説明

加工装置

【課題】装置全体を大型化することなく生産性を向上させることができる加工装置を提供する。
【解決手段】チャックテーブルに保持された被加工物を旋削するための加工装置であって、被加工物を保持する第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルと、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルとに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた第1の旋削手段および第2の旋削手段と、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルに加工前の被加工物を搬入する被加工物搬入手段と、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルに載置され加工後の被加工物を洗浄手段に搬出する被加工物搬出手段を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが複数個形成された半導体ウエーハはダイシング装置等によって個々の半導体チップに分割され、この分割された半導体チップは携帯電話やパソコン等の電気機器に広く用いられている。
近年、電気機器の軽量化、小型化を可能にするために、半導体チップの電極に50〜100μmの突起状のバンプを形成し、このバンプを実装基板に形成された電極に直接接合するようにしたフリップチップと称する半導体チップが開発され実用に供されている。また、インターポーザーといわれる基板に複数の半導体チップを併設したり、積層したりして小型化を図る技術も開発され実用化されている。
【0003】
しかるに、上述した各技術は半導体チップ等の基板の表面に複数個の突起状のバンプ(電極)を形成し、その突起状の電極を介して基板同士を接合するため、突起状のバンプ(電極)の高さを揃える必要がある。この突起状のバンプ(電極)の高さを揃えるためには、一般的に研削が用いられている。しかしながら、バンプ(電極)を研削すると、バンプ(電極)が金等の粘りのある金属によって形成されている場合にはバリが発生し、このバリが隣接するバンプ(電極)と短絡するという問題がある。
【0004】
また、半導体チップ等の基板の表面に複数個の突起状のバンプ(電極)を形成する技術として、金等のワイヤーの先端を加熱溶融してボールを形成した後、半導体チップの電極にそのボールを超音波併用熱圧着し、ボールの頭を破断するスタッドバンプ形成法がある。このスタッドバンプ形成法によって形成されたバンプ(電極)は、熱圧着されたボールの頭を破断する際に針状の髭が発生することから研磨することが困難であり、加熱した板をバンプに押し当ててバンプの高さを揃えるようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
しかるに、加熱した板をバンプに押し当ててバンプの高さを揃えると、バンプの頭が潰れる際に隣接するバンプと短絡するという問題がある。この問題を解消するために上記公報に記載された発明においては、バンプの先端部を除去する余分な工程を設けている。
【0006】
上述した問題を解消するために、板状物の表面に突出して形成された複数個の電極の先端部をバイト工具によって旋削して除去する加工装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−53097号公報
【特許文献2】特開2004−319697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた加工装置は、1枚のウエーハを加工するのに4〜5分程度の時間を要し、生産性の面で必ずしも満足し得るものではない。また、この種の加工装置は、クリーンルームと呼ばれる比較的単価の高い部屋に設置されるため、小型化が要求される。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、装置全体を大型化することなく生産性を向上させることができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた旋削手段と、該チャックテーブルに被加工物を搬入搬出する被加工物搬入・搬出領域と該旋削手段によって加工する加工領域に該チャックテーブルを移動するチャックテーブル移動手段と、加工前の被加工物が収容された第1のカセットを載置する第1のカセット載置領域と、該第1のカセット載置領域に載置された該第1のカセットから搬出された加工前の被加工物を仮置きする被加工物仮載置き手段と、該被加工物仮載置き手段に仮置きされた加工前の被加工物を被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該チャックテーブルに搬入する被加工物搬入手段と、加工後の被加工物を洗浄する洗浄手段と、加工後の被加工物が収容された第2のカセットを載置する第2のカセット載置領域と、該被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該チャックテーブル上に載置されている加工後の被加工物を搬出し洗浄手段に搬送する被加工物搬出手段と、該第1のカセット載置領域に載置された該第1のカセット内に収納されている加工前の被加工物を該被加工物仮置き手段に搬送するとともに該洗浄手段で洗浄された加工後の被加工物を該第2のカセット載置領域に載置された該第2のカセットに搬送する被加工物搬送手段と、を具備する加工装置において、
該チャックテーブルは、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルを備え、
該旋削手段は、該第1のチャックテーブルに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた第1の旋削手段および該第2のチャックテーブルに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた第2の旋削手段を備え、
該チャックテーブル移動手段は、該第1のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第1の被加工物搬入・搬出領域と該第1の旋削手段によって加工する第1の加工領域に該第1のチャックテーブルを移動する第1のチャックテーブル移動手段および該第2のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第2の被加工物搬入・搬出領域と該第2の旋削手段によって加工する第2の加工領域に該第2のチャックテーブルを移動する第2のチャックテーブル移動手段を備え、
被加工物搬入手段は、該被加工物仮載置き手段に仮置きされた加工前の被加工物を該第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび該第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブルに搬入し、
該被加工物搬出手段は、該第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび該第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上に載置されている加工後の被加工物を搬出し該洗浄手段に搬送する、
ことを特徴とする加工装置が提供される。
【0011】
上記被加工物搬入手段は、被加工物を保持する吸引保持パッドと、該吸引保持パッドを一端に装着した作動アームと、該作動アームの他端に取り付けられた旋回軸と、該旋回軸を中心として作動アームを旋回し作動アームの一端に装着された吸引保持パッドを該被加工物仮置き手段と第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上に位置付ける位置付け手段とからなっており、上記被加工物搬出手段は、被加工物を吸引保持する吸引保持パッドと、該吸引保持パッドを一端に装着した作動アームと、該作動アームの他端に取り付けられた旋回軸と、該旋回軸を中心として作動アームを旋回し作動アームの一端に装着された吸引保持パッドを第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上と該洗浄手段に位置付ける位置付け手段とからなっている。
また、上記第1の旋削手段および第2の旋削手段は、第1の回転スピンドルおよび第2の回転スピンドル下端に装着され第1のバイト工具および第2のバイト工具がそれぞれ取り付けられる第1のバイト工具装着部材および第2のバイト工具装着部材を備えており、第1のバイト工具装着部材と第2のバイト工具装着部材の回転方向が逆方向となるように設定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明による加工装置は、被加工物を保持する保持面を備えた第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルと、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた第1の旋削手段および第2の旋削手段と、第1のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第1の被加工物搬入・搬出領域と第1の旋削手段によって加工する第1の加工領域に第1のチャックテーブルを移動する第1のチャックテーブル移動手段および第2のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第2の被加工物搬入・搬出領域と第2の旋削手段によって加工する第2の加工領域に第2のチャックテーブルを移動する第2のチャックテーブル移動手段を備え、被加工物仮置き手段に載置された加工前の被加工物を被加工物搬入手段によって第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第2のチャックテーブルに搬入するとともに、第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第2のチャックテーブル上に載置されている加工後の被加工物を被加工物搬出手段によって搬出し洗浄手段に搬送するように構成されているので、加工装置の大きさが略1台分であるにも拘わらず2倍の加工能力があり生産性が向上する。また、第1のカセット載置部と第2のカセット載置部、被加工物仮置き手段、洗浄手段、被加工物搬送手段、被加工物搬入手段、被加工物搬出手段は第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルに対して共有されるので、コストを抑制でき経済的であるとともに装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従って構成された加工装置の斜視図。
【図2】図1に示す加工装置に装備される第1の旋削ユニットおよびの第2の旋削ユニット斜視図。
【図3】図1に示す加工装置に装備される第1のチャックテーブル機構および第2のチャックテーブル機構と第2のチャックテーブル移動手段および第2のチャックテーブル移動手段を示す斜視図。
【図4】図1に示す加工装置に装備される被加工物搬入手段の斜視図。
【図5】図1に示す加工装置に装備される被加工物搬出手段の斜視図。
【図6】被加工物としての半導体ウエーハの平面図および要部拡大図。
【図7】図1に示す加工装置による旋削工程の説明図。
【図8】半導体チップに形成されたバンプ(電極)を図1に示す加工装置によって旋削した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1には本発明に従って構成された加工装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における加工装置は、全体を番号2で示す装置ハウジングを具備している。装置ハウジング2は、細長く延在する直方体形状の主部21と、該主部21の後端部(図1において右上端)に設けられ上方に延びる直立壁22とを有している。直立壁22の前面には、上下方向に延びる一対の第1の案内レール221a、221aおよび一対の第2の案内レール221b、221bが設けられている。この第1の案内レール221a、221aおよび第2の案内レール221b、221bにそれぞれ第1の旋削手段としての第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削手段としての第2の旋削ユニット3bが上下方向に移動可能に装着されている。なお、第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削ユニット3bは、実質的に同一の構成である。
【0016】
第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削ユニット3bは、それぞれ第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31bと、該第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31bに装着された第1のスピンドルユニット32aおよび第2のスピンドルユニット32bを具備している。第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31bは、それぞれ後面両側に上下方向に延びる一対の第1の脚部311a、311aおよび第2の脚部311b、311bが設けられており、この一対の第1の脚部311a、311aおよび第2の脚部311b、311bに上記第1の案内レール221a、221aおよび第2の案内レール221b、221bと摺動可能に係合する第1の被案内溝312a、312aおよび第2の被案内溝312b、312bが形成されている。このように直立壁22に設けられた第1の案内レール221a、221aおよび第2の案内レール221b、221bに摺動可能に装着された移第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31bの前面には第1の支持部材313aおよび第2の支持部材313bが装着され、この第1の支持部材313aおよび第2の支持部材313bに第1のスピンドルユニット32aおよび第2のスピンドルユニット32bがそれぞれ取り付けられる。
【0017】
第1のスピンドルユニット32aおよび第2のスピンドルユニット32bは、それぞれ第1の支持部材313aおよび第2の支持部材313bに装着された第1のスピンドルハウジング321aおよび第2のスピンドルハウジング321b、と該第1のスピンドルハウジング321aおよび第2のスピンドルハウジング321bに回転自在に配設された第1の回転スピンドル322aおよび第2の回転スピンドル322bと、該第1の回転スピンドル322aおよび第2の回転スピンドル322bを回転駆動するための駆動源としての第1のサーボモータ323aおよび第2のサーボモータ323bとを具備している。第1の回転スピンドル322aおよび第2の回転スピンドル322bの下端部はそれぞれ第1のスピンドルハウジング321aおよび第2のスピンドルハウジング321bの下端を越えて下方に突出せしめられており、その下端には円板形状の第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bが設けられている。なお、第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bには、それぞれ第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bが着脱可能に装着される。
【0018】
ここで、第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bの第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bへの着脱構造について、図2を参照して説明する。
第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bには、外周部の一部に上下方向に貫通する第1のバイト取り付け穴325aおよび第2のバイト取り付け穴325bが設けられているとともに、この第1のバイト取り付け穴325aおよび第2のバイト取り付け穴325bと対応する外周面から第1のバイト取り付け穴325aおよび第2のバイト取り付け穴325bに達する第1の雌ネジ穴326aおよび第2の雌ネジ穴326bが設けられている。このように構成された第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bの第1のバイト取り付け穴325aおよび第2のバイト取り付け穴325bに第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bを挿入し、第1の雌ネジ穴326aおよび第2の雌ネジ穴326bに第1の締め付けボルト35aおよび第2の締め付けボルト35bを螺合して締め付けることにより、第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bは第1のバイト工具装着部材324aおよび第1のバイト工具装着部材324bに着脱可能に装着される。なお、第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bは、図示の実施形態においては超鋼合金等の工具鋼によって棒状に形成されたバイト本体331aおよび331bと、該バイト本体331aおよびバイト本体331bの先端部にそれぞれ設けられたダイヤモンド等で形成された切れ刃332aおよび切れ刃332bとによって構成したものが用いられている。このように構成され第1のバイト工具装着部材324aおよび第2のバイト工具装着部材324bに装着されている第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bは、上記第1の回転スピンドル322aおよび第2の回転スピンドル322bが回転することにより、それぞれ後述する第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルの被加工物を保持する保持面と平行な面内で回転せしめられる。
【0019】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における加工装置は、上記第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削ユニット3bをそれぞれ上記第1の案内レール221a、221aおよび第2の案内レール221b、221bに沿って上下方向(後述する第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルの保持面と垂直な方向)に移動せしめる第1の旋削ユニット送り機構4aおよび第2の旋削ユニット送り機構4bを備えている。この第1の旋削ユニット送り機構4aおよび第2の旋削ユニット送り機構4bは、それぞれ直立壁22の前側に配設され上下方向に延びる第1の雄ネジロッド41aおよび第2の雄ネジロッド41bを具備している。この第1の雄ネジロッド41aおよび第2の雄ネジロッド41bは、その上端部および下端部が直立壁22に取り付けられた第1の上部軸受部材42aおよび第2の上部軸受部材42bと第1の下部軸受部材42aおよび第2の下部軸受部材42bによって回転自在に支持されている。第1の上部軸受部材42aおよび第2の上部軸受部材42bには第1の雄ネジロッド41aおよび第2の雄ネジロッド41bを回転駆動するための駆動源としての第1のパルスモータ44aおよび第2のパルスモータ44bが配設されており、この第1のパルスモータ44aおよび第2のパルスモータ44bの出力軸がそれぞれ第1の雄ネジロッド41aおよび第2の雄ネジロッド41bに伝動連結されている。第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31bの後面にはその幅方向中央部から後方に突出する連結部(図示していない)も形成されており、この連結部には鉛直方向に延びる貫通雌ネジ穴が形成されており、この雌ネジ穴に上記第1の雄ネジロッド41aおよび第2の雄ネジロッド41bが螺合せしめられている。従って、第1のパルスモータ44aおよび第2のパルスモータ44bが正転すると第1の移動基台31aおよび第2の移動基台31b即ち第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削ユニット3bがそれぞれ下降即ち前進せしめられ、第1のパルスモータ44aおよび第2のパルスモータ44bが逆転すると移動基台31即ち第1の旋削ユニット3aおよび第2の旋削ユニット3bがそれぞれ上昇即ち後退せしめられる。
【0020】
図1を参照して説明を続けると、ハウジング2の主部21の後半部上には略矩形状の加工作業部211が形成されており、この加工作業部211には第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bが平行に配設されている。以下、第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bについて、図3を参照して説明する。なお、第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bは実質的に同一の構成であるため、図3には各構成部材に両機構の符号を併記して説明する。
【0021】
図3に示す第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bは、それぞれ第1の支持基台51aおよび第2の支持基台51bと、この第1の支持基台51aおよび第2の支持基台51bに配設された第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bとを含んでいる。第1の支持基台51aおよび第2の51bは、それぞれ上記加工作業部211上に前後方向(直立壁22の前面に垂直な方向)である矢印23aおよび23bで示す方向に延在する一対の第1の案内レール23a、23aおよび一対の第2の案内レール23b、23b上に摺動自在に載置されており、それぞれ後述する第1のチャックテーブル移動手段56aおよび第2のチャックテーブル移動手段56bによって図1に示す第1の被加工物搬入・搬出領域24aおよび第2の被加工物搬入・搬出領域24b(図3において実線で示す位置)と上記第1のスピンドルユニット32aおよび第2のスピンドルユニット32bを構成する第1のバイト工具33aおよび第2のバイト工具33bと対向する第1の加工領域25aおよび第2の加工領域25b(図3において2点鎖線で示す位置)との間で移動せしめられる。
【0022】
上記第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bは、ステンレス鋼等の金属材によって円柱状に形成された第1のチャックテーブル本体521aおよび第2のチャックテーブル本体521bと、該第1のチャックテーブル本体521aおよび第2のチャックテーブル本体521bの上面に配設された第1の吸着チャック522aおよび第2の吸着チャック522bとからなっている。第1の吸着チャック522aおよび第2の吸着チャック522bは多孔質セラミッックスの如き適宜の多孔性材料から構成されており、図示しない吸引手段に連通されている。従って、第1の吸着チャック522aおよび第2の吸着チャック522bを図示しない吸引手段に選択的に連通することにより、上面である保持面上に載置された被加工物を吸引保持する。なお、図示の第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bは、第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bを挿通する穴を有し上記第1の支持基台51aおよび第2の51b等を覆い第1の支持基台51aおよび第2の51bとともに移動可能に配設された第1のカバー部材54aおよび第2のカバー部材54bを備えている。
【0023】
図3を参照して説明を続けると、図示の実施形態における加工装置は、上記第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bを一対の第1の案内レール23a、23aおよび一対の第2の案内レール23b、23bに沿って矢印AおよびBで示す方向に移動せしめる第1のチャックテーブル移動手段56aおよび第2のチャックテーブル移動手段56bを具備している。第1のチャックテーブル移動手段56aおよび第2のチャックテーブル移動手段56bは、それぞれ一対の第1の案内レール23a、23aおよび一対の第2の案内レール23b、23b間にそれぞれ配設され第1の案内レール23a、23aおよび第2の案内レール23b、23bと平行に延びる第1の雄ネジロッド561aおよび第2の雄ネジロッド561bと、該第1の雄ネジロッド561aおよび第2の雄ネジロッド561bを回転駆動する第1のサーボモータ562aおよび第2のサーボモータ562bを具備している。第1の雄ネジロッド561aおよび第2の雄ネジロッド561bは、上記第1の支持基台51aおよび第2の51bに設けられた第1のネジ穴511aおよび第1のネジ穴511bと螺合して、その先端部が一対の第1の案内レール23a、23aおよび一対の第2の案内レール23b、23b間に配設された第1の軸受部材563aおよび第2の軸受部材563bによって回転自在に支持されている。第1のサーボモータ562aおよび第2のサーボモータ562bは、その駆動軸が1の雄ネジロッド561aおよび第2の雄ネジロッド561bの基端と伝動連結されている。従って、第1のサーボモータ562aおよび第2のサーボモータ562bが正転すると第1の支持基台51aおよび第2の支持基台51b即ち第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bが矢印Aで示す方向に移動し、第1のサーボモータ562aおよび第2のサーボモータ562bが逆転すると第1の支持基台51aおよび第2の支持基台51b即ち第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bが矢印Bで示す方向に移動せしめられる。このように矢印AおよびBで示す方向に移動せしめられる第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bは、図3において実線で示す第1の被加工物搬入・搬出領域24aおよび第2の被加工物搬入・搬出領域24b(図1における被加工物搬入・搬出領域24a、24b)と2点鎖線で示す第1の加工領域25aおよび第2の加工領域25b(図1における加工領域25a、25b)に選択的に位置付けられる。また、第1のチャックテーブル移動手段56aおよび第2のチャックテーブル移動手段56bは、それぞれ第1の加工領域25aおよび第2の加工領域25bにおいては所定範囲に渡って矢印AおよびBで示す方向、即ち第1の吸着チャック522aおよび第2の吸着チャック522bの上面である保持面と平行に往復動せしめられる。
【0024】
図1に戻って説明を続けると、上記第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bを構成するカバー部材54a、54bの移動方向両側には、横断面形状が逆チャンネル形状であって、上記一対の第1の案内レール23a、23aおよび一対の第2の案内レール23b、23bや第1の雄ネジロッド561aおよび第2の雄ネジロッド561bおよび第1のサーボモータ562aおよび第2のサーボモータ562b等を覆っている第1の前側蛇腹手段57aおよび第2の前側蛇腹手段57bと第1の後側蛇腹手段58aおよび第2の後側蛇腹手段58bが付設されている。第1の前側蛇腹手段57aおよび第2の前側蛇腹手段57bと第1の後側蛇腹手段58aおよび第2の後側蛇腹手段58bはキャンパス布の如き適宜の材料から形成することができる。第1の前側蛇腹手段57aおよび第2の前側蛇腹手段57bの前端は加工作業部211の前面壁に固定され、後端は第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bの第1のカバー部材54aおよび第2のカバー部材54bの前端面に固定されている。第1の後側蛇腹手段58aおよび第2の後側蛇腹手段58bの前端は第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bの第1のカバー部材54aおよび第2のカバー部材54bの後端面に固定され、後端は装置ハウジング2の直立壁22の前面に固定されている。第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bが矢印Aで示す方向に移動せしめられる際には第1の前側蛇腹手段57aおよび第2の前側蛇腹手段57bが伸張されて第1の後側蛇腹手段58aおよび第2の後側蛇腹手段58bが収縮され、第1のチャックテーブル機構5aおよび第2のチャックテーブル機構5bが矢印Bで示す方向に移動せしめられる際には第1の前側蛇腹手段57aおよび第2の前側蛇腹手段57bが収縮されて第1の後側蛇腹手段58aおよび第2の後側蛇腹手段58bが伸張せしめられる。
【0025】
図1に基づいて説明を続けると、装置ハウジング2の主部21における前半部上には、第1のカセット載置部11aと、第2のカセット載置部12aと、被加工物仮置き部13aと、洗浄部14aが設けられている。上記第1のカセット載置部11aには加工前の被加工物を収容する第1のカセット11が載置され、上記第2のカセット載置部12aには加工後の被加工物を収容する第2のカセット12が載置されるようになっている。上記被加工物仮置き部13aには、第1のカセット載置部11aに載置された第1のカセット11から搬出された加工前の被加工物を仮置きする被加工物仮載置き手段13が配設されている。また、上記洗浄部14aには、加工後の被加工物を洗浄する洗浄手段14が配設されている。
【0026】
上記第1のカセット載置部11aと第2のカセット載置部12aとの間には被加工物搬送手段15が配設されている。この被加工物搬送手段15は、第1のカセット載置部11aに載置された第1のカセット11内に収納されている加工前の被加工物を被加工物仮置き手段13に搬出するとともに、洗浄手段14で洗浄された加工後の被加工物を第2のカセット載置部12aに載置された第2のカセット12に搬送する。上記被加工物仮置き部13aと被加工物を被加工物搬入・搬出領域24a、24bとの間には被加工物搬入手段16が配設されている。この被加工物搬入手段16は、図4に示すように被加工物を吸引保持する吸引保持パッド161と、該吸引保持パッド161を一端に装着した作動アーム162と、該作動アーム162の他端に取り付けられ上下方向に移動可能な旋回軸163と、該旋回軸163を中心として作動アーム162を旋回し作動アーム162の一端に装着された吸引保持パッド161を被加工物仮置き手段13と被加工物搬入・搬出領域24a、24bに位置付けられた第1のチャックテーブル52a、第2のチャックテーブル52b上に位置付ける図示しない位置付け手段とからなっている。なお、被加工物搬入手段16を構成する作動アーム162は、互いに摺動可能に構成された第1のアーム部材162aと第2のアーム部材162bとからなっており、図示しない伸縮手段によって伸縮可能に構成されている。このように構成された被加工物搬入手段16は、被加工物搬入・搬出領域24a、24bに位置付けられた第1のチャックテーブル52a、第2のチャックテーブル52b上に搬送する。上記被加工物を被加工物搬入・搬出領域24a、24bと洗浄部14aとの間には被加工物搬出手段17が配設されている。この被加工物搬出手段17は、上記被加工物搬入手段16と同様の構成であり、図5に示すように被加工物を吸引保持する吸引保持パッド171と、該吸引保持パッド171を一端に装着した作動アーム172と、該作動アーム172の他端に取り付けられ上下方向に移動可能な旋回軸173と、該旋回軸173を中心として作動アーム172を旋回し作動アーム172の一端に装着された吸引保持パッド171を被加工物搬入・搬出領域24a、24bに位置付けられた第1のチャックテーブル52a、第2のチャックテーブル52b上と洗浄手段14に位置付ける図示しない位置付け手段とからなっている。なお、被加工物搬出手段17を構成する作動アーム172は、互いに摺動可能に構成された第1のアーム部材172aと第2のアーム部材172bとからなっており、図示しない伸縮手段によって伸縮可能に構成されている。このように構成された被加工物搬出手段17は、被加工物搬入・搬出領域24a、24bに位置付けられた第1のチャックテーブル52a、第2のチャックテーブル52b上に載置されている加工後の被加工物を洗浄手段14に搬送する。
【0027】
上記第1のカセット11に収容される加工前の被加工物は、図6の(a)に示すように表面に複数個のデバイス110が格子状に形成され半導体ウエーハ10からなっている。半導体ウエーハ10に形成された複数個のデバイス110の表面には、それぞれ複数個のスタッドバンプ(電極)120が形成されている。このスタッドバンプ(電極)120は、例えば図6の(b)に示すようにデバイス110に形成された例えばアルミニウム等からなる電極板111に金ワイヤーを加熱溶融して装着する。このようにして形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120は、図6の(b)に示すように針状の髭121が残った状態となるとともに、その高さにバラツキがある。
【0028】
上述した被加工物としての半導体ウエーハ10を収容した第1のカセット11は、装置ハウジング2の第1のカセット載置部11aに載置される。そして、第1のカセット載置部11aに載置された第1のカセット11に収容されていた加工前の半導体ウエーハ10が全て搬出されると、空になったカセット11に代えて複数個の加工前の半導体ウエーハ10を収容した新しいカセット11が手動で第1のカセット載置部11aに載置される。一方、装置ハウジング2の第2のカセット載置部12aに載置された第2のカセット12に所定数の加工後の半導体ウエーハ10が搬入されると、かかる第2のカセット12が手動で搬出され、新しい空の第2のカセット12が載置される。
【0029】
図示の実施形態における加工装置は以上のように構成されており、以下その作動について主に図1を参照して説明する。
第1のカセット11に収容された被加工物としての加工前の半導体ウエーハ10は被加工物搬送手段15の上下動作および進退動作により搬送され、被加工物仮置き手段13に載置される。被加工物仮置き手段13に載置された半導体ウエーハ10は、ここで中心合わせが行われた後に被加工物搬入手段16の旋回動作によって被加工物搬入・搬出領域24aに位置付けられた第1のチャックテーブル52a上に載置される。第1のチャックテーブル52a上に半導体ウエーハ10が載置されたならば、図示しない吸引手段を作動することにより、第1のチャックテーブル52aの上面である保持面に載置された半導体ウエーハ10が吸引保持される。第1のチャックテーブル52a上に半導体ウエーハ10を吸引保持したならば、第1のチャックテーブル移動手段56a(図3参照)を作動して第1のチャックテーブル機構5aを矢印Aで示す方向に移動し、半導体ウエーハ10を保持した第1のチャックテーブル52aを加工域25aに位置付ける。このようにして半導体ウエーハ10を保持した第1のチャックテーブル52aが加工領域25aに位置付けられたならば、半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120を旋削して高さを揃える旋削工程を実施する。
【0030】
上記旋削工程について、図7を参照して説明する。
旋削工程は、第1の旋削ユニット3aの第1の回転スピンドル322aを回転駆動し、第1のバイト工具33aが取り付けられた第1のバイト工具装着部材324aを図7において矢印Cで示す方向に例えば6000rpmの回転速度で回転する。そして、第1の旋削ユニット3aを下降させ第1のバイト工具33aを所定の切り込み位置に位置付ける。次に、例えば第1のバイト工具33aの切れ刃332aの旋削幅が略25μmの場合には、半導体ウエーハ10を保持した第1のチャックテーブル52aを図7において実線で示す位置から矢印Aで示す方向に例えば2mm/秒の送り速度で図7において2点鎖線で示す位置まで移動する。この結果、第1のバイト工具装着部材324aの回転に伴って回転する第1のバイト工具33aの切れ刃332aによって半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120の上端部が削り取られる。そして、図7において2点鎖線で示すようにチャックテーブル72に保持された半導体ウエーハ10の中心がバイト工具装着部材324の中心位置まで移動することにより、半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120の全てが、図8に示すようにその先端部が旋削によって除去され、高さが揃えられる。
【0031】
この間に、第1のカセット11に収容された被加工物としての加工前の半導体ウエーハ10は被加工物搬送手段15によって搬送され、被加工物仮置き手段13に載置される。被加工物仮置き手段13に載置された半導体ウエーハ10は、ここで中心合わせが行われる。そして、被加工物仮置き手段13で中心合わせが行われた半導体ウエーハ10は、被加工物搬入手段16によって被加工物搬入・搬出領域24bに位置付けられた第2のチャックテーブル52b上に載置される。第2のチャックテーブル52b上に半導体ウエーハ10が載置されたならば、図示しない吸引手段を作動することにより、第2のチャックテーブル52bの上面である保持面に載置された半導体ウエーハ10が吸引保持される。第2のチャックテーブル52a上に半導体ウエーハ10を吸引保持したならば、第2のチャックテーブル移動手段56b(図3参照)を作動して第2のチャックテーブル機構5bを矢印Aで示す方向に移動し、半導体ウエーハ10を保持した第2のチャックテーブル52bを加工域25bに位置付ける。このようにして半導体ウエーハ10を保持した第2のチャックテーブル52bが加工領域25bに位置付けられたならば、半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120を旋削する旋削工程を実施する。この研削工程は、上記第1のチャックテーブル52aに保持された半導体ウエーハ10に対して第1の旋削ユニット3aによって実施する研削工程と同様に第2の旋削ユニット3bによって実施される。この第2の旋削ユニット3bによって実施する旋削工程においては、図1に示すように第2のバイト工具33bが取り付けられた第2のバイト工具装着部材324bを矢印Dで示す方向に回転する。即ち、第2の旋削ユニット3bの第2のバイト工具33bが取り付けられた第2のバイト工具装着部材324bの回転方向は、上記第1の旋削ユニット3aによって実施する旋削工程において第1のバイト工具33aが取り付けられた第1のバイト工具装着部材324aの矢印Cで示す回転方向と逆方向となるように設定することが望ましい。このように第1の旋削ユニット3aの第1のバイト工具33aが取り付けられた第1のバイト工具装着部材324aの回転方向と第2の旋削ユニット3bの第2のバイト工具33bが取り付けられた第2のバイト工具装着部材324bの回転方向を逆方向となるように設定することにより、切削屑が左右対称の位置に排出されメンテナンスが容易であるとともに、第1のバイト工具33aが取り付けられた第1のバイト工具装着部材324aの回転の慣性力と第2のバイト工具33bが取り付けられた第2のバイト工具装着部材324bの回転の慣性力が相殺され振動が抑制される。なお、第2のバイト工具33bの切れ刃332bの向きは、第2のバイト工具装着部材324bの矢印Dで示す回転方向に向けられる。
【0032】
上述したように第1のチャックテーブル52aに保持された半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120を旋削する旋削工程が終了したら、第1の旋削ユニット3aを上昇せしめる。次に、第1のチャックテーブル52aを図1において矢印Bで示す方向に移動して被加工物搬入・搬出域24aに位置付け、第1のチャックテーブル52a上の旋削加工された半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、第1のチャックテーブル52aによる吸引保持が解除された半導体ウエーハ10は、被加工物搬出手段17により搬出されて洗浄手段14に搬送される。洗浄手段14に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで洗浄される。洗浄手段14で洗浄された半導体ウエーハ10は、被加工物搬送手段15よって第2のカセット12の所定位置に収納される。
【0033】
一方、この間に第2のチャックテーブル52bに保持された半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120を第2の旋削ユニット3bによって旋削する旋削工程が終了する。このように第2のチャックテーブル52bに保持された半導体ウエーハ10に対する旋削工程が終了したならば、第2の旋削ユニット3bを上昇せしめる。次に、第2のチャックテーブル52bを図1において矢印Bで示す方向に移動して被加工物搬入・搬出域24aに位置付け、第2のチャックテーブル52b上の旋削加工された半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、第2のチャックテーブル52bによる吸引保持が解除された半導体ウエーハ10は、被加工物搬出手段17により搬出されて洗浄手段14に搬送される。洗浄手段14に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで洗浄される。洗浄手段14で洗浄された半導体ウエーハ10は、被加工物搬送手段15よって第2のカセット12の所定位置に収納される。
【0034】
以上のように、図示の実施形態における加工装置は、被加工物を保持する保持面を備えた第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bと、第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bに保持された被加工物を旋削するための第1のバイト工具を備えた第1の旋削ユニット3aおよび第2のバイト工具を備えた第2の旋削ユニット3bと、第1のチャックテーブル52aを被加工物を搬入搬出する第1の被加工物搬入・搬出領域と第1の旋削ユニット3aによって加工する第1の加工領域に移動する第1のチャックテーブル移動手段56aおよび第2のチャックテーブル52bに被加工物を搬入搬出する第2の被加工物搬入・搬出領域と第2の旋削ユニット3bによって加工する第2の加工領域に移動する第2のチャックテーブル移動手段56bを備え、被加工物仮置き手段13に載置された加工前の被加工物を被加工物搬入手段16によって第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第1のチャックテーブル52aおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第2のチャックテーブル52bに搬入するとともに、第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第1のチャックテーブル52aおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた第2のチャックテーブル52b上に載置されている加工後の被加工物を被加工物搬出手段17によって搬出し洗浄手段14に搬送するように構成されているので、加工装置の大きさが略1台分であるにも拘わらず2倍の加工能力があり生産性が向上する。また、第1のカセット載置部11aと第2のカセット載置部12b、被加工物仮置き手段13、洗浄手段14、被加工物搬送手段15、被加工物搬入手段16、被加工物搬出手段17は第1のチャックテーブル52aおよび第2のチャックテーブル52bに対して共有されるので、コストを抑制でき経済的であるとともに装置の小型化が可能となる。
【0035】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては、第1の旋削ユニット3aと第2の旋削ユニット3bは実質的に同一に構成した例を示したが、第1の旋削ユニット3aに装着される第1のバイト工具33aを粗旋削用バイト工具とし、第2の旋削ユニット3bに装着される第2のバイト工具33bを仕上げ旋削用バイト工具することにより、第1の旋削ユニット3aを粗旋削ユニットとして機能させ、第2の旋削ユニット3bを仕上げ旋削ユニットとして機能させることができる。この場合、先ず被加工物である半導体ウエーハ10を第1のチャックテーブル52aに保持して第1の旋削ユニット3aによって粗旋削加工を実施し、該粗旋削加工された半導体ウエーハ10を第1のチャックテーブル52aから第2のチャックテーブル52bに搬送し、第2のチャックテーブル52bに保持された粗旋削加工後の半導体ウエーハ10に対して第2の旋削ユニット3bによって仕上げ旋削加工を実施する。このように、粗旋削加工と仕上げ旋削加工とに分け、安価な粗旋削用バイトによって例えば90%旋削し、高価な仕上げ用バイトによって例えば10%旋削することにより、高価な仕上げ用バイト工具の寿命を延ばすことができ経費節減となる。また、図示の実施形態においては、半導体ウエーハ10に設けられたデバイス110の表面に形成された複数個のスタッドバンプ(電極)120を旋削する例を示したが、本発明による加工装置は樹脂の上面や金属板の上面を旋削することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1:加工装置
2:装置ハウジング
3a:第1の旋削ユニット
3b:第2の旋削ユニット
32a:第1スピンドルユニット
32b:第2スピンドルユニット
322a:第1回転スピンドル
322b:第2回転スピンドル
324a:第1バイト工具装着部材
324b:第2バイト工具装着部材
33a:第1バイト工具
33b:第2バイト工具
4a:第1旋削ユニット送り機構
4b:第2旋削ユニット送り機構
5a:第1チャックテーブル機構
5b:第2チャックテーブル機構
56a:第1チャックテーブル移動機構
56b:第2チャックテーブル移動機構
10:半導体ウエーハ
11a:第1のカセット載置部
11b:第2のカセット載置部
13:被加工物仮置き手段
14:洗浄手段
15:被加工物搬送手段
16:被加工物搬入手段
17:被加工物搬出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を旋削するためのバイト工具を備えた旋削手段と、該チャックテーブルに被加工物を搬入搬出する被加工物搬入・搬出領域と該旋削手段によって加工する加工領域に該チャックテーブルを移動するチャックテーブル移動手段と、加工前の被加工物が収容された第1のカセットを載置する第1のカセット載置領域と、該第1のカセット載置領域に載置された該第1のカセットから搬出された加工前の被加工物を仮置きする被加工物仮載置き手段と、該被加工物仮載置き手段に仮置きされた加工前の被加工物を被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該チャックテーブルに搬入する被加工物搬入手段と、加工後の被加工物を洗浄する洗浄手段と、加工後の被加工物が収容された第2のカセットを載置する第2のカセット載置領域と、該被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該チャックテーブル上に載置されている加工後の被加工物を搬出し洗浄手段に搬送する被加工物搬出手段と、該第1のカセット載置領域に載置された該第1のカセット内に収納されている加工前の被加工物を該被加工物仮置き手段に搬送するとともに該洗浄手段で洗浄された加工後の被加工物を該第2のカセット載置領域に載置された該第2のカセットに搬送する被加工物搬送手段と、を具備する加工装置において、
該チャックテーブルは、第1のチャックテーブルおよび第2のチャックテーブルを備え、
該旋削手段は、該第1のチャックテーブルに保持された被加工物を旋削するための第1のバイト工具を備えた第1の旋削手段および該第2のチャックテーブルに保持された被加工物を旋削するための第2のバイト工具を備えた第2の旋削手段を備え、
該チャックテーブル移動手段は、該第1のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第1の被加工物搬入・搬出領域と該第1の旋削手段によって加工する第1の加工領域に該第1のチャックテーブルを移動する第1のチャックテーブル移動手段および該第2のチャックテーブルに被加工物を搬入搬出する第2の被加工物搬入・搬出領域と該第2の旋削手段によって加工する第2の加工領域に該第2のチャックテーブルを移動する第2のチャックテーブル移動手段を備え、
被加工物搬入手段は、該被加工物仮載置き手段に仮置きされた加工前の被加工物を該第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび該第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブルに搬入し、
該被加工物搬出手段は、該第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび該第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上に載置されている加工後の被加工物を搬出し該洗浄手段に搬送する、
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
被加工物搬入手段は、被加工物を保持する吸引保持パッドと、該吸引保持パッドを一端に装着した作動アームと、該作動アームの他端に取り付けられた旋回軸と、該旋回軸を中心として作動アームを旋回し作動アームの一端に装着された吸引保持パッドを該被加工物仮置き手段と第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上に位置付ける位置付け手段とからなっており、
該被加工物搬出手段は、被加工物を吸引保持する吸引保持パッドと、該吸引保持パッドを一端に装着した作動アームと、該作動アームの他端に取り付けられた旋回軸と、該旋回軸を中心として作動アームを旋回し作動アームの一端に装着された吸引保持パッドを第1の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第1のチャックテーブルおよび第2の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた該第2のチャックテーブル上と該洗浄手段に位置付ける位置付け手段とからなっている、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該第1の旋削手段および該第2の旋削手段は、第1の回転スピンドルおよび第2の回転スピンドル下端に装着され該第1のバイト工具および該第2のバイト工具がそれぞれ取り付けられる第1のバイト工具装着部材および第2のバイト工具装着部材を備えており、該第1のバイト工具装着部材と該第2のバイト工具装着部材の回転方向が逆方向となるように設定されている、請求項1又は2記載の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103297(P2013−103297A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248583(P2011−248583)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】