェニルアラニン(-2F-Phe-)基からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;
Z15は、存在する又は存在せず、Z15は、存在する場合、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す]
の配列を有する単離された短鎖ペプチド、その互変異性体、又はその溶媒和物。
【請求項2】
「A」が、-NH-R1又はR3-CO-NH-基を表し、R1が水素、ビオチン、又はピログルタミン酸(Pyr)、Pro(P)、及びVal(V)から選択される好適なアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
R3が、さらに置換されている直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
「B」が、-COOR2、-CONHR2を表し、R2が水素、又はVal(V)、アルファ-メチル‐バリン(αMe-V)又はLys(ビオチン)から選択される好適なアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Z1、Z3、及びZ12のそれぞれが、同一、又は異なっており、独立に、Ala(A)、α-アミノイソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Z2が、Val(V)を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
Z4、Z6、及びZ10のそれぞれが、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、Gln(Q)、又はAibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
Z5、Z7、及びZ9のそれぞれが、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile(I)、Nle、HoLeu(ホモロイシン)、His(H)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
Z8が、Met、アルファ-メチル-Met(αMe-M)、Nle、N-メチル-Nle((NMe)Nle)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
Z11、及びZ13のそれぞれが、同一、又は異なっており、独立に、Aib、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、K(NO2)、アルギニン(R)、Arg(NO2)、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、Orn(NO2)、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン((-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
Z14が、2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe)[αMe-Bip(OMe)]、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、又はアルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
Z15が、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
アリール基が、フェニル、ナフチル、インダニル、フルオレニル、又はビフェニル、基から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
ヘテロアリール基が、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル基から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
前記置換基が、存在する場合、ヒドロキシル、オキソ、ハロ、チオ、ニトロ、アミノ、アルキル、アルコシル、ハロアルキル、又はハロアルコシル基から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
【化2】

「A」は、-NH-R1又はR3-CO-NH-基を表し、R1は水素、ビオチン、又はピログルタミン酸(Pyr)、Pro(P)、Val(V)から選択される好適なアミノ酸を表し;R3は、随意に置換された直鎖若しくは分岐の(C1-18)アルキル鎖から選択され;「B」は、-COOR2、-CONHR2を表し、R2は請求項1で定義された通りであり;Z1、Z3、及びZ12のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Ala(A)、α-アミノ-イソブチル酸(Aib)、1-アミノシクロプロパンカルボキシル酸(AC3C)、1-アミノシクロペンタンカルボキシル酸(AC5C)、1-アミノシクロヘキサンカルボキシル酸(AC6C)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z2はVal(V)を表し;Z4、Z6、及びZ10のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Glu(E)、Gln(Q)、Aibからなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z5、Z7、及びZ9のそれぞれは、同一、又は異なっており、独立に、Leu(L)、Ile(I)、Nle、HoLeu(ホモロイシン)、His(H)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z8は、Met、アルファ-メチル-Met(αMe-M)、Nle、N-メチル-Nle((NMe)Nle)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z11、及びZ13は、同一、又は異なっており、独立に、Aib、αMe-Pro、リジン(K)、リジン-ビオチン(K(ビオチン))、K(NO2)、アルギニン(R)、Arg(NO2)、ホモアルギニン(Har)、オルニチン(Orn)、Orn(NO2)、シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(HoCit)、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z14は、2’-エチル-4’-メトキシ-ビフェニルアラニン(Bip(OMe))、α-メチル化Bip(OMe)[αMe-Bip(OMe)]、アルファ-メチル-2-フルオロフェニルアラニン(-α-Me-2F-Phe-)、アルファ-メチル-2,6-ジフルオロフェニルアラニン(-α-Me-2,6-F-Phe-)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表し;Z15は存在する際、2-アミノ-5-フェニルペンタン酸(APPA)、又は2-アミノ-2-メチル-5-フェニルペンタン酸(α-Me-APPA)からなる群から選択される天然に又は非天然に生じるアミノ酸を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
以下:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

から選択される式(I)の化合物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、及び好適な医薬的に許容される賦形剤(複数)を含む医薬組成物。
【請求項19】
PTH-1受容体のアゴニストとして作用する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はそれらの医薬組成物。骨粗鬆症、特に原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、遺伝的及び先天性型骨粗鬆症の進行、又は発病を治療又は遅延するために有用な、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物又はそれらの医薬組成物。
【請求項20】
原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症、遺伝的及び先天性型の骨粗鬆症、固定化、慢性閉塞性肺疾患、又はリウマチ性疾患(関節リウマチ、脊椎炎)による骨粗鬆症、により引き起こされる疾患を予防又は治療する方法。それを必要とする患者のために、請求項1〜17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の有効な毒性を示さない量を投与することを含む、骨損失合併症につながる、骨髄炎、又は骨の感染病巣。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、及び医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は溶媒和物を、それを必要とする患者に投与することを含む、請求項19又は20に記載したいずれかの病状を治療/減少させるための医薬。
【請求項22】
請求項19又は20に記載の疾患の治療に好適な薬剤としての、請求項1〜17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、その医薬組成物、及びそれらを含む医薬、の使用。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−524775(P2012−524775A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506651(P2012−506651)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000264
【国際公開番号】WO2010/128521
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(304023824)カディラ ヘルスケア リミティド (12)
【Fターム(参考)】