説明

力検出器

【課題】 全体寸法が小さくなっても、検出精度のバラツキが大きくならない力検出器を提供する。
【解決手段】 ケース本体4の底壁部1の外壁面に、半田付け可能な材料によって形成された半田付け部17を設ける。半田付け部17は、圧力伝達部材11と対向する位置に設けられている。半田付け部17が、底壁部1を間に介して半導体センサ素子と完全に対向する大きさを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加えられる力に応じた信号を出力する力検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第3479064号公報(特許文献1)には、底壁部及び周壁部を備えた一面に開口部を有する絶縁樹脂製のケース本体と、開口部を塞ぐようにケース本体に固定された絶縁樹脂製の上壁部とを有する収納ケースと、この収納ケースの内部に収納された半導体力センサ素子と、収納ケースの上壁部に形成された貫通孔から一部が露出して、露出部に加わる外力を半導体力センサ素子に伝達する球体と、収納ケースに固定されて外部に露出する半田付け可能な複数の入出力端子とを具備する半導体力検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3479064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の力検出器の全体寸法が小さくなると、力検出器の全体寸法が大きい場合と比べて、実装用基板に実装した力検出器から出力される検出信号の精度にバラツキが大きくなる問題があった。
【0005】
本発明の目的は、全体寸法が小さくなっても、検出精度のバラツキが大きくならない力検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
同じ構造でも、収納ケースの寸法がある程度大きく、収納ケースの機械的強度をある程度高いものとすることができる場合には、検出精度のバラツキが小さく、逆に収納ケースの寸法が小さくなって、収納ケースの機械的強度が低くなると、検出精度のバラツキが大きくなることが判った。発明者が研究した結果、検出精度のバラツキの発生原因が、外力が加わったときに発生する収納ケースの撓みにあることを見出した。そこで本発明では、この収納ケースの撓みを抑制するために、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の力検出器は、底壁部と、周壁部と上壁部とからなる収納ケースと、収納ケースの内部に収納された半導体力センサ素子と、上壁部に形成された貫通孔から一部が露出する露出部を有して、露出部に加わる外力を半導体力センサ素子に伝達する圧力伝達部材と、収納ケースに固定されて外部に露出する半田付け可能な複数の入出力端子とを具備する。本発明では、底壁部の外壁面に、圧力伝達部材と対向する位置に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部を設ける。このような半田付け部を設けると、半田付け部は、複数の入出力端子が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けされる。その結果、半田付け部と実装用基板との間には隙間がなくなって、底壁部の撓みが抑制され、検出精度のバラツキが小さくなる。
【0008】
半田付け部は、複数の入出力端子が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けされるように設けられていれば、その大きさ及び形状は任意である。
【0009】
なお複数の電極と対向する複数の入出力端子の半田付け面と固定用電極と対向する半田付け部の半田付け面とが同じ位置レベルにあるのが好ましい。ここで同じ位置レベルとは、理想的には、両半田付け面が面一になる状態になることを意味するが、半田層の形成に影響がない程度に両半田付け面の位置に差がある場合も含まれる。
【0010】
なお半田付け部は、底壁部を間に介して半導体力センサ素子と完全に対向する大きさを有しているのが好ましい。半田付け部をこのような大きさにすると、半導体力センサ素子と完全に対向する範囲の底壁部の撓みを確実に抑制することができるので、さらに検出精度のバラツキを小さいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の力検出器の実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明の力検出器の実施の形態の平面図である。
【図3】本発明の力検出器の実施の形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の力検出器の実施の形態の斜視図であり、図2は力検出器19の実施の形態の平面図であり、図3は力検出器19の底面図である。図1において、力検出器19は、収納ケース6、半導体センサ素子7、圧力伝達部材11、及び複数の入出力端子12により構成される。
【0013】
収納ケース6は、ケース本体4及び上壁部5から構成される。そしてケース本体4は、底壁部1及び周壁部2から構成される。ケース本体4は、一面に開口部3を有しており、絶縁樹脂からできている。上壁部5は、開口部3を塞ぐようにケース本体4に固定され、後述する複数の入出力端子をインサートとして絶縁樹脂から一体成形されている。また半導体力センサ素子(図示せず)は、収納ケース6の内部に収納されている。半導体センサ素子の配置状態は、前述の特許文献1に詳しく説明されているので説明は省略する。
【0014】
圧力伝達部材11は、露出部に加わる外力を半導体センサ素子に伝達する金属製の球体10によって構成されている。球体10の一部が、上壁部5に形成された貫通孔8から一部露出して露出部が形成されている。
【0015】
6本の入出力端子12は、収納ケース6にインサート成形されて固定されており、半田付け端子部12Aが収納ケース6の外部に露出している。本実施の形態では、半田付け端子部12Aは、収納ケース6の底壁部1の外面とほぼ面一になるように配置されている。したがって半田付け端子部12Aの下面に半田が存在するときには、ケース本体4は実装用基板から浮いた状態になる。なお6本の入出力端子12の中には、半田付けのためだけに設けられているものがあってもよいのは勿論である。なお複数の入出力端子12のうちの一つ又はそれ以上の入出力端子が、アース端子としての役割を果たすようになっていてもよい。
【0016】
本実施の形態では、ケース本体4の底壁部1の外壁面には、半田付け可能な材料によって形成された半田付け部17が設けられている。この半田付け部17は、圧力伝達部材11と対向する位置に設けられている。そして本実施の形態では、半田付け部17が、底壁部1を間に介して図示しない半導体センサ素子と完全に対向する大きさを有している。ここで完全に対向する大きさとは、半田付け部17の大きさが半導体センサ素子の投影面積よりも大きい場合を含むものである。半田付け部17をこのような大きさにすると、半導体力センサ素子と完全に対向する範囲の底壁部1の撓みを確実に抑制することができるので、さらに検出精度のバラツキを小さいものとすることができる。
【0017】
また半田付け部17は、印刷により形成されていてもよいが、収納ケース6にインサート成形された複数の入出力端子12と一緒に収納ケース6にインサート成形される金属製板により構成されていてもよい。この場合には、この金属製板は、アースとして利用することも可能である。
【0018】
実装の際には、半田付け部17は、複数の入出力端子12が実装用基板上の予め設けた固定用電極に半田付けされる。その結果、半田付け部17と実装用基板との間には隙間がなくなって、ケース本体4の底壁部1の撓みが抑制され、検出精度のバラツキを小さくすることができる。
【0019】
半田付け部17は、複数の入出力端子12が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けできるものであれば、その大きさ及び形状は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、力検出器の収納ケースの底壁部の外壁面に、圧力伝達部材と対向する位置に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部を設けるので、半田付け部は、複数の入出力端子が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けされる。その結果、半田付け部と実装用基板との間には隙間がなくなって、底壁部の撓みが抑制され、検出精度のバラツキが小さくなる。
【符号の説明】
【0021】
1 底壁部
2 周壁部
3 開口部
4 ケース本体
5 上壁部
6 収納ケース
8 貫通孔
10 球体
11 圧力伝達部材
12 入出力端子
13 外壁面
17 半田付け部
19 力検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、周壁部とからなり一面に開口部を有する絶縁樹脂製のケース本体と、前記開口部を塞ぐように前記ケース本体に固定された絶縁樹脂製の上壁部とからなると収納ケースと、
前記収納ケースの内部に収納された半導体力センサ素子と、
前記上壁部に形成された貫通孔から一部が露出する露出部を有して、前記露出部に加わる外力を前記半導体力センサ素子に伝達する球体からなる圧力伝達部材と、
前記収納ケースに固定されて外部に露出する半田付け可能な複数の入出力端子とを具備する力検出器であって、
前記底壁部の外壁面には、前記圧力伝達部材と対向する位置に、前記底壁部を間に介して前記半導体力センサ素子と完全に対向する大きさを有し且つ前記複数の入出力端子が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、前記実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けされる、半田付け可能な材料によって形成された半田付け部が設けられていることを特徴とする力検出器。
【請求項2】
底壁部と、周壁部と上壁部とからなる収納ケースと、
前記収納ケースの内部に収納された半導体力センサ素子と、
前記上壁部に形成された貫通孔から一部が露出する露出部を有して、前記露出部に加わる外力を前記半導体力センサ素子に伝達する圧力伝達部材と、
前記収納ケースに固定されて外部に露出する半田付け可能な複数の入出力端子とを具備する力検出器であって、
前記底壁部の外壁面には前記圧力伝達部材と対向する位置に半田付け可能な材料によって形成された半田付け部が設けられていることを特徴とする力検出器。
【請求項3】
前記半田付け部は、前記複数の入出力端子が実装用基板上の複数の電極に半田付けされる際に、前記実装用基板上に設けられた固定用電極に半田付けされるように設けられている請求項1または2に記載の力検出器。
【請求項4】
前記複数の電極と対向する前記複数の入出力端子の半田付け面と前記固定用電極と対向する前記半田付け部の半田付け面とが同じ位置レベルにある請求項3に記載の力検出器。
【請求項5】
前記半田付け部は前記底壁部を間に介して前記半導体力センサ素子と完全に対向する大きさを有している請求項2に記載の力検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−169717(P2011−169717A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33145(P2010−33145)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000242633)北陸電気工業株式会社 (49)