説明

加圧流動床ボイラの排ガス分析装置

【目的】 加圧流動床ボイラの排ガスからサンプリングしたサンプリングガスを、O2濃度の計測を行った後、脱硝装置に導いて脱硝できるようにする。
【構成】 加圧流動床ボイラの排ガス出口部と脱硝装置18入口部との間を圧力容器1を貫通したサンプリング管26,27によって接続し、サンプリング管26,27に、圧力容器1の貫通部の外側を所要の間隙を有して包囲する外管を設けて該外管とサンプリング管26,27との間に加圧流動床ボイラに供給する燃焼空気5の一部を供給することによりサンプリングガス24を所定温度に冷却するようにした冷却装置32,33と、冷却されたサンプリングガス24の圧力を所定圧力に減圧するオリフィス35,36と、減圧されたサンプリングガス24のO2濃度を計測するジルコニア式限界電流型O2計37,38とを順次備え、O2計測後のサンプリングガス24を脱硝装置18に導けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加圧流動床ボイラの排ガス分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来から考えられている加圧流動床ボイラの一例を示したもので、加圧流動床ボイラは圧力容器1の内部に流動床ボイラ2を備えており、下部の燃焼空気取入口3から取入れられて分散板4から噴出される燃焼空気5により流動媒体6の流動化を行いながら燃焼を行い、燃焼後の排ガス7は、圧力容器1内に備えられたサイクロン8,9により流動媒体及び燃焼灰等のダストを除去した後、サイクロン8,9に接続した圧力容器1内の排ガス管10,11から圧力容器1外部の排ガス管12及びセラミックフィルタ43を介してガスタービン13に導かれるようになっている。前記流動床ボイラ2からの排ガス7は、10kg/cm2の高い圧力と、830℃の高い温度を有している。
【0003】ガスタービン13は、前記排ガス管12からセラミックフィルタ43を介して排ガス7によって回転されて同軸に設けた空気圧縮機14を駆動するようになっており、空気圧縮機14は空気15を吸引して圧縮し、圧縮した燃焼空気5を空気管16を介して前記圧力容器1内上部に導くようにしており、圧力容器1内に導かれた燃焼空気5は圧力容器1内を通って前記流動床ボイラ2の空気取入口3に導かれるようになっている。13aはガスタービンに接続された発電機を示す。
【0004】また、前記ガスタービン13から出た排ガス7は、排ガス管17を介して脱硝装置18に導入されて脱硝された後、煙突19に導かれて外部に排出されるようになっている。
【0005】上記したような加圧流動床ボイラにおいては、流動床ボイラ2の燃焼を管理する目的から排ガス7のO2濃度を計測することが重要になっている。また、排ガス7のO2濃度を計測する場合、流動床ボイラ2から遠く離れた位置で排ガス7をサンプリングしたのでは漏れ等の発生によって正確な計測を行うことができないので、流動床ボイラ2に近いサイクロン8,9から出た直後の排ガス管10,11の夫々にサンプリング管20,21を接続し、該サンプリング管20,21を圧力容器1を貫通させて外部に導き、従来から一般のボイラに用いられている酸素濃淡電池型のO2計22,23に接続することにより、サンプリングガス24のO2濃度の計測を行うようにしている。
【0006】酸素濃淡電池型のO2計22,23は、ジルコニア磁器で隔離された両面のO2濃度の比の対数に比例した起電力を発生するようになっているもので、前記ジルコニア磁器の一側面を基準O2とし、他側面に計測しようとするサンプリングガス24を供給することによりO2濃度を計測することができるが、前記酸素濃淡電池型のO2計22,23は耐圧、耐熱性が非常に低く、そのために流動床ボイラ2からの排ガス7が通常10kg/cm2の圧力と、830℃の温度を有しているのに対して、500mmH2O程度以下の圧力、100℃程度以下の温度に低減させる必要がある。
【0007】このため従来考えられている加圧流動床ボイラでは、サンプリングガス24は冷却水等を用いた冷却器によって冷却することにより前記100℃程度以下の温度を保持させるようにし、また減圧室25を設ける等によって500mmH2O程度以下の圧力に減圧した後、前記酸素濃淡電池型のO2計22,23によってサンプリングガス24のO2濃度を計測するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記加圧流動床ボイラの排ガス分析装置においては、酸素濃淡電池型のO2計22,23を用いているために、サンプリングガス24を100℃程度以下の温度と、500mmH2O程度以下の圧力に調節する必要があり、そのために温度及び圧力の関係から計測後のサンプリングガス24を脱硝装置18に導入して脱硝することができなかった。
【0009】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、加圧流動床ボイラの排ガスからサンプリングしたサンプリングガスを、O2濃度の計測を行った後、脱硝装置に導いて脱硝することができるようにした加圧流動床ボイラの排ガス分析装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧力容器内の流動床ボイラの排ガスを排ガス管及びセラミックフィルタを介して導入し同軸に設けた空気圧縮機を駆動して燃焼空気を前記圧力容器を介して流動床ボイラに供給するガスタービンと、該ガスタービンから出た排ガスを導入して脱硝を行う脱硝装置とを備えた加圧流動床ボイラにおける前記流動床ボイラの排ガス出口部と前記脱硝装置入口部との間を、圧力容器を貫通したサンプリング管によって接続し、該サンプリング管に、圧力容器の貫通部外側を所要の間隙を有して包囲する外管を設けて該外管とサンプリング管との間に前記燃焼空気の一部を供給することによりサンプリングガスを所定温度に冷却するようにした冷却装置と、冷却されたサンプリングガスの圧力を所定圧力に減圧するオリフィスと、減圧されたサンプリングガスのO2濃度を計測するジルコニア式限界電流型O2計とを順次備えたことを特徴とする加圧流動床ボイラの排ガス分析装置、に係るものである。
【0011】
【作用】本発明では、加圧流動床ボイラの排ガスの一部がサンプリングガスとしてサンプリング管により外部に取り出される際、冷却装置の外管内に燃焼空気を外側から供給することによりサンプリングガスを冷却し、冷却を行った燃焼空気は圧力容器内に吹き込まれることにより有効に利用される。この時、冷却後のサンプリングガスの温度が350℃程度以下になるように燃焼空気の流量を調節する。
【0012】冷却されたサンプリングガスは、オリフィスによって所定の圧力に減圧される。この時、減圧後のサンプリングガスの圧力が2kg/cm2程度になるようにオリフィスの絞りを決めている。
【0013】冷却と減圧が行われたサンプリングガスはジルコニア式限界電流型O2計によってO2濃度が計測され、計測後のサンプリングガスは脱硝装置に導かれて排ガスと共に脱硝される。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0015】図3は本発明を適用した加圧流動床ボイラの全体を示し、また図1は本発明の要部を示したもので、図4と同一のものには同一の符号を付すことによって説明を省略する。
【0016】図3に示すように、流動床ボイラ2に接続された各サイクロン8,9に一端が接続され、圧力容器1を貫通して外部に導出するようにした2本のサンプリング管26,27を設けて分析装置28に接続し、該分析装置28から出たサンプリング管26,27を排ガス管17の脱硝装置18の入口部に接続する。
【0017】分析装置28は、図1に示すように、前記各サンプリング管26,27が圧力容器1を貫通している貫通部に、図2に示すようにサンプリング管26,27の外側を所要の間隙を有して包囲する外管29を設置し、該外管29とサンプリング管26,27との間に空気圧縮機14からの燃焼空気5の一部を分岐管30を介して導くようにした冷却装置32,33を配設している。このとき分岐管30の途中に流量調節弁31を備えて燃焼空気5の流量を調節できるようにしても良い。
【0018】サンプリング管26,27における冷却装置32,33の夫々の下流側には、図1に示すようにボール弁34を配設し、該ボール弁34の下流に、冷却装置32,33にて冷却されたサンプリングガス24の圧力を所定圧力に減圧するオリフィス35,36を設ける。
【0019】更に、前記オリフィス35,36の夫々の下流側に、ジルコニア式限界電流型O2計37,38を配設する。
【0020】ジルコニア式限界電流型O2計37,38は、酸素ポンピング型O2計とも呼ばれており、ジルコニア磁器で隔離された両面に電圧を印加すると、陰極近傍の酸素がイオン化してジルコニア磁気を通して陽極側へ移動し、この時に流れる電流の大きさが陰極側雰囲気のO2濃度に比例するというものであり、陰極側に前記サンプリングガス24を供給しておくことによりサンプリングガス24のO2濃度を計測することができるようになっている。ジルコニア式限界電流型O2計37,38は、検出値の出力が圧力の1/2乗に比例するようになっており、圧力に対する依存特性が小さい限界電流型になっている。また上記ジルコニア式限界電流型O2計37,38の圧力による変化に対しては、ジルコニア式限界電流型O2計37,38の上流側に圧力計39,40を配置して該圧力計39,40の検出圧力に基づいて補正を行うようにしている。
【0021】ジルコニア式限界電流型O2計37,38によるO2濃度の計測が行われたサンプリングガス24は、サンプリング管26,27の接続によって合流された後、ボール弁40を介して脱硝装置18の入口に導かれている。
【0022】また、前記各サンプリング管26,27における冷却装置32,33とボール弁34との間には、N2(窒素ガス)を導入して前記サンプリング管26,27内をパージするためのボール弁41を有したパージ管42が接続してある。
【0023】次に上記実施例の作用を説明する。
【0024】流動床ボイラ2に接続されたサイクロン8,9の出口の排ガス7の一部が、サンプリング管26,27によりサンプリングガス24として外部に取り出される際、冷却装置32,33の外管29内に外側から燃焼空気5を供給することによりサンプリングガス24の冷却を行う。この時、冷却装置32,33によって冷却されたサンプリングガス24の温度が350℃程度以下になるように、燃焼空気5の流量を調節する。また、前記冷却を行った後の燃焼空気5は圧力容器1内に吹き込まれて有効に利用される。
【0025】冷却装置32,33により冷却されたサンプリングガス24は、オリフィス35,36によって所定の圧力に減圧される。この時、減圧後のサンプリングガス24の圧力が2kg/cm2程度以下になるようにオリフィス35,36の絞りを決めている。
【0026】冷却と減圧が行われたサンプリングガス24は、夫々ジルコニア式限界電流型O2計37,38によってO2濃度が計測される。この時、限界電流型O2計を用いていることにより、サンプリングガス24の温度が350℃前後、圧力が2kg/cm2であっても良好に精度よく計測することができ、よってO2計測が行われた後のサンプリングガス24を、脱硝反応に必要な温度を維持しながら脱硝装置18に導いて排ガス管17からの排ガス7と共に脱硝することができる。
【0027】尚、本発明は前記実施例にのみ限定されるものではなく、サンプリング管を2本備えた場合について例示したがサンプリング管を設置する本数には限定されないこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内に於いて種々変更を加え得ることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】本発明の加圧流動床ボイラの排ガス分析装置によれば、以下のような優れた効果を奏し得る。
【0029】(I)サンプリングガスのO2濃度の計測をジルコニア式限界電流型O2計を用いて行うようにしていることにより、圧力、温度が高い状態で計測を行うことができ、よって計測後のサンプリングガスを脱硝装置に導いて脱硝を行うことができる。
【0030】(II)サンプリングガスの冷却を圧力容器に導く燃焼空気の一部を用いて行うようにしているので、特別な冷却源を必要とせず簡単な構成で容易にサンプリングガスを冷却することができると共に、冷却後の燃焼空気をそのまま圧力容器に供給して有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の冷却装置の一例を示す断面図である。
【図3】本発明を適用した加圧流動床ボイラの全体概略図である。
【図4】従来の加圧流動床ボイラの一例を示す全体概略図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 流動床ボイラ
5 燃焼空気
7 排ガス
10 排ガス管
11 排ガス管
12 排ガス管
13 ガスタービン
14 空気圧縮機
18 脱硝装置
24 サンプリングガス
26 サンプリング管
27 サンプリング管
28 分析装置
29 外管
32 冷却装置
33 冷却装置
35 オリフィス
36 オリフィス
37 ジルコニア式限界電流型O2
38 ジルコニア式限界電流型O2
43 セラミックフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧力容器内の流動床ボイラの排ガスを排ガス管及びセラミックフィルタを介して導入し同軸に設けた空気圧縮機を駆動して燃焼空気を前記圧力容器を介して流動床ボイラに供給するガスタービンと、該ガスタービンから出た排ガスを導入して脱硝を行う脱硝装置とを備えた加圧流動床ボイラにおける前記流動床ボイラの排ガス出口部と前記脱硝装置入口部との間を、圧力容器を貫通したサンプリング管によって接続し、該サンプリング管に、圧力容器の貫通部外側を所要の間隙を有して包囲する外管を設けて該外管とサンプリング管との間に前記燃焼空気の一部を供給することによりサンプリングガスを所定温度に冷却するようにした冷却装置と、冷却されたサンプリングガスの圧力を所定圧力に減圧するオリフィスと、減圧されたサンプリングガスのO2濃度を計測するジルコニア式限界電流型O2計とを順次備えたことを特徴とする加圧流動床ボイラの排ガス分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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