創傷洗浄装置圧力監視および制御システム
装置は、真空源に結合されるように構成された圧力ハウジングと、圧力ハウジングに封止結合されるダイアフラムと、を有する。ダイアフラムは、真空源に応じて移動するように構成される。ダイアフラムには磁石が結合される。磁石の反対側に磁気スイッチが配置され、それは、磁石が磁気スイッチから所定距離にあるときに磁石によって作動されるように構成される。磁気スイッチは、真空源を選択的に作動させるように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の3つの出願に対する優先権を主張する。2006年2月9日に出願された「創傷洗浄装置圧力監視および制御システム(Wound Irrigation Device Pressure Monitoring and Control System)」と題する米国特許出願第11/350,089号は、2005年8月8日に出願された「創傷洗浄装置(Wound Irrigation Device)」と題する米国特許出願第11/198,148号の継続出願である、2005年9月29日に出願された「創傷洗浄装置(Wound Irrigation Device)」と題する米国特許出願第11/237,880号の一部継続出願であり、それらは各々、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される。
【0002】
背景
本発明は、一般に、創傷治癒の促進のための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、創傷の流体洗浄および真空ドレナージを提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
真空ドレナージまたは閉鎖吸引ドレナージとしても知られる陰圧創傷治療が知られている。真空源は、半閉塞または閉塞創傷被覆材(ドレッシング)に接続される。ガーゼ、フェルト、フォーム、ビードおよび/または繊維を含むさまざまな多孔性被覆材を、閉塞性半浸透性カバーおよび制御された真空源とともに使用することができる。
【発明の開示】
【0004】
陰圧創傷治療に加えて、多くの装置は付随する創傷洗浄を採用する。たとえば、既知の創傷治癒装置は、創傷に隣接して配置されるポリウレタンフォームから作製され、半浸透性かつ可撓性プラスチックシートによって覆われる、多孔性被覆材を含む。被覆材は、カバーおよびフォームによって形成される空洞と連通する流体供給接続部および流体ドレナージ接続部をさらに含む。流体供給部は、創傷に治療を提供する際に使用される水溶性局所抗生物質溶液または等浸透圧塩水を含む可能性のある流体源に接続される。流体ドレナージ部を、真空源に接続させることができ、その場合、流体を空洞から除去することができ、かつ空洞内において減圧を維持することができる。創傷洗浄装置は、効能のある治療を提供することができるが、幾分か扱いにくく、使用が困難であり、一般に実用的でない。かかる装置は、患者に関するさまざまな要素、特に使い易さ、携帯性、および望ましくない機械的騒音の量を最小限にして治療を提供することができることについて対処していない。
【0005】
適当な大きさに切断されたポリビニルアルコールフォームからなり、かつ創傷の周りに固定される、創傷被覆材の真空封止を使用する装置もある。被覆材は、半浸透膜によって覆われ、吸引および流体接続部が、フォームおよびカバーによって形成される空洞内に皮下投入される小型のプラスチック管によって提供される。かかる装置は、時間により、真空ドレナージと創傷部位に対する水溶性薬剤の投入とを交互に行う。かかる装置もまた、携帯性、使い易さおよび騒音低減に対処していない。
【0006】
治療用陰圧創傷治癒装置または真空式連続創傷洗浄装置では、真空を所望の所定レベルに維持する制御機構が必要である。通常、これらの制御システムは、測定された圧力を、制御回路が事前設定レベルを維持するために利用することができる電気信号に変換する何らかのタイプの(陰圧)圧力センサに頼る。多くのセンサは、印加される真空に比例して電圧信号を生成する電気ひずみゲージ技術を使用する。他のセンサは、本質的に電気機械的であり、印加される真空に比例して変化する抵抗を生成する。さらに他のセンサは、真空が所定レベルを上回るとオフとなり、所定レベルを下回るとオンとなる機械的スイッチである。いずれの場合も、吸引創傷治療装置の真空を効率的に維持するためには、制御ループの一部として何らかのタイプの電気的または機械的センサが必要である。
【0007】
圧力センサのコストは、製品のコスト全体のかなりの割合である可能性がある。これらのセンサは容易に入手可能でありかつ周知であるが、また比較的高価でもある。通常、モトローラ(Motorola)MPX5050等の電子センサは、1個単位でおよそ15ドルかかる。同様に、エアロジック(AirLogic)から入手可能なもの等の機械的圧力スイッチは、1個単位で18ドルから25ドルかかる。
【0008】
概要
本発明の一実施形態は、真空源に結合されるように構成された圧力ハウジングと、圧力ハウジングに封止結合されたダイアフラムと、を含む。ダイアフラムは、真空源に応じて移動するように構成される。ダイアフラムには磁石が結合される。磁気スイッチが磁石の反対側に配置され、磁石が磁気スイッチから所定距離にあるときに磁石から作動されるように構成される。磁気スイッチは、真空源を選択的に作動するように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態は、電気機械真空装置を使用する創傷洗浄システムに関し、電気機械真空装置は、その電気機械真空装置を制御するように構成されたソフトウェアが格納されたマイクロプロセッサベースデバイスを有する。第1真空ポンプがマイクロプロセッサに電気的に関連し、真空を生成することが可能である。任意の第2真空ポンプがマイクロプロセッサに電気的に関連し、所定真空レベルを維持することができる。第1電子真空圧力センサが、真空レベルを監視するために真空ポンプおよび上記マイクロプロセッサに動作的に関連する。液密収集キャニスタが、中身がキャニスタから漏出しないようにする一体型バリアを含む。カニューレ状配管が、キャニスタおよび真空ポンプと、そこからの真空圧を伝達するように関連する。第2電子真空圧力センサが、キャニスタ真空を監視するためにキャニスタおよびマイクロプロセッサと動作的に関連する。被覆材は、多孔性材料と半浸透性可撓性カバーとを含み、カニューレ状配管は、被覆材およびキャニスタと、そこからの真空圧を伝達するように関連する。洗浄容器が、創傷を洗浄する際に使用される流体を収容する。カニューレ状配管が、洗浄容器および被覆材と、そこに流体連通するように関連する。電気機械真空装置は、洗浄容器を保持することができる一体型コンパートメントを有する。電気機械真空装置は、任意に、上記洗浄容器から上記被覆材に流れる流体の量を調整する装置を含んでもよい。電気機械真空装置は、その携帯動作を可能にするバッテリを含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態は、治療用真空の生成および制御を改善する方法を含む。本実施形態では、マルチモーダルアルゴリズムが、真空ポンプに関連しかつポンプからの出力圧力を測定することができる第1電子真空圧力センサからの圧力信号を監視する。アルゴリズムは、さらに、収集キャニスタに関連しかつキャニスタ内部の減圧を測定することができる第2電子真空圧力センサから圧力信号を監視する。キャニスタは、真空ポンプに、そこからの減圧を伝達するカニューレ状管によって接続される。キャニスタは、適当な被覆材に、そこへ減圧を伝達するカニューレ状管によって接続される。治療の開始時、第1電子真空圧力センサおよび第2電子真空圧力センサはともに、システムが大気圧で平衡状態にあることを示す。キャニスタおよび被覆材内の空気を迅速に除去し、それにより真空をもたらす、第1モード制御アルゴリズムが採用される。制御アルゴリズムによって実装される第1モードは、本明細書において、以下「引下げ(draw−down)」モードと呼ぶ。第1電子真空圧力センサおよび第2電子真空圧力センサそれぞれによって示されるように、キャニスタおよび被覆材内の減圧が事前設定閾値に達すると、アルゴリズムは、治療時間にわたりキャニスタと被覆材との両方における減圧の所望のレベルを維持する第2モードを採用する。制御アルゴリズムによって実装される第2モードを、本明細書では「維持(maintenance)」モードと呼ぶ。第2モード制御アルゴリズムは、真空ポンプを低減した速度で動作させ、それにより、望ましくない機械的騒音を最小限にするように構成される。代替実施形態では、維持モードに対して、容量が低減し、より小型であり、望ましくない機械的騒音のレベルが大幅に低い第2真空ポンプを使用してもよい。第2モード制御アルゴリズムは、さまざまなシステムインタフェースおよび接続点において常に発生する小さい漏れが存在する状態で、真空の維持を可能にするように構成される。本方法を、たとえばマイクロプロセッサベースデバイスによって実行することができる。
【0011】
別の実施形態では、特定用途向け被覆材が、さまざまな創傷タイプの個々の必要に従って構成される。広く抗菌性、生物分解性および生物活性のカテゴリに入る無数の新たな材料を使用して、非常に効能のある創傷被覆材を作製することができる。創傷洗浄および真空ドレナージシステムで機能する材料に対し、被覆材組成は、被覆材を通して減圧の均一な分布を可能にし、後にその中の流体の除去を容易にするために十分多孔性であってもよい。さらに、被覆材は、創傷治癒を促進する成長因子および他のサイトカインの生成に寄与すると考えられる、創傷床上の適当なマクロひずみおよびマイクロひずみを形成することができる、さまざまな機械的特性を有する。したがって、実施形態によっては、たとえば、特定の創傷タイプに対して被覆材を製作するために上述した材料を使用するいくつかの被覆材構成を含む。
【0012】
詳細な説明
当業者は、特に本明細書において提供される例示を鑑みて多くの代替実施形態を容易に理解すると考えられるが、この詳細な説明は、本発明の一実施形態のものであり、その範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
図1に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムは、数字100によって引用されており、概して、組込みマイクロプロセッサ102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103およびリードオンリメモリ(ROM)104を有するマイクロコントローラ101を含む。ROM104は、制御アルゴリズム150に対するプログラミング命令を含む(図2参照)。ROM104は、不揮発性であり、電源が切れたときにそのプログラミングを保持する。RAM103は、制御アルゴリズムにより、圧力測定値、アラームカウント等の変数を格納するために利用され、制御アルゴリズム150は、それらを、真空を生成し維持している間に使用する。メンブレンキーパッドおよびディスプレイ160は、通信ケーブル164を通してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。メンブレンスイッチ161は、電源制御を提供し、メンブレンスイッチ162は、所望の真空レベルを事前設定するために使用される。発光ダイオード(LED)163は、キャニスタ流体レベルおよび被覆材漏れに関連するアラーム状態を示すように提供される。
【0014】
マイクロコントローラ101は、それぞれ電気ケーブル106および108を通して、第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107に電気的に関連し、かつそれらの動作を制御する。第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107は、たとえばハーグレイブス(Hargraves(登録商標))およびトーマス(Thomas(登録商標))という商標で販売されているポンプを含む、多くのタイプのうちの1つであってもよい。真空ポンプ105および107は、たとえば往復ダイアフラムまたはピストンを使用して真空を生成してもよく、通常、DCモータによって電力が供給され、DCモータもまた任意に、信頼性を向上させかつ寿命を長くするためにブラシレス整流子を使用してもよい。真空ポンプ105および107は、単腔管115を介して滲出物収集キャニスタ114に空気圧的に関連する。一実施形態では、キャニスタ114は、1000mlを超過しない容積を有する。これにより、創傷部位において未だ止血が達成されていない場合に患者の不慮の方血を防止することができる。キャニスタ114は、特注設計であってもよく、または既製のかつメディバック(Medi−VAC(登録商標))という商標で販売されているものであってもよい。さらに、キャニスタ114には流体バリア129が関連し、それは、キャニスタ114に収集された流体が配管内115に漏出して真空戻り経路を詰まらせるのを防止するように構成される。バリア129は、機械的浮遊設計であってもよく、または、ゴアテックス(GoreTex(商標))という商標で入手可能なもの等の疎水性材料の1つまたは複数の膜を有してもよい。疎水性膜を使用する二次バリア113が気送配管115と直列に挿入されることにより、バリア129が意図されるように動作しない場合に、流体がシステム内に侵入しないようにする。気送配管115は、それぞれ「T」コネクタ111および112を介して第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107に接続する。
【0015】
真空圧力センサ109が、第1真空ポンプ105および任意の真空ポンプ107に空気圧的に関連し、電気ケーブル110を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。圧力センサ109は、マイクロプロセッサ102に真空圧力信号を提供し、制御アルゴリズム150が真空ポンプ105および107の出口における真空圧を監視することができるようにする。消音器128が、真空ポンプ105および107の排出ポートに空気圧的に関連し、動作中にポンプによって生成される吸気騒音を低減するように構成される。洗浄システム100の通常動作時、第1真空ポンプ105を使用して、初期すなわち「引下げ」真空が生成され、任意の第2真空ポンプ107を使用して、システム内でいかなる漏れまたは圧力変動をも補償する所望の真空を維持することができる。真空ポンプ107は、真空ポンプ105より小型かつ低騒音であってもよく、患者を当惑させることなく所望の圧力を維持する手段を提供する。
【0016】
バッテリ127が任意に提供されることにより、創傷洗浄システム100の携帯動作を可能にする。バッテリ127は、ニッケル水素蓄電池(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCd)またはそれらの等価物であってもよく、電気ケーブル136および137を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。バッテリ127は、マイクロコントローラ101に関連する回路によって充電されるが、外部電源が利用可能である。外部電源が利用可能でなく、かつユニットが携帯モードで動作する場合、バッテリ127が創傷洗浄システム100に電源を供給する。
【0017】
第2圧力センサ116が、単腔管119を介してキャニスタ114に空気圧的に関連する。圧力センサ116はまた、マイクロコントローラ101にも電気的に関連し、マイクロコントローラ102に真空圧力信号を提供することにより、制御アルゴリズム150が、キャニスタ114および被覆材123内部の真空圧を監視することができるようにする。「T」コネクタ118が、気送管119を圧力センサ116および真空圧力リリーフソレノイド120に接続する。真空圧力リリーフソレノイド120は、アラーム状態のときかまたは電源がオフにされた場合に、キャニスタ114および被覆材123内の圧力を軽減するように構成される。ソレノイド120は、たとえば、ニュートロニクス(Pneutronics(登録商標))という商標で販売されているものであってもよく、電気ケーブル130を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連し、かつそれによって制御される。ソレノイド120は、電源がオフされた場合のように、電気コイルの電源が切断された場合に真空圧を大気に排出するように構成される。ソレノイド120および気送管119と直列にオリフィス絞り弁121が提供されることにより、ソレノイド120の電源が切断された場合に真空が大気圧まで軽減される速度が調整される。オリフィス絞り弁121は、たとえば、エアロジック(AirLogic(登録商標))という商標で入手可能である。
【0018】
創傷被覆材123は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料であってもよい殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、入口ポート134と、吸引ポート135と、を含む。被覆材基材131は、創傷床全体を通して真空圧を均一に分布させるように構成され、粒状組織の形成を促進するために適当な機械的特性を有する。さらに、被覆材123に真空がかけられるとき、基材131は、創傷の細胞レベルにおいてマクロひずみおよびマイクロひずみをもたらし、さまざまな成長因子および他のサイトカインの生成を誘発し、細胞増殖を促進する。被覆材123は、単腔管122を通してキャニスタ114に流体的に関連する。被覆材123の基材131によって形成される空洞における真空圧は、主として、キャニスタ114内部の真空圧から配管112内部の任意のとどまっている流体の重量を引いた値と同じである。標準I.V.バッグであってもよい流体容器124が、水溶性局所抗生物質、生理漂白剤または等浸透圧塩水等の医薬流体を収容する。流体容器124は、ポート134および単腔管125を介して被覆材132に取外し可能に接続される。任意の流量制御装置126を配管125と直列に配置することにより、容器124から被覆材123への流体流の正確な調整を可能にすることができる。通常動作時、治療流体が容器124から被覆材123を通って収集キャニスタ114内まで移動する際、連続創傷部位洗浄が提供される。この連続洗浄が、創傷を清潔に維持し、感染を管理するのに役立つ。さらに、創傷部位において生成されかつ基材131によって収集される排出物は、システムが真空下にあるときにキャニスタ114に移される。
【0019】
図2を参照すると、アルゴリズム150の概略処理ステップの一例が示されている。アルゴリズム150は、以下の6つの機能ソフトウェアモジュールを有する連続的に実行する「メインループ」270を含む。すなわち、初期化モジュール210と、メンブレンスイッチ検査モジュール220と、ディスプレイ更新モジュール230と、真空制御更新モジュール240と、アラーム検査(キャニスタ満杯、漏れ、内部)モジュール250と、ウォッチドッグタイマリセットモジュール260と、である。
【0020】
初期化ステップ210において、制御アルゴリズム150の動作に関連する変数のすべてがリセットされる。初期化ステップ210は、たとえば、システムに電源が投入されたときに実行することができる。リセットすることができる変数には、たとえば、アラームフラグ、アラームタイムカウンタ、圧力目標値、圧力限界値、および数学的計算を格納するために使用される内部変数がある。
【0021】
ステップ220において、アルゴリズム150は、メンブレンキーパッドを介して何らかのユーザ入力がないか検査する。ステップ221において、何らかのキー押下がないか検査される。ステップ222において、治療関連パラメータがすべて更新される。たとえば、ユーザは、真空レベル事前設定スイッチ162を押下してもよく、それはステップ221で検出される。そして、ユーザによって選択された新たな目標圧力は、ステップ222において治療パラメータとして格納される。いずれのキーも押下されていない場合、またはいずれかのキー押下に続いて治療パラメータが更新されると、アルゴリズム150はステップ230においてディスプレイを更新する。
【0022】
ステップ230において、メインループ270を通して先のパスで識別された可能性のあるあらゆるアラーム指示を含む、すべてのステータスLEDが更新される。
【0023】
ステップ240において、アルゴリズム150は、真空ポンプ105および107ならびにベントソレノイド120の制御を監視し更新する。ステップ241において、ポンプ105および107ならびにキャニスタ114における実際の圧力が、それぞれ電子真空圧力センサ109および116を介して読み取られる。これらのアナログ読み値は、デジタル化され、メインループ270を通る次のステップで使用されるために格納される。ステップ242において、真空限界値および目標値が、ステップ220において識別された事前に確定された治療パラメータに基づいて選択される。ステップ243において、ポンプがいずれのモードで動作するかに関する判断がなされる。ステップ243において第1モードが選択された場合、アルゴリズム150は、キャニスタ114および被覆材132から空気を除去する時間を最小限にして、最大出力で真空ポンプ105を動作させる。ステップ243において第2モードが選択された場合、アルゴリズム150は、詳細に上述したようにシステム内のいかなる漏れにも遅れずに対応するためだけに十分な気流を提供して、部分出力で真空ポンプ105を動作させる。このモードでは、ポンプ105は、非常に低騒音で動作し、患者を動揺させない。別法として、かつ後により詳細に説明するように、第2モード動作中は、ポンプ105とともに任意のポンプ107を利用することができる。この実施形態では、ポンプ107はポンプ105より小型かつ低騒音であり、気流容量が低い。ポンプ107は、システム漏れまたは他の真空損失を補償するために十分な気流のみを提供するように構成される。
【0024】
ステップ243においてモードが選択されると、アルゴリズム150は、ステップ244において、真空ポンプ105および107をオンまたはオフにする電子制御信号を生成する。さらに、詳細に上述したように、ソレノイドバルブ120は、電源が切れたとき、または真空圧がステップ242において確立された事前設定限界値を超過した場合に、真空圧を外気に排出する。ステップ245において、制御信号が提供され、それらは、実際の圧力、目標圧力および事前設定圧力上限の間の比較に基づく。モード確定、真空ポンプ制御および排出制御はすべて、事前選択された目標圧力レベルとそれぞれステップ241および242において取得された実際の圧力読み値との間の比較に基づく。
【0025】
ステップ240において圧力調整が行われかつ実際の圧力読み値が取得された後、アルゴリズム150は、ステップ250においてアラーム状態を検査する。ステップ251において、圧力センサ109および116からの読み値を分析することによって容易に識別される漏れ情報が識別される。ステップ251において漏れ状態が検出された場合、アルゴリズム150は、3分間待機し、その後、漏れアラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。ステップ252において、キャニスタ満杯状態が検査され、これはこの場合もまた、圧力センサ109および116からの読み値を分析することによって容易に識別される。ステップ252においてキャニスタ満杯状態が検出された場合、アルゴリズム150は、1分間待機し、その後、キャニスタ満杯アラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。ステップ253において、圧力センサ109および116からの読み値が検査されることにより、何らかの内部エラーが存在するか否かが判断される。1つの圧力センサが、圧力読み値、たとえば他のセンサより30mmHg低いかまたは高い値を示した場合、内部エラーが発生している。この場合もまた、ステップ253において内部エラー状態が検出された場合、アルゴリズム150は、2分間待機し、その後、内部エラーアラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。
【0026】
ステップ220、230、240および250の完了後、アルゴリズム150は、ステップ260においてウォッチドッグタイマをリセットする。ウォッチドッグタイマは、予期されないソフトウェアグリッチの場合の安全性機能として提供され、組込みマイクロプロセッサ102内に組み込まれている。制御アルゴリズム150が「ロックアップ」した場合、メインループ270はそれ以上機能しない。メインループ270が機能しなくなると、ハードウェアウォッチドッグタイマはステップ260においてリセットされず、したがってタイムアウトする。ウォッチドッグタイマは、タイムアウトすると、自動的に組込みマイクロプロセッサ102をリセットし、アルゴリズム150は、ステップ210においてすべての変数およびパラメータを再初期化する。再初期化に続き、アルゴリズム150は、メインループ270を介して上述したように再び逐次モジュールを実行する。
【0027】
ここで特に図3を参照すると、真空ポンプ150および107に関連する線形制御回路の一例は、制御入力301を含み、それは、マイクロコントローラ101によって提供されるデジタル信号である。デジタル制御入力301は、上述した第2モードに関連する。デジタル制御入力301がローまたはオフ状態である場合、ダイオード304は、順方向バイアスされ、その後コンデンサ303を放電する。短時間の後、コンデンサ303の前後の圧力はゼロに向かい、コンデンサは実質的に完全に放電される。デジタル制御入力301がそのハイまたはオン状態である場合、ダイオード304は逆方向バイアスされ、回路から有効に取り除かれる。この場合、上記第2モードが起動されると、コンデンサ303と直列である抵抗器302が、コンデンサ303を、両コンポーネントの値によって確定されかつ1/R×Cに比例する速度で充電し始める。およそ1/R×C秒が経過した後、コンデンサ303は完全に充電され、抵抗器302にはそれ以上電流が流れなくなる。コンデンサ303の前後の電圧は、デジタル制御入力301電圧の大きさにおよそ等しくなる。抵抗器302およびコンデンサ303の接合部は、NPN二接合トランジスタ305のベース端子に接続される。トランジスタ305は、たとえばTIP−32Cであってもよい。トランジスタ305は、エミッタフォロワとして構成され、この構成では、電流増幅を提供する。真空ポンプ105および107のプラス端子は、トランジスタ305のエミッタ端子に接続され、トランジスタ305のコレクタ端子は、12ボルト電源307に直接接続される。真空ポンプ105および107の誘導負荷によってもたらされる電源の望ましくない過渡電流を低減するために、さらなるコンデンサ306が提供される。真空ポンプ105および107のマイナス端子およびコンデンサ303のマイナス端子は、共通接地基準点308に接続される。
【0028】
デジタル制御入力301がそのロー状態からハイ状態に遷移する場合、コンデンサ303の前後の電圧は、1/R×C秒後に最大値に達するまで徐々に上昇し始める。トランジスタ305の構成のために、エミッタ端子における電圧上昇は、ベース端子における電圧上昇を反映し、このため、真空ポンプ105および107に供給される電圧もまた、1/R×C秒後に最大値に達するまで徐々に上昇する。ポンプに供給される電圧が上昇する際、ポンプはより高速に動作するようになり、このため、より多くの流出をもたらし真空を増大させる。抵抗器302およびコンデンサ303に対して適当な値を選択することにより、時定数が選択可能であるため、ポンプが速度を上昇させ始める割合を事前に選択することができ、それが、長時間にわたってより低速かつ低騒音の速度での動作を可能にすることができる。ポンプ105および107がそれらの流出を増大させ始めると、システム100における真空が増大する。この増大は、アルゴリズム150によって測定され、アルゴリズム150は、後に、これに応じてデジタル制御入力301の状態を変化させる。詳細に上述したように、目標圧力が再度確立されると、ポンプ105および107は閉鎖される。目標圧力に達した後にデジタル制御入力301がそのハイ状態からロー状態に遷移する際、ダイオード304は、上述したようにコンデンサ303を迅速に放電し、ポンプ105および107に供給される電圧は、有効に除去されてポンプをオフにする。
【0029】
ここで特に図4を参照すると、真空ポンプ105および107に関連するパルス幅変調(PWM)制御回路400の一例は、およそ10%から90%まで変更することができるデューティサイクルを有するように構成される非安定マルチバイブレータ回路401を含む。マルチバイブレータ回路401は、たとえばLM555であってもよく、本明細書ではさらに「タイマ」401と呼ぶ。12ボルト電源417が、タイマ401ならびに真空ポンプ105および107に電力を提供する。電源417と共通接地点414との間に、コンデンサ414が接続される。コンデンサ414は、ポンプ105および107の動作によってもたらされる誘導負荷による過渡電流を電源417から除去するように機能する。本発明の実施形態によっては、真空ポンプ105および107は、3つの端子を有する。すなわち、電源のためのプラス端子およびマイナス端子と、PWM制御入力である第3端子416とである。ポンプ105および107のプラス端子は、電源417に接続する。マイナス端子は、たとえば一般に入手可能でありかつインターナショナル・レクティファイアー(International Rectifer(登録商標))という商標で販売されているIRF510等のMOSFET402のドレインリードに接続する。MOSFET402のソースリードは、共通接地点414に接続する。MOSFET402は、制御入力412に応じて、ポンプ105および107に対する電源をオンおよびオフに切り替える。制御入力412からの信号は、マイクロコントローラ101によって提供され、モード選択信号411とともに作用する。MOSFET402のゲートと共通接地点414との間に抵抗器413が接続され、MOSFET402のゲートに対する接地基準と制御入力412に対する駆動インピーダンスとを提供する。
【0030】
タイマ401は、動作周波数と出力波形のデューティサイクルとを制御するいくつかの周辺コンポーネントを有する。コンデンサ408は、内部電圧基準を安定化し、出力周波数を一定に維持する。ダイオード405および406は、抵抗器403および404を通してコンデンサ407を充電し放電する。抵抗器404およびコンデンサ407は、出力周波数を確定し、可変抵抗器403は、デューティサイクルを確定し、10%から90%まで調整されることが可能である。通常、出力周波数は、10キロヘルツと20キロヘルツとの間であり、これらの周波数が人間の公称聴力範囲を上回る際に切替騒音を最小限にする。タイマ401の出力は、PWM入力416として使用され、デューティサイクルに比例してポンプ105および107のモータ速度を変更する。デューティサイクルが高いことにより、ポンプモータはより高速に動作し、より大きい流出をもたらし、デューティサイクルが低いことにより、ポンプモータは、より低速かつ低層音で動作し、関連して流出量が低減する。
【0031】
上記第1モードまたは上記第2モードの選択を可能にする、第2モードを示すモード選択411からのデジタルモード信号が、ダイオード409を介してコンデンサ407に提供される。モード選択411からのモード選択信号がハイ状態からロー状態に遷移すると、ダイオード409は、順方向バイアスされ、迅速にコンデンサ407を放電する。コンデンサ407がその放電状態にあるとき、タイマ401によって生成されるPWM信号416は強制的にハイとなる。一定のハイPWMは、100%デューティサイクルと等価であり、そのため、ポンプ105および107は、この構成では最大で作動する。モード選択411からのモード選択信号がロー状態からハイ状態に遷移する際、ダイオード409は逆方向バイアスされ、したがって、回路から有効に取り除かれる。そして、タイマ401は、非安定モードで動作し、生成するデューティサイクルPWM信号416が低減する。モード選択入力411と共通接地点414との間に抵抗器410が接続されることにより、マイクロコントローラ101に対する駆動インピーダンスが提供される。
【0032】
制御アルゴリズム150が、システムが初期化しており被覆材を引き下げているとき等、第1モード(引下げ)が必要であると判断すると、モード選択411からのモード選択信号はロー状態になり、制御入力412からの制御入力信号はハイ状態になる。この構成により、真空ポンプ105および107は最大量の流出をもたらす。同様に制御アルゴリズム150が、測定された治療用真空レベルが所定下限未満に低下した場合等、上記第2モード(維持)が必要であると判断すると、モード選択411からのモード選択信号はハイ状態になり、制御入力412からの制御入力信号はハイ状態になる。この構成により、真空ポンプ105および107はより低速で動作するようになり、流出を低減し望ましくない機械的騒音を低減すると同時に、治療用真空を目標レベルに戻す。制御入力412からの制御入力信号がロー状態にある場合、ポンプは使用不能であり、まったく動作しない。これは、コンポーネント故障の場合に安全性機能として作用し、これにより、ポンプ105および107はオン状態でラッチする。
【0033】
ここで特に図5Aを参照すると、治療用創傷洗浄および真空ドレナージを提供する携帯システム500の別の実施形態が示されている。システム500は、ウエストの周囲に装着されるか、または歩行できる患者の場合はポーチで肩に担がれ、歩行できない患者の場合はベッドのフットボードまたはヘッドボードから吊り下げられるように構成された、自立型プラスチックハウジング501を含む。治療用パラメータの調整を可能にし、ユニットをオンおよびオフにするために、メンブレンキーパッドおよびディスプレイ504が提供される。メンブレンスイッチ505を押下することにより、システム500に対する電源がオンとなり、メンブレンスイッチ506を押下することにより、電源がオフになる。メンブレンスイッチ509は、目標治療用圧力を上昇させるように調整し、同様にメンブレンスイッチ510は、目標治療用圧力を低下させるように調整する。本発明の実施形態によっては、システム500は3つの圧力設定、LOW、MEDIUMおよびHIGHを有し、それらは概して、たとえばそれぞれ70mmHg、120mmHgおよび150mmHgに対応する。これら3つの圧力設定は例として提供されるものであるが、創傷タイプの特定用途に対して他の圧力を利用することが可能であるため、それらは限定するものとして意図されていない。メンブレンLED LOW522、MEDIUM523およびHIGH524は、ユニットの現目標治療用設定を示す。LED507は漏れアラームを示し、LED508はキャニスタ満杯アラームを示す。いずれかのアラーム状態が検出されると、これらのLEDは、可聴チャイムとともに発光する。ハウジング501は、標準IVバッグ503を受容し格納するように構成されるコンパートメント502を組み込む。IVバッグ503は、システム500が連続洗浄を提供するために利用する水溶性局所創傷治療流体を収容してもよい。実施形態によっては、創傷治療流体を、コンパートメント502に直接投入してもよい。さらに、IVバッグ503を、装置の外部に結合してもよい。図5Bに示すように、患者のベルトに取り付けるためのベルトクリップ514が提供され、ベルトを着用しない患者に対して任意のウエストストラップまたはショルダーストラップが提供される。
【0034】
図5Cに示すように、滲出物収集キャニスタ511は、真空封止手段517および関連する疎水性フィルタ520(図示せず)と、真空センサポート518および関連する疎水性フィルタ519(図示せず)と、つや消し半透明本体521と、透明目盛り付き測定窓522と、ロック手段523と、多腔配管512と、を備える。収集キャニスタ511は、通常、患者の偶発的な放血を防止するために1000ml未満の容積を有する。真空封止手段517は、ハウジング501に組み込まれる対応する封止手段516と嵌合する。さらに、ロック手段523は、上記ハウジング内に対応する嵌合部品を有する。疎水性フィルタ519および520は、たとえば、ゴアテックス(GoreTex(登録商標))という商標で販売されているものであってもよく、キャニスタ511の中身が不注意に侵入して後に治療装置500の汚染をもたらさないことが確実であるようにされる。真空センサポート518は、マイクロコントローラ101が、被覆材131下の治療用真空圧の代用としてキャニスタ511内の圧力を測定するのを可能にする。多腔配管512は、洗浄流体が被覆材131まで移動するための1つの導管と、真空ドレナージのための別の導管と、を提供する。このように、IVバッグ503、配管512、被覆材131およびキャニスタ511は、閉流体経路を提供する。本実施形態では、キャニスタ511は使い捨てであり、中身を廃棄する前に凝固させることができるゲル化物質で充填されてもよい。ゲル化剤は、たとえばイソライザー(Isolyzer(登録商標))という商標で入手可能である。
【0035】
図5Aに示すように、配管512の終端において、配管を実質的に気密シールでドレープ132に取り付けるために、粘着性被覆材コネクタ515が提供される。被覆材コネクタ515は、貼付前に取り除かれるリリースライナを備えた環状感圧接着リングを有してもよい。実際に使用する際、ドレープ132に小穴530を切り込んでもよく、被覆材コネクタ515はその穴に位置合せして配置される。これにより、洗浄流体が、単一ポートを通って被覆材に入りかつ被覆材から出ることが可能になる。代替実施形態では、管512は、末端において二又に分岐し、2つの被覆材コネクタ515に接続し、それにより、洗浄ポートを、真空ドレナージポートから物理的に分離することができ、これによって、必要に応じて、洗浄流体が強制的に被覆材の全長を通して流れる。
【0036】
ここで図6を参照し、かつ本発明のさらなる実施形態によれば、治療用創傷洗浄および真空ドレナージを提供する被覆材システム600が示されている。被覆材システム600は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、半浸透性カバー132と多孔性基材131との間に位置する柔軟な流体容器601と、を含む。流体容器601は、容器の上面に位置するセルフシール注射器ポート603と、容器の下面に位置する調整ドリップポート602と、を備える。注射器ポート603は、水溶性局所創傷治療流体を投与するための皮下注射器604の差込みを可能にする。これらの水溶性局所流体には、バシトラシンまたはスルファミド・アセテート等の抗生物質、クロルパクチン(Chlorpactin)またはデーキン(Dakins)液等の生理漂白剤、およびラバセプト(Lavasept)またはオクテニセプト(Octenisept)等の消毒剤があり得る。調整ドリップポート602により、容器601内の流体が低速かつ連続的に多孔性基材131内に出て行くことができ、そこで、創傷部位に対して治療効果を与えることができる。単腔ドレナージ管122は、被覆材600を減圧で維持し、かつ洗浄流体および創傷滲出物を含む流体を除去するために十分な真空を提供する。被覆材システム600の利点は、容器601を被覆材に組み込むことができるということであり、このため、外部流体容器および関連配管とコネクタとが不要になり、被覆材が、患者および臨床医に対して同様により使い易くなる。
【0037】
通常の臨床使用において、被覆材600は、多孔性基材131を創傷の周りに適合するように切断することにより、創傷部位に貼付される。次に、一体化した(かつ空の)流体容器601を備えた半浸透性ドレープ132が、ドリップポート602を多孔性基材131の中心に位置決めして取り付けられる。ドレープ132が創傷周囲に適当に封止されると、セルフシール注射器ポート603に適当に準備された皮下注射器604を挿入することができ、その後、流体容器601に、所望の水溶性局所創傷治療溶液を充填することができる。
【0038】
ここで特に図7を参照し、本発明の別の実施形態によれば、治療用創傷洗浄および真空ドレナージのための被覆材システム700が示されている。システム700は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、上記半浸透性カバー132の外側にかつ上位に位置する柔軟な流体容器601と、を含む。流体容器601は、容器の上面に位置するセルフシール注射器ポート603と、容器の下面に位置する調整ドリップポート602と、を備える。さらに、ドレープ132に後に取り付けるために、調整ドリップポート602を包囲する容器601の下面に、環状接着リングが提供される。注射器ポート603は、水溶性局所創傷治療流体を投与するための皮下注射器604の差込みを可能にする。これらの水溶性局所流体には、バシトラシンまたはスルファミド・アセテート等の抗生物質、クロルパクチン(Chlorpactin)またはデーキン(Dakins)液等の生理的漂白剤、およびラバセプト(Lavasept)またはオクテニセプト(Octenisept)等の消毒剤があり得る。調整ドリップポート602により、容器601内の流体が、ドレープ132の穴を通って多孔性基材131内に低速かつ連続的に出て行くことができ、そこで、創傷部位に対して治療効果を与えることができる。単腔ドレナージ管122は、被覆材600を減圧で維持し、かつ洗浄流体および創傷滲出物を含む流体を除去するために十分な真空を提供する。
【0039】
通常の臨床使用において、被覆材700は、多孔性基材131を創傷の周りに適合するように切断することにより、創傷部位に貼付される。次に、半浸透性ドレープ132が、基材131を覆い創傷周囲領域まで及ぶように、創傷部位にわたって貼付される。ドレープ132において、多孔性基材131に対して中心に、およそ1/4インチ径の穴が形成される。最後に、流体容器601が、接着環状リング605により、ドリップポート602をドレープ132に予め切り込まれた穴に位置合せして取り付けられる。流体容器601がドレープ132に適当に封止されると、適当に準備された皮下注射器604がセルフシール注射器ポート603および流体容器601に挿入され、流体容器601には後に、所望の水溶性局所創傷治療溶液が充填される。
【0040】
ここで特に図8を参照すると、本発明の特定用途向け被覆材800の一実施形態が示されている。被覆材800は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、創傷内に抗生物質作用を提供するための、金属銀810が含浸しかつ多孔性基材131に接着される穿孔織布と、を含む。別法としてかつ図8に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材800と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0041】
流体を、基材131を通して、後に真空ドレナージ配管122または512を通して、創傷床801から妨げなしに除去することができるように、抗生物質銀層810は有窓である。さらに、層810の窓により、創傷床801にわたって減圧を均一に分布させることができ、粒状組織の形成が可能になる。創傷被覆材の一部として創傷に銀を使用することは、アクティコート(Acticoat(商標))およびシルバディーン(Silvadene(商標))等の商標で臨床医には入手可能である。銀は、特に、火傷、胸骨切開、放射性瘻、外傷および複雑骨折に利用することができる。銀は、多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療、臭いの防止、感染発生の低減および全般的な治癒の促進に利用される。本実施形態は、銀の使用を創傷洗浄および真空ドレナージと組み合わせることにより、上述した特定の創傷タイプに対する治療を提供する。抗生物質銀層810を、アージェンタム・メディカル(Argentum Medical)からシルバーイオン(SilverIon(登録商標))という商標で販売されているもの等の銀コーティング織ナイロンから作製してもよい。その材料を、独自の自動触媒型無電解化学(酸化還元)めっき技術を利用して、99.9%純金属銀でコーティングされた織ナイロンから製作することができる。別法として、スミス・アンド・ネフュー(Smith and Nephew)製のアクティコート(ActiCoat(登録商標))フォーム等の不織材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)メッシュの3つの層の間に積層された2つのレーヨン/ポリエステル不織インナーコアを使用する。この材料は、シルバーイオン(SilverIon(登録商標))材料と同様に、有窓であってもよく、被覆材800で使用することができる。抗生物質層810は、インモールド接合、接着剤(メタクリル酸メチルベースの結合剤)およびRFまたは超音波溶接を含む、多数の利用可能な技法を使用して、孔性基材131に接合される。
【0042】
被覆材800は、詳細に上述したように創傷に貼付される。被覆材800の作製で使用されたさまざまな材料間に化学的相互作用がある可能性があるため、適合性を確実にするために使用される水溶性局所創傷流体のタイプに対し注意を払ってもよい。
【0043】
ここで、特に図9を参照すると、特定用途向け被覆材900の別の実施形態が示されている。被覆材900は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材910と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、創傷内に治癒の誘引を提供するための、多孔性基材920に接合される生物分解性材料の殺菌多孔性層910と、を含む。生物分解性層910は、実質的に創傷部位内に配置され、創傷床801に密着している。生物分解性層910を、ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)等の無数の材料から作製することができる。別法として、かつ図9に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材900と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0044】
流体を、基材920を通して、後に真空ドレナージ配管122または512を通して、創傷床801から妨げなしに除去することができるように、生物分解性層910は、多孔性であり、基材920に類似する機械的特性を備える。さらに、層910が多孔性であることにより、創傷床801にわたって減圧を均一に分布させることができ、層910内への粒状組織形成が促進される。生物分解性層910は、被覆材が創傷から取り除かれるときに基材920から容易に外れるように、基材920に接合され、それにより、生物分解性層910は適所に残り、組織成長が発生することができる基質を提供する。層910および920を取外し可能に接合する接着剤には、たとえば、硬化シリコーン、ハイドロゲルおよび/またはアクリル樹脂がある。層910の厚さを、通常の創傷に対して1日1mmほどであり得る内部成長が、層910に完全に浸透しないように、かつ取外し可能な基材920に侵入しないように、選択してもよい。別法として、生物分解性層910を、詳細に上述した分離可能結合剤と同種のもので合せて接着されたビードのマトリクスから作製してもよい。
【0045】
被覆材900は、治癒の最終段階で再上皮形成のための基礎を提供するために組織を迅速に充填することが必要な、大きい欠損または空隙を有する創傷タイプに適している。これらの特定用途の創傷には、壊死性筋膜炎、外傷、および何らかの腫瘍処置で発生するような医原性創傷がある。軟組織治療に対処することに加えて、被覆材900を、骨癌の外科治療からもたらされるような大きい骨欠損と、著しい骨喪失が発生する外傷と、を治癒するように構成してもよい。これらのタイプの創傷の場合、生物分解性層910は、欠損内への骨芽細胞の侵入および骨成長を促進する基質としての役割を果たす剛性材料から作製される。上述したように、層910を構成する材料は、被覆材が除去された後に創傷内に残る。
【0046】
被覆材900を、先の実施形態において上述したように貼付してもよく、著しい相違は、被覆材交換中、生物分解性部分、すなわち層910が創傷内に残る、ということだけである。従来の被覆材交換では、通常、異物反応および感染の可能性をなくすために、すべての被覆材材料および残骸が除去されていた。ここでは、先の被覆材の生物分解性層910の上に後の被覆材が貼付され、その中の組織成長が容易になる。粒状組織の適当な基礎が創傷内に形成されると、臨床医は、創傷が完全に治癒するまで、生物分解性被覆材の使用を中断して、代りに上述した他の被覆材材料および構成のうちの1つを用いる。
【0047】
ここで特に図10を参照すると、特定用途向け被覆材1000の一実施形態が示されている。被覆材1000は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材1030と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、多孔性基材1030に分離可能に接合される生物学的適合性材料の殺菌多孔性層1020と、創傷内の治癒反応を促進するために生物学的適合性材料1020と一体化された自己移植層1010と、を含む。生物学的適合性層1020および自己移植層1010は、創傷床801に密着して自己移植層1010とともに実質的に創傷部位内に配置される。別法として、かつ図10に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材1000と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0048】
生物学的適合性層1020は、ライフセル社(LifeCell Inc.)からアロダーム(AlloDerm(登録商標))という商標で入手可能な、提供された人間の皮膚組織から製造される無細胞皮膚基質であってもよい。この皮膚基質は、元の生物学的構造を維持しながら組織拒絶反応に至る細胞をすべて除去するように処理されている。患者から取り出された細胞または他の分子を、後にこの基質形成層1010内に播種してもよい。これらの細胞または分子には、限定されないが、繊維芽細胞、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)および他のサイトカインがあり得る。PDGFは、血小板に由来するポリペプチドホルモンであり、繊維芽細胞が拡散してコラーゲンおよびフィブロネクチンを蓄えるのを促進し、それにより創傷回復を開始する。標的細胞が患者から取り出され、生物学的適合性層1020形成層1010内に播種される場合、身体はそれを拒絶しない。層1020の下面に上述した自己移植細胞または分子を播種することに加えて、層1020の上面に、網状移植またはマイクロ移植技法を使用して患者から取り出された、生きた皮膚細胞を播種してもよい。生物学的適合層1020を封入する2つの移植層1010の構成により、瘢痕組織の形成を最小限にし元の構造を維持するように、内在組織再生が可能になる。
【0049】
被覆材1000は、新たに再生される組織が元の組織と同様の細胞組織を有する復元が必要な創傷タイプに対して設計されている。これらの特定用途の創傷には、外科披裂、火傷および糖尿病性潰瘍がある。
【0050】
通常の臨床使用において、まず、ドナー部位から必要な細胞を採取し、処理した後(生理活性成分を取り出すために必要な場合)、細胞またはサイトカインを生物学的適合層1020に播種することにより、患者毎に被覆材1000が用意される。生理活性成分の保管および被覆材1000の無菌化の維持を促進するために、被覆材1000の準備において特別な配慮および取扱いを用いてもよい。被覆材は、患者に対して適当に構成されると、詳細に上述したように貼付される。被覆材が交換されるとき、同様に詳細に上述したような生物分解性被覆材900と非常に類似して、生物学的適合層1020および自己移植層1010は創傷内に残ることになる。
【0051】
ここで図11を参照すると、圧力監視・制御システム1100は、直流(D.C.)電源1101(たとえば12ボルト)と、ダイアフラムタイプD.C.真空ポンプ1102と、電子切替制御素子1104と、ポンプモータ電流引込みの指示を提供する分路抵抗器1105と、戻り経路接点1103と、を備える。システム1100はまた、アナログ増幅器1106、A/D変換器1107およびCPU1108も含む。CPU1108は、圧力信号1109を取得しかつ格納し、事前設定圧力レベルを維持するようにポンプモータ1102をオンおよびオフにする制御信号1110を提供する。
【0052】
制御素子1104は、たとえば、ジーテックス(ZETEX)という商標で入手可能なZVN−4306A等、電界効果トランジスタ(FET)スイッチ等であってもよい。このデバイスは、制御素子1104のゲート端子に接続する制御信号1110に応じてポンプモータ1102をオンおよびオフにする。制御素子1104がオンになると、電流はポンプモータ1102内を流れはじめる。この電流は、ポンプモータ1102が治療ユニットの必要な陰圧設定に関して実行している作業の量に関連する。真空レベルが上昇すると、ポンプモータ1102が実行している作業の量も増大し、必要な電流引込みが増大する。
【0053】
ここで図12を参照すると、ポンプモータ電流、ポンプ気流および真空レベルの関係のグラフィカル表現、すなわちポンプモータ電流曲線1111が、2つの基準点1112および1113とともに示されている。基準点1112は、真空圧が0inHg(0mmHg)であるときの電流量を表し、基準点1113は、真空圧が4.72inHg(120mmHg)であるときの電流量を表す。ポンプモータ電流曲線1111は、その範囲全体にわたって非線形であるが、通常の治療範囲を表す点1112と点1113との間では比較的線形である。この範囲内では、曲線1111は「区分的線形」であると考えられ、生成される真空圧とそれを生成するために必要なポンプモータ電流との間に直接的な関係がある。この場合、ハーグレイブス・テクニカル・コーポレイション(Hargraves Technical Corp.)から入手可能なこの特定の真空ポンプの場合、0mmHgでの電流引込み(たとえばポンプが最初にオンとされるとき)は、1150ミリアンペアである。真空圧が4.72inHg(120mmHg)に達すると、電流引込みはおよそ224ミリアンペアである。これら2つの圧力レベルの間で、真空ポンプモータ1102の電流引込みは、150ミリアンペアと224ミリアンペアとの間で線形に変化する。このため、この電流測定値は、実際の真空ポンプ圧力の代用としての役割を果たし、システムの治療用圧力を確定するために圧力センサの代りに使用されることが可能である。
【0054】
再び図11を参照すると、FET1104および真空ポンプモータ1102と直列に分路抵抗器1105が提供されることにより、ポンプモータ1102電流引込みが電圧に変換される。抵抗器1105は、通常0.1オームと1オームとの間の任意の所望の値であってもよく、既製タイプであってもよい。オームの法則により、抵抗器の前後の電圧は、抵抗器を流れる電流に抵抗を乗算した値に等しい。この場合、抵抗器1105の抵抗は1オームである。このため、抵抗器1105を1アンペアが流れる場合、結果としての抵抗器1105前後の電圧は、1ボルトになる。同様に、抵抗器1105を流れる150ミリアンペアの電流により、その前後に150ミリボルトがもたらされ、224ミリアンペアの電流により、224ミリボルトがもたらされる。増幅器1106が提供されることにより、抵抗器1105前後の電圧が、デジタル変換および分析のためにより適したレベルまで拡大される。この場合、10の利得により、抵抗器1105からの電圧信号は1.5ボルトから2.24ボルトまで振れる。1.5ボルト出力は、150ミリアンペアの真空ポンプモータ電流引込みに対応し(0mmHg)、2.24ボルト出力は、224ミリアンペアの真空ポンプモータ電流引込みに対応する(120mmHg)。このため、システムの圧力レベルを、増幅器1106の出力信号と圧力との線形関係によって確認することができる。A/D変換器1107は圧力信号をデジタル化し、このデジタル表現をCPU1108に伝送する。既製で入手可能な多くのCPUでは、A/D変換器はCPUの一体部分であり、外部コンポーネントを用いて実装される必要はない。
【0055】
CPU1108において、圧力信号1109を分析しそこから制御出力信号1110を提供する、1つまたは複数の制御アルゴリズムを実装することができる。制御方法の単純な一例は、信号入力1109を測定することと、それを2.24等の所定レベルと比較することと、を含んでもよい。信号1109が2.24より低い場合、出力信号1110はハイ論理状態に切り替わり、FET1104およびポンプモータ1102をオンにする。システム内の真空が増大するに従い、ポンプモータ1102からの電流引込みが増大し、信号入力1109が増大する。信号1109が2.24に達すると(120mmHgを示す)、出力信号1110はロー論理レベルに切り替わり、FET1104およびポンプモータ1102をオフにする。このため、この単純な制御方法により、システム内の圧力を120mmHgに維持することができる。所定の所望真空レベルを、比較閾値を必要な治療用陰圧を表す値に変更することにより、容易に選択することができる。
【0056】
ここで図13を参照すると、安価であり、調整可能である、低ヒステリシス真空スイッチ1200は、直流(D.C.)電源1101、ダイアフラムタイプD.C.真空ポンプ1102、磁気リードスイッチ1209および戻り経路接点1103を備える。システム1200はまた、事前設定圧力レベルを維持する必要に応じてポンプモータ1102をオンおよびオフにするために、気密円柱状ハウジング1204、ホースバーブ1205、ダイアフラム1206、希土類磁石1207および調整可能ブラケット1208を含む。
【0057】
スイッチ1209は磁気リード設計であり、通常開放しており、十分な強度の磁界に晒されると閉鎖する(接触する)。磁気リードスイッチ1209は、回路を完成しポンプモータ1102の動作を調整するワイヤ1210を介して、ポンプモータ1102および戻り経路接点1103と直列に挿入される。スイッチ1209は、図11に示しかつさらに上述したようにFETスイッチ1104と同様に機能し、システム1200の制御素子である。磁石1207が提供されることにより、スイッチ1209を作動させるとともに、スイッチ1209に対する「開閉」閾値を設定するように調整可能ブラケット1208を作動させる。磁石1207は、可撓性ダイアフラム1206にさらに一体的に取り付けられ、可撓性ダイアフラム1206は、気密円柱状ハウジング1204に同様に封止される。ホースバーブ1205が提供されることにより、円柱状ハウジング1204への真空の連通が容易になる。円柱状ハウジング1204内で真空圧が変更されると、可撓性ダイアフラム1206はその形状を凹状に変化させる。ポリウレタン(PU)およびポリエチレン(PE)等のポリマから製作することができるダイアフラム1206の弾性特性により、ダイアフラムの凹面と円柱状ハウジング1204の真空レベルとの間に線形関係が存在する。ダイアフラム1206の中心に取り付けられる磁石1207は、ダイアフラム1206の凹面に関連して垂直面において上下に移動する。ブラケット1208はハウジング1204に調整可能に取り付けられ、スイッチ1209はブラケット1208に取外し可能に取り付けられる。ブラケット1208の主な機能は、磁気リードスイッチ1209を磁石1207に対して固定位置に保持することである。
【0058】
容器内の圧力が0mmHgである場合のように、円柱状ハウジング1204内の圧力が所定治療用レベル(たとえば120mmHg)を下回る場合、ダイアフラム1206は最小限に凹状であり、磁石1207と磁気リードスイッチ1209との間の距離は比較的近い。この時点で、スイッチ1209が閉鎖して回路に通電し、それにより、真空ポンプモータ1102がオンとなる。真空ポンプ1102は、その後、円柱状ハウジング1204内の圧力を低減し、それによりダイアフラム1206はより凹状になる。ダイアフラム1206がより凹状となると、磁石1207は磁気リードスイッチ1209から離れるように移動する。ブラケット1208を移動させることによって調整可能な臨界設定点で、スイッチ1209は開放し、真空ポンプモータ1102がオフとなる。この「ターンオフ」点は、治療システムの所望の圧力動作点に対応する。システムが徐々に漏れ、空気がシステム内に戻って真空が低減すると、サイクルは繰り返し、そのため所望の治療用真空レベルが維持される。このレベルは、所望の結果をもたらすようにブラケット1208を調整することによって事前に確定され事前設定される。
【0059】
上述した実施形態は、例として示すものであり、限定するものではない。実施形態に対して明らかな変更、派生および変形を行うことができる、ということは容易に明らかとなろう。たとえば、ダイアフラムかまたはピストンタイプのいずれかとして上述した真空ポンプ1105および1107は、シリンジベースシステム、ベローズまたはさらには振動リニアポンプのうちの1つであってもよい。同様に、マルチモーダルとして上述した真空制御アルゴリズムは、他の多くのアルゴリズムのうちの1つであってもよい。同様に、被覆材の構成要素に対する生物分解性物質としてPLGAを使用することは、移植可能医療デバイスに対して一般に使用される多くの異なるタイプの生物分解性材料のうちの1つであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態の概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による方法のフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による維持モード制御回路の図である。
【図4】本発明の別の実施形態による維持モード制御回路の図である。
【図5A】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図5B】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図5C】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図6】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による第2装置の図である。
【図7】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による第3装置の図である。
【図8】被覆材基材と創傷との間に抗生物質銀メッシュを組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図9】被覆材に生物分解性材料を組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図10】被覆材に生物活性材料を組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図11】本発明の一実施形態による医療装置における所望の事前設定真空レベルを維持する方法および制御システムの概略図である。
【図12】図11に示すシステムのポンプモータ電流、ポンプ気流および真空レベルの間の関係のグラフィカル表現の一例である。
【図13】本発明の一実施形態による制御システムスイッチの概略表現である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の3つの出願に対する優先権を主張する。2006年2月9日に出願された「創傷洗浄装置圧力監視および制御システム(Wound Irrigation Device Pressure Monitoring and Control System)」と題する米国特許出願第11/350,089号は、2005年8月8日に出願された「創傷洗浄装置(Wound Irrigation Device)」と題する米国特許出願第11/198,148号の継続出願である、2005年9月29日に出願された「創傷洗浄装置(Wound Irrigation Device)」と題する米国特許出願第11/237,880号の一部継続出願であり、それらは各々、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される。
【0002】
背景
本発明は、一般に、創傷治癒の促進のための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、創傷の流体洗浄および真空ドレナージを提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
真空ドレナージまたは閉鎖吸引ドレナージとしても知られる陰圧創傷治療が知られている。真空源は、半閉塞または閉塞創傷被覆材(ドレッシング)に接続される。ガーゼ、フェルト、フォーム、ビードおよび/または繊維を含むさまざまな多孔性被覆材を、閉塞性半浸透性カバーおよび制御された真空源とともに使用することができる。
【発明の開示】
【0004】
陰圧創傷治療に加えて、多くの装置は付随する創傷洗浄を採用する。たとえば、既知の創傷治癒装置は、創傷に隣接して配置されるポリウレタンフォームから作製され、半浸透性かつ可撓性プラスチックシートによって覆われる、多孔性被覆材を含む。被覆材は、カバーおよびフォームによって形成される空洞と連通する流体供給接続部および流体ドレナージ接続部をさらに含む。流体供給部は、創傷に治療を提供する際に使用される水溶性局所抗生物質溶液または等浸透圧塩水を含む可能性のある流体源に接続される。流体ドレナージ部を、真空源に接続させることができ、その場合、流体を空洞から除去することができ、かつ空洞内において減圧を維持することができる。創傷洗浄装置は、効能のある治療を提供することができるが、幾分か扱いにくく、使用が困難であり、一般に実用的でない。かかる装置は、患者に関するさまざまな要素、特に使い易さ、携帯性、および望ましくない機械的騒音の量を最小限にして治療を提供することができることについて対処していない。
【0005】
適当な大きさに切断されたポリビニルアルコールフォームからなり、かつ創傷の周りに固定される、創傷被覆材の真空封止を使用する装置もある。被覆材は、半浸透膜によって覆われ、吸引および流体接続部が、フォームおよびカバーによって形成される空洞内に皮下投入される小型のプラスチック管によって提供される。かかる装置は、時間により、真空ドレナージと創傷部位に対する水溶性薬剤の投入とを交互に行う。かかる装置もまた、携帯性、使い易さおよび騒音低減に対処していない。
【0006】
治療用陰圧創傷治癒装置または真空式連続創傷洗浄装置では、真空を所望の所定レベルに維持する制御機構が必要である。通常、これらの制御システムは、測定された圧力を、制御回路が事前設定レベルを維持するために利用することができる電気信号に変換する何らかのタイプの(陰圧)圧力センサに頼る。多くのセンサは、印加される真空に比例して電圧信号を生成する電気ひずみゲージ技術を使用する。他のセンサは、本質的に電気機械的であり、印加される真空に比例して変化する抵抗を生成する。さらに他のセンサは、真空が所定レベルを上回るとオフとなり、所定レベルを下回るとオンとなる機械的スイッチである。いずれの場合も、吸引創傷治療装置の真空を効率的に維持するためには、制御ループの一部として何らかのタイプの電気的または機械的センサが必要である。
【0007】
圧力センサのコストは、製品のコスト全体のかなりの割合である可能性がある。これらのセンサは容易に入手可能でありかつ周知であるが、また比較的高価でもある。通常、モトローラ(Motorola)MPX5050等の電子センサは、1個単位でおよそ15ドルかかる。同様に、エアロジック(AirLogic)から入手可能なもの等の機械的圧力スイッチは、1個単位で18ドルから25ドルかかる。
【0008】
概要
本発明の一実施形態は、真空源に結合されるように構成された圧力ハウジングと、圧力ハウジングに封止結合されたダイアフラムと、を含む。ダイアフラムは、真空源に応じて移動するように構成される。ダイアフラムには磁石が結合される。磁気スイッチが磁石の反対側に配置され、磁石が磁気スイッチから所定距離にあるときに磁石から作動されるように構成される。磁気スイッチは、真空源を選択的に作動するように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態は、電気機械真空装置を使用する創傷洗浄システムに関し、電気機械真空装置は、その電気機械真空装置を制御するように構成されたソフトウェアが格納されたマイクロプロセッサベースデバイスを有する。第1真空ポンプがマイクロプロセッサに電気的に関連し、真空を生成することが可能である。任意の第2真空ポンプがマイクロプロセッサに電気的に関連し、所定真空レベルを維持することができる。第1電子真空圧力センサが、真空レベルを監視するために真空ポンプおよび上記マイクロプロセッサに動作的に関連する。液密収集キャニスタが、中身がキャニスタから漏出しないようにする一体型バリアを含む。カニューレ状配管が、キャニスタおよび真空ポンプと、そこからの真空圧を伝達するように関連する。第2電子真空圧力センサが、キャニスタ真空を監視するためにキャニスタおよびマイクロプロセッサと動作的に関連する。被覆材は、多孔性材料と半浸透性可撓性カバーとを含み、カニューレ状配管は、被覆材およびキャニスタと、そこからの真空圧を伝達するように関連する。洗浄容器が、創傷を洗浄する際に使用される流体を収容する。カニューレ状配管が、洗浄容器および被覆材と、そこに流体連通するように関連する。電気機械真空装置は、洗浄容器を保持することができる一体型コンパートメントを有する。電気機械真空装置は、任意に、上記洗浄容器から上記被覆材に流れる流体の量を調整する装置を含んでもよい。電気機械真空装置は、その携帯動作を可能にするバッテリを含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態は、治療用真空の生成および制御を改善する方法を含む。本実施形態では、マルチモーダルアルゴリズムが、真空ポンプに関連しかつポンプからの出力圧力を測定することができる第1電子真空圧力センサからの圧力信号を監視する。アルゴリズムは、さらに、収集キャニスタに関連しかつキャニスタ内部の減圧を測定することができる第2電子真空圧力センサから圧力信号を監視する。キャニスタは、真空ポンプに、そこからの減圧を伝達するカニューレ状管によって接続される。キャニスタは、適当な被覆材に、そこへ減圧を伝達するカニューレ状管によって接続される。治療の開始時、第1電子真空圧力センサおよび第2電子真空圧力センサはともに、システムが大気圧で平衡状態にあることを示す。キャニスタおよび被覆材内の空気を迅速に除去し、それにより真空をもたらす、第1モード制御アルゴリズムが採用される。制御アルゴリズムによって実装される第1モードは、本明細書において、以下「引下げ(draw−down)」モードと呼ぶ。第1電子真空圧力センサおよび第2電子真空圧力センサそれぞれによって示されるように、キャニスタおよび被覆材内の減圧が事前設定閾値に達すると、アルゴリズムは、治療時間にわたりキャニスタと被覆材との両方における減圧の所望のレベルを維持する第2モードを採用する。制御アルゴリズムによって実装される第2モードを、本明細書では「維持(maintenance)」モードと呼ぶ。第2モード制御アルゴリズムは、真空ポンプを低減した速度で動作させ、それにより、望ましくない機械的騒音を最小限にするように構成される。代替実施形態では、維持モードに対して、容量が低減し、より小型であり、望ましくない機械的騒音のレベルが大幅に低い第2真空ポンプを使用してもよい。第2モード制御アルゴリズムは、さまざまなシステムインタフェースおよび接続点において常に発生する小さい漏れが存在する状態で、真空の維持を可能にするように構成される。本方法を、たとえばマイクロプロセッサベースデバイスによって実行することができる。
【0011】
別の実施形態では、特定用途向け被覆材が、さまざまな創傷タイプの個々の必要に従って構成される。広く抗菌性、生物分解性および生物活性のカテゴリに入る無数の新たな材料を使用して、非常に効能のある創傷被覆材を作製することができる。創傷洗浄および真空ドレナージシステムで機能する材料に対し、被覆材組成は、被覆材を通して減圧の均一な分布を可能にし、後にその中の流体の除去を容易にするために十分多孔性であってもよい。さらに、被覆材は、創傷治癒を促進する成長因子および他のサイトカインの生成に寄与すると考えられる、創傷床上の適当なマクロひずみおよびマイクロひずみを形成することができる、さまざまな機械的特性を有する。したがって、実施形態によっては、たとえば、特定の創傷タイプに対して被覆材を製作するために上述した材料を使用するいくつかの被覆材構成を含む。
【0012】
詳細な説明
当業者は、特に本明細書において提供される例示を鑑みて多くの代替実施形態を容易に理解すると考えられるが、この詳細な説明は、本発明の一実施形態のものであり、その範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
図1に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムは、数字100によって引用されており、概して、組込みマイクロプロセッサ102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103およびリードオンリメモリ(ROM)104を有するマイクロコントローラ101を含む。ROM104は、制御アルゴリズム150に対するプログラミング命令を含む(図2参照)。ROM104は、不揮発性であり、電源が切れたときにそのプログラミングを保持する。RAM103は、制御アルゴリズムにより、圧力測定値、アラームカウント等の変数を格納するために利用され、制御アルゴリズム150は、それらを、真空を生成し維持している間に使用する。メンブレンキーパッドおよびディスプレイ160は、通信ケーブル164を通してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。メンブレンスイッチ161は、電源制御を提供し、メンブレンスイッチ162は、所望の真空レベルを事前設定するために使用される。発光ダイオード(LED)163は、キャニスタ流体レベルおよび被覆材漏れに関連するアラーム状態を示すように提供される。
【0014】
マイクロコントローラ101は、それぞれ電気ケーブル106および108を通して、第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107に電気的に関連し、かつそれらの動作を制御する。第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107は、たとえばハーグレイブス(Hargraves(登録商標))およびトーマス(Thomas(登録商標))という商標で販売されているポンプを含む、多くのタイプのうちの1つであってもよい。真空ポンプ105および107は、たとえば往復ダイアフラムまたはピストンを使用して真空を生成してもよく、通常、DCモータによって電力が供給され、DCモータもまた任意に、信頼性を向上させかつ寿命を長くするためにブラシレス整流子を使用してもよい。真空ポンプ105および107は、単腔管115を介して滲出物収集キャニスタ114に空気圧的に関連する。一実施形態では、キャニスタ114は、1000mlを超過しない容積を有する。これにより、創傷部位において未だ止血が達成されていない場合に患者の不慮の方血を防止することができる。キャニスタ114は、特注設計であってもよく、または既製のかつメディバック(Medi−VAC(登録商標))という商標で販売されているものであってもよい。さらに、キャニスタ114には流体バリア129が関連し、それは、キャニスタ114に収集された流体が配管内115に漏出して真空戻り経路を詰まらせるのを防止するように構成される。バリア129は、機械的浮遊設計であってもよく、または、ゴアテックス(GoreTex(商標))という商標で入手可能なもの等の疎水性材料の1つまたは複数の膜を有してもよい。疎水性膜を使用する二次バリア113が気送配管115と直列に挿入されることにより、バリア129が意図されるように動作しない場合に、流体がシステム内に侵入しないようにする。気送配管115は、それぞれ「T」コネクタ111および112を介して第1真空ポンプ105および任意の第2真空ポンプ107に接続する。
【0015】
真空圧力センサ109が、第1真空ポンプ105および任意の真空ポンプ107に空気圧的に関連し、電気ケーブル110を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。圧力センサ109は、マイクロプロセッサ102に真空圧力信号を提供し、制御アルゴリズム150が真空ポンプ105および107の出口における真空圧を監視することができるようにする。消音器128が、真空ポンプ105および107の排出ポートに空気圧的に関連し、動作中にポンプによって生成される吸気騒音を低減するように構成される。洗浄システム100の通常動作時、第1真空ポンプ105を使用して、初期すなわち「引下げ」真空が生成され、任意の第2真空ポンプ107を使用して、システム内でいかなる漏れまたは圧力変動をも補償する所望の真空を維持することができる。真空ポンプ107は、真空ポンプ105より小型かつ低騒音であってもよく、患者を当惑させることなく所望の圧力を維持する手段を提供する。
【0016】
バッテリ127が任意に提供されることにより、創傷洗浄システム100の携帯動作を可能にする。バッテリ127は、ニッケル水素蓄電池(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCd)またはそれらの等価物であってもよく、電気ケーブル136および137を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連する。バッテリ127は、マイクロコントローラ101に関連する回路によって充電されるが、外部電源が利用可能である。外部電源が利用可能でなく、かつユニットが携帯モードで動作する場合、バッテリ127が創傷洗浄システム100に電源を供給する。
【0017】
第2圧力センサ116が、単腔管119を介してキャニスタ114に空気圧的に関連する。圧力センサ116はまた、マイクロコントローラ101にも電気的に関連し、マイクロコントローラ102に真空圧力信号を提供することにより、制御アルゴリズム150が、キャニスタ114および被覆材123内部の真空圧を監視することができるようにする。「T」コネクタ118が、気送管119を圧力センサ116および真空圧力リリーフソレノイド120に接続する。真空圧力リリーフソレノイド120は、アラーム状態のときかまたは電源がオフにされた場合に、キャニスタ114および被覆材123内の圧力を軽減するように構成される。ソレノイド120は、たとえば、ニュートロニクス(Pneutronics(登録商標))という商標で販売されているものであってもよく、電気ケーブル130を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連し、かつそれによって制御される。ソレノイド120は、電源がオフされた場合のように、電気コイルの電源が切断された場合に真空圧を大気に排出するように構成される。ソレノイド120および気送管119と直列にオリフィス絞り弁121が提供されることにより、ソレノイド120の電源が切断された場合に真空が大気圧まで軽減される速度が調整される。オリフィス絞り弁121は、たとえば、エアロジック(AirLogic(登録商標))という商標で入手可能である。
【0018】
創傷被覆材123は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料であってもよい殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、入口ポート134と、吸引ポート135と、を含む。被覆材基材131は、創傷床全体を通して真空圧を均一に分布させるように構成され、粒状組織の形成を促進するために適当な機械的特性を有する。さらに、被覆材123に真空がかけられるとき、基材131は、創傷の細胞レベルにおいてマクロひずみおよびマイクロひずみをもたらし、さまざまな成長因子および他のサイトカインの生成を誘発し、細胞増殖を促進する。被覆材123は、単腔管122を通してキャニスタ114に流体的に関連する。被覆材123の基材131によって形成される空洞における真空圧は、主として、キャニスタ114内部の真空圧から配管112内部の任意のとどまっている流体の重量を引いた値と同じである。標準I.V.バッグであってもよい流体容器124が、水溶性局所抗生物質、生理漂白剤または等浸透圧塩水等の医薬流体を収容する。流体容器124は、ポート134および単腔管125を介して被覆材132に取外し可能に接続される。任意の流量制御装置126を配管125と直列に配置することにより、容器124から被覆材123への流体流の正確な調整を可能にすることができる。通常動作時、治療流体が容器124から被覆材123を通って収集キャニスタ114内まで移動する際、連続創傷部位洗浄が提供される。この連続洗浄が、創傷を清潔に維持し、感染を管理するのに役立つ。さらに、創傷部位において生成されかつ基材131によって収集される排出物は、システムが真空下にあるときにキャニスタ114に移される。
【0019】
図2を参照すると、アルゴリズム150の概略処理ステップの一例が示されている。アルゴリズム150は、以下の6つの機能ソフトウェアモジュールを有する連続的に実行する「メインループ」270を含む。すなわち、初期化モジュール210と、メンブレンスイッチ検査モジュール220と、ディスプレイ更新モジュール230と、真空制御更新モジュール240と、アラーム検査(キャニスタ満杯、漏れ、内部)モジュール250と、ウォッチドッグタイマリセットモジュール260と、である。
【0020】
初期化ステップ210において、制御アルゴリズム150の動作に関連する変数のすべてがリセットされる。初期化ステップ210は、たとえば、システムに電源が投入されたときに実行することができる。リセットすることができる変数には、たとえば、アラームフラグ、アラームタイムカウンタ、圧力目標値、圧力限界値、および数学的計算を格納するために使用される内部変数がある。
【0021】
ステップ220において、アルゴリズム150は、メンブレンキーパッドを介して何らかのユーザ入力がないか検査する。ステップ221において、何らかのキー押下がないか検査される。ステップ222において、治療関連パラメータがすべて更新される。たとえば、ユーザは、真空レベル事前設定スイッチ162を押下してもよく、それはステップ221で検出される。そして、ユーザによって選択された新たな目標圧力は、ステップ222において治療パラメータとして格納される。いずれのキーも押下されていない場合、またはいずれかのキー押下に続いて治療パラメータが更新されると、アルゴリズム150はステップ230においてディスプレイを更新する。
【0022】
ステップ230において、メインループ270を通して先のパスで識別された可能性のあるあらゆるアラーム指示を含む、すべてのステータスLEDが更新される。
【0023】
ステップ240において、アルゴリズム150は、真空ポンプ105および107ならびにベントソレノイド120の制御を監視し更新する。ステップ241において、ポンプ105および107ならびにキャニスタ114における実際の圧力が、それぞれ電子真空圧力センサ109および116を介して読み取られる。これらのアナログ読み値は、デジタル化され、メインループ270を通る次のステップで使用されるために格納される。ステップ242において、真空限界値および目標値が、ステップ220において識別された事前に確定された治療パラメータに基づいて選択される。ステップ243において、ポンプがいずれのモードで動作するかに関する判断がなされる。ステップ243において第1モードが選択された場合、アルゴリズム150は、キャニスタ114および被覆材132から空気を除去する時間を最小限にして、最大出力で真空ポンプ105を動作させる。ステップ243において第2モードが選択された場合、アルゴリズム150は、詳細に上述したようにシステム内のいかなる漏れにも遅れずに対応するためだけに十分な気流を提供して、部分出力で真空ポンプ105を動作させる。このモードでは、ポンプ105は、非常に低騒音で動作し、患者を動揺させない。別法として、かつ後により詳細に説明するように、第2モード動作中は、ポンプ105とともに任意のポンプ107を利用することができる。この実施形態では、ポンプ107はポンプ105より小型かつ低騒音であり、気流容量が低い。ポンプ107は、システム漏れまたは他の真空損失を補償するために十分な気流のみを提供するように構成される。
【0024】
ステップ243においてモードが選択されると、アルゴリズム150は、ステップ244において、真空ポンプ105および107をオンまたはオフにする電子制御信号を生成する。さらに、詳細に上述したように、ソレノイドバルブ120は、電源が切れたとき、または真空圧がステップ242において確立された事前設定限界値を超過した場合に、真空圧を外気に排出する。ステップ245において、制御信号が提供され、それらは、実際の圧力、目標圧力および事前設定圧力上限の間の比較に基づく。モード確定、真空ポンプ制御および排出制御はすべて、事前選択された目標圧力レベルとそれぞれステップ241および242において取得された実際の圧力読み値との間の比較に基づく。
【0025】
ステップ240において圧力調整が行われかつ実際の圧力読み値が取得された後、アルゴリズム150は、ステップ250においてアラーム状態を検査する。ステップ251において、圧力センサ109および116からの読み値を分析することによって容易に識別される漏れ情報が識別される。ステップ251において漏れ状態が検出された場合、アルゴリズム150は、3分間待機し、その後、漏れアラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。ステップ252において、キャニスタ満杯状態が検査され、これはこの場合もまた、圧力センサ109および116からの読み値を分析することによって容易に識別される。ステップ252においてキャニスタ満杯状態が検出された場合、アルゴリズム150は、1分間待機し、その後、キャニスタ満杯アラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。ステップ253において、圧力センサ109および116からの読み値が検査されることにより、何らかの内部エラーが存在するか否かが判断される。1つの圧力センサが、圧力読み値、たとえば他のセンサより30mmHg低いかまたは高い値を示した場合、内部エラーが発生している。この場合もまた、ステップ253において内部エラー状態が検出された場合、アルゴリズム150は、2分間待機し、その後、内部エラーアラームのフラグを立て、メインループ270を通る次のパスの間にステップ230においてユーザに警告する。
【0026】
ステップ220、230、240および250の完了後、アルゴリズム150は、ステップ260においてウォッチドッグタイマをリセットする。ウォッチドッグタイマは、予期されないソフトウェアグリッチの場合の安全性機能として提供され、組込みマイクロプロセッサ102内に組み込まれている。制御アルゴリズム150が「ロックアップ」した場合、メインループ270はそれ以上機能しない。メインループ270が機能しなくなると、ハードウェアウォッチドッグタイマはステップ260においてリセットされず、したがってタイムアウトする。ウォッチドッグタイマは、タイムアウトすると、自動的に組込みマイクロプロセッサ102をリセットし、アルゴリズム150は、ステップ210においてすべての変数およびパラメータを再初期化する。再初期化に続き、アルゴリズム150は、メインループ270を介して上述したように再び逐次モジュールを実行する。
【0027】
ここで特に図3を参照すると、真空ポンプ150および107に関連する線形制御回路の一例は、制御入力301を含み、それは、マイクロコントローラ101によって提供されるデジタル信号である。デジタル制御入力301は、上述した第2モードに関連する。デジタル制御入力301がローまたはオフ状態である場合、ダイオード304は、順方向バイアスされ、その後コンデンサ303を放電する。短時間の後、コンデンサ303の前後の圧力はゼロに向かい、コンデンサは実質的に完全に放電される。デジタル制御入力301がそのハイまたはオン状態である場合、ダイオード304は逆方向バイアスされ、回路から有効に取り除かれる。この場合、上記第2モードが起動されると、コンデンサ303と直列である抵抗器302が、コンデンサ303を、両コンポーネントの値によって確定されかつ1/R×Cに比例する速度で充電し始める。およそ1/R×C秒が経過した後、コンデンサ303は完全に充電され、抵抗器302にはそれ以上電流が流れなくなる。コンデンサ303の前後の電圧は、デジタル制御入力301電圧の大きさにおよそ等しくなる。抵抗器302およびコンデンサ303の接合部は、NPN二接合トランジスタ305のベース端子に接続される。トランジスタ305は、たとえばTIP−32Cであってもよい。トランジスタ305は、エミッタフォロワとして構成され、この構成では、電流増幅を提供する。真空ポンプ105および107のプラス端子は、トランジスタ305のエミッタ端子に接続され、トランジスタ305のコレクタ端子は、12ボルト電源307に直接接続される。真空ポンプ105および107の誘導負荷によってもたらされる電源の望ましくない過渡電流を低減するために、さらなるコンデンサ306が提供される。真空ポンプ105および107のマイナス端子およびコンデンサ303のマイナス端子は、共通接地基準点308に接続される。
【0028】
デジタル制御入力301がそのロー状態からハイ状態に遷移する場合、コンデンサ303の前後の電圧は、1/R×C秒後に最大値に達するまで徐々に上昇し始める。トランジスタ305の構成のために、エミッタ端子における電圧上昇は、ベース端子における電圧上昇を反映し、このため、真空ポンプ105および107に供給される電圧もまた、1/R×C秒後に最大値に達するまで徐々に上昇する。ポンプに供給される電圧が上昇する際、ポンプはより高速に動作するようになり、このため、より多くの流出をもたらし真空を増大させる。抵抗器302およびコンデンサ303に対して適当な値を選択することにより、時定数が選択可能であるため、ポンプが速度を上昇させ始める割合を事前に選択することができ、それが、長時間にわたってより低速かつ低騒音の速度での動作を可能にすることができる。ポンプ105および107がそれらの流出を増大させ始めると、システム100における真空が増大する。この増大は、アルゴリズム150によって測定され、アルゴリズム150は、後に、これに応じてデジタル制御入力301の状態を変化させる。詳細に上述したように、目標圧力が再度確立されると、ポンプ105および107は閉鎖される。目標圧力に達した後にデジタル制御入力301がそのハイ状態からロー状態に遷移する際、ダイオード304は、上述したようにコンデンサ303を迅速に放電し、ポンプ105および107に供給される電圧は、有効に除去されてポンプをオフにする。
【0029】
ここで特に図4を参照すると、真空ポンプ105および107に関連するパルス幅変調(PWM)制御回路400の一例は、およそ10%から90%まで変更することができるデューティサイクルを有するように構成される非安定マルチバイブレータ回路401を含む。マルチバイブレータ回路401は、たとえばLM555であってもよく、本明細書ではさらに「タイマ」401と呼ぶ。12ボルト電源417が、タイマ401ならびに真空ポンプ105および107に電力を提供する。電源417と共通接地点414との間に、コンデンサ414が接続される。コンデンサ414は、ポンプ105および107の動作によってもたらされる誘導負荷による過渡電流を電源417から除去するように機能する。本発明の実施形態によっては、真空ポンプ105および107は、3つの端子を有する。すなわち、電源のためのプラス端子およびマイナス端子と、PWM制御入力である第3端子416とである。ポンプ105および107のプラス端子は、電源417に接続する。マイナス端子は、たとえば一般に入手可能でありかつインターナショナル・レクティファイアー(International Rectifer(登録商標))という商標で販売されているIRF510等のMOSFET402のドレインリードに接続する。MOSFET402のソースリードは、共通接地点414に接続する。MOSFET402は、制御入力412に応じて、ポンプ105および107に対する電源をオンおよびオフに切り替える。制御入力412からの信号は、マイクロコントローラ101によって提供され、モード選択信号411とともに作用する。MOSFET402のゲートと共通接地点414との間に抵抗器413が接続され、MOSFET402のゲートに対する接地基準と制御入力412に対する駆動インピーダンスとを提供する。
【0030】
タイマ401は、動作周波数と出力波形のデューティサイクルとを制御するいくつかの周辺コンポーネントを有する。コンデンサ408は、内部電圧基準を安定化し、出力周波数を一定に維持する。ダイオード405および406は、抵抗器403および404を通してコンデンサ407を充電し放電する。抵抗器404およびコンデンサ407は、出力周波数を確定し、可変抵抗器403は、デューティサイクルを確定し、10%から90%まで調整されることが可能である。通常、出力周波数は、10キロヘルツと20キロヘルツとの間であり、これらの周波数が人間の公称聴力範囲を上回る際に切替騒音を最小限にする。タイマ401の出力は、PWM入力416として使用され、デューティサイクルに比例してポンプ105および107のモータ速度を変更する。デューティサイクルが高いことにより、ポンプモータはより高速に動作し、より大きい流出をもたらし、デューティサイクルが低いことにより、ポンプモータは、より低速かつ低層音で動作し、関連して流出量が低減する。
【0031】
上記第1モードまたは上記第2モードの選択を可能にする、第2モードを示すモード選択411からのデジタルモード信号が、ダイオード409を介してコンデンサ407に提供される。モード選択411からのモード選択信号がハイ状態からロー状態に遷移すると、ダイオード409は、順方向バイアスされ、迅速にコンデンサ407を放電する。コンデンサ407がその放電状態にあるとき、タイマ401によって生成されるPWM信号416は強制的にハイとなる。一定のハイPWMは、100%デューティサイクルと等価であり、そのため、ポンプ105および107は、この構成では最大で作動する。モード選択411からのモード選択信号がロー状態からハイ状態に遷移する際、ダイオード409は逆方向バイアスされ、したがって、回路から有効に取り除かれる。そして、タイマ401は、非安定モードで動作し、生成するデューティサイクルPWM信号416が低減する。モード選択入力411と共通接地点414との間に抵抗器410が接続されることにより、マイクロコントローラ101に対する駆動インピーダンスが提供される。
【0032】
制御アルゴリズム150が、システムが初期化しており被覆材を引き下げているとき等、第1モード(引下げ)が必要であると判断すると、モード選択411からのモード選択信号はロー状態になり、制御入力412からの制御入力信号はハイ状態になる。この構成により、真空ポンプ105および107は最大量の流出をもたらす。同様に制御アルゴリズム150が、測定された治療用真空レベルが所定下限未満に低下した場合等、上記第2モード(維持)が必要であると判断すると、モード選択411からのモード選択信号はハイ状態になり、制御入力412からの制御入力信号はハイ状態になる。この構成により、真空ポンプ105および107はより低速で動作するようになり、流出を低減し望ましくない機械的騒音を低減すると同時に、治療用真空を目標レベルに戻す。制御入力412からの制御入力信号がロー状態にある場合、ポンプは使用不能であり、まったく動作しない。これは、コンポーネント故障の場合に安全性機能として作用し、これにより、ポンプ105および107はオン状態でラッチする。
【0033】
ここで特に図5Aを参照すると、治療用創傷洗浄および真空ドレナージを提供する携帯システム500の別の実施形態が示されている。システム500は、ウエストの周囲に装着されるか、または歩行できる患者の場合はポーチで肩に担がれ、歩行できない患者の場合はベッドのフットボードまたはヘッドボードから吊り下げられるように構成された、自立型プラスチックハウジング501を含む。治療用パラメータの調整を可能にし、ユニットをオンおよびオフにするために、メンブレンキーパッドおよびディスプレイ504が提供される。メンブレンスイッチ505を押下することにより、システム500に対する電源がオンとなり、メンブレンスイッチ506を押下することにより、電源がオフになる。メンブレンスイッチ509は、目標治療用圧力を上昇させるように調整し、同様にメンブレンスイッチ510は、目標治療用圧力を低下させるように調整する。本発明の実施形態によっては、システム500は3つの圧力設定、LOW、MEDIUMおよびHIGHを有し、それらは概して、たとえばそれぞれ70mmHg、120mmHgおよび150mmHgに対応する。これら3つの圧力設定は例として提供されるものであるが、創傷タイプの特定用途に対して他の圧力を利用することが可能であるため、それらは限定するものとして意図されていない。メンブレンLED LOW522、MEDIUM523およびHIGH524は、ユニットの現目標治療用設定を示す。LED507は漏れアラームを示し、LED508はキャニスタ満杯アラームを示す。いずれかのアラーム状態が検出されると、これらのLEDは、可聴チャイムとともに発光する。ハウジング501は、標準IVバッグ503を受容し格納するように構成されるコンパートメント502を組み込む。IVバッグ503は、システム500が連続洗浄を提供するために利用する水溶性局所創傷治療流体を収容してもよい。実施形態によっては、創傷治療流体を、コンパートメント502に直接投入してもよい。さらに、IVバッグ503を、装置の外部に結合してもよい。図5Bに示すように、患者のベルトに取り付けるためのベルトクリップ514が提供され、ベルトを着用しない患者に対して任意のウエストストラップまたはショルダーストラップが提供される。
【0034】
図5Cに示すように、滲出物収集キャニスタ511は、真空封止手段517および関連する疎水性フィルタ520(図示せず)と、真空センサポート518および関連する疎水性フィルタ519(図示せず)と、つや消し半透明本体521と、透明目盛り付き測定窓522と、ロック手段523と、多腔配管512と、を備える。収集キャニスタ511は、通常、患者の偶発的な放血を防止するために1000ml未満の容積を有する。真空封止手段517は、ハウジング501に組み込まれる対応する封止手段516と嵌合する。さらに、ロック手段523は、上記ハウジング内に対応する嵌合部品を有する。疎水性フィルタ519および520は、たとえば、ゴアテックス(GoreTex(登録商標))という商標で販売されているものであってもよく、キャニスタ511の中身が不注意に侵入して後に治療装置500の汚染をもたらさないことが確実であるようにされる。真空センサポート518は、マイクロコントローラ101が、被覆材131下の治療用真空圧の代用としてキャニスタ511内の圧力を測定するのを可能にする。多腔配管512は、洗浄流体が被覆材131まで移動するための1つの導管と、真空ドレナージのための別の導管と、を提供する。このように、IVバッグ503、配管512、被覆材131およびキャニスタ511は、閉流体経路を提供する。本実施形態では、キャニスタ511は使い捨てであり、中身を廃棄する前に凝固させることができるゲル化物質で充填されてもよい。ゲル化剤は、たとえばイソライザー(Isolyzer(登録商標))という商標で入手可能である。
【0035】
図5Aに示すように、配管512の終端において、配管を実質的に気密シールでドレープ132に取り付けるために、粘着性被覆材コネクタ515が提供される。被覆材コネクタ515は、貼付前に取り除かれるリリースライナを備えた環状感圧接着リングを有してもよい。実際に使用する際、ドレープ132に小穴530を切り込んでもよく、被覆材コネクタ515はその穴に位置合せして配置される。これにより、洗浄流体が、単一ポートを通って被覆材に入りかつ被覆材から出ることが可能になる。代替実施形態では、管512は、末端において二又に分岐し、2つの被覆材コネクタ515に接続し、それにより、洗浄ポートを、真空ドレナージポートから物理的に分離することができ、これによって、必要に応じて、洗浄流体が強制的に被覆材の全長を通して流れる。
【0036】
ここで図6を参照し、かつ本発明のさらなる実施形態によれば、治療用創傷洗浄および真空ドレナージを提供する被覆材システム600が示されている。被覆材システム600は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、半浸透性カバー132と多孔性基材131との間に位置する柔軟な流体容器601と、を含む。流体容器601は、容器の上面に位置するセルフシール注射器ポート603と、容器の下面に位置する調整ドリップポート602と、を備える。注射器ポート603は、水溶性局所創傷治療流体を投与するための皮下注射器604の差込みを可能にする。これらの水溶性局所流体には、バシトラシンまたはスルファミド・アセテート等の抗生物質、クロルパクチン(Chlorpactin)またはデーキン(Dakins)液等の生理漂白剤、およびラバセプト(Lavasept)またはオクテニセプト(Octenisept)等の消毒剤があり得る。調整ドリップポート602により、容器601内の流体が低速かつ連続的に多孔性基材131内に出て行くことができ、そこで、創傷部位に対して治療効果を与えることができる。単腔ドレナージ管122は、被覆材600を減圧で維持し、かつ洗浄流体および創傷滲出物を含む流体を除去するために十分な真空を提供する。被覆材システム600の利点は、容器601を被覆材に組み込むことができるということであり、このため、外部流体容器および関連配管とコネクタとが不要になり、被覆材が、患者および臨床医に対して同様により使い易くなる。
【0037】
通常の臨床使用において、被覆材600は、多孔性基材131を創傷の周りに適合するように切断することにより、創傷部位に貼付される。次に、一体化した(かつ空の)流体容器601を備えた半浸透性ドレープ132が、ドリップポート602を多孔性基材131の中心に位置決めして取り付けられる。ドレープ132が創傷周囲に適当に封止されると、セルフシール注射器ポート603に適当に準備された皮下注射器604を挿入することができ、その後、流体容器601に、所望の水溶性局所創傷治療溶液を充填することができる。
【0038】
ここで特に図7を参照し、本発明の別の実施形態によれば、治療用創傷洗浄および真空ドレナージのための被覆材システム700が示されている。システム700は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、上記半浸透性カバー132の外側にかつ上位に位置する柔軟な流体容器601と、を含む。流体容器601は、容器の上面に位置するセルフシール注射器ポート603と、容器の下面に位置する調整ドリップポート602と、を備える。さらに、ドレープ132に後に取り付けるために、調整ドリップポート602を包囲する容器601の下面に、環状接着リングが提供される。注射器ポート603は、水溶性局所創傷治療流体を投与するための皮下注射器604の差込みを可能にする。これらの水溶性局所流体には、バシトラシンまたはスルファミド・アセテート等の抗生物質、クロルパクチン(Chlorpactin)またはデーキン(Dakins)液等の生理的漂白剤、およびラバセプト(Lavasept)またはオクテニセプト(Octenisept)等の消毒剤があり得る。調整ドリップポート602により、容器601内の流体が、ドレープ132の穴を通って多孔性基材131内に低速かつ連続的に出て行くことができ、そこで、創傷部位に対して治療効果を与えることができる。単腔ドレナージ管122は、被覆材600を減圧で維持し、かつ洗浄流体および創傷滲出物を含む流体を除去するために十分な真空を提供する。
【0039】
通常の臨床使用において、被覆材700は、多孔性基材131を創傷の周りに適合するように切断することにより、創傷部位に貼付される。次に、半浸透性ドレープ132が、基材131を覆い創傷周囲領域まで及ぶように、創傷部位にわたって貼付される。ドレープ132において、多孔性基材131に対して中心に、およそ1/4インチ径の穴が形成される。最後に、流体容器601が、接着環状リング605により、ドリップポート602をドレープ132に予め切り込まれた穴に位置合せして取り付けられる。流体容器601がドレープ132に適当に封止されると、適当に準備された皮下注射器604がセルフシール注射器ポート603および流体容器601に挿入され、流体容器601には後に、所望の水溶性局所創傷治療溶液が充填される。
【0040】
ここで特に図8を参照すると、本発明の特定用途向け被覆材800の一実施形態が示されている。被覆材800は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材131と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、創傷内に抗生物質作用を提供するための、金属銀810が含浸しかつ多孔性基材131に接着される穿孔織布と、を含む。別法としてかつ図8に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材800と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0041】
流体を、基材131を通して、後に真空ドレナージ配管122または512を通して、創傷床801から妨げなしに除去することができるように、抗生物質銀層810は有窓である。さらに、層810の窓により、創傷床801にわたって減圧を均一に分布させることができ、粒状組織の形成が可能になる。創傷被覆材の一部として創傷に銀を使用することは、アクティコート(Acticoat(商標))およびシルバディーン(Silvadene(商標))等の商標で臨床医には入手可能である。銀は、特に、火傷、胸骨切開、放射性瘻、外傷および複雑骨折に利用することができる。銀は、多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療、臭いの防止、感染発生の低減および全般的な治癒の促進に利用される。本実施形態は、銀の使用を創傷洗浄および真空ドレナージと組み合わせることにより、上述した特定の創傷タイプに対する治療を提供する。抗生物質銀層810を、アージェンタム・メディカル(Argentum Medical)からシルバーイオン(SilverIon(登録商標))という商標で販売されているもの等の銀コーティング織ナイロンから作製してもよい。その材料を、独自の自動触媒型無電解化学(酸化還元)めっき技術を利用して、99.9%純金属銀でコーティングされた織ナイロンから製作することができる。別法として、スミス・アンド・ネフュー(Smith and Nephew)製のアクティコート(ActiCoat(登録商標))フォーム等の不織材料が、高密度ポリエチレン(HDPE)メッシュの3つの層の間に積層された2つのレーヨン/ポリエステル不織インナーコアを使用する。この材料は、シルバーイオン(SilverIon(登録商標))材料と同様に、有窓であってもよく、被覆材800で使用することができる。抗生物質層810は、インモールド接合、接着剤(メタクリル酸メチルベースの結合剤)およびRFまたは超音波溶接を含む、多数の利用可能な技法を使用して、孔性基材131に接合される。
【0042】
被覆材800は、詳細に上述したように創傷に貼付される。被覆材800の作製で使用されたさまざまな材料間に化学的相互作用がある可能性があるため、適合性を確実にするために使用される水溶性局所創傷流体のタイプに対し注意を払ってもよい。
【0043】
ここで、特に図9を参照すると、特定用途向け被覆材900の別の実施形態が示されている。被覆材900は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材910と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、創傷内に治癒の誘引を提供するための、多孔性基材920に接合される生物分解性材料の殺菌多孔性層910と、を含む。生物分解性層910は、実質的に創傷部位内に配置され、創傷床801に密着している。生物分解性層910を、ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)等の無数の材料から作製することができる。別法として、かつ図9に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材900と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0044】
流体を、基材920を通して、後に真空ドレナージ配管122または512を通して、創傷床801から妨げなしに除去することができるように、生物分解性層910は、多孔性であり、基材920に類似する機械的特性を備える。さらに、層910が多孔性であることにより、創傷床801にわたって減圧を均一に分布させることができ、層910内への粒状組織形成が促進される。生物分解性層910は、被覆材が創傷から取り除かれるときに基材920から容易に外れるように、基材920に接合され、それにより、生物分解性層910は適所に残り、組織成長が発生することができる基質を提供する。層910および920を取外し可能に接合する接着剤には、たとえば、硬化シリコーン、ハイドロゲルおよび/またはアクリル樹脂がある。層910の厚さを、通常の創傷に対して1日1mmほどであり得る内部成長が、層910に完全に浸透しないように、かつ取外し可能な基材920に侵入しないように、選択してもよい。別法として、生物分解性層910を、詳細に上述した分離可能結合剤と同種のもので合せて接着されたビードのマトリクスから作製してもよい。
【0045】
被覆材900は、治癒の最終段階で再上皮形成のための基礎を提供するために組織を迅速に充填することが必要な、大きい欠損または空隙を有する創傷タイプに適している。これらの特定用途の創傷には、壊死性筋膜炎、外傷、および何らかの腫瘍処置で発生するような医原性創傷がある。軟組織治療に対処することに加えて、被覆材900を、骨癌の外科治療からもたらされるような大きい骨欠損と、著しい骨喪失が発生する外傷と、を治癒するように構成してもよい。これらのタイプの創傷の場合、生物分解性層910は、欠損内への骨芽細胞の侵入および骨成長を促進する基質としての役割を果たす剛性材料から作製される。上述したように、層910を構成する材料は、被覆材が除去された後に創傷内に残る。
【0046】
被覆材900を、先の実施形態において上述したように貼付してもよく、著しい相違は、被覆材交換中、生物分解性部分、すなわち層910が創傷内に残る、ということだけである。従来の被覆材交換では、通常、異物反応および感染の可能性をなくすために、すべての被覆材材料および残骸が除去されていた。ここでは、先の被覆材の生物分解性層910の上に後の被覆材が貼付され、その中の組織成長が容易になる。粒状組織の適当な基礎が創傷内に形成されると、臨床医は、創傷が完全に治癒するまで、生物分解性被覆材の使用を中断して、代りに上述した他の被覆材材料および構成のうちの1つを用いる。
【0047】
ここで特に図10を参照すると、特定用途向け被覆材1000の一実施形態が示されている。被覆材1000は、ポリウレタンフォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ガーゼ、フェルトまたは他の適当な材料から製作することができる殺菌多孔性基材1030と、エイブリィ・デニソン(Avery Denison(登録商標))という商標で販売されているもの等の半浸透性接着カバー132と、真空をかけかつ創傷部位から流体を除去するための単腔ドレナージ管122と、水溶性局所創傷流体を創傷床801に与えるのを容易にする単腔洗浄管125と、多孔性基材1030に分離可能に接合される生物学的適合性材料の殺菌多孔性層1020と、創傷内の治癒反応を促進するために生物学的適合性材料1020と一体化された自己移植層1010と、を含む。生物学的適合性層1020および自己移植層1010は、創傷床801に密着して自己移植層1010とともに実質的に創傷部位内に配置される。別法として、かつ図10に示すように、創傷洗浄・真空ドレナージシステムが被覆材1000と流体連通することができるように、多管配管512とともに一体型被覆材コネクタ515を使用してもよい。
【0048】
生物学的適合性層1020は、ライフセル社(LifeCell Inc.)からアロダーム(AlloDerm(登録商標))という商標で入手可能な、提供された人間の皮膚組織から製造される無細胞皮膚基質であってもよい。この皮膚基質は、元の生物学的構造を維持しながら組織拒絶反応に至る細胞をすべて除去するように処理されている。患者から取り出された細胞または他の分子を、後にこの基質形成層1010内に播種してもよい。これらの細胞または分子には、限定されないが、繊維芽細胞、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)および他のサイトカインがあり得る。PDGFは、血小板に由来するポリペプチドホルモンであり、繊維芽細胞が拡散してコラーゲンおよびフィブロネクチンを蓄えるのを促進し、それにより創傷回復を開始する。標的細胞が患者から取り出され、生物学的適合性層1020形成層1010内に播種される場合、身体はそれを拒絶しない。層1020の下面に上述した自己移植細胞または分子を播種することに加えて、層1020の上面に、網状移植またはマイクロ移植技法を使用して患者から取り出された、生きた皮膚細胞を播種してもよい。生物学的適合層1020を封入する2つの移植層1010の構成により、瘢痕組織の形成を最小限にし元の構造を維持するように、内在組織再生が可能になる。
【0049】
被覆材1000は、新たに再生される組織が元の組織と同様の細胞組織を有する復元が必要な創傷タイプに対して設計されている。これらの特定用途の創傷には、外科披裂、火傷および糖尿病性潰瘍がある。
【0050】
通常の臨床使用において、まず、ドナー部位から必要な細胞を採取し、処理した後(生理活性成分を取り出すために必要な場合)、細胞またはサイトカインを生物学的適合層1020に播種することにより、患者毎に被覆材1000が用意される。生理活性成分の保管および被覆材1000の無菌化の維持を促進するために、被覆材1000の準備において特別な配慮および取扱いを用いてもよい。被覆材は、患者に対して適当に構成されると、詳細に上述したように貼付される。被覆材が交換されるとき、同様に詳細に上述したような生物分解性被覆材900と非常に類似して、生物学的適合層1020および自己移植層1010は創傷内に残ることになる。
【0051】
ここで図11を参照すると、圧力監視・制御システム1100は、直流(D.C.)電源1101(たとえば12ボルト)と、ダイアフラムタイプD.C.真空ポンプ1102と、電子切替制御素子1104と、ポンプモータ電流引込みの指示を提供する分路抵抗器1105と、戻り経路接点1103と、を備える。システム1100はまた、アナログ増幅器1106、A/D変換器1107およびCPU1108も含む。CPU1108は、圧力信号1109を取得しかつ格納し、事前設定圧力レベルを維持するようにポンプモータ1102をオンおよびオフにする制御信号1110を提供する。
【0052】
制御素子1104は、たとえば、ジーテックス(ZETEX)という商標で入手可能なZVN−4306A等、電界効果トランジスタ(FET)スイッチ等であってもよい。このデバイスは、制御素子1104のゲート端子に接続する制御信号1110に応じてポンプモータ1102をオンおよびオフにする。制御素子1104がオンになると、電流はポンプモータ1102内を流れはじめる。この電流は、ポンプモータ1102が治療ユニットの必要な陰圧設定に関して実行している作業の量に関連する。真空レベルが上昇すると、ポンプモータ1102が実行している作業の量も増大し、必要な電流引込みが増大する。
【0053】
ここで図12を参照すると、ポンプモータ電流、ポンプ気流および真空レベルの関係のグラフィカル表現、すなわちポンプモータ電流曲線1111が、2つの基準点1112および1113とともに示されている。基準点1112は、真空圧が0inHg(0mmHg)であるときの電流量を表し、基準点1113は、真空圧が4.72inHg(120mmHg)であるときの電流量を表す。ポンプモータ電流曲線1111は、その範囲全体にわたって非線形であるが、通常の治療範囲を表す点1112と点1113との間では比較的線形である。この範囲内では、曲線1111は「区分的線形」であると考えられ、生成される真空圧とそれを生成するために必要なポンプモータ電流との間に直接的な関係がある。この場合、ハーグレイブス・テクニカル・コーポレイション(Hargraves Technical Corp.)から入手可能なこの特定の真空ポンプの場合、0mmHgでの電流引込み(たとえばポンプが最初にオンとされるとき)は、1150ミリアンペアである。真空圧が4.72inHg(120mmHg)に達すると、電流引込みはおよそ224ミリアンペアである。これら2つの圧力レベルの間で、真空ポンプモータ1102の電流引込みは、150ミリアンペアと224ミリアンペアとの間で線形に変化する。このため、この電流測定値は、実際の真空ポンプ圧力の代用としての役割を果たし、システムの治療用圧力を確定するために圧力センサの代りに使用されることが可能である。
【0054】
再び図11を参照すると、FET1104および真空ポンプモータ1102と直列に分路抵抗器1105が提供されることにより、ポンプモータ1102電流引込みが電圧に変換される。抵抗器1105は、通常0.1オームと1オームとの間の任意の所望の値であってもよく、既製タイプであってもよい。オームの法則により、抵抗器の前後の電圧は、抵抗器を流れる電流に抵抗を乗算した値に等しい。この場合、抵抗器1105の抵抗は1オームである。このため、抵抗器1105を1アンペアが流れる場合、結果としての抵抗器1105前後の電圧は、1ボルトになる。同様に、抵抗器1105を流れる150ミリアンペアの電流により、その前後に150ミリボルトがもたらされ、224ミリアンペアの電流により、224ミリボルトがもたらされる。増幅器1106が提供されることにより、抵抗器1105前後の電圧が、デジタル変換および分析のためにより適したレベルまで拡大される。この場合、10の利得により、抵抗器1105からの電圧信号は1.5ボルトから2.24ボルトまで振れる。1.5ボルト出力は、150ミリアンペアの真空ポンプモータ電流引込みに対応し(0mmHg)、2.24ボルト出力は、224ミリアンペアの真空ポンプモータ電流引込みに対応する(120mmHg)。このため、システムの圧力レベルを、増幅器1106の出力信号と圧力との線形関係によって確認することができる。A/D変換器1107は圧力信号をデジタル化し、このデジタル表現をCPU1108に伝送する。既製で入手可能な多くのCPUでは、A/D変換器はCPUの一体部分であり、外部コンポーネントを用いて実装される必要はない。
【0055】
CPU1108において、圧力信号1109を分析しそこから制御出力信号1110を提供する、1つまたは複数の制御アルゴリズムを実装することができる。制御方法の単純な一例は、信号入力1109を測定することと、それを2.24等の所定レベルと比較することと、を含んでもよい。信号1109が2.24より低い場合、出力信号1110はハイ論理状態に切り替わり、FET1104およびポンプモータ1102をオンにする。システム内の真空が増大するに従い、ポンプモータ1102からの電流引込みが増大し、信号入力1109が増大する。信号1109が2.24に達すると(120mmHgを示す)、出力信号1110はロー論理レベルに切り替わり、FET1104およびポンプモータ1102をオフにする。このため、この単純な制御方法により、システム内の圧力を120mmHgに維持することができる。所定の所望真空レベルを、比較閾値を必要な治療用陰圧を表す値に変更することにより、容易に選択することができる。
【0056】
ここで図13を参照すると、安価であり、調整可能である、低ヒステリシス真空スイッチ1200は、直流(D.C.)電源1101、ダイアフラムタイプD.C.真空ポンプ1102、磁気リードスイッチ1209および戻り経路接点1103を備える。システム1200はまた、事前設定圧力レベルを維持する必要に応じてポンプモータ1102をオンおよびオフにするために、気密円柱状ハウジング1204、ホースバーブ1205、ダイアフラム1206、希土類磁石1207および調整可能ブラケット1208を含む。
【0057】
スイッチ1209は磁気リード設計であり、通常開放しており、十分な強度の磁界に晒されると閉鎖する(接触する)。磁気リードスイッチ1209は、回路を完成しポンプモータ1102の動作を調整するワイヤ1210を介して、ポンプモータ1102および戻り経路接点1103と直列に挿入される。スイッチ1209は、図11に示しかつさらに上述したようにFETスイッチ1104と同様に機能し、システム1200の制御素子である。磁石1207が提供されることにより、スイッチ1209を作動させるとともに、スイッチ1209に対する「開閉」閾値を設定するように調整可能ブラケット1208を作動させる。磁石1207は、可撓性ダイアフラム1206にさらに一体的に取り付けられ、可撓性ダイアフラム1206は、気密円柱状ハウジング1204に同様に封止される。ホースバーブ1205が提供されることにより、円柱状ハウジング1204への真空の連通が容易になる。円柱状ハウジング1204内で真空圧が変更されると、可撓性ダイアフラム1206はその形状を凹状に変化させる。ポリウレタン(PU)およびポリエチレン(PE)等のポリマから製作することができるダイアフラム1206の弾性特性により、ダイアフラムの凹面と円柱状ハウジング1204の真空レベルとの間に線形関係が存在する。ダイアフラム1206の中心に取り付けられる磁石1207は、ダイアフラム1206の凹面に関連して垂直面において上下に移動する。ブラケット1208はハウジング1204に調整可能に取り付けられ、スイッチ1209はブラケット1208に取外し可能に取り付けられる。ブラケット1208の主な機能は、磁気リードスイッチ1209を磁石1207に対して固定位置に保持することである。
【0058】
容器内の圧力が0mmHgである場合のように、円柱状ハウジング1204内の圧力が所定治療用レベル(たとえば120mmHg)を下回る場合、ダイアフラム1206は最小限に凹状であり、磁石1207と磁気リードスイッチ1209との間の距離は比較的近い。この時点で、スイッチ1209が閉鎖して回路に通電し、それにより、真空ポンプモータ1102がオンとなる。真空ポンプ1102は、その後、円柱状ハウジング1204内の圧力を低減し、それによりダイアフラム1206はより凹状になる。ダイアフラム1206がより凹状となると、磁石1207は磁気リードスイッチ1209から離れるように移動する。ブラケット1208を移動させることによって調整可能な臨界設定点で、スイッチ1209は開放し、真空ポンプモータ1102がオフとなる。この「ターンオフ」点は、治療システムの所望の圧力動作点に対応する。システムが徐々に漏れ、空気がシステム内に戻って真空が低減すると、サイクルは繰り返し、そのため所望の治療用真空レベルが維持される。このレベルは、所望の結果をもたらすようにブラケット1208を調整することによって事前に確定され事前設定される。
【0059】
上述した実施形態は、例として示すものであり、限定するものではない。実施形態に対して明らかな変更、派生および変形を行うことができる、ということは容易に明らかとなろう。たとえば、ダイアフラムかまたはピストンタイプのいずれかとして上述した真空ポンプ1105および1107は、シリンジベースシステム、ベローズまたはさらには振動リニアポンプのうちの1つであってもよい。同様に、マルチモーダルとして上述した真空制御アルゴリズムは、他の多くのアルゴリズムのうちの1つであってもよい。同様に、被覆材の構成要素に対する生物分解性物質としてPLGAを使用することは、移植可能医療デバイスに対して一般に使用される多くの異なるタイプの生物分解性材料のうちの1つであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態の概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による方法のフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による維持モード制御回路の図である。
【図4】本発明の別の実施形態による維持モード制御回路の図である。
【図5A】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図5B】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図5C】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による装置の図である。
【図6】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による第2装置の図である。
【図7】携帯可能な創傷洗浄および真空ドレナージを提供する本発明の一実施形態による第3装置の図である。
【図8】被覆材基材と創傷との間に抗生物質銀メッシュを組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図9】被覆材に生物分解性材料を組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図10】被覆材に生物活性材料を組み込んだ本発明の一実施形態による特定用途向け被覆材の図である。
【図11】本発明の一実施形態による医療装置における所望の事前設定真空レベルを維持する方法および制御システムの概略図である。
【図12】図11に示すシステムのポンプモータ電流、ポンプ気流および真空レベルの間の関係のグラフィカル表現の一例である。
【図13】本発明の一実施形態による制御システムスイッチの概略表現である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体浸透性被覆材と、
前記流体浸透性被覆材の上に延在するように構成されたカバー膜と、
前記流体浸透性被覆材に結合された管であって、前記流体浸透性被覆材を通して吸引を施すように構成された管と、
前記カバー膜に結合された流体容器であって、流体を受容するように構成された入口ポートと、前記流体浸透性被覆材に流体的に結合された出口ポートと、を含む流体容器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記流体容器が、熱溶接、高周波(RF)溶接または接着剤のうちの少なくとも1つを用いて前記カバー膜に直接結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体容器が、前記カバー膜の外面かまたは前記カバー膜の内面のうちの少なくとも一方に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体容器の前記入口ポートがセルフシール注射器ポートである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体容器の前記出口ポートが調整ドリップポートである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流体容器が、前記流体浸透性被覆材と前記カバー膜との間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記入口ポートが、前記出口ポートから6インチ未満で間隔が空けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ハウジングと、
前記ハウジングに結合された制御パネルと、
前記ハウジング内に画定された流体貯蔵器と、
前記ハウジングに結合された収集容器と、
前記流体貯蔵器と前記収集容器との間に流体的に結合された創傷被覆材であって、多孔性基材を含む、創傷被覆材と、
を備える、装置。
【請求項9】
前記ハウジングに結合された真空ポンプをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記流体貯蔵器に流体的に結合された第1腔と、前記収集容器に流体的に結合された第2腔と、を有する管をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記収集容器が、前記ハウジングに取外し可能に結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
多孔性基材と、
前記多孔性基材に結合された半浸透性カバーと、
前記多孔性基材に隣接して結合された第1管であって、真空源に結合されるように構成された第1管と、
前記多孔性基材に隣接して結合された第2管であって、液体供給源に結合されるように構成された第2管と、
前記多孔性基材の表面にかつそれに隣接して結合された治療用材料であって、銀含浸材料、生物分解性材料または生物学的適合性材料のうちの少なくとも1つである、治療用材料と、
を備える、創傷被覆材。
【請求項13】
前記治療用材料が、実質的に純金属銀でコーティングされた織ナイロンである、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項14】
前記治療用材料がポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
前記治療用材料が無細胞皮膚基質である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項16】
前記治療用材料が自己移植片である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項17】
プロセッサに対しプロセスを実行させる命令を表すコードを格納するプロセッサ可読媒体であって、前記コードが、
多孔性基材およびカバー膜を有する創傷被覆材に結合された真空ポンプの選択された圧力レベルに関連するパラメータ信号を受け取るコードと、
前記創傷被覆材に結合されたセンサから圧力信号を受け取るコードであって、前記圧力信号が前記創傷被覆材内の圧力に関連する、コードと、
前記真空ポンプを第1モードから第2モードに変更するように動作可能な制御信号を出力するコードであって、前記第1モードが真空圧に関連し、前記第2モードが、前記第1モードに関連する前記真空圧より低い真空圧に関連し、前記制御信号が前記パラメータ信号および前記圧力信号に基づく、コードと、
を含む、プロセッサ可読媒体。
【請求項18】
前記制御信号が、前記創傷被覆材内の前記圧力が所定閾値に達するまで前記真空ポンプを前記第1モードで制御するように動作可能である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項19】
前記制御信号が、前記創傷被覆材内で定常圧力を維持するように前記真空ポンプを前記第2モードで制御するように動作可能である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項20】
前記真空ポンプが第1真空ポンプであり、制御信号を出力する前記コードが、前記創傷被覆材に結合された第2真空ポンプを作動させるように動作可能であり、前記第2モードが前記第2真空ポンプに関連する、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項21】
前記コードが、
前記センサから受け取られるデータ値が所定閾値を下回るときにアラーム状態信号を生成するコードをさらに含む、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項22】
前記真空ポンプが、前記第1モードより前記第2モードでより低騒音である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項23】
真空源に結合されるように構成された圧力ハウジングと、
前記圧力ハウジングに封止結合されたダイアフラムであって、前記真空源に応じて移動するように構成されたダイアフラムと、
前記ダイアフラムに結合された磁石と、
前記磁石と反対側に配置された磁気スイッチであって、前記磁石が前記磁気スイッチから所定距離にあるときに前記磁石から作動されるように構成され、前記真空源を選択的に作動するように構成された磁気スイッチと、
を備える、装置。
【請求項24】
前記磁気スイッチに結合されたブラケットであって、前記磁石と前記磁気スイッチとの間の前記所定距離を変更するように調整されるように構成されたブラケットをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
創傷被覆材と、
前記創傷被覆材に結合された真空源であって、前記創傷被覆材が創傷に陰圧を加えるように構成される、真空源と、
をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記ダイアフラムが、前記圧力ハウジング内の前記圧力が低減する際に前記磁気スイッチから離れる方向に移動するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記磁石と前記磁気スイッチとの間の前記所定距離が、創傷被覆材内の事前定義された陰圧に対応する、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記磁石が希土類磁石である、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記磁気スイッチが、所定強度の磁界に晒された場合に閉鎖するように構成された磁気リードスイッチである、請求項23に記載の装置。
【請求項30】
電源と、
前記電源に結合された真空ポンプであって、創傷被覆材に結合されるように構成された真空ポンプと、
前記真空ポンプに結合された制御素子と、
前記制御素子に結合されかつ前記真空ポンプに関連する電流引込みの指示を提供するように構成された分路抵抗器と、
前記制御素子に結合されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項31】
前記真空ポンプ電流引込みに基づいて圧力信号を出力するように構成された増幅器と、
前記圧力信号をデジタル化し前記デジタル化圧力信号を前記プロセッサに出力するように構成されたアナログ・デジタル変換器と、
をさらに備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記電子切替制御素子が電界効果トランジスタである、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記真空ポンプ電流引込みが、前記真空ポンプに関連しかつ圧力レベルの所定範囲内に維持される圧力に相関する、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記分路抵抗器が、前記制御素子と直列に結合され、前記真空ポンプが、前記真空ポンプ電流引込みに基づいて電圧信号を生成する、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
前記プロセッサが、前記真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号を所定閾値と比較するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
前記プロセッサが、前記真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号と所定閾値との比較に基づいて、前記制御素子に作動信号を出力するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項37】
前記真空ポンプに関連する前記電流引込みが、システム圧力に対する代用である、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
携帯型ハウジングと、
前記携帯型ハウジング内に結合された真空ポンプと、
前記携帯型ハウジング外部から少なくとも部分的にアクセス可能な前記真空ポンプに動作的に結合された制御パネルと、
前記携帯型ハウジング内に画定された流体貯蔵器と、
前記携帯型ハウジングに結合された収集容器と、
前記流体貯蔵器と前記収集容器との間に流体的に結合された創傷被覆材と、
を備える、装置。
【請求項39】
前記収集容器が、前記携帯型ハウジングに取外し可能に結合される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記真空ポンプが、前記創傷被覆材内に陰圧を加えるように構成される、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号のデジタル表現を受け取るステップと、
前記圧力信号の前記デジタル表現を所定値と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記真空ポンプを制御するように構成された制御素子に制御信号を出力するステップであって、前記制御信号が、治療用創傷被覆材内の所望の圧力レベルを維持するように前記真空ポンプをオンにするかまたはオフにするように動作可能であるステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記圧力レベルが0inHgと5inHgとの間である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記制御信号が、前記圧力信号の前記デジタル表現が前記所定値を下回る場合に、前記真空ポンプをオンにするように動作可能である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記真空ポンプ電流引込みが、前記圧力レベルに対する代用である、請求項41に記載の方法。
【請求項1】
流体浸透性被覆材と、
前記流体浸透性被覆材の上に延在するように構成されたカバー膜と、
前記流体浸透性被覆材に結合された管であって、前記流体浸透性被覆材を通して吸引を施すように構成された管と、
前記カバー膜に結合された流体容器であって、流体を受容するように構成された入口ポートと、前記流体浸透性被覆材に流体的に結合された出口ポートと、を含む流体容器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記流体容器が、熱溶接、高周波(RF)溶接または接着剤のうちの少なくとも1つを用いて前記カバー膜に直接結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体容器が、前記カバー膜の外面かまたは前記カバー膜の内面のうちの少なくとも一方に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記流体容器の前記入口ポートがセルフシール注射器ポートである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体容器の前記出口ポートが調整ドリップポートである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流体容器が、前記流体浸透性被覆材と前記カバー膜との間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記入口ポートが、前記出口ポートから6インチ未満で間隔が空けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ハウジングと、
前記ハウジングに結合された制御パネルと、
前記ハウジング内に画定された流体貯蔵器と、
前記ハウジングに結合された収集容器と、
前記流体貯蔵器と前記収集容器との間に流体的に結合された創傷被覆材であって、多孔性基材を含む、創傷被覆材と、
を備える、装置。
【請求項9】
前記ハウジングに結合された真空ポンプをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記流体貯蔵器に流体的に結合された第1腔と、前記収集容器に流体的に結合された第2腔と、を有する管をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記収集容器が、前記ハウジングに取外し可能に結合される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
多孔性基材と、
前記多孔性基材に結合された半浸透性カバーと、
前記多孔性基材に隣接して結合された第1管であって、真空源に結合されるように構成された第1管と、
前記多孔性基材に隣接して結合された第2管であって、液体供給源に結合されるように構成された第2管と、
前記多孔性基材の表面にかつそれに隣接して結合された治療用材料であって、銀含浸材料、生物分解性材料または生物学的適合性材料のうちの少なくとも1つである、治療用材料と、
を備える、創傷被覆材。
【請求項13】
前記治療用材料が、実質的に純金属銀でコーティングされた織ナイロンである、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項14】
前記治療用材料がポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
前記治療用材料が無細胞皮膚基質である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項16】
前記治療用材料が自己移植片である、請求項12に記載の創傷被覆材。
【請求項17】
プロセッサに対しプロセスを実行させる命令を表すコードを格納するプロセッサ可読媒体であって、前記コードが、
多孔性基材およびカバー膜を有する創傷被覆材に結合された真空ポンプの選択された圧力レベルに関連するパラメータ信号を受け取るコードと、
前記創傷被覆材に結合されたセンサから圧力信号を受け取るコードであって、前記圧力信号が前記創傷被覆材内の圧力に関連する、コードと、
前記真空ポンプを第1モードから第2モードに変更するように動作可能な制御信号を出力するコードであって、前記第1モードが真空圧に関連し、前記第2モードが、前記第1モードに関連する前記真空圧より低い真空圧に関連し、前記制御信号が前記パラメータ信号および前記圧力信号に基づく、コードと、
を含む、プロセッサ可読媒体。
【請求項18】
前記制御信号が、前記創傷被覆材内の前記圧力が所定閾値に達するまで前記真空ポンプを前記第1モードで制御するように動作可能である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項19】
前記制御信号が、前記創傷被覆材内で定常圧力を維持するように前記真空ポンプを前記第2モードで制御するように動作可能である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項20】
前記真空ポンプが第1真空ポンプであり、制御信号を出力する前記コードが、前記創傷被覆材に結合された第2真空ポンプを作動させるように動作可能であり、前記第2モードが前記第2真空ポンプに関連する、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項21】
前記コードが、
前記センサから受け取られるデータ値が所定閾値を下回るときにアラーム状態信号を生成するコードをさらに含む、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項22】
前記真空ポンプが、前記第1モードより前記第2モードでより低騒音である、請求項17に記載のプロセッサ可読媒体。
【請求項23】
真空源に結合されるように構成された圧力ハウジングと、
前記圧力ハウジングに封止結合されたダイアフラムであって、前記真空源に応じて移動するように構成されたダイアフラムと、
前記ダイアフラムに結合された磁石と、
前記磁石と反対側に配置された磁気スイッチであって、前記磁石が前記磁気スイッチから所定距離にあるときに前記磁石から作動されるように構成され、前記真空源を選択的に作動するように構成された磁気スイッチと、
を備える、装置。
【請求項24】
前記磁気スイッチに結合されたブラケットであって、前記磁石と前記磁気スイッチとの間の前記所定距離を変更するように調整されるように構成されたブラケットをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
創傷被覆材と、
前記創傷被覆材に結合された真空源であって、前記創傷被覆材が創傷に陰圧を加えるように構成される、真空源と、
をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記ダイアフラムが、前記圧力ハウジング内の前記圧力が低減する際に前記磁気スイッチから離れる方向に移動するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記磁石と前記磁気スイッチとの間の前記所定距離が、創傷被覆材内の事前定義された陰圧に対応する、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記磁石が希土類磁石である、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記磁気スイッチが、所定強度の磁界に晒された場合に閉鎖するように構成された磁気リードスイッチである、請求項23に記載の装置。
【請求項30】
電源と、
前記電源に結合された真空ポンプであって、創傷被覆材に結合されるように構成された真空ポンプと、
前記真空ポンプに結合された制御素子と、
前記制御素子に結合されかつ前記真空ポンプに関連する電流引込みの指示を提供するように構成された分路抵抗器と、
前記制御素子に結合されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項31】
前記真空ポンプ電流引込みに基づいて圧力信号を出力するように構成された増幅器と、
前記圧力信号をデジタル化し前記デジタル化圧力信号を前記プロセッサに出力するように構成されたアナログ・デジタル変換器と、
をさらに備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記電子切替制御素子が電界効果トランジスタである、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記真空ポンプ電流引込みが、前記真空ポンプに関連しかつ圧力レベルの所定範囲内に維持される圧力に相関する、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記分路抵抗器が、前記制御素子と直列に結合され、前記真空ポンプが、前記真空ポンプ電流引込みに基づいて電圧信号を生成する、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
前記プロセッサが、前記真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号を所定閾値と比較するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
前記プロセッサが、前記真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号と所定閾値との比較に基づいて、前記制御素子に作動信号を出力するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項37】
前記真空ポンプに関連する前記電流引込みが、システム圧力に対する代用である、請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
携帯型ハウジングと、
前記携帯型ハウジング内に結合された真空ポンプと、
前記携帯型ハウジング外部から少なくとも部分的にアクセス可能な前記真空ポンプに動作的に結合された制御パネルと、
前記携帯型ハウジング内に画定された流体貯蔵器と、
前記携帯型ハウジングに結合された収集容器と、
前記流体貯蔵器と前記収集容器との間に流体的に結合された創傷被覆材と、
を備える、装置。
【請求項39】
前記収集容器が、前記携帯型ハウジングに取外し可能に結合される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記真空ポンプが、前記創傷被覆材内に陰圧を加えるように構成される、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
真空ポンプ電流引込みに関連する圧力信号のデジタル表現を受け取るステップと、
前記圧力信号の前記デジタル表現を所定値と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記真空ポンプを制御するように構成された制御素子に制御信号を出力するステップであって、前記制御信号が、治療用創傷被覆材内の所望の圧力レベルを維持するように前記真空ポンプをオンにするかまたはオフにするように動作可能であるステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記圧力レベルが0inHgと5inHgとの間である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記制御信号が、前記圧力信号の前記デジタル表現が前記所定値を下回る場合に、前記真空ポンプをオンにするように動作可能である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記真空ポンプ電流引込みが、前記圧力レベルに対する代用である、請求項41に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−504246(P2009−504246A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526038(P2008−526038)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/028738
【国際公開番号】WO2007/019038
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(308021383)イノベーティブ セラピーズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/028738
【国際公開番号】WO2007/019038
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(308021383)イノベーティブ セラピーズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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