説明

創傷治癒を促進する医薬組成物

本発明は医薬組成物及び創傷治癒を促進する方法に関する。本発明は本明細書に開示されている医薬組成物を製造する方法にも関する。有効量の2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシン、約10〜約70w/w%のプロピレングリコール及び増粘剤からなる、医薬組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年3月31日に出願の仮出願第60/788,303号の優先権を主張する。上記出願の全内容を、そのまま、参照として本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、創傷治癒を促進する医薬組成物及び方法に関する。本発明は本明細書に開示される医薬組成物を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
創傷の治癒は、3つの重複する段階:炎症、組織の形成、及び組織の再構築:で特徴付けられる複雑な過程である。組織形成の時期に、局在性及び遊走性細胞よって合成された成長因子が、繊維芽細胞を刺激して創傷部に移動し、そこでこれらは増殖して細胞外マトリックスを構築する。慢性創傷の治癒は、更なる複雑性によって特徴付けられて、従来型の治療は多くの場合慢性創傷の治療には不適切である。実際に、慢性創傷は治癒及び縫合に抵抗する。糖尿病性の潰瘍のような創傷が慢性の開口性創傷になることは珍しくない(Wieman, et al., Diabetes Care, 1998, Vol. 21, No. 5, 822-827)。
【0004】
最近の慢性創傷の手当治療は、創傷清拭、頻繁な包帯取り替え、感染制御及び非体重負荷療法を包含する。最初に、壊死した再生不良な組織を創傷部から取り除く創傷清拭が生じる。壊死組織の除去は、慢性というより今急性である創傷を生み出す。このような方法で、身体の創傷治癒機構を再始動できる(Pierce, American Journal of Pathology, 2001, Vol. 159, No. 2, 399-403)。外来性の残屑及び汚染物質に対する創傷の洗浄は、創傷治療において非常に重要なことである。しばしば、創傷の包帯はこのような外来性の残屑及び汚染物質の一因となり得る。外来性残屑の存在は創傷の感染の一因となる。全ての慢性創傷は細菌感染を合併するが、細菌負荷が患者の免疫応答を圧倒して細菌が無限に増殖した時に、細菌は自然発生的な治癒過程の何れもを遅らせるであろう。実際に、細菌負荷(生物学的負荷としても知られている)は感染及び/又は炎症の一因となりうる。
【0005】
良好な慢性創傷治療に重要な別の要素は、創傷周囲の湿度である。湿った環境が再上皮化及び治癒を促進することが研究によって明らかにされている。当然のことながら、慢性創傷の良好な治癒の一因となる多種の要素を考慮すると、最近の治療法への患者のコンプライアンスは低く、創傷が慢性のまま残るか又は最初に治癒が成功した後でさえも慢性に戻ってしまうことが珍しくない。更に、非慢性創傷の治療が、良好な慢性創傷治癒に関連する多くの同様の基準と合致することを必要とするだろう。
【0006】
良好な創傷治癒に付随する複雑性を考慮すると、創傷治癒を促進するのに有用な医薬品を送達する賦形剤は、有効にするために多くの障害を克服しなければならない。当然ながら、適用及び適用によって創傷部位へ送達する前に、活性薬剤を運搬できなければならない。次に、賦形剤は薬剤を、全身的な医薬作用を避けるために許容できないレベルの全身的な吸収及び浸透を生ずることなく、創傷部位まで送達できなければならない。創傷清拭がしばしば創傷を身体の血管系まで広げて、活性薬剤の全身的な吸収又は浸透のための可能な入り口を提示してしまうので、この問題は慢性創傷の治療において特に深刻である。従って、患者の治療に用いられたときに、活性薬剤の許容できないレベルの全身的吸収レベルを生じない、製剤が必要とされている。
【0007】
何れの送達用の賦形剤もまた、抗菌性であり又は何れの細菌の生育も阻害しなければならない。賦形剤はできるだけ清浄な状態で創傷に入らなければならない。また、清浄さは投与の間中保たれていなければならない。(Sibbald, et al., Ostomy/Wound Management, 2003, Vol. 49, Issue 11, 24-51)。一般に、細菌負荷の導入を阻止するのに必要な無菌レベルを得るためには、製剤を殺菌しなければならない。製剤は無菌製造工程又は最終滅菌によって無菌にすることができる。最終滅菌は一般に、必要な滅菌度を達成するまで、放射性物質又は熱源に暴露することを包含する。しかしながら、最終滅菌のこれらの方法はしばしば有害な影響を有していて、組成物の有効成分又はその他の成分を分解して、これが最終的な医薬組成物の有効性を減少する可能性がある(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, 2005, 776-777, 794-797)。そのように、無菌製造工程又は最終滅菌による殺菌が不要な製剤が必要とされている。
【0008】
糖尿病は、米校における主要な健康問題であって、人口のおよそ6%、もしくは1600万人が罹っている。糖尿病の発生率は1年当たりに診断される新規症例が約800,000という割合で増加している(疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention). National Diabetes Fact Sheet: National estimates and general information on diabetes in the United States.Revised edition, Atkanta, GA: U. S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention,1998)。糖尿病の有病率の増加に伴い、神経障害性足部潰瘍が、患者、家族、介護人、及び医療制度に影響を与える主要な身体的、精神的、そして経済的な負担になってきている。糖尿病患者のおよそ15%(すなわち、2〜300万人の患者)がそれらの病気の経過中に足部潰瘍形成を発現するであろう(Reiber GE., Diabet Med 1996; 13: S6-S11)。足部潰瘍による糖尿病患者の入院は、感染、壊疽、及び足部切断によって、しばしば長引き;そして実際に糖尿病の他の合併症の何れよりも長い入院日に対する会計も高くなる(Bild, et al., Diabetes Care 1989; 12(1): 24-31)。
【0009】
必要により、血流を回復した後、神経障害性足部潰瘍の処置に対する基本的な治療法は標準的な創傷治療:(1)初めの皮膚のタコ、フィブリン及び壊死組織の鋭的創傷清拭、次いで指示されたら追加の創傷清拭、(2)車いす、松葉杖、歩行器、成形靴などを含む非体重負荷療法の積極的な管理、(3)湿式創傷包帯、(4)栄養補給及び最適な血糖コントロールの維持、及び(5)感染の監視及び治療:の最適化である(American Diabetes Association.Consensus development conference on diabetic foot wound care. Diabetes Care 1992; 22(8):1354-1360; U. S. Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration. Guidance for Industry; Chronic cutaneous ulcer and burn wounds-developing products for treatment. Draft Guidance. June 2000; Steed, et al., J Am Coll Surg 1996; 183: 61-64; Frykberg, et al., Diabetic foot disorders: a clinical practice guideline. Data Trace Publishing Company, 2000)。
【0010】
慢性創傷の管理のために、新しい薬剤及び機器が最近導入されている。これらの薬剤は標準治療を補助するものと考えられる。血小板由来成長因子のような成長因子は、やや有効であることが示されている(Steed, et al., J Vasc Surg 1995; 21: 71-78; Wieman, et al., Am J Surg 1998; 176(2A):74S-79S; Wieman, et al., Diabetes Care 1998; 21(5):822-827)。しかしながら、慢性創傷の細胞外マトリックスにある高濃度のエラスターゼ、コラゲナーゼ、及び他のプロテアーゼが、創傷床に存在する有益なサイトカイン及びサイトカイン受容体を根絶してそれらを無効にしてしまう(Wysocki, J WOCN 1996; 23:283-290; Mast, et al., Wound Rep Reg 1996; 4:411-420; Yager, et al., J Invest Dermatol 1996; 107:743-748; Yager, et al., Wound Rep Reg 1997; 5:23-32)。更に、フィブリン、αマクログロブリン及びアルブミンのような巨大分子の創傷床への漏出及び蓄積が、成長因子を補捉して、これらを組織及び創傷で利用できなくしてしまう(Falanga, et al., lancet 1993; 341: 1006-1008)。代用皮膚も有効性の証拠が示されている(Falanga, et al., Wound Rep Reg 1999; 7:201-207; Veves, et al., Diabetes Care 2001; 24(2):290-295; Gentzkow, et al., Diabetes Care 1996; 19(4):350-354; Bowering, J., Cutan Med Surg 1998; 3(Suppl 1):S1-19-32)しかし、これも先に記した理由によりプロテアーゼによって破壊されてしまう可能性がある。市販の成長因子及び代用皮膚は、多くの患者及び第三者支払人にとってコスト-有効度を問題化させる高価な薬剤である。
【0011】
上で述べたように、良好な慢性創傷治癒に必要な全ての基準に合致する有効な治療方法は現在のところほとんど得られておらず、そして更に、治療法は良好な創傷の治癒及び縫合の促進及び達成に有効ではない。このように、創傷治癒の活性薬剤、特に慢性創傷の治癒及び縫合を促進できる薬剤の送達を可能にする薬剤送達用の賦形剤が必要とされている。更に、創傷、特に慢性創傷の良好な治癒に必要な多くの基準を達成できる薬剤送達用の賦形剤が必要とされている。
【0012】
アデノシンA受容体作動薬が繊維芽細胞及び内皮細胞の人工創傷への移行を促進することをインビトロの検討が明らかにした(Montisnos, et al., J. Exp. Med. 1997 Nov 3; 186(9):1615-20)ので、創傷治癒に有用なA受容体作動薬を含有する医薬組成物の開発は特に興味深いことである。
【0013】
2000年2月1日に登録された Cronstein et al. の米国特許第6,020,321号はPEG−1000のような軟膏基剤に入れた数々のアデノシンA作動薬の局所製剤を開示している。このアデノシンA受容体作動薬の局所適用は、創傷治癒の重要な因子である、内皮細胞及び繊維芽細胞の移行を増加させる。そのような作動薬の例は、2−フェニルアミノアデノシン、2−パラ−2−カルボキシエチルフェニル−アミノ−5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン、5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、5’−N−シクロプロピルアデノシン、5’−N−メチル−カルボキサミドアデノシン及びPD−125944(PCT国際公開第WO94/23723号公報)である。同様に、アデノシンA作動薬であるCGS21680(2−[p−(カルボキシエチル)フェニルエチルアミノ]−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン)が、ラットにおいて創傷縫合の比率を増加させることが示されている(Monetesinos, et al., American Journal of Pathology, Vol. 160, No. 6, 2002, 2009-2018)。
【0014】
2005年10月4日に登録された Moorman の米国特許第6,951,392号は、2−アラルコキシ及び2−アルコキシアデノシン誘導体、特に2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの合成を開示している。2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンは健常なBALB/Cマウスの創傷治癒を促進することが見出された(Victor-Vega, et al., Inflammation, 2002, Feb; 26 (1): 19-24)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
アデノシンA受容体作動薬が創傷治癒を促進できるという認識にもかかわらず、医薬送達の賦形剤、特にこれらの薬剤の有効量を創傷部位へ送達して良好に創傷を治癒するのに必須である多くの基準に合致する、安定な医薬送達賦形剤の必要性が残っている。実際に、今日まで、創傷治癒における有効性を明らかにしたアデノシンA受容体作動薬を伴う医薬組成物はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明は、慢性創傷を含む、創傷の治癒を促進するのに有用なアデノシンA受容体作動薬を含有する医薬組成物に関する。具体的には、本発明は慢性創傷を含む、創傷の治癒を促進するのに有用な、2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシン誘導体を含有する医薬組成物に関する。特に出願人は、50質量%のプロピレングリコール中に0.5〜500μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有する医薬組成物が、活性薬剤の体内への全身的な吸収がなくそして創傷部位に増加した生物学的な負荷を導入せずに、慢性創傷の治癒及び縫合を促進するのに有効であることを発見した。このように、本願は薬剤送達賦形剤であるグリコール、特にプロピレングリコール中に創傷治癒薬剤を含有してなる医薬組成物に関するものであり、この医薬組成物は、全ての創傷のタイプ、急性又は慢性創傷の治療に使用でき、自然治癒するように放置されているか又は現在利用可能な方法で治療されている同様の創傷よりもより早く創傷が治癒される。出願人は、現在の創傷治癒の治療とは異なって、本発明の医薬組成物は静菌的な抗菌性を有していて、従来の滅菌方法を用いずに製造できることも見出した。このように本発明の医薬組成物は、滅菌方法の使用が必要な現在の創傷治癒の治療と比べると低コストで容易に製造することができる。
【0017】
本発明は、長時間安定であって、製剤中の活性医薬物質の相当量の分解生成物を示すことのない医薬組成物を包含する。製剤中の活性医薬物質の分解製造物の量が36ヶ月にわたって、合計で、5%未満であることが好ましい。製剤中の活性医薬物質の分解生成物の量が4年半にわたって、合計で、5%未満であることが好ましい。
【0018】
本発明は、患者に投与したときに、創傷部位以外の体内への活性薬剤の全身的吸収が最小であるか、実質的にないか、又はないようにした医薬組成物を包含する。検出可能な最小の、実質的に検出可能ではない、又は検出可能ではないレベルで患者の血漿中に活性成分を示すような、全身的吸収が最小であるか、実質的にないか、又はないようにした医薬組成物を包含する。本発明は、自己保存性があり、殆ど分解しない医薬組成物も包含する。更に本発明の医薬組成物は、創傷部位への更なる生物学的な負荷の導入を避けるための照射又は加熱による従来の滅菌を必要としない。
【0019】
本発明は、創傷の治癒を促進するのに有効な量の本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む、前記患者における創傷治癒を促進する方法を包含する。
【0020】
本発明の医薬組成物の投与は、患者の血中に最小レベルの活性薬剤をもたらす。本発明の方法は、創傷部位に更なる生物学的な負荷を導入せず、そしてアデノシンA2A受容体作動薬の全身投与から予想され得る、顔面紅潮、心拍数の増加のような全身的な薬理学的反応を引き起こさない、本発明の医薬組成物を投与することを包含する。
【0021】
本発明の医薬組成物及び方法は、多種多様の創傷における創傷治癒を促進するために用いることができる。創傷は、これらに限定されないが、静脈性足部潰瘍、褥瘡、糖尿病性の神経障害性潰瘍、火傷、手術傷、急性創傷、及び他の皮膚の整合性を阻害する皮膚病変の結果であって、本発明が扱う薬理学的/病理学的メカニズムに引き起こされるものである。本発明は、本発明の医薬組成物及び方法が、創傷の治癒及び縫合を促進するのに有効な量の活性薬剤を慢性開口創傷へ送達可能であるということも想定している。
【0022】
本発明は更に、創傷の治療に用いるために、包帯、創傷保護包帯、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ又はペーストに医薬組成物を含浸させることを意図している。
【0023】
本発明は創傷治癒を促進するのに有効な本発明の医薬組成物を包含しているキットも意図している。キットは、これらに限定されないが、本発明の医薬組成物を組み入れていてもよい、包帯、創傷保護包帯、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ及びペーストを含んでいてもよい。
【0024】
(詳細な記述)
A.医薬組成物
本発明は、創傷の治療に有用な、薬剤送達賦形剤中の活性薬剤の有効量を含有している医薬組成物を包含する。好ましくは、この医薬組成物はゲルである。ある特定の態様では、医薬組成物はゲル、クリーム、軟膏、又はローションである。本発明の医薬組成物を局所的に投与することが好ましい。医薬組成物が、組成物の賦形剤による創傷への刺激を与えず、又は痛み若しくは炎症を引き起こさないことが好ましい。
【0025】
本発明は、約10質量%〜約70質量%のグリコール、好ましくは約20質量%〜約60質量%のグリコール、最も好ましくは約50質量%のグリコールを含有している医薬組成物を包含する。多くの態様では、医薬組成物は10質量%〜70質量%のグリコール、好ましくは20質量%〜60質量%のグリコール、最も好ましくは50質量%のグリコールである。本発明によると、このグリコールはC1〜C9のジオール又はこのジオールのポリマーである。好ましい態様では、グリコールがプロピレングリコールである。
【0026】
上記態様のそれぞれでは、医薬組成物は更に増粘剤を含有できる。本発明で有用な増粘剤の例は、これらに限定されないが、アラビアゴム、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セトステアリルアルコール、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチル−セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、トラガカント、及びキサンタンゴムを包含する。本発明の一態様では、増粘剤がセルロースである。本発明の好ましい態様では、微結晶性セルロースがカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0027】
薬剤送達賦形剤が、創傷から離れた体内への活性薬剤の吸収を、最小にして、実質的にさせずに、又はさせずに、創傷の治癒及び縫合を促進するのに有効な量の活性薬剤を創傷へ局所的に送達することが好ましい。全身的な吸収は、本明細書で更に記載されているように、対象の血漿中の活性薬剤のレベルを試験することにより評価してもよい。
【0028】
好ましい態様では、賦形剤が抗菌性を有している。他の好ましい態様では、賦形剤が活性薬剤の分解を阻害する。更に他の好ましい態様では、賦形剤は創傷部位に生物学的負荷を導入しない。本明細書に記載のように、本発明の賦形剤は、加熱又は照射方法を含む(これに限定されないが)従来の滅菌方法を用いる滅菌を必要としない。
【0029】
このように、本発明は抗菌性を有する医薬組成物も意図している。好ましい態様では、医薬組成物は分解されにくい。更に、他の好ましい態様では、医薬組成物は創傷部位に生物学的負荷を導入しない。ある特定の好ましい態様では、医薬組成物は無菌条件下で製造すること又は無菌包装物中に包装することが不要である。
【0030】
ある特定の態様では、医薬組成物はアデノシンA受容体作動薬の有効量を含有している。本発明で有用なアデノシンA受容体作動薬の例は、これらに限定されないが、2−フェニルアミノアデノシン、2−(パラ−(2−カルボキシエチル)フェニル)−アミノ−5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン、5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、5’−N−シクロプロピルアデノシン、5’−N−メチル−カルボキサミドアデノシン(CGS−21680)及び2−[6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−(2−メチルフェニル)−エチル]アミノプリン−9−イル]−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール(PD−125944)を含む。好ましい態様では、アデノシンA受容体作動薬が2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンである。このような態様では、2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが2−アラルコキシアデノシンである。特に好ましい態様では、2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンである。2005年10月4日に登録された Moorman の米国特許第6,951,932号は、2−アラルコキシ及び2−アルコキシアデノシンの誘導体、特に2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの合成を開示している。
【0031】
本発明の医薬組成物では、アデノシンA受容体作動薬の量が医薬組成物の約0.1μg/g〜約1000μg/gである。別の態様では、アデノシンA受容体作動薬の量が医薬組成物の約0.1μg/g〜約600μg/g、約0.5μg/g〜約10μg/g、約10μg/g〜約100μg/g又は約100μg/g〜約600μg/gである。本発明の好ましい態様では、A受容体作動薬の量が医薬組成物の約0.5μg/g、5μg/g、20μg/g、50μg/g、100μg/g、又は500μg/gである。
【0032】
本発明の医薬組成物では、アデノシンA受容体作動薬の量が医薬組成物の約0.00001〜約0.10質量%である。別の態様では、アデノシンA受容体作動薬の量が医薬組成物の約0.00001〜約0.0010質量%、約0.0010〜約0.010質量%又は約0.01〜約0.10質量%である。最も好ましい態様では、A受容体作動薬の量が医薬組成物の0.00005、0.0005、0.005、又は0.05質量%である。
【0033】
特に好ましい態様では、医薬組成物が5μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン及び50質量%のプロピレングリコールを含有している。別の特に好ましい態様では、医薬組成物が20μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン及び50質量%のプロピレングリコールを含有している。更に別の特に好ましい態様では、医薬組成物が50μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン及び50質量%のプロピレングリコールを含有している。更に別の特に好ましい態様では、医薬組成物が100μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン及び50質量%のプロピレングリコールを含有している。更に別の特に好ましい態様では、医薬組成物が500μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン及び50質量%のプロピレングリコールを含有している。
【0034】
本発明の他の態様では、医薬組成物が等張剤を更に含有している。薬学的に許容される等張剤の例は、これらに限定されないが、塩化ナトリウム、ブドウ糖、及び塩化カルシウムを包含する。ある特定の態様では、等張剤が塩、特に塩化ナトリウムを包含する。
【0035】
本発明の更なる他の態様では、医薬組成物が水を更に含有している。本発明の更なる別の態様では、水が組成物の約30質量%〜90質量%である。
【0036】
他の態様では、医薬組成物は緩衝系を更に含有している。薬学的に許容される緩衝系の例は、これらに限定されないが、酢酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、炭酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩を包含する。好ましい態様では、緩衝系が酢酸系である。
【0037】
本発明の更なる別の態様では、医薬組成物のpHが約4.5〜約11.0である。本発明の好ましい態様では、医薬組成物のpHが約5.5〜約10.0である。pHが約5.9〜約6.7であることが更に好ましい。本発明の最も好ましい態様では、医薬組成物のpHが約6.5である。
【0038】
好ましい態様では、本発明の医薬組成物には追加の保存剤が存在していない。代替の態様では、これらに限定されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト二ウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミドウレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール及びチメロサールを包含する追加の保存剤を本発明の医薬組成物に添加することができる。
【0039】
本発明の一態様では、医薬組成物が、創傷へ局所的に塗布及び接着するために適切な持続性を有するような粘度レベルを有している。本発明の別の態様では、医薬組成物が、創傷へ正確に塗布及び接着できるレベルに粘度をもたらすのに充分な量で存在している増粘剤を含有している。薬学的に許容される増粘剤の1%溶液のせん断粘度は、スピンドル#2又は3の何れかを用い、30rpmでブルックフィールド(Brookfield) LVF で測定したときに200〜2500cPsの範囲でなければならない。本発明の医薬組成物の設定粘度は、スピンドル#29又は他の適切なスピンドルを用い、0.1rpmで少量サンプルカップアダプターを用いるブルックフィールド粘度計を使用して測定したときに、10,000cPsより大きくなければならない。好ましい態様では、医薬組成物が100,000cPsより大きい見掛け粘度を有していて、最も好ましい態様では、医薬組成物が700,000cPsより大きい粘度を有しているであろう。
【0040】
本発明は、長期間にわたって安定で、有効期間の間は製剤中の活性医薬物質の相当量の分解生成物を示すことがない医薬組成物を包含する。製剤中の活性医薬物質の分解生成物の量が、有効期間が36ヶ月であるとき、製品の有効期間の最終時に、合計で、約1、2、3、4,又は5%未満であることが好ましい。有効期間が4年半であるとき、製剤中の活性医薬物質の分解生成物の量が、製品の有効期間の最終時に、合計で、約1、2、3、4,又は5%未満であることが好ましい。好ましい態様では、製剤は、25℃/60%RHで保持したときに、3、6、9、12、18、24、又は36ヶ月の期間内に検出可能な量の活性物質の分解生成物を示さない。特に、非常に好ましい態様は、25℃/60%RHで保持したときに、3、6、9、12、18、24、又は36ヶ月の期間内に合計で、約1、2、3、4,又は5%より多いアデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノールを示さない、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有している製剤である。特に、非常に好ましい態様は、25℃/60%RHで保持したときに、3、6、9、12、18、24、又は36ヶ月の期間内に、検出可能な量のアデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノールを示さない、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有している製剤である。特に、非常に好ましい態様は、40℃/75%RHで保持したときに、最長6ヶ月にわたって、検出可能な量のアデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノールを示さない、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有している製剤である。
【0041】
本発明は2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシン誘導体を含有している医薬組成物を指向していて、好ましい態様では、最長3年にわたる期間、初期効能の少なくとも60%を保持する、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有している。好ましい態様では、製剤は、最長3年にわたる期間、その初期効能の少なくとも65%、70%、75%、80%、90%。95%を保持する。本発明は特に、3ヶ月後にその初期効能の少なくとも80%、85%、90%、又は95%を保持する、6ヶ月後にその初期効能の少なくとも70%、80%、85%、又は90%、95%を保持する、9ヶ月後にその初期効能の少なくとも70%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、12ヶ月後にその初期効能の少なくとも70%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、並びに18ヶ月後にその初期効能の少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、又は95%を保持する製剤を指向している。本発明は、2年の間、初期ラベルクレーム効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、安定化した2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤も指向している。本発明は、最長3年にわたる期間、初期ラベルクレーム効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、安定化した2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤も指向している。本発明は3ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、6ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、9ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、12ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、18ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、24ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する、36ヶ月後に初期ラベル効能の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%を保持する製剤を指向している。
【0042】
B.投与
本発明は、本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む創傷治癒を促進する方法を意図している。本発明の方法は、当該医薬組成物を投与した患者の血中に活性薬剤を検出できる最小に、殆ど又は全く検出できないように、本発明の医薬組成物を投与する方法を包含する。好ましい方法は、医薬組成物からの活性薬剤の創傷部位から離れた体内への全身的吸収を最小に、実質的にない、又は全くもたらさない。更に、好ましい方法は創傷部位に増強した生物学的負荷を導入しない。
【0043】
本発明は、本発明の医薬組成物の投与を含む、患者の創傷を治療する方法を包含する。一態様では、患者は哺乳動物である。好ましい態様では、患者はヒトである。ある特定の態様では、創傷は慢性創傷である。好ましい態様では、慢性創傷が糖尿病性潰瘍である。他の態様では、慢性創傷が、これらに限定されないが、静脈性足部潰瘍、褥瘡、糖尿病性の神経障害性潰瘍、火傷、手術創傷、急性創傷;及び皮膚の整合性を阻害する他の皮膚病変、及び本発明が扱う薬理学的/病理学的メカニズムによて引き起こされる創傷を包含する。
【0044】
好ましい態様では、本発明の医薬組成物は1日に1回局所的に投与される。好ましくは、患者に約0.1μg/日〜約2000μg/日の量を投与する。好ましくは、患者に約0.1μg/日〜約1500μg/日の量を投与する。好ましくは、患者に約0.1μg/日〜約1000μg/日の量を投与する。好ましくは、患者に約0.1μg/日〜約500、50又は5μg/日の量を投与する。更なる態様では、滅菌した塗布用綿棒を用いて創傷の表面領域全体に5μg/g〜500μg/g範囲の濃度で、本発明の薄い、均一の膜(およそ10セント硬貨の厚さ)を塗布する。他の態様では、この濃度が、約0.1μg/g〜約600μg/g、約0.5μg/g〜約10μg/g、約10μg/g〜約100μg/g又は約100μg/g〜約600μg/gである。本発明の好ましい態様では、この濃度が、約0.5μg/g、5μg/g、20μg/g、50μg/g、100μg/g、又は500μg/gである。好ましい態様では、創傷を適切な包帯で覆う。
【0045】
本発明の方法は、現在利用可能な治療法で治療されている患者と比べると、より短期間での創傷縫合の達成をもたらす。期間は、現在利用可能な治療法に対して1/4、1/3、1/2、3/4倍短縮できる。本発明の方法は、創傷清拭及び湿性包帯単独のような、現在利用可能な治療法を用いての創傷治癒率と比べてより高い創傷治癒率ももたらす。好ましい態様においては、創傷治癒率を5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は95%大きくすることができる。
【0046】
本発明によると、創傷治癒(例えば、浸出液を伴わない完全な上皮形成)は医師によって臨床的に評価される。また、創傷治癒は、創傷面積測定、創傷の深さの測定、及び創傷の撮影によって、客観的に評価される。
【0047】
C.製造方法
本発明は本発明の医薬組成物を製造する方法も意図している。方法は、
a)活性薬剤を賦形剤と混ぜ合わせて溶液を製造する、そして
b)工程a)の溶液を増粘剤と混合して、
医薬組成物を製造することを含んでいる。
【0048】
本発明の別の態様では、方法は更に、工程b)の製造物に水を添加することを含んでいる。
【0049】
本発明の別の態様では、方法は更に、工程b)の製造物の張度を調節する薬剤を添加して医薬組成物を製造することを含んでいる。
【0050】
本発明の別の態様では、方法は更に、工程b)の製造物に緩衝系を添加して医薬組成物を製造することを含んでいる。
【0051】
本発明は、活性薬剤を賦形剤と混合することを含む、本発明の医薬組成物を製造する方法も意図している。別の態様では、意図する方法は更に、薬剤と賦形剤の混合物を増粘剤と混合することを含んでいる。本発明の更なる別の方法では、活性薬剤、賦形剤及び増粘剤の混合物を更に水性混合物と混ぜ合わせることができる。更なる態様では、水性混合物は緩衝系を含んでいる。上の態様では、賦形剤はグリコール、好ましくはポリエチレングリコールを含むことができる。
【0052】
好ましくは、本明細書に開示する医薬組成物の製造方法は、ガンマ線照射及び熱処理による減菌を含んでいない。
【0053】
本発明の別の態様は、本発明の医薬組成物の単回用量を含有している容器である。本発明の更なる別の態様は、本発明の医薬組成物の複数回の用量を含有している容器である。上記の態様では、この容器は単一の創傷又は複数の創傷に1日塗布するのに充分な量の医薬組成物を含有している。別の態様では、この容器は単一の創傷又は複数の創傷に複数日間塗布するのに充分な量の医薬組成物を含有している。
【0054】
本発明は、創傷の治療に用いるために、包帯、創傷保護包帯、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ又はペーストに本発明の医薬組成物を含浸させることを意図している。
【0055】
本発明は、創傷治癒に有用な単回又はそれ以上の用量の本発明医薬組成物を含んでいるキットも意図している。キットは、これらに限定されないが、包帯、創傷保護包帯、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ及びペースト、所望により本発明の医薬組成物を組み入れて、を包含することができる。本発明は更に、包帯、創傷保護包帯、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ又はペーストに本発明の医薬組成物を含浸させることを意図している。
【0056】
本発明は、医薬組成物が最大24又は36ヶ月にわたって安定である、有効量の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含んでいる安定化された医薬組成物も意図している。本発明は、2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが患者に投与されたときに全身的に吸収されない、有効量の2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンを含んでいる医薬組成物を意図している。本発明は、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンが患者に投与されたときに全身的に吸収されない、有効量の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含んでいる医薬組成物を意図している。本発明は、患者に投与されたときに、患者の血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンのレベルを測定して、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンが全身的に吸収されない、有効量の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含んでいる医薬組成物を意図している。本発明は、患者に投与されたときに2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンが最小量で全身的に吸収される、有効量の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含んでいる医薬組成物を意図している。本発明は、最大12、24又は36ヶ月にわたって自己保存性を有する医薬組成物を意図している。本発明は、最大12、24、又は36ヶ月にわたって抗菌性である、医薬組成物を意図している。
【0057】
本発明は、他の適切な創傷治癒の標準的な治療を伴う本発明の製剤の使用を意図している。限定されないそのようなものの例は、本製剤の持続陰圧吸引(VAC)療法と併用する使用である。VAC療法、及び患者に対するその使用は当業者の知識範囲内である。VAC療法は、開口傷から液体を密封包帯及び収集容器に連結している管を介して除去することによって創傷治癒を促進するのに役立つ、制御された陰圧(真空)を使用する補助療法システムである。VAC療法の限定されない例は、創傷の包帯が滅菌開放セルフォームでできていて、創傷床の大きさに切って、その中又は上に置かれている。次いで、創傷部位を粘着性のプラスチックシートで覆う。施術者はプラスチックシートの中央に小さな穴を開けて、穴の上に小さなプラスチック包帯で管を繋げる。次いで、管の遠端をVACポンプに繋げる。次いで、約125mmHgの大気以下の吸引圧力を創傷部位に連続的又は間欠的に;個々の必要度に従う程度まで加える。特殊な包帯布を難しい領域(足のような)用に得ることができ、そして新規な粘着細片も密閉を保持するために役立つ。
【0058】
用語「約」又は「おおよそ」は、当業者によって測定されるような特定の値に対する許容可能な誤差範囲を意味して、その一部は、これは如何にこの値が測定又は検出されたか、すなわち測定システムの限界、によって決定されるであろう。例えば、約は、当該技術分野における実践値当たりの1又は1以上の標準偏差の範囲内であることを意味してもよい。また、約は、所定の値の20%以下の、好ましくは10%以下の、より好ましくは5%以下の、そしてより好ましくは1%以下の範囲を意味することができる。また、特に生物学的なシステム又は過程に関しては、この用語は値の一桁以内、好ましくは5倍以内、そしてより好ましくは2倍以内を意味することができる。
【0059】
用語「哺乳動物」、「対象」又は「患者」は、実施例において別のものとして記載されていない限り、同義語として用いられていて、これらに限定されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、マウス及び実験動物を包含する。好ましい哺乳動物はヒトである。
【0060】
用語「自己保存性」は、製剤を長期にわたって微生物の生育がなく又は非常に少ない生育であり、もし感染しても感染した微生物の生育を減少するように、維持する製剤の能力に関する。特に、試験した製剤が、AET試験、無菌試験及び微生物限度試験に合致することを意味する。また、ある時点でこのような試験に不合格であるがその後の時点で条件を満たす試料は自己保存性があると考えられる。
【0061】
抗菌有効性試験(AET):
抗菌有効性試験は、医薬製剤の抗菌性防御の有効性を試験するため、及び製剤が内在性抗菌活性を保持しているかを明らかにするために用いられる。試験は医薬製剤の試料を細菌又はカビの接種材料と戦わせ、次いで数時点で細菌レベルの増加について試験する。そのようなタイプの試験の限定ではない例は、米国薬局方(United States Pharmacopoeia)第51章(抗菌有効性試験)に記載されている。このような試験において、医薬製剤の試料は以下のそれぞれに対して試験される;大腸菌(ATCC No.8739)、緑膿菌(ATCC No.9027)、黄色ブドウ球菌(ATCC No.6538)、カンジダ・アルビカンス(ATCC No.10231)及びクロコウジカビ(ATCC No.16404)。接種材料の作成に用いられる生存能力のある微生物は、オリジナルのATCC株から5代継代以上離れていてはならない。大腸菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌の生育のために適切な培地は大豆・カゼイン消化物培養液又は寒天で、カンジダ・アルビカンス及びクロコウジカビに対してはサブロウデキストロース培養液又は寒天である。接種材料を作成するために、滅菌食塩液ST(クロコウジカビ用には滅菌食塩液ST及び0.05%のポリソルベート80)を、回収容器への表面生育を洗浄するために用いた。次いで、それぞれの細菌又はカビの接種材料を、滅菌食塩水ST(クロコウジカビ用には滅菌食塩液ST及び0.05%のポリソルベート80)中で、1×10cfu/mLの濃度になるように製造した。
【0062】
滅菌技術を用い、医薬製剤の試料にカビ又は細菌の接種材料を接種して、製造物中のcfu最終濃度が試料1mLに対して1×10と1×10の間になるように混合した。使用した懸濁接種材料の容量は、試料の容量の0.5%と1.0%の間であった。それぞれの試験調製液中の生存微生物の初期濃度を、プレートカウント法で測定した標準化された接種材料のそれぞれ中の微生物濃度に基づいて算定した。試験試料を22.5℃±2.5℃に適切に制御しながら培養して、設定した時点で標本を抽出した。各時点におけるcfuの数をプレートカウント法で測定した。試験開始時に示されたmL当たりのcfuの算出した濃度を、当てはまる試験間隔における各微生物のmL当たりのcfu濃度のlog10値における変化を測定するために用い、これをログリダクションとして表した。細菌については、14日目に初期計測から少なくとも2.0ログリダクションであり、28日目に14日目の測定から増加せず、そして酵母及びカビについては、14日目及び28日目に初期計測から増加していないならば、試料は抗菌活性的に有効である(適合する)ものと考えられる。
【0063】
無菌試験:
製剤を、細菌及びカビに関して、その無菌性について試験することができる。そのような試験の限定ではない例は、米国薬局方(United States Pharmacopoeia)第71章に記載されている。本発明の製剤に行われる試験の例は、適切な無菌技術及び殺菌剤を使用して、層流フードの下で、クリーンルームで行われる試験である。滅菌流動性チオグリコレート培地(FTM)の250mL管1本、滅菌トリプチカーゼ大豆液体培地(TSB)の250mL管1本、及び15×150mmのトリプチカーゼ大豆寒天プレート(カバーなし)1枚を環境大気コントロールとして層流フード内に設置した。試験済み試料として同じ方法で環境コントロールを培養した。滅菌流動性チオグリコレート培地の250mL管1本、滅菌トリプチカーゼ大豆液体培地の250mL管1本をそれぞれ2gの試料で接種する。TSBの管を22.5±2.5℃で、そしてFTM管を32.5±2.5℃で14日間培養する。同様のTSB及びFTM管を用いて、試料を接種しないネガティブコントロールを調製して同様な方法で培養した。更に、培養培地のアリコート(管に入れる前の)もネガティブコントロールとして培養した。次いで試験試料及びコントロール試料を顕微鏡レベルで、濁り、沈殿又は表面成長(菌膜形成)の発生のような微生物生育の兆候を観察した。微生物生育の兆候が見出されなければ、試料は無菌試験に合致していると考えられる。検出された微生物生育があれば、試料は特定の細菌及びカビに対して種分化されたものである。特に、黄色ブドウ球菌(ATCC No.6538)、緑膿菌(ATCC No.9027)、クロストリジウム・ スポロゲネス(ATCC No.11437)、枯草菌(ATCC No.6633)、カンジダ・アルビカンス(ATCC No.10231)、クロコウジカビ(ATCC No.16404)。
【0064】
微生物試験:
製剤を、試料中の微生物生育量について試験することができる。このような試験の限定ではない例は、米国薬局方、第61章(非滅菌産生物の微生物学的試験:微生物計数試験(Microbial Enumeration Test))に記載されている。微生物計数試験は、CFUを作る全ての微生物の総数、又は特定微生物のCFU数のどちらかとして生成物又は材料中のCFU数を数えるための基本的で単純な方法である。好ましい方法は、材料を溶液中に入れ、次いでアリコートを蒔種して初期材料のCFU/グラム(又はmL)を測定する。蒔種方法は、流し込み蒔種、拡散蒔種、又は材料をろ過してフィルター膜を寒天プレートの表面に置く方法であってよい。
【0065】
医薬製剤の試料を、細菌、酵母、カビに対して試験した。この試験においては2つのパラメータ(1)総プレート計数cfu、(2)大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌のcfuを包含していた。試験する医薬製剤試料は、10gの試料を100mLのトリプチカーゼ大豆液体培地(TSB)+レシチンに(又は1gを10mlの培地に)加えることによって調製した。次いでこれを撹拌して均質懸濁液/溶液を形成した。TSBを細菌の富化培地として用いた。レシチンは、試料が有しうる抗菌効果の何れかを失活させるために用いる中和剤である。試料を適切な培地で1/10に希釈した。(1/10希釈での試験結果がそれを必要であると認めたら、更なる希釈、すなわち、1/50及び1/100を実施した。)次いで試料を適切な寒天培地プレート上に蒔種して、培養した。次いで、プレートをcfuについて試験して、総プレート数をカウントした。試料は大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌に種分化してもいた。
【0066】
血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン濃度の試験:
患者から採取した血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン濃度を定量化することができる。血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン濃度を定量化するアッセイの限定ではない例は、HPLC/MS/MS生物学的分析アッセイである。このアッセイは、アセトニトリルを血漿に加え、次いで混合及び遠心分離によって、変性タンパク質及び上澄液を分離することによって達成されるタンパク質の有機沈殿を用いた。上澄液のアリコートを、目的の分子イオンを高特異的かつ高精度に検出できる三連四重極質量分析計を装備しているHPLCシステムに注入した。2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの濃度を、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンと内部標準のピーク面積比から、加重線形回帰曲線(1/x)を用いて検出した。このアッセイは極めてロバストであって、1.0〜100ng/mLの有効範囲内で再現性がある。血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン濃度が定量下限濃度(LLOQ)以下に低下したときに全身的吸収がないと考えられ、これはヒトでは1ng/mL、ミニブタでは0.2ng/mLのLLOQを示す。
【0067】
本発明製剤中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン、更にその分解生成物、アデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノールについての試験:
アッセイは、以下の操作条件によるHPLCの使用よりなる。分析カラム:Waters Atlantis dC−18、5μm、250×4.6mmID;温度:15℃;移動層A:水100%;移動層B:100%のアセトニトリル;流速:1.5mL/min;注入容量:100μL;検出:210nmのUV;実行時間:約35分。
LOQ2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンは、薬剤物質単独で0.004%;5μg/ゲルgで0.004%;500μg/gで0.003%である。LOQアデニンは、薬剤物質単独で0.0007%;5μg/ゲルgで0.005%;500μg/gで0.002%である。LOQアデノシンは、薬剤物質単独で0.002%;5μg/ゲルgで0.004%;500μg/gで0.003%である。 LOQイソグアノシンは、薬剤物質単独で0.001%;5μg/ゲルgで0.02%;500μg/gで0.003%である。
【0068】
アデニン、アデノシン、イソグアノシンのスタンダード(10mg)は、アセトニトリル(10mL)及び水(20mL)中で溶解するまで超音波処理し、調製濃度を20μg/mLに希釈して調製した。2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンのスタンダード及び試料は、10mLのアセトニトリル及び20mLの水中で10mgの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを超音波処理して、調製濃度が20μg/mLに達するまで水で希釈して調製した。医薬製剤ゲルの試料は、5gの5μg/ゲルg、4gの50μg/ゲルg及び50μg/ゲルgを、50mLの遠心管中に秤量して調製した。7mLのアセトニトリルを0.5〜1mLづつボルテックスしながら、遠心管に加えた。アセトニトリルの添加中にカルボキシメチルセルロースが沈殿するであろう。この混合物を次いで超音波処理して、4800rpmで遠心分離した。ペレット及び遠心管をアセトニトリルで洗浄(3回)しながら、上澄液をシンチレーション管にデカンテーションして収集した。収集した液体を3.5時間以内に乾燥した(温度を上げて温風で)残った溶液を(シンチレーション管を洗浄しながら)フラスコに移して、調製濃度が20μg/mLに達するまで水で希釈した。
【0069】
分析値(%ラベルクレーム)のための式は:分析値=R/R×Cstd×D×1/W×100であった。Rは試料中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン(薬剤物質)のピーク面積であり、RはAに注入した全ての作動スタンダードの平均ピークであり、Cstdは純度を含んでいる、作動スタンダードの濃度(μg/mL)であり、Dは試料調製希釈係数であり、そしてWは試料の重量(μg)である。分析(ゲルに関しての)が2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてである場合、分析値=R/R×Cstd×D×1/W×1/LC×100である。Rは試料中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン(薬剤物質)のピーク面積であり、RはAに注入した全ての作動スタンダードの平均ピークであり、Cstdは純度を含んでいる、作動スタンダードの濃度(μg/mL)であり、Dは試料調製希釈係数であり、Wは試料の重量(μg)であり、そしてLCはラベルクレーム(μg/g)である。薬剤物質中の関連化合物のパーセントに関する分析値=RRC/R×Cstd×D×1/W×100×RRF。RRCは試料中の関連化合物のピーク面積であり、RはAに注入した全ての作動スタンダードの平均ピークであり、Cstdは純度を含んでいる、作動スタンダードの濃度(c/mL)であり、Dは試料調製希釈係数であり、Wは試料の重量(μg)であり、そしてRRFは相対感度係数(アデニン0.55、アデノシン1.13、イソグアノシン1.14、そして2−(4−クロロフェニル)エタノール1.84)である。ゲル中の個々の関連化合物についての分析値=RRC/R×Cstd×D×1/W×1/LC×100×RRF。RRCは試料中の関連化合物のピーク面積であり、RはAに注入した全ての作動スタンダードの平均ピークであり、Cstdは純度を含んでいる、作動スタンダードの濃度(μg/mL)であり、Dは試料調製希釈係数であり、LCはラベルクレーム(μg/g)であり、Wは試料の重量(μg)であり、そしてRRFは相対感度係数(アデニン0.55、アデノシン1.13、イソグアノシン1.14、そして2−(4−クロロフェニル)エタノール1.84)である。
【0070】
当業者にとって明らかであるように、本発明の多様な修飾及び改変を、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載される特定の実施態様は実例としてのみ提供されていて、本発明は特許請求の範囲に均等な物の全範囲と共に添付した特許請求の範囲によってのみ限定されべきである。
【0071】
これらの実施例は好ましい実施態様としてのみを意図しており、本発明を更に説明するために提供される。これらは、個々に、組み合わせて、又は纏めての何れも、本発明の全範囲を限定することを意図していない。
【実施例1】
【0072】
医薬組成物の製造:
以下の表2〜4に記載されている組成物の製造ために、次の方法を用いた。表1のプラセーボ製剤を、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを使用しないことを除いて、以下に記載した方法で作成した。
【0073】
室温条件下で、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを撹拌容器中でプロピレングリコールに溶解した。カルボキシメチルセルロースナトリウムを、塊がなくなるまで撹拌して、プロピレングリコール混合物にゆっくり加えた。精製水を別の混合容器に加え、次いで酢酸ナトリウム三水和物、氷酢酸、及び塩化ナトリウムを溶解するまで混合して加えた。精製水溶液を混合しながらプロピレングリコール混合物に加えた。次いで、合わせた混合物を均質化して室温まで冷却した。得られたゲルを瓶又はチューブに充填した。
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンゲルに関する定量処方
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【実施例2】
【0078】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤の抗菌性(自己保存性):
この実施例は、本発明の組成物が、この組成物を非無菌方法で製造可能として、さらに、製剤を規定された無菌性及び微生物限界レベル(総数<10cfu/g及び酵母及びカビ<10cfu/g)の範囲内に保持するするような抗菌性を有していることを示した。
【0079】
検討は、実施例1に記載されているような製剤の、50、500μg/g及びプラセーボ製剤に関して、非制御の実験室環境で無菌及び非無菌製造条件の両方で製造して、その製剤を予め滅菌してある及び滅菌していないラミネート及びアルミニウムチューブに包装して、抗菌性を試験した。
【0080】
無菌製造工程は、重層フード及び標準的な無菌技術を用いてシミュレーションした。非無菌製造工程は、環境条件下、フードがない実験台で製剤を製造することによってシミュレーションした。
【0081】
試験した包装容器は、ラミネート又はアルミニウムの何れかで作られた予め滅菌してある又は滅菌していないチューブであった。予め滅菌してあるチューブは、それを容器に入れて表5に挙げてあるようなγ線照射で滅菌することによって、使用前に滅菌した。
【0082】
【表5】

【0083】
プラセーボ及び50及び500μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤のバッチを、実施例1に記載のようにして無菌又は非無菌条件下で製造した。ラミネート又はアルミニウムの何れかで作られている予め滅菌してあるか又は滅菌していないチューブにそれぞれの製造した製剤を充填して、密閉して25℃/60%RHの制御条件下に置いて観察した。
【0084】
非無菌方法で製造した50及び500μg/gの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンバッチ製剤、更にはプラセーボ製剤を、チューブに充填する前に微生物の生育について試験した。これらを、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス及びクロコウジカビに対して試験し、<cfu/gを示した。5ヶ月目に非無菌のバッチ製剤を無菌性について試験した。3つの非無菌バッチ製剤は、5ヶ月目に要求される無菌性を満たしていることが認められた。両試験の結果は表6で見られる。
【0085】
【表6】

【0086】
無菌方法及び非無菌方法で製造された3つの製剤(プラセーボ、50及び500μg/g)を含有する、照射及び非照射のアルミニウム及びラミネートのチューブ(各20)を包含する各包装形態からの試料の1部を、6ヶ月間25℃/60%RHに保持して観察した。非無菌及び無菌材料で製造した組成物(プラセーボ、50及び500μgの組成物)を6ヶ月目に、本願に記載のようにして、抗菌有効性試験に付した。全てのチューブが14日及び28日目において、抗菌有効性試験の規格(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス及びクロコウジカビに対して)に合格した。更に、チューブを、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クロストリヂウム・スポロゲネス、バチルス・ズブチリス、カンジダ・アルビカンス、クロコウジカビに対して初期の無菌性及び3ヶ月目の無菌性について試験した。
【0087】
初期無菌性試験で、照射したラミネートチューブに包装した500μg/gの非無菌製剤で20試料のうちの1つで1件の陽性生育が観察され、非照射アルミニウムチューブに包装した50μg/gの非無菌製剤で20試料のうちの1つで2件の陽性生育が観察された。初期試験で微生物の生育を示した両方のチューブは3ヶ月目に微生物性を示さなかった。4つの包装形態の全てでは陽性生育が見られなかったという事実及びこれらのバッチが包装前に無菌性を示したという事実は、非制御の実験室環境で行われた充填工程の間に材料が潜在的に汚染されていたということを示唆している。
【0088】
3ヶ月目に、照射したラミネートチューブに包装した20本のうちの1本の50μg/gの非無菌ゲルチューブを除いて、全てのバッチ及び包装形態が無菌性の要求を満たした。このチューブを6ヶ月目に試験したが、AET試験(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス及びクロコウジカビに対して)に合格した。初期無菌性試験において陽性生育が検出されたバッチは、3ヶ月目に無菌性の要求を満たしていることが認められた。
【0089】
これらの包装の検討の結果は、照射したチューブ対非照射チューブに包装したときにゲルの微生物学的特性において差が無いということも示している。滅菌したチューブが、本質的に抗菌活性を有している生成物に対して更なる微生物防御をもたらさないので、本発明に従って製造された医薬ゲル組成物については滅菌包装を用いる必要がない。
【実施例3】
【0090】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを実施例1に記載のように、5、50及び500μg/gの濃度で製剤化した。更に、プラセーボ製剤を実施例1に記載のように製造した。製剤は全て非無菌方法で製造した。3つの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤(5、50及び500μg/g)及びプラセーボ製剤を0.5オンス(15g)のC39747ラミネートチューブ(Montebello, Inc. Hawkesbury, Ontario)に入れ、不正開封防止シール及びNo.16 Fez穿刺キャップで密閉した。3つの製剤及びプラセーボを2つの異なった試験条件、25℃/60%RH及び40℃/75%RHで安定試験を行った。製剤試料を、試験の開始時に初期試験して、規則的な間隔で安定性及び微生物の成育を試験した。25℃/60%RHで12ヶ月又は40℃/75%RHで6ヶ月の何れかで試験した試料については、試料の粘度が約1,000,000〜約1,600,000cPsの範囲であった。
【0091】
安定試験に付した試料を、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン、さらにその分解生成物であるアデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノールについて試験した。アッセイは、本願に更に記載されているように、以下の操作条件によるHPLCの使用からなっていた。分析カラム:Waters Atlantis dC−18、5μm、250×4.6mmID;温度:15℃;移動層A:水100%;移動層B:アセトニトリル100%;流速:1.5mL/min;注入容量:100μL;検出:210nmのUV;実行時間:約35分。
【0092】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン、更にその分解生成物であるアデニン、アデノシン、イソグアノシン及び2−(4−クロロフェニル)エタノール、並びに全ての関連化合物についての試験の結果を表7〜15に示した。プラセーボ製剤は最初に2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンに対して試験して非存在が認められた。2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを%ラベルで示した。
【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
試料を試験の開始時及び6ヶ月目及び12ヶ月目に、全プレート数及び特異的に大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌に対する微生物生育について試験し、更に大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス及びクロコウジカビに対するAET試験を行った。
【0100】
【表13】

【0101】
【表14】

【0102】
【表15】

【0103】
【表16】

【実施例4】
【0104】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを実施例1に記載のように、5、50及び500μg/gの濃度で製剤化した。更に、プラセーボ製剤を実施例1に記載のように製造した。製剤は全て非無菌方法で製造した。3つの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤(5、50及び500μg/g)及びプラセーボ製剤をガラス容器(充填量は1g)にいれて密閉した。3つの製剤及びプラセーボを25℃/60%RHで安定性試験を行った。試料は1年半〜4年半の間の長期にわたって安定性試験を行った。期間の最後に、試料の多くがよく密閉されていないガラス容器シールを有していることが認められ、試料の幾つかは若干乾燥しているように見えた。試料を、幾つかの選ばれた公知の及び全ての関連化合物について、既に記載されているようにしてHPLCで試験した。試料を何れの微生物学的試験にも付さなかった。5μg/gのゲル製剤(4年半の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンがラベルクレームの107%、アデノシンが0.02%、イソグアノシンが0.19%、そして全関連化合物が4.71%を示した。50μg/gのゲル製剤(4年半の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてラベルクレームの133%、アデノシンについて0.28%、イソグアノシンについて0.15%、そして全関連化合物について1.29%を示した。500μg/gのゲル製剤(4年半の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてラベルクレームの116%、アデノシンについて0.24%、イソグアノシンについて0.12%、2−(4−クロロフェニル)エタノールについて0.02%そして全関連化合物について1.20%を示した。5μg/gのゲル製剤(3年7ヶ月の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてラベルクレームの120%、アデノシンについて0.23%、イソグアノシンについて0.03%、そして全関連化合物について0.77%を示した。50μg/gのゲル製剤(2年8ヶ月の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてラベルクレームの116%、アデノシンについて0.23%、イソグアノシンについて0.15%、そして全関連化合物について1.21%を示した。50μg/gのゲル製剤(2年3ヶ月の安定性)は2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンについてラベルクレームの107%、アデノシンについて0.22%、イソグアノシンについて0.18%、そして全関連化合物について0.95%を示した。
【実施例5】
【0105】
非ヒトのインビボ試験−全身的吸収
本検討の目的は、本発明の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤の局所的及び全身性の毒性を評価することである。試験はゲッティンゲンSPFミニブタで行った。20μg/g、100μg/g及び500μg/gの濃度の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤を実施例1に記載されている方法で作成した。20μg/g及び100μg/gの製剤は以下に記載されている。500μg/g製剤及びプラセーボコントロールの組成は実施例1に記載されている。
【0106】
【表17】

【0107】
【表18】

【0108】
ミニブタ当たりの2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの総用量は、80μg〜2000μg/日の範囲であった。外科的に確立されている充分な厚さの創傷上への1投与当たり1創傷当たり、20μg/g、100μg/g及び500μg/gの濃度で1mL(1g)用量を1日に1回、創傷が閉塞するまで、本製剤を局所的に投与した。それぞれのミニブタは処置を受ける複数個(4個)の創傷を有していた。
【0109】
合計40匹のゲッティンゲンSPFミニブタ(雄20匹及び雌20匹)を本検討に取り込んだ。動物を、それぞれ雄4匹及び雌4匹の4群に割り付けた。更に4匹の動物(各群で雄雌が2匹)をコントロール/プラセーボ群(第1群)及び高用量群(第4群)の回復動物として組み入れた。
【0110】
第1日から第13日を通じて、20μg/g、100μg/g又は500μg/gの何れかの濃度の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン製剤を、創傷が閉塞するまで、創傷当たり約1mLの1日当たり投与容量で、外科的に確立されている円形の充分な厚さのある創傷(創傷の直径20mm;動物当たり4つの創傷)に局所的に塗布した。用量レベル及び動物番号を表19に掲載した。
【0111】
【表19】

【0112】
毒物動態学用の試料採取を第6日目に次の時点で行った:処置前、及び処置の0.5、1、3、5、7、9、12及び24時間後。局所的にプラセーボを投与されているコントロール動物の第1群から集めた全ての血漿試料は、血漿中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを定量化するためのHPLC/MS/MS生物分析アッセイにおいて試験したときに、3つの試料を除いて、0.2ng/mLの定量下限(LLOQ)以下の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンレベルを示した。第2、3、及び4群(低、中、及び高用量)における血漿2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン濃度プロフィールの非コンパートメント薬物動態解析は、妥当な薬物動態パラメータをもたらし、これらを表20に処置及び性によってまとめた。
【0113】
【表20】

【0114】
創傷治癒段階において、2000μg/日の局所用量の時間プロフィールに対する血漿濃度のみが、薬物動態パラメータをもたらすように分析された。この知見は開放創傷への局所投与からの全身的循環への吸収が最小であったことを示した。2000μg/日の用量の局所投与による2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの薬物動態挙動は雌及び雄において同様であった。
【実施例6】
【0115】
ヒトにおける創傷治癒:
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを慢性、神経障害性、糖尿病性足部潰瘍(DFU)の患者に投与した。18〜80歳の患者を、標準的なDFU治療プラス賦形剤のゲル(実施例1に記載のようなプラセーボ製剤)又は標準的なDFU治療プラス本発明で製造された(実施例1に記載のように)2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンを含有するゲル、の群に1:3の比で無作為に分けた。標準的な治療は、日常の鋭的創傷清拭、圧力開放、及び湿った創傷環境の保持を包含する。対象基準は、面積が1〜10cmの間の皮膚の充分な厚さの創傷を含めた。除外基準は、動脈機能不全、腎又は肝不全、活動性感染症、又は骨髄炎を含めた。患者を3群に参加させて、群によって5μg/g、50μg/g、又は500μg/gの薬剤を投与した。薬剤又は賦形剤を28日間1日1回局所的に塗布した。結果の判定法は、有害事象及び他の安全性評価、活性薬剤(2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン)の血漿濃度、創傷閉塞率、及び創傷閉塞速度を含めた。
【0116】
結果:
平均年齢が54.8歳で78%が男性である、36人の患者を無作為に分けた(25人は活性薬剤;11人は賦形剤のゲル(プラセーボ))。患者を開始時及び16日目及び28日目に2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの全身的吸収について試験した。2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの存在を検出するためにHPLC/MS/MSアッセイ(LLOQは1.0ng/mLである)を用いて血漿を試験したときに、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンは何れの局所用量濃度においても(開始時、16日目及び28日目に)の全身的吸収は検出されなかった。面積測定法で無作為に測定した平均(±SD)の創傷サイズは0.91±0.63cmであって、賦形剤(プラセーボ)と2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシン群の間で異なっていなかった。処置群による28日目の創傷閉塞率、及び50%及び75%の閉塞の平均日数を以下の表21に挙げてある。
【0117】
【表21】

【実施例7】
【0118】
ヒトにおける創傷治癒
慢性、神経障害性足部潰瘍を有する糖尿病の対象における、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの局所投与の多角的な、二重盲検の、無作為の、並列の、賦形剤によりコントロールされた、そして標準治療でコントロールされた治験:
実施例1の製剤を用いて、広範囲の濃度の本発明品を各種の創傷サイズ(以下の表22を参照されたい)で検討した。約340人の対象がこの検討に参加している。約300人が1〜5cmの大きさの創傷を有していて、約40人が5cmを超えるが10cm以下の創傷を有している。有効性の評価項目は、創傷の完全治癒(浸出液を伴わない完全な上皮形成)の発現率、創傷閉塞までの時間(日)、及び基準点(本発明品への暴露以前)から本発明品への暴露後の各時点までの創傷の表面積の減少率を含んでいる。安全性の評価は、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンへの全身的暴露を2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの血漿濃度;有害事象、刺激スコア、及び臨床治験で通常観察されている他のパラメータを測定して評価することを包含している。一般に、対象は7〜14日のスクリーニング/標準治療実施期間、90日以下の治療期間、及び28日の治療後期間をこなす。全ての対象は検討期間中に彼らの創傷に対して、米国糖尿病協会の糖尿病性創傷治療に関するコンセンサス開発会議(American Diabetes Association Consensus Development Cconference on Diabetic Wound Care)(米国糖尿病協会。糖尿病性足部潰瘍治療に関するコンセンサス開発会議。Diabetes Care 1999; 22(8): 1354-1360)及び American College of Foot and Ankle Surgeons and the American College of Foot and Ankle Orthopedics and Medicin の糖尿病性足部潰瘍治療に関する標準的治療法ガイドライン(Frykberg, et al., J. Foot Ankle Surg 2000; 39 (Suppl 5): S1-60)に従う標準治療を受ける。
【0119】
【表22】

【0120】
全ての検討薬剤(活性なもの及び賦形剤のコントロールゲル)は King Pharmaceutical, Inc. (Bristol, TN)から提供される/た。
【0121】
当然のことながら、本発明の特定な態様が説明の目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神及び範囲を逸脱しないで多種の改変を行うことができる。従って、本発明は添付した特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。本明細書中で引用されている全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が具体的にそして個々に参照して取り込まれると示されているように、参照して本明細書に取り込まれている。本発明は明確に理解するために説明及び実施例で多少詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲を逸脱せずにある特定の変更及び修正を行うことができるということを、当業者は本発明の教示を参照して容易に理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンの有効量;
b)約10〜約70質量%のグリコール;及び
c)増粘剤
を含有してなる、医薬組成物。
【請求項2】
2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが、2−アラルコキシアデノシンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの量が、組成物の約0.00001〜約0.10質量%である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
グリコールが組成物の40〜60%(質量)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
グリコールが50%(質量)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
増粘剤がセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
セルロースがカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
更に等張剤を含有してなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
等張剤が塩を含有してなる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
塩が塩化ナトリウムである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
更に水を含有してなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
水が組成物の約30%〜90%(質量)である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
更に緩衝系を含有してなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
組成物のpHが4.5〜11.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
追加の保存剤が存在していない、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
0.0005質量%の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシ、50質量%のプロピレングリコール、1.8質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.15質量%の酢酸ナトリウム(三水和物)、0.01質量%の氷酢酸、0.78質量%の塩化ナトリウム及び47.26質量%の精製水を含有してなる、医薬組成物。
【請求項18】
0.005質量%の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシ、50質量%のプロピレングリコール、1.8質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.15質量%の酢酸ナトリウム(三水和物)、0.01質量%の氷酢酸、0.78質量%の塩化ナトリウム及び47.26質量%の精製水を含有してなる、医薬組成物。
【請求項19】
0.05質量%の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシ、50質量%のプロピレングリコール、1.8質量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.15質量%の酢酸ナトリウム(三水和物)、0.01質量%の氷酢酸、0.78質量%の塩化ナトリウム及び47.21質量%の精製水を含有してなる、医薬組成物。
【請求項20】
a)活性薬剤を賦形剤と混ぜ合わせて溶液を製造する、そして
b)工程a)の溶液を増粘剤と混合して、
医薬組成物を製造することを含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物を製造する方法。
【請求項21】
工程b)の製造物に水を添加することを更に含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程b)の製造物に等張剤を添加して医薬組成物を製造することを更に含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
工程b)の製造物に緩衝系を添加して医薬組成物を製造することを更に含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、創傷を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項25】
哺乳動物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
創傷が慢性の創傷である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
慢性の創傷が糖尿病性足部潰瘍である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
創傷の治癒を促進するのに有効な量で請求項1に記載の医薬組成物を含有してなる、創傷治癒促進用キット。
【請求項29】
包帯、創傷保護剤、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ又はペーストを更に含んでいる、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
医薬組成物が包帯、創傷保護剤、発泡剤、スポンジ、パッド、ガーゼ、コラーゲン、フィルム包帯、ドレープ又はペーストに含浸している、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
医薬組成物が最大36ヶ月にわたって安定である、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシの有効量を含有してなる安定化医薬組成物。
【請求項32】
2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシの有効量を含有してなる安定化医薬組成物が最大24ヶ月まで安定である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
患者に投与したときに2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンが全身的に吸収されない、2−アルコキシアデノシン又は2−アラルコキシアデノシンの有効量を含有してなる、医薬組成物。
【請求項34】
患者に投与したときに2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンが全身的に吸収されない、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの有効量を含有してなる、医薬組成物。
【請求項35】
患者に投与したときに2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンが最小限全身的に吸収される、2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンの有効量を含有してなる、医薬組成物。
【請求項36】
患者に投与したときに、患者の血漿レベル中の2−[2−(4−クロロフェニル)エトキシ]アデノシンのレベルを測定して、全身的に吸収されない、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
医薬組成物が、最大36ヶ月にわたって自己保存性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
医薬組成物が、最大24ヶ月にわたって自己保存性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
医薬組成物が、最大12ヶ月にわたって自己保存性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
医薬組成物が、最大36ヶ月にわたって抗菌的に有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
医薬組成物が、最大24ヶ月にわたって抗菌的に有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
医薬組成物が、最大12ヶ月にわたって抗菌的に有効である、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−532359(P2009−532359A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503046(P2009−503046)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/007986
【国際公開番号】WO2007/123740
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(504043015)キング・ファーマシューティカルズ・リサーチ・アンド・デベロプメント・インコーポレイティッド (17)
【Fターム(参考)】