加圧機構および画像形成装置
【課題】一対の圧接部材の加圧ニップ部に被加圧部材を挟持搬送させて加圧する加圧機構において被加圧部材の後端部が加圧ニップ部を抜けた際の一対の圧接部材の再当接における当接音を抑止する。
【解決手段】被加圧部材Pの後端部が加圧ニップ部Nを抜けた際の圧接部材100の当接方向Xへの移動を減速する負荷を与える負荷付与手段210を設けた。
【解決手段】被加圧部材Pの後端部が加圧ニップ部Nを抜けた際の圧接部材100の当接方向Xへの移動を減速する負荷を与える負荷付与手段210を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧力定着装置に搭載すれば好適な一対の圧接部材による加圧機構に関する。
【0002】
また、一対の圧接部材による加圧機構を有する、複写機、プリンタ、ファックス、それらの複合機等の記録材上に画像形成可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラム上に形成された潜像を現像して可視画像化する。そして、この可視画像(トナー像)を記録材に静電気力と圧力を用いて転写させ、次いで定着部において転写画像を熱と圧力により定着させることによって、前記記録材上に画像が記録形成されるようになっている。このような定着部においては、記録材に圧力を掛ける手段としてローラ対を圧接させて記録材を搬送しつつ定着工程を行っている。
【0004】
ローラ対を圧接する定着装置において、熱源を用いずに互いに圧接されたローラ対の圧接力で未定着画像を定着することにより、低ウォームアップタイムと省エネルギーに有利な圧力定着装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−11979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、熱源を用いずに圧力によりトナーを定着する圧力定着装置は、定着性確保をする為に表層が硬質なローラ対で加熱定着装置よりも高いニップ圧を掛けてトナーを圧力のみで定着している。そのため、記録材がニップ部を通過して、記録材後端がニップ部から排出された時に、記録材の厚さ分の高さから加圧力分の加速度をもって硬質ローラ表面同士が当接する為に、当接音が発生する。
【0007】
本発明は、上記の当接音の発生を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る加圧機構の代表的な構成は、第1の圧接部材と、第2の圧接部材と、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動可能に支持する支持部材と、前記支持部材を前記当接方向に移動付勢して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との間に被加圧部材を挟持搬送して加圧するための加圧ニップ部を形成する付勢部材と、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが前記付勢部材の付勢力に抗して離間している状態から前記支持部材が前記付勢部材の付勢力により前記当接方向に移動して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが当接するまでの間は、前記支持部材に前記当接方向への移動を減速する負荷を与える負荷付与手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の圧接部材と第2の圧接部材との加圧ニップ部を被加圧部材が抜けた際の第1の圧接部材と第2の圧接部材との再当接における当接力が弱められて再ニップ時の当接音を抑止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の一例の概略構成を示す縦断面模式図である。
【図2】実施例1の加圧機構を有する定着装置の外観斜視図である。
【図3】定着装置の左側面図である。
【図4】定着装置の右側面図である。
【図5】定着装置の横断左側面図(図2の(5)−(5)矢視図)である。
【図6】(a)と(b)は、それぞれ、左右の横軸の部分を軸線に沿って切った拡大平面図である。
【図7】負荷付与手段の一例の構造模式図である。
【図8】負荷付与手段の他の例の構造模式図である。
【図9】(a)は負荷方向規制手段として実施例で用いたワンウェイクラッチの要部の分解斜視図、(b)は動作図である。
【図10】負荷付与手段およびワンウェイクラッチの動作、作用説明図であり、記録材がニップ部を通過している状態を表した図である。
【図11】負荷付与手段およびワンウェイクラッチの動作、作用説明図であり、記録材がニップ部を通過し終わる状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0012】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の説明
図1は画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタ1の概略構成を示す縦断面模式図である。プリンタ1は制御回路部(制御基板:CPU)Aと通信可能に接続した外部ホスト装置Bからの入力画像情報に応じて作像動作して、シート状の記録材Pにフルカラー画像を形成してハードコピーとして出力することができる。装置Bはコンピュータ、イメージリーダー、ファクシミリ等である。制御回路部Aは装置Bと信号の授受をする。また、プリンタ1側の各種の作像機器と信号の授受をして作像シーケンス制御を司る。
【0013】
記録材Pはトナー画像が形成されるシート状の部材である。普通紙、樹脂製シート状物、厚紙、OHTシート(オーバーヘッドプロジェクター用シート)、封筒、はがき、ラベルなどが挙げられる。
【0014】
プリンタ1内には図面上左側から右側にかけて、第1乃至第4の4つの画像形成部Y・M・C・Bkが水平方向に並べられて配設されている。各画像形成部はいずれもレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、現像器に収容の現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様な構成である。
【0015】
即ち、各画像形成部は、それぞれ、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(像担持体:以下、ドラムと記す)2を有する。また、各ドラム2の周囲には、ドラム2に作用するプロセス手段としての、一次帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写ブレード6、クリーナ7が配置されている。
【0016】
画像形成部Y・M・C・Bkの下側には中間転写ベルトユニット8が配設されている。ユニット8は、無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)9と、ベルト9を懸回張設している駆動ローラ10・テンションローラ11・二次転写対向ローラ12を有する。各画像形成部Y・M・C・Bkの一次転写ブレード6はベルト9の内側に配設されていて、ベルト9のローラ11とローラ10との間の上行側ベルト部分を介して対応するドラム2の下面に圧接している。各ドラム2とベルト9との当接部が一次転写部である。
【0017】
ローラ12にはベルト9を介して二次転写ローラ13が圧接している。ベルト9とローラ13との当接部が二次転写部である。ベルト9はローラ10により矢印の時計方向にドラム2の回転速度に対応した速度にて循環移動される。
【0018】
本実施例において、第1の画像形成部Yは現像器5にイエロー(Y)色の現像剤(有彩色カラートナー)が収容されていて、ドラム2にY色トナー画像を形成する。第2の画像形成部Mは現像器5にマゼンタ(M)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にM色トナー画像を形成する。第3の画像形成部Cは現像器5にシアン(C)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にC色トナー画像を形成する。第4の画像形成部Bkは現像器5にブラック(Bk)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にBk色トナー画像を形成する。
【0019】
制御回路部100は装置200から入力したカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部Y・M・C・Bkを作像動作させる。これにより各画像形成部において回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、それぞれ、Y色、M色、C色、Bk色の色トナー画像が形成される。なお、ドラム2にトナー画像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
【0020】
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー画像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト9の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト9の面に上記のY色、M色、C色、Bk色の4つのトナー画像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。
【0021】
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下複数段のカセット給紙部14A・14Bのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ15が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってレジストローラ対18に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ19が駆動される。これにより、マルチ給紙トレイ20に積載セットされている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってローラ対18に搬送される。
【0022】
ローラ対18は、記録材Pを一旦受け止めて、記録材が斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、ローラ対18は、ベルト9上のトナー画像と同期を取って、記録材Pをベルト9とローラ13との圧接部である二次転写部に送り込む。これにより、二次転写部において、ベルト9上のフルカラーの合成トナー画像が一括して記録材Pの面に二次転写される。即ち、記録材Pの面に、複数の有彩色カラートナー画像の重畳画像である未定着トナー画像が形成される。
【0023】
以上の機構部が記録材Pに未定着画像を形成する画像形成手段部である。二次転写部を出た記録材Pはベルト9の面から分離されて、定着装置21に導入される。この装置21は本発明に従う加圧機構を備えた圧力定着装置であり、記録材Pに転写されたトナー像(未定釈画像)を加圧定着させるために一対の圧接部材である定着ローラ100および加圧ローラ101を備えている。この装置21については次の(2)項で詳述する。この装置21により、記録材P上の複数色のトナー画像が記録材P面に固着画像として圧力定着される。
【0024】
また、二次転写部にて記録材分離後のベルト8の面はベルトクリーナ22により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0025】
フルカラー以外のモノ黒などの単色或いは2次色若しくは多次色のプリントモードの場合には対応する色の画像形成部が作像動作制御される。また、片面プリントモードの場合においては、装置21を出た記録材Pは、予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされて、プリンタ側面に配置されているフェイスアップ排紙トレイ25に排出される。あるいは、プリンタ上面に配置されているフェイスダウン排紙トレイ28に排出される。
【0026】
トレイ25への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第1の姿勢に転換されているフラッパ23の下面側を通って直進し、第1の排紙ローラ24によりトレイ25上に画像面上向きで排出される。トレイ28への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。そして、第2の排紙ローラ27によりトレイ28上に画像面下向きで排出される。
【0027】
両面プリントモードの場合は、装置21を出た第1面に対する画像形成・定着済みの記録材Pが、第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。その記録材Pの搬送途中で後端が反転ポイントRに達したとき、搬送路26が逆搬送駆動に転換される。これにより、記録材Pがスイッチバック搬送されて両面搬送路29に入る。そして、搬送路29から再び搬送路16に入って、表裏反転された状態にて二次転写部に再搬送される。これにより、記録材Pは第2面に対する画像転写を受ける。
【0028】
二次転写部を出た記録材Pは再び装置21に導入される。装置21を出た両面プリント済みの記録材Pが、片面プリントモードの場合と同様に予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされてトレイ25又はトレイ28に排出される。フラッパ23、スイッチバック搬送路26等で構成される部分は反転手段の一例である。
【0029】
(2)定着装置
定着装置21は本発明に従う圧力機構を備えた圧力定着装置である。図2は本実施例における装置21の要部の外観斜視図である。図3は装置21の左側面図、図4は右側面図である。図5は横断左側面図(図2の(5)−(5)矢視図)である。
【0030】
ここで、装置21について、正面とは記録材Pの入口側、背面とは記録材Pの出口側である。左右とは装置21を正面から見て左または右である。また、構成部材に関して、前後とは記録材Pの搬送方向Eにおいて上流側と下流側である。
【0031】
110L・110Rは装置21の骨格となるメインフレームの左右側一対の前後方向に長い固定の支持部材(左側板と右側板)であり、所定の間隔をあけて対向している。この左右の支持部材110L・110R間に、支持部材長手中央部において、左右の軸端部101aをそれぞれ軸受103L・103Rを介して回転可能に支持させて左右方向に長い加圧ローラ(第2の圧接部材、第2の回転体)101が配設されている。
【0032】
120L・120Rは左右側一対の前後方向に長い可動の支持部材(以下、加圧レバーまたはレバーと記す)である。レバー120L・120Rは、それぞれ、後端部側が左右の固定の支持部材110L・110Rの後端部側に対して左右方向の横軸(レバーの揺動中心軸)111L・111Rを中心に上下方向に揺動可能に配設されている。左右の横軸111L・111Rはほぼ同軸である。左側の加圧レバー120Lは左側の固定の支持部材110Lの内側に位置している。右側の加圧レバー120Rは右側の固定の支持部材110Rの内側に位置している。
【0033】
この左右の加圧レバー111L・111R間に、レバー長手中央部において、左右の軸端部100aをそれぞれ軸受106L・106Rを介して回転可能に支持させて左右方向に長い定着ローラ(第1の圧接部材、第1の回転体)100が配設されている。
【0034】
定着ローラ100および加圧ローラ101は共に、鉄、アルミ等の金属製の円柱状芯金を基材としている。そして、焼き入れ等を施して、例えば、表面硬度をHRC略50以上に、表面改質を行った後に、最表層にメッキ等からなる皮膜層を例えば略10μm以下程度に設けられている。ローラの精度は定着圧力ムラを考慮して、円周振れを略10μm以下にしており回転ムラを抑止している。
【0035】
左右の固定の支持部材110L・110Rの前端部側には、それぞれ、内向きの折り曲げ座板部(舌片部)110aが配設されている。それらの座板部110aにはねじ穴110bが設けられている。また、左右の加圧レバー120L・120Rの前端部側には、それぞれ、内向きの折り曲げ座板部(舌片部)120aが配設されている。それらの座板部120aにはボルト差し込み穴120bが設けられている。
【0036】
そして、左右の加圧レバー120L・120Rのそれぞれにおいて加圧用のコイルバネ(圧縮バネ:付勢部材)200を外嵌したボルト(バネ保持部材)201のネジ部先端側を座板部120aの穴120bに上から差し込む。更にネジ部先端側をそれぞれ固定の支持部材110L・110R側の座板部110aのねじ穴110bに螺合させる。
【0037】
左右のボルト201をそれぞれねじ穴110bにねじ込むと、バネ200がホルト201の頭部下面と座板部120aの上面との間に弾性に抗して圧縮される。このバネ200の圧縮反力により左右の加圧レバー120L・120Rがそれぞれ軸111L・111Rを中心に下方に揺動付勢される。これにより、定着ローラ100が加圧ローラ101に対して弾性的に圧接して該両ローラ100・101間に圧力定着ニップ部(加圧ニップ部)Nが形成される。左右のボルト201のねじ込み量をそれぞれ調節することで、ニップ部長手に沿ってほぼ均一で所定の加圧力のニップ部Nを形成することができる。
【0038】
ニップ部Nよりも記録材搬送方向Eの上流側には左右の固定の支持部材110L・110Rに支持させて記録材入口ガイド104が配設されている。また、ニップ部Nよりも記録材搬送方向Eの下流側には左右の固定の支持部材110L・110Rに支持させて記録材出口ガイド105が配設されている。
【0039】
定着ローラ100および加圧ローラ101は、定着モータMを含む駆動機構によって記録材Pを挟持搬送する方向に回転駆動される。駆動機構は図の煩雑を避けるために図省力には省略したけれども定着モータMで駆動されるギア機構やベルト機構とすることができる。そして、二次転写部側から搬送された、上面に未定着トナー像を担持した記録材(被加圧部材)Pがガイド104に案内されてニップ部Nに導入され、ニップ部Nで挟持搬送される。
【0040】
記録材Pはニップ部Nを通過する過程で、記録材Pに定着ローラ100と加圧ローラ101との当接圧力が付与され、記録材上の未定着トナー像が固着画像として加圧定着される。ニップ部Nを出た記録材は定着ローラ100から分離してガイド105に案内され装置21から出る。
【0041】
図6の(a)と(b)は、それぞれ、左右の横軸111L・1110Rの部分を軸線に沿って切った拡大平面図である。左右の固定の支持部材110L・110Rの外側には、それぞれ、横軸111L・1110Rに対する負荷付与手段(トルクリミッタ:バッファ機構)210L・21Rが固定して配設されている。この負荷付与手段210L・21Rの中心にそれぞれ横軸111L・1110Rが回転自在に保持されて存在している。
【0042】
左右の加圧レバー120L・120Rの内側には、それぞれ、負荷方向規制手段としてのワンウェイクラッチ211L・221Rが固定して配設されている。このワンウェイクラッチ211L・221Rの中心にそれぞれ横軸111L・1110Rが回転自在に保持されて存在している。即ち、横軸111Lは負荷付与手段210Lとワンウェイクラッチ211Lとの両者にわたって存在している。また、横軸111Rは負荷付与手段210Rとワンウェイクラッチ211Rとの両者にわたって存在している。212は横軸111の外端部側と内端部側とに嵌着した止め輪である。
【0043】
ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるから加圧レバー120L・120Rが横軸111L・1110Rを中心に上下方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に正逆方向に回転する。
【0044】
負荷付与手段210L・210Rは、内部に負荷トルクを発生させる部材が具備されており、横軸111L・1110Rに対して負荷トルクを与える。そのような負荷付与手段210としては適宜の構成のものを用いることができる。
【0045】
図7はその一例の構造模式図である。この負荷付与手段210は、回転可能部材210a(横軸111に対応)と固定部材210b(支持部材110に固定される部材に対応)の二つで構成される。互いの部材210aと210bには、円筒上の永久磁石M1とM2を異極で引き合うように、中心を合わせて非接触配置して、回転能部材210bの回転時に磁力により回転負荷トルクを発生させる方式である。
【0046】
図8は他の例の構造模式図である。この負荷付与手段210は、回転可能部材210aと固定部材210bの二つで構成されている。固定部材210bに設けた螺旋状スプリング形状部材210cの内側に円柱状の回転可能な部材210aを設けて、摺動負荷で回転可能部材210aに回転負荷を発生させる方式である。このように回転負荷を与える方式であれば構造は問わず用いることができる。
【0047】
図9は本実施例で用いたワンウェイクラッチ211の構造説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は動作図である。ワンウェイクラッチ211は、中心に係合される軸111が一方向Xに回転する際はフリー回転して、その反対方向Yに回転する際は軸111をロックする機構となっている。
【0048】
フリー回転およびロックをする手段としては、ワンウェイクラッチ内部の軸係合部211aにバネ211bで移動付勢された円柱部材211cが周状に可動可能に配置されている。軸111がフリー方向Yに回転する際は、円柱部材211cがバネ211bの押圧力に抗して軸111から離れる方向に回転移動し、ロック方向Xに回転する際は、円柱部材211cが非回転状態でバネ211bの押圧力で軸111に当接しつつ軸111をロックする。即ち、ワンウェイクラッチ211と軸111が一体化する。
【0049】
以下に、負荷付与手段210およびワンウェイクラッチ211の動作、作用について、図10および図11に基づいて説明する。図10は記録材Pがニップ部Nを通過している状態を表した図であり、図11は記録材Pがニップ部Nを通過し終わる状態を表した図である。
【0050】
ニップ部Nに記録材Pが導入されると、定着ローラ100は記録材Pの厚分だけバネ200の加圧力に抗しても持ち上げられる。このとき、定着ローラ100を支持している左右の加圧レバー120L・120Rは横軸111L・111Rを中心にバネ200の付勢力に抗して上方に揺動する。即ち、左右の加圧レバー120L・120Rは定着ローラ100を加圧ローラ101から離間させる離間方向Yに揺動する。
【0051】
そして、ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるからレバー120L・120Rの上方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に図10において矢印Yの時計方向に回転する。ワンウェイクラッチ211L・120RはY方向に回転する際は横軸111L・1110Rに対してフリー回転となるように配置されており、クラッチ中心に係合された横軸111L・1110Rを回さない。
【0052】
従って、この場合は、左右の加圧レバー120L・120Rはそれぞれ負荷付与手段210L・210Rに対して非接続の状態で横軸111L・1110Rを中心にバネ200の付勢力に抗して上方に揺動する。
【0053】
即ち、記録材Pがニップ部Nに突入すると、記録材Pの厚さ分を定着ローラ100が持ち上げられる為に、レバー120およびワンウェイクラッチ211はY方向に揺動する。その際、ワンウェイクラッチ211はフリー方向回転であり、横軸111を回さない為に加圧レバー120の回転負荷がなくスムーズに加圧レバー120が動作する。そして、ニップ部Nを挟持搬送される記録材Pにはバネ200によるニップ圧力が作用してトナー像の加圧定着がなされる。
【0054】
ニップ部Nによる記録材Pの挟持搬送が進行して、記録材Pの後端部がニップ部Nを抜けると、定着ローラ100はバネ200の付勢力で下降動して加圧ローラ101に圧接する。この定着ローラ100の下降動において、定着ローラ100を支持している左右の加圧レバー120L・120Rは横軸111L・111Rを中心に下方に揺動する。
【0055】
即ち、加圧レバー120L・120Rは定着ローラ100を加圧ローラ101に当接させる当接方向Xに揺動する。そして、ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるからレバー120L・120Rの下方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に図11において矢印Xの反時計方向に回転する。
【0056】
ワンウェイクラッチ211L・120RはX方向に回転する際は横軸111L・1110Rに対してロックする。これにより、ワンウェイクラッチ211L・120Rは中心に係合された横軸111L・1110Rと一体となり、該横軸111L・1110Rが加圧レバー120L・120Rと同期回転する。この場合は、左右の加圧レバー120L・120Rはそれぞれワンウェイクラッチ211L・120R、横軸111L・1110Rを介して負荷付与手段210L・210Rに対して接続された状態になる。これにより、横軸111L・111Rに負荷トルク(負荷力:バッファー作用)が与えられる。
【0057】
即ち、ワンウェイクラッチ211は、加圧レバー120およびワンウェイクラッチ211がX方向に揺動する際は、中心に係合された横軸111をロックする為に、加圧レバー120と同期回転する。横軸111は負荷付与手段210の内部の回転可能部材を回転させて、横軸111に負荷トルクを与える。これにより、加圧レバー120の動作に回転負荷を与える。
【0058】
従って、圧接ローラ対100.101のニップ部Nを記録材Pが抜けた際の再当接における当接力(衝撃力負荷)が負荷付与手段210によるバッファー作用により弱められて、ローラ対100・101の再ニップ時の当接音を抑止することが出来る。
【0059】
上記をまとめると、負荷付与手段210は次のような働きをしている。ローラ100とローラ101とがバネ200の付勢力に抗して離間している状態からレバー120がバネ200の付勢力により当接方向Xに移動して両ローラ100・101が当接するまでの間は、レバー120に当接方向Xへの移動を減速する負荷を与える。そして、負荷方向規制手段としてのワンウェイクラッチ211は負荷付与手段210の負荷をレバー120の揺動方向の一方向にしか働かせず、レバー120の当接方向Xへの移動時には負荷を与え、離間方向Yへの移動時には負荷を与えない。
【0060】
ここで、本構成の動作によるとローラの回転ムラにより、当接方向Xの加圧力ムラが発生しそうだが、圧力定着方式自体が回転ムラにより定着ムラを起こす。その為に、その抑止策として、前記のローラ円周振れ精度を高めて(例えば略10μm以下)回転ムラを抑止しており、そのことで本構成による加圧ムラは発生しない。
【0061】
負荷付与手段210の負荷トルクは、記録材Pがニップ部Nを抜けた直後の、
(a)加圧レバー120の回転負荷
(b)定着ローラ100が加圧ローラ101に再当接する衝撃負荷
(c)定着ローラ100および加圧ローラ101のニップ圧力負荷
からの関係から得られる範囲内であり、関係式は以下である。
【0062】
再当接衝撃負荷(衝撃力負荷)<負荷付与手段トルク(負荷力)<ニップ圧力負荷
本実施例では、ニップ圧力を200N(ニュートン)とした。また、ニップ部Nから横軸111の中心間距離を20mmとした。また、横軸111から加圧バネ120の力点Sの距離を30mmとした。また、定着ローラ重量は70Nとし、加圧バネ120のバネ定数は60N/mmとした。当接距離(紙厚さ)を0.1mmとした。
【0063】
再当接衝撃負荷は、下記の算出式より算出される。
【0064】
・再当接衝撃力=(定着ローラ重量×当接速度)÷当接時間=約190N
当接速度=√(1÷(当接加速度÷当接距離))
当接加速度=(バネ定数×当接距離÷定着ローラ重量)
・再当接衝撃負荷=再当接衝撃力×(ニップ点Nから回転中心距離)=約19N・cm
・片側当り=19÷2=約9.5N・cm
ニップ圧力負荷は、下記算出式より算出される。
【0065】
・ニップ圧力負荷=ニップ圧力×(力点Sから回転中心距離)=約60N・cm
片側当り=60÷2=約30N・cm
上記算出結果より、負荷付与手段120のトルクを、19〜30N・cmの範囲に設定することで、ローラの圧接力負荷より低くニップ当接圧力の妨げとならず、且つ、衝撃力より小さいので、当接音抑止が可能となる。
【0066】
以上説明したように、記録材Pがニップ部Nに突入する際は、加圧レバー120に揺動負荷を与えず、記録材Pがニップ部Nを抜けてから、定着ローラ100と加圧ローラ101が再当接する際は加圧レバー120に揺動負荷を与える。これにより、記録材Pのニップ部突入挙動を変化させることなく再当接時の衝撃抑止が可能となる。
【0067】
[その他の実施形態]
(1)定着ローラ100を固定の支持部材に回転可能に支持させ、加圧ローラ101を可動の支持部材に回転可能に支持させて、加圧ローラ101を定着ローラ100に対して当接させる方向と離間させる方向とに揺動させる構成にすることもできる。
【0068】
(2)定着ローラ100と加圧ローラ101をそれぞれ可動の支持部材に回転可能に支持させて、定着ローラ100と加圧ローラ101とを互いに当接させる方向と離間させる方向とに揺動させる構成にすることもできる。
【0069】
即ち、定着ローラ100と加圧ローラ101との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動させる構成にすることができる。
【符号の説明】
【0070】
100・・第1の圧接部材(定着ローラ)、101・・第2の圧接部材(加圧ローラ)、X・・当接方向、Y・・離間方向、120・・支持部材(加圧レバー)、N・・加圧ニップ部、200・・付勢部材(加圧)バネ、P・・被加圧部材(記録材)、210・・負荷付与手段、211・・負荷方向規制手段(ワンウェイクラッチ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧力定着装置に搭載すれば好適な一対の圧接部材による加圧機構に関する。
【0002】
また、一対の圧接部材による加圧機構を有する、複写機、プリンタ、ファックス、それらの複合機等の記録材上に画像形成可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラム上に形成された潜像を現像して可視画像化する。そして、この可視画像(トナー像)を記録材に静電気力と圧力を用いて転写させ、次いで定着部において転写画像を熱と圧力により定着させることによって、前記記録材上に画像が記録形成されるようになっている。このような定着部においては、記録材に圧力を掛ける手段としてローラ対を圧接させて記録材を搬送しつつ定着工程を行っている。
【0004】
ローラ対を圧接する定着装置において、熱源を用いずに互いに圧接されたローラ対の圧接力で未定着画像を定着することにより、低ウォームアップタイムと省エネルギーに有利な圧力定着装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−11979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、熱源を用いずに圧力によりトナーを定着する圧力定着装置は、定着性確保をする為に表層が硬質なローラ対で加熱定着装置よりも高いニップ圧を掛けてトナーを圧力のみで定着している。そのため、記録材がニップ部を通過して、記録材後端がニップ部から排出された時に、記録材の厚さ分の高さから加圧力分の加速度をもって硬質ローラ表面同士が当接する為に、当接音が発生する。
【0007】
本発明は、上記の当接音の発生を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る加圧機構の代表的な構成は、第1の圧接部材と、第2の圧接部材と、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動可能に支持する支持部材と、前記支持部材を前記当接方向に移動付勢して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との間に被加圧部材を挟持搬送して加圧するための加圧ニップ部を形成する付勢部材と、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが前記付勢部材の付勢力に抗して離間している状態から前記支持部材が前記付勢部材の付勢力により前記当接方向に移動して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが当接するまでの間は、前記支持部材に前記当接方向への移動を減速する負荷を与える負荷付与手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の圧接部材と第2の圧接部材との加圧ニップ部を被加圧部材が抜けた際の第1の圧接部材と第2の圧接部材との再当接における当接力が弱められて再ニップ時の当接音を抑止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の一例の概略構成を示す縦断面模式図である。
【図2】実施例1の加圧機構を有する定着装置の外観斜視図である。
【図3】定着装置の左側面図である。
【図4】定着装置の右側面図である。
【図5】定着装置の横断左側面図(図2の(5)−(5)矢視図)である。
【図6】(a)と(b)は、それぞれ、左右の横軸の部分を軸線に沿って切った拡大平面図である。
【図7】負荷付与手段の一例の構造模式図である。
【図8】負荷付与手段の他の例の構造模式図である。
【図9】(a)は負荷方向規制手段として実施例で用いたワンウェイクラッチの要部の分解斜視図、(b)は動作図である。
【図10】負荷付与手段およびワンウェイクラッチの動作、作用説明図であり、記録材がニップ部を通過している状態を表した図である。
【図11】負荷付与手段およびワンウェイクラッチの動作、作用説明図であり、記録材がニップ部を通過し終わる状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0012】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の説明
図1は画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタ1の概略構成を示す縦断面模式図である。プリンタ1は制御回路部(制御基板:CPU)Aと通信可能に接続した外部ホスト装置Bからの入力画像情報に応じて作像動作して、シート状の記録材Pにフルカラー画像を形成してハードコピーとして出力することができる。装置Bはコンピュータ、イメージリーダー、ファクシミリ等である。制御回路部Aは装置Bと信号の授受をする。また、プリンタ1側の各種の作像機器と信号の授受をして作像シーケンス制御を司る。
【0013】
記録材Pはトナー画像が形成されるシート状の部材である。普通紙、樹脂製シート状物、厚紙、OHTシート(オーバーヘッドプロジェクター用シート)、封筒、はがき、ラベルなどが挙げられる。
【0014】
プリンタ1内には図面上左側から右側にかけて、第1乃至第4の4つの画像形成部Y・M・C・Bkが水平方向に並べられて配設されている。各画像形成部はいずれもレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、現像器に収容の現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様な構成である。
【0015】
即ち、各画像形成部は、それぞれ、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(像担持体:以下、ドラムと記す)2を有する。また、各ドラム2の周囲には、ドラム2に作用するプロセス手段としての、一次帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写ブレード6、クリーナ7が配置されている。
【0016】
画像形成部Y・M・C・Bkの下側には中間転写ベルトユニット8が配設されている。ユニット8は、無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)9と、ベルト9を懸回張設している駆動ローラ10・テンションローラ11・二次転写対向ローラ12を有する。各画像形成部Y・M・C・Bkの一次転写ブレード6はベルト9の内側に配設されていて、ベルト9のローラ11とローラ10との間の上行側ベルト部分を介して対応するドラム2の下面に圧接している。各ドラム2とベルト9との当接部が一次転写部である。
【0017】
ローラ12にはベルト9を介して二次転写ローラ13が圧接している。ベルト9とローラ13との当接部が二次転写部である。ベルト9はローラ10により矢印の時計方向にドラム2の回転速度に対応した速度にて循環移動される。
【0018】
本実施例において、第1の画像形成部Yは現像器5にイエロー(Y)色の現像剤(有彩色カラートナー)が収容されていて、ドラム2にY色トナー画像を形成する。第2の画像形成部Mは現像器5にマゼンタ(M)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にM色トナー画像を形成する。第3の画像形成部Cは現像器5にシアン(C)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にC色トナー画像を形成する。第4の画像形成部Bkは現像器5にブラック(Bk)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にBk色トナー画像を形成する。
【0019】
制御回路部100は装置200から入力したカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部Y・M・C・Bkを作像動作させる。これにより各画像形成部において回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、それぞれ、Y色、M色、C色、Bk色の色トナー画像が形成される。なお、ドラム2にトナー画像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
【0020】
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー画像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト9の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト9の面に上記のY色、M色、C色、Bk色の4つのトナー画像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。
【0021】
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下複数段のカセット給紙部14A・14Bのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ15が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってレジストローラ対18に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ19が駆動される。これにより、マルチ給紙トレイ20に積載セットされている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってローラ対18に搬送される。
【0022】
ローラ対18は、記録材Pを一旦受け止めて、記録材が斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、ローラ対18は、ベルト9上のトナー画像と同期を取って、記録材Pをベルト9とローラ13との圧接部である二次転写部に送り込む。これにより、二次転写部において、ベルト9上のフルカラーの合成トナー画像が一括して記録材Pの面に二次転写される。即ち、記録材Pの面に、複数の有彩色カラートナー画像の重畳画像である未定着トナー画像が形成される。
【0023】
以上の機構部が記録材Pに未定着画像を形成する画像形成手段部である。二次転写部を出た記録材Pはベルト9の面から分離されて、定着装置21に導入される。この装置21は本発明に従う加圧機構を備えた圧力定着装置であり、記録材Pに転写されたトナー像(未定釈画像)を加圧定着させるために一対の圧接部材である定着ローラ100および加圧ローラ101を備えている。この装置21については次の(2)項で詳述する。この装置21により、記録材P上の複数色のトナー画像が記録材P面に固着画像として圧力定着される。
【0024】
また、二次転写部にて記録材分離後のベルト8の面はベルトクリーナ22により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0025】
フルカラー以外のモノ黒などの単色或いは2次色若しくは多次色のプリントモードの場合には対応する色の画像形成部が作像動作制御される。また、片面プリントモードの場合においては、装置21を出た記録材Pは、予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされて、プリンタ側面に配置されているフェイスアップ排紙トレイ25に排出される。あるいは、プリンタ上面に配置されているフェイスダウン排紙トレイ28に排出される。
【0026】
トレイ25への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第1の姿勢に転換されているフラッパ23の下面側を通って直進し、第1の排紙ローラ24によりトレイ25上に画像面上向きで排出される。トレイ28への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。そして、第2の排紙ローラ27によりトレイ28上に画像面下向きで排出される。
【0027】
両面プリントモードの場合は、装置21を出た第1面に対する画像形成・定着済みの記録材Pが、第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。その記録材Pの搬送途中で後端が反転ポイントRに達したとき、搬送路26が逆搬送駆動に転換される。これにより、記録材Pがスイッチバック搬送されて両面搬送路29に入る。そして、搬送路29から再び搬送路16に入って、表裏反転された状態にて二次転写部に再搬送される。これにより、記録材Pは第2面に対する画像転写を受ける。
【0028】
二次転写部を出た記録材Pは再び装置21に導入される。装置21を出た両面プリント済みの記録材Pが、片面プリントモードの場合と同様に予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされてトレイ25又はトレイ28に排出される。フラッパ23、スイッチバック搬送路26等で構成される部分は反転手段の一例である。
【0029】
(2)定着装置
定着装置21は本発明に従う圧力機構を備えた圧力定着装置である。図2は本実施例における装置21の要部の外観斜視図である。図3は装置21の左側面図、図4は右側面図である。図5は横断左側面図(図2の(5)−(5)矢視図)である。
【0030】
ここで、装置21について、正面とは記録材Pの入口側、背面とは記録材Pの出口側である。左右とは装置21を正面から見て左または右である。また、構成部材に関して、前後とは記録材Pの搬送方向Eにおいて上流側と下流側である。
【0031】
110L・110Rは装置21の骨格となるメインフレームの左右側一対の前後方向に長い固定の支持部材(左側板と右側板)であり、所定の間隔をあけて対向している。この左右の支持部材110L・110R間に、支持部材長手中央部において、左右の軸端部101aをそれぞれ軸受103L・103Rを介して回転可能に支持させて左右方向に長い加圧ローラ(第2の圧接部材、第2の回転体)101が配設されている。
【0032】
120L・120Rは左右側一対の前後方向に長い可動の支持部材(以下、加圧レバーまたはレバーと記す)である。レバー120L・120Rは、それぞれ、後端部側が左右の固定の支持部材110L・110Rの後端部側に対して左右方向の横軸(レバーの揺動中心軸)111L・111Rを中心に上下方向に揺動可能に配設されている。左右の横軸111L・111Rはほぼ同軸である。左側の加圧レバー120Lは左側の固定の支持部材110Lの内側に位置している。右側の加圧レバー120Rは右側の固定の支持部材110Rの内側に位置している。
【0033】
この左右の加圧レバー111L・111R間に、レバー長手中央部において、左右の軸端部100aをそれぞれ軸受106L・106Rを介して回転可能に支持させて左右方向に長い定着ローラ(第1の圧接部材、第1の回転体)100が配設されている。
【0034】
定着ローラ100および加圧ローラ101は共に、鉄、アルミ等の金属製の円柱状芯金を基材としている。そして、焼き入れ等を施して、例えば、表面硬度をHRC略50以上に、表面改質を行った後に、最表層にメッキ等からなる皮膜層を例えば略10μm以下程度に設けられている。ローラの精度は定着圧力ムラを考慮して、円周振れを略10μm以下にしており回転ムラを抑止している。
【0035】
左右の固定の支持部材110L・110Rの前端部側には、それぞれ、内向きの折り曲げ座板部(舌片部)110aが配設されている。それらの座板部110aにはねじ穴110bが設けられている。また、左右の加圧レバー120L・120Rの前端部側には、それぞれ、内向きの折り曲げ座板部(舌片部)120aが配設されている。それらの座板部120aにはボルト差し込み穴120bが設けられている。
【0036】
そして、左右の加圧レバー120L・120Rのそれぞれにおいて加圧用のコイルバネ(圧縮バネ:付勢部材)200を外嵌したボルト(バネ保持部材)201のネジ部先端側を座板部120aの穴120bに上から差し込む。更にネジ部先端側をそれぞれ固定の支持部材110L・110R側の座板部110aのねじ穴110bに螺合させる。
【0037】
左右のボルト201をそれぞれねじ穴110bにねじ込むと、バネ200がホルト201の頭部下面と座板部120aの上面との間に弾性に抗して圧縮される。このバネ200の圧縮反力により左右の加圧レバー120L・120Rがそれぞれ軸111L・111Rを中心に下方に揺動付勢される。これにより、定着ローラ100が加圧ローラ101に対して弾性的に圧接して該両ローラ100・101間に圧力定着ニップ部(加圧ニップ部)Nが形成される。左右のボルト201のねじ込み量をそれぞれ調節することで、ニップ部長手に沿ってほぼ均一で所定の加圧力のニップ部Nを形成することができる。
【0038】
ニップ部Nよりも記録材搬送方向Eの上流側には左右の固定の支持部材110L・110Rに支持させて記録材入口ガイド104が配設されている。また、ニップ部Nよりも記録材搬送方向Eの下流側には左右の固定の支持部材110L・110Rに支持させて記録材出口ガイド105が配設されている。
【0039】
定着ローラ100および加圧ローラ101は、定着モータMを含む駆動機構によって記録材Pを挟持搬送する方向に回転駆動される。駆動機構は図の煩雑を避けるために図省力には省略したけれども定着モータMで駆動されるギア機構やベルト機構とすることができる。そして、二次転写部側から搬送された、上面に未定着トナー像を担持した記録材(被加圧部材)Pがガイド104に案内されてニップ部Nに導入され、ニップ部Nで挟持搬送される。
【0040】
記録材Pはニップ部Nを通過する過程で、記録材Pに定着ローラ100と加圧ローラ101との当接圧力が付与され、記録材上の未定着トナー像が固着画像として加圧定着される。ニップ部Nを出た記録材は定着ローラ100から分離してガイド105に案内され装置21から出る。
【0041】
図6の(a)と(b)は、それぞれ、左右の横軸111L・1110Rの部分を軸線に沿って切った拡大平面図である。左右の固定の支持部材110L・110Rの外側には、それぞれ、横軸111L・1110Rに対する負荷付与手段(トルクリミッタ:バッファ機構)210L・21Rが固定して配設されている。この負荷付与手段210L・21Rの中心にそれぞれ横軸111L・1110Rが回転自在に保持されて存在している。
【0042】
左右の加圧レバー120L・120Rの内側には、それぞれ、負荷方向規制手段としてのワンウェイクラッチ211L・221Rが固定して配設されている。このワンウェイクラッチ211L・221Rの中心にそれぞれ横軸111L・1110Rが回転自在に保持されて存在している。即ち、横軸111Lは負荷付与手段210Lとワンウェイクラッチ211Lとの両者にわたって存在している。また、横軸111Rは負荷付与手段210Rとワンウェイクラッチ211Rとの両者にわたって存在している。212は横軸111の外端部側と内端部側とに嵌着した止め輪である。
【0043】
ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるから加圧レバー120L・120Rが横軸111L・1110Rを中心に上下方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に正逆方向に回転する。
【0044】
負荷付与手段210L・210Rは、内部に負荷トルクを発生させる部材が具備されており、横軸111L・1110Rに対して負荷トルクを与える。そのような負荷付与手段210としては適宜の構成のものを用いることができる。
【0045】
図7はその一例の構造模式図である。この負荷付与手段210は、回転可能部材210a(横軸111に対応)と固定部材210b(支持部材110に固定される部材に対応)の二つで構成される。互いの部材210aと210bには、円筒上の永久磁石M1とM2を異極で引き合うように、中心を合わせて非接触配置して、回転能部材210bの回転時に磁力により回転負荷トルクを発生させる方式である。
【0046】
図8は他の例の構造模式図である。この負荷付与手段210は、回転可能部材210aと固定部材210bの二つで構成されている。固定部材210bに設けた螺旋状スプリング形状部材210cの内側に円柱状の回転可能な部材210aを設けて、摺動負荷で回転可能部材210aに回転負荷を発生させる方式である。このように回転負荷を与える方式であれば構造は問わず用いることができる。
【0047】
図9は本実施例で用いたワンウェイクラッチ211の構造説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は動作図である。ワンウェイクラッチ211は、中心に係合される軸111が一方向Xに回転する際はフリー回転して、その反対方向Yに回転する際は軸111をロックする機構となっている。
【0048】
フリー回転およびロックをする手段としては、ワンウェイクラッチ内部の軸係合部211aにバネ211bで移動付勢された円柱部材211cが周状に可動可能に配置されている。軸111がフリー方向Yに回転する際は、円柱部材211cがバネ211bの押圧力に抗して軸111から離れる方向に回転移動し、ロック方向Xに回転する際は、円柱部材211cが非回転状態でバネ211bの押圧力で軸111に当接しつつ軸111をロックする。即ち、ワンウェイクラッチ211と軸111が一体化する。
【0049】
以下に、負荷付与手段210およびワンウェイクラッチ211の動作、作用について、図10および図11に基づいて説明する。図10は記録材Pがニップ部Nを通過している状態を表した図であり、図11は記録材Pがニップ部Nを通過し終わる状態を表した図である。
【0050】
ニップ部Nに記録材Pが導入されると、定着ローラ100は記録材Pの厚分だけバネ200の加圧力に抗しても持ち上げられる。このとき、定着ローラ100を支持している左右の加圧レバー120L・120Rは横軸111L・111Rを中心にバネ200の付勢力に抗して上方に揺動する。即ち、左右の加圧レバー120L・120Rは定着ローラ100を加圧ローラ101から離間させる離間方向Yに揺動する。
【0051】
そして、ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるからレバー120L・120Rの上方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に図10において矢印Yの時計方向に回転する。ワンウェイクラッチ211L・120RはY方向に回転する際は横軸111L・1110Rに対してフリー回転となるように配置されており、クラッチ中心に係合された横軸111L・1110Rを回さない。
【0052】
従って、この場合は、左右の加圧レバー120L・120Rはそれぞれ負荷付与手段210L・210Rに対して非接続の状態で横軸111L・1110Rを中心にバネ200の付勢力に抗して上方に揺動する。
【0053】
即ち、記録材Pがニップ部Nに突入すると、記録材Pの厚さ分を定着ローラ100が持ち上げられる為に、レバー120およびワンウェイクラッチ211はY方向に揺動する。その際、ワンウェイクラッチ211はフリー方向回転であり、横軸111を回さない為に加圧レバー120の回転負荷がなくスムーズに加圧レバー120が動作する。そして、ニップ部Nを挟持搬送される記録材Pにはバネ200によるニップ圧力が作用してトナー像の加圧定着がなされる。
【0054】
ニップ部Nによる記録材Pの挟持搬送が進行して、記録材Pの後端部がニップ部Nを抜けると、定着ローラ100はバネ200の付勢力で下降動して加圧ローラ101に圧接する。この定着ローラ100の下降動において、定着ローラ100を支持している左右の加圧レバー120L・120Rは横軸111L・111Rを中心に下方に揺動する。
【0055】
即ち、加圧レバー120L・120Rは定着ローラ100を加圧ローラ101に当接させる当接方向Xに揺動する。そして、ワンウェイクラッチ211L・221Rはそれぞれ左右の加圧レバー120L・120Rと一体であるからレバー120L・120Rの下方向に揺動するのに伴って横軸111L・1110Rを中心に図11において矢印Xの反時計方向に回転する。
【0056】
ワンウェイクラッチ211L・120RはX方向に回転する際は横軸111L・1110Rに対してロックする。これにより、ワンウェイクラッチ211L・120Rは中心に係合された横軸111L・1110Rと一体となり、該横軸111L・1110Rが加圧レバー120L・120Rと同期回転する。この場合は、左右の加圧レバー120L・120Rはそれぞれワンウェイクラッチ211L・120R、横軸111L・1110Rを介して負荷付与手段210L・210Rに対して接続された状態になる。これにより、横軸111L・111Rに負荷トルク(負荷力:バッファー作用)が与えられる。
【0057】
即ち、ワンウェイクラッチ211は、加圧レバー120およびワンウェイクラッチ211がX方向に揺動する際は、中心に係合された横軸111をロックする為に、加圧レバー120と同期回転する。横軸111は負荷付与手段210の内部の回転可能部材を回転させて、横軸111に負荷トルクを与える。これにより、加圧レバー120の動作に回転負荷を与える。
【0058】
従って、圧接ローラ対100.101のニップ部Nを記録材Pが抜けた際の再当接における当接力(衝撃力負荷)が負荷付与手段210によるバッファー作用により弱められて、ローラ対100・101の再ニップ時の当接音を抑止することが出来る。
【0059】
上記をまとめると、負荷付与手段210は次のような働きをしている。ローラ100とローラ101とがバネ200の付勢力に抗して離間している状態からレバー120がバネ200の付勢力により当接方向Xに移動して両ローラ100・101が当接するまでの間は、レバー120に当接方向Xへの移動を減速する負荷を与える。そして、負荷方向規制手段としてのワンウェイクラッチ211は負荷付与手段210の負荷をレバー120の揺動方向の一方向にしか働かせず、レバー120の当接方向Xへの移動時には負荷を与え、離間方向Yへの移動時には負荷を与えない。
【0060】
ここで、本構成の動作によるとローラの回転ムラにより、当接方向Xの加圧力ムラが発生しそうだが、圧力定着方式自体が回転ムラにより定着ムラを起こす。その為に、その抑止策として、前記のローラ円周振れ精度を高めて(例えば略10μm以下)回転ムラを抑止しており、そのことで本構成による加圧ムラは発生しない。
【0061】
負荷付与手段210の負荷トルクは、記録材Pがニップ部Nを抜けた直後の、
(a)加圧レバー120の回転負荷
(b)定着ローラ100が加圧ローラ101に再当接する衝撃負荷
(c)定着ローラ100および加圧ローラ101のニップ圧力負荷
からの関係から得られる範囲内であり、関係式は以下である。
【0062】
再当接衝撃負荷(衝撃力負荷)<負荷付与手段トルク(負荷力)<ニップ圧力負荷
本実施例では、ニップ圧力を200N(ニュートン)とした。また、ニップ部Nから横軸111の中心間距離を20mmとした。また、横軸111から加圧バネ120の力点Sの距離を30mmとした。また、定着ローラ重量は70Nとし、加圧バネ120のバネ定数は60N/mmとした。当接距離(紙厚さ)を0.1mmとした。
【0063】
再当接衝撃負荷は、下記の算出式より算出される。
【0064】
・再当接衝撃力=(定着ローラ重量×当接速度)÷当接時間=約190N
当接速度=√(1÷(当接加速度÷当接距離))
当接加速度=(バネ定数×当接距離÷定着ローラ重量)
・再当接衝撃負荷=再当接衝撃力×(ニップ点Nから回転中心距離)=約19N・cm
・片側当り=19÷2=約9.5N・cm
ニップ圧力負荷は、下記算出式より算出される。
【0065】
・ニップ圧力負荷=ニップ圧力×(力点Sから回転中心距離)=約60N・cm
片側当り=60÷2=約30N・cm
上記算出結果より、負荷付与手段120のトルクを、19〜30N・cmの範囲に設定することで、ローラの圧接力負荷より低くニップ当接圧力の妨げとならず、且つ、衝撃力より小さいので、当接音抑止が可能となる。
【0066】
以上説明したように、記録材Pがニップ部Nに突入する際は、加圧レバー120に揺動負荷を与えず、記録材Pがニップ部Nを抜けてから、定着ローラ100と加圧ローラ101が再当接する際は加圧レバー120に揺動負荷を与える。これにより、記録材Pのニップ部突入挙動を変化させることなく再当接時の衝撃抑止が可能となる。
【0067】
[その他の実施形態]
(1)定着ローラ100を固定の支持部材に回転可能に支持させ、加圧ローラ101を可動の支持部材に回転可能に支持させて、加圧ローラ101を定着ローラ100に対して当接させる方向と離間させる方向とに揺動させる構成にすることもできる。
【0068】
(2)定着ローラ100と加圧ローラ101をそれぞれ可動の支持部材に回転可能に支持させて、定着ローラ100と加圧ローラ101とを互いに当接させる方向と離間させる方向とに揺動させる構成にすることもできる。
【0069】
即ち、定着ローラ100と加圧ローラ101との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動させる構成にすることができる。
【符号の説明】
【0070】
100・・第1の圧接部材(定着ローラ)、101・・第2の圧接部材(加圧ローラ)、X・・当接方向、Y・・離間方向、120・・支持部材(加圧レバー)、N・・加圧ニップ部、200・・付勢部材(加圧)バネ、P・・被加圧部材(記録材)、210・・負荷付与手段、211・・負荷方向規制手段(ワンウェイクラッチ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の圧接部材と、
第2の圧接部材と、
前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を前記当接方向に移動付勢して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との間に被加圧部材を挟持搬送して加圧するための加圧ニップ部を形成する付勢部材と、
前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが前記付勢部材の付勢力に抗して離間している状態から前記支持部材が前記付勢部材の付勢力により前記当接方向に移動して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが当接するまでの間は、前記支持部材に前記当接方向への移動を減速する負荷を与える負荷付与手段と、
を有することを特徴とする加圧機構。
【請求項2】
前記負荷付与手段の負荷を前記支持部材の揺動方向の一方向にしか働かせない負荷方向規制手段を有することを特徴とする請求項1に記載の加圧機構。
【請求項3】
前記負荷方向規制手段は、前記支持部材の前記当接方向への移動時には負荷を与え、前記離間方向への移動時には負荷を与えないことを特徴とする請求項2に記載の加圧機構。
【請求項4】
前記負荷付与手段の負荷力は、前記付勢部材による前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との圧接力負荷より弱く、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との当接時の衝撃力負荷より強いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項5】
前記負荷付与手段は、前記支持部材の揺動中心軸に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項6】
前記負荷方向規制手段は、前記支持部材に一体に設けたことを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項7】
記録材に未定着画像を形成する画像形成手段部と、前記記録材の未定着画像を一対の圧接部材が形成する加圧ニップ部で挟持搬送して加圧する圧力定着装置と、を有する画像形成装置において、前記圧力定着装置が請求項1から請求項6の何れか一項に記載の加圧機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1の圧接部材と、
第2の圧接部材と、
前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との少なくとも一方の圧接部材を他方の圧接部材に対して当接させる当接方向と離間させる離間方向とに揺動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を前記当接方向に移動付勢して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との間に被加圧部材を挟持搬送して加圧するための加圧ニップ部を形成する付勢部材と、
前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが前記付勢部材の付勢力に抗して離間している状態から前記支持部材が前記付勢部材の付勢力により前記当接方向に移動して前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材とが当接するまでの間は、前記支持部材に前記当接方向への移動を減速する負荷を与える負荷付与手段と、
を有することを特徴とする加圧機構。
【請求項2】
前記負荷付与手段の負荷を前記支持部材の揺動方向の一方向にしか働かせない負荷方向規制手段を有することを特徴とする請求項1に記載の加圧機構。
【請求項3】
前記負荷方向規制手段は、前記支持部材の前記当接方向への移動時には負荷を与え、前記離間方向への移動時には負荷を与えないことを特徴とする請求項2に記載の加圧機構。
【請求項4】
前記負荷付与手段の負荷力は、前記付勢部材による前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との圧接力負荷より弱く、前記第1の圧接部材と前記第2の圧接部材との当接時の衝撃力負荷より強いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項5】
前記負荷付与手段は、前記支持部材の揺動中心軸に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項6】
前記負荷方向規制手段は、前記支持部材に一体に設けたことを特徴とする請求項3から請求項5の何れか一項に記載の加圧機構。
【請求項7】
記録材に未定着画像を形成する画像形成手段部と、前記記録材の未定着画像を一対の圧接部材が形成する加圧ニップ部で挟持搬送して加圧する圧力定着装置と、を有する画像形成装置において、前記圧力定着装置が請求項1から請求項6の何れか一項に記載の加圧機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−141527(P2012−141527A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−971(P2011−971)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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