説明

創エネルギシステム

【課題】集合住宅で持続的に創出される創エネルギに対してポイント還元することができる創エネルギシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】創エネルギとして発電する太陽光発電装置14を複数の入居者が居住する集合住宅12に設け、太陽光発電装置14によって発電された電力の対価に対応する予め定めたポイントを算出して、入居者や大家が所有する蓄電量ポイントカード30に記録することによって付与する。そして、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントを利用して、自動車20に搭載された車両用蓄電池22を充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創エネルギシステムにかかり、特に、太陽光発電等の各種発電装置などの創エネルギ創出手段によって創出されたエネルギに対応する特典を付与する創エネルギシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題等を考慮して、太陽光発電や、風力発電、燃料電池等の発電装置によって発電される電力などの創エネルギーを利用する技術が注目を集めている。
【0003】
また、CO2などの温室効果ガスの発生の少ない電気製品や自動車等の購入に対して温室効果ガスの削減量に応じた対価としてエコポイントなどを付与することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の技術では、電気自動車を利用することによって削減できる温室効果ガス排出量に応じてエコポイントを付与して運用するエコポイント管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、自動車利用者や、充電設備の設置者、設置場所の所有者、充電電力の供給者等にエコポイントを還元することが提案されているが、太陽光発電装置などの創エネルギを創出する創出手段で創出したエネルギについては考慮されていないため、改善の余地がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術では、自動車の利用者などの個人にポイントを還元することが提案されているが、複数の入居者がいる集合住宅などに太陽光発電装置等を設ける場合が想定されていないため、改善の余地がある。
【0008】
さらに、上述のエコポイントなどのポイントは、製品の購入時に付与されるものであって、購入後に付与されるものではないので、太陽光発電などの創エネルギの創出手段により購入後も持続的に創出される創エネルギに対して付与するポイントについては考慮されていないため、ポイントの付与方法について改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、集合住宅で持続的に創出される創エネルギに対して特典を還元することができる創エネルギシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、複数の入居者が居住する集合住宅に設けられ、創エネルギを創出する創出手段と、前記創出手段によって創出された創エネルギに対応する予め定めた特典を、前記入居者及び前記集合住宅の大家の両方、又は少なくとも一方に選択的に付与する付与手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、複数の入居者が居住する集合住宅に設けられた創出手段では、創エネルギが創出される。創出手段は、例えば、太陽光発電装置、風量発電、燃料電池等の各種発電装置によって創エネルギとしての電力を発電するものを適用することができる。
【0012】
また、付与手段では、創出手段によって創出された創エネルギに対応する予め定めた特典が入居者及び集合住宅の大家の両方、又は少なくとも一方に選択的に付与される。付与手段は、特典として、創エネルギそのものを付与するようにしてもよいし、創エネルギの対価に対応するポイントや、創エネルギ量に応じた料金等を付与するようにしてもよい。例えば、特典としてポイントを付与する場合には、当該ポイントを自動車の充電や給油時等の対価として利用可能なポイントとして予め定めることにより、創エネルギに対する対価としてのポイントを還元することができる。また、集合住宅に設けた創出手段によって創出される創エネルギに対してポイント等の特典を還元するので、集合住宅で持続的に創出される創エネルギに対して特典を還元することができる。
【0013】
付与手段は、例えば、請求項2に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の電力使用量を差し引いた創エネルギ量に対して特典を付与するようにしてもよい。この場合には、請求項3に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量がプラスの場合に、予め定めた値倍の特典を付与するようにしてもよい。これによって、節約のご褒美として特典を付与することができる。
【0014】
また、付与手段は、請求項4に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量に応じて特典を大家のみに付与するようにしてもよいし、請求項5に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量に応じて特典を入居者全員に均等に付与するようにしてもよいし、請求項6に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から入居者数で均等配分した創出量から集合住宅の各住宅で使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて特典を付与するようにしてもよいし、請求項7に記載の発明のように、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量を各入居者で均等配分し、均等配分された創エネルギ量から集合住宅の各住宅で使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて特典を付与するようにしてもよい。
【0015】
また、請求項8に記載の発明のように、自動車に搭載された蓄電池を充電する充電手段を更に備えて、付与手段が、創出手段によって創出された創エネルギの創出量から集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量を各入居者で均等配分し、均等配分された創エネルギ量から、集合住宅の各住宅で使用した電力量及び充電手段によって蓄電池を充電する際に使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて特典を付与するようにしてもよい。
【0016】
なお、請求項1〜8の何れか1項に記載の発明は、請求項9に記載の発明のように、付与手段によって付与された特典を表示するための表示手段を更に備えるようにしてもよい。ここで、表示手段は、集合住宅の大家や入居者等の宅内に設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、集合住宅で持続的に創出される創エネルギに対応する特典を還元することができる創エネルギシステムを提供することできる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステムのポイント管理装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】予め登録されたスタンドでポイントを利用して充電または給油を行う際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステムの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステムのポイント管理装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態に係わる創エネルギシステムは、太陽光発電装置等の各種発電装置によって発電された電力(創エネルギ)に対応する予め定めた特典を還元するものである。還元する特典としては、創エネルギの対価を予め定めたポイントとして還元する例を説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステムの概略構成を示す図である。なお、図1中の実線は電力の流れを示し、点線は情報の流れを示すものとする。
【0021】
本実施形態における創エネルギシステム10は、図1に示すように、集合住宅12に太陽光発電装置14を備えている。
【0022】
太陽光発電装置14は、蓄電装置16に接続されており、太陽光発電装置14によって発電された電力が蓄電装置16に蓄電されるようになっている。蓄電池は、急速充電等を行う使用方法では、2〜3年程度で寿命がつきるが、最適充電領域で蓄電池を使用した場合には、10年程度の寿命となるので、本実施の形態では、蓄電装置16の電力容量を20%〜80%程度で使用することが望ましい。80%以上で寿命が縮む恐れがあり、20%以下では充電した電力によって正常に電気的に接続された装置等の動作が行われない可能性がある。
【0023】
また、蓄電装置16は、EV(電気自動車)&PHV(プラグインハイブリッド自動車)車用充電装置18に接続されており、蓄電装置16に蓄電された電力をEV&PHV車用充電装置18に供給可能とされている。また、蓄電装置16は、太陽光発電装置14によって発電された発電量を検出する機能を備えている。
【0024】
EV&PHV車用充電装置18は、集合住宅12の駐車場等に設けられ、集合住宅12の入居者や大家が所有するEVやPHV等の自動車20に搭載された車両用蓄電池22の充電を行う。また、EV&PHV車用充電装置18は、車両用蓄電池22を充電した場合に、充電時に使用した電力量を検出可能とされており、本実施形態では、充電時に使用した電力量に応じて課金するようになっている。
【0025】
本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステム10は、太陽光発電装置14によって発電される電力(創エネルギ)に対する対価としてのポイントを還元するため、ポイントを管理するポイント管理装置24を備えている。
【0026】
ポイント管理装置24は、蓄電量ポイントカード記録発行装置26と、蓄電量ポイントカード読取記録装置28と、を備えており、蓄電量ポイントカード記録発行装置26では、発電量(創エネルギの創出量)に応じて予め定めたポイントを算出して、集合住宅12の大家や入居者が所有する蓄電量ポイントカード30に、算出したポイントの記録を行って、車両用蓄電池22の充電を行う際には、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントを蓄電量ポイントカード読取記録装置28が読み取って、ポイントに相当する電力量の充電を行うことが可能とされている。なお、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントに相当する電力量だけで車両用蓄電池22を充電できない場合には、充電量に対応する料金をポイント管理装置24に支払ったり、カード精算等を行うようにしてもよい。
【0027】
具体的には、蓄電量ポイントカード記録発行装置26では、蓄電装置16によって検出された太陽光発電装置14の発電量を取得して、発電量に対応するポイントを算出する。そして、ポイント管理装置24が蓄電量ポイントカード30を検出した場合に、当該蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントを読み出して、発電量に対応するポイントを累積して蓄電量ポイントカード30に記録する。これによって、蓄電量ポイントカード30に創エネルギの対価としてのポイントが記録される。
【0028】
また、蓄電量ポイントカード読取記録装置28では、EV&PHV車用充電装置18が車両用蓄電池22を充電する際に要した電力量に対応する予め定めたポイントを算出して、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントから減算する。これによって車両用蓄電池22を充電する際にポイントを用いて充電することが可能となる。
【0029】
また、ポイントの還元方法としては、EV&PHV車用充電装置18で充電を行う場合だけではなく、例えば、充電スタンドやガソリンスタンド等の予め登録されたスタンド32で、充電または給油を行う際の料金を支払う際にポイントで支払い可能として還元するようにしてもよい。なお、本実施形態では、累積されたポイントを蓄電量ポイントカード30に記録するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、サーバネットワークシステムを利用してサーバに蓄電量ポイントカード30の識別情報と共にポイントを累積して管理するようにしてもよい。
【0030】
また、ポイント管理装置24には、表示操作部34が接続されており、車両用蓄電池22に対する充電時の設定や充電状態の表示、ポイントに関する表示、ポイントの使用の有無の設定等が可能とされている。さらに、表示操作部34では、創エネルギの対価(ポイント)を還元する対象を大家及び集合住宅の入居者の少なくとも一方に設定することが可能とされており、設定に従ってポイント還元が行われる。なお、以下の説明では、大家または集合住宅の入居者の何れかにポイント還元対象を設定可能とした場合について説明する。
【0031】
なお、表示操作部34は、集合住宅12のロビー等の集合住宅共用部に設けるようにしてもよいし、EV&PHV車用充電装置18に設けるようにしてもよいし、或いは集合住宅12の各住居または大家の宅内に設けて、各宅でポイント残を確認できるようにしてもよい。
【0032】
続いて、上述のように構成された本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステム10で行われる処理の流れの具体例について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係わる創エネルギシステム10のポイント管理装置24で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図2の処理は、ポイント管理装置24が、集合住宅12の大家や入居者が所有する蓄電量ポイントカード30を検出した場合に開始するものとして説明する。
【0033】
ステップ100では、前回にポイント書込みしてからの発電量が検出されてステップ102へ移行する。例えば、前回のポイント書込みの時期を蓄電装置16に記憶しておいて、蓄電装置16が前回からの発電量を検出し、ポイント管理装置24が蓄電装置16から当該発電量を取得する。
【0034】
ステップ102では、大家にポイント還元設定する設定になっているか否かが判定される。該判定は、表示操作部34が予め操作されてポイント還元対象が大家に設定されているか、あるいは入居者に設定されているかを判定する。該判定が否定された場合にはステップ104へ移行し、肯定された場合にはステップ106へ移行する。
【0035】
ステップ104では、一戸あたりのポイントが算出されてステップ108へ移行する。本実施形態では、ステップ100で取得した発電量に対応するポイントを算出し、入居者数で均等割りしたポイントを算出する。例えば、(太陽光発電装置14の総発電量)÷(戸数×単位電力)をポイントとして算出する。すなわち、創エネルギの対価としてのポイントを入居者に均等に分配することができる。なお、単位電力は、1ポイントあたりの電力量であり、予め定めた値を用いる。
【0036】
一方、ステップ106では、発電量に対応するポイントが算出されてステップ108へ移行する。
【0037】
ステップ108では、自動車20に搭載された車両用蓄電池22の充電を行うか否かが判定される。該判定は、例えば、蓄電量ポイントカード30に対応する利用者の自動車20にケーブルが接続されているか否かを判定したり、表示操作部34が操作されて充電が指定されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ110へ移行し、肯定された場合にはステップ114へ移行する。
【0038】
ステップ110では、車両用蓄電池22の充電ではなく、蓄電量ポイントカード30へのポイント更新として、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントが蓄電量ポイントカード記録発行装置26によって読み取られてステップ112へ移行する。
【0039】
ステップ112では、読み取られたポイントに対して、今回算出されたポイントが累積され、蓄電量ポイントカード記録発行装置26によって累積したポイントが蓄電量ポイントカード30に記録されて一連の処理を終了する。
【0040】
一方、ステップ114では、車両用蓄電池22を充電するために使用した充電量が差し引かれたポイントが算出されてステップ116へ移行する。すなわち、蓄電量ポイントカード読取記録装置28がEV&PHV車用充電装置18から充電時の電力量を取得し、取得した電力量に対応するポイントを今回算出したポイントから差分する。これによって充電の対価としてポイントを使用することができる。なお、ここでポイントが足りない場合には、カード精算や料金をポイント管理装置24等に投入することによって精算するようにしてもよい。
【0041】
ステップ116では、蓄電量ポイントカード読取記録装置28によってポイント残が蓄電量ポイントカード30に記録されて一連の処理を終了する。
【0042】
次に、総エネルギの対価として還元されたポイントの利用例について説明する。以下では、自動車20の給油や充電を行うスタンド32で給油や充電の対価としてポイントを利用する例について説明するが、これに限るものではなく、他の登録点等でポイントを利用可能なようにしてもよい。
【0043】
図3は、予め登録されたスタンド32でポイントを利用して充電または給油を行う際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップ200では、給油または充電量が取得されてステップ202へ移行する。すなわち、スタンド32で給油または充電した場合の給油量または充電量が取得される。
【0045】
ステップ202では、給油または充電量に応じた料金が算出されてステップ204へ移行する。
【0046】
ステップ204では、算出された料金から蓄電量ポイントカード30に蓄積されたポイント分の料金が差し引かれて精算されてステップ206へ移行する。ポイント分を差し引いた料金の精算方法としては、現金精算としてもよいし、クレジットカード等の精算を行うようにしてもよい。
【0047】
ステップ206では、使用ポイント分が蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントから減算されて蓄電量ポイントカード30に記録されて一連の処理を終了する。
【0048】
このように、本実施形態では、太陽光発電装置14によって発電された創エネルギに対して、集合住宅12の入居者や大家に創エネルギの対価としてポイントを還元することにより、集合住宅12で持続的に創出される創エネルギに対してポイントを持続的に還元することができる。
【0049】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステムについて説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステムの概略構成を示す図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
【0050】
第1実施形態では、太陽光発電装置14によって発電した創エネルギ全てに対して集合住宅12の入居者や大家にポイント還元するようにしたが、第2実施形態では、太陽光発電装置14によって発電した創エネルギのうち使用した電力を差し引いた分の創エネルギに対してポイント還元するようにしたものである。
【0051】
本実施形態における創エネルギシステム11についても第1実施形態と同様に、図4に示すように、集合住宅12に太陽光発電装置14を備えている。
【0052】
太陽光発電装置14は、蓄電装置16に接続されており、太陽光発電装置14によって発電された電力が蓄電装置16に蓄電されるようになっている。蓄電池は、急速充電等を行う使用方法では、2〜3年程度で寿命がつきるが、最適充電領域で蓄電池を使用した場合には、10年程度の寿命となるので、本実施の形態では、蓄電装置16の電力容量を20%〜80%程度で使用することが望ましい。80%以上で寿命が縮む恐れがあり、20%以下では充電した電力によって正常に電気的に接続された装置等の動作が行われない可能性がある。
【0053】
また、蓄電装置16は、EV(電気自動車)&PHV(プラグインハイブリッド自動車)車用充電装置18に接続されており、蓄電装置16に蓄電された電力をEV&PHV車用充電装置18に供給可能とされている。また、蓄電装置16は、太陽光発電装置14によって発電された発電量を検出する機能を備えている。
【0054】
EV&PHV車用充電装置18は、集合住宅12の駐車場等に設けられ、集合住宅12の入居者や大家が所有するEVやPHV等の自動車20に搭載された車両用蓄電池22の充電を行う。また、EV&PHV車用充電装置18は、車両用蓄電池22を充電した場合に、充電時に使用した電力量を検出可能とされており、本実施形態では、充電時に使用した電力量に応じて課金するようになっている。
【0055】
また、本実施形態の創エネルギシステム11は、配電部36を備えており、図示しない商用電源からの電力を集合住宅12の各住居や、廊下やロビー等の集合住宅共用部38へ供給すると共に、蓄電装置16に蓄電された電力を集合住宅共用部38に供給可能とされている。なお、配電部36は、例えば、蓄電装置16に蓄電された電力を商用電源よりも優先して集合住宅共用部38に供給するようにしてもよい。
【0056】
本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステム11においても、太陽光発電装置14によって発電される電力(創エネルギ)に対する対価としてのポイントを還元するため、ポイントを管理するポイント管理装置24を備えている。
【0057】
ポイント管理装置24は、蓄電量ポイントカード記録発行装置26と、蓄電量ポイントカード読取記録装置28と、を備えており、蓄電量ポイントカード記録発行装置26では、発電量(創エネルギ)に応じて予め定めたポイントを算出して、集合住宅12の大家や入居者が所有する蓄電量ポイントカード30に算出したポイントの記録を行い、車両用蓄電池22の充電を行う際には、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントを蓄電量ポイントカード読取記録装置28が読み取って、ポイントに相当する電力量の充電を行うことが可能とされている。なお、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントに相当する電力量だけで車両用蓄電池22を充電できない場合には、充電量に対応する料金をポイント管理装置24に支払ったり、カード精算等を行うようにしてもよい。
【0058】
具体的には、蓄電量ポイントカード記録発行装置26では、蓄電装置16によって検出された太陽光発電装置14の発電量を取得すると共に、発電量のうち配電部36から集合住宅共用部38へ供給した発電電力量を取得して、太陽光発電装置14によって発電した総発電量から集合住宅共用部38で使用した電力量を差し引いた電力量を算出し、当該電力量に対応するポイントを算出する。そして、ポイント管理装置24が蓄電量ポイントカード30を検出した場合に、当該蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントを読み出して、発電量に対応するポイントを累積して蓄電量ポイントカード30に記録する。これによって、蓄電量ポイントカード30に創エネルギの対価としてのポイントが記録される。
【0059】
また、蓄電量ポイントカード読取記録装置28では、EV&PHV車用充電装置18が車両用蓄電池22を充電する際に要した電力量に対応する予め定めたポイントを算出して、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントから減算する。これによって車両用蓄電池22を充電する際にポイントを用いて充電することが可能となる。
【0060】
また、ポイントの還元方法としては、EV&PHV車用充電装置18で充電を行う場合だけではなく、例えば、充電スタンドやガソリンスタンド等の予め登録されたスタンド32で、充電または給油を行う際の料金を支払う際にポイントで支払い可能として還元するようにしてもよい。なお、本実施形態では、累積されたポイントを蓄電量ポイントカード30に記録するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、サーバネットワークシステムを利用してサーバに蓄電量ポイントカード30の識別情報と共にポイントを累積して管理するようにしてもよい。
【0061】
また、ポイント管理装置24には、表示操作部34が接続されており、車両用蓄電池22に対する充電時の設定や充電状態の表示、ポイントに関する表示、ポイントの使用の有無の設定等が可能とされている。さらに、表示操作部34では、創エネルギの対価(ポイント)を還元する対象を大家及び集合住宅の入居者の少なくとも一方に設定することが可能とされており、設定に従ってポイント還元が行われる。なお、以下の説明では、大家または集合住宅の入居者の何れかにポイント還元対象を設定可能とした場合について説明する。
【0062】
なお、表示操作部34は、集合住宅12のロビー等の集合住宅共用部38に設けるようにしてもよいし、EV&PHV車用充電装置18に設けるようにしてもよいし、或いは集合住宅12の各住居または大家の宅内に設けて、各宅でポイント残を確認できるようにしてもよい。
【0063】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステム11で行われる処理の流れの具体例について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係わる創エネルギシステム11のポイント管理装置24で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図5の処理は、ポイント管理装置24が、集合住宅12の大家や入居者が所有する蓄電量ポイントカード30を検出した場合に開始するものとして説明する。
【0064】
ステップ300では、前回にポイント書込みしてからの発電量が検出されてステップ302へ移行する。例えば、前回のポイント書込みの時期を蓄電装置16に記憶しておいて、蓄電装置16が前回からの発電量を検出し、ポイント管理装置24が蓄電装置16から当該発電量を取得する。
【0065】
ステップ302では、発電電力使用量が検出されてステップ304へ移行する。発電電力使用量は、蓄電装置16から集合住宅共用部38へ供給した太陽光発電装置14の発電量を配電部36から取得する。
【0066】
ステップ304では、発電量から使用量の差分が算出されてステップ306へ移行する。
【0067】
ステップ306では、算出した電力量がマイナスか否かが判定され、該判定が肯定された場合にはステップ308へ移行し、否定された場合にはステップ310へ移行する。
【0068】
ステップ308では、ポイントがゼロ換算とされてステップ316へ移行する。すなわち、発電量よりも使用量が多い場合には創エネルギの対価としてのポイントをゼロとする。
【0069】
一方、ステップ310では、大家にポイント還元設定する設定になっているか否かが判定される。該判定は、表示操作部34が予め操作されてポイント還元対象が大家に設定されているか、あるいは入居者に設定されているかを判定する。該判定が否定された場合にはステップ312へ移行し、肯定された場合にはステップ314へ移行する。
【0070】
ステップ312では、一戸あたりのポイントが算出されてステップ316へ移行する。本実施形態では、ステップ304で算出した発電量に対応するポイントを算出し、入居者数で均等割りしたポイントを算出する。例えば、(太陽光発電装置14の総発電量)÷(戸数×単位電力)をポイントとして算出する。すなわち、創エネルギの対価としてのポイントを入居者に均等に分配することができる。なお、単位電力は、1ポイントあたりの電力量であり、予め定めた値を用いる。
【0071】
一方、ステップ314では、ステップ304で算出した発電量に対応するポイントが算出されてステップ316へ移行する。
【0072】
なお、ステップ312、314においてポイントを算出する際には、算出電力がプラスである(使用量より創エネルギの方が多い)ため、後述する充電量分をポイントから差し引く際のポイント換算に対して、予め定めた値倍のポイントとして算出するようにしてもよい。これにより、節約したことに対するご褒美としてポイントを倍増させて還元することができる。
【0073】
ステップ316では、自動車20に搭載された車両用蓄電池22の充電を行うか否かが判定される。該判定は、例えば、蓄電量ポイントカード30に対応する利用者の自動車20にケーブルが接続されているか否かを判定したり、表示操作部34が操作されて充電が指定されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ318へ移行し、肯定された場合にはステップ322へ移行する。
【0074】
ステップ318では、車両用蓄電池22の充電ではなく、蓄電量ポイントカード30へのポイント更新として、蓄電量ポイントカード30に記録されたポイントが蓄電量ポイントカード記録発行装置26によって読み取られてステップ320へ移行する。
【0075】
ステップ320では、読み取られたポイントに対して、今回算出されたポイントが累積され、蓄電量ポイントカード記録発行装置26によって累積したポイントが蓄電量ポイントカード30に記録されて一連の処理を終了する。
【0076】
一方、ステップ322では、車両用蓄電池22を充電するために使用した充電量が差し引かれたポイントが算出されてステップ324へ移行する。すなわち、蓄電量ポイントカード読取記録装置28がEV&PHV車用充電装置18から充電時の電力量を取得し、取得した電力量に対応するポイントを今回算出したポイントから差分する。これによって充電の対価としてポイントを使用することができる。なお、ここでポイントが足りない場合には、カード精算や料金をポイント管理装置24等に投入することによって精算するようにしてもよい。
【0077】
ステップ324では、蓄電量ポイントカード読取記録装置28によってポイント残が蓄電量ポイントカード30に記録されて一連の処理を終了する。
【0078】
このように本実施形態では、太陽光発電装置14によって発電された創エネルギの創出量うち、使用した分を差し引いた創エネルギに対して、集合住宅12の入居者や大家にポイントを還元することにより、集合住宅12で持続的に創出される創エネルギに対してポイントを持続的に還元することができる。
【0079】
なお、上記の各実施形態では、創エネルギに対応するポイントを特典として集合住宅の大家、または入居者に付与する例を説明したが、付与するものはポイントに限るものではなく、ポイントに代えて、創出した創エネルギ(発電電力)や、他のエネルギ(例えば、ガソリンやガス等)、算出した電力量に応じた電気料金等を、集合住宅の入居者及び大家の両方、又は少なくとも一方に選択的に付与するようにしてもよい。
【0080】
例えば、上記の第1、2実施形態において、ポイントの代りに創エネルギ(発電電力)を付与する場合には、図2のステップ102や図5のステップ310で大家に創エネルギを付与する設定になっているか入居者に付与する設定になっているかを判定し、以降の処理で設定に応じて選択的に太陽光発電の電力を付与すればよい。また、このとき、創エネルギの付与先が大家に設定されている場合でも、蓄電装置16の充電量が80%以上蓄電されそうな場合には、蓄電池の寿命を考慮して、入居者にも創エネルギを付与するなどして、選択的に太陽光発電の電力を大家のみならず入居者に与えるように設定可能なようにしてもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、上記の各実施形態では、ポイントを給油や充電の料金として使用可能とする例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、集合住宅12にカーシェアリング用の車両を備えて、当該カーシェアリング用の車両を使用する際の料金としてポイントを使用することが可能なようにしてもよい。
【0082】
また、上記の第2実施形態では、ポイント管理装置24が、集合住宅12の大家や入居者が所有する蓄電量ポイントカード30を検出した場合にポイント換算するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、ステップ300〜314までの処理を所定期間(例えば、1ヶ月)毎に実行して、所定期間毎にポイントを付与するようにしてもよい。また、この場合には、充電に対するポイントの減算処理(ステップ322、324)についても所定期間毎に行うようにしてもよい。
【0083】
また、上記の第2実施形態では、集合住宅共用部38で使用した電力量を太陽光発電装置14の発電量から差し引いた電力量に対してポイントを還元するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、蓄電装置16に蓄電した太陽光発電装置14の発電電力を配電部36が集合住宅12の各住居に供給可能として、太陽光発電装置14の発電量を入居者数で均等配分した電力量から各住居で使用した電力量を差し引いた電力量に応じてポイントを付与するようにしてもよいし、太陽光発電装置14の発電量から集合住宅共用部38の電力使用量を差し引いた電力量を各入居者数で均等配分し、均等配分した電力量から、各住居で使用した電力量(EVやPHVの充電時の電力を含んでもよい)を差し引いた電力量に応じてポイントを付与するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10、11 創エネルギシステム
12 集合住宅
14 太陽光発電装置
16 蓄電装置
18 EV&PHV車用充電装置
20 自動車
22 車両用蓄電池
24 ポイント管理装置
26 蓄電量ポイントカード記録発行装置
28 蓄電量ポイントカード読取記録装置
30 蓄電量ポイントカード
34 表示操作部
36 配電部
38 集合住宅共用部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入居者が居住する集合住宅に設けられ、創エネルギを創出する創出手段と、
前記創出手段によって創出された創エネルギに対応する予め定めた特典を、前記入居者及び前記集合住宅の大家の両方、又は少なくとも一方に選択的に付与する付与手段と、
を備えた創エネルギシステム。
【請求項2】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の電力使用量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項3】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の電力使用量を差し引いた創エネルギ量がプラスの場合に、予め定めた値倍の前記特典を付与する請求項2に記載の創エネルギシステム。
【請求項4】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を前記大家のみに付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項5】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を前記入居者全員に均等に付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項6】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量を前記入居者数で均等配分した創出量から前記集合住宅の各住居で使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項7】
前記付与手段は、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量を各入居者で均等配分し、均等配分された創エネルギ量から前記集合住宅の各住居で使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項8】
自動車に搭載された蓄電池を充電する充電手段を更に備え、
前記付与手段が、前記創出手段によって創出された創エネルギの創出量から前記集合住宅の共用部における電力使用量を差し引いた創エネルギ量を各入居者で均等配分し、均等配分された創エネルギ量から、前記集合住宅の各住居で使用した電力量及び前記充電手段によって前記蓄電池を充電する際に使用した電力量を差し引いた創エネルギ量に応じて前記特典を付与する請求項1に記載の創エネルギシステム。
【請求項9】
前記付与手段によって付与された前記特典を表示するための表示手段を表示する表示手段を更に備えた請求項1〜8の何れか1項に記載の創エネルギシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14503(P2012−14503A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151002(P2010−151002)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)