説明

加圧流動床複合発電システム及び加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法

【課題】加圧流動床ボイラーに混練物を供給する設備の一部が故障したときでも、発電出力を下げて運転せず、または、加圧流動床ボイラーを停止せずに、安定した発電を行うことが可能な加圧流動床複合発電装置及び加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法を提供する。
【解決手段】搬送コンベア32は、混練物を混練機22から搬送コンベア42,46に搬送することができるように、混練機22の近傍に設けられている。搬送コンベア42は、搬送コンベア32によって搬送された混練物をタンク群56に搬送することができるように、搬送コンベア32の近傍に設けられている。搬送コンベア46は、搬送コンベア32によって搬送された混練物をタンク群66に搬送することができるように、搬送コンベア32の近傍に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流動床複合発電システム及び加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力において、石炭を燃焼させるボイラーの燃焼方式は、燃料の炭種が限定される微粉炭燃焼方式、及び、高効率化、大出力化に限界がある常圧流動床燃焼方式から、炭種に限定されず、高い発電効率の加圧流動床燃焼複合発電方式(以下、PFBCと略す。)へ移行されることが予測される。
【0003】
PFBCに使用される加圧流動床ボイラーは、圧力容器内に収容されている。発電時、加圧流動床ボイラー(以下、ボイラーと略す場合がある。)内は、コンプレッサからの燃焼用空気で加圧状態に保たれている。この加圧状態となっているボイラー内に、燃料として石炭粒子、流動媒体(BM)として流動する石灰石粒子、及び、水を混練させた混練物が投入(供給)されると、石灰石粒子と流動しながら石炭が効率よく燃焼される。PFBCでは、このときに発生する燃焼ガスによってガスタービンを駆動させることが可能である。従来、PFBCで使用される装置(以下、複合発電装置と略す場合がある。)は、ボイラー一缶とガスタービン一基とを備えたいわゆる一缶一軸方式の複合発電装置が主流であった。
【0004】
ところで、この加圧流動床ボイラーを設置場所に設置する場合、設置場所にボイラーの資材を持ち込んで一から製作するよりも、製作所で製作されたボイラーの完成品を設置場所に輸送して設置した方が、現地工事の大幅な削減を図ることができる。
【0005】
しかし、加圧流動床ボイラーの大型化に伴い、加圧流動床ボイラーを現地に輸送することが困難になり、さらには、現地で加圧流動床ボイラーを設置する作業が困難になってきた。そこで、加圧流動床ボイラーを二分割することにより、上記問題を解消した、加圧流動床ボイラー二缶を備えたいわゆる二缶方式の複合発電装置が考案された(特許文献1参照)。
【0006】
二缶方式の複合発電装置の一例を、図11に示す。図11に示すように、二缶方式の複合発電装置300は、ボイラー312,314、さらには、このボイラー312に混練物を供給する混練物供給設備として、石炭、石灰石粒子、石灰石スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させる混練機322、混練物を貯蔵する貯蔵タンク352、混練機322から混練物を貯蔵タンク352に搬送する搬送コンベア332、及び、貯蔵タンク352に貯蔵された混練物をボイラー312に投入する投入ポンプ372を備える。また、複合発電装置300は、ボイラー314に対応して設置される混練機324、貯蔵タンク362、搬送コンベア334、及び、投入ポンプ374を備える。すなわち、二缶方式の複合発電装置300は、ボイラー312,314それぞれに混練物を供給するための二系統の混練物供給設備を備える。
【特許文献1】特開平成7年−145709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、二缶方式の複合発電装置300の一系統の混練物供給設備の一部、例えば、混練機322、搬送コンベア332、または、貯蔵タンク352が故障した場合は、ボイラー312への混練物の供給が停止されるため、故障した設備が修復されるまで発電出力を下げて運転を行い、または、ボイラー312の運転を停止する等の処置が必要であった。したがって、安定した発電を行うために従来の混練物供給設備とは異なる新たな複合発電装置が求められていた。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、加圧流動床ボイラーに混練物を供給する設備の一部が故障したときでも、発電出力を下げて運転せず、または、加圧流動床ボイラーを停止せずに、安定した発電を行うことが可能な加圧流動床複合発電装置及び加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 2缶の加圧流動床ボイラーと、それぞれが前記加圧流動床ボイラー内で流動層を形成する石灰石粒子、前記加圧流動床ボイラー内で燃料となる石炭粒子、及び、水を所定の混合比で混練して混練物を得る2機の混練機と、それぞれが各加圧流動床ボイラーに対応して設置された2つのタンク群であって、それぞれが前記混練物を貯蔵する2基の貯蔵タンクを有する2つのタンク群と、それぞれが各タンク群の各貯蔵タンクに設けられる4つの投入装置と、それぞれが各混練機に対応して設置される2つの搬送装置と、を備え、各投入装置は、各タンク群の各貯蔵タンクに貯蔵された前記混練物を各タンク群と対応する各加圧流動床ボイラーに投入し、前記搬送装置の一方及び他方は、それぞれ、前記混練機の一方及び他方から各タンク群の各貯蔵タンクに前記混練物を搬送する加圧流動床複合発電装置。
【0010】
(1)の発明は、2缶の加圧流動床ボイラー、2機の混練機、2つの搬送装置、それぞれが2基の貯蔵タンクを有する2つのタンク群、及び、各貯蔵タンクに設けられる4つの投入装置を備える加圧流動床複合発電装置である。ここで、例えば、2機の混練機のいずれか、例えば、2機の混練機の一方が故障したとしても、搬送装置の他方は混練機の他方から各タンク群の各貯蔵タンクに混練物を搬送することが可能である。
【0011】
また、本発明に係る2つのタンク群それぞれは、各加圧流動床ボイラーに対応して設置されており、1つのタンク群は2基の貯蔵タンクを有するので、貯蔵タンクの一方が故障したときでも、貯蔵タンクの他方から加圧流動床ボイラーに混練物が供給できるようになっている。
【0012】
以上により、本発明によれば、加圧流動床ボイラーに混練物を供給する設備の一部が故障したときでも、発電出力を下げて運転せず、または、加圧流動床ボイラーを停止せずに、安定した発電を行うことが可能である。
【0013】
(2) 前記搬送装置の一方は、前記混練機の一方に対応して設置される第1のコンベアと、前記タンク群の一方に対応して設置される第2のコンベアと、前記タンク群の他方に対応して設置される第3のコンベアと、を有し、前記搬送装置の他方は、前記混練機の他方に対応して設置される第4のコンベアと、前記タンク群の一方に対応して設置される第5のコンベアと、前記タンク群の他方に対応して設置される第6のコンベアと、を有し、前記加圧流動床ボイラーの一方と他方とでは、層高変化特性が異なる(1)記載の加圧流動床複合発電装置において、前記加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法であって、前記第3のコンベア及び前記第5のコンベアを停止し、前記混練機の一方によって混練された前記混練物が前記加圧流動床ボイラーの一方に投入された場合に前記加圧流動床ボイラーの一方の層高が経時的に変化しないように、前記混練機の一方の前記所定の混合比を決定し、前記混練機の他方によって混練された混練物が前記加圧流動床ボイラーの他方に投入された場合に前記加圧流動床ボイラーの他方の層高が経時的に変化しないように、前記混練機の他方の前記所定の混合比を決定し、前記第1のコンベアによって前記混練物を前記混練機の一方から前記第2のコンベアに搬送し、前記第4のコンベアによって前記混練物を前記混練機の一方から前記第6のコンベアに搬送し、前記第2のコンベアによって前記第1のコンベアによって搬送された前記混練物を前記タンク群の一方に搬送し、前記第6のコンベアによって前記第4のコンベアによって搬送された前記混練物を前記タンク群の他方に搬送する加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法。
【0014】
「層高変化特性が異なる」とは、以下のように定義できる。同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーそれぞれに、同じ条件下で、石灰石(L)と石炭(C)との質量比であるL/Cが同じ混練物を投入したにもかかわらず、投入後の各加圧流動床ボイラーの層高の変化が異なる場合がある。すなわち、同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーであっても層高の経時的な変化が異なる場合がある。このように、同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーにおいて層高の経時的な変化の違いを「層高変化特性が異なる」という。
【0015】
「層高」とは、以下のように定義できる。加圧状態となっている加圧流動床ボイラー内に、燃料として石炭、流動媒体(BM)として流動する石灰石粒子、及び、水を混練させた混練物が投入(供給)されると、ボイラー下部から噴出される空気によって、石炭粒子が効率よく燃焼するとともに、石灰石粒子がある高さまで浮遊し、激しく動き回る(流動する)状態となる。この流動する状態の層を流動床と呼び、流動化している流動媒体の垂直方向の流動床(層)の高さを「層高」という。
【0016】
(1)の発明では、2機の混練機によって混練された混練物は貯蔵タンクで混合されるので、各加圧流動床ボイラーに投入される混練物のL/Cは同じとなる。したがって、例えば、(2)の発明のように、加圧流動床ボイラーの一方と他方とで層高変化特性が異なる場合は、加圧流動床ボイラーの一方の層高が一定に維持できたとしても、加圧流動床ボイラーの他方の層高を一定に維持することができない。したがって、例えば、加圧流動床ボイラーの他方の層高が段々と高くなる場合には、加圧流動床ボイラーの他方の層高を一定に維持するために、加圧流動床ボイラーの他方から流動媒体を抜き出す。逆に、加圧流動床ボイラーの他方の層高が段々と低くなる場合には、予め抜き出した流動媒体を加圧流動床ボイラーの他方に供給する。しかし、このような流動媒体の抜き出し、または、供給等によって加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持することは困難であり、さらには、効率的ではない。
【0017】
(2)の発明によれば、第3のコンベア及び第5のコンベアを停止させ、混練機の一方によって混練された混練物は、混練機の一方から、第1のコンベア、第2のコンベア、タンク群の一方の順に搬送され、混練機の他方によって混練された混練物は、混練機の他方から、第4のコンベア、第6のコンベア、タンク群の他方の順で搬送される。すなわち、本発明では、加圧流動床ボイラーの一方と他方で、混練物を供給するルートが異なる。
【0018】
したがって、本発明によれば、混練機の一方で設定される所定の混合比と、混練機の他方で設定される所定の混合比と、を別々の値にすることにより、加圧流動床ボイラーの一方及び他方の層高をそれぞれ別々に制御することができる。さらに、混練機の一方によって混練された混練物が加圧流動床ボイラーの一方に投入された場合に加圧流動床ボイラーの一方の層高が経時的に変化しないように混練機の一方の所定の混合比を決定し、混練機の他方によって混練された混練物が加圧流動床ボイラーの他方に投入された場合に加圧流動床ボイラーの他方の層高が経時的に変化しないように混練機の他方の所定の混合比を決定するようにしたので、加圧流動床ボイラーの両方とも層高が経時的に変化せずに一定に維持されることになる。
【0019】
以上により、本発明によれば、加圧流動床ボイラーの一方と他方とで層高変化特性が異なる場合でも、簡易的かつ効率的に加圧流動床ボイラーの両方の層高が経時的に変化せずに一定に維持されることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、加圧流動床ボイラーに混練物を供給する設備の一部が故障したときでも、発電出力を下げて運転せず、または、加圧流動床ボイラーを停止せずに、安定した発電運転を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置の概略を示す概略図である。図2は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置の各貯蔵タンクの液面の高さを示す図である。図3は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。図4は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。図5は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。図6は、第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。図7は、第2実施形態における加圧流動床複合発電装置の各貯蔵タンクの液面の高さを示す図である。図8は、第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。図9は、第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。図10は、第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。
【0023】
[第1実施形態]
図1〜図5により、本発明の加圧流動床複合発電装置における第1実施形態について説明する。
【0024】
<加圧流動床複合発電装置の構成>
図1に示すように、本発明の加圧流動床複合発電装置10は、2缶の加圧流動床ボイラー12,14と、混練機22,24と、2つのタンク群56,66と、投入ポンプ72,74,76,78と、搬送装置36,38と、を備える。
【0025】
また、加圧流動床複合発電装置10は、BMタンク82,84,92,94、中継サイロ96、リサイクル設備98と、を備えるようにしてもよい。
【0026】
加圧流動床ボイラー12,14は、圧力容器(図示せず)内に収容されている。発電時、加圧流動床ボイラー12,14(以下、ボイラー12,14と略す場合がある。)内は、加圧流動床複合発電装置10に設けられるコンプレッサ(図示せず)からの燃焼用空気で加圧状態に保たれている。この加圧状態となっているボイラー12,14内に、燃料として石炭、流動媒体(BM)として流動する石灰石粒子、及び、水を混練させた混練物が投入(供給)されると、ボイラー下部から噴出されるコンプレッサからの空気によって、石炭粒子が効率よく燃焼するとともに、石灰石粒子がある高さまで浮遊し、激しく動き回る(流動する)状態となる。この流動する状態の層を流動床と呼び、流動化している流動媒体の垂直方向の流動床(層)の高さを層高という。加圧流動床ボイラーは、加圧流動床ボイラーに投入される混練物中の石灰石(L)と乾燥石炭(C)との質量比、換言すれば、以下の式で示されるL/Cを調整することにより、流動床の層高を制御している。
【0027】
【数1】

【0028】
すなわち、加圧流動床ボイラーに投入される混練物のL/Cには各ボイラーの層高を維持するための適切な値があり、L/Cが適切な値よりも低い場合は層高が徐々に低くなり、L/Cが適切な値よりも高い場合は層高が徐々に高くなる。
【0029】
また、石炭が燃焼して発生した燃焼ガスは、煤塵装置(図示せず)を介してガスタービンに送られガスタービンを駆動させる。ガスタービンが駆動することによって発電機が駆動され発電が行われる。
【0030】
また、加圧流動床ボイラー12,14には、図示しない蒸発器、過熱器、及び、再熱器が設けられている。蒸発器内に給水された水は蒸気となり、さらに、この蒸気は過熱器に送られて主蒸気となり、高圧タービン(図示せず)に送られ、低温再熱蒸気となる。この低温再熱蒸気は、再熱器に送られて高温再熱蒸気となり、この高温再熱蒸気は、中圧タービンに送られる。各蒸気によって高圧タービン、中圧タービン駆動することによって発電機が駆動され発電が行われる。
【0031】
なお、本実施形態においては、加圧流動床ボイラー12,14の制御は、流動層高変化方式を採用している。すなわち、負荷と層高とを対比させて、高負荷時には層内伝熱面積を増やすべく層高を高くし、低負荷時には伝熱面積の一部を層外に露出させるべく層高を低くする。
【0032】
混練機22,24は、石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させて混練物を得る機器である。本実施形態の加圧流動床複合発電装置10では、上記のL/Cに基づいて石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水の混合比が決定され、決定された混合比の石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水が、混練機22,24に投入され混練される。
【0033】
また、混練機22,24のそれぞれは、1機で、加圧流動床ボイラー12の最大混練物消費量と加圧流動床ボイラー14の最大混練物消費量との和を超えた量の混練物を混練する能力を有している。すなわち、混練機22,24のうち、一方の混練機が故障したとしても、他方の混練機は、加圧流動床ボイラー12及び14を正常に運転させることが可能な量の混練物を搬送装置に供給することができる。
【0034】
タンク群56,66は、それぞれ、各加圧流動床ボイラー12,14に対応して設置されている。タンク群56及び66は、それぞれ、混練物を貯蔵する貯蔵タンク52,54、及び、貯蔵タンク62,64を有する。
【0035】
また、貯蔵タンク52,54のそれぞれは、1基で、加圧流動床ボイラー12の最大混練物消費量を超えた量の混練物を貯蔵することができる。同様に、貯蔵タンク62,64のそれぞれは、1基で、加圧流動床ボイラー14の最大混練物消費量を超えた量の混練物を貯蔵することができる。すなわち、貯蔵タンク52,54のうち、一方の貯蔵タンクが故障したとしても、他方の貯蔵タンクは、加圧流動床ボイラー12を正常に運転させることが可能な量の混練物を貯蔵することができる。同様に、貯蔵タンク62,64のうち、一方の貯蔵タンクが故障したとしても、他方の貯蔵タンクは、加圧流動床ボイラー14を正常に運転させることが可能な量の混練物を貯蔵することができる。
【0036】
搬送装置36,38は、それぞれ、各混練機22,24に対応して設置されている。すなわち、搬送装置36は混練機22に、搬送装置38は混練機24に対応して設置されている。
【0037】
搬送装置36は、混練機22に対応して設置されている搬送コンベア32と、搬送コンベア42,46と、を有している。搬送コンベア42,46は、それぞれ、タンク群56,66に対応して設置されている。
【0038】
また、搬送装置38は、混練機24に対応して設置されている搬送コンベア34と、搬送コンベア44,48と、を有している。搬送コンベア44,48は、それぞれ、タンク群56,66に対応して設置されている。
【0039】
搬送装置36及び38は、それぞれ、混練機22及び24からタンク群56及び66に混練物を搬送する。
【0040】
具体的には、搬送コンベア32は、混練物を混練機22から搬送コンベア42,46に搬送することができるように、混練機22の近傍に設けられている。搬送コンベア42は、搬送コンベア32によって搬送された混練物をタンク群56に搬送することができるように、搬送コンベア32の近傍に設けられている。搬送コンベア46は、搬送コンベア32によって搬送された混練物をタンク群66に搬送することができるように、搬送コンベア32の近傍に設けられている。
【0041】
また、搬送コンベア34は、混練物を混練機24から搬送コンベア44,48に搬送することができるように、混練機24の近傍に設けられている。搬送コンベア44は、搬送コンベア34によって搬送された混練物をタンク群56に搬送することができるように、搬送コンベア34の近傍に設けられている。搬送コンベア48は、搬送コンベア34によって搬送された混練物をタンク群66に搬送することができるように、搬送コンベア34の近傍に設けられている。
【0042】
搬送装置36,38のそれぞれは、1機で、加圧流動床ボイラー12の最大混練物消費量と加圧流動床ボイラー14の最大混練物消費量との和を超えた量の混練物を搬送することができる。すなわち、搬送装置36,38の一方の搬送装置が故障したとしても、他方の搬送装置は、加圧流動床ボイラー12及び14を正常に運転させることが可能な量の混練物を貯蔵タンク52,54,62,64に搬送することができる。
【0043】
投入ポンプ72,74,76,78は、貯蔵タンク52,54,62,64に貯蔵された混練物を各タンク群56,66と対応する各加圧流動床ボイラー12,14に投入(供給)することができるように、タンク群56の貯蔵タンク52,54,及び、タンク群66の貯蔵タンク62,64に設けられている。それにより、投入ポンプ72は貯蔵タンク52に貯蔵された混練物をタンク群56に対応する加圧流動床ボイラー12に、投入ポンプ74は貯蔵タンク54に貯蔵された混練物を加圧流動床ボイラー12に、投入ポンプ76は貯蔵タンク62に貯蔵された混練物をタンク群66に対応する加圧流動床ボイラー14に、投入ポンプ76は貯蔵タンク64に貯蔵された混練物を加圧流動床ボイラー14に投入することができる。
【0044】
投入ポンプ72,74のそれぞれは、1機で、加圧流動床ボイラー12の最大混練物消費量を超えた量の混練物を加圧流動床ボイラー12に投入することができる。同様に、投入ポンプ76,78のそれぞれは、1機で、加圧流動床ボイラー14の最大混練物消費量を超えた量の混練物を加圧流動床ボイラー14に投入することができる。すなわち、投入ポンプ72,74のうち、一方の投入ポンプが故障したとしても、他方の投入ポンプは、加圧流動床ボイラー12を正常に運転させることが可能な量の混練物を加圧流動床ボイラー12に投入することができる。同様に、投入ポンプ76,78のうち、一方の投入ポンプが故障したとしても、他方の投入ポンプは、加圧流動床ボイラー14を正常に運転させることが可能な量の混練物を加圧流動床ボイラー14に投入することができる。
【0045】
BMタンク82,84、及び、BMタンク92,94は、それぞれ、加圧流動床ボイラー12及び14に対応して設置されている。すなわち、BMタンク82,84は加圧流動床ボイラー12に、BMタンク92,94は加圧流動床ボイラー14に対応して設置されている。BMタンク82,84、及び、BMタンク92,94は、それぞれ、加圧流動床ボイラー12及び14内から抜き出した主に石灰石粒子からなる流動媒体(BM)を、貯蔵するタンクである。具体的には、BMタンク82,84は、加圧流動床ボイラー12,14の低負荷時には、加圧流動床ボイラー12,14内から流動媒体を抜き出し貯蔵する。逆に、BMタンク82,84及び、BMタンク92,94は、加圧流動床ボイラー12,14の高負荷時には、貯蔵している流動媒体を加圧流動床ボイラー12,14に戻す。
【0046】
また、後述するように、BMタンク82,84,92,94は、加圧流動床ボイラー12及び14の底部から抜き出された石炭灰から抽出された流動媒体を貯蔵するタンクである。
【0047】
中継サイロ96は、加圧流動床ボイラー12及び14の底部から抜き出された石炭灰を一時貯蔵するサイロである。一時貯蔵された石炭灰はリサイクル設備98に送られる。
【0048】
リサイクル設備98は、中継サイロ96に貯蔵された石炭灰に篩処理等を行い、石炭灰から流動媒体を抽出する設備である。抽出された流動媒体はBMタンク82,84,92,94に送られる。
【0049】
なお、本実施形態において、混練物を混練機から貯蔵タンクまで搬送する装置の一例として搬送コンベアを例示したが、混練物を混練機から貯蔵タンクまで搬送する装置であれば特に限定されない。
【0050】
<加圧流動床複合発電装置の混練物搬送方法>
次に、図2〜図5を用いて、本実施形態における加圧流動床複合発電装置10の混練物搬送方法について説明する。
【0051】
図2は、貯蔵タンク52,54,62,64内の混練物の液面の高さの推移を示す図であり、貯蔵タンク52,54,62,64内の混練物の残量を示している。図2に示すように、混練物の液面が所定の高さまで低下すると、搬送装置によって混練物が搬送されて、各貯蔵タンクに混練物が供給される。換言すれば、搬送装置36及び38は、それぞれ、貯蔵タンク52,54,62,64内の混練物の液面の高さに応じて、混練物を混練機22及び24から貯蔵タンク52,54,62,64に搬送する。
【0052】
すなわち、例えば、貯蔵タンク52内の混練物の液面の高さが所定の高さL1まで低下すると(時間:T)、貯蔵タンク52の混練物の液面の高さが所定の高さL2になるまで(時間:T)、混練物が貯蔵タンク52に搬送される。また、貯蔵タンク62内の混練物の液面の高さが所定の高さL1まで低下すると(時間:T)、貯蔵タンク62の混練物の液面の高さが所定の高さL2になるまで(時間:T)、混練物が貯蔵タンク62に搬送される。同様に、貯蔵タンク54,64内の混練物の液面の高さが所定の高さL1まで低下すると、貯蔵タンク62の混練物の液面の高さが所定の高さL2になるまで、混練物が貯蔵タンク54,64に搬送される。
【0053】
次に、図2〜図4を用いて、一例として、貯蔵タンク52及び62に混練物を搬送する処理について説明する。なお、便宜のために、図3及び図4は、ボイラー12,14、BMタンク82,84,92,94、中継サイロ96、及び、リサイクル設備98を省略している。また、以下の処理を行うための制御装置の記載、及び、図示を省略している。
【0054】
図2及び図3に示すように、貯蔵タンク52の混練物の液面高さがL1に低下すると(時間:T)、混練機22,24は、石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させて混練物を生成し、生成した混練物を搬送コンベア32,34に供給する処理を行う(ステップ1)。搬送コンベア32,34は、それぞれ、混練機22,24によって混練された混練物を、搬送コンベア42,44に搬送する処理を行う(ステップ2)。さらに、搬送コンベア42,44は、それぞれ、搬送コンベア32,34によって搬送された混練物を、貯蔵タンク52に搬送する処理を行う(ステップ3)。貯蔵タンク52の混練物の液面の高さが所定の高さL2になると(時間:T)、ステップ1〜ステップ3の処理を停止する。
【0055】
また、図2及び図4に示すように、貯蔵タンク62の混練物の液面高さがL1に低下すると(時間:T)、混練機22,24は、石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させて、混練物を生成し、生成した混練物を搬送コンベア32,34に供給する処理を行う(ステップ1)。搬送コンベア32,34は、それぞれ、混練機22,24によって混練された混練物を、搬送コンベア46,48に搬送する処理を行う(ステップ2)。さらに、搬送コンベア46,48は、それぞれ、搬送コンベア32,34によって搬送された混練物を、貯蔵タンク62に搬送する処理を行う(ステップ3)。貯蔵タンク62の混練物の液面の高さが所定の高さL2になると(時間:T)、ステップ1〜ステップ3の処理を停止する。
【0056】
本実施形態では、2缶の加圧流動床ボイラー12,14、2機の混練機22,24、2つの搬送装置36,38、それぞれが2基の貯蔵タンクを有する2つのタンク群56,66、及び、各貯蔵タンクに設けられる4つの投入装置を備える加圧流動床複合発電装置10である。ここで、例えば、2機の混練機22,24のいずれか、例えば、混練機22が故障したとしても、搬送装置38は混練機24からタンク群56の貯蔵タンク52,54、タンク群66の貯蔵タンク62,64に混練物を搬送することが可能である。
【0057】
また、本実施形態に係る2つのタンク群56,66は、それぞれ、各加圧流動床ボイラー12,14に対応して設置されており、1つのタンク群はそれぞれ2基の貯蔵タンクを有するので、貯蔵タンクの一方が故障したときでも、貯蔵タンクの他方から加圧流動床ボイラーに混練物が供給できるようになっている。
【0058】
以上により、加圧流動床ボイラーに混練物を供給する設備の一部が故障したときでも、発電出力を下げて運転せず、または、加圧流動床ボイラーを停止せずに、安定した発電を行うことが可能である。
【0059】
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態の加圧流動床複合発電装置10における加圧流動床ボイラー12,14の層高を一定に維持する方法について説明する。
【0060】
本実施形態の加圧流動床複合発電装置10において、加圧流動床ボイラー12と加圧流動床ボイラー14とでは層高変化特性が異なる場合がある。ここで、「加圧流動床ボイラー12と加圧流動床ボイラー14とでは層高変化特性が異なる」とは、以下のように定義できる。すなわち、同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーそれぞれに、同じ条件下で、L/Cが同じ混練物を投入したにもかかわらず、投入後の各加圧流動床ボイラーの層高の変化が異なる場合がある。換言すれば、同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーであっても層高の経時的な変化が異なる場合がある。このように、同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーにおいて層高の経時的な変化の違いを「層高変化特性が異なる」という。同じタイプの2つの加圧流動床ボイラーで層高変化特性が異なる理由は、例えば、ボイラー内の給水管の本数や蒸発器、過熱器、及び、再熱器の構造等が異なるためである。
【0061】
図6に示すように、加圧流動床ボイラー12と加圧流動床ボイラー14とで層高変化特性が異なる場合、混練機22,24によって混練された混練物であって、L/Cが同じ値になるように設定された混練物を加圧流動床ボイラー12及び14に投入すると(時間:T)、加圧流動床ボイラー12の層高は一定となるが、加圧流動床ボイラー14に形成される層高は徐々に高くなっている。この対策として、加圧流動床ボイラー14から流動媒体を抜き出し、BMタンク92,94に戻す処理を行う(時間T,T、ステップA)。
【0062】
次に、加圧流動床ボイラー14の底部から石炭灰を抜き出す処理を行う(時間T〜T、ステップB)。抜き出した石炭灰は、中継サイロ96に送られて、さらに、リサイクル設備98に送られて、流動媒体にリサイクルされる。リサイクルされた流動媒体は、BMタンク82,84,92,94に送られる。
【0063】
次に、BMタンク82,84,92,94のタンクレベルが高くなるため、加圧流動床ボイラー14の底部から流動媒体を抜き出すことを停止し、さらに、加圧流動床ボイラー14に形成される層高が一定となるように、混練機22,24に設定されているL/Cの値を下げる処理を行う(時間T、ステップC)。したがって、加圧流動床ボイラー14に形成される層高の上昇は防止できるが、混練機22,24に設定されている混練物のL/Cの値を下げたことにより、加圧流動床ボイラー12に形成されている層高が徐々に低下してくる。このため、BMタンク82,84から加圧流動床ボイラー12に流動媒体を戻す処理を行う(時間T,T、ステップD)。しかし、ステップCで設定されたL/Cを維持すると、加圧流動床ボイラー12に形成されている層高が徐々に低下してくるので、混練機22,24に設定されているL/Cの値をステップCで変更する前のL/Cの値に引き上げる(時間T、ステップE)。以降,加圧流動床ボイラー12,14の層高、BMタンク82,84のタンクレベルに応じて,ステップB,C,D,Eの処理を繰返す。
【0064】
[第2実施形態]
次に、図7〜図10を用いて、本発明の加圧流動床複合発電装置における第2実施形態を説明する。本発明の加圧流動床複合発電装置11は、上記第1実施形態とは異なり、加圧流動床ボイラー12及び14の層高を容易に一定に維持することが容易である。なお、以下の実施形態において、特に説明しない部分は、上述の実施形態と同様であり、図面に付した番号も上述の実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
【0065】
加圧流動床ボイラー12は、加圧流動床ボイラー14よりも層高変化特性が高い加圧流動床ボイラーである。そして、図8及び図9に示すように、第2実施形態に係る加圧流動床複合発電装置11が第1実施形態に係る加圧流動床複合発電装置10と異なる点は、搬送コンベア44及び46を停止することである。以下、図7〜図9を用いて、本実施形態における加圧流動床複合発電装置11の混練物搬送方法について説明する。
【0066】
図7は、貯蔵タンク52,62、及び、貯蔵タンク54,64内の混練物の液面の高さの推移を示す図であり、それぞれ貯蔵タンク52,62、貯蔵タンク54,64内の混練物の残量を示している。図7に示すように、混練物の液面が所定の高さまで低下すると、搬送装置によって混練物が搬送されて、各貯蔵タンクに混練物が供給される。換言すれば、搬送装置36,38は、それぞれ、貯蔵タンク52,54、及び、貯蔵タンク62,64内の混練物の液面の高さに応じて、混練物を混練機22及び24から貯蔵タンク52,54、及び、貯蔵タンク62,64に搬送する。
【0067】
すなわち、例えば、貯蔵タンク52,62内の混練物の液面の高さが所定の高さL1まで低下すると(時間:T)、貯蔵タンク52,62の混練物の液面の高さが所定の高さL2になるまで(時間:T)、混練物が貯蔵タンク52,62に搬送される。また、貯蔵タンク54,64内の混練物の液面の高さが所定の高さL1まで低下すると(時間:T)、貯蔵タンク54,64の混練物の液面の高さが所定の高さL2になるまで(時間:T)、混練物が貯蔵タンク54,64に搬送される。
【0068】
次に、図7〜図9を用いて、一例として、貯蔵タンク52,62、及び、貯蔵タンク54,64に混練物が搬送される処理について説明する。なお、便宜のために、図8及び図9は、ボイラー12,14、BMタンク82,84,92,94、中継サイロ96、及び、リサイクル設備98を省略している。また、以下の処理を行うための制御装置の記載、及び、図示を省略している。
【0069】
図7及び図8に示すように、貯蔵タンク52,62の混練物の液面高さがL1に低下すると(時間:T)、混練機22,24は、石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させて混練物を生成し、生成した混練物を搬送コンベア32,34に供給する処理を行う(ステップ1)。搬送コンベア32,34は、それぞれ、混練機22,24によって混練された混練物を、搬送コンベア42,48に搬送する処理を行う(ステップ2)。さらに、搬送コンベア42及び48は、それぞれ、搬送コンベア42及び48によって搬送された混練物を、貯蔵タンク52,62に搬送する処理を行う(ステップ3)。貯蔵タンク52及び62の混練物の液面の高さが所定の高さL2になると(時間:T)、ステップ1〜ステップ3の処理を停止する。
【0070】
図7及び図9に示すように、貯蔵タンク54,64の混練物の液面高さがL1に低下すると(時間:T)、混練機22,24は、石灰石粒子、石炭粒子、石炭スラリ、及び、水を所定の混合比で混練させて混練物を生成し、生成した混練物を搬送コンベア32,34に供給する処理を行う(ステップ1)。搬送コンベア32,34は、それぞれ、混練機22,24によって混練された混練物を、搬送コンベア42,48に搬送する処理を行う(ステップ2)。さらに、搬送コンベア42,48は、それぞれ、搬送コンベア42,48によって搬送された混練物を、貯蔵タンク54,64に搬送する処理を行う(ステップ3)。貯蔵タンク54及び64の混練物の液面の高さが所定の高さL2になると(時間:T)、ステップ1〜ステップ3の処理を停止する。
【0071】
次に、図10を用いて、本実施形態の加圧流動床複合発電装置11における加圧流動床ボイラー12,14の層高を一定に維持する方法について説明する。
【0072】
図10に示すように、加圧流動床ボイラー12と加圧流動床ボイラー14とでは層高変化特性が異なる場合、加圧流動床ボイラー12に形成される層高は時間が経過しても一定であるのに対し、加圧流動床ボイラー14に形成される層高は時間が経過するにつれて上昇している。したがって、加圧流動床ボイラー12に投入されている混練物のL/C、すなわち、混練機22で設定されているL/Cの値は、適正値であるのに対し、加圧流動床ボイラー14に投入されている混練物のL/C、すなわち、混練機24で設定されているL/Cの値は、適正値を上回っている状態と考えられる。したがって、混練機24で設定されているL/Cの値を下げる(時間T)。これによって、加圧流動床ボイラー14に投入されている混練物のL/Cの値も適正値となり、加圧流動床ボイラー14に形成される層高は、加圧流動床ボイラー12に形成される層高と同様に、時間が経過しても一定を維持する。
【0073】
第1実施形態においては、図6に示したように、加圧流動床ボイラー12及び14にそれぞれ形成される層高を一定に維持するために、様々な対策を行っていた。
【0074】
本実施形態においては、搬送コンベア44及び46を停止することによって、混練機22によって混練された混練物は、混練機22から、搬送コンベア32、搬送コンベア42、タンク群56の順に搬送され、混練機24によって混練された混練物は、混練機24から、搬送コンベア34、搬送コンベア48、タンク群66の順で搬送される。すなわち、本実施形態では、加圧流動床ボイラー12と14とで、混練物を供給するルートが異なる。換言すれば、搬送コンベア44及び46を停止することによって、タンク群56の貯蔵タンク52,54には、混練機22で混練された混練物のみが搬送され、タンク群66の貯蔵タンク62,64には、混練機24で混練された混練物のみが搬送される。
【0075】
したがって、混練機22で設定される所定の混合比、すなわち、L/Cの値と、混練機の他方で設定される所定の混合比、すなわち、L/Cの値と、を別々の値にすることにより、加圧流動床ボイラー12,14の層高をそれぞれ別々に制御することができる。
【0076】
さらに、混練機22によって混練された混練物が加圧流動床ボイラー12に投入された場合に加圧流動床ボイラー12の層高が経時的に変化しないように混練機22の所定の混合比を決定し、混練機24によって混練された混練物が加圧流動床ボイラー14に投入された場合に加圧流動床ボイラー14の層高が経時的に変化しないように混練機24の所定の混合比を決定するようにしたので、加圧流動床ボイラー12,14の両方とも層高が経時的に変化せずに一定に維持されることになる。
【0077】
以上に示すように、本実施形態においては、各加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置の概略を示す概略図である。
【図2】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置の各貯蔵タンクの液面の高さを示す図である。
【図3】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。
【図4】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。
【図5】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。
【図6】第1実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。
【図7】第2実施形態における加圧流動床複合発電装置の各貯蔵タンクの液面の高さを示す図である。
【図8】第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。
【図9】第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において貯蔵タンクに混練物を搬送する処理を示す概略図である。
【図10】第2実施形態における加圧流動床複合発電装置において加圧流動床ボイラーの層高の変化を示す図である。
【図11】従来の加圧流動床複合発電装置の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0079】
10,11 加圧流動床複合発電装置
12,14 加圧流動床ボイラー
22,24 混練機
36,38 搬送装置
32,34,42,44,46,48 搬送コンベア
52,54,62,64 貯蔵タンク
56,66 タンク群
72,74,76,78 投入ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2缶の加圧流動床ボイラーと、
それぞれが前記加圧流動床ボイラー内で流動層を形成する石灰石粒子、前記加圧流動床ボイラー内で燃料となる石炭粒子、及び、水を所定の混合比で混練して混練物を得る2機の混練機と、
それぞれが各加圧流動床ボイラーに対応して設置された2つのタンク群であって、それぞれが前記混練物を貯蔵する2基の貯蔵タンクを有する2つのタンク群と、
それぞれが各タンク群の各貯蔵タンクに設けられる4つの投入装置と、
それぞれが各混練機に対応して設置される2つの搬送装置と、を備え、
各投入装置は、各タンク群の各貯蔵タンクに貯蔵された前記混練物を各タンク群と対応する各加圧流動床ボイラーに投入し、
前記搬送装置の一方及び他方は、それぞれ、前記混練機の一方及び他方から各タンク群の各貯蔵タンクに前記混練物を搬送する加圧流動床複合発電装置。
【請求項2】
前記搬送装置の一方は、前記混練機の一方に対応して設置される第1のコンベアと、前記タンク群の一方に対応して設置される第2のコンベアと、前記タンク群の他方に対応して設置される第3のコンベアと、を有し、
前記搬送装置の他方は、前記混練機の他方に対応して設置される第4のコンベアと、前記タンク群の一方に対応して設置される第5のコンベアと、前記タンク群の他方に対応して設置される第6のコンベアと、を有し、
前記加圧流動床ボイラーの一方と他方とでは、層高変化特性が異なる請求項1記載の加圧流動床複合発電装置において、前記加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法であって、
前記第3のコンベア及び前記第5のコンベアを停止し、
前記混練機の一方によって混練された前記混練物が前記加圧流動床ボイラーの一方に投入された場合に前記加圧流動床ボイラーの一方の層高が経時的に変化しないように、前記混練機の一方の前記所定の混合比を決定し、
前記混練機の他方によって混練された混練物が前記加圧流動床ボイラーの他方に投入された場合に前記加圧流動床ボイラーの他方の層高が経時的に変化しないように、前記混練機の他方の前記所定の混合比を決定し、
前記第1のコンベアによって前記混練物を前記混練機の一方から前記第2のコンベアに搬送し、
前記第4のコンベアによって前記混練物を前記混練機の一方から前記第6のコンベアに搬送し、
前記第2のコンベアによって前記第1のコンベアによって搬送された前記混練物を前記タンク群の一方に搬送し、
前記第6のコンベアによって前記第4のコンベアによって搬送された前記混練物を前記タンク群の他方に搬送する加圧流動床ボイラーの層高を一定に維持する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−157473(P2008−157473A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343106(P2006−343106)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】