説明

割引案内装置

【課題】有料道路の走行中に割引の適用の有無を運転者に案内する。
【解決手段】高速道路等の有料道路において、割引対象となる条件(対象時間帯、走行距離等)を記憶しておき、次のインターチェンジ(IC)を通過した場合に割引が適用されなくなる場合には、その旨の案内を行う。例えば、「次が通勤割引が適用される最後のICです」、又は、「次のICを通過すると通勤割引が適用されなくなります」等の案内を音声と画面表示により行う。次のICの通過により、割引が適用される最後のICの出口手前で、その旨を運転者に案内することで、運転者は割引適用の有無を認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割引案内装置に係り、例えば、ETCシステムを利用して特定の有料道路を走行する場合の割引の案内に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路などの有料道路において、料金所における渋滞解消、キャッシュレスによる運転者の利便性向上、管理の効率化による高速道路管理者のコスト削減等の目的から、料金所で現金や回数券等による料金徴収ではなく、自動的に料金を徴収する自動料金徴収システムとして、ETC(Electronic Toll Collection)システムが広く採用されている。
ETCシステムでは、混雑の解消や、システムの普及等を目的として、一定の条件を満たす場合に徴収料金を割り引いて適用される場合がある。例えば、100(km)までの走行の場合に走行料金が半額になる割引サービスがある。
【0003】
このようなETCシステムにおける料金の割引を有効に活用する技術として、目的地までの経路探索を行う場合に、割引が適用されるような誘導経路を探索する技術について特許文献1が提案されている。
【特許文献1】特開2007−3372
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献記載技術は、目的地までの誘導経路を探索する場合の技術である。このため、そもそも誘導経路の探索を行わずに有料道路を走行する場合には何ら案内がされない。
従って、上記特許文献記載技術では、実際に有料道路を走行している状態において、例えば、距離制限のある割引サービス等で、割引対象区間から外れてしまうタイミングを知ることができなかった。また、例えば、時間帯制限のある割引サービス等で、割引対象時間帯から外れてしまうタイミングも知ることができなかった。
このため、割引対象区間を通りすぎて走行してしまったり、割引開始時間前に有料道路を降りてしまい、通常料金の高速料金を支払う必要になることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、有料道路の走行中に割引の適用の有無について運転者が認識可能な割引案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に記載した発明では、自車が特定の有料道路を走行中か否かを検知する有料道路検知手段と、自車が前記特定の有料道路を走行している場合、前方に存在する第1のインターチェンジを検出する検出手段と、前記第1のインターチェンジの次に存在する第2のインターチェンジまで走行した場合に走行料金の割引が適用されるか否かを判断する割引判断手段と、前記割引が適用されないと判断した場合に、前記第1のインターチェンジの手前でその旨を案内する割引案内手段と、を割引案内装置に具備させて前記目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載の割引案内装置において、前記割引案内手段は、前記第1のインターチェンジが、通過することにより割引が適用されなくなるインターチェンジである場合、又は通過することにより割引が開始されるインターチェンジである場合に、その旨の案内を行う、ことを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置において、走行距離による割引条件を記憶した距離条件記憶手段を備え、前記有料道路の走行を開始した走行開始地点から前記第2のインターチェンジまでの走行距離を取得する距離取得手段と、を備え、前記割引判断手段は、前記取得した走行距離が前記走行距離による割引条件を満たすか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、ことを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置において、時間帯による割引条件を記憶した時間帯条件記憶手段と、前記第1のインターチェンジを通過する第1時刻を推定する第1推定手段と、前記第2のインターチェンジを通過する第2時刻を推定する第2推定手段を備え、前記割引判断手段は、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間帯の少なくとも一部が前記割引条件の時間帯と重複するか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、ことを特徴とする。
(5)請求項5に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置において、時間帯による割引条件を記憶した時間帯条件記憶手段と、前記第1のインターチェンジを通過する第1時刻を推定する第1推定手段と、を備え、前記割引判断手段は、前記有料道路の走行を開始した走行開始地点における時刻から前記推定した第1時刻までの時間帯の少なくとも一部が、前記割引条件の時間帯と重複するか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のインターチェンジから、その次に存在する第2のインターチェンジまで走行した場合に走行料金の割引が適用されるか否かを判断し、割引が適用されないと判断した場合に、第1のインターチェンジの手前でその旨を案内するので、割引の適用の有無について運転者が認識可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の割引案内装置をナビゲーション装置により実現した好適な実施の形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
高速道路等の有料道路において、割引対象となる条件(対象道路、対象時間帯、対象走行距離、対象区間等)を記憶しておき、次のインターチェンジ(IC)を通過した場合に割引が適用されるか否かを判断する。
そして、次のIC(第1のインターチェンジ)を通過することで、割引が適用されなくなる場合には、その旨の案内を行う。例えば、「次が通勤割引が適用される最後のICです」、又は、「次のICを通過すると通勤割引が適用されなくなります」等の案内を音声と画面表示により行う。
また次のICまでの間にジャンクション(JCT)により有料道路が分岐している場合、ジャンクションの先に最初に存在するICの中に、割引が適用されなくなるICが存在する場合、例えば「A方面は次が通勤割引が適用される最後のICです」のように、割引が適用されなくなるICの方面と共にその旨の案内を行う。
【0009】
また、現在は割引条件を満たしていないが、次のICを通過すると割引条件を満たして割引が開始される場合にはその旨の案内、例えば「次のICを通過すると○○割引の適用が開始されます。」、「次のICを通過しないと○○割引が適用されません」等を行う。
【0010】
このように次のICの通過により、割引が適用される最後のICの出口手前や、割引の適用が開始されるICの出口手前で、その旨を運転者に案内することで、運転者は割引適用の有無を認識することができる。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態の割引案内装置が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図1に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを具えている。
【0012】
ナビゲーション装置は、伝送路45を介してETC車載器70と接続されており、ETC車載器70から有料道路の入口情報と出口情報を取得するようになっている。
ETC車載器70は、各料金所ゲートに設置された料金所アンテナとの間で無線通信を行うようになっており、有料道路に入った場合に料金所アンテナから入口情報(ICの情報)を受信し、ナビゲーション装置に供給する。
また、有料道路から出る場合に料金所アンテナに入り口情報を送信し、料金所アンテナから料金情報を受信する。この際、ナビゲーション装置に対して有料道路から降りたことを示す出口情報を供給する。
【0013】
現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0014】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。
また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0015】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
【0016】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0017】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御、及び本実施形態における割引適用案内処理等を行う。
第1のROM22はナビゲーションに関するプログラム、特に、現在位置の検出、経路の探索、表示案内などに関するナビゲーションプログラム、及び割引適用案内プログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0018】
RAM24は、後述する入力装置により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0019】
第2のROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、走行経路案内、地点案内、割引適用案内等の各種の音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。
画像プロセッサ27は、CPUで処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、現在の時刻を検出する。時計28で検出した時刻は、本実施形態における時間帯条件を満たすか否かを判断する場合に使用される。
画像メモリ29は、画像プロセッサにより処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0020】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
【0021】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、詳細目的地データファイル58、目的地読みデータファイル59、割引適用条件ファイル60、IC間距離データファイル61、その他のデータファイル62を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
【0022】
割引適用条件ファイル60には、各有料道路に対して規定されている、割引が適用されるための各種条件について格納されている。
本実施形態では、有料道路に次の各割引条件が規定され、割引適用条件ファイル60に格納されているものとする。
(a)深夜割引
時間帯条件…深夜時間帯(0時〜4時)に走行していること
距離条件…なし(距離無制限)
(b)通勤割引
時間帯条件…6時〜9時、又は17時〜20時に走行していること
距離条件…100(km)以内の区間
(c)早朝夜間割引
時間帯条件…22時〜6時
距離条件…100(km)以内の区間
【0023】
IC間距離データファイル61には、距離条件を判定するためのデータで、割引が規定されている有料道路の各IC間の距離が格納されている。
本実施形態において各IC間の距離は、割引に適用される距離として有料道路の運用主体が公表している値が採用される。
なお、各IC間の距離は、道路データファイル54に格納されている距離データの積算により算出するようにしてもよい。
【0024】
次に、以上の通り構成されたナビゲーション装置による割引適用案内の処理について説明する。
図2は、割引適用案内処理の内容を表したフローチャートである。
この割引適用案内処理は、ETC車載器70から入口情報が供給されることで開始する。
まず情報処理制御装置20は、ETC車載器70から供給された入口情報から、有料道路に乗った時刻T0と、ETCゲートを通過したIC(以下起点ICという)をRAM24に記憶する(ステップ10)。なお、入口情報に時刻T0がない場合には、入口情報が供給された時刻を時計28から読み取り、所定エリアに記憶しておく。
ついで、情報処理制御装置20は、次のICを道路データファイル54から取得する(ステップ11)。
【0025】
また情報処理制御装置20は、時間帯条件を満たしているか否かを判断する(ステップ12)。
すなわち、情報処理制御装置20は、割引適用条件ファイル60に格納された時間帯条件を読み出し、時刻T0から時計28で検出した現在時刻までの時間帯の少なくとも一部が時間帯条件の時間帯と重複しているか否かを判断し、重複している場合には時間帯条件を満たすと判断する。
【0026】
時間帯条件を満たしている場合(ステップ12;Y)、情報処理制御装置20は、更に、現在、距離条件を満たしているか否かを判断する(ステップ13)。
すなわち、情報処理制御装置20は、起点ICから現在位置までの距離を算出し、距離条件を満たしているか否かを判断する。
起点ICから現在位置までの距離は、起点ICから最後に通過したICまでの距離(IC間距離データファイル61を使用して算出)と、最後に通過したICから現在位置までの距離(道路データファイル54を使用して算出)とから算出する。
【0027】
なお、深夜割引のように、距離条件が規定されていない場合には、距離条件を常に満たす距離N(km)が規定されているものとして判断する。例えば、有料道路の最大距離よりも大きな距離、または無限大に規定されているものとして判断する。
この判断は、距離についての全ての判断に対して行われる。
【0028】
距離条件を満たしていない場合(ステップ13;N)、割引対象となる距離を超えて走行してるので割引対象の案内をすることなく、ステップ17に移行する。
【0029】
一方、距離条件を満たしている場合(ステップ13;Y)、情報処理制御装置20は、道路データファイル54を使用し、次のICの先(次のICとその先のICとの間)に分岐点(ジャンクション;JCT)が存在するか否かを判断する。
【0030】
次のICの先にJCTが存在しない場合(ステップ14;N)、情報処理制御装置20は、次のICを通過すると割引対象でなくなるか否かを判断する(ステップ15)。
すなわち、情報処理制御装置20は、起点ICから次のICの更に次のIC(第2のIC)までの距離をIC間距離データファイル61を使用して算出し、算出した距離が距離条件を満たしているかにより判断する。
【0031】
次のICを通過しても割引対象である場合、すなわち、起点ICから第2のICまでの距離が距離条件を満たしていれば(ステップ15;N)、情報処理制御装置20は処理をステップ17に移行する。
一方、次のICを通過した場合に割引対象でなくなる場合、すなわち、起点ICから第2のICまでの距離が距離条件を満たさない場合(ステップ15;Y)、情報処理制御装置20は、次のICの手前所定の距離の地点で割引対象外になることを案内する(ステップ16)。
【0032】
図3は、距離条件により割引対象の適用がされなくなる状態の説明図である。
図3に示されるように、起点IC1で有料道路に乗り入れ、時間帯条件は満たしているものとする。また、起点IC1から距離条件100(km)の地点がIC4とIC5の地点に存在するとする。
この場合、車両がIC1からIC3までの区間を走行中は、次のICを通過してもその先のIC3又はIC4で有料道路から降りることで割引の適用を受けることができるため(ステップ15;N)、割引適用についての案内は行わない。
【0033】
一方、車両がIC3を通過すると、次のIC4で有料道路から降りた場合には割引の適用を受けることができるが、IC4を通過してしまうと更に次のIC5(第2IC)では、距離条件100(km)を超えてしまい、割引対象でなくなってしまう。
そこで、情報処理制御装置20は、割引適用を受けることが出来る最後のICであるIC4から所定の距離だけ手前の地点で、次で降りないと割引が適用されなくなることを報知する。報知は、音声出力及びディスプレイ42への画像表示により行う。
【0034】
音声出力及び画像表示の内容としては、図3に示されるように、「次が○○割引が適用される最後のICです」、「次のICを通過すると通勤割引が適用されなくなります」等のように、次のICを通過すると割引対象外となることを報知する。
【0035】
図2に戻り、次のICの先にJCT(ジャンクション;分岐点)が存在する場合(ステップ14;Y)、情報処理制御装置20は、JCTの先の各道路に存在する最初のICまで走行した場合に割引対象でなくなるICがあるか判断する(ステップ18)。
情報処理制御装置20は、割引対象でなくなるICがない場合、すなわち、起点ICからJCTの先の最初の各ICまでの距離が全て距離条件を満たしている場合(ステップ18;N)、割引適用の案内をすることなくステップ17に移行する。
【0036】
一方、割引対象でなくなるICがある場合、すなわち、起点ICからJCTの先の最初のICまでの距離が距離条件を満たさない場合(ステップ18;Y)、情報処理制御装置20は、割引対象外になる方面とその旨を案内する(ステップ19)。
【0037】
図4は、次のICの先にJCTが存在する場合の割引対象の適用についての説明図である。
図4に示されるように、起点IC1で有料道路に乗り入れ、時間帯条件は満たしているものとする。また、距離条件100(km)を満たしているIC4の先にJCTが存在し、起点IC1から距離条件100(km)の地点がIC5の先、及びJCTとIC6の間の地点に存在するとする。
この場合、車両がIC4を通過した後、JCTをB方面に走行してIC5で降りた場合には割引適用を受けることができるが、A方面に走行してIC6で降りた場合には割引適用を受けることができない(ステップ18;Y)
そこで情報処理制御装置20は、IC4から所定距離だけ手前の地点において、A方面に進行した場合には割引対象外となる旨を報知(案内)する(ステップ19)。
【0038】
例えば、IC4の手前地点において「A方面は次が○○割引が適用される最後のICです」、「次のIC4を通過してA方面に走行すると○○割引が適用されなくなります」等のように、割引対象外になる方面とその旨を報知する。
なお、車両がIC4を通過し、JCTをB方面に向かった場合、IC5を通過すると割引が適用されなくなるので(ステップ15;Y)、再度IC5の手前でその旨が報知される(ステップ16)。
【0039】
経路探索による走行経路が設定されていない場合には、運転者が割引適用される方面(図4ではB方面)に行くか、適用されなくなる方面(A方面)に行くかをナビゲーション装置が認識することができない。また、たとえ割引が適用される方面の走行経路が設定されていたとしても、運転者はJCTにおいて進路変更をし別方向に走行する可能性もある。
このため、本実施形態のように、JCT手前のICにおいて、JCTの先の進行方向により割引の適用がされるか否かを判断し、適用されない方面がある場合にその旨を報知することで、割引適用の有無を確実に運転者に知らせることができる。
【0040】
図2に戻り、ステップ12において時間帯条件を満たしていないと判断した場合(ステップ12;N)、情報処理制御装置20は、次のICを通過する時刻T1と、2番目のIC(次のICのその次のIC;第2のIC)を通過する時刻T2を推定する。
時刻T1/T2は、車両の現在位置から、次のICまでの距離/第2のICまでの距離と、現在の車速(又は、起点IC若しくは直前に通過したICから現在位置までの平均車速)とから推定する。
【0041】
情報処理制御装置20は、時間帯T1〜T2の少なくとも一部が時間帯条件の時間帯を重複し、時間帯条件を満たすか否かを判断する(ステップ21)。すなわち、次のICを通過して、第2のICまで走行している間に時間帯条件の開始時間(例えば、通勤割引の場合には6時)となるか否かを判断する。
【0042】
続いて情報処理制御装置20は、2番目のICまで走行しても距離条件を満たすか否かを判断する(ステップ22)。
2番目のICまで走行した場合に距離条件を満たさない場合、すなわち、起点ICから2番目のICまでの距離が距離条件の距離(本実施形態では100(km))を越える場合には(ステップ22;N)、次のICを通過しても割引の適用が開始されないので、適用開始の案内を行わずにステップ17に移行する。
【0043】
2番目のICまで走行しても距離条件を満たす場合(ステップ22;Y)、情報処理制御装置20は、次のICを通過すれば割引の適用が開始されることを案内する(ステップ23)。
例えば「次のICを通過すると○○割引の適用が開始されます」、「次のICを通過しないと○○割引が適用されません」等の報知を音声及び画像表示により行う。
【0044】
以上の各種案内を行った後(ステップ16、19、23)、及び案内を行わない場合(ステップ13、15、18、21、22;N)、情報処理制御装置20は、車両がICを降りたか否かを判断する(ステップ17)。
すなわち、ETC車載器70から出口情報を取得しないでICを通過した場合(ステップ17;N)、情報処理制御装置20はステップ11に戻り、次のICについて同様に割引適用の案内を行う。ICの通過についてはマップマッチングにより行う。
一方、ETC車載器70から出口情報を取得した場合、情報処理制御装置20は、ICを降りたと判断して(ステップ17;Y)、処理を終了する。
【0045】
以上説明したように本実施形態の割引案内装置によれば、次のICの通過により割引が適用される最後のICの手前や、次のICの通過により割引の適用が開始されるICの出口手前で、その旨を運転者に案内することで、運転者は割引適用の有無を認識することができる。
【0046】
以上、本発明の割引案内装置における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、有料道路の割引として前記深夜割引、通勤割引、早朝夜間割引が規定されており、これに対応した時間帯条件、距離条件が割引適用条件ファイル60に格納されている場合の、割引適用案内処理について説明した。
割引条件としてはこれらに限られるものではなく、いずれかの有料道路において規定されている割引の条件であればその有料道路に対する割引条件として割引適用条件ファイル60に格納する。そして、格納した条件が適用される最後のICや、次のICの通過により割引の適用が開始されるICの出口手前でその旨の案内を行う。
【0047】
例えば、有料道路の割引条件としては、次のような条件が考えられ、これらの条件に対応して割引案内の有無についての判断と案内を行う。
(a)所定の時間帯に走行していること
(b)所定の距離N1(km)以内の走行であること
(c)所定の距離N2(km)以上の走行であること
(d)所定の区間(IC間)を走行すること
(e)(a)と(b)の双方を満たすこと
(f)(a)と(c)の双方を満たすこと
(g)(a)と(d)の双方を満たすこと
(h)所定地域の高速道路であること
(i)(a)〜(g)のいずれかと、(h)の双方を満たすこと
【0048】
また説明した実施形態では、有料道路に乗ったこと、及び有料道路から降りたことをETC車載器70から供給される入口情報、出口情報から判断する場合について説明したが、ナビゲーション装置のパップマッチング処理により車両が割引の適用がされる有料道路の料金所を通過(有料道路の入場と退場)したか否かを判断するようにしてもよい。
【0049】
また説明した実施形態では、割引案内装置をナビゲーション装置により実現した場合について説明したが、ナビゲーション装置とは別に独立した装置により構成するようにしてもよい。
この場合、ナビゲーション装置を備えた車両である場合、現在位置検出装置や地図データ等のナビゲーション装置と共通する部分については、ナビゲーション装置からデータを取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態の割引案内装置が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】割引適用案内処理の内容を表したフローチャートである。
【図3】距離条件により割引対象の適用がされなくなる状態の説明図である。
【図4】次のICの先にJCTが存在する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
40 入出力装置
50 情報記憶装置
60 割引適用条件ファイル
61 IC間距離データファイル
70 ETC車載器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車が特定の有料道路を走行中か否かを検知する有料道路検知手段と、
自車が前記特定の有料道路を走行している場合、前方に存在する第1のインターチェンジを検出する検出手段と、
前記第1のインターチェンジの次に存在する第2のインターチェンジまで走行した場合に走行料金の割引が適用されるか否かを判断する割引判断手段と、
前記割引が適用されないと判断した場合に、前記第1のインターチェンジの手前でその旨を案内する割引案内手段と、
を具備したことを特徴とする割引案内装置。
【請求項2】
前記割引案内手段は、前記第1のインターチェンジが、通過することにより割引が適用されなくなるインターチェンジである場合、又は通過することにより割引が開始されるインターチェンジである場合に、その旨の案内を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の割引案内装置。
【請求項3】
走行距離による割引条件を記憶した距離条件記憶手段を備え、
前記有料道路の走行を開始した走行開始地点から前記第2のインターチェンジまでの走行距離を取得する距離取得手段と、を備え、
前記割引判断手段は、前記取得した走行距離が前記走行距離による割引条件を満たすか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置。
【請求項4】
時間帯による割引条件を記憶した時間帯条件記憶手段と、
前記第1のインターチェンジを通過する第1時刻を推定する第1推定手段と、
前記第2のインターチェンジを通過する第2時刻を推定する第2推定手段を備え、
前記割引判断手段は、前記第1時刻から前記第2時刻までの時間帯の少なくとも一部が前記割引条件の時間帯と重複するか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置。
【請求項5】
時間帯による割引条件を記憶した時間帯条件記憶手段と、
前記第1のインターチェンジを通過する第1時刻を推定する第1推定手段と、を備え、
前記割引判断手段は、前記有料道路の走行を開始した走行開始地点における時刻から前記推定した第1時刻までの時間帯の少なくとも一部が、前記割引条件の時間帯と重複するか否かにより、割引が適用されるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の割引案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−225966(P2008−225966A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64731(P2007−64731)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】