加工経路におけるコーナ部を加工する制御装置
【課題】二つの主加工経路の間に円弧経路または直線経路が挿入された場合でも、コーナ部を適切に加工する。
【解決手段】加工ノズル(20)とレーザ発振器(22)とを制御する制御装置(10)は、互いに隣接する二つの主加工経路と、主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを加工プログラム(11)から解析する解析部(12)と、二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部(13)と、円弧加工経路または加工経路に対応する二つの主加工経路の間の距離あるいは円弧加工経路などに沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部(14)と、直線距離などが第一所定値以下であると共に、角度が第二所定値以下であると判定された場合には、円弧加工経路または加工経路におけるレーザ加工条件を主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部(15)と、を含む。
【解決手段】加工ノズル(20)とレーザ発振器(22)とを制御する制御装置(10)は、互いに隣接する二つの主加工経路と、主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを加工プログラム(11)から解析する解析部(12)と、二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部(13)と、円弧加工経路または加工経路に対応する二つの主加工経路の間の距離あるいは円弧加工経路などに沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部(14)と、直線距離などが第一所定値以下であると共に、角度が第二所定値以下であると判定された場合には、円弧加工経路または加工経路におけるレーザ加工条件を主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部(15)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工経路におけるコーナ部を加工する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断加工において切断方向を転換してコーナ部(エッジ部分)を生成することが一般に行われている。コーナ部の角度が鋭角になるほどレーザから入力される熱が過剰になり、溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じたり、切断不可能な状態が発生する場合がある。
【0003】
コーナ部(エッジ部分)にて入力される熱を抑えるために、レーザ出力をコーナ部にて一旦停止させて冷却時間を設けたり、冷却時間後の切断再開時にレーザをパルス出力したりする(エッジ加工)ことがある。あるいは、コーナ部の頂点から一定距離だけ切断した後でレーザ出力を一時停止して切断部位の冷却時間を設け、冷却後にコーナ部頂点まで切断済みの加工経路を逆行し、再び加工経路に沿って切断を開始する動作(スイッチバック動作)を行うこともある。このような加工を行うか否かの判断は、コーナ部で生成される角度に応じて定まる。通常は、レーザ切断加工で使用される制御装置が加工経路を解析して判断している。
【0004】
特許文献1には、二つの切断経路が生成するコーナ部の角度によってエッジ加工を行う加工方法が提案されている。また、特許文献2においては、鋭角なコーナ部の外側を切断加工する場合に、実際の加工経路ではなく、加工プログラムで指令された経路によるコーナ部の角度を解析してエッジ加工を行う加工方法及び制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3211902号
【特許文献2】特許第3825123号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12は従来技術において二つの直線主加工経路から構成されるコーナ部を示す図である。図12に示されるように、二つの直線主加工経路ab、bcとの間に角度θ1が生成される。このように比較的鋭角なコーナ部を生成する切断加工の場合には、二つの加工経路ab、bcを解析すれば、角度θ1を求めることができる。
【0007】
図13は従来技術において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。図13においては、二つの直線経路de、fgの間に、微小な円弧経路efが挿入されている。この円弧経路efのために、コーナ部には滑らかなつまり角丸部分が形成されるようになる。
【0008】
しかしながら、図13に示される場合には、制御装置は角丸部分よりも前方の切断経路deと円弧経路ef上の点eにおける接線ehとの間に生成される角度θ2を判定する。図13から分かるように、この角度θ2は鈍角である。つまり、制御装置は、切断されるべき形状が比較的鋭角になる部位においても鈍角部位であると判定する。そして、このような場合には、エッジ加工を適切に行うことができない。
【0009】
さらに、特許文献1および特許文献2の場合には、切断されるべきコーナ部が二つの直線主加工経路から形成される鋭角である場合に限られている。このため、特許文献1および特許文献2に開示される技術は、二つの直線主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入されたコーナ部には適用できない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合であっても、コーナ部を適切に加工することのできる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿ってワークを加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御装置において、互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析する解析部と、前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部と、前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および前記算出部により算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部と、前記判定部により前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部と、を具備する制御装置が提供される。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした。
3番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした。
4番目の発明によれば1番目の発明において、前記変更部により変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした。
5番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
6番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
7番目の発明によれば、5番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する。
【0012】
8番目の発明によれば、加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿って加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御方法において、互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析し、前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出し、前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定し、前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する、ことを含む制御方法が提供される。
9番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記直線主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした。
10番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした。
11番目の発明によれば、8番目の発明において、前記変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした。
12番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
13番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
14番目の発明によれば、12番目の発明において、さらに、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する。
【発明の効果】
【0013】
1番目および8番目の発明においては、二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であり、且つ仮想の角度が第二所定値以下である場合には、二つの主加工経路の間の角度はかなり小さいと判断できる。そのような場合に、一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路に応じたレーザ加工条件に変更するので、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合に、コーナ部を適切に加工することができる。
2番目および9番目の発明においては、円弧加工経路または直線加工経路に隣接する主加工経路の一部分においても適切な加工を行うことができる。
4番目および11番目の発明においては、加工ノズルの速度および/またはレーザ発振器の出力を小さくしているので、加工部位における熱が過剰になって溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じるのを避けられる。
5番目および12番目の発明においては、加工ノズルの動作を一旦停止させているので、レーザからの熱がワークの他の部位に広がるのを防ぐことができる。
6番目および13番目の発明においては、レーザ発振器の出力を一旦停止させているので、レーザからの熱がワークに集中するのを防ぐことができる。
7番目および14番目の発明においては、レーザ発振器を完全に停止させると、パワー不足になり、その後の出力が不安定になりうるので、加工ノズルを停止させた状態でレーザを低出力で照射するピアシング期間を設けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に基づく制御装置を含むレーザシステムの略図である。
【図2】本発明に基づく制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)本発明において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。(b)本発明において二つの直線主加工経路と直線経路とから構成されるコーナ部を示す図である。
【図4】(a)或る実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。(b)他の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。
【図5】(a)コーナ部の第一の例を示す図である。(b)コーナ部の第二の例を示す図である。
【図6】(a)コーナ部の第三の例を示す図である。(b)コーナ部の第四の例を示す図である。
【図7】(a)コーナ部の第五の例を示す図である。(b)コーナ部の第六の例を示す図である。
【図8】(a)コーナ部の第七の例を示す図である。(b)コーナ部の第八の例を示す図である。
【図9】コーナ部の第九の例を示す図である。
【図10】(a)コーナ部の第十の例を示す図である。(b)コーナ部の第十一の例を示す図である。
【図11】追加の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図4(a)と同様な図である。
【図12】従来技術において二つの直線主加工経路から構成されるコーナ部を示す図である。
【図13】従来技術において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づく制御装置を含むレーザシステムの略図である。図1に示されるように、制御装置10は、固定されたワークWの表面に沿って加工ノズル20を移動させるサーボモータ21と、加工ノズル20から出力されるレーザを発振するレーザ発振器22とに接続されている。レーザ発振器22は放電励起型である比較的高出力のレーザ発振器、例えば出力1kW以上の炭酸ガスレーザである。なお、加工ノズル20が固定されていて、サーボモータ21がワークWを移動させる構成であってもよい。
【0016】
制御装置10はデジタルコンピュータであり、ワークWを加工するための加工プログラム11と、加工プログラム11からワークW上の加工経路を解析する解析部12と、解析部12により解析された互いに隣接する二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部13としての役目を果たす。
【0017】
さらに、制御装置10は、二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出部13により算出された角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部14と、直線距離が第一所定値以下であると共に、角度が第二所定値以下であると判定された場合には、二つの主加工経路に連続する円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を変更する変更部15としての役目を果たす。
【0018】
図2は本発明に基づく制御装置の動作を示すフローチャートである。この動作のプログラムは制御装置10の図示しない記憶部に記憶されているものとする。また、前述した所定値などのデータも記憶部に記憶されている。さらに、図3(a)は、二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。以下、図2および図3(a)を参照しつつ、本発明に基づく制御装置の動作を説明する。
【0019】
はじめに、図2のステップS101において、解析部12が加工プログラム11を解析して、加工経路を抽出する。抽出された加工経路は複数の直線加工経路および/または複数の曲線経路を含みうる。次いで、ステップS102においては、解析部12が二つの主加工経路に挟まれた一つまたは複数の円弧経路または直線経路が加工経路に存在するか否かを解析する。主加工経路は直線または曲線であってもよい。
【0020】
図3(a)には、例として、二つの直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとから構成されるコーナ部が示されている。円弧経路bcはその端部b、cにおいて二つの直線主加工経路ab、cdの端部にそれぞれ接続している。その結果、二つの直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとは、連続する加工経路abcdを形成している。
【0021】
また、図3(b)は、例として、二つの直線主加工経路ab、cdと直線経路bcとから構成されるコーナ部を示している。図3(b)においては、円弧経路bcの代わりに、直線経路bcが示されている。図示されるように、直線経路bcは端部bから始まり、端部cで終端する。
【0022】
このように、円弧経路bc(または直線経路bc)が二つの直線主加工経路ab、cdの間に存在している場合には、ステップS103に進み、円弧経路bc等が存在していない場合には、ステップS106に進む。なお、以下においては、円弧経路bcを含む図3(a)の場合について主に説明するが、直線経路bcを含む図3(b)の場合においても概ね同様である。
【0023】
ステップS103においては、解析部12が円弧経路bcの最短の長さD(または直線経路bcの長さD)を解析する。長さDは、既に求めた二つの直線主加工経路ab、cd、円弧経路bcおよび加工プログラム11から公知の手法で求められる。そして、ステップS104において、判定部14が長さDが第一所定値よりも小さいか否かを判定する。第一所定値および後述する第二所定値は実験等により予め求められていて、制御装置10の記憶部(図示しない)に記憶されているものとする。
【0024】
長さDが第一所定値よりも小さいと判定された場合にはステップS105に進み、長さDが第一所定値よりも小さくないと判定された場合にはステップS106に進む。
【0025】
ステップS105においては、加工経路のコーナ部が比較的小さいと判断できる。そして、算出部13が二つの直線主加工経路ab、cdを仮想的に延長させて、それらの交点部分が形成する仮想のコーナ部の角度θを算出する。この角度θも、既に求めた二つの直線主加工経路ab、cd、円弧経路bcおよび加工プログラム11から公知の手法で求められる。
【0026】
また、ステップS106においては、加工経路のエッジ部分が比較的大きいと判断できる。図面には示さないものの、この場合には、二つの直線主加工経路がなす角度を同様な手法で算出する。
【0027】
そして、ステップS107においては、判定部14はこの角度θが第二所定値よりも小さいか否かを判定する。そして、角度θが第二所定値よりも小さい場合には、ステップS108でエッジ加工動作を指令する。これに対し、角度θが第二所定値よりも小さくない場合には、ステップS109で通常切断加工を指令する。
【0028】
ここで、通常切断加工指令は直線主加工経路ab、bcや緩やかな曲線経路(図示しない)などに沿ってワークWを切断するときに出力される指令であり、加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22の出力は比較的大きい。
【0029】
これに対し、エッジ加工動作指令は、円弧経路bc(および直線経路)などの比較的細かい経路に沿ってワークWを切断するときに出力される。エッジ加工動作指令においては、加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22からの出力は通常切断加工指令の場合よりも小さい。言い換えれば、角度θが第二所定値よりも小さい場合には、変更部15が通常の切断加工指令からエッジ加工動作指令へと変更している。
【0030】
エッジ加工動作指令における加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22からの出力はそれぞれ一定ではなく、時間に応じて適宜変更される。図4(a)は或る実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。
【0031】
図4(a)における横軸は時間を表し、この横軸には図3に示される箇所b、c、eに相当する時間が表されている。さらに図4(a)における縦軸は加工ノズル20の送り速度およびレーザ発振器22の出力を表している。また、図4(a)において実線X1は加工ノズル20の送り速度を表し、破線X2はレーザ出力を示している。以下、図3(a)および図4(a)を参照して、或る実施例における通常切断加工指令とエッジ加工動作指令とについて説明する。
【0032】
はじめに、区間ZAにおいて一方の直線主加工経路ab上を端部bに向かって或る速度で加工ノズル20を移動させつつ、或る出力でレーザ発振器22を駆動する。これにより、ワークWは一方の直線主加工経路abに沿って切断される。そして、端部bに近づくにつれて、加工ノズル20の速度を徐々に低下させる。区間ZBにおいて端部bに到達すると、加工ノズルが完全に停止して、レーザ出力をゼロにする。
【0033】
加工ノズル20の速度およびレーザ出力がゼロになった区間ZDは冷却期間である。このような冷却期間を設けることによって、レーザから入力される熱が過剰になることはなく、溶融物(ドロス)やセルフバーニングが発生するのを避けられる。冷却期間ZDにて加工ノズル20を停止させているので、レーザからの熱がワークWの他の部位に広がるのを防ぐことができる。また、冷却期間ZDにてレーザ出力を停止しているので、レーザからの熱がワークWに集中するのを防ぐこともできる。その結果、後述する円弧経路bc(または直線経路bc)を良好に切断することが可能である。
【0034】
あるいは、図4(a)と同様な図である図4(b)に示されるように、区間ZB内の区間ZDにおいて加工ノズル20のみを停止させ、レーザの出力を区間ZAのレーザ出力および円弧経路bc(または直線経路bc)切断時のレーザ出力よりも小さい値に維持するピアシング期間を設けても良い。一般にレーザ発振器22を完全に停止させると、パワー不足になり、その後の出力が不安定になる場合がある。このため、加工ノズル20を停止させた状態でレーザを低出力で照射するピアシング期間を設けるのが好ましい。
【0035】
そして、区間ZDが終了すると、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を、区間ZAでの値よりも小さい値まで上昇させる。これにより、円弧経路bc(または直線経路bc)に沿ってワークWが良好に切断される。
【0036】
次いで、端部cに到達すると、区間ZCに進入し、区間ZCでは他方の直線主加工経路cdに沿ってワークWが切断されるようになる。このとき、図4(a)から分かるように、端部cから直線主加工経路cdに沿って延びる一部分ceにおいても、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を区間ZAの場合よりも低下させるのが好ましい。
【0037】
その理由は、端部cにおいて加工ノズル20の移動方向が変化するので、移動方向の変化直後において加工ノズル20の速度およびレーザ出力を小さくすることにより、ワークWの切断を良好に行えるためである。この一部分ceは円弧経路の直径D(または直線経路bcの長さD)以下であるのが好ましい。
【0038】
なお、図面には示さないものの、一方の直線主加工経路abにおいて端部bに到達する直前の所定の区間においても、同様な理由により、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を区間ZAの場合よりも低下させるのが好ましい。
【0039】
そして、区間ZCにおいて他方の直線主加工経路cdの一部分ceを通過すると、加工ノズル20の移動速度およびレーザの出力を区間ZAと同じ値にまで戻す。そして、他方の直線主加工経路cdの残りの部分を切断する。
【0040】
このように、本発明の主な実施形態においては、制御装置10の解析部12が加工プログラム11に基づいて二つの直線主加工経路ab、cdとそれらに連続する一つ(または複数)の円弧経路bc(または直線経路bc)とを解析し、その長さDを把握する。そして、長さDおよび仮想角度がそれぞれの所定値よりも小さい場合には、変更部15が通常切断加工指令をエッジ加工動作指令に変更するようにしている。
【0041】
長さDおよび仮想角度がそれぞれの所定値よりも小さい場合には、二つの主加工経路の間の角度はかなり小さいと判断できる。本発明においては、そのような場合に、円弧加工経路または直線加工経路に応じたレーザ加工条件に変更している。このため、本発明においては、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合であっても、レーザから入力される熱が過剰となることなしに、コーナ部を適切に加工することが可能となっている。従って、溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じるのを避けることもできる。
【0042】
また、本発明においては、制御装置10に入力される加工プログラム11を作成する時点で、加工経路の解析を行う必要がないので、加工プログラム11の作成を迅速に行うことも可能である。
【0043】
以下、図5(a)から図11を参照して、本発明の制御装置が適用されるコーナ部を例示する。図5(a)および図5(b)はコーナ部の第一および第二の例を示す図である。図5(a)は図3(a)と概ね同様であり、直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。そして、円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、cdのそれぞれに滑らかに接続されている。
【0044】
ここで、図5(a)に示される仮想のコーナ部の角度θは比較的大きく、従って、エッジ加工動作が指令されることはない。しかしながら、図5(b)においては挿入された円弧経路bcの半径が小さく、従って、仮想のコーナ部の角度θも小さくなる。従って、図5(b)に示される加工経路の場合には、エッジ加工動作が必要であると判断される。
【0045】
図6(a)および図6(b)はそれぞれコーナ部の第四および第五の例を示す図である。これら図面においても、二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図6(a)においては、二つの直線主加工経路ab、cdは互いに垂直である。図6(b)においては二つの直線主加工経路ab、cdのなす角度は鈍角である。
【0046】
このような場合には円弧経路bcの半径が小さい場合であっても、仮想のコーナ部の角度θは大きい。このため、円弧経路bcにおいては熱影響が生じず、エッジ加工動作は必要とされない。つまり、図6(a)および図6(b)に示される場合には、円弧経路bcの長さDが小さい場合であっても、長さDおよび角度θの両方に基づいて判定することにより、エッジ加工動作が必要であることが判断される。
【0047】
図7(a)および図7(b)はそれぞれコーナ部の第五および第六の例を示す図である。これら図面においては曲線主加工経路abと直線主加工経路cdとの間に円弧経路bcが挿入されている。図示されるように、円弧経路bcは曲線主加工経路abに滑らかに接続されている。そして、曲線主加工経路abの延長線と直線主加工経路cdの延長線との交点pから曲線主加工経路abに接触する直線pqを延ばす。そして、直線pqと直線主加工経路cdの延長線とのなす角を仮想のコーナ部の角度θとする。
【0048】
図7(a)においては角度θが比較的小さいので、前述したようにエッジ加工動作が要求される。これに対し、図7(b)においては角度θが比較的大きいため、エッジ加工動作は必要でないと判断される。
【0049】
図8(a)はコーナ部の第七の例を示す図である。図8(a)においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。しかしながら、図8(a)に示される円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、cdのそれぞれに対して滑らかに接続されていない。そして、図8(a)において箇所bから延びる円弧経路bcの延長線の接線と直線主加工経路abとの間のなす角度を角度θ1とし、箇所cから延びる円弧経路bcの延長線の接線と直線主加工経路cdとの間のなす角度を角度θ2とする。
【0050】
図8(a)においては、直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとが滑らかに接続されていない。このため、角度θ1、θ2は、直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとが滑らかに接続されている場合よりも小さくなる。従って、図8(a)に示される場合には、角度θ1、θ2が比較的小さく、その結果、エッジ加工動作が必要であると判断される。
【0051】
図8(b)はコーナ部の第八の例を示す図である。図8(b)においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に直線経路bcが挿入されている。図示されるように、直線主加工経路abと直線経路bcとの間のなす角度は角度θ1であり、直線経路bcと直線主加工経路cdとの間のなす角度は角度θ2である。
【0052】
しかしながら、図8(b)に示される場合には、二つの直線主加工経路abのそれぞれを延長し、仮想のコーナ部の角度θを設定するのが好ましい。これにより、前述したのと同様な手法により、エッジ加工動作の必要性を判断することができる。
【0053】
図9はコーナ部の第九の例を示す図である。図9においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図9から分かるように、円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、bcに滑らかに接続していない。そして、円弧経路bcの半径は、円弧経路bcが直線主加工経路ab、bcに滑らかに接続されている場合と比較してかなり大きい。それゆえ、この場合には、円弧経路bcの半径または長さDによってエッジ加工動作の必要性を判定することができない。
【0054】
従って、図示されるように二つの直線主加工経路ab、bcのそれぞれを延長し、前述したように仮想のコーナ部の角度θを設定する。そして、角度θに基づいてエッジ加工動作の必要性を判断するのが好ましい。
【0055】
図10(a)および図10(b)はそれぞれコーナ部の第十および第十一の例を示す図である。図10(a)においては、二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図10(b)においては、二つの直線主加工経路ab、cdの間に直線経路bcが挿入されている。
【0056】
しかしながら、図10(a)における円弧経路bcは二つの円弧経路bb’、b’cから構成されている。同様に、図10(b)における直線経路bcも二つの直線経路bb’、b’cから構成されている。
【0057】
このような場合には、経路bb’、b’cを個別に認識するのではなく、連続した複数の経路bb’、b’cを単一の経路bcとして認識するのが好ましい。そして、図示されるように二つの直線主加工経路ab、bcのそれぞれを延長し、前述したように仮想のコーナ部の角度θを設定し、角度θに基づいてエッジ加工動作の必要性を判断する。
【0058】
図10(a)および図10(b)においては一方の直線主加工経路abに隣接する経路bb’の長さを所定値と比較する。そして、経路bb’が所定値よりも小さい場合には、次の経路b’cを含んだ経路bcと所定値とを比較し、経路bcが所定値以上であれば、図2に示される処理を実施するのが好ましい。言い換えれば、前述した長さDは或る範囲内に入っているのが好ましい。また、経路bcが三つ以上の円弧経路または直線経路の組合せから構成される場合にも同様な処理を行えるのが分かるであろう。
【0059】
図11は追加の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図4(a)と同様な図である。図11においては実線は加工ノズルの送り速度、破線はレーザ出力を示している。図11に示される文字は以下の通りである。
Faは、区間ZAの送り速度、
Saは、区間ZAのレーザ出力ピーク値、
Paは、区間ZAのレーザパルス周波数、
Qaは、区間ZAのレーザパルスデューティ、
Fbは、区間ZBの送り速度、
Sbは、区間ZBのレーザ出力ピーク値、
Pbは、区間ZBのレーザパルス周波数、
Qbは、区間ZBのレーザパルスデューティ、
Lrは、条件復帰距離(区間ZD)、
Frは、条件復帰速度、
Prは、条件復帰レーザパルス周波数、
Qrは、条件復帰レーザパルスデューティ、
Fcは、区間ZCの送り速度、
Scは、区間ZCのレーザ出力ピーク値、
Pcは、区間ZCのレーザパルス周波数、および
Qcは、区間ZCのレーザパルスデューティ、を示している。
【0060】
また、各項目の単位などについては表1を参照されたい。
【表1】
図11の詳細については図4(a)および図4(b)を参照して説明したのと概ね同様であるので、詳細な説明を省略する。図11においては、冷却期間またはピアシング期間ZDは設けられていない。図11に示されるように、条件復帰距離Lrにおいては、区間ZBにおけるレーザ加工条件ならびに区間ZA、区間ZBおよび区間ZCの終盤におけるレーザ加工条件とは異なったレーザ条件が設定されている。また、図11においては条件復帰距離Lrが区間ZCにおいてのみ設けられている。このことは、区間ZBと区間ZCに跨って条件復帰距離が設けられた図4(a)および図4(b)とは異なるのがわかるであろう。このように図11に示される条件であっても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 制御装置
11 加工プログラム
12 解析部
13 算出部
14 判定部
15 変更部
20 加工ノズル
21 サーボモータ
22 レーザ発振器
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工経路におけるコーナ部を加工する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断加工において切断方向を転換してコーナ部(エッジ部分)を生成することが一般に行われている。コーナ部の角度が鋭角になるほどレーザから入力される熱が過剰になり、溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じたり、切断不可能な状態が発生する場合がある。
【0003】
コーナ部(エッジ部分)にて入力される熱を抑えるために、レーザ出力をコーナ部にて一旦停止させて冷却時間を設けたり、冷却時間後の切断再開時にレーザをパルス出力したりする(エッジ加工)ことがある。あるいは、コーナ部の頂点から一定距離だけ切断した後でレーザ出力を一時停止して切断部位の冷却時間を設け、冷却後にコーナ部頂点まで切断済みの加工経路を逆行し、再び加工経路に沿って切断を開始する動作(スイッチバック動作)を行うこともある。このような加工を行うか否かの判断は、コーナ部で生成される角度に応じて定まる。通常は、レーザ切断加工で使用される制御装置が加工経路を解析して判断している。
【0004】
特許文献1には、二つの切断経路が生成するコーナ部の角度によってエッジ加工を行う加工方法が提案されている。また、特許文献2においては、鋭角なコーナ部の外側を切断加工する場合に、実際の加工経路ではなく、加工プログラムで指令された経路によるコーナ部の角度を解析してエッジ加工を行う加工方法及び制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3211902号
【特許文献2】特許第3825123号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12は従来技術において二つの直線主加工経路から構成されるコーナ部を示す図である。図12に示されるように、二つの直線主加工経路ab、bcとの間に角度θ1が生成される。このように比較的鋭角なコーナ部を生成する切断加工の場合には、二つの加工経路ab、bcを解析すれば、角度θ1を求めることができる。
【0007】
図13は従来技術において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。図13においては、二つの直線経路de、fgの間に、微小な円弧経路efが挿入されている。この円弧経路efのために、コーナ部には滑らかなつまり角丸部分が形成されるようになる。
【0008】
しかしながら、図13に示される場合には、制御装置は角丸部分よりも前方の切断経路deと円弧経路ef上の点eにおける接線ehとの間に生成される角度θ2を判定する。図13から分かるように、この角度θ2は鈍角である。つまり、制御装置は、切断されるべき形状が比較的鋭角になる部位においても鈍角部位であると判定する。そして、このような場合には、エッジ加工を適切に行うことができない。
【0009】
さらに、特許文献1および特許文献2の場合には、切断されるべきコーナ部が二つの直線主加工経路から形成される鋭角である場合に限られている。このため、特許文献1および特許文献2に開示される技術は、二つの直線主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入されたコーナ部には適用できない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合であっても、コーナ部を適切に加工することのできる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿ってワークを加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御装置において、互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析する解析部と、前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部と、前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および前記算出部により算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部と、前記判定部により前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部と、を具備する制御装置が提供される。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした。
3番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした。
4番目の発明によれば1番目の発明において、前記変更部により変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした。
5番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
6番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
7番目の発明によれば、5番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する。
【0012】
8番目の発明によれば、加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿って加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御方法において、互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析し、前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出し、前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定し、前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する、ことを含む制御方法が提供される。
9番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記直線主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした。
10番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした。
11番目の発明によれば、8番目の発明において、前記変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした。
12番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
13番目の発明によれば、8番目の発明において、さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する。
14番目の発明によれば、12番目の発明において、さらに、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する。
【発明の効果】
【0013】
1番目および8番目の発明においては、二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であり、且つ仮想の角度が第二所定値以下である場合には、二つの主加工経路の間の角度はかなり小さいと判断できる。そのような場合に、一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路に応じたレーザ加工条件に変更するので、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合に、コーナ部を適切に加工することができる。
2番目および9番目の発明においては、円弧加工経路または直線加工経路に隣接する主加工経路の一部分においても適切な加工を行うことができる。
4番目および11番目の発明においては、加工ノズルの速度および/またはレーザ発振器の出力を小さくしているので、加工部位における熱が過剰になって溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じるのを避けられる。
5番目および12番目の発明においては、加工ノズルの動作を一旦停止させているので、レーザからの熱がワークの他の部位に広がるのを防ぐことができる。
6番目および13番目の発明においては、レーザ発振器の出力を一旦停止させているので、レーザからの熱がワークに集中するのを防ぐことができる。
7番目および14番目の発明においては、レーザ発振器を完全に停止させると、パワー不足になり、その後の出力が不安定になりうるので、加工ノズルを停止させた状態でレーザを低出力で照射するピアシング期間を設けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に基づく制御装置を含むレーザシステムの略図である。
【図2】本発明に基づく制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)本発明において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。(b)本発明において二つの直線主加工経路と直線経路とから構成されるコーナ部を示す図である。
【図4】(a)或る実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。(b)他の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。
【図5】(a)コーナ部の第一の例を示す図である。(b)コーナ部の第二の例を示す図である。
【図6】(a)コーナ部の第三の例を示す図である。(b)コーナ部の第四の例を示す図である。
【図7】(a)コーナ部の第五の例を示す図である。(b)コーナ部の第六の例を示す図である。
【図8】(a)コーナ部の第七の例を示す図である。(b)コーナ部の第八の例を示す図である。
【図9】コーナ部の第九の例を示す図である。
【図10】(a)コーナ部の第十の例を示す図である。(b)コーナ部の第十一の例を示す図である。
【図11】追加の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図4(a)と同様な図である。
【図12】従来技術において二つの直線主加工経路から構成されるコーナ部を示す図である。
【図13】従来技術において二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づく制御装置を含むレーザシステムの略図である。図1に示されるように、制御装置10は、固定されたワークWの表面に沿って加工ノズル20を移動させるサーボモータ21と、加工ノズル20から出力されるレーザを発振するレーザ発振器22とに接続されている。レーザ発振器22は放電励起型である比較的高出力のレーザ発振器、例えば出力1kW以上の炭酸ガスレーザである。なお、加工ノズル20が固定されていて、サーボモータ21がワークWを移動させる構成であってもよい。
【0016】
制御装置10はデジタルコンピュータであり、ワークWを加工するための加工プログラム11と、加工プログラム11からワークW上の加工経路を解析する解析部12と、解析部12により解析された互いに隣接する二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部13としての役目を果たす。
【0017】
さらに、制御装置10は、二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出部13により算出された角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部14と、直線距離が第一所定値以下であると共に、角度が第二所定値以下であると判定された場合には、二つの主加工経路に連続する円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を変更する変更部15としての役目を果たす。
【0018】
図2は本発明に基づく制御装置の動作を示すフローチャートである。この動作のプログラムは制御装置10の図示しない記憶部に記憶されているものとする。また、前述した所定値などのデータも記憶部に記憶されている。さらに、図3(a)は、二つの直線主加工経路と円弧経路とから構成されるコーナ部を示す図である。以下、図2および図3(a)を参照しつつ、本発明に基づく制御装置の動作を説明する。
【0019】
はじめに、図2のステップS101において、解析部12が加工プログラム11を解析して、加工経路を抽出する。抽出された加工経路は複数の直線加工経路および/または複数の曲線経路を含みうる。次いで、ステップS102においては、解析部12が二つの主加工経路に挟まれた一つまたは複数の円弧経路または直線経路が加工経路に存在するか否かを解析する。主加工経路は直線または曲線であってもよい。
【0020】
図3(a)には、例として、二つの直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとから構成されるコーナ部が示されている。円弧経路bcはその端部b、cにおいて二つの直線主加工経路ab、cdの端部にそれぞれ接続している。その結果、二つの直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとは、連続する加工経路abcdを形成している。
【0021】
また、図3(b)は、例として、二つの直線主加工経路ab、cdと直線経路bcとから構成されるコーナ部を示している。図3(b)においては、円弧経路bcの代わりに、直線経路bcが示されている。図示されるように、直線経路bcは端部bから始まり、端部cで終端する。
【0022】
このように、円弧経路bc(または直線経路bc)が二つの直線主加工経路ab、cdの間に存在している場合には、ステップS103に進み、円弧経路bc等が存在していない場合には、ステップS106に進む。なお、以下においては、円弧経路bcを含む図3(a)の場合について主に説明するが、直線経路bcを含む図3(b)の場合においても概ね同様である。
【0023】
ステップS103においては、解析部12が円弧経路bcの最短の長さD(または直線経路bcの長さD)を解析する。長さDは、既に求めた二つの直線主加工経路ab、cd、円弧経路bcおよび加工プログラム11から公知の手法で求められる。そして、ステップS104において、判定部14が長さDが第一所定値よりも小さいか否かを判定する。第一所定値および後述する第二所定値は実験等により予め求められていて、制御装置10の記憶部(図示しない)に記憶されているものとする。
【0024】
長さDが第一所定値よりも小さいと判定された場合にはステップS105に進み、長さDが第一所定値よりも小さくないと判定された場合にはステップS106に進む。
【0025】
ステップS105においては、加工経路のコーナ部が比較的小さいと判断できる。そして、算出部13が二つの直線主加工経路ab、cdを仮想的に延長させて、それらの交点部分が形成する仮想のコーナ部の角度θを算出する。この角度θも、既に求めた二つの直線主加工経路ab、cd、円弧経路bcおよび加工プログラム11から公知の手法で求められる。
【0026】
また、ステップS106においては、加工経路のエッジ部分が比較的大きいと判断できる。図面には示さないものの、この場合には、二つの直線主加工経路がなす角度を同様な手法で算出する。
【0027】
そして、ステップS107においては、判定部14はこの角度θが第二所定値よりも小さいか否かを判定する。そして、角度θが第二所定値よりも小さい場合には、ステップS108でエッジ加工動作を指令する。これに対し、角度θが第二所定値よりも小さくない場合には、ステップS109で通常切断加工を指令する。
【0028】
ここで、通常切断加工指令は直線主加工経路ab、bcや緩やかな曲線経路(図示しない)などに沿ってワークWを切断するときに出力される指令であり、加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22の出力は比較的大きい。
【0029】
これに対し、エッジ加工動作指令は、円弧経路bc(および直線経路)などの比較的細かい経路に沿ってワークWを切断するときに出力される。エッジ加工動作指令においては、加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22からの出力は通常切断加工指令の場合よりも小さい。言い換えれば、角度θが第二所定値よりも小さい場合には、変更部15が通常の切断加工指令からエッジ加工動作指令へと変更している。
【0030】
エッジ加工動作指令における加工ノズル20の移動速度およびレーザ発振器22からの出力はそれぞれ一定ではなく、時間に応じて適宜変更される。図4(a)は或る実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図である。
【0031】
図4(a)における横軸は時間を表し、この横軸には図3に示される箇所b、c、eに相当する時間が表されている。さらに図4(a)における縦軸は加工ノズル20の送り速度およびレーザ発振器22の出力を表している。また、図4(a)において実線X1は加工ノズル20の送り速度を表し、破線X2はレーザ出力を示している。以下、図3(a)および図4(a)を参照して、或る実施例における通常切断加工指令とエッジ加工動作指令とについて説明する。
【0032】
はじめに、区間ZAにおいて一方の直線主加工経路ab上を端部bに向かって或る速度で加工ノズル20を移動させつつ、或る出力でレーザ発振器22を駆動する。これにより、ワークWは一方の直線主加工経路abに沿って切断される。そして、端部bに近づくにつれて、加工ノズル20の速度を徐々に低下させる。区間ZBにおいて端部bに到達すると、加工ノズルが完全に停止して、レーザ出力をゼロにする。
【0033】
加工ノズル20の速度およびレーザ出力がゼロになった区間ZDは冷却期間である。このような冷却期間を設けることによって、レーザから入力される熱が過剰になることはなく、溶融物(ドロス)やセルフバーニングが発生するのを避けられる。冷却期間ZDにて加工ノズル20を停止させているので、レーザからの熱がワークWの他の部位に広がるのを防ぐことができる。また、冷却期間ZDにてレーザ出力を停止しているので、レーザからの熱がワークWに集中するのを防ぐこともできる。その結果、後述する円弧経路bc(または直線経路bc)を良好に切断することが可能である。
【0034】
あるいは、図4(a)と同様な図である図4(b)に示されるように、区間ZB内の区間ZDにおいて加工ノズル20のみを停止させ、レーザの出力を区間ZAのレーザ出力および円弧経路bc(または直線経路bc)切断時のレーザ出力よりも小さい値に維持するピアシング期間を設けても良い。一般にレーザ発振器22を完全に停止させると、パワー不足になり、その後の出力が不安定になる場合がある。このため、加工ノズル20を停止させた状態でレーザを低出力で照射するピアシング期間を設けるのが好ましい。
【0035】
そして、区間ZDが終了すると、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を、区間ZAでの値よりも小さい値まで上昇させる。これにより、円弧経路bc(または直線経路bc)に沿ってワークWが良好に切断される。
【0036】
次いで、端部cに到達すると、区間ZCに進入し、区間ZCでは他方の直線主加工経路cdに沿ってワークWが切断されるようになる。このとき、図4(a)から分かるように、端部cから直線主加工経路cdに沿って延びる一部分ceにおいても、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を区間ZAの場合よりも低下させるのが好ましい。
【0037】
その理由は、端部cにおいて加工ノズル20の移動方向が変化するので、移動方向の変化直後において加工ノズル20の速度およびレーザ出力を小さくすることにより、ワークWの切断を良好に行えるためである。この一部分ceは円弧経路の直径D(または直線経路bcの長さD)以下であるのが好ましい。
【0038】
なお、図面には示さないものの、一方の直線主加工経路abにおいて端部bに到達する直前の所定の区間においても、同様な理由により、加工ノズル20の速度およびレーザ出力を区間ZAの場合よりも低下させるのが好ましい。
【0039】
そして、区間ZCにおいて他方の直線主加工経路cdの一部分ceを通過すると、加工ノズル20の移動速度およびレーザの出力を区間ZAと同じ値にまで戻す。そして、他方の直線主加工経路cdの残りの部分を切断する。
【0040】
このように、本発明の主な実施形態においては、制御装置10の解析部12が加工プログラム11に基づいて二つの直線主加工経路ab、cdとそれらに連続する一つ(または複数)の円弧経路bc(または直線経路bc)とを解析し、その長さDを把握する。そして、長さDおよび仮想角度がそれぞれの所定値よりも小さい場合には、変更部15が通常切断加工指令をエッジ加工動作指令に変更するようにしている。
【0041】
長さDおよび仮想角度がそれぞれの所定値よりも小さい場合には、二つの主加工経路の間の角度はかなり小さいと判断できる。本発明においては、そのような場合に、円弧加工経路または直線加工経路に応じたレーザ加工条件に変更している。このため、本発明においては、二つの主加工経路の間に微小な円弧経路または微小な直線経路が挿入された場合であっても、レーザから入力される熱が過剰となることなしに、コーナ部を適切に加工することが可能となっている。従って、溶融物(ドロス)やセルフバーニングの発生による加工不良が生じるのを避けることもできる。
【0042】
また、本発明においては、制御装置10に入力される加工プログラム11を作成する時点で、加工経路の解析を行う必要がないので、加工プログラム11の作成を迅速に行うことも可能である。
【0043】
以下、図5(a)から図11を参照して、本発明の制御装置が適用されるコーナ部を例示する。図5(a)および図5(b)はコーナ部の第一および第二の例を示す図である。図5(a)は図3(a)と概ね同様であり、直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。そして、円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、cdのそれぞれに滑らかに接続されている。
【0044】
ここで、図5(a)に示される仮想のコーナ部の角度θは比較的大きく、従って、エッジ加工動作が指令されることはない。しかしながら、図5(b)においては挿入された円弧経路bcの半径が小さく、従って、仮想のコーナ部の角度θも小さくなる。従って、図5(b)に示される加工経路の場合には、エッジ加工動作が必要であると判断される。
【0045】
図6(a)および図6(b)はそれぞれコーナ部の第四および第五の例を示す図である。これら図面においても、二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図6(a)においては、二つの直線主加工経路ab、cdは互いに垂直である。図6(b)においては二つの直線主加工経路ab、cdのなす角度は鈍角である。
【0046】
このような場合には円弧経路bcの半径が小さい場合であっても、仮想のコーナ部の角度θは大きい。このため、円弧経路bcにおいては熱影響が生じず、エッジ加工動作は必要とされない。つまり、図6(a)および図6(b)に示される場合には、円弧経路bcの長さDが小さい場合であっても、長さDおよび角度θの両方に基づいて判定することにより、エッジ加工動作が必要であることが判断される。
【0047】
図7(a)および図7(b)はそれぞれコーナ部の第五および第六の例を示す図である。これら図面においては曲線主加工経路abと直線主加工経路cdとの間に円弧経路bcが挿入されている。図示されるように、円弧経路bcは曲線主加工経路abに滑らかに接続されている。そして、曲線主加工経路abの延長線と直線主加工経路cdの延長線との交点pから曲線主加工経路abに接触する直線pqを延ばす。そして、直線pqと直線主加工経路cdの延長線とのなす角を仮想のコーナ部の角度θとする。
【0048】
図7(a)においては角度θが比較的小さいので、前述したようにエッジ加工動作が要求される。これに対し、図7(b)においては角度θが比較的大きいため、エッジ加工動作は必要でないと判断される。
【0049】
図8(a)はコーナ部の第七の例を示す図である。図8(a)においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。しかしながら、図8(a)に示される円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、cdのそれぞれに対して滑らかに接続されていない。そして、図8(a)において箇所bから延びる円弧経路bcの延長線の接線と直線主加工経路abとの間のなす角度を角度θ1とし、箇所cから延びる円弧経路bcの延長線の接線と直線主加工経路cdとの間のなす角度を角度θ2とする。
【0050】
図8(a)においては、直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとが滑らかに接続されていない。このため、角度θ1、θ2は、直線主加工経路ab、cdと円弧経路bcとが滑らかに接続されている場合よりも小さくなる。従って、図8(a)に示される場合には、角度θ1、θ2が比較的小さく、その結果、エッジ加工動作が必要であると判断される。
【0051】
図8(b)はコーナ部の第八の例を示す図である。図8(b)においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に直線経路bcが挿入されている。図示されるように、直線主加工経路abと直線経路bcとの間のなす角度は角度θ1であり、直線経路bcと直線主加工経路cdとの間のなす角度は角度θ2である。
【0052】
しかしながら、図8(b)に示される場合には、二つの直線主加工経路abのそれぞれを延長し、仮想のコーナ部の角度θを設定するのが好ましい。これにより、前述したのと同様な手法により、エッジ加工動作の必要性を判断することができる。
【0053】
図9はコーナ部の第九の例を示す図である。図9においては二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図9から分かるように、円弧経路bcは二つの直線主加工経路ab、bcに滑らかに接続していない。そして、円弧経路bcの半径は、円弧経路bcが直線主加工経路ab、bcに滑らかに接続されている場合と比較してかなり大きい。それゆえ、この場合には、円弧経路bcの半径または長さDによってエッジ加工動作の必要性を判定することができない。
【0054】
従って、図示されるように二つの直線主加工経路ab、bcのそれぞれを延長し、前述したように仮想のコーナ部の角度θを設定する。そして、角度θに基づいてエッジ加工動作の必要性を判断するのが好ましい。
【0055】
図10(a)および図10(b)はそれぞれコーナ部の第十および第十一の例を示す図である。図10(a)においては、二つの直線主加工経路ab、cdの間に円弧経路bcが挿入されている。図10(b)においては、二つの直線主加工経路ab、cdの間に直線経路bcが挿入されている。
【0056】
しかしながら、図10(a)における円弧経路bcは二つの円弧経路bb’、b’cから構成されている。同様に、図10(b)における直線経路bcも二つの直線経路bb’、b’cから構成されている。
【0057】
このような場合には、経路bb’、b’cを個別に認識するのではなく、連続した複数の経路bb’、b’cを単一の経路bcとして認識するのが好ましい。そして、図示されるように二つの直線主加工経路ab、bcのそれぞれを延長し、前述したように仮想のコーナ部の角度θを設定し、角度θに基づいてエッジ加工動作の必要性を判断する。
【0058】
図10(a)および図10(b)においては一方の直線主加工経路abに隣接する経路bb’の長さを所定値と比較する。そして、経路bb’が所定値よりも小さい場合には、次の経路b’cを含んだ経路bcと所定値とを比較し、経路bcが所定値以上であれば、図2に示される処理を実施するのが好ましい。言い換えれば、前述した長さDは或る範囲内に入っているのが好ましい。また、経路bcが三つ以上の円弧経路または直線経路の組合せから構成される場合にも同様な処理を行えるのが分かるであろう。
【0059】
図11は追加の実施例における時間と加工ノズル送り速度およびレーザ出力との関係を示す図4(a)と同様な図である。図11においては実線は加工ノズルの送り速度、破線はレーザ出力を示している。図11に示される文字は以下の通りである。
Faは、区間ZAの送り速度、
Saは、区間ZAのレーザ出力ピーク値、
Paは、区間ZAのレーザパルス周波数、
Qaは、区間ZAのレーザパルスデューティ、
Fbは、区間ZBの送り速度、
Sbは、区間ZBのレーザ出力ピーク値、
Pbは、区間ZBのレーザパルス周波数、
Qbは、区間ZBのレーザパルスデューティ、
Lrは、条件復帰距離(区間ZD)、
Frは、条件復帰速度、
Prは、条件復帰レーザパルス周波数、
Qrは、条件復帰レーザパルスデューティ、
Fcは、区間ZCの送り速度、
Scは、区間ZCのレーザ出力ピーク値、
Pcは、区間ZCのレーザパルス周波数、および
Qcは、区間ZCのレーザパルスデューティ、を示している。
【0060】
また、各項目の単位などについては表1を参照されたい。
【表1】
図11の詳細については図4(a)および図4(b)を参照して説明したのと概ね同様であるので、詳細な説明を省略する。図11においては、冷却期間またはピアシング期間ZDは設けられていない。図11に示されるように、条件復帰距離Lrにおいては、区間ZBにおけるレーザ加工条件ならびに区間ZA、区間ZBおよび区間ZCの終盤におけるレーザ加工条件とは異なったレーザ条件が設定されている。また、図11においては条件復帰距離Lrが区間ZCにおいてのみ設けられている。このことは、区間ZBと区間ZCに跨って条件復帰距離が設けられた図4(a)および図4(b)とは異なるのがわかるであろう。このように図11に示される条件であっても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 制御装置
11 加工プログラム
12 解析部
13 算出部
14 判定部
15 変更部
20 加工ノズル
21 サーボモータ
22 レーザ発振器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿ってワークを加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御装置において、
互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析する解析部と、
前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部と、
前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および前記算出部により算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部と、
前記判定部により前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部と、を具備する制御装置。
【請求項2】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記変更部により変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
さらに、前記変更部は、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿って加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御方法において、
互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析し、
前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出し、
前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定し、
前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する、ことを含む制御方法。
【請求項9】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
前記変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした請求項8に記載の制御方法。
【請求項12】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項13】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項14】
さらに、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する、請求項12に記載の制御方法。
【請求項1】
加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿ってワークを加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御装置において、
互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析する解析部と、
前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出する算出部と、
前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および前記算出部により算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定する判定部と、
前記判定部により前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する変更部と、を具備する制御装置。
【請求項2】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記変更部により変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
さらに、前記変更部は、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
加工プログラムに応じて定まる加工経路に沿って加工すべく、加工ノズルとレーザ発振器とを制御する制御方法において、
互いに隣接する二つの主加工経路と、これら主加工経路の両方に連続する一つまたは複数の円弧加工経路または直線加工経路とを前記加工プログラムから解析し、
前記二つの主加工経路がなす仮想のコーナ部の角度を算出し、
前記円弧加工経路または直線加工経路に対応する前記二つの主加工経路の間の直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であるか、および算出された前記角度が第二所定値以下であるかを判定し、
前記直線距離あるいは前記円弧加工経路または前記直線加工経路に沿った距離が第一所定値以下であると共に、前記角度が第二所定値以下であると判定された場合には、前記円弧加工経路または直線加工経路におけるレーザ加工条件を前記主加工経路のレーザ加工条件から変更する、ことを含む制御方法。
【請求項9】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または直線加工経路における変更されたレーザ加工条件に設定するようにした、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
さらに、前記変更部は、前記円弧加工経路または前記直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ伸びる前記主加工経路の一部分におけるレーザ加工条件を、前記円弧加工経路または前記直線加工経路におけるレーザ加工条件および前記主加工経路におけるレーザ加工条件とは異なって設定するようにした請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
前記変更されたレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力のうちの少なくとも一方は、前記主加工経路のレーザ加工条件における前記加工ノズルの速度および前記レーザ発振器の出力よりも小さいようにした請求項8に記載の制御方法。
【請求項12】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記加工ノズルの動作を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項13】
さらに、前記円弧加工経路または直線加工経路の始点および終点の少なくとも一方、または前記円弧加工経路または直線加工経路から前記主加工経路に沿って所定距離だけ延びる前記主加工経路の一部分において、前記レーザ発振器の出力を一旦停止させるようにレーザ加工条件を変更する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項14】
さらに、前記加工ノズルの動作を一旦停止させた後で、ピアシング動作を行うようにレーザ加工条件を変更する、請求項12に記載の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−93009(P2013−93009A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86382(P2012−86382)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】
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