説明

創傷被覆材

【課題】滲出液の吸収能力が高く、透明性に優れ、良好な力学物性を有し、また形状自由性及び患部への装着性能に優れると共に、優れた創傷治癒効果を有する創傷被覆材を提供すること。
【解決手段】水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを創傷被覆材として使用することにより、滲出液の吸収能力が高く、透明性に優れ、良好な力学物性、形状自由性及び優れた患部への装着性能を示すと共に、高い創傷治癒効果を有する創傷被覆材を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱傷、擦過傷や褥瘡などの外傷による創傷を治療する際には、創傷面をガーゼで被覆する方法が一般的になされていたが、最近になって、滲出液を吸収し、創傷面を湿潤状態で保護することが外傷の治療において効果的であることが知られるようになった(非特許文献1参照)。
これを受けて、近年、創傷面を湿潤状態で保護できる創傷被覆材の開発が広くなされており、例えば、アルギン酸に代表される天然の親水性高分子、ハイドロコロイドと呼ばれる吸水性の合成樹脂、多孔質ポリウレタン等をフィルム状にした創傷被覆材が開発されている。
【0003】
これらの創傷被覆材は、創傷面を湿潤状態で保護することができると共に、滲出液の吸収能力がガーゼに比して高いためより長い期間、創傷面に貼り続けることが可能となったが、これら創傷被覆材素材の透明性は低く、創傷面の治癒程度を観察するには、創傷被覆材を一度剥離して観察しなくてはならない問題があった。また、アルギン酸の創傷被覆材では滲出液の吸収能力が十分ではないこと、ハイドロコロイドの創傷被覆材では滲出液を吸収後に形状がふくらみ不安定となること、ポリウレタンの創傷被覆材では弾性が高すぎて、凹凸のある創傷面と完全に接着させることが困難であること等の問題があった。
【0004】
さらに最近になって、ヒドロゲル状の創傷被覆材が提案されている(特許文献1参照)。これは含水ポリマーを電子線によって架橋させているものであり、得られたヒドロゲルは透明性の非常に高いものが得られるが、ポリマー同士が共有結合によって架橋しており、吸水能力が低い、また非常に脆いという物性面の問題があり、さらに脆さを解決するために、ポリマーフィルムと一体化させると、弾性の高い創傷被覆材となり、曲面のある創傷面や、凹凸のある創傷面には使用できないという問題があった。
【0005】
一方、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目を有する高分子ヒドロゲルが開示されている(特許文献2参照)。該高分子ヒドロゲルは、優れた吸水性や極めて高い伸張性などの特徴を有するものであるが(特許文献3及び4参照)、創傷被覆材としての有用性は知られていなかった。
【特許文献1】特開2000−210375号公報
【特許文献2】特開2002−53629号公報
【特許文献3】特開2005−182号公報
【特許文献4】特開2005−110604号公報
【非特許文献1】夏井睦、「これからの創傷治療」、医学書院、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、滲出液の吸収能力が高く、透明性に優れ、良好な力学物性を有し、また形状自由性及び患部への装着性能に優れると共に、優れた創傷治癒効果を有する創傷被覆材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを創傷被覆材として使用することにより、滲出液の吸収能力が高く、透明性に優れ、良好な力学物性、形状自由性及び優れた患部への装着性能を示すと共に、高い創傷治癒効果を有する創傷被覆材を実現できる。
即ち本発明は、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目を有する高分子ヒドロゲルからなることを特徴とする創傷被覆材を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の創傷被覆材は、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを用いることにより、滲出液の吸収能力が高く、滲出液を吸収後も形状が安定に保持されるために、長期間にわたって創傷面に継続して使用することが可能となる。また、本発明の高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材は透明性が非常に高く、創傷面に創傷被覆材を貼り付けたままの状態で、治癒程度を観察することが可能となる。
また、本発明の高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材は、柔軟性に優れ、凹凸のある創傷面への適用が可能であり、特に関節や、運動により振動・衝撃の負担がかかる位置への適用も可能である。更に、本発明の高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材は優れた創傷治癒効果を発現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の創傷被覆材は、水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルからなる。
本発明に用いる高分子ヒドロゲルは、水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲル(以下、該三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルを単に高分子ヒドロゲルと略記する。)である。
【0010】
本発明に用いる水溶性有機モノマーは、水に溶解する性質を有し、水に均一分散可能な水膨潤性の粘土鉱物と相互作用を有するものであればよく、例えば、粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有するものが好ましい。これらの官能基を有する水溶性有機モノマーとしては、具体的には、アミド基、アミノ基、エステル基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機モノマーが挙げられ、なかでもアミド基やエステル基を有する水溶性有機モノマーが好ましく、特にアミド基を有するものは最も好ましい。
【0011】
アミド基を有する重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーの具体例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、または、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類が挙げられる。ここでアルキル基としては炭素数が1〜4のものが特に好ましく選択される。またエステル基を有する重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーの具体例としては、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレートなどがあげられる。
本発明における水溶性有機モノマーの重合体は、水溶性または水分散性を有する親水性(両親媒性を含む)のものが好ましく用いられる。
【0012】
かかる水溶性有機モノマーの重合体としては、例えば、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリロイルモルフォリン)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メトキシエチルアクリレート)、ポリ(エトキシエチルアクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(エトキシエチルメタクリレート)が例示される。
【0013】
また、水溶性有機モノマーの重合体としては、以上のような単一の重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーからの重合体の他、これらから選ばれる複数の異なる重合性不飽和基含有水溶性有機モノマーを重合して得られる共重合体を用いることも有効である。また上記水溶性有機モノマーとそれ以外の有機溶媒可溶性重合性不飽和基含有有機モノマーとの共重合体も、得られた重合体が高分子ヒドロゲルを形成出来るものであれば使用することができる。
【0014】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルに用いられる粘土鉱物は、水又は水溶液中で層間が膨潤する性質を有することが必要である。より好ましくは少なくとも一部が水中で層状に剥離して分散できるものであり、更に好ましくは水中で1ないし10層以内の厚みに、特に好ましくは水中で1ないし3層以内の厚みに層状に剥離して均一分散できる層状粘土鉱物である。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などを用いることができ、具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母が挙げられる。
【0015】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルを構成する水溶性有機モノマーと粘土鉱物との比率は、用いる水溶性有機モノマーや粘土鉱物の種類により適宜選択されるが、溶媒の中で両者が三次元網目を形成する範囲が好ましく、膨潤性粘土鉱物/水溶性有機モノマーの重合体の質量比として好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.03〜3、特に好ましくは0.1〜1.5である。かかる質量比の範囲であれば、調製が容易であり、高延伸性を保ったまま、広い範囲において制御された弾性率(柔らかさ)および高強度が得られる。
【0016】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルは、水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有することから、1kPa以上の引っ張り弾性率、20kPa以上の引っ張り強度、および50%以上の破断伸びといった優れた物性を実現できる柔軟且つ強靭な材料であり、好ましくは、引っ張り弾性率が5kPa以上、引っ張り強度が50kPa以上、破断伸びが50%以上、さらに好ましくは引っ張り弾性率が10kPa以上、引っ張り強度が80kPa以上、破断伸びが100%以上の物性を有する。特に好ましくは、引っ張り弾性率が10kPa以上、引っ張り強度が80kPa以上、破断伸びが300%以上である。また、これら物性に特に上限は制限されないが、様々な変形が想定されるような用途においては、十分な柔らかさを有する、100kPa以下の引っ張り弾性率のものが特に好適である。
【0017】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルは、他の力学的変形に対しても良好な機械特性を示し、例えば大きな圧縮、引っ張り又は曲げ変形に対しても優れた強靱性を有する。具体的には、本発明での高分子ヒドロゲルには、元の高分子ヒドロゲルに比べて厚み方向で1/3以下の厚みに圧縮変形されても、その形状が破壊されない高分子ヒドロゲルや、又は長さ中心点で100度以上の角度に曲げ変形されても、その形状が破壊されない高分子ヒドロゲルが好ましく用いられる。
【0018】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルは、透明性の高いものが得られる。透明性の程度は水溶性有機モノマーの重合体に対する水膨潤性粘土鉱物の量比や、水の含有率などにより異なる。その程度は、創傷面の観察が十分に出来れば特に規定されないが、好ましくは、該高分子ヒドロゲルの厚さが2mmであるときに、厚さ方向への波長600nmの可視光に対する透過率が70%以上であるものが用いられ、より好ましくは80%以上のものが、特に好ましくは90%以上のものが用いられる。波長600nmの可視光に対する透過率が80%以上であると、創傷面の細かい部分までの観察が容易となるため好ましい。
【0019】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルには、溶媒として水以外にも水と混和する有機溶媒との混合溶媒を含んでいるものも含まれる。
本発明において高分子ヒドロゲルに含まれる水又は溶媒の量は、目的に応じて設定され一概には規定されないが、好ましくは高分子ヒドロゲル中の有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する水又は溶媒の質量比が50以下のものが用いられ、さらに好ましくは0.1〜30のものが用いられる。
【0020】
本発明の高分子ヒドロゲルは、該高分子ヒドロゲルを生理食塩水中に長時間保持した場合の、該高分子ヒドロゲル中の有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する、高分子ヒドロゲル中の溶媒(水を含む)及び生理食塩水の合計の質量比の平衡値(平衡膨潤率)は、温度や、pHなどの環境条件によって異なるが、例えば20℃の生理食塩水中に長時間浸漬した場合、好ましくは10以上となるものが用いられ、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上のものが用いられる。
【0021】
該高分子ヒドロゲルに含まれる有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する水又は溶媒及び生理食塩水の合計の質量比が10以上であると、該高分子ヒドロゲルが創傷被覆材として、創傷面から十分に滲出液を吸収することが可能となり、長期間連続して用いることが出来るため好ましい。また、該質量比の上限は特に制限されないが、平衡膨潤時の形状を安定に保てることから、300以下が好ましい。
【0022】
本発明に用いる高分子ヒドロゲルの製造方法は、水溶性有機モノマーを粘土鉱物共存下での重合反応によって行われる。重合反応は、ラジカル重合開始剤の存在、加熱、または紫外線照射など慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることが出来る。
具体的には、まず、水溶性有機モノマーと水膨潤性粘土鉱物と水を含む均一分散液を調製した後、水膨潤性粘土鉱物共存下で水溶性有機モノマーを重合させることにより、高分子ヒドロゲルを調製する。ここで層状に剥離した粘土鉱物が架橋剤の働きをすることにより水溶性有機モノマー重合体と粘土鉱物との三次元網目を形成した高分子ヒドロゲルが得られる。該高分子ヒドロゲルはこのように形成された三次元網目構造を有することにより、その内部に水又は水と水溶液を保持することができると共に、上記の優れた物性を有する。
【0023】
ラジカル重合開始剤及び重合促進剤としては、慣用のラジカル重合開始剤及び重合促進剤のうちから適宜選択して用いることが出来、好ましくは水に分散性を有し、系全体に均一に含まれるものを用いることができる。特に好ましくは層状に剥離した粘土鉱物と強い相互作用を有するラジカル重合開始剤である。
具体的には、水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物などを好ましく使用できる。水溶性アゾ化合物としては、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501などが好ましく使用できる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性ラジカル開始剤なども使用できる。また重合促進剤としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどを好適に使用できる。
【0024】
上記重合反応時の温度は、用いる水溶性有機モノマー、重合促進剤及び開始剤の種類などに合わせて適宜選択すればよく、例えば0℃〜100℃の範囲に設定出来る。
重合時間は、重合促進剤、開始剤、重合温度、重合溶液量(厚み)などの重合条件によって異なり、一概に規定できないが、一般に数十秒〜十数時間の間で調整すればよい。
【0025】
本発明の高分子ヒドロゲルは、その特性を改良する目的で、該高分子ヒドロゲル中の有機モノマーの重合体の一部を共有結合により架橋させることが出来る。該高分子ヒドロゲル中の有機モノマーの重合体の一部を共有結合させることにより、滲出液を吸収して膨潤した時に形状の安定性が向上する。また、本発明の高分子ヒドロゲルを創傷被覆材としての使用前に滅菌する際にも、該高分子ヒドロゲルの滅菌による変形や気泡発生等の抑制効果のため、該高分子ヒドロゲルの有機モノマーの重合体の一部を共有結合により架橋させることは好ましい。
【0026】
この場合、該高分子ヒドロゲル中に含まれる共有結合によって架橋している有機モノマーの重合体の割合は、用いる水溶性有機モノマーや粘土鉱物、及び架橋方法の種類によっても異なり必ずしも限定されないが、水溶性有機モノマーの0.001〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.002〜1モル%であり、特に好ましくは0.005〜0.3モル%である。0.001モル%以上であれば、滲出液を吸収した膨潤後に該高分子ヒドロゲルの形状が安定に保持され、また、10モル%以下であれば、該高分子ヒドロゲルの柔軟性や強靱性といった物性が保持される。
【0027】
有機モノマーの重合体の一部を共有結合によって架橋させる方法は、該高分子ヒドロゲルの柔軟性や強靱性を保持できる限り、特に方法が限定されるわけではないが、例えば、有機架橋剤を用いる方法や該高分子ヒドロゲルに放射線を照射して、有機モノマーの重合体相互で共有結合させる方法が挙げられる。
有機架橋剤による場合に使用する有機架橋剤は、多官能性であり、水または有機モノマーに溶解する性質を有するものであればよく、例えば、アミド基、アミノ基、エステル基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機架橋剤が挙げられ、なかでもアミド基を有する有機架橋剤が好ましい。ここで、有機架橋剤とは高分子ヒドロゲルを構成する有機モノマー間を共有結合により架橋させる働きをする架橋剤である。
【0028】
このような有機架橋剤の例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、ジ(アクリルアミドメチル)エーテル、1,2−ジアクリルアミドエチレングリコール、1,3−ジアクリロイルエチレンウレア、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N’−ジアリルタータルジアミド、N,N’−ビスアクリリルシスタミンなどの二官能性化合物や、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの三官能性化合物が例示される。
【0029】
本発明において、これら有機架橋剤を高分子ヒドロゲル中に導入する時期としては、目的とする共有結合の導入が得られるのであれば良く、さらに有機架橋剤の種類により異なるため、必ずしも限定されないが、重合性の有機架橋剤については、重合反応により高分子ヒドロゲルを形成する前の時期が好ましい。
【0030】
放射線による架橋を行う際に、高分子ヒドロゲルに照射する放射線としては、電子線、ガンマ線、X線、紫外線、可視光などを用いることができるが、好適に有機モノマーの重合体の架橋反応を起こすことが可能な、電子線、またはガンマ線を用いることが好ましい。放射線の線量は、有機モノマーの重合体に導入される共有結合の程度により任意に調節可能であるが、上で述べた該高分子ヒドロゲル中に含まれる共有結合によって架橋している有機モノマーの重合体の割合の範囲に適合させるためには、好ましくは0.1kGy〜20kGyの範囲であり、より好ましくは1kGy〜10kGyの範囲である。0.1kGy以上の線量で照射することにより、高分子ヒドロゲルの内部まで架橋反応が起こり、滲出液を吸収した膨潤後に形状の安定性が向上し、また20kGy以下の線量であれば、高分子ヒドロゲルの放射線照射による物性劣化を抑制することが可能となる。
【0031】
本発明において高分子ヒドロゲルに対して共有結合による架橋を導入する際の放射線照射を行う時期としては、目的とする共有結合の導入が十分に得られるのであれば良く、必ずしも限定されないが、好ましくは重合反応による該高分子ヒドロゲルの形成の途中または形成後に行われる。かかる時期に放射線照射を行うことによって、該高分子ヒドロゲルの形成に影響を与えることなく、共有結合の導入を行うことが出来る。
【0032】
本発明の創傷被覆材は、上記高分子ヒドロゲルからなるものである。本発明の創傷被覆材は、上記高分子ヒドロゲルの、重合時に重合容器の形状を変化させたり、重合後に切削加工したりすることにより種々の大きさや形状に調製でき、例えば、平板状、繊維状、棒状、円柱状、中空状、筒状、らせん状、あるいは球状など創傷面の形状に合わせて任意の形状とすることができる。
【0033】
創傷被覆材は、一般には平板状でよく用いられることが多く、本発明の創傷被覆材も、平板状のものを好ましく用いることができる。この厚みについては任意の大きさで用いることが可能であり特に制限されるものではないが、0.1mm以上のものが好ましく用いられる。さらに好ましくは0.5mm以上のものが用いられる。厚みが0.1mm以上であると、滲出液の吸収性や創傷被覆材としての強度に優れたものが得られる。また、該創傷被覆材の厚みの上限についても特に限定されるものではないが、好ましくは20mm以下のものが用いられる。さらに好ましくは、10mm以下のものが用いられる。厚みが20mm以下であると創傷面の凹凸に影響されることなく、該創傷被覆材を創傷面に装着することが出来る、また滲出液を吸収後も、創傷面に安定して保持される等の性能を持つ。
【0034】
本発明の創傷被覆材は、創傷部分に適用されるため予め滅菌しておくことが好ましい。滅菌方法は、創傷被覆材の特性を保持できる方法であれば特に限定されないが、高圧蒸気処理により滅菌する方法は特に有効に用いられる。
本発明の創傷被覆材は、水溶性有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルからなることにより、その内部に水又は水溶液を保持すると共に、柔軟且つ強靭な優れた物性を有する材料である。このような高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材に高圧蒸気処理を行うことによって、例えば、放射線による滅菌で生じる該高分子ヒドロゲルを構成する水溶性有機モノマーの重合体同士の架橋反応による物性の低下、またはエチレンオキサイドガスによる滅菌における有毒なエチレンオキサイドガスの該高分子ヒドロゲル内への溶存というような問題の発生を起こさずに滅菌することが可能となる。
【0035】
本発明における高圧蒸気処理による滅菌は、100℃〜150℃の温度範囲内で行われ、より確実な微生物の死滅のためには、好ましくは121℃または132℃で行われる。また創傷被覆材の物性保持等を考慮して、115℃程度での処理を行うことも可能である。
本発明の創傷被覆材では、得られた高分子ヒドロゲル材料を慣用の方法で乾燥し、溶媒の一部もしくは全部を除去して乾燥物とすることもできる。かかる乾燥物は、水または水溶液を再び含ませることにより、可逆的に創傷被覆材としての高分子ヒドロゲル材料を再生することが出来る。
【0036】
本発明の創傷被覆材は、創傷面に接触させる部分をあらかじめ離型フィルムで保護し、使用時に離型フィルムを剥離して用いることが好ましい。また、創傷面と接触しない部分については、柔軟なカバーフィルムで、好ましくは伸張性および防湿性のある柔軟なカバーフィルムで被覆しておくことにより、創傷被覆材として創傷面への貼付時に、該創傷被覆材の形状が安定し、また取り扱い性が向上する。更に創傷部への被覆時にも高分子ヒドロゲルからの水分蒸発を抑制し、長期間の使用を可能とする効果が得られる。
【0037】
創傷被覆材のカバーフィルムとしては、高圧蒸気処理に対して耐性を有する柔軟なフィルムが好ましく、該創傷被覆材と密着性を有するもの及び剥離性を有するもののいずれもが使用可能であり、特に種類には限定されない。フィルムの素材を例示すると、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、及びこれらの2種以上の積層フィルムが挙げられる。またこれらフィルムの厚さについては、取り扱い上差し支えない範囲で、任意の厚さのフィルムを用いることが可能である。また、これらのフィルムをプラズマやオゾン等で表面処理したものは好ましく用いられる。
このように本発明の創傷被覆材は、柔軟且つ強靭な物性、優れた滲出液吸収性、及び、高い光透過率を有する。
【実施例】
【0038】
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
粘土鉱物には、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(Rockwood Ltd.製「ラポナイトXLG」)を、有機モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミド(興人株式会社製:以下、DMAAと略記。)を既知の方法により精製してから使用した。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(関東化学株式会社製:以下、KPSと略記。)を、重合促進剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製:以下、TEMEDと略記。)を使用した。超純水は、全て窒素バブリング等により、含有酸素を除去してから使用した。
【0039】
平底ガラス容器に、超純水57.06g、1.44gのラポナイトXLG、DMAA5.94gを加え、無色透明溶液(a)を得た。さらにKPSとTEMEDを加えた。ポリスチレン製容器(9cm×15cm)に移した後、密栓をし、20℃の恒温水槽中で20時間静置して重合を行った。なお、これらの操作は、酸素を遮断した状態で行った。重合開始から20時間後に、ポリスチレン製容器内にほぼ無色透明で均一な厚さ2mmのシート状のヒドロゲル(A)が得られた。
【0040】
このようにして得られたヒドロゲル(A)を1cm×5cmの大きさに切断し、チャック部での滑りの無いようにして引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、評点間距離30mm、引っ張り速度100mm/分にて引っ張り試験を行った。その結果、引っ張り強度が85kPa、破断伸びが1520%、弾性率が4.2kPaであった。
また、ヒドロゲル(A)を、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−530)内に固定して、ヒドロゲル(A)の厚さ方向の光透過率測定を行った。その結果、600nm波長で92%の光透過率であることが確認された。
【0041】
このヒドロゲル(A)を2cm×2cmの大きさに切断し、ヒドロゲル(B)とした。次に、100ml容器に20℃の生理食塩水を入れ、ゆっくりと撹拌しながらその中にヒドロゲル(B)を丁寧に入れた。その後、生理食塩水の温度を20℃に保ちながら、ヒドロゲル(B)を時々取り出して、重量測定を行った。測定開始から10日後に、重量はほぼ一定になり、平衡膨潤に達した。この時の、該高分子ヒドロゲルに含まれる有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する水と生理食塩水との合計の質量比は、250であった。
【0042】
次に,ヒドロゲル(A)を3cm×3cmの大きさに切断し、オートクレーブ用滅菌袋に入れて、オートクレーブ装置(装置名:オートクレーブSX−700,(株)トミー精工製)内にセットすることにより、高圧蒸気滅菌を行った。処理条件は、121℃で20分間とした。また、滅菌袋内には、滅菌の指標菌であるBacillus Stearothermophilusの芽胞が入った生物学的指標製品(Raven Biological Laboratories,Inc.社製、以下BIと記す)をヒドロゲルと共に同封しておいた。
処理後、装置から滅菌袋に入った滅菌済みヒドロゲル(A’)を取り出し、BI中の生存菌を確認したところ、菌が死滅していることが確認された。
【0043】
次に、滅菌後のヒドロゲル(A’)を用いて、以下の要領にて動物実験を行った。体重49kgの雄成ヤギを気管内挿管の上、人工呼吸器を使用して、イソフルレン吸入麻酔による全身麻酔を行った。背部を剃毛後、デルマトームを使用して、2.5cm×2.5cmの大きさで深さ0.3mmの皮膚剥離創を作成した。その創傷面にヒドロゲル(A’)を貼り付け、その上面にポリウレタンフィルム(商品名:バイオクルーシブ、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社製)をヒドロゲル(A’)全体が被覆されるように貼り付けた。その際、創傷面は曲面部分があったが、ヒドロゲル(A’)は、創傷面と隙間無く接着した。また創傷面は、ヒドロゲル(A’)とポリウレタンフィルムを通して目視にて経過観察が可能な状態であった。
【0044】
手術を終了し覚醒後に気管チューブは抜管され、ヤギは自由に起立、座位および飲食が行えるケージで飼育した。ケージは屋内に配置し、自然光が採光される環境とした。給餌は1日4回、給水は1日6回行った。給餌と給水の際に全身状態の観察を行った。実験中に、創傷面から滲出液が溢れ出すことはなかった。また創傷面に貼り付けたヒドロゲル(A’)の形状が崩れたり、透明性が変化することも認められなかった。実験開始から5日目に、目視にて創傷面の治癒が認められたので、ポリウレタンフィルム及びヒドロゲル(A’)を創傷面から剥離したところ、ヒドロゲル(A’)は創傷面と全く接着することなく、容易に剥離が可能であった。ヒドロゲル(A’)の創傷面接触面を観察したところ、特に組織の癒着等は起こっていなかった。また、創傷面を目視にて注意深く観察したところ、上皮化がほぼ完了しており、また創傷面に特に炎症や感染は生じていなかった。次に、創傷面の組織を筋層まで採取し、病理組織学的検査を行った。その結果、創傷面に上皮の再生が確認され、また感染症等は認められなかった。
【0045】
(実施例2)
実施例1において、無色透明溶液(a)に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社性:以下BISと略記。)を0.84mg加えること以外は実施例1と同様にして、無色透明なシート状のヒドロゲル(C)を得た。
このヒドロゲル(C)を1cm×5cmの大きさに切断し、実施例1と同様の方法で引っ張り試験を行ったところ、引っ張り強度が88kPa、破断伸びが1150%、弾性率が5.6kPaであった。
【0046】
またヒドロゲル(C)について、実施例1と同様の方法で光透過率を測定したところ、600nm波長で93%の光透過率であることが確認された。
また、ヒドロゲル(C)を2cm×2cmの大きさに切断し、ヒドロゲル(D)とした。次に、100ml容器に20℃の生理食塩水を入れ、ゆっくりと撹拌しながらその中にヒドロゲル(D)を丁寧に入れた。その後、生理食塩水の温度を20℃に保ちながら、ヒドロゲル(D)を時々取り出して、重量測定を行った。測定開始から10日後に、重量はほぼ一定になり、平行膨潤に達した。この時の、該高分子ヒドロゲルに含まれる有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する水と生理食塩水との合計の質量比は、80であった。
【0047】
次に、ヒドロゲル(C)を3cm×3cmの大きさに切断し、オートクレーブ用滅菌袋に入れて、オートクレーブ装置(装置名:オートクレーブSX−700,(株)トミー精工製)内にセットして、高圧蒸気滅菌を行った。実施例1と同様の方法で高圧蒸気処理後のヒドロゲル(C’)について滅菌の確認を行ったところ、BI中の菌が死滅していることが確認された。
【0048】
次に、実施例1と同様の方法で動物実験を行った。ヒドロゲル(C’)を創傷面に貼り付ける際には、ヒドロゲル(C’)は、創傷面の曲面部分にも隙間無く接着した。実験中に、創傷面から滲出液が溢れ出すことはなかった。また創傷面に貼り付けたヒドロゲル(C’)の形状が崩れたり、透明性が変化することも認められなかった。実験開始から5日目に、目視にて創傷面の治癒が認められたので、ポリウレタンフィルム及びヒドロゲル(C’)を創傷面から剥離したところ、ヒドロゲル(C’)は創傷面と全く接着することなく、容易に剥離が可能であった。ヒドロゲル(C’)の創傷面接触面を観察したところ、特に組織の癒着等は起こっていなかった。また、創傷面を目視にて注意深く観察したところ、上皮化がほぼ完了しており、また創傷面に特に炎症や感染は生じていなかった。次に、創傷面の組織を筋層まで採取し、病理組織学的検査を行った。その結果、創傷面に上皮の再生が確認され、また感染症等は認められなかった。
【0049】
(比較例1)
市販ヒドロゲル創傷被覆材(E)(商品名:ビューゲル、大鵬薬品工業株式会社製)を2cm×2cmの大きさに切断しようとしたところ、切断面が脆く破壊してしまい、きれいな形状として調製することは困難であった。このヒドロゲル(E)を実施例3と同様の方法で生理食塩水に長時間浸漬して、平衡膨潤率を求めたところ、生理食塩水に浸漬して10日後のヒドロゲル(E)の固形分の質量に対するヒドロゲル(E)中に含まれる水及び生理食塩水の合計の質量比は20であり、ヒドロゲル(E)の吸水性能は非常に低かった。
この市販ヒドロゲル創傷被覆材(E)を用いて、実施例1と同様の方法で動物実験を行った。ヒドロゲル(E)を創傷面に貼り付ける際に、創傷面の曲面部分では、ヒドロゲル(E)と創傷面に隙間が出来てしまい、強く患部に押しつけないと接着できず、ポリウレタンフィルムで固定時に、創傷面から剥離してしまった。
【0050】
(比較例2)
市販ハイドロコロイド創傷被覆材(商品名:デュオアクティブET、コンバテック社製)を用いて、実施例1と同様の方法で動物実験を行った。創傷面にハイドロコロイド創傷被覆材を貼り付け固定したが、創傷面は不透明なハイドロコロイドによって覆われてしまい、目視にて観察することはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性有機モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ヒドロゲルからなる創傷被覆材。
【請求項2】
前記高分子ヒドロゲルが、含水率90%の条件において、5kPa以上の引っ張り弾性率、50kPa以上の引っ張り強度、及び100%以上の破断伸びを有するものである請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記高分子ヒドロゲルが、2mmの厚さにおける厚さ方向への600nm波長の可視光の透過率が70%以上のものである請求項1又は2に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記高分子ヒドロゲルの、20℃、生理食塩水中での平衡膨潤率(有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する、溶媒と生理食塩水との合計質量の比)が10以上のものである請求項1〜3のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項5】
前記水溶性モノマーが、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N.N−ジ置換メタクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記水膨潤性粘土鉱物が、水膨潤性のヘクトライト、水膨潤性のモンモリロナイト、水膨潤性のサポナイト、水膨潤性の合成雲母からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記高分子ヒドロゲルが、水に均一に分散した水膨潤性粘土鉱物の存在下で、水溶性有機モノマーを重合させてなるものである請求項1〜6のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項8】
前記高分子ヒドロゲルの有機モノマーの重合体の少なくとも一部が共有結合により架橋していることを特徴とする請求項1〜7に記載の創傷被覆材。
【請求項9】
前記高分子ヒドロゲルの少なくとも一部がフィルムで被覆された状態である請求項1〜8のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項10】
前記高分子ヒドロゲルが、高圧蒸気処理により滅菌されたものである請求項1〜9のいずれかに記載の創傷被覆材。

【公開番号】特開2007−117275(P2007−117275A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311434(P2005−311434)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年9月6日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集 54巻2号」に発表
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【Fターム(参考)】