説明

加圧装置及び加圧方法

【課題】被加圧機器内を段階的に昇圧しながら加圧し、1つの制御バルブによって、複数段階の圧力調整(圧力制御)を行うことができる加圧装置を提供する。
【解決手段】高圧ガス供給手段M1と、高圧ガス供給手段M1に一方の端部T1aが接続された加圧用配管T1と、被加圧機器300内の圧力を測定する圧力計PGと、加圧用配管T1に設けられた制御バルブCV1と、圧力計PGにより計測された圧力に基づき制御バルブCV1を開閉させる制御装置CDとを備えた加圧装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置及び加圧方法に関し、さらに詳しくは、被加圧機器内を段階的に昇圧しながら加圧するのに適した加圧装置、及び、被加圧機器内を段階的に昇圧しながら加圧する加圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場では、凝集沈殿等の方法を用いて、取水した原水から固形分を除去して飲料用水等を製造している。このとき、原水中の固形分は、固形分濃度0.1質量%程度の汚泥として排出される。
【0003】
従来、この固形分濃度0.1質量%程度の汚泥を、自然沈降等により固形分濃度1質量%程度に濃縮し、その後、濾過装置及び脱水装置を用いて固形分濃度40質量%以上に濃縮し、得られた高濃度の汚泥を廃棄又は再利用していた(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
尚、特許文献1には、サイホン効果によって濾液を排出しながら濾過を行う、濾過濃縮装置が記載されている。また、特許文献2には、ポンプを用いて加圧、減圧を繰り返しながら、スラリーをフィルタープレスに加圧供給する、固液分離方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭61−57043号公報
【特許文献2】特開平7−124412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、従来の、濾過装置と脱水装置との2つの装置を用いて行う汚泥の処理方法においては、濾過装置で用いる濾布はモノフィラメントによって形成された開口径の大きなものであり、脱水装置で用いる濾布はマルチフィラメントによって形成された開口径の小さなものであった。
【0007】
このように、濾過装置と脱水装置とでは、使用できる濾布の種類が異なる。仮に、濾過装置に使用される濾布を脱水装置に使用すると、当該濾布がモノフィラメントで形成されているため、高い圧力で脱水を行う脱水装置では、脱水を行う際に固形分が濾布を通過するという問題が生じる。また、仮に、脱水装置に使用される濾布を濾過装置に使用すると、当該濾布がマルチフィラメントで形成されているため、濾過を行う際に濾布が目詰まりし易く、更に濾布に堆積した濃縮汚泥が剥離し難くなるという問題が生じる。
【0008】
上記のように、濾過装置と脱水装置とでは、異なる濾布を使用する必要があるため、汚泥を濃縮する際には、必ず、濾過装置と脱水装置という2つの装置を使用する必要があった。
【0009】
これに対し、1つの装置で汚泥を濃縮する方法として、汚泥を濾過することにより形成される濾布表面の付着物(汚泥の固形分)の層をフィルターとして利用し、加圧濾過の圧力を断続的に上昇させながら汚泥の濾過を進めていく方法が考えられる。この場合、付着物の層を形成する工程と、当該付着物の層をフィルターとして利用する工程とをバランスよく行なう必要がある。そのため、濾過圧力の段階的上昇と、その圧力の保持という圧力制御が必要となる。この場合、圧力を上昇させるか又は一定に保つことのみを行い、減圧することは行わない。このような圧力制御を行なう場合、従来、例えば、図3に示されるような圧力制御装置が考えられる。図3は、従来の圧力制御装置を示す模式図(フロー図)である。
【0010】
従来の圧力制御装置210は、図3に示すように、高圧ガス供給手段M2と被加圧機器310とが加圧用配管T10で繋がれ、所定数の並列に並ぶ配管が、「加圧用配管T10の一部をバイパスするように」加圧用配管T10に接続されている。そして、当該並列に並ぶ配管に適用圧力の異なる制御バルブCV10、CV11、CV12、CV13、及びCV14が配設されたものである。そして、圧力制御を行う際には、当該制御バルブCV10、CV11、CV12、CV13、CV14を順番に開閉しながら被加圧機器を段階的に昇圧する必要があった。尚、制御バルブの数は、昇圧の回数等により適宜決定されていた。このように、従来の加圧装置210は、複数の制御バルブを配設して圧力を制御する必要があるため、加圧装置210に要するスペースが大きくなり、更に、加圧装置210の設置に要する費用が高いものであった。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、被加圧機器内を段階的に昇圧しながら(昇圧と、圧力を一定に保持した状態とを繰り返しながら)加圧するのに適した加圧装置、及び、被加圧機器内を段階的に昇圧しながら加圧する加圧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下の加圧装置及び加圧方法を提供する。
【0013】
[1] 高圧ガス供給手段と、前記高圧ガス供給手段に一方の端部が接続された加圧用配管と、被加圧機器内の圧力を測定する圧力計と、前記加圧用配管に設けられた制御バルブと、前記圧力計により計測された圧力に基づき前記制御バルブを開閉させる制御装置とを備えた加圧装置。
【0014】
[2] [1]に記載の加圧装置の前記加圧用配管の他方の端部が被加圧機器に接続された状態で、前記制御バルブを開けて、高圧ガス供給手段から加圧用配管を通じて被加圧機器を加圧する加圧操作と、前記加圧操作において圧力計が予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置により制御バルブを閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブを閉じた状態とする制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器を加圧する加圧方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の加圧装置によれば、高圧ガス供給手段と、高圧ガス供給手段に一方の端部が接続された加圧用配管と、被加圧機器内の圧力を測定する圧力計と、加圧用配管に設けられた制御バルブと、圧力計により計測された圧力に基づき前記制御バルブを開閉させる制御装置とを備えているため、本発明の加圧装置の加圧用配管の他方の端部が被加圧機器に接続された状態で、「制御バルブを開けて、高圧ガス供給手段から加圧用配管を通じて被加圧機器を加圧する」加圧操作と、「加圧操作において圧力計が予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置により制御バルブを閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブを閉じた状態とする」制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器を段階的に昇圧しながら加圧することができる。これにより、1つの制御バルブによって、複数段階の圧力調整(圧力制御)を行う(複数段階の昇圧操作を行う)ことができるため、加圧装置に要するスペースを小さくすることができ、更に、加圧装置の設置に要する費用を低くすることができる。
【0016】
本発明の加圧方法によれば、本発明の加圧装置の加圧用配管の他方の端部が被加圧機器に接続された状態で、「制御バルブを開けて、高圧ガス供給手段から加圧用配管を通じて被加圧機器を加圧する」加圧操作と、「加圧操作において圧力計が予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置により制御バルブを閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブを閉じた状態とする」制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器を加圧するため、1つの制御バルブによって、段階的に昇圧を行う圧力調整(圧力制御)ができる。そのため、省スペース且つ低コストで圧力調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の加圧装置の一の実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする固液分離装置を示す模式図である。
【図3】従来の圧力制御装置を示す模式図である。
【図4】本発明の加圧方法の一実施形態によって被加圧機器内を昇圧する際の、時間と圧力との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
(1)加圧装置:
本発明の加圧装置の一の実施形態は、図1に示すように、高圧ガス供給手段M1と、高圧ガス供給手段M1に一方の端部T1aが接続された加圧用配管T1と、被加圧機器300内の圧力を測定する圧力計PGと、加圧用配管T1に設けられた制御バルブCV1と、圧力計PGにより計測された圧力に基づき制御バルブCV1を開閉させる制御装置CDとを備えたものである。尚、被加圧機器300は、本発明の加圧装置の構成要素ではなく、本発明の加圧装置によって加圧される、加圧対象物である。図1は、本発明の加圧装置の一の実施形態を示す模式図(フロー図)である。また、図1において、配管に沿って記載された「矢印」は、加圧操作を行う際の、ガスの流れる方向を表している。
【0020】
このように、本実施形態の加圧装置100は、上記のような構成であるため、本実施形態の加圧装置100の加圧用配管T1の他方の端部T1bが被加圧機器300に接続された状態で、「制御バルブCV1を開けて、高圧ガス供給手段M1から加圧用配管T1を通じて被加圧機器300を加圧する」加圧操作と、「加圧操作において圧力計PGが予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置CDにより制御バルブCV1を閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブCV1を閉じた状態とする」制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器300を加圧することができる。これにより、1つの制御バルブCV1によって、複数段階の圧力調整(圧力制御)を行うことができるため、加圧装置100に要するスペースを小さくすることができ、更に、加圧装置100の設置に要する費用を低くすることができる。尚、本実施形態の加圧装置100は、加圧のみを行い、減圧は行わない。従って、本実施形態の加圧装置100は、段階的に圧力を上昇させる圧力調整を行うものである。また、複数段階の圧力調整というときは、段階的に圧力を上昇させる圧力調整を意味する。
【0021】
本実施形態の加圧装置100において、高圧ガス供給手段M1は、加圧用配管T1に高圧ガスを流し、被加圧機器300内を加圧することができるものである。高圧ガス供給手段M1としては、特に限定されないが、空気、「窒素等の不活性ガス」等のボンベ、空気圧縮装置(コンプレッサー)や、上記ボンベに調圧装置を取り付けたもの等を挙げることができる。ここで、上記「高圧ガス」とは、圧力が大気圧より高いガスを意味する。高圧ガス供給手段M1から供給されるガスの圧力は、加圧操作に必要な圧力より高い圧力である事が好ましい。具体的には、1.8MPa以上であることが好ましく、3.0MPa以上であることが好ましい。また、高圧ガス供給手段M1から供給されるガスの圧力の上限値は、特に限定されないが、15MPa程度である。
【0022】
加圧用配管T1の太さ(内径)は、被加圧機器300に加える圧力、段階的に昇圧する時の昇圧幅等によって適宜決定することができる。小さな昇圧幅で段階的に昇圧させる場合には、細い配管を用いることが好ましい。加圧用配管T1の内径としては、例えば、5〜15mm程度が好ましい。
【0023】
本実施形態の加圧装置100において、圧力計PGは、加圧用配管T1に配設され、加圧用配管T1内の圧力を計測するものである。圧力計PGは、高圧ガス供給手段M1によって供給される高圧ガスの圧力(圧力調整される前の高圧ガスの圧力)を計測することができるものであることが好ましい。また、圧力計PGは、計測した圧力を電気信号として制御装置CDに送れるものであることが好ましい。また、圧力計PGは、図1に示されるように、加圧用配管T1に配設されていてもよいし、被加圧機器300に直接配設されていてもよい。また、圧力計PGが加圧用配管T1に配設された場合、圧力計PGは、制御バルブCV1より下流側(被加圧機器300側)に配設されていることが好ましい。
【0024】
本実施形態の加圧装置100において、制御バルブCV1は、任意の開度を設定できるものが好ましい。つまり、制御バルブCV1は、開閉操作を行うが、「開」の状態が、「全開」であってもよいし、「全開」と「閉」との間のいずれかの開度であってもよい。また、開度は徐々に変更出来ることが望ましく、開度変更の時間は10秒以下が好ましい。また、制御バルブCV1の上流側に手動バルブV1が設けられていてもよく、制御バルブCV1の下流側に手動バルブV2が設けられていてもよい。
【0025】
本実施形態の加圧装置100において、制御装置CDは、圧力計PGにより計測された圧力に基づき制御バルブCV1を開閉させることができるものである。制御装置CDによって、上記制御バルブCV1の開閉操作を行うことができる。制御装置CDは、予め、複数の異なる圧力、及びそれぞれの圧力で維持する時間を設定できるものであることが好ましい。そして、制御装置CDは、圧力計PGにより計測された圧力と予め設定しておいた圧力とを比較し、圧力計PGにより計測された圧力が予め設定しておいた圧力に到達したところで制御バルブCV1を閉じる信号を制御バルブCV1に送ることができ、制御バルブが閉じた状態において予め設定しておいた時間が経過したところで制御バルブCV1を開く信号を制御バルブCV1に送ることができ、上記制御バルブCV1の開閉の動作を予め設定しておいた回数だけ繰り返すことができるものであることが好ましい。制御バルブCV1の開閉の動作を繰り返す際には、設定圧力が、低い圧力から、順次高い圧力へ移行していく。制御装置CDとしては、具体的には、シーケンサ等を使用することができる。
【0026】
本実施形態の加圧装置を用いて加圧する被加圧機器300としては、特に限定されず、段階的に昇圧する必要がある機器を挙げることができる。例えば、濾過器、濾過器を含む固液分離装置を構成する機器であって加圧しながら使用するもの等を挙げることができる。
【0027】
(2)加圧方法:
本発明の加圧方法の一の実施形態は、上記本発明の加圧装置の一の実施形態(加圧装置100)(図1参照)の加圧用配管T1の他方の端部T1bが被加圧機器300に接続された状態で、「制御バルブCV1を開けて、高圧ガス供給手段M1から加圧用配管T1を通じて被加圧機器300を加圧する」加圧操作と、「加圧操作において圧力計PGが予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置CDにより制御バルブCV1を閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブCV1を閉じた状態とする」制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器300を加圧することができる。すなわち、「加圧操作の後に制御バルブ閉止操作を行う」ことを1サイクルとして、これを複数サイクル繰り返す。
【0028】
これにより、1つの制御バルブによって、複数段階の圧力調整(圧力制御)を行うことができるため、省スペース且つ低コストで圧力調整を行うことができる。特に、被加圧機器を、途中で減圧することなく、段階的に昇圧をする場合に有効である。
【0029】
本実施形態の加圧方法は、上記本発明の加圧装置の一の実施形態(加圧装置100)を用いて被加圧機器300を加圧する方法である。本実施形態の加圧方法により被加圧機器300を加圧する際には、加圧用配管T1の下流側の端部(他方の端部T1b)を被加圧機器300に接続しておく。また、制御装置CDによる制御バルブCV1の開閉の設定は、制御バルブCV1を断続的に開閉することにより、被加圧機器300内が、低い圧力から順次高い圧力に昇圧されるような設定であることが好ましい。
【0030】
本実施形態の加圧方法は、まず「制御バルブCV1を開けて、高圧ガス供給手段M1から加圧用配管T1を通じて被加圧機器300を加圧する」加圧操作を行う。制御バルブCV1を開けることにより、高圧ガス供給手段M1から被加圧機器300内に高圧ガスが供給され始め、例えば、図4に示されるように、被加圧機器300内の圧力が、圧力0(ゲージ圧)から上昇し始める。図4は、本実施形態の加圧方法によって被加圧機器内を昇圧する際の、時間と圧力との関係(昇圧パターン)の一例を示すグラフである。
【0031】
次に、「加圧操作において圧力計PGが予め設定しておいた圧力P1を計測したときに制御装置CDにより制御バルブCV1を閉じて予め設定しておいた時間t2だけ制御バルブCV1を閉じた状態とする」制御バルブ閉止操作を行う。図4に示される昇圧パターンでは、時間t1をかけて、圧力が0から「予め設定しておいた圧力P1」まで上昇している。被加圧機器300内の圧力が上昇し始めた後、圧力計PGが「予め設定しておいた圧力P1」を計測したときに、制御装置CDにより、制御バルブCV1を閉じることにより、被加圧機器300内の圧力が、予め設定しておいた圧力(設定圧力)P1で維持される。そして、制御装置CDにより、予め設定しておいた時間(設定時間)t2だけ制御バルブCV1を閉じた状態とすることにより、当該設定時間だけ被加圧機器300内の圧力が上記設定圧力P1で維持される。
【0032】
次に、制御装置CDにより、上記「加圧操作」と上記「制御バルブ閉止操作」とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器300を加圧する。
【0033】
上記「加圧操作」と上記「制御バルブ閉止操作」とを複数回繰り返す場合において、上記制御バルブ閉止操作を行った後に、再び加圧操作を行うときには、閉じた状態の制御バルブCV1を開ける操作を行う。このように、制御バルブCV1を開けると、高圧ガス供給手段M1から被加圧機器300内に、再び高圧ガスが供給され始め、被加圧機器300内の圧力が再び上昇し始める。そして、圧力計PGが、制御装置CDにより予め設定された「次に高い圧力」P2を計測した時に、再び、制御装置CDにより制御バルブCV1を閉じて予め設定しておいた時間t4だけ制御バルブCV1を閉じた状態とする(制御バルブ閉止操作)。尚、図4に示される昇圧パターンでは、時間t3をかけて、圧力がP1からP2まで上昇している。このように、順次設定圧力を高くしながら制御バルブCV1の開閉を繰り返し、最終的に所定の圧力(最も高い圧力)(例えば、図4に示される、予め設定しておいた圧力P3)で所定時間(例えば、図4に示される、予め設定しておいた時間t6)だけ被加圧機器300を加圧したところで本実施形態の加圧方法が終了になる。
【0034】
本実施形態の加圧方法においては、「加圧操作」と「制御バルブ閉止操作」とを繰り返す回数は、特に限定されず、所望の回数とすることができる。例えば、図4に示される昇圧パターンの場合、「繰り返す回数」は3回である。尚、図4に示される昇圧パターンにおける「3回目の昇圧」では、圧力がP2からP3まで上昇するのに、時間t5だけかかっている。
【0035】
本実施形態の加圧方法においては、複数回に分けて段階的に被加圧機器300を昇圧するが、1回の昇圧において上昇する圧力は、特に限定されず、所望の圧力とすることができる。
【0036】
本実施形態の加圧方法によって加圧される被加圧機器300としては、特に限定されず、段階的に昇圧する必要がある機器を挙げることができる。例えば、濾過器、濾過器を含む固液分離装置を構成する機器であって加圧しながら使用するもの等を挙げることができる。
【0037】
次に、上記本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする、固液分離装置について説明する。尚、本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする固液分離装置は、これに限定されるものではない。
【0038】
(3)固液分離装置:
本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする固液分離装置は、図2に示すように、「濾布1及び「濾布1によって内部が仕切られた濾過器本体2」を有し、濾布1の一方の面(2次側の面7)側の空間であるとともに濾液19が排出される空間である2次側空間5及び濾布1の他方の面側の空間であるとともに汚泥16が供給される空間である1次側空間4が形成された」濾過器3と、「2次側空間5を減圧することができる」減圧手段11と、「1次側空間4に汚泥16を供給することができる」汚泥供給手段12と、「1次側空間4に供給される汚泥を加圧することができる」加圧手段13と、「1次側空間4に供給された汚泥16が濾布1によって濾過されたときに濾布1の1次側空間4側の面である1次側の面6に堆積した濃縮汚泥を、圧搾することができる」汚泥圧搾手段とを備えるものであり、加圧手段13が、上記本発明の加圧装置の一の実施形態(加圧装置100)である。また、汚泥供給手段12が被加圧機器であるということもできるが、濾過機3が汚泥供給手段12を介して被加圧機器になっているということもできる。また、固液分離装置200から加圧手段13(加圧装置100)を除いた部分が、被加圧機器であるといってもよい。図2は、本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする固液分離装置200を示す模式図(フロー図)である。尚、図2において、汚泥貯留槽12aは、内部に貯留されている汚泥16が透けて見えるように表現されている。また、濾過器3は、断面を示すように表現されている。また、濾液貯留槽14は、内部に貯留されている濾液19が透けて見えるように表現されている。
【0039】
このように、本発明の加圧装置の一の実施形態を構成要素とする固液分離装置200は、加圧手段13が、上記本発明の加圧装置の一の実施形態であるため、加圧手段13に要するスペースを小さくすることができ、加圧手段13の設置に要する費用を低くすることができる。また、このような固液分離装置によれば、加圧手段13として本発明の加圧装置を用いるため、当該加圧装置を用いて被加圧機器である濾過器を段階的に昇圧しながら加圧して汚泥を固液分離することができる。これにより、濾布表面の付着物(汚泥の固形分)の層をフィルターとして利用しながら汚泥を濃縮することができるため、一つの装置で汚泥を処理することができる。
【0040】
尚、汚泥貯留槽12aと濾過器3の濃縮槽62とが配管で繋がれ、濾過器3の濾液排出槽61と濾液貯留槽14とが配管で繋がれている。各配管及び装置には、必要に応じて、バルブ、計器類が装備されていることが好ましい。
【0041】
また、濾過器3の2次側空間5を減圧することができる減圧手段11と、1次側空間4に汚泥16を供給することができる汚泥供給手段12と、1次側空間4に供給する汚泥16を加圧することができる加圧手段13と、濾布1の1次側の面6に堆積した濃縮汚泥を圧搾することができる汚泥圧搾手段とを備えるため、2次側空間5を減圧しながら汚泥16を濾過して、濾布1の1次側の面6に濃縮汚泥を堆積させ(吸引濾過工程)、上記「濾布1の1次側の面6に堆積した濃縮汚泥」の上から更に濃縮汚泥を堆積させ(加圧濾過工程)、最後に、濾布1の1次側の面6に堆積した濃縮汚泥を圧搾して圧搾汚泥を得る(圧搾工程)ことができる。そして、加圧手段13として、段階的に昇圧できる(昇圧操作(加圧操作)と、圧力を一定値で維持する操作(制御バルブ閉止操作)とを、交互に繰り返すことができる)本発明の加圧装置を用いるため、加圧濾過工程及び圧搾工程において、汚泥の固形分が濾布から漏れ出さない(濾布を透過しない)ように汚泥の圧力を調整しながら、短時間に汚泥の濾過を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の加圧装置及び加圧方法は、浄水場から排出される固形分濃度1質量%程度の汚泥を処理するために使用する固液分離装置及び固液分離方法に、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:濾布、2:濾過器本体、3:濾過器、4:1次側空間、5:2次側空間、6:1次側の面、7:2次側の面、11:減圧手段、12:汚泥供給手段、12a:汚泥貯留槽、13:加圧手段、14:濾液貯留槽、16:汚泥、19:濾液、61:濾液排出槽、62:濃縮槽、200:固液分離装置、100,210:加圧装置、300,310:被加圧機器、M1,M2:高圧ガス供給手段、T1,T10:加圧用配管、T1a:一方の端部、T1b:他方の端部、CV1:制御バルブ、CV10,CV11,CV12,CV13,CV14:制御バルブ、V1,V2:手動バルブ、CD:制御装置、PG:圧力計、P1,P2,P3:圧力、t1,t2,t3,t4,t5,t6:時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガス供給手段と、
前記高圧ガス供給手段に一方の端部が接続された加圧用配管と、
被加圧機器内の圧力を測定する圧力計と、
前記加圧用配管に設けられた制御バルブと、
前記圧力計により計測された圧力に基づき前記制御バルブを開閉させる制御装置とを備えた加圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧装置の前記加圧用配管の他方の端部が被加圧機器に接続された状態で、
前記制御バルブを開けて、高圧ガス供給手段から加圧用配管を通じて被加圧機器を加圧する加圧操作と、前記加圧操作において圧力計が予め設定しておいた圧力を計測したときに制御装置により制御バルブを閉じて予め設定しておいた時間だけ制御バルブを閉じた状態とする制御バルブ閉止操作とを、予め設定しておいた回数だけ繰り返して被加圧機器を加圧する加圧方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−170845(P2012−170845A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33132(P2011−33132)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】