説明

創傷、皮膚障害および脱毛を治療するための1以上のハマアズキ、ココヤシまたはモモタマナ抽出物

ハマアズキ、ココヤシ、またはモモタマナのうちの1つまたは複数の生物活性抽出物およびこれらの抽出物のうちの1つまたは複数を含む組成物を記載する。本発明はまた、特に、創傷治癒を促進するためのおよび皮膚障害を治療するための、抽出物および組成物の治療的および美容的使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、創傷治癒を促進するためのおよび皮膚障害を治療するための植物抽出物およびそれを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は防御において重要な役割を有しており、微生物侵入に対するバリアを提供する表皮とともに疾患に対する身体防御の最前線である。したがって、創傷、火傷、擦り傷および他の皮膚損傷を治療する第1の目的は、創傷を速やかに閉塞および治癒させて、感染を予防することである。
【0003】
創傷治癒は、3つの重複する段階、すなわち、炎症、増殖および再構築を含むと一般に考えられる複雑な過程である。第1の段階は、止血を得るための凝固と、細菌および壊死組織を破壊するための好中球の動員と、それに続くマクロファージの動員とを伴う。第2の段階の間に、血管新生が起こり、内皮細胞が創傷部位に侵入し、同時に線維芽細胞が創傷部位に侵入して、肉芽組織の産生を助ける。肉芽組織の形成により、再上皮化が起こる。最終的な再構築段階の間に、コラーゲンの産生と分解のレベルが等しくなり、治癒した創傷がゆっくりと変化して、最大限の強度を達成する。これらの過程のうちのいずれかが適切にまたはタイミングよく機能しない場合、創傷治癒は遅延するかまたは障害される。このことは、個人にとっての大きな障害でもあり得、代償の大きい臨床的問題でもあり得る慢性創傷を引き起こすこともある。それゆえ、真皮および表皮組織を再生する身体の自然な過程を加速する組成物が好都合である。
【発明の概要】
【0004】
驚くべきことに、本発明者らは、本明細書に開示された植物抽出物およびそれを含む組成物が、上皮の初期増殖を誘導することによって、創傷治癒および皮膚修復を促進することを見出した。さらに、これらの組成物は、治癒した創傷部位の厚さおよび機械的強度を増大させる。加えて、これらの組成物は、他の治療的利益をもたらし得ることも発見された。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、ハマアズキ(Vigna marina (Burm.) Merr.)、ココヤシ(Cocos nucifera L.)またはモモタマナ(Terminalia catappa L.)のうちの1つまたは複数の生物活性抽出物が提供される。
【0006】
抽出物は、オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus L.)をさらに含み得る。
【0007】
一実施形態では、抽出物はハマアズキの抽出物である。抽出物は、ハマアズキとモモタマナの組合せ、ハマアズキとココヤシの組合せまたはハマアズキとココヤシとモモタマナの組合せに由来し得る。抽出物は、ハマアズキとココヤシとモモタマナとオオハマボウの組合せに由来し得る。
【0008】
抽出物は、葉抽出物、蔓抽出物、豆抽出物、殻抽出物または堅果抽出物のうちの1つまたは複数であり得る。ハマアズキ、モモタマナおよびオオハマボウに由来する場合、通常、抽出物は、葉抽出物、蔓抽出物および/または豆抽出物である。ハマアズキに由来する場合、通常、抽出物は、殻抽出物および/または堅果抽出物である。
【0009】
抽出物は、植物性油、炭化水素および/もしくはアルコールを用いて調製され得、かつ/または植物性油、炭化水素および/もしくはアルコールを含み得る。植物性油は、例えば、種子または果実に由来し得る。特定の実施形態では、抽出物は、ヤシ油を用いて調製され、かつ/またはヤシ油を含む。ヤシ油は、バージンヤシ油、精製ヤシ油、硬化ヤシ油または分画ヤシ油であり得る。
【0010】
本発明の第2の態様は、ハマアズキ、ココヤシ、またはモモタマナのうちの1つまたは複数の少なくとも1つの生物活性抽出物を、場合によって1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または補助剤とともに含む組成物を提供する。組成物は、オオハマボウ由来の抽出物をさらに含み得る。
【0011】
通常、組成物は、対象の皮膚または表皮付属器官に局所的に適用される。表皮付属器官としては、毛、毛包、爪、および角質が挙げられる。一実施形態では、組成物は、創傷治癒の促進のためにまたは皮膚障害の治療において治療的および/または美容的に使用される。創傷は、外科的または非外科的創傷であり得る。非外科的創傷の例としては、火傷、擦り傷、切り傷および擦過傷が挙げられる。皮膚障害としては、加齢に関連した皮膚萎縮またはステロイドに関連した皮膚萎縮が挙げられるが、これらに限定されない。加齢に関連した皮膚萎縮はエストロゲン欠乏と関連している可能性がある。
【0012】
さらなる実施形態では、組成物は、毛を再生させるために使用される。また別の実施形態では、組成物は、皮膚および/または表皮付属器官の厚さおよび/または機械的強度を増大させるために使用される。
【0013】
本発明の第3の態様は、対象の皮膚に治療的有効量の第1の態様による抽出物または第2の態様による組成物を適用することを含む、創傷の治療および/または創傷治癒の促進のための方法を提供する。
【0014】
本発明の第4の態様は、対象の皮膚に治療的有効量の第1の態様による抽出物または第2の態様による組成物を適用することを含む、皮膚障害を治療する方法を提供する。
【0015】
本発明の第5の態様は、対象の皮膚に治療的有効量の第1の態様による抽出物または第2の態様による組成物を適用することを含む、毛を再生させるための方法を提供する。
【0016】
本発明の第6の態様は、対象の皮膚および/または毛に治療的有効量の第1の態様による抽出物または第2の態様による組成物を適用することを含む、毛の成長を促進するための方法を提供する。
【0017】
本発明の第7の態様は、対象の皮膚および/または表皮付属器官に治療的有効量の第1の態様による抽出物または第2の態様による組成物を適用することを含む、皮膚および/または表皮付属器官の厚さおよび/または機械的強度を増大させるための方法を提供する。
【0018】
本発明の第8の態様は、創傷の治療および/または創傷治癒の促進のための医薬品の製造における第1の態様による抽出物の使用を提供する。
【0019】
本発明の第9の態様は、皮膚障害の治療のための医薬品の製造における第1の態様による抽出物の使用を提供する。
【0020】
本発明の第10の態様は、毛を再生させるための医薬品の製造における第1の態様による抽出物の使用を提供する。
【0021】
本発明の第11の態様は、毛の成長を促進するための医薬品の製造における第1の態様による抽出物の使用を提供する。
【0022】
本発明の第12の態様は、皮膚および/または表皮付属器官の厚さおよび/または機械的強度を増大させるための医薬品の製造における第1の態様による抽出物の使用を提供する。
【0023】
本発明はこれから、添付の図面を参照して、非限定的な例のみによって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1−1】手術後3、5、7および10日目の12週齢の健康な雌ラットの、処置した外科的に作られた創傷部位(A、C、EおよびG)ならびに処置していない外科的に作られた創傷部位(B、D、FおよびH)の組織学的変化を示す。処置した創傷に、ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を毎日適用した。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図1−2】手術後3、5、7および10日目の12週齢の健康な雌ラットの、処置した外科的に作られた創傷部位(A、C、EおよびG)ならびに処置していない外科的に作られた創傷部位(B、D、FおよびH)の組織学的変化を示す。処置した創傷に、ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を毎日適用した。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図2】10日間にわたる、処置した動物(試験)および処置していない動物(対照)の創傷部位についての機械的創傷強度の増大(A)および平均機械的創傷強度(B)を示す。処置した創傷に、ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を毎日適用した。図2Aは線形相関を示し、図2Bは非線形治癒曲線へとモデル化したものである。
【図3】18カ月齢のエストロゲン欠乏(6週齢で卵巣が除去された)ラットの処置した皮膚(B、DおよびF)ならびに処置していない皮膚(A、CおよびE)の組織学的相違を示す。処置した皮膚に、ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を7日間適用した。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図4】7日間処置した後の処置した(ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を毎日適用した)エストロゲン欠乏皮膚ならびに対照(処置していない)エストロゲン欠乏皮膚の上皮厚(A)ならびに21日間の処置の後の処置部分に隣接するエストロゲン欠乏皮膚(B)を示す。
【図5】ハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物の毎日の適用を含む7日間の処置の後のエストロゲン欠乏皮膚における上皮厚の変化率を示す。棒1(抽出前)、抽出物はヤシ油中にある;棒2(エタノール抽出物)、抽出後抽出物からのヤシ油の除去;棒3(抽出後)、エタノール抽出(棒2)後の残存ヤシ油画分。
【図6−1】A)無処置;B)ヤシ油;C)ヤシ油中のハマアズキ、を7日間毎日適用した後の10〜14週齢のラットの皮膚の組織学的プロファイルを示す。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図6−2】D)エタノール中のハマアズキ;E)エタノールおよびイソペンタンで抽出した後のヤシ油中のハマアズキ;F)ヤシ油中のモモタマナ;を7日間毎日適用した後の10〜14週齢のラットの皮膚の組織学的プロファイルを示す。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図6−3】G)エタノール中のモモタマナ;H)エタノール抽出後の炭化水素中のモモタマナ;I)エタノールおよび炭化水素で抽出した後のヤシ油中のモモタマナ;を7日間毎日適用した後の10〜14週齢のラットの皮膚の組織学的プロファイルを示す。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図6−4】J)エタノールおよび炭化水素で抽出した後のヤシ油中のモモタマナを7日間毎日適用した後の10〜14週齢のラットの皮膚の組織学的プロファイルを示す。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図7】A)ヤシ油中のハマアズキ抽出物(植物P);ヤシ油中のココヤシ抽出物(植物N);ヤシ油中のモモタマナ抽出物(植物N);およびヤシ油中のオオハマボウ(植物A)ならびにB)前述の抽出物の一対の組合せ、で7日間処置した後の10〜14週齢のラットの皮膚の上皮厚の変化率を示す。
【図8】A)0%;B)1%;C)5%;D)10%;E)50%;およびF)100%の濃度で、実施例10に記載の通りに調製されたヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、およびモモタマナの抽出物(100%)で処置した10〜14週齢のラットの皮膚の組織学的相違を示す。皮膚試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。これを400倍の倍率で示す。
【図9】0%、1%;5%;10%、50%、100%の濃度で、実施例10に記載の通りに調製されたヤシ油中のハマアズキ、ココヤシおよびモモタマナ(油中NPK)の組合せ抽出物の毎日の適用によって処置した10〜14週齢のラットの皮膚の上皮厚(A)および上皮厚の変化率(B)を示す。
【図10】A)クロルヘキシジン中30%;B)ハイドロダーム保湿剤中5%;C)クロラムフェニコール溶液中25%;D)クロラムフェニコール軟膏中50%;およびE)クロラムフェニコール軟膏中0%のヤシ油中のハマアズキ、ココヤシおよびモモタマナの抽出物で処置した皮膚の組織像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法的対象を指すよう本明細書で使用される。例として、「1つの要素」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
【0026】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上別の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という語、および「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などのその変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含することを意味するのであって、他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を除外することを意味するのではないことが理解される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「抽出物」という用語は、1以上の植物に由来する活性調製物を指す。本明細書の文脈において、「活性」とは、抽出物が、本明細書に開示されているような所望の治療的または美容的利益をもたらすことができることを意味する。抽出物は、一般論として、植物材料を溶媒、液体、または超臨界流体で処理して、活性調製物を溶解させ、それを、残存する望ましくない植物材料から分離することを含むこととして当業者に理解される「抽出」という過程によって得られる。抽出物は、液体形態(例えば、煎じ汁、溶液、浸出液もしくはチンキとして)または固体形態(例えば、粉末もしくは顆粒として)であってもよい。本明細書で使用される「組合せ抽出物」という用語は、2以上の植物種から調製される抽出物を指す。組合せ抽出物において、各々の植物種由来の植物材料は、一緒にまたは別々に抽出過程にかけてもよい。すなわち、これらの種の一部もしくは全てから得た材料を、溶媒、液体、もしくは超臨界流体を添加する前に組み合わせてもよく、かつ/またはこれらの種の一部もしくは全てから得た材料を、溶媒、液体、もしくは超臨界流体で独立に処理し、そのようにして得られた調製物を後で組み合わせてもよい。したがって、同じまたは異なる溶媒(または液体または超臨界流体)を用いて、異なる種から活性調製物を抽出してもよい。「抽出物」および「組合せ抽出物」という用語は、本明細書の全体にわたって互換的に使用され得る。
【0028】
創傷治癒との関連において本明細書で使用される「促進する」、「促進」という用語およびその変形は、創傷治癒に関与する自然な生理的過程の作用の速度または程度を増進または増大させる本発明の抽出物または組成物の能力および毛の成長速度を増進または増大させる本発明の抽出物または組成物の能力を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、「予防する」および「予防」という用語は、疾病もしくは症状を改善するか、疾病もしくは疾患の確立を予防するか、またはいかなる方法であれ、疾病もしくは疾患もしくは他の望ましくない症状の進行を別のやり方で予防するか、妨害するか、遅延させるか、もしくは逆転させるありとあらゆる使用を指す。したがって、「治療する」および「予防する」などの用語は、その最も幅広い文脈において考慮されるべきである。例えば、治療は、完全に回復するまで患者を治療することを必ずしも意味するものではない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「有効量」および「有効用量」という用語は、その意味の中に、無毒ではあるが、所望の効果をもたらすのに十分な、薬剤または化合物の量または用量を含む。必要とされる正確な量または用量は、治療されている種、対象の年齢および全般的な状態、治療されている疾病の重症度、投与されている特定の薬剤および投与様式などのような因子によって、対象ごとに異なる。したがって、正確な「有効量」または「有効用量」を特定することは不可能である。しかしながら、どの所与の場合であっても、適切な「有効量」または「有効用量」は、当業者が通常の実験のみを用いて決定し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、実験用試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ)および捕獲用野生動物(例えば、キツネ、カンガルー、シカ)を含む。典型的には、対象は、ヒトまたは実験用試験動物である。さらにより典型的には、対象はヒトである。
【0032】
本発明は、哺乳動物の皮膚に投与されたときに、太平洋諸島由来の様々な植物の抽出物の使用が生物学的活性を有し、創傷治癒および皮膚修復を促進し、上皮厚を増大させ、皮膚の機械的強度を増大させるという、本明細書に例示されているような、本発明者らの驚くべき発見に基づいている。理論に束縛されることを望まないが、これらの生物学的活性は、これらの抽出物が、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで、上皮の初期増殖を誘導することに起因することが示唆される。
【0033】
したがって、本発明の一態様は、ハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、および/またはオオハマボウの生物活性抽出物を提供する。
【0034】
本発明者らは、驚くべきことに、ハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、および/またはオオハマボウの抽出物が、単独でまたは様々な組合せで、真皮および表皮組織を再生する身体の自然過程を促進することを見出した。
【0035】
したがって、ハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、および/またはオオハマボウの抽出物、ならびにそれを含む組成物は、対象の創傷治癒の促進または皮膚障害の治療において治療上および/または美容上有用である。創傷は、外科的または非外科的創傷であり得る。非外科的創傷の例としては、切り傷、火傷、擦り傷、および擦過傷が挙げられる。本発明の抽出物は、外科的に誘発された創傷の治癒の術後促進において使用し得る。本発明の実施形態によって治療可能な皮膚障害としては、加齢に関連した皮膚萎縮またはステロイドに関連した皮膚萎縮が挙げられるが、これらに限定されない。加齢に関連した皮膚萎縮は、エストロゲン欠乏と関連している可能性がある。
【0036】
本発明の抽出物および組成物はまた、真皮もしくは表皮組織または表皮付属器官の生成または再生を促進することが望ましい任意の状況において用途を見出すことが当業者に理解されるであろう。本発明の目的のために、表皮付属器官としては、毛、毛包、爪、および角質が挙げられるが、これらに限定されない。例として、本発明の抽出物および組成物を用いて、毛包、毛および爪の再生を促進し得る。本発明の抽出物および組成物を用いて、皮膚および/または表皮付属器官の厚さおよび/または機械的強度も増大させ得る。
【0037】
本発明の抽出物は、任意の入手可能な植物材料(例えば、葉、根、樹皮、果実、シュート、堅果、種子、花および/または樹木の単回抽出、組合せ抽出および/または連続抽出によって得られる、水性、油性および/または有機溶媒性の抽出物であってもよい。好適な抽出過程、ならびに抽出のための好適な溶媒および液体は当業者に公知である。抽出に用いられる水性溶媒(例えば、水、酸、塩基);油(例えば、ヤシ);ならびに有機溶媒(これは、極性のあるもの(例えば、アルコール類、例えば、エタノール)、極性のないもの(例えば、ヘキサン)および/またはハロゲン化されているもの(例えば、ジクロロメタン)であることができる)は、順次抽出に用いるかまたは組合せ混合物中で用いることができる。重要なことは、本明細書において例示されているように、ヤシ油、極性溶媒(例えば、エタノール)または非極性溶媒(例えば、イソペンタン)中に抽出されるときに、抽出物の活性が維持されることである。例えば、超臨界窒素または二酸化炭素を用いる超臨界流体抽出を本発明に従って用いて、抽出物を得ることもできる。
【0038】
さらに、本発明の抽出物を、例えば、抽出物の安定性を増大させるかもしくは維持するために、抽出物の物理的形態を修飾するかもしくは変化させるために、または抽出物を対象に投与するための組成物に製剤化するのを助けるために、1以上の抽出後工程にかけ得ることが当業者に理解されるであろう。ほんの一例として、液体形態の抽出物を凍結乾燥させて、抽出物の固体形態を生成させ得る。
【0039】
本発明の抽出物は、任意の好適な植物材料に由来するものであってよい。好適な植物材料としては、葉、根、樹皮、果実、シュート、堅果、種子、花または樹木が挙げられる。植物材料は、例えば、新鮮なもの、乾燥したものまたはフリーズドライされたものであってもよい。任意の所与の植物種について、2以上の植物材料を抽出物の産生に用いてもよい。ハマアズキ、モモタマナおよびオオハマボウに由来する場合、通常、抽出物は、葉抽出物、蔓抽出物および/または豆抽出物である。ハマアズキに由来する場合、通常、抽出物は、新鮮な殻抽出物および/または堅果抽出物である。
【0040】
本発明の抽出物は、本発明に従って、薬学的組成物の形態で投与してもよく、この組成物は、1以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含んでいてもよい。抽出物はさらに、例えば、限定するものではないが、抗生物質、抗微生物剤、消毒剤、麻酔薬、保湿剤または化粧基剤などの、他の治療的または美容的薬剤と組み合わせてもよい。そのような組成物を、任意の好都合なまたは好適な経路で(例えば、非経口、経口、経鼻または局所経路によって)投与してもよい。通常、本明細書に開示されているような治療的または美容的利益を達成する目的で、投与経路は局所である場合がある。あるいは、所望の転帰次第では、注射による投与(例えば、皮下注射)が適切である場合もある。
【0041】
任意の特定の個体についての本発明の組成物の具体的な投与レベルは、例えば、利用される特定の抽出物の活性、治療される個体の年齢、体重、全般的健康および食事、投与の時間、抽出物の安定性、体表面の適用部位、ならびに任意の他の治療または療法の組合せをはじめとする種々の因子によって決まることが理解されるであろう。投与レベルおよびパターンを、治療される状況および個体によって必要に応じて決定して、単回または複数回投与を実施することができる。好適な投薬レジメンは、当業者(skilled addressee)が容易に決定することができる。広範囲の用量が適用可能であり得る。ヒト対象を考慮すると、例えば、1日に体重1kg当たり約0.1mg〜約1mgの抽出物を投与し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答が得られるように調整し得る。例えば、数回の分割用量を、毎時間、毎日、毎週、毎月または他の好適な時間間隔で投与してもよいし、またはこの用量を、状況の危急性が示すように比例的に減少させてもよい。
【0042】
一般に、有効投薬量は、24時間で体重1kg当たり約0.0001mg〜約1000mg、典型的には、24時間で体重1kg当たり約0.001mg〜約750mg、24時間で体重1kg当たり約0.01mg〜約500mg、24時間で体重1kg当たり約0.1mg〜約500mg、24時間で体重1kg当たり約0.1mg〜約250mg、24時間で体重1kg当たり約1.0mg〜約250mgの範囲であると考えられる。より典型的には、有効用量範囲は、24時間で体重1kg当たり約1.0mg〜約200mg、24時間で体重1kg当たり約1.0mg〜約100mg、24時間で体重1kg当たり約1.0mg〜約50mg、24時間で体重1kg当たり約1.0mg〜約25mg、24時間で体重1kg当たり約5.0mg〜約50mg、24時間で体重1kg当たり約5.0mg〜約20mg、24時間で体重1kg当たり約5.0mg〜約15mgの範囲であると考えられる。
【0043】
局所製剤は、通常、1以上の許容される担体、および場合により任意の他の治療的成分とともに、本発明の1以上の抽出物を含む。局所投与に好適な製剤は、例えば、リニメント、ローション、クリーム、ゲル、軟膏またはペーストとして製剤化された、任意の好適な形態であってもよい。薬学的に許容される担体または希釈剤の例は、脱塩水または蒸留水;食塩水溶液;植物性油(例えば、ピーナッツ油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、ラッカセイ油またはヤシ油);ポリシロキサン(例えば、メチルポリシロキサン、フェニルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン)をはじめとするシリコーン油;揮発性シリコーン;鉱油(例えば、流動パラフィン、軟パラフィンまたはスクアラン);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);低級アルカノール類(例えば、エタノールまたはイソプロパノール);低級アラルカノール類;低級ポリアルキレングリコール類または低級アルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールまたはグリセリン);脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルまたはオレイン酸エチル);ポリビニルピロリドン;寒天;カラギーナン;トラガカントゴムまたはアカシアゴム、ならびにワセリンである。通常、担体(単数または複数)は、組成物の10重量%〜99.9重量%を形成する。
【0044】
本発明によるローションとしては、皮膚または表皮付属器官への適用に好適なものが挙げられる。皮膚に適用されるローションまたはリニメントとしては、乾燥を速めかつ皮膚を冷やすための薬剤(例えば、アルコールもしくはアセトン)、および/または保湿剤(例えば、グリセロール、もしくは油(例えば、ヤシ油、ヒマシ油もしくはラッカセイ油))を挙げることもできる。
【0045】
本発明によるクリーム、軟膏またはペーストは、抽出物の外用半固体製剤である。それらは、微粉化されたまたは粉末化された形態の抽出物を、単独でまたは溶液もしくは懸濁液を含む水性もしくは非水性流体中で、脂肪性または非脂肪性基剤と混合することによって作製することができる。基剤は、アルコール(例えば、プロピレングリコールまたはマクロゴール)とともに、炭化水素(例えば、硬パラフィン、軟パラフィンもしくは流動パラフィン)、グリセロール、蜜ろう、金属石鹸;粘液;天然起源の油(例えば、ヤシ油、アーモンド油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油もしくはオリーブ油);羊毛脂もしくはその誘導体、または脂肪酸(例えば、ステアリン酸もしくはオレイン酸)を含んでいてもよい。
【0046】
抽出物および/または組成物を、好ましくは液体または半液体形態の、経皮パッチ、石こう、および創傷被覆材(例えば、包帯)または親水コロイド被覆材に染み込ませてもよい。ほんの一例として、本発明による局所適用される抽出物および組成物を、ネイルケア製品、フェイスマスクおよびフェイススクラブ、ヘアゲルおよびムース、ヘアティント、染料およびブリーチ、髪をカールさせる製品、髪をストレートにする製品、および髪を整える製品、クレンジング製品(例えば、シャンプー)、コンディショニング製品(例えば、ローションおよびクリーム)、オイル、ひげ剃り製品(例えば、クリームおよびゲル)、皮膚洗浄液、フォーム、入浴剤およびシャワー剤(例えば、オイルおよびゲル)、保湿製品(例えば、ローション、クリーム、ゲルおよびフォーム)、しわ取り製品ならびに老化防止製品中に、またはこれらの製品とともに、製剤化してもよい。
【0047】
例えば、創傷治癒の手術後促進または特定の皮膚障害の治療における特定の状況において、注射(通常、皮下注射)による組成物の投与が適切である場合がある。注射可能使用に好適な薬学的形態としては、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または滅菌水性分散液と、滅菌注射可能溶液の即時調製用の滅菌粉末とが挙げられる。この薬学的形態は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、かつ微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用から守られなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、ならびに植物油を含有する、溶媒または分散媒体であることができる。例えば、コーティング(例えば、レシチン)を使用することによって、所要の粒子サイズを維持することによって(分散剤の場合)、および界面活性剤(superfactant)を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって達成することができる。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含めることが好ましい。吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中で使用することによって、注射可能組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
【0048】
滅菌注射可能溶液は、所要量の活性化合物を、必要に応じて、上に列挙した様々な他の成分とともに、適切な溶媒に組み入れ、その後、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、様々な滅菌抽出物を、塩基性分散媒体と上に列挙したもの由来の必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、抽出物と任意のさらなる所望の抽出物の粉末を事前に滅菌濾過されたその溶液から生じさせる真空乾燥法およびフリーズドライ法である。
【0049】
本発明は、本明細書に記載されたような抽出物または組成物が、所望の治療的または美容的効果を促進し得る他の好適な薬剤または治療とともに共投与される併用療法を想定している。例えば、本発明の抽出物または組成物と組み合わせて、抗生物質、抗微生物剤、または他の創傷治癒剤を用いて、創傷治癒の促進を目指し得る。「共投与される」とは、同じもしくは異なる経路による同じ製剤中でのもしくは2つの異なる製剤中での同時投与または同じもしくは異なる経路による順次投与を意味する。「順次」投与とは、2種類の薬剤の投与間の秒、分、時間または日という時間差を意味する。薬剤は、いかなる順序で投与してもよい。
【0050】
本明細書におけるいずれかの先行刊行物(もしくはそれから得られる情報)、または既知のいずれかの事柄への言及は、その先行刊行物(もしくはそれから得られる情報)、または既知の事柄が、本明細書が関係する開発分野における共通の一般的な知識の一部を形成するという承認または了解または任意の形態の示唆と捉えられるものではなく、かつ捉えられるべきではない。
【0051】
本発明はこれから、以下の具体的な実施例を参照して説明されるが、これらの実施例は、決して、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0052】
実施例1−ヤシ油中のハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物の調製
ヤシ油(200mL)をハマアズキ(100g)の新鮮な細断葉およびモモタマナ(100g)の新鮮な細断葉に添加した。この混合物を水浴中のるつぼに100℃で20分間入れた。混合物を熱源から取り出し、すぐに濾過し、圧縮して、ヤシ油を抽出した。ハマアズキおよびモモタマナの抽出物を含有する、得られたヤシ油を、ココヤシ(100g)の緑色堅果の新鮮な破砕殻およびオオハマボウ(100g)の削った樹皮に添加した。この混合物を4時間沈殿させておき、その後、濾過し、圧縮して、ヤシ油を抽出した。
【0053】
その後、ヤシ油を転化させ、ヤシ油が固化するまで20℃未満で保存した。混合物中の全ての残存する水分または固体を固化したヤシ油からデカントして除去した。その後、ヤシ油を温水浴中にて約56℃で加熱し、濾過した。得られた濾液は、ハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの組合せ抽出物を含んでいた。
【0054】
実施例2−創傷治癒の促進
実施例1に記載の通りに調製されたハマアズキ、ココヤシ、モモタマナおよびオオハマボウの抽出物の創傷治癒能力を評価するために、研究を行なった。研究のために、12週齢健康な雌ラットを最適な治癒モデルとして用いた。創傷を麻酔および滅菌条件の下で外科的に作り出し、術中抗生物質と、清潔な収容箱とを用いて、一次癒合によって閉じた(皮膚を含む全ての組織を縫合材を用いて閉じた)。1mLの日用量の抽出物を手術部位に局所適用した。抽出物を、合計10日間、毎日適用した。対照動物は処置を受けなかった。部位を作り出してから3、5、7および10日目に、創傷組織像を評価し、損傷するまで伸延させる検査(distraction to failure testing)によって、創傷を機械的強度について試験した。
【0055】
処置していない創傷(対照)および処置した創傷(試験)の創傷組織像を図1A〜1Hに示す。処置した創傷の組織像は、最初の3日間で創傷を被覆し、それに続いて、細胞が創傷に浸潤して、再生を開始し、7日目までに完全治癒し、10日目には最小限の創傷の痕跡しか残らない上皮の初期増殖を示している。創傷治癒の痕跡は、10日目までに、処置していない創傷でも観察されたが、これは、処置した創傷で観察された速度よりも遅い速度で起こり、その結果、抽出物が自然な治癒過程の速度を増進することが示された。
【0056】
処置の間の創傷部位の機械的強度の変化のグラフ表示を図2Aに示す。処置した創傷部位は、処置していない創傷部位よりも22%大きい機械的強度を有することが分かった。図2Bは、(治癒パターンを反映させるために)機械的強度データを非線形治癒曲線へとモデル化したときに、差が保存されることを示している。
【0057】
この研究による結果は、実施例1の組合せ抽出物を用いた創傷の治療によって、創傷治癒の促進と創傷部位における皮膚の機械的強度の増大が両方起こることを示している。
【0058】
実施例3−エストロゲン欠乏皮膚の治療
実施例1に記載の通りに調製されたハマアズキ、ココヤシ、モモタマナおよびオオハマボウの抽出物のエストロゲン欠乏皮膚に対する効果を評価するために、研究を行なった。この研究では、1mLの日用量の抽出物を、18カ月齢のエストロゲン欠乏(6週齢で卵巣が除去された)ラット(動物10匹)の背中の上皮表面に局所適用した。抽出物を、合計7日間、毎日適用した。対照動物は、抽出物を局所適用していない18カ月齢のエストロゲン欠乏(6週齢で卵巣が除去された)ラットであった(動物10匹)。7日目に、処置した皮膚および対照皮膚の組織像を評価し、上皮厚を測定した。
【0059】
7日目の個々の動物の処置した皮膚および対照皮膚の組織学的プロファイルを図3A〜3Fに示す。対照と比較した処置した皮膚の組織像は、分厚くて細胞密度の高い上皮と、コラーゲンマトリクスの細胞充実度の相対的増加とを示している。
【0060】
処置した動物および処置していない動物の皮膚の上皮厚のグラフ表示を図4Aに示す。処置していない動物と比較して処置した動物における皮膚の上皮厚の平均145%の増加が観察された。
【0061】
抽出物を3週間毎日適用することを除いて、同一の研究を行なった(動物10匹)。21日目に、処置した皮膚(適用部位および隣接部位)ならびに処置していない(対照)皮膚の上皮厚を測定した。この研究は、7日間にわたって観察された上皮厚およびコラーゲンマトリクスの細胞充実度の増加(上記参照)が、21日間の処置の間ずっと維持されることを示している。処置してから21日後の上皮厚を図4Bに示す。図4Bの結果は、効果が、適用した部分だけでなく、適用した部分に隣接する部分でも見られることを示しており、これは、老化したエストロゲン欠乏皮膚に対する効果をもたらすのに、ごくわずかな用量しか必要でないことを示唆している。
【0062】
ヤシ油に基づく抽出物の生物活性がエタノールに溶けることも示された。ヤシ油中の抽出物(抽出前)を、混合物が均質になるまで、エタノールと1:1で5分間激しく混合した後、5分間静置しておき、その後、この混合物を凍結させ、エタノールを除去して(エタノール抽出物)、ヤシ油(抽出後)だけを残した。7日目に、上皮厚を測定した。図5は、処置後の処置したエストロゲン欠乏皮膚の上皮厚の変化率を示す。これらの結果は、エタノール中に抽出したとき、抽出物の活性が維持されることを示している。
【0063】
実施例4−ハマアズキの抽出物の調製
4.1:ヤシ油中のハマアズキ抽出物
ハマアズキ(100g)の新鮮な破砕葉、蔓および豆をヤシ油(100mL)に浸けた。ハマアズキとヤシ油の混合物を冷却圧縮することによるか、または混合物を加熱することによって、抽出物を調製した。冷却圧縮は、ハマアズキとヤシ油の混合物を新しいコーヒープランジャーの中に入れて、混合物を1時間沈殿させておくことにより行ない、その後、プランジャーを押し下げ、それにより、油を抽出した。この混合物をさらに5分間沈殿させておき、プランジャーを再び押し下げて、油をさらに放出させた。もうそれ以上の油が得られなくなるまで、この過程を5回繰り返した。抽出物を加熱により調製する場合、ハマアズキとヤシ油の混合物を、水浴中のるつぼにて、100℃で20分間加熱し、熱源から取り出し、その後、すぐに濾過し、圧縮して、ヤシ油を抽出した。冷却圧縮または加熱および濾過後の抽出物中の全ての残存する水分または固体は、ヤシ油抽出物を転化させ、ヤシ油が固化するまでそれを20℃未満で保存し、その後、固化したヤシ油をデカントすることによるか、または分液漏斗にデカントすることによって除去した。
【0064】
4.2:エタノール中で抽出した後のヤシ油中のハマアズキ抽出物
ハマアズキの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を95〜100%エタノール(2000mL)に浸け、24時間浸しておいた。ハマアズキのエタノール抽出物をヤシ油(250mL)とともに撹拌した。デカント容器中で少なくとも2時間静置した後に、この溶液からヤシ油をデカントするか、または95%から必ずしもその必要はないが名目上50%エタノールというより低い濃度にエタノール溶液を希釈して、その後、層が安定した後にデカントした。混合物中の全ての残存する水分または固体は、ヤシ油抽出物を転化させ、ヤシ油が固化するまでそれを20℃未満で保存し、その後、固化したヤシ油をデカントすることによるか、または分液漏斗にデカントすることによって除去した。
【0065】
4.3 エタノールおよびイソペンタン中で抽出した後のヤシ油中のハマアズキ抽出物
ハマアズキの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を95〜100%エタノール(2000mL)に浸け、6時間浸しておき、その後、エタノールを除去し、ハマアズキを第2のアリコートのエタノール(2000mL)にさらに6時間浸した。
【0066】
得られたエタノールをヘキサン、ペンタン、メチルブタンもしくは等価な炭化水素またはフルオロ/クロロ/ブロモ炭化水素(250mL)とともに撹拌した。デカント容器中で少なくとも2時間静置した後に、この溶液から炭化水素をデカントするか、または95%から必ずしもその必要はないが名目上50%エタノールというより低い濃度にエタノール溶液を希釈して、その後、層が安定した後にデカントした。
【0067】
ヤシ油(250mL)を炭化水素溶液に添加し、炭化水素を蒸発させるために、炭化水素の沸点よりも高く加熱した(例えば、ヘキサンを用いる場合、溶液を67℃に加熱した)。た。95%エタノール(250mL)を炭化水素溶液に添加し、炭化水素の沸点よりも高く加熱した。
【0068】
4.4:エタノール中で抽出した後の炭化水素中のハマアズキ抽出物
ハマアズキの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を95〜100%エタノール(2000mL)に浸け、6時間浸しておき、その後、エタノールを除去し、ハマアズキを第2のアリコートのエタノール(2000mL)にさらに6時間浸した。得られたエタノールをヘキサン、ペンタン、メチルブタンもしくは等価な炭化水素またはフルオロ/クロロ/ブロモ炭化水素(250mL)とともに撹拌した。デカント容器中で少なくとも2時間静置した後に、この溶液から炭化水素をデカントするか、または95%から必ずしもその必要はないが名目上50%エタノールというより低い濃度にエタノール溶液を希釈して、その後、層が安定した後にデカントした。
【0069】
4.5:エタノールおよび炭化水素中で抽出した後のエタノール中のハマアズキ抽出物
ハマアズキの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を95〜100%エタノール(2000mL)に浸け、6時間浸しておき、その後、エタノールを除去し、ハマアズキを第2のアリコートのエタノール(2000mL)にさらに6時間浸した得られたエタノールをヘキサン、ペンタン、メチルブタンもしくは等価な炭化水素またはフルオロ/クロロ/ブロモ炭化水素(250mL)とともに撹拌した。デカント容器中で少なくとも2時間静置した後に、この溶液から炭化水素をデカントするか、または95%から必ずしもその必要はないが名目上50%エタノールというより低い濃度にエタノール溶液を希釈して、その後、層が安定した後にデカントした。95%エタノール(250mL)を炭化水素溶液に添加し、炭化水素を蒸発させるために、炭化水素の沸点よりも高く加熱した(例えば、ヘキサンを用いる場合、溶液を67℃に加熱した)。
【0070】
実施例5−ココヤシの抽出物の調製
5.1:ヤシ油中のココヤシ抽出物
ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(100g)を用いたことを除いて、実施例5.1でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0071】
5.2:エタノール中で抽出した後のヤシ油中のココヤシ抽出物
ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.2でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0072】
5.3:エタノールおよび炭化水素中で抽出した後のヤシ油中のココヤシ抽出物
ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.3でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0073】
5.4:エタノール中で抽出した後の炭化水素中のココヤシ抽出物
ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.4でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0074】
5.5:エタノールおよび炭化水素中で抽出した後のエタノール中のココヤシ抽出物
ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(100g)を用いたことを除いて、実施例5.5でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0075】
実施例6−モモタマナの抽出物の調製
6.1:ヤシ油中のモモタマナ抽出物
モモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(100g)を用いたことを除いて、実施例5.1でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0076】
6.2:エタノール中で抽出した後のヤシ油中のモモタマナ抽出物
モモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.2でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0077】
6.3:エタノールおよび炭化水素中で抽出した後のヤシ油中のモモタマナ抽出物
モモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.3でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0078】
6.4:エタノール中で抽出した後の炭化水素中のモモタマナ抽出物
モモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.4でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0079】
6.5:エタノールおよび炭化水素中で抽出した後のエタノール中のモモタマナ抽出物
モモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1000g)を用いたことを除いて、実施例5.5でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0080】
実施例7−オオハマボウの抽出物の調製
7.1:ヤシ油中のオオハマボウ抽出物
オオハマボウの新鮮な破砕葉、蔓および豆(100g)を用いたことを除いて、実施例5.1でハマアズキについて記載した通りに抽出物を調製した。
【0081】
実施例8−皮膚の上皮厚に対するハマアズキおよびモモタマナの個別抽出物の効果
皮膚の上皮厚に対する各々の抽出物(実施例4〜7に記載の通りに調製したもの)の効果の評価を行なった。1mLの日用量の抽出物を10〜14週齢の雌ラットの背中の上皮表面に7日間局所適用した。第1の対照を1mlの日用量のヤシ油で処置した。第2の対照は、10〜14週齢の雌ラットの処置していない背中表面であった。7日目に、処置した皮膚と処置していない皮膚の組織像を評価した。
【0082】
図6A〜6Jは、処置した皮膚と対照皮膚の組織像を示している。これらの結果は、ヤシ油のみ(図6B)では皮膚の組織学的プロファイルに明白な効果がないことを示している。ヤシ油のみで処置した皮膚の組織像は、処置していない皮膚と類似している(図6A)。
【0083】
図6C〜6Eは、ヤシ油(図6C)中;エタノール(図6D)中;およびエタノールおよび炭化水素(図6E)で抽出した後のヤシ油中のハマアズキの抽出物を毎日適用した後の組織像を示す。これらの結果は、上皮細胞の厚さの顕著な変化を示している。さらに、真皮の血管構造の痕跡はあるが、炎症性浸潤の痕跡は見られない。まとめると、皮膚に対するハマアズキの効果は全ての抽出溶液で観察され、これにより、抽出物をエタノール中に濃縮することと、炭化水素抽出することとが可能であることが示された。
【0084】
図6F〜6Jは、ヤシ油(図6F)中;炭化水素(図6G)中;エタノール(図6H)中;エタノールで抽出した後のヤシ油(図6I)中;およびエタノールおよび炭化水素で抽出した後のヤシ油(図6J)中のモモタマナの抽出物調製物を毎日適用した後の組織像を示す。これらの組織学的プロファイルから、抽出物は、単独でエタノールまたは炭化水素抽出物としては限られた活性しかないが、モモタマナが、ヤシ油中、またはエタノールもしくは炭化水素中に直接抽出された後、ヤシ油中に抽出された場合は、活性が維持されることが示されている。
【0085】
実施例9−皮膚の上皮厚に対するハマアズキ、ココヤシ、モモタマナ、およびオオハマボウの個別抽出物および組合せ抽出物の効果
実施例4.1、5.1、6.1および7.1に記載の通りに調製された各々の抽出物の活性の評価を行なった。1mLの日用量のヤシ油中のハマアズキ抽出物(実施例4.1);ヤシ油中のココヤシ抽出物(実施例5.1);1mLのヤシ油中のモモタマナ抽出物(実施例6.1);および/または1mLのヤシ油中のオオハマボウ抽出物(実施例7.1)を局所投与した。各々の抽出物を、単独でまたは1mLの用量が得られるように、第2の抽出物、例えば、0.5mLのヤシ油中のハマアズキ抽出物+0.5mLのヤシ油中のココヤシ抽出物と組み合わせて、適用した。抽出物を、10〜14週齢の雌ラットの背中の上皮表面に局所適用した。7日目に、皮膚の上皮厚を測定した。
【0086】
図7Bおよび7Bは、同じ動物の処置していない対照皮膚と比較した、7日目の上皮厚の変化率を示す。図7Aは、ヤシ油中のハマアズキ抽出物およびヤシ油中のモモタマナ抽出物の局所適用によって、抽出物を単独で適用したときに、7日間にわたって上皮厚が最大に増加することを示している。図7Bでは、各々の抽出物をもう1つの抽出物と組み合わせて適用したときの上皮厚の変化率が詳述されている。これらの結果は、ココヤシ抽出物には、ハマアズキ抽出物とモモタマナ抽出物の両方との相乗効果があり、オオハマボウには、ハマアズキとの相乗効果があることを示している。
【0087】
実施例4〜7に記載の通りに調製された各々の抽出物を用いたさらなる評価(データは示さない)を行ない、図6A〜6Jならびに7Aおよび7Bに示す結果を確認した。評価には、303匹の雌のスプラーグドーリーラットおよび34羽のニュージーランド白ウサギを利用した。抽出物を、18カ月齢の卵巣切除ラットおよびシャム卵巣切除ラット、ならびに12週齢のラットの背中の上皮表面に最大21日間、および12週齢のニュージーランド白ウサギの皮膚に7日間、局所適用した。
【0088】
並行研究において、保湿剤(ハイドロダーム)、局所用抗生物質のクロロマイセチン(クロラムフェニコール)、ヤシ油、またはエタノール中に抽出したヤシ油を、18カ月齢の卵巣切除ラットおよびシャム卵巣切除ラットの背中の上皮表面に適用し、隣接する処置していない部位の上皮表面と比較した。ハイドロダーム、クロロマイセチン(クロラムフェニコール)、ヤシ油、またはエタノール中に抽出したヤシ油で処置した動物については、隣接する処置していない皮膚と比較して、処置した皮膚の厚さに有意な差は記録されなかった。これらの結果は、上皮で見られた変化が抽出物の適用によるものであり、例えば、抽出物中のヤシ油の保湿効果に関連するものではないことを示している。変化をクロラムフェニコールで複製することができないので、これらの結果は、上皮で見られた変化が抽出物の何らかの抗微生物能に関連するものではないことも示している。
【0089】
全ての動物は処置によく耐えた。局所処置に伴う死亡または疾病はなかった。適用された皮膚の領域は、どの積極的な治療においても、巨視的にまたは微視的に炎症を起こしていないようであった。抽出物の適用領域における上皮の組織学的変化に注目した。適用領域と対照領域の違いから、上皮の多くの層の肥大と階層化された外観の増加とを伴う上皮構造に対する変化が明らかになった。上皮厚の増加は100%を超え、また、再現性もあり、統計的に定量可能でもあった。
【0090】
抽出物が適用された皮膚の上皮で見られた効果は、若い動物において、老齢の動物と老齢のエストロゲン欠乏動物の両方で見られた効果と同じであった。これは、これらの群の各々における処置していない動物のベースライン組織像が違うにもかかわらずである。ウサギの皮膚に対する抽出物の効果は、ラットで見られた効果と同様であり、上皮および上皮構造(例えば、毛包)に対して同様の変化が見られた。
【0091】
実施例10−ハマアズキ、ココヤシ、およびモモタマナの組合せ抽出物の調製
ハマアズキの新鮮な破砕葉、蔓および豆(2.5kg)、ココヤシの若い堅果の新鮮な殻(2.5kg)ならびにモモタマナの新鮮な破砕葉、蔓および豆(1kg)を別々に腐葉土化した。
【0092】
ハマアズキを95%エタノール(5L)に添加して、撹拌し、混合物を12時間静置しておいた。ハマアズキの腐葉土材を取り出して、第2の95%エタノール(5L)のバットに添加し、混合物を12時間静置しておいた。最初の5Lのエタノールを大きいバットに添加した。
【0093】
ハマアズキの腐葉土材を第2のエタノールのアリコートから取り出して、第3の95%エタノール(5L)のアリコートに添加した。ココヤシの腐葉土材を第2の95%エタノール(5L)の容器に添加し、12時間静置しておいた。ハマアズキの腐葉土材(この時点ではほぼ無色)を第3の95%エタノールのアリコートから取り出して、捨てた。ココヤシの腐葉土材を第2の容器から取り出して、第3の95%エタノールのアリコート中に入れた。第3のアリコートを12時間静置しておいた。第2の95%エタノールのアリコートを第1のアリコートに添加した。
【0094】
ココヤシの腐葉土材を第3の95%エタノールのアリコートから取り出して、第4の95%エタノール(5L)のアリコート中に入れた。モモタマナの腐葉土材を第3の95%エタノールのアリコートに添加した。第3のアリコートと第4のアリコートの両方を12時間静置しておいた。
【0095】
ココヤシの腐葉土材を第4のアリコートから取り出して、捨てた。モモタマナの腐葉土材第3の95%エタノールのアリコートから取り出して、第4の95%エタノールのアリコート中に入れ、12時間静置しておいた。第3の95%エタノールのアリコートを第1のアリコートおよび第2のアリコートに添加した。
【0096】
モモタマナの腐葉土材を第4のアリコートから取り出して、第5の95%エタノール(5L)のアリコートに添加し、12時間静置しておいた。モモタマナの腐葉土材(この時点では無色)を第5のアリコートから取り出した。第4の95%エタノールのアリコートと第5の95%エタノールのアリコートの両方を最初の3つのアリコートに添加した。得られた抽出混合物に、バージンヤシ油(1L)を添加した。この混合物を4時間にわたって15分毎に5分間激しく混合した。その後、混合物を沸騰するまで加熱し、混合物を容量が26Lから3Lに減るまで、80℃よりも高く保持した。得られた混合物を冷却し、安定させておいた。ヤシ油を混合物の一番上からデカントし、密封できる容器に入れて、冷蔵庫の中で転化させた。ヤシ油を固化させておき、残りの水性成分を取り除いて、捨てた。その後、ヤシ油を温水浴中にて約56℃で加熱し、濾過した。
【0097】
実施例11−ハマアズキ、ココヤシ、およびモモタマナの組合せ抽出物の用量依存性
実施例10に記載の通りに調製された組合せ抽出物の用量依存性を評価するために、1mLの日用量の抽出物を10〜14週齢の雌ラットの背中の上皮表面に局所適用した。抽出物の濃度は100%であった。抽出物を50%、10%、5%および1%でも適用した。これらの抽出物は、100%の抽出物をヤシ油で希釈して調製した。7日間毎日皮膚に局所適用して処置した。対照動物は、処置していない10〜14週齢の雌ラットであった。図8A〜8Fは、7日目の皮膚の組織像を示す。これらの結果は、抽出物と上皮の最大厚および細胞充実度との用量依存的関係性が50%または100%の抽出物を毎日適用した後により明白であることを示している。図9Aおよび9Bは、7日目の皮膚の上皮厚および上皮厚の変化率を示している。130%を超える皮膚の上皮厚の増加は、50%または100%の組合せ抽出物で処置された動物で観察された。
【0098】
実施例12−混合液中のハマアズキ、ココヤシ、およびモモタマナ組合せ抽出物の効果
実施例10に記載の通りに調製されたヤシ油(100%)中のハマアズキ、ココヤシおよびモモタマナの抽出物を、クロルヘキシジン;ハイドロダームモイスチャライザー;25%クロラムフェニコールおよび50%クロラムフェニコールと混合した。各々の混合物を、10〜14週齢の雌ラットの背中の上皮表面に7日間局所適用した(1mL)。7日目に、処置した皮膚の組織像を評価した。
【0099】
組織学的プロファイルを図10A〜10Eに示す。これにより、抽出物の効力が市販の軟膏または溶液の存在によって軽減されないことと、抽出物が消毒剤および抗生物質の適用と両立し得ることとが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハマアズキ(Vigna marina (Burm.) Merr.)、ココヤシ(Cocos nucifera L)、またはモモタマナ(Terminalia catappa L)のうちの1つまたは複数の生物活性抽出物。
【請求項2】
オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus L)の生物活性抽出物をさらに含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
前記抽出物がハマアズキの抽出物を含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項4】
前記抽出物が、ハマアズキとモモタマナの抽出物の組合せを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項5】
前記抽出物が、ハマアズキとココヤシの抽出物の組合せを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項6】
前記抽出物が、ハマアズキとココヤシとモモタマナの抽出物の組合せを含む、請求項1に記載の抽出物。
【請求項7】
前記抽出物が、ハマアズキとココヤシとモモタマナとオオハマボウの抽出物の組合せを含む、請求項2に記載の抽出物。
【請求項8】
前記抽出物が、葉、蔓、豆、殻または堅果のうちの1つまたは複数に由来する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抽出物。
【請求項9】
ハマアズキ、モモタマナおよび/またはオオハマボウの抽出物が、葉、蔓、および/または豆のうちの1つまたは複数に由来する、請求項1に記載の抽出物。
【請求項10】
オオハマボウ抽出物が、葉、蔓、および/または豆のうちの1つまたは複数に由来する、請求項2に記載の抽出物。
【請求項11】
前記抽出物が、植物性油、炭化水素および/もしくはアルコールを用いて調製され、かつ/または植物性油、炭化水素および/もしくはアルコールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抽出物。
【請求項12】
前記植物性油が種子または果実に由来する、請求項11に記載の抽出物。
【請求項13】
前記植物性油がヤシ油である、請求項11に記載の抽出物。
【請求項14】
前記ヤシ油が、バージンヤシ油、精製ヤシ油、硬化ヤシ油または分画ヤシ油である、請求項13に記載の抽出物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の抽出物、ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤、を含む組成物。
【請求項16】
前記組成物が、対象の皮膚または表皮付属器官に局所的に適用される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記表皮付属器官が、毛、毛包、爪、または角質である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
創傷の治療ならびに/または創傷治癒の治療的および/もしくは美容的促進のための請求項15または請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記創傷が外科的または非外科的創傷である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記非外科的創傷が、火傷、擦り傷、切り傷または擦過傷である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
皮膚障害の治療的および/または美容的治療のための、請求項15または請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記皮膚障害が、加齢に関連した皮膚萎縮またはステロイドに関連した皮膚萎縮である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記加齢に関連した皮膚萎縮がエストロゲン欠乏と関連している、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
毛を再生させるための、請求項15または請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
毛の成長を促進するための、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項26】
皮膚および/または表皮付属器官の厚さおよび/または機械的強度を増大させるための、請求項15または請求項16に記載の組成物。
【請求項27】
対象の皮膚に治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物または請求項15に記載の組成物を適用することを含む、創傷の治療ならびに/または創傷治癒の治療的および/もしくは美容的促進のための方法。
【請求項28】
前記創傷が外科的または非外科的創傷である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記非外科的創傷が、火傷、擦り傷、切り傷または擦過傷である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
対象の皮膚に治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物または請求項15に記載の組成物を適用することを含む、皮膚障害の治療的および/または美容的治療のための方法。
【請求項31】
前記皮膚障害が、加齢に関連した皮膚萎縮またはステロイドに関連した皮膚萎縮である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記加齢に関連した皮膚萎縮がエストロゲン欠乏と関連している、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
対象の皮膚に治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物または請求項15に記載の組成物を適用することを含む、毛を再生させるための方法。
【請求項34】
対象の皮膚および/または毛に治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物または請求項15に記載の組成物を適用することを含む、毛の成長を促進するための方法。
【請求項35】
対象の皮膚に治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物または請求項15に記載の組成物を適用することを含む、皮膚の厚さおよび/または機械的強度を増大させるための方法。
【請求項36】
前記対象がヒトである、請求項27〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
創傷の治療ならびに/または創傷治癒の治療的および/もしくは美容的促進のための医薬品または薬学的組成物の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物の使用。
【請求項38】
前記創傷が外科的または非外科的創傷である、請求項37に記載の抽出物の使用。
【請求項39】
前記非外科的創傷が、火傷、擦り傷、切り傷または擦過傷である、請求項38に記載の抽出物の使用。
【請求項40】
皮膚障害の治療的および/または美容的治療のための医薬品または薬学的組成物の製造における請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物の使用。
【請求項41】
前記皮膚障害が、加齢に関連した皮膚萎縮またはステロイドに関連した皮膚萎縮である、請求項40に記載の抽出物の使用。
【請求項42】
前記加齢に関連した皮膚萎縮がエストロゲン欠乏と関連している、請求項41に記載の抽出物の使用。
【請求項43】
毛を再生させるための医薬品または薬学的組成物の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物の使用。
【請求項44】
毛の成長を促進するための医薬品または薬学的組成物の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物の使用。
【請求項45】
皮膚の厚さおよび/または機械的強度を増大させるための医薬品または薬学的組成物の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の生物活性抽出物の使用。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−526050(P2012−526050A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508854(P2012−508854)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000519
【国際公開番号】WO2010/127396
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511266519)シムテック ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】